
浅草アリス IN WONDERLAND
劇団ドガドガプラス
浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)
2018/08/18 (土) ~ 2018/08/27 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/20 (月) 19:00
2012年版のアリスの舞台が、ネットでダイジェスト再生できますが、セットやセットを立体的に使うところを除けば、あまり変わっていないような。ただし、配役はかなり変わっているのに、主演アリスの松山クミコさんだけは、全く変わらない。これは誉め言葉ですよ。
夏のドガドガ、月曜日ということもあってか、初日の満員に比べるとちょっと入りが少ない感じかな。初日、二日目では盛況もあり、トップギアで走り続けたのでしょうね、いつも通りにテンションは高いのですが、少しお疲れ気味な感じも受けました。
それでも、高いサービス精神で、客席を一切飽きさせることがありません。
グダグダな前説の劇団が多い中、前説も途中休憩トークも、よくもまあバカバカしくも楽しませてくれます。ちなみに、蜂巣和紀さんのヤマトタケルの物まねに一言、ヤマトタケルと卑弥呼は、全く関係ないですよ。
こういうエンタメの舞台は、やはり途中休憩って大事です。また、飲食OKもあった方がよい。一旦クールダウンする時間が欲しいし、トイレの心配をしなくてよいね。それで2時間強はお手頃な時間感覚です。
さて、物語りですが、アリスは主軸の話に関係ないじゃない!バスガイドである必要ないじゃない!なぜ巨乳になるの?などとやたらと取っ散らかっているのですが(私のドガドガ経験で最大級の取っ散らかり方、でも再演に当たって、そこに手を入れる気は全くなかったのですね)、いやあ、それゆえにか、ひたすら暴走してくれて楽しめました。
起承転結なんて全くなく、展開は序破急のリズム。
夏にドガドガは合うなあ。また浅草東洋館に来ますね。

八月納涼歌舞伎
松竹
歌舞伎座(東京都)
2018/08/09 (木) ~ 2018/08/27 (月)公演終了
満足度★★★★
第三部 盟三五大切 八月の納涼歌舞伎は、かつては野田がやり、宮藤が参加したように現代劇と伝統演劇をつなぐ良い試みをやってきて、しかも料金低廉と言う事でずいぶん若い世代を歌舞伎座に馴染ませた。老舗松竹アっパレである。しかし、今年はお疲れ。いつものような意欲的、世間評判の演目はないが、一部ニ部は若者向きの花形にわかりやすい演目を並べて、大入りの盛況だ。そこで三部も、と欲張らないところが老舗のおおらかさで、ここは南北の通し狂言。そこそこの人気演目ではあるがそう始終はやらない。久しぶりの歌舞伎座。中身は戦後になって復活した世話物(郡司正勝補綴)で、新劇もたまにはやる武士残酷物語の殺人劇(数十年前になるが青年座が西田でやったのは成功した)に、いい女の芸者小万が絡む。コクーンでもやったから現代向けではあって、今回のようにコクーンにおなじみの役者が多いと、なんだかコクーン歌舞伎みたいだなぁ、と言う印象である。しかし、役者たちは今回はコクーン風を抑えて、懸命に大歌舞伎風に演じる。七之助、幸四郎(まだ染五郎と言いそうになるが)、獅童、中車、猿之助、と言うあたりがりが立派に歌舞伎座の大舞台が務まっていて、世代交代の時期を感じる。人気もある彼らが、客にこびた芝居をしていないのが爽やか、狂言上いかにも歌舞伎らしい古風な場面もあるがそこを脇役たちがこれまたうまく務めていて、なかなかの歌舞伎芝居である。しかしいまの客にとってはこの話は難しい。お家の忠義はいまの内閣もやっているじゃないか、と言うかもしれないが、三五朗の忠義と森友の忠義とは、やはり違うし、百両の裏金の受け渡しも政党交付金の不正とはわけが違う。うまく重ね合わせられない。そうすると、南北の裏返し、裏返しの忠臣蔵も四谷怪談も安心して楽しめない。エエッツ、そうだったの!が多すぎるのである。だが、こういうチョット馴染みの薄い演目を一つ納涼芝居に加えて、花形を抜け出そうとする俳優たちが取り組むのは大賛成である。だが。。。。
だが、一部二部にくらべれば客はかなり薄い。しかし、桟敷を見れば、昔懐かしい芝居好きが世代を引き継いで母娘で来ているのが解る。若者も少なくない。そう言う風景も楽しい夏芝居である。松竹頑張れ。

ミセスフィクションズ夏の振替上演・上映会
Mrs.fictions
駅前劇場(東京都)
2018/08/17 (金) ~ 2018/08/20 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/20 (月) 18:30
短編4作品とも、面白かった。
特に最初の演目の真嶋さんが良かったです。

スマートコミュニティアンドメンタルヘルスケア
ホエイ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/08/18 (土) ~ 2018/08/27 (月)公演終了

ミセスフィクションズ夏の振替上演・上映会
Mrs.fictions
駅前劇場(東京都)
2018/08/17 (金) ~ 2018/08/20 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/19 (日) 17:30
【長編上映】
6年ぶりの「花柄八景」懐しや。
久我さんの師匠っぷりと岡野さんの元噺家っぷり、それに今村さんのパンクロッカーっぷりが見事だし、劇中の新作落語もスゴいし、そもそも全体に漂う落語的雰囲気が秀逸。いつかまた生で観たい。それが叶わないならせめて創作落語「シド・アンド・ンンシー」全長版が聴きたい!

お茶と同情 Tea and Sympathy
劇団フライングステージ
OFF OFFシアター(東京都)
2018/08/08 (水) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
久々二度目のフライングステージ。公演を直前に知って運よく空き日に観劇できた。一回目は2016年「新・こころ」(初演2008)で、その頃よく名を目にしていた関根信一の正体は・・?と思っていたら氏主宰劇団の公演情報を知ったので新宿はspace梟門へ赴いた。実際はその一月前に舞台上で役者姿を目にしていたり、その後の演出作品・講師を務めたワークショップ等、等で正体不明でも何でもなくなったが、ただフライングステージという劇団の謎めきは未だ私の中にあって、また関根氏の演出にはスッキリと理に適った処理の跡が感じられ、気になる事の一つだった。
果たして舞台は二年前観たのと同じ独特な風合い(悪い意味でない)があった。「gayの視点」という事が大きいと思うのだがそのわけは、俳優が舞台上に立つ時(客演もいるし劇団員が必ずしもゲイとは限らないと思いつつも)「当事者性」が香り立つ(観る側の勝手な想像で)という効果が一つ。今一つは、これが重要に思われるが、ある事柄についての「共通了解」を持たない客を想定した提示の仕方(場面の切り取り方や言葉のチョイス)。gayという生き方に纏わる問題(差別・マイノリティといった)を学ぶ副読本かと思う程分かりやすく、前回観た「新・こころ」がやや婉曲表現であったというのもあるが今回はテーマを逸らさず直球であった。問題を立て、それを整理するような具合に、「物語」も一場面一場面が簡潔にまとめられて進む。「誤解」を生みやすい事柄を「説明」する順序の大事さ、周到さにおいて関根氏自身が手練れなのだろうけれど、無駄なく、キャラが明確、悶着あって鎮火、また何かあって落ち着く、という起伏を受け止める潤滑油に笑いがさり気なく、きっちりと仕込まれている。そうして物語はある逃れられない根本的な問題を浮かび上らせる。
普遍的テーマとして表現すればそれは「人に知られると不利益な真実」を抱えた個人と他者との関係のあり方。教育実習生として訪れた学校で主人公の青年は、全校集会での挨拶で「自分の事」を生徒に話しておきたいと希望したが教頭に反対され、他の教員が集まって討議したが結果的に彼は自らその希望を取り下げた、というのが冒頭。以降「彼ら」を見舞う困難によって最終的に、状況の側から「賭けに等しい選択」の道が主人公に用意され、彼はそれに応じるように、進み出る。
本作の解説にもあった米映画の王道と言えるドラマのモデル(感動しつつも日本ではああは行かないよな・・と嘆息が漏れるアレ)が思い起こされるが、言葉を選ぶように発する青年の台詞を、観客は一音も聞き逃すまいと注視していたと思う。・・二週間の実習を終えた月曜、全校集会で主人公は別れの挨拶をする事になっていたが、目の前にいる生徒の間から侮蔑語を投げつけられた事で、彼は逆に自分が本来そうしたいと願っていた言葉を言うのである。勇気を奮ってひと言目を声に出そうとする瞬間、葛藤や恐怖にふいに襲われ、一瞬だが言葉に詰まる。それまで表情に出さないタイプに見えた彼が初めて動揺を走らせる演技には「真に迫る」もの・・手垢のついた言葉だが・・があった。
人が持つ感情をさらりと見せるその瞬間は、それは演劇が普通に持つ力だが、この場合「露見」と言うに等しい。この舞台で持ったインパクトの背後事情は、こうだろう。・・「共通了解のない観客」を想定した、事実を淡々と描写して進行する劇とは、我々の現実>日常感覚から逸脱をしないという事である。「台詞によって説明された状況が役者の身体・顔で後追い的に説明される」と見える形式は、人物を作り上げる演技アプローチと異なり、淡々として見える代わりに、物語の饒舌な語り手となる。高校生同士のやり取りなど戯画化されているが、ボケと受けの掛合いで言うと戯画的形象(ボケ)は受ける側の真実を浮上させるコミット法、笑えるのはリアルが浮上するからだ。
たとえフィクションでもこの物語は恐らく「当事者」にとって日常の、現実の延長にある事を免れない性質の事柄だ。それゆえ殊更心理を説明しない情景描写(現実の光景を見る感覚を逸脱しない)にとどまる事が要求されるのではないか。
青年が一瞬見せた動揺(表現としての)は、テキストの指示に対する身体的「説明」ではあるが、抑制された物語叙述から「露見した」かに見えた(彼ら側からすれば「さらす」事となった)表情にはテキストが必ずしも要求していない(それが無くとも成立する)余剰が見え、それだけに際立った。観客は「事実」を受け取ったに近い出来事としてそれを見たと思う。
清々しく舞台が終わり、立ち並ぶ演者たちの表情には、観客である私達が感じているのと同じ地平にある風情があった。お金を取って舞台を努め「させて頂いた」と、恭しく礼をするのでも、お互いで濃密な劇場を作り上げた共闘者に向ける笑顔の挨拶でもない、素朴で愛着のある表情だった。

スマートコミュニティアンドメンタルヘルスケア
ホエイ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/08/18 (土) ~ 2018/08/27 (月)公演終了
満足度★★★★
滑稽にしてショッキング。これが集団ヒステリー状態なのかと。
まだ中学生ゆえに「やっぱり子供だなぁ」という発想でさえ、その微笑ましさは姿を変えて逆にちょっと怖い。
かなりの異常事態だと客観的に傍観できたとて、もし彼等と同年代にして本作と同じ状況と切り口で事が進むとなると、はたして自分はこの渦の中へのみ込まれずにいられるのか、ちょっと自信がないので余計に怖くなってきます。
本作を観ていると同調してしまうというわけではないのですが、「そういえば中学の頃、ノストラダムスの本を一気に読んで、その夜熱を出したなー」とか「あの頃、〇〇先生が偏見に満ちた発言を堂々としていたけど、今もいびつな光景として残っているんだよなー」といった、とりとめのない変な記憶がポロポロこぼれ出してくるから不思議です。
登場人物のほとんどを占める中学生役は、そこそこの大人の役者さんが演じますが、完全になりきった結果、ブラックな可笑し味が染み出し、作品の持ち味となって成立していました。
新任の女教師はとんでもキャラで、超胸糞悪いタイプにも関わらず、あまりに突き抜けているので思わず笑ってしまう事も。
何気に悪酔いしない様、配慮がなされていたのではないかと思えます。

【上演延期】【振替イベント詳細決定しました】月がとっても睨むから
Mrs.fictions
駅前劇場(東京都)
2018/08/17 (金) ~ 2018/08/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
上演延期は残念ですが、振替イベントのおかげで観たことがなかった作品を観られたり、以前観て好きだと思った作品をまた観ることができて良かったです。最初にミセスフィクションズを観たのが笑える話だったのでその印象が強く、今回のような作品を見せられると、ずるい、泣いちゃうじゃないかと思ったりします。

ロンギヌスの槍
風雷紡
d-倉庫(東京都)
2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★
高度経済成長期にものの本質を見極めていたのは誰なのか!
革命前夜といいながらその豊かさに目が向き、本気で行動に移さない大人たちへの警鐘に思えた。
やや中だるみの箇所はあったが臨場感があり興味深く観ることができた。
何かに憑りつかれたヒロインの眼が印象的であったが、一方で時々鼻にかかる声で台詞が聴こえづらいことが気になった。

バンブーオブビッグ
劇団マリーシア兄弟
Geki地下Liberty(東京都)
2018/08/16 (木) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★
あんまし夏な感じはしなかったけど・・
あぁ生きてるなぁって感じが強い
いつもの雰囲気が定番化してる舞台でした
キャラクターはしっかりしていて
安定なつくりながら
少々定型化してる感もあったかなぁーと
でも作りは丁寧で笑えるし
感動もあるので普通にお奨めできますね(^-^)

志村魂 「一姫二太郎三かぼちゃ」
明治座
明治座(東京都)
2018/08/17 (金) ~ 2018/08/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/08/19 (日)
志村けん一座 「志村魂13 一姫二太郎三かぼちゃ」を観に明治座へ。今年で13回目の公演。総合演出のラサール石井さんがコメントされているように、すっかり夏の風物詩になった印象があります。個人的には昨年に続いて通算5回目の観劇。
ダチョウ倶楽部さんによるオープニングから始まり、バカ殿、ひとみ婆さん、変なおじさん、志村老人、子供けんなど志村けんさんの名物キャラクターが登場するコント、さらに志村けんさんによる三味線の生演奏、1時間を超える長編の松竹新喜劇といった基本的な流れはこれまでの公演と同じで、演目自体も見たことがあるものが多い内容ではあったものの、何度見ても新鮮な笑いが生まれるのはやはり少しの間の変化やアドリブなど、志村さんを始めとする出演者さんの技量の高さだと感じます。テレビで見るのも良いですが、生の笑いを体感出来るのは舞台ならでは。会場に集まった小さな子供から年配の老夫婦、茶髪にピアスのイケイケのお兄ちゃんまでもが大笑いするような舞台はなかなかないと思います。どこまでが台本でどこまでがアドリブなのか。チケットが完売でなければ何度でも観たい公演です。これこそ究極の国民的エンターテイメント。志村ファミリーの方々と同じ会場で同じ時間を過ごせたことが幸せです。今後も長く続くことを願っています。

雪華、一片に舞う
Dangerous Box
上野ストアハウス(東京都)
2018/08/16 (木) ~ 2018/08/21 (火)公演終了
満足度★★★★★
木暮一片という探偵のシリーズ第三弾なんだそうだが、何せこの劇団の舞台は今日が初めてなので、旧作との関連性などは全く分からない。客席までフルに使って、とにかく登場人物たちが早口でまくし立てるのだが、セリフも聞き取れて且つうるさい。うるさいのに、うまく言えないんだけど、ただ騒がしくて何を言ってるのか分からない舞台とは明らかに違う。そして、何が起こっているのかも、観ている自分は多分理解できておらず(あらすじを説明できない)、ただただ圧倒されている。

蒼いラフレシアの鼓動〜The beat of blue Rafflesia〜
東京ジャンクZ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2018/08/15 (水) ~ 2018/08/26 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/18 (土) 18:00
3時間近い長尺(休憩10分込み)で内容的にはへヴィーなのに体感的には「やや長め(2時間余?)」程度という稀有な体験。
愉しいとかアクションてんこ盛りとかで体感時間が短いのはありがちだが、重めの内容で、というのがホントに不思議。
観ていて「共犯者意識」が生じたのか?

パイレーツ・オブ・トレビアン2
ノーコンタクツ
萬劇場(東京都)
2018/08/16 (木) ~ 2018/08/19 (日)公演終了

ロリコンのすべて
NICE STALKER
ザ・スズナリ(東京都)
2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了

ロンギヌスの槍
風雷紡
d-倉庫(東京都)
2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了

雪華、一片に舞う
Dangerous Box
上野ストアハウス(東京都)
2018/08/16 (木) ~ 2018/08/21 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/08/18 (土) 14:30
劇場に入ると、左右に分けて客席があり、その真ん中に舞台へと続く花道がある。舞台の真ん中には、白い箱を2つ並べた机のような物があり、その左右としょうめんに白い箱が椅子のように一脚ずつ置かれており、その後ろに背の高い脚立があり、人形が吊り下げられている。その横には、短い階段があり、それを登りきると椅子が二脚膝突き合わせるように斜めに置かれている。舞台装置はそれだけ。
その空間に描き出されるのは、先週のゆめまち劇場での『大脚色』から、繋がる名探偵小暮一片シリーズ第3弾、小暮一片の物語。
ここから、濃縮したあらすじをかくところなのだが、この舞台それがとても難しい。なぜと言うなら、この舞台、『考えるな、感じろ!』としか言えない舞台だからである。
ストーリーが有るようで無く、無いようで有る。無限に広がらない筈の狭い空間で、男は自分に対して自分の存在が自分の理想であるようにと強く願い、男が、いや男だけでなく誰か一人が言葉を紡ぎ始めるとそこは無限に広がる空間へと変わり、ならば無限に広がるのかと思えば、それぞれが抱える内なる精神世界にまるで反物質のように存在を打ち消す存在が生まれた時に起こりうる個と個、1と0が出現するが、それさえも虚なのか実なのか、ぐるぐると円が繋がり回り続けるように、目まぐるしく物語が生まれ、遺伝子の様に螺旋を描いて絡みつくように打ち消す物語が存在し始めると、そこは元いた狭い空間ではなく、そこには男が求める理想があった。
探偵と推理、刑事と犯人。 犯人は誰?犯人は存在するのか?言葉が交錯し、連帯する事で、共依存のような物語が紡ぎ出され、果てないとにも思える言葉の羅列が繰り返し行われる事で
一つの真実の物語が浮き彫りになってゆく、名探偵木暮一片シリーズ第3弾。
なぜ犯人は犯行を起こし、起こった犯行はどんな結末へと帰結して行くのか、虚ろで後ろ向きな思考が生み出す演劇のような短編オムニバス小説のような、上手く説明する言葉を持たない永遠に続く誰かの狂おしい夢の中に迷い込んだような世界を超高速度の言葉と思考と動きと感情の交感と交感で紡ぎ出す舞台。
何とか粗筋らしき物を書いてみるとこんな感じなのだが、これさえも何処まで捉え、受け取り切っているのか定かでない。
なので、此処からは観て感じたままを書いて行く。その為、矛盾や齟齬があるやもしれないがお許し頂きたい。
昨日から、つらつらとこの『雪華、一片に舞う』の事を考えていて、ふと、思いついたのは、3年前に初めて観たDangerous Boxの『姦~kashima~』の欠片が幾つか散りばめられているのでははないかという事。
『姦~kashima~』は、確か小暮一片シリーズ1作目だったと記憶している。
篠原志奈さんの森田は、『大脚色』にも出て来た森田と同じであるなら『大脚色』とは印象が違う、観ていて感じたのは3年前この劇場で観た『姦~kashima~』で、志奈さんが演じたカラクリ遊郭のからくり生き人形の欠片としてこの物語に存在しているのではないかということ。動きや台詞の発し方が、何処か『姦~kashima~』のからくり生き人形を彷彿とさせた。『大脚色』の森田が、『大脚色』という物語を書き物語を操っている様に見えて、それさえも神の大いなる手に動かされているのかも知れないとしたならば、この物語での森田もまた、話を導いて行く語り手であり、からくり生き人形を身を滅ぼす程に狂おしく愛してしまった一人の男(林 里容さんが演じた役)を結果として破滅に向かわせた存在とするなら、この物語でももしかしたら…と思ってしまった。
そこから連なる林 里容さんの入山三郎は、『大脚色』では、もう1人の小暮一片、小暮一片と鏡合わせのような存在だったのではと思ったのは変わらず思いながら、先程上げた『姦~kashima~』のからくり生き人形を破滅的に愛してしまった男の欠片としてもこの物語に散りばめられているのではないかと思った。そして、そのイメージは、 『 綾艶華楼奇譚 晩餐狂想燭祭』の八文字と重なるのではないかと不意に思った。八文字が篠原志奈さん演じる一華、零華にあれ程までに執着して追い求めるのは、『姦~kashima~』のこの男の記憶が引き継がれているのだとしたら…とするなら、『 綾艶華楼奇譚 晩餐狂想燭祭』の欠片も忍び込ませているのだとしたら…。
この舞台のタイトルの雪華は、一華、零華を準え繋がり指し示しているとしたら、雪華という花魁に繋がりいつか登場するのではないかというのはあまりにも考えすぎだとは思うが、ふと感じてしまった。
『雪華』とは、雪の結晶、雪の降るのを花に例えた言葉であり、冬の季語でもある。
この『雪華、一片に舞う』は、私が観た限りの小暮一片シリーズの名探偵小暮一片が、『姦~kashima~』『大脚色』と関わって来た事件の全ての欠片と小暮一片という一人の探偵であり男のこれまでの人生の欠片が、小暮一片の上に雪の華のようにヒラヒラと舞い落ちてくる物語という事であり、全ては小暮一片の仲に無限に或いは有限に広がる世界を描いたものなのかと感じた。
『姦~kashima~』の冨永裕司さん、ゆめまち劇場での『大脚色』のREONさん、そしてこの『雪華、一片に舞う』の滝沢信さんの小暮一片は、印象が移ろい変わり、更新されて行く。
千穐楽前なので、結末は言えないが、行き着く末、行く末、あの膝の上の人形の意味は私の感じた通りだとすると、胸が軋む。
滝沢 信さんの小暮一片は、厨二病だなんだと言われる小暮一片という一人の男、内に抱え、巣食った孤独と愛される事への渇望と、その愛される事への渇望は、人に必要とされたいという切望のように感じて、遣る瀬無い切なさに胸が軋んだ。
と何とかここまで書いたが、この舞台、目が幾つあっても追いつかない。全方向に役者さんたちがいて、言葉と動きと照明が超高速度で交換、交錯し、更に感情と思考が目まぐるしく交感し合い、干渉し、関わり繋がり、崩壊し、消えてゆき、現れる。
観終わった後は、何だか分からないけれど、物凄いものを観てしまったという放心状態の感覚と、細胞や脳内、軆内と感情が翻弄され、滾り、何かが駆け巡り、揺さぶられる。
所々に白薔薇が置かれている席があり、そこに入れ替わり立ち替わり、役者さんたちがすわり芝居が紡がれるという、中々に嬉しくもあり、ドキドキする仕掛けもある。
私の隣の席には、JEYさんが座られて芝居が進行して行くことが多く、JEYさんカッコイイなと思いつつ、ドキドキしながら舞台を観ていた。
そんな緊迫感のある中で、宮岡志衣さんの添島猿彦が、出てくるとふと和んだのは、『大脚色』の千穐楽のラストを観た人は、添島が持っていたフランスパンの意味が分かると思うので、ちょっと楽しめるかも知れない。添島が鞄に付けている猿のぬいぐるみが困ったような、何とも言えない愛らしい顔をしているのに、途中からちょっとパンクっぽく変わっていたり、フランスパンが出てくる度に短くなっていて、その意味って、ああいう事なのかなと思ったりして面白かった。
兎にも角にも、五感と持てる感覚全てを総動員して、フル稼働させて観た、物凄い舞台であり、面白い舞台だった。
文:麻美 雪

浅草アリス IN WONDERLAND
劇団ドガドガプラス
浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)
2018/08/18 (土) ~ 2018/08/27 (月)公演終了
満足度★★★★★
初日に行きました。半年に一度のDogaDogaを待ちきれぬファンが押しかけ、なんと満席。 4度目の再演ですが、初登場となる国王、女王様は貫禄の演技で安心感。劇団員の丸山くん、明日香が要所を締め、芸達者だったりセクシーだったりの客演さんがカオスなDogaワールドを彩ってくれる。 ダンスもキレッキレ。 期待通りのクオリティだ。
初めてDogaを観る方が驚くのが飲食OKという浅草っぽい計らい。 ビール片手に2時間20分(途中休憩あり)楽しめるとはありがたや。
浅草アリスは勿論ディズニーの「不思議な国のアリス」がモチーフだ。 白雪姫もシンデレラも出てくる。 しかしDogaの手にかかるとこれは物凄い味付けとなる。 早くまた見に行きたい。そんな作品でした。

【上演延期】【振替イベント詳細決定しました】月がとっても睨むから
Mrs.fictions
駅前劇場(東京都)
2018/08/17 (金) ~ 2018/08/20 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/17 (金) 19:30
突然の上演中止だが、こういった形で振替上映/上演するというスタンスは見事である。中編『花柄八景』は初演も見たが、上映されてみると懐かしい。出演者が語る落語(特に「シド&ナンシー」)が最後まで聞きたくなった、という記憶が蘇る。短篇4本も、どれも初演を見ているのだが、短い時間でも巧妙に伏線を張って回収する脚本の巧さは感じられる。時間がない中、リーディングとなったのは残念に思える作品もある。そして、何より、本公演をやってやる、という気概を感じさせてくれたのは嬉しい。絶対観に行く。

ロリコンのすべて
NICE STALKER
ザ・スズナリ(東京都)
2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/17 (金) 14:00
2015年に初演された作品の再演で、初演も観ている。面白いが、初演のタイミングがフィットしていないのは勿体ない。初演は、児童ポルノ法が試行された直後の上演で、ロリコンというと、どうしても奇異な目で見てしまいがちな我々に、内心に踏み込むことの難しさを提案する印象があったように記憶する。それでも、今回も面白く、役者陣の力量と「見掛け」が興味深い芝居を作り上げていたと思う。