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メリー・ポピンズ

メリー・ポピンズ

ホリプロ/東宝/TBS/梅田芸術劇場

東急シアターオーブ(東京都)

2018/03/18 (日) ~ 2018/05/07 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/05/04 (金)

世界最高峰のミュージカルと言われている「メリー・ポピンズ」の初めての日本公演を観にシアターオーブへ。世界各国で上演され、世代を問わず愛されている名作。とは言え、個人的には映画版を観たことが無く予備知識が乏しい中での観劇でした。しかしながら、オープニングから舞台装置の凄さに圧倒され、生演奏で次々に繰り広げられるミュージカルナンバーの数々に終始感激。星5つでは足りないくらい大満足のいく観劇となりました。仕事に打ち込むあまり妻子との関係性が疎遠になってしまった父親。その家族の関係性がメリー・ポピンズの不思議な魔法によって改善していくという心温まるストーリー。仕事中心社会の日本においても十分に重ね合わせることが出来、メリー・ポピンズのような存在こそが日本の社会に必要なのではないかと感じました。「私は何も説明しません」というメリー・ポピンズの淡々としつつも真の通った言動がカッコイイ。役目を果たし飛び立つクライマックスシーンは実に感動的で、会場中が大きな拍手に包まれていました。この作品を通じて気付かされたことは決して一つや二つではなく数え切れないくらいあるように感じます。非常に内容の濃い見事なミュージカルでした。文句なしの満点評価。

『真夏の夜の夢』『セレナーデ』

『真夏の夜の夢』『セレナーデ』

公益財団法人日本舞台芸術振興会

東京文化会館 大ホール(東京都)

2018/04/28 (土) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/04/28 (土)

大好きなセレナーデです。

とても美しくて、そろっていたんですが、いまひとつ物足りなさを感じてしまいました。

何故なんだろう・・・と、思うのですが、やはり新国立劇場バレエ団で感じた静謐さ、音楽との調和の美しさがすごかったんだと思います。





真夏の夜の夢

とても楽しい演目で、衣装もかわいかったり、みどころがたくさんありあました。

フォーゲルくんのオーベロンは、とても美しかったし、威厳があり、やっぱりすごく素敵でした。



タイターニアの沖香菜子さんは可愛くて、あどけなく、ピュアな感じが、まだタイターニアには早いのかなぁ・・・オーベロンと釣り合う威厳、したたかさ、傲慢さが欲しかったです。

でもとっても可愛いので、眠りとか、くるみ割とかで観てみたいです。



パックの宮川新大くんは踊りはキレもスピード感もあってとてもよかったのですが、ジャンプの着地でドン!と大きな音が出るのは駄目ですね、パックは音を立てないで降りないと、妖精なんですから・・・。高くジャンプしてもとても柔らかな着地をするダンサーさんがたくさんいるので、是非その技を習得してほしいです!



楽しい舞台を、ありがとうございました

調べ -笙とダンスによる-

調べ -笙とダンスによる-

KARAS

シアターX(東京都)

2018/05/03 (木) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

笙というとても古い楽器がこんなにも現代的でこの二人の踊りによく合うことに驚く。オペラシティ公演のような楽団との公演は容易に実現しないだろうが、単独の邦楽器との協演は今後も観てみたい。

鉄とリボン

鉄とリボン

キコ qui-co.

座・高円寺2(東京都)

2018/05/02 (水) ~ 2018/05/03 (木)公演終了

満足度★★★★

超常現象あるいは「世にも奇妙な物語」的な導入部からクラッピング/ストンピングも交えたオープニング主題歌を経て展開されるのはメルヒェンチックな「生命(せいめい)讃歌」あるいは「生命(いのち)の大河ドラマ」的なヒューマニックドラマ。「受け継がれてゆく生命」とか「生まれいずる悩みならぬ生まれいずることができなかった哀しみ」なんてフレーズも脳裏をよぎる。
前半で提示されたいくつかの流れが後半のある時点で一気に結び付いて全体像が明らかになるのがえも言われぬ感覚。また多人数を活用した声や足踏みの効果もイイ。
また、タイトルにもある「リボン」が直喩・隠喩含め3つ4つの意味を持つのも巧い。

日本の悲劇

日本の悲劇

劇団 脳細胞

OFF OFFシアター(東京都)

2018/05/02 (水) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/05/04 (金)

劇団脳細胞「日本の悲劇」を観に下北沢OFF-OFFシアターへ。初見の劇団さん。最初タイトルを見て、これまでに日本を襲った或いは日本を襲うであろう悲劇(歴史的な事件、天災など)を題材とした作品かと勝手に想像しておりましたが、実際は"13人の日本人による13の悲劇"という様々な悲劇・不幸を抱えた個々にスポットを当てた作品で、想像とは大きく異なりました。これまでに“悲劇”と思われる事態・現象などは何度も目撃したり、自分自身でも遭遇したりしている気がしますが、その捉え方は人それぞれであり、一言では片付けられない深い言葉だということを今回の作品を通じて改めて考えさせられたような気がします。序盤から終始重い雰囲気のお芝居でした。何人かの役者さんの演技中の目線(客席をチラチラ見ている様子)が気になったのと、終盤の追い詰められてるシーンにも関わらずそれがあまり感じられない演技・演出が少し残念でした。

Bar月光~それぞれのペーパームーン

Bar月光~それぞれのペーパームーン

魚クラブ

アートギャラリーフジハラB1(フジハラビルB1ギャラリー)(大阪府)

2018/05/04 (金) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★

面白かった、もっと拡い所でやればもっと面白かったのに 。
突っ込む所がいっぱいあったので、より楽しかった。
ありがとう♪♪♪

いたこといたろう

いたこといたろう

渡辺源四郎商店

ザ・スズナリ(東京都)

2018/05/01 (火) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

約1時間25分。作・演出は畑澤聖悟さん。青森のイタコと、ホトケオロシを頼みにきたワケあり女性の二人芝居。ホラーやお笑いのネタを散りばめた濃厚な愛憎ドラマ。降霊術だけでなく、二人が語る言葉も不確かさを増していき…。軽やかかつ繊細で、振れ幅大きく変化する三上晴佳さんがまたもや素晴らしい。高校生はワンコイン500円。一般3000円。「愛とか死とか見つめて」と二本で一般5000円。

ネタバレBOX

イタコを訪ねた女性の、育ての母はイタコだった。互いに憑依を繰り返すなかで、本音と事実が語られていく。もはやどちらがイタコで、何が本当かは重要ではない。現実を凌駕する虚構が、心の中の真実を明るみに出していく。
LADYBIRD,LADYBIRD

LADYBIRD,LADYBIRD

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2018/05/02 (水) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★

ポスタービジュアルに惹かれて、出演者も内容も全然知らない状態での観劇でしたが、楽しめました。アン役の葛岡有さんは今後が非常に楽しみな女優さんです。多くの人に、特に学生さんに観てもらいたいです。

LADYBIRD,LADYBIRD

LADYBIRD,LADYBIRD

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2018/05/02 (水) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

こどもたちの真っ直ぐな表現とメッセージ、笑顔に元気をもらいました。親心で観てしまいました笑
大人も子どももお互いに影響しあって作り上げてきた作品なんだなとおもいました。

ごはん処 まよい軒

ごはん処 まよい軒

劇団ぼるぼっくす

東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)

2018/05/04 (金) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★

悪い意味ではなく、私の少ない観劇史上ではありますが、最も日常的、最も平凡、最も刺激なし、でも何となくクセになる舞台でした。
平凡だけど見終わった後に、ほっこりとした感じが残る、安心できるいい舞台でした。劇場も小さく舞台との距離が近く、下町小劇場という感じでした。

わらえない

わらえない

劇団メイギザ

アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)

2018/04/27 (金) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★

劇が始まる前の会話はなんのか、お芝居の一部なのか、なんなのか説明があってもよかったのでないでしょうか。
お芝居の内容自体は面白かったです。
荷物が届かない件はもう一捻りあったほうがいいですね。

ネタバレBOX

学習塾をイメージしていたのであれば、なぜ、授業(講義)がないのか、実際に行わなくても、授業に行ってきますぐらいはあってもいいのでは。
Starting Over

Starting Over

“STRAYDOG”

ワーサルシアター(東京都)

2018/04/29 (日) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★

Aチームを観劇しました。
最初3列目着席したが1列目に人が座るとやっぱり観づらいので1列目に移動。
塩に、つばに、お塩の容器のキャップまで飛んできましたが、若い女性の役者とほんの数十センチの間近(かぶりつき)で観れたので最高でした。
歌にダンスあり。
主役の男性と不動産屋のおじさんの演技は見応えありました。
とれも面白くていっぱい笑わせていただきました。

サイキックバレンタイン

サイキックバレンタイン

たすいち

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/04/29 (日) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★

終始ドタバタ感は拭えませんでしたが、魅力的で個性的なキャストの皆さんのパワーで楽しい時間を過ごせました。ラストの意外な感じはとてもよかったです。
こわっぱちゃん家の舞台でよくお見掛けしていた細田こはるさんは、ここでも個性的で輝いていました。
ちょっとエスパー対支配したい人間という構図はありきたりな感じですが、とにかく楽しみたい方にはぴったりの舞台だと思います。

煙が目にしみる

煙が目にしみる

加藤健一事務所

本多劇場(東京都)

2018/05/03 (木) ~ 2018/05/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/05/04 (金) 14:00

カトケン事務所の真骨頂。涙と笑いの舞台は本当に得意なのは分かっているのだけど、しっかり期待に応えるというか、安定感抜群なのである。
毎回のことだが、加藤健一の立ち回りがいい。今回は老女姿で派手な動きや台詞はないが、舞台が進むにつれ主導権を握り、存在感がぐっと増す。加藤の淡々とした台詞一つ一つに涙と爆笑を絞られる。ハンカチは必ず持っていきましょう。

ネタバレBOX

加藤健一の役はボケ老人。そのボケに何とイタコをやらせる。その脚本も秀逸と言わざるを得ない。
愛とか死とか見つめて

愛とか死とか見つめて

渡辺源四郎商店

ザ・スズナリ(東京都)

2018/05/03 (木) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

約1時間15分。少子高齢化、過疎、市町村の統廃合、核廃棄物再処理場の誘致などを背景に、ごく身近な愛と死を見つめた「いたこ」コメディー。急展開の物語に引き込まれ、突然降りかかる不幸とやり切れない思いのひとつの着地点に納得。見せる場面転換がスマートで、各人物の個性、役割もはっきり。さすがの工藤千夏作・演出作。高校生はワンコイン500円!

ネタバレBOX

残された妻は、死んだ夫が乗り移ったとされる「いたこ」に対して、思いをひたすら告げて、どうにか心を落ち着かせる。生者の思いを受け止める者(いたこ)が必要なんだな…と思う。
サイキックバレンタイン

サイキックバレンタイン

たすいち

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/04/29 (日) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★

奇跡的に当日券で見られた舞台は、魅力のある役者さんが満載で、思わぬ収穫でしたよ! ・・・詳細はブログ記事をご覧下さい!→http://idolarayama.seesaa.net/article/459162592.html

三歩進んで二歩下がれっ!

三歩進んで二歩下がれっ!

天ノ川最前線

ART THEATER 上野小劇場(東京都)

2018/05/03 (木) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/05/03 (木) 19:00

価格1,500円

19:00の回(晴)

18:33受付開場(靴を脱いで)、ベンチシート&椅子席。

「リゲイン」が鳴っている。そんな時代だった...

ベンチのようなソファのような家具、卓上テーブルランプ、下手に格子(内と外)。

18:46/55前説(アナウンス75分)。

19:05開演~20:20終演。

初日です。よく観に行く上智大の関口美幸さんが外部公演、というので観に来ました。

過去みた公演では
岩崎雅高さんは「いとのまなざし(2017/10@王子)」
國井さえさんは「Replace Grace(2017/7@空洞)」
綺畸は「鴉神話(2017/6@小空間)」
だと思います。

男3+女3の同期旅行、一夜劇にして良質なコメディ。

それぞれの挫折(諦め)と復活(希望)。恥ずかしさが露呈しながらもキャラクターの人の好さは深まってゆき、スピード感ある展開、決してうまくゆくことがない「人生」それが等身大の不器用なカッコよさなんだろうと思うのでした。

純惑ノ詩―じゅんわくのうた―

純惑ノ詩―じゅんわくのうた―

野生児童

小劇場B1(東京都)

2017/08/23 (水) ~ 2017/08/27 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/08/23 (水) 19:00

前半が冗長であまり活きていない部分があったり(例:劇団関連の部分)一部の展開(対立・和解・殺意など)が唐突だったりする一方、原典の再構成の仕方やそれによって想起するものなどが面白く、冒頭部分とリンクさせて求婚の言葉通りに最期を迎える二人という幕切れが鮮やか。

原典である東海道四谷怪談の伊右衛門は心の弱さもありつつ基本的には「悪漢/ピカレスク」な印象だが、本作の登場人物は時には悪になるものの、基本的には故意・悪意がないので物足りないような気も。あの内容・精神を現代に不自然でなく持ってくるとそうならざるを得ないのか?
一方、伊右衛門・お岩の二人の役割を複数の人物に振り分けたことで犯罪臭が薄れむしろ悲劇の色合いになってあれこれ想起するようになったのは面白い。

主人公姉妹は悲劇的な結末を迎えるが、姉の方にはかすかな沙翁的なもの、妹の方にはかなりのギリシャ悲劇的なものを感じた。脚本を執筆した有田主宰によれば特に意識した訳ではないとのことだったが、悲劇のルーツがあのあたりということか?

X-QUESTの荻窪さんが、演技に取り入れている「あること」を探すのも一興?(笑) σ(^-^)は2つ気付いたけれど、そんなものやあんなものは残念ながら気付かず……

表参道文學其の九

表参道文學其の九

表参道文學公式

NOSE art garage(東京都)

2018/05/03 (木) ~ 2018/05/03 (木)公演終了

満足度★★★★★

朗読内容によって声色を変えて演出してくださりいつも最後まで引き込まれます。
目で見て、ヘッドホンで声に魅了される朗読劇。
毎回異なったシュチュエーションで楽しませて下さるので、次回も楽しみです。

1984

1984

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2018/04/12 (木) ~ 2018/05/13 (日)公演終了

満足度★★★★

小川絵梨子演出を久々に観て、新国立とは相性が良いかも・・大きめの劇場機構でこそ技も光る・・という印象をもった。傍証として数年前の『OPUS/作品』。相前後した『クリプトグラム』(世田パブ)と合わせて、シンプルな構造、コンセプトが明確な作品を得意とする演出家か、との印象だったが、一見「複雑」に見える今回の戯曲についてはどうだったか。

(オーソン・ウェルズとごっちゃになる)ジョージ・オーウェルは「カタロニア讃歌」でも有名だが何より『1984』が伝説的である(と言っても読んでないが)。戯曲化は比較的最近かと思われたのは、小川が殆ど完璧と言える舞台処理を施し、その処理法が現代的(映像の活用など)、そしてそれらが仲睦まじい恋人よろしく戯曲と呼吸していたと見えたからだが、大きく外れていないと思う。
ともかく途中までは「これはめっけもの」と心騒ぎ、圧倒され通しだったが、終盤、そして締めくりである種の失速感を感じたのは、なぜだろう?
・・途中まで素晴らしかったしメッセージは十分伝わったから良かった、と言えるのか、それは「せっかく見つけた逸品にケチを認めたくない」心理のなせる底上げ作用で、やはり何か欠陥があったのか・・。いや、今結論を出すことはすまい。

「戯曲と呼応した流れるような演出」は、恐らく前半戦での正解。後半のホラー映画のような恐怖演出の効果がむしろ不要だったのではないか・・と、何となくだが思う。このあたりで物語の背後の論理構造(観客が必死で読み取ろうとしている)が見えづらくなる感じもあった。(だがパンフでの対談によればこのあたりで小川氏は勝負していた意識らしい。)むき出しの恐怖は思考を吹き飛ばす・・そういう舞台はあまり無かったかも知れない(映画ではむしろ今や常套となっている。アクション映画さえホラーのように驚かせてナンボだ)。

映画版『1984』にあったシーンと流れが舞台でもなぞられ、大方原作を踏まえている事が判ったが、映画では諸々説明不足があり、舞台ではそのあたりが明確で、映画では不明だった部分がよく判った。即ち、超監視社会であるオセアニアの支配側の末端で働く青年ウィンストンの思想的立ち位置、鮮烈な出会いから恋人となる女性との関係、総統であり人間でもない(党そのものだという)ビッグブラザーと、反逆者ゴールドスタインに関すること。

やはり「引っかかり」は終盤である。オーラス、「現実」に片足を置く観客を「架空世界」から現実へと引き渡す役割を、俳優が担う・・という意味では、小川演出は「架空世界」の内部で決着させた(事になった)。というのは--最後にこの話は冒頭と同じ読書会の場面に戻り、間に挟まれた話はそこで読まれていた「1984」の再現だったというメタ構造が示され、このオチで一旦観客は安堵するも、黙々と机に向かって何事かしている主人公がふと、客に向かって主人公の不敵な笑みを浮かべ暗転となる--。こう書けば「割と普通」「あり得る」とも思われようが、舞台上はあまりに強いフィクション性を帯び、観客は否応なくそこに入り込んでいる。俳優がシビアに完璧にフィクション構築の要請に応え、「作り込まれた世界」が濃縮された様相を帯びる・・それほどに堅固に演出された舞台の世界は、劇場の外の現実とは、乖離しているのである。(話の内容が現実の暗喩になっている事とは別問題。)
「夢から醒める」時点で、体験の記憶を身体にとどめるための「現実とのつなぎ」が、私は舞台が舞台の内部だけで完結しないために必要だと考えているのでこうぐだぐだ書いているが・・、小川氏は「内部」での完成を自分の使命とするゆえに、戯曲が指示するものを表現し切ったと言える所で、幕を下ろしてしまうのではないか。(その感じを持った小川氏の舞台を思い出した。)
戯曲の原産国(英国)では、国柄と社会状況という色の付いたキャンバスの上に戯曲が書かれ、必然に何らかの具体的メッセージを帯びるものであり、つまりは「現実」との関係が不可分にある、それが演劇の自然なあり方なのではないかと(勝手に)想像しているのだが、今回の舞台で私たちは「英国の状況」を想像すべきなのだろうか・・と言えば皮肉が過ぎるだろうか。
小川氏の手腕が、「演劇を日本の現実にどうコミットさせようとするのか」を意識した戦線で発揮されるとどうなるか、そこを見てみたい。

私としては「架空世界」の外膜を俳優が破って出てくるくらいのラストが、そこまでの流れの完璧さに見合う、ある意味でバランスのとれた形であり、即ち非常に上質な「私たちの舞台」として結実する事になったのではないか・・「if」を想像するが、自分の発想がアングラに傾き過ぎであるかも知れない。

諸々ありながらも、エライ舞台を見た後味は否めない。
舞台装置・照明は大いに動員され、フルに使いこなされている。ダイナミックな流れの中に速替え、マジックに等しい入れ替わり、出はけがさり気なく織り込まれる。俳優の立ち位置、配置が関係性を雄弁に表し、美的でもある。
・・理屈抜きの「快楽」の世界だが、それだけでは何か不足が残るのだろう。欲しいのは「構築」の方向性に対する、離脱の方向、だろうか・・また蒸し返してしまった。

舞台の魅力を言葉で掴み切れていないが、舞台処理の鋭利さは、『プルートゥ』とは比較しようがないが、仮に順位を付けるなら次点、近年の暫定2位だ。

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