岸本愉香 朗読劇『A Christmas Carol』
お茶祭り企画
Library Think(大阪府)
2018/12/22 (土) ~ 2018/12/22 (土)公演終了
満足度★★★★
重い鎖を巻き付けた7年前に死んだ友人 の姿。 3人の妖精が明日 2日目 3日目 鐘がなってその後に現れる。
全てを剥がされ死んでいるのは、今の男の姿。男は変わる 別れた彼女の言葉 大切な事、悲しい事が解ったから 。クリスマス 子供の多い回に観れて良かった。
ネタバレBOX
3人の妖精が明日 2日目 3日目 鐘がなってその後に現れる・・・
重い鎖を巻き付けた7年前に死んだ友人
恋人との別れ 金が全て 世間を気にして、貴方は変わった。 使用人のクリスマス貧しいが想い合う家族 男が目にした幸せ 。 小さな足の悪い子供の死男が感じた悲しみ。 ベットに全て剥ぎ取られ寝かされた男 顔の布を取れない 妖精が指さす墓石の名前と男。男が感じた恐怖 未来に小さな子供が生きる事を望む 男は変わった 世間は、笑う 男は動じない 世間を気にしないのは、大切な事、悲しい事が解ったから 別れた彼女の言葉 全てを剥がされ死んでいるのは、今の男の姿 クリスマス 子供の多い回に観れて良かった。
笑ってよゲロ子ちゃん-殉情編
NPO法人C,A,ワークス
ナンジャーレ(愛知県)
2018/09/13 (木) ~ 2018/09/16 (日)公演終了
満足度★★★★
ロ組(野村有志×真臼ねづみ)で拝見。
うだつは上がらないけど(だからこそ?)…志は一際高いラジオ番組のディレクター 井口時次郎が、棚ボタの人気に溺れて堕ちていく私欲の闇。理想の精神論を熱く語る姿、成果が伴わない現実に対する激しい落胆、転がり込んだ成功に酩酊し、それに目がくらんで…かけがえのない唯一の支えを生贄にし、挙句の果てに自業自得の己が罪への疑心暗鬼に怯える。人間の様々な弱さを…みっともなさも含めて、ここまで熱く、生々しく演じた野村さんの「熱量」は圧巻の一語に尽きる。
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ネタバレBOX
【続き】
ぶっちゃけ、ナンジャーレの激しい蒸し暑さを「演出効果」と錯覚するほどに大きな相乗効果を生み出して、演る方も観る方も堪らんけど(笑)、噴き出す汗が時次郎から伝わってくるものにも感じられるほどの一体空間でした。野村さんが自らの顔をパーンと叩いた時に逆光化下で大きく飛散した「汗の飛沫の輝き」も… 目に焼きつく光景だったなぁ。
たま子/ゲロ子があまりにも従順で 抵抗がほぼ皆無なので、相対的に「時次郎が狂気にシフトする実感」はやや薄めにも思えたところもあったけど、結局、それがホラーとオチの両方の裏付けとなっていくのか。
音響でのホラーの盛り上げは十二分、真臼さんの作った声質もゲロ子のホラー感にぴったりで、想いが募って「物の怪」と化す…まさしく怪談の予感を最後の最後まで引っ張り続けた… でも…いや、だからこそ、ホラー演出の裏で純愛を貫き通したゲロ子の想いが沁みて沁みて…仕込み花束のインパクトは素敵でした。それが鮮烈である程に…時次郎の後悔の深みも一際…思えば、序盤からの 普段の声(過去)とモノローグ(現在)での野村さんの声質/口調の落差は、ホラーとしての盛り上げ以上に、時次郎の落胆の度合いを表現しているモノにも見えて、いずれ時次郎も…失意の果てに…物の怪になっていくのだろうか…と感じさせつつ… 最後のON AIRは 自らの語録とゲロ子の想いが時次郎を奮い立たせた…と素直にみるべきなのだろうなぁ。
取り憑かれて…新たな「都市伝説」が生まれた…とみるのも業が深くて良いのだが笑。
なお、ハガキによる悪意の肥大化は… むしろ現代のSNSの荒れぶりを如実に表現した風刺にも見えた。今の世の中、人一人の罪よりも匿名の悪意の増幅装置たるSNSの方がよほど手に負えない感あり。
沙翁十四行詩集 故郷へ帰りたい
Contondo
G/Pit(愛知県)
2018/09/14 (金) ~ 2018/09/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
公演形式としては、この週で最も異色、「展覧会形式」を標榜します。演劇のカテゴリーを飛び出した本公演は、出入り自由、どこから観てもOK、会場内の徘徊も自由、撮影自由、SNSへの投稿自由…というと、愛知トリエンナーレ感覚だよね。インスタレーション展示の様でもあり、映像作品を流し続けるのを「生」でやっている感じでもある。演劇クラスタ以外も呼び込める魅力があるよなぁ。自分が美術鑑賞クラスタから流れてきた人間だから、このハイブリッド感はとても心地よい。
概要として、モチーフにシェークスピアのソネット(十四行詩)を持ってきて、詩の1行1行が「ごく短時間の芝居」に相当する全体構造をしている。全体で一つの詩とまで感じ取れるかどうかは観客の歓声と解釈次第だろう。ぶどうさんなら、そういう仕込みがあってもおかしくはないけど。(私にはソネット自体を味わえる教養が無いので比較してどうかは語る術がない。)
深く考えずに感性で観ることもお勧めされているけど、じっくり腰を据えて、何度も眺めて思索に耽るのも楽しいよ。
さて、中身はソネット73番をベースに「老い」をメインテーマに持ってきているとのことだが… 何となく、「まだそれなりに若さの残る年代…だけれど子供ではない…」というお年頃の視点から、まだ幼き老いに思いを馳せる感じが窺える。主客層であろう若者には ちょうど等身大だな… そんな感じがする。ただ、そんな個人の印象を超えたところにこそ 本作品の趣きがあって、まるでエチュードの様に役者が世界を拡げていく感じだ。多分…いや絶対…観客の心に浮かぶ世界は、また更に拡がりをみせているはずで、楽しみは本当に多様だ。
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ネタバレBOX
【続き】 スケッチ毎の感想
「大きな散歩」
会場で開演を待っていると…最初に現れるのが彼女…別のお客と見紛うこの空気(笑)
大きなリュックをヨイショと背負ったアラサー女子が…その半生に想いを馳せるお散歩。くよくよ考えるお年頃だけど…自由人らしい悟りと確信の言葉がとっても良いのよ。
「Take Me Home」
リュックから溢れ出る彼女の半生。この時点で、この大荷物は彼女がこれまで積み重ねてきたモノの隠喩なのかも…と思い返した。次々と現れる愛おしい半生のパーツ達… ここら辺りから、グッとこの作品の空気に取り込まれる。この子の性分に何か共感(笑
「ライン・ダンス」
題の意味は…観始めれば…ほどなく理解できる。役者達がとても愛らしく感じられる逸品。公演の中では最も異質かもしれないが、この作品群の制作過程を一番想像させるものにもなっている。これはね、何度も観るといいよ。私はここは3回観れた。幸せ。
「街」
不意に…リュックの彼女の半生が…再構成されていく。最初は何が始まっているのか分からないが…これこそまずは感性で味わうべきもの。勿論、誰しもが気づくポイントはあるが、これが何から生まれたかを考えると意味深だ。半生から…悠久の時間へ移ろっていく。
「宇宙少女、わたしと出逢う」
ここから一転。おっとビックリの宇宙少女降臨… なのかは分からないが、他には考えられないだろう(笑)
舞台を漂いながら…その手に携える「時の流れ」の意味するものは。正直…ディテールはよく見えない。だからこそ、妄想がモノを言う。
「宇宙少女、中也を詠う」
これがまたシュールな世界に突入。中原中也の『星とピエロ』を宇宙少女がロックに詠唱…不思議な組み合わせなのに、「宇宙少女の存在」と「つぶやく言葉」が絶妙に相性良いんだコレが。霊媒感もあるね。この異世界感はぜひ生で体験しとくれ。
「宇宙少女、銀河を育てる」
これは公式アカウントで動画が上がっているけど、4人の男女が作り上げる「多重多層の囁き空間」は その中に入って体験してこそだ。自ら会場を漂いつつ…4人の囁きに耳をそばだてる。自らが異空間に紛れ込んだ感覚は 体験型アート空間。
「宇宙少女時間旅行」
その佇まいは…まるで「籠の中のインコ」のよう。ピンキーな2人…同じピンクでも印象は対照的な2人は、この籠の中で何を見る。何を思う。ブラックボックスの中で極めて映えたこの空間は…大阪ではどんな空気になるのだろうか。
「風船を配る男」
とっちらかしたものは片づけねばならぬ。暗転も幕間もないこの公演における…実は非常に興味深いプロセスでした。作業をしているだけのように見えながら楽しげ。回収と配布。けっして配ってはくれぬ風船。相反する事物を重ね合わせてどこへ行くのか。
「ある雨の日の情景」
これだけ、やけに現実的で生活感のある世界が流れていく。エッセイ的。26歳と15歳の間を隔てるもの…それは時間だけではなさそうだ。想い出の祖母の言葉にひどく含蓄が感じられ…リフレイン…でも…それは年を経ないと受け取れぬモノなのかも。
「珈琲の美味しい淹れ方に関する考察」
珈琲の話をしているようでいて、そうでもない気もする。「珈琲」を何になぞらえるかで、このスケッチの先に見通せるものが形を変えそうだ。2人の意識の差が…この先の道程を感じさせる。
「<老い> ソネット73番を踊る」
舞いの中に…時折り姿を現す「言葉」は…原詩に基づくものの様だ。キーワード"だけ"を連ね、その間を観客の想像に委ねて生み出される世界は、観客の数だけ様々な姿を見せるものなのだと思わせる。ぼやぁっとトランス状態で眺めるのが吉。
…以上、12のスケッチ。
これは1サイクル(90分)観るので止めてしまうと本当に勿体ない。2回目からが本番だ…1dayチケットが標準なのは伊達ではないと思う…徐々に見えてくる…頭に思い浮かぶものがあるのだ。なお、この12スケッチに「灯入れ」と「灯消し」を加えて14行詩としている様だ。
スケッチ毎の音楽付き図鑑が気が利いている。音楽はさすがの いちろーさん。もやもやと想いを湧かせ、異空間の空気を味あわせてくれた。
カットは…売り物にできるレベルの絵で紡がれる「絵コンテ」が有名な 主宰 紺野ぶどうさんのものでした。
さらばコスモス
世界劇団
津あけぼの座(三重県)
2018/09/15 (土) ~ 2018/09/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
凄い!興奮冷めやらぬ世界初演でした。何てジャンルと語れば良いのか分からぬ時空を超えた世界の融合ぶり。ミステリーの様であり、観念世界の様であり、社会を憂う様でもあり、様々に意味深な妄想と現実。こふく劇場でのトークから後引いたのも嬉しいオマケ。
役者の身体表現も異国文化の趣きで新鮮、放つ圧力と目力にもドキドキだ。音楽、照明、衣裳、小道具…演出効果の構成要素全てに隅々まで凝っていて、良い意味で古さと新しさ、和と洋のハイブリッド感も。初の長編新作なのに2018年上演台本と謳う辺り、ツアーの先も見据えてるよ これは。
ただいま
劇団こふく劇場
三重県文化会館(三重県)
2018/09/15 (土) ~ 2018/09/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
再演。あぁ やっぱええ。当たり前の世界の中に掛け替えのない大事なモノがある。役者は勿論、特にト書きのナレーション… 更に舞台上にある全てが…舞台装置までが、音楽を奏でる様に佇んで優しい世界を形作る。その裏には想像以上に緻密な創作の場があった模様。観れば観るほど味が増す世界に 目を凝らし 耳を澄まし 再び浸れて充実した時間でした。
役者の変化も味わえた。前回やんちゃな笑顔が魅力だった大迫紗佑理さんに、しっとり大人の女性の色が上積みされて、あぁ3年経ったんだなぁ…と時の流れを実感。これも再演の味。
『恭しき娼婦』
「出口なし」プロジェクト
スペース コラリオン(旧カフェスロー大阪)(大阪府)
2018/12/15 (土) ~ 2018/12/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
娼婦リッジは、新しい土地で金持の紳士との出会いに期待、事件の証言に巻き込まれて行く、リッジは家族の愛を知らない 白人の老女家族愛に惑わされ、男フレッドは娼婦に嵌まる 黒んぼは逃げ この町で、始めの思い通り金持の男フレッドに囲われる 思い通りに成ったが。 正直に生きたい、事件に巻き込まれたくないリッジの心、娼婦としての生き方 、真実を瞬間 貫けなかった優しさに付け込み、強引に証言書にサインをさせられる。差別 真実 詭弁 説得 権力 恭しき娼婦と取り巻くこの町全てが、差別 真実 詭弁 説得 今の社会と同じに見えた。心に残る作品
ネタバレBOX
90分 女 赤い下着 艶かしく 手袋を脱ぐ 男が手をとりソファーで。 // ブー 黒人男性が訪れる どうぞね どうぞね ・・・。何が欲しいの 何もしていないと言って どうぞね。 この町から出ていけば。見張っている 白人 黒んぼが死にかけている 約束する。匿ってよ いけないかね。(ドアを閉める)冗談じゃないわよ 罪の匂いがする。//指輪見せてよ お金持ち(男が誘う) 突き放す 抱きしめる 突き放す 名前 言わないわよ 油絵を飾りたい 一枚もっている 割れた鉢 と言う絵。黒んぼを見ると縁起が悪い ね 抱いて頂戴よ キスしたくないの。キス 突き放す 満足した 小さな声で好きだと 覚えて無いの 赤ちゃんごっこ。昼に話す事じゃ無い 男を騙すのがいいのだろ 幾ら欲しいんだ。私を幾らと 40 20 50 100 10ドル誰だって突き返すわよ あんたの母は・・・ ブタ箱に入れるぞ 俺はクラークの息子だ。あんた遊ぶのが嫌いだったら何故私の所へ。北部から ニューヨークから来たのか 黒んぼが強姦しようとしたのはお前だろ 黒んぼが二人 お前を襲おうとした 白人が1人を撃ち殺した 検事が来たら 同じ人種に罰は与えられない 黒んぼを何故庇う インバイ トーマスは俺の従兄だ 殺したやつだ 幾ら欲しいんだ。要らないよ。500でどうた。どうして私と寝たんだ ちくしょう。泣くな500ドルだ。嘘の証言なんかしたくないわよ ブーブー ドンドン 警察だ 居るのかブレッド。居るよ。始めからそのつもりだったのね。売春防止法 座れ 証明しろ // 可哀想になメアリーは 今度の事で死にかけている。私には家族が無い 養女に さようなら 明日は判事には本当の事を 黒んぼに手込めにされた方が 第1の真実 違った意見を持っている リッジ 二人の内どちらを選ぶ 立派な方を 国民の名において 言っている 私は息子を愛している トーマスは黒んぼを殺した 200人を雇っている 生き残る義務がある お前には生き残らせる義務がある。こんがらがってしまったわ。私のぺん。ね あの方は、喜んでくれる?黒んぼはどうなる 手をだしなさい ペンを握らせて書名させる。これでいい この町 アメリカ国民に換わって 礼を言う さようならリッジ。この紙 嫌です 残った20ドル アメリカ国民 その人達に騙されたような気がするわ。// 二人からのお礼を持ってきました。私の事。感謝されて降ります (悲鳴) 今のは何。何でもない。あの黒んぼは ね あれは何。お手紙 100ドル シナ人に似てると思ってきた ソファーに倒され。また来よう (泣く女 町の騒音)。匿ってよ あれ聞こえるか 狩が始まったでな。あたしが言いふらした。何だってそんな事 ね、私の事絞め殺したくない。いや。人がいいのね あんたは、明日の朝まで匿ってあげる お入りなさい 嘘の証言をさせられたと言ってやるんだ 信じられないよ、撃ち殺すのよ 私の命も だから 多ぜいの道ずれに お取りよ(銃)。殺せないよ 白人だでな どうして自分で撃たんかね 私が手込めにされた女。その女 ここに居ないでね。町全体 何を思ってるんだろ。白人だでな。黒んぼが殺された あの女が欲しい 殺すためか 抱くためか。俺に何をした お前の顔 匂い 俺に抱かれて良かったと言った。誰だ出てこい。撃たないで その人に罪はないわ (パンパン)。我々がこの国を作ったんだ さあ射て 俺は生きる権利がある 黒んぼは射ち損なっちまった 足の早い奴だ 火 木 ウイークエンド 俺が喜ばした。本当よ。俺の名はフレッドって言うんだ これで元に戻ったな。
娼婦リッジは、新しい土地で金持の紳士との出会いに期待、事件の証言に巻き込まれて行く、リッジは家族の愛を知らない 白人の老女家族愛に惑わされ、男フレッドは娼婦に嵌まる 黒んぼは逃げ この町で、始めの思い通り金持の男フレッドに囲われる 思い通りに成ったが。 正直に生きたい、事件に巻き込まれたくないリッジの心、娼婦としての生き方 、真実を瞬間 貫けなかった優しさに付け込み、強引に証言書にサインをさせられる。差別 真実 詭弁 説得 権力 恭しき娼婦と取り巻くこの町全てが、差別 真実 詭弁 説得 今の社会と同じに見えた。心に残る作品
「そっちは苦い川だから」×「ボツ!東京くらげ男」
札幌ハムプロジェクト
スタジオ・座・ウィークエンド(愛知県)
2018/09/13 (木) ~ 2018/09/13 (木)公演終了
満足度★★★★
「そっちは苦い川だから」妄想の発露、しかもその扱い方が面白い。じわじわくるタイプの笑い。端々に登場するフェニキア人がやけに意味深で、様々な視点での格差と生き辛さを感じさせながら、…フワァっと持ち上げ… でも叩き落とす辛辣さも。
「ボツ! 東京くらげ男」男の口調が非常に面白く、自分の言葉を反芻しながら語る姿勢に、その半生が色濃く映る。怒濤の創作展開の勢いや良し。終盤の女の顛末と語りもグッときた。気に入って台本を買ったら、手書きのアイデアノートみたいな作り、イラストカット入りにビックリ。
ミラクルノート
劇団シアター・ウィークエンド
スタジオ・座・ウィークエンド(愛知県)
2018/09/07 (金) ~ 2018/09/09 (日)公演終了
満足度★★★★
冒頭の伏線、半ばいきなりのネタバレとも思える演出… ただし効果音と異質な女優の笑みにサスペンス脳を働かせてしまって、中盤まで私の頭の中が疑惑で面白いことになってました(汗)
そんな私の勝手な混乱を他所に、本筋はストレートな展開。
終盤の泣かせは率直に沁みた。やられたなぁ。
できる営業マン・橋本役の豊島輝真さんは「風に揺れて」に続けて好みの芝居を見せてくれたので、今後も注目したいです。
第7回名古屋学生演劇祭
第7回名古屋学生演劇祭
ナンジャーレ(愛知県)
2018/08/31 (金) ~ 2018/09/04 (火)公演終了
満足度★★★★
[A予選]
バッカスの水族館、ヤバいぜこの洗脳感。過程を深く味あわせるに留まらぬドンデン返し、深い、怖い.
女塾、危険なヤツがいた…目が離せない笑笑.
在り処、女優達の変幻自在さと構成、織り成す心理が醸し出す少女のリアル.
イマココデ、社会の優しさの真の意味を問う.
[B予選]
劇団いかづち、意外なキャスティングが終始効果的.
劇団かのこ、貫く永遠の高校生集団. 個性で魅せたラブコメ風味.
でんでら、ライトだが安部公房ばりのダークでシニカルな風味. ファンタジックなツッコミや良し.
公募枠、新宮さん風味で異色の攻防に展開マジすか🐜
[C予選]
被らない独創性、いいぞぅ。
魚眼ベニショウガ、光起さんの溢れる暑苦しさがこの会場に一際マッチ。
劇団ひととせ東海支部、何たる詩情感、細やかな描写、見た目と味わいは抜群。
fooork、モチーフの使い方、とても好き。狂騒さと内面が上手く溶けて好み。
[D予選]
随想あけぼの、古典を見事にアレンジ、流石のまほろマインド、コロスや美術に唸る.
モルモット、重なり合う構成が好き。青春群像感、想いがしっとり.
超熟アトミックス、真っ直ぐさと演劇祭にぶつける皮肉感.
シラカン、脳内に拡がるモチーフの嵐。こういうの好き.
水素74%「ロマン」
三重県文化会館
三重県文化会館(三重県)
2018/08/25 (土) ~ 2018/08/26 (日)公演終了
満足度★★★★
徹底的な自己肯定感の喪失… 生きる術を探して迷走する人々とそれを食い物にする輩。全編に漂う徹底的な薄気味悪さが良い(不思議な日本語)。
客観的に不気味な選択なのに…2人はもうそれでいいじゃん…と素直に思える後味が新鮮だ。
小道具含めた美術の主張がオツです。
中原中也まつり2018
G/PIT
G/Pit(愛知県)
2018/08/11 (土) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
難しい話になるかなぁと思いましたが、朗読劇の方は意外に予備知識なくとも楽しめる味わいになっていて良かった。
さて、前口上の方は さすがに予備知識ゼロでは容易に頭の中には入らず、そもそも「ダダ」自体の具象が分からない(;^_^A
後で調べても抽象的な概説が多くて分かり難いが、1つ『人類史上はじめて遭遇した世界戦争を受けて、その原因の本質が己が社会の文化的な価値観や既成概念にあると考え、その諸悪の根源たるものを、あらゆる表現手段を使って否定し破壊しようとした。』という趣旨の説明が一番腑に落ちた。
webで中原中也の詩自体も眺めてみたけど、およそ表層的な理解に留まるのが関の山と思えたので、雰囲気だけに触れて、朗読劇の感想に移ることにする(;^_^A
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ネタバレBOX
【続き】
私の感覚だと、この朗読劇は漫画で言うところの同人誌・二次創作のノリに思えた。
今となってはお堅い印象も受けるこういう文学・歴史の世界にも、作家や作品に対する敬愛の表現の1つとして、こういう世界があるのだと思うと微笑ましい。舞台演劇陣が良い仲介になっているのだと思えた。
ひょんなことから中原中也に萌え萌えしてしまったレーニンが「尋問」を建て前に中也を呼び出して語り合う…という筋書きだが、あおきり花村広大さん演ずるレーニンが非常に愛らしい。官僚2人に制されながらも、めげずにファン心理を露にするレーニン。理論派さながらに理屈を捏ねまわしながら、中也に会えるロジックを紡ぎ出し…ご満悦の微笑みが輝く。
普段、カッコ良い佇まいながら…それを笑いに変える空気も持つ役者さんですが、今回の振る舞いは新たに「可愛い」と表現するのがピッタリでした。
対する山川さん演じる中原中也。ここに女優を充てた演出のセンスが光ります。
これまた、普段は 人を世話する甲斐甲斐しさを感じさせる役どころが多く… 秘めた愛情を滲ませる女優さんですが、…今回は鉄面皮。
毅然とした格好良さが際立って、でもご本人曰く常にぷんぷんしている役という表現で、何か唐突にSDキャラ(愛らしい二頭身キャラ)に脳内変換されました。最後にレーニンに一礼するところは、素直に「敬意」ととっても良いですが、…「あっ、堕ちた」と邪まな妄想もしてしまいました笑。
官僚2人も良いテンポを作り出す。
斜田さんは田舎者ぶりながら狡猾なところが良い味になっていて、特に私は「ぼたもち」をごまかす理屈のくだりがとても好き。
青木さんは、素がルーズでしょうもない笑いを突き詰める雰囲気あるのに、こういう芝居だと堅い役が回ってくるんだよね~ というギャップを面白く感じていました。
30分の短い朗読劇でしたが、手練れの出演で中身の濃い芝居でしたね。色んな意味で美味しかった。
美術がうみだす舞台
とよた演劇祭
豊田市民文化会館(愛知県)
2018/08/11 (土) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
初めて観る とよた演劇祭。共通の舞台美術イメージからの着想で各々作品を作っていくという異色企画でしたが、その上… 演劇祭なのにダンスパフォーマンスを招請して更に幅を拡げているのが素晴らしいです。
ネタバレBOXに作品毎の感想を。
ネタバレBOX
①青血図(新人枠:team 10+)
お遊び的要素がやや散漫な感じがしましたが、むっちゃ楽しそうなのは伝わってくる。以前から続けているコンセプトらしく、ずっと観れてればノレたんかな。舞台を船と見立てオールを使ったパフォーマンスは印象的で、これが船の揺動を錯覚させるまでいけたら凄い。
②ダンスパフォーマンス「 」(招請枠:afterimage 他)
序盤の流れがホント好き。一人ずつ、その人の家の間取りをなぞるように生活を追っていき、輪唱しながら増えていく感覚。徐々に拡がりをみせ、重なり、不意にシンクロする時の高揚感。個人から活きた集団に傍聴する感覚が素敵でした。全てが組まれた完成形からバラして作られているのかと思いきや、ホントに個人の生活を重ね合わせて作られているらしく、配られたバラバラの間取り図は そういうことだったのかぁと驚いた。
中盤以降の身体表現の数々は盛り上がりを見せ、エネルギッシュ。
終盤、ごみ箱さんによる怒涛のノンストップ・リフトは見応えありました。100本ノック感。
そういえば、あらゆるものを皆が打楽器にしだし、民族音楽的なノリが面白かったのですが、目の前でごみ箱さんが勢い余ってお盆を粉砕してしまったのは衝撃でした(笑)
一部バックで流れる演説は何か政治的な主張?と思っていたら、会場が国際会議場である故の演出とのことで、舞台美術のみならず、会場全体を消化しようという貪欲さを感じる。
最後に天井から垂れる長布をパフォーマー全員で繋いでいくアクトは印象的でした。
③象牙の船に銀の櫂(公募枠:古場ペンチ演出)
不条理感とコミカルさを重ねる看護師パートの面白い導入部。まるで「世にも奇妙な…」的に、元々が意味深な童謡を背景にして、徐々に…主人公が自分の罪悪感を掘り起こす…ここはそういう不思議な空間なのか…との感覚に陥る味わいやよし。
最終的に、医療事故の責任問題、病院での処世術がうっすら見えてきて、リアルな話に整理されていくのですが、後半… 医師パートから、私には若干の違和感が。
前半が自己との戦いであったのに対し、後半で他者1人の責任問題を問うていく様な空気になっちゃって、勧善懲悪的な味わいに映ってしまったのはやや残念。
1人を責めて済むのではない、組織的…あるいはやむを得ない過失の集積みたいな背景の方が、人間の悩みとして深くなりそうな気がして、その方が題材に対しては相性が良い気がしました。
白い鯨
劇団夜光鯨
OVAL THEATER & GALLERY (旧・ロクソドンタブラック)(大阪府)
2018/12/15 (土) ~ 2018/12/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
人に影響を与える 優越感 ゲーム 何もなく刺激をゲームに求める 空想が現実にミッションは過激に、踏切で向かい合う見知らぬ二人 自殺のミッション 追い詰めて 辞める事が人間まで否定 こうして巻き込まれ変わって行くんだろう 人間の弱さと狂気 恐怖まで感じる。
ネタバレBOX
面接 75分
ユーチューバー 就職する気はなかった W2コーポレーション 当社のプロポーションビデオ この宇宙には地平線は無い SNS白い鯨 貴方は鯨に成る事を誓いますか だだゲームがしたいだけ 読まない ユーチューバ あすあす 見て良い 49日前 今日の課題は スケジュールここ W2 鯨の絵を描く 鯨 ナイフでなぞる ミッション大切 スクワット10回 顔の鯨切ってみよう やらない 貴方は ちょっと時間もらって 19日前 いくら 無償 Lv29 体に何か残せば何か残る 猫を殺す 今のままで良いの 辞めます // やらなくていい 君に言う権利は無い。ミッション変えよう 君は彼を切る ゲームだからね 自分の切ります いいよ どちらか一つで 選ぶんだよ 僕は切られたくない ミッション達成 ちゃんと見てて // 憎い 手をかざす 49日前 ホワイトホエール 鯨の絵を描く 秘密を一つ言って下さい ゴーストライター // 次のミッション こいつの鯨を切る // あすかさんを移籍 // 内定貰えますか 痛みの積み上げで幸せに 痛みを多くの人に経験して 次の面接で 会わせろつってんだろ 病院行こ 触んな 明日 線路に飛び込むミッション 殺させて 私 鯨に成る データで世界を変える事 何処にも居場所がないんだよ 一番に成りたい 救急車 // 捕まるなよ 鯨は、集団自殺 白い鯨 皆が幸せに成れるゲーム 私憧れてたんですよね 人に影響を与える仕事 君帰っていいよ 私決まったんだ出版社 俺はだめだった 別れようか 俺は自分の事で精一杯だわ 人に影響を与える 鯨切る 足の爪 貴方は鯨に成る事を誓いますか // 彼氏に振られた 遠くに行きたいな 遠くに
人に影響を与える 優越感 ゲーム 何もなく刺激をゲームに求める 空想が現実にミッションは過激に、踏切で向かい合う見知らぬ二人 自殺のミッション 追い詰めて 辞める事が人間まで否定 こうして巻き込まれ変わって行くんだろう 人間の弱さと狂気 恐怖まで感じる。
『Дxвеɧбгкψеп』(邦題:なんて書いてあるの?)
南山大学演劇部「HI-SECO」企画
ナビロフト(愛知県)
2018/08/09 (木) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
物語の凝った構造が好み。幼稚園児、10代、20代、40代… そして…という流れの中、そこにいる人物が必ずしもその時代の人では無いような感覚もあり、物語が入れ子になっている雰囲気も漂う…ちょっとした不条理感が常に観る者を心地よい混乱に誘う。
私は「これは何だ?」と思わせ続ける芝居が大好きなので、醸す空気をたっぷり楽しんだ。それに留まらず、想像の取っ掛かりがしっかり散りばめられているのが更なる楽しみどころでした。
以降、ネタバレBOXへ
ネタバレBOX
【続き】
終盤に垣間見える関係性にドキドキしたところで、再び鮮やかに不条理空間に突き落としてくるのも好き。
脚本未完のまま姿を消した千夏の失踪の真相、千夏と千秋の本当の関係性、たっちゃんの生死… そして老いた幼馴染たちの夢とうつつ…。
謎が謎を呼ぶ… どの行為の繋がりは…時空を行き来しているかの様でもあり、終わりのない循環世界にハマってしまったかにも映る。
色んな可能性が飛び交い…決して整合しない…それはまるで並行世界を同時に見せられている様だったし、もしかしたら老い故の混乱した記憶だったのかもしれない。最後に創作世界として片を付けた様にもみせましたが(対面客席はぐっときた)、それも一つの可能性に過ぎないよな…という後味で… あたかも たっちゃんの「白昼夢」を眺めていたかのよう… エンディングの乱舞が、その混乱に花を添えました。
各々の世界の中で交わされる感情や個性もしっかり作られていて、のん?(彼氏できない方)に漂う切なさとか、欠片の疑いなくスペースシャトルに成りたかったケンタの佇まいとか好きでしたが、…やっぱ一番は自称福山雅治のダニエルですねぇ…。大丈夫ぅ? はハマる… 濃い… 濃いなぁ彼は。今後に期待。
芝居以外も、わら半紙風のチラシ、客入れ中の自作ラジオ番組、細かいところに創意工夫と遊び心があって、楽しかったですねぇ。
『ミナソコ』
廃墟文藝部
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2018/07/28 (土) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
二室構造の舞台で重なる様に展開する芝居。各室に誂えられたプロジェクションが更に二重構造を形作り、終始 水底に揺蕩う感覚を醸す照明効果に…観る者の感傷を支配する音楽。
あらゆる面から絶え間ない波状攻撃を仕掛けて…観る者を多重に揺さぶり追い詰めてくる見事なサイコミステリーとファンタジーの融合でした。
緻密な脚本もまた色々なものを重ね合わせてくる。…
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ネタバレBOX
【続き】
… 緻密な脚本もまた色々なものを重ね合わせてくる。
アンデルセン童話の人魚姫を筆頭に…八百比丘尼をはじめとする各種人魚伝承を連ね、多重なファンタジー感を醸しながら…今、目の前にある奇妙な人たちの「シビアな境遇・関係・感情」を合理的に繋げていく仕掛けが また実に上手い。
欠けた情報の奔流で興味を誘う演出も非常に効果的だったが、かなり明確に難病「筋ジストロフィー」をモチーフにしている。ただし真逆の設定が仕込まれており、それを成立させるのが「Y染色体が発症を阻害する因子」という巧妙な…おそらくはオリジナルの設定だ。これで人魚"姫"に繋げていると思われる。
こんなとこは気にせず受け容れて楽しんでも良いのだけれど、設定オタクの私としては、こんな拘りの工夫が嬉しい。
結果として得られた…これらピースの掛け合わせは、人魚の苦しみと幸せに…実に現実感ある苦悩を重ね合わせて、廃墟文藝部作品の中でも飛びぬけて「非現実感と現実感の融合」を果たし、想像し難い…なんとも薄気味悪い空気を作り出している(褒めてる)。
正直、この組み合わせを発想した時点で勝ったも同然…やはり斜田章大さんは…人を奈落の底に突き落とすことにかけては随一の天才や。
演出としては…彼得意の「テキスト・プロジェクション」が更に多様さと鋭さを増した。まるで小説を読んでいるかの様な落ち着いた空気から…不意を突く狂気を感じさせる精神効果も形成する。先に挙げた伏字で欠落させた情報により醸す怒涛の混乱など、廃墟きっての精神兵器である「音楽」にも迫る精神誘導ぶり。
展開としても…ギョッとする違和感が各所に散りばめられているが、仕込まれた違和感には皆しっかり理由が潜んでいて…伏線となり…後から唸る。時間の余裕なんて一切無かったけど、2度観たい芝居だった。
ミステリー部分にしっかりとした解をぶら下げて… 時に「序盤からバラし過ぎでは?」…と思う演出もあるのだが、後々咀嚼すると…それを踏まえて尚、見立てや暗喩を考えさせる奥深さなので、きっとバランスは良いのだろう。
そんな暗喩について、思い浮かんだものをものを、ちょっとコラム的に書いてみた。
……どうでもいいよね。ほんとにさ。冗談だけど。(正しい使用例)
①「人魚姫の左足 」と水底家の狂気
作中小説「人魚姫の左足 」からは、支え合って生きた男女を狂気に突き落とした「不死の苦悩」の姿が印象的に描かれる。特に夫が陥った狂気は…その凄惨さから そうそう理解できるものではないが、…これを現実の水底家の狂気にどう重ねて見るのかが、ちょっと難しい。
現実世界のみで解釈すると「不死の悩み」は存在しないはずで、どう結び付けられるのか悩んのだが… 彼方も含めた3人に纏わりつく…「永劫消えることのない罪の意識」
… これが「不死」と等価になるのかもしれない。
②「人魚姫の左目」と詩織
貧しさが産む…恐ろしい集団の狂気。
本来は精神の自己防衛であるはずの「慣れ」が生み出した極限の悲劇。
島中の人間が、罪が、穢れが真珠に埋め尽くされる… 島は真珠でできた山となる。
あまりにも凄惨で…しかし美しい。この作品では 「左足」と違って、人魚が好いた相手は人魚に何ら酷い仕打ちはしない。
しかし一方で、寄ってたかる島民は… 詩織の「病」そのものの様にも映る。
「すぐに消えてしまうモノが好きよ」と表される…消えてなくなりたい詩織の心情。
詩織の心境こそ容易に推し量れはしないが… 最も凄惨な結末のこの人魚が重なって見える。
③「人魚姫の心臓」と文則… そして彼方へ
心臓を廻る現実の行為と…文則が紡ぎ出した物語のギャップは非常に大きい。
人魚姫の結末が嫌いだった文則。明らかに「自己嫌悪」を投影した「人魚姫の決断」への非難。
しかし言うだけで自分は決して成し得ない…奇跡を生むナイフが存在しない現実を前に… 文則にとって彼方は憎悪の対象であり…また一縷の望みだったのかもしれない。
一転最後に、詩織を彼方に託そうとした文則の…拙い行為が悲痛。
『書けるんじゃなくて、書かなきゃいけなんだ…』…詩織を永遠のものとするために。
そして紡いだ物語は…おとぎ話から…不意に現実へ飛び込んでいった印象だ。
それは…文則が望んでも望んでも…叶えてあげることができなかった…
…幻のGood Endingに見えた。
そして明かされる…1年前の文則の決意…
「一番綺麗なまま書き記すよ」
… 文則の気味悪い…独善的な振る舞いの裏に隠れた想いが垣間見える…どんでん返しとも言えるシーン。
しかし…紡がれた最後の物語に…彼のモチーフが見えないのは何とも悲痛だ。
④「食べる」
文則が背負った…「食べる」という償いにもみえる行為。
彼に隠されていた…詩織を…二重の意味で生み出した…この形で生み出したという罪への贖い。
「食材」と「贖罪」…同じ音になるのが何ともいえず皮肉だ。
⑤「罪の再生産」と彼方
彼方は…執拗なまでに自らを自己非難、自己否定に追い込む。
写真の先にある彼女の罪が囁きかける…彼女が生きることによる「罪の再生産」は、何となく筋ジスにおける「筋の自滅的な壊死と異質なものへの変性」に準えている様な気もした。
自ら精神を擦り減らすことで…次第に己が精神が「この世有らざるモノ」に変質していく様を…重ねている様に思えた。
一方で、その罪はその憎まれ口と同じ口で… 彼方に愛を囁くようにも見える。
詩織の文則への愛にも似た…一途な愛… 愛は呪いだ。
「みっともないママも愛してるよ」「ずうっと見てるねぇ」
しかし…見苦しく…でも美しく運命を全うした兄妹と共に過ごし… 小指の先ほどの詩織の想いを受け止め、自分の業に対して「ずっと見ててね」…と向き合えるようになった彼方の姿も…また美しかったと思う。
【愛知公演】劇団壱劇屋「独鬼〜hitorioni〜」
壱劇屋
名古屋市東文化小劇場(愛知県)
2018/07/28 (土) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
Wordless殺陣。心踏音で一度観た時にまず思ったのが、想像以上に内容がしっかり伝わってくることでした。海外のパフォーマーが見せる…いわゆるノンバーバル芝居だと、やはりバックボーンにズレがあるせいか…伝わらないことは少なくないのですが、壱劇屋の本ジャンルは、殺陣を核とするエンタメ…時代劇等で培われた共通認識…いってみればお約束がシッカリ通用する世界なので、言葉がなくとも理解できる。
そして…凝りに凝ったダンサブルな殺陣、ありとあらゆる効果を使った演出で、それだけでも作品として成立しそうなパフォーマンス。特に終盤で…畳み掛ける敵陣を鬼が一閃したシーン…閃光を使ってストロボアクションの様に見せた演出は好きでしたねぇ。
ただ、芝居に殺陣にさほど重きを置かずに観ている私としては、芝居の中に…それプラスαの工夫があるところに、むしろ感心します。「心踏音」のソレは…芝居の中に仕込んだ密かな人間関係をセリフなしてシッカリ伝えてきたことでした。
「独鬼」にはその感心が2つあります。
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ネタバレBOX
【続き】
1つは女(鬼が保護した娘)と…その因縁の彼氏になる男…この2人の4つの年代を4人ずつの役者が交代で行っていくこと。それが単に成長の表現や役者の適性を活かしたものであるに留まらず、終盤でその4組を同時に使うことで…時の流れ・積み重ねを絶妙に表現し、そこに立ち会う…鬼に迫る情感を湧き立たせる演出になっていくのが素晴らしかった。ここら辺にかなり涙腺を刺激されました。
もう1つが…くどいほどに繰り返し繰り返し…しかもほとんど同じパターンで迫る鬼の危機…その積み重ねによる鬼の疲弊感。不死である鬼には…生半可な危機など通用しないわけですが、精神的にヤラれる感じが実によく伝わる。女の幼い「不殺の信念」を背負うことになり、なまじっか それを救えてしまうことにより…一見すると負のスパイラルに陥る展開でしたが… しかし、最後に号泣する鬼の周りに集まる村人たちの姿を見て…逆にこの女が…「人に受け容れられぬ魔物であること」から、不死の鬼を救ったのだ…と思えてジワっときました。
鬼が世話をしてた赤子が…いつしか鬼を庇護する母になっている。鬼の後の人生は…そんな甘いものではないでしょうが…これがあれば生きていける…そんな気にさせるエンディングでしたね。
竹村さんの全編絶えることなく続く…柔らかくも力強い演技…ほんと良かった。
高安さんの有無をいわさぬ笑顔、破壊力あった。あの逆らえない感じ、すごい。あと、名古屋観劇人としては、山本一樹さんが壱劇屋に馴染んでハマってたのが嬉しかった。人間じゃない感…デスノートの悪魔然とした佇まい…「首、コキン!」がむちゃむちゃ不気味で味があった。
白夜
エス・エー企画
G/Pit(愛知県)
2018/07/27 (金) ~ 2018/07/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
まず会場に入ってびっくり。G/PITという小劇場には…なぜだか舞台美術の域を超えて、会場そのものを異空間にしたくなる何かがあるのでしょうか。他の劇場にはない「長い廊下」が異空間に向けての良い助走になるからかなとも思う。
過去にも…ある時は「居酒屋」、またある時は「動物園」、時には「うらぶれた寒村」だったりしましたが、今回は…扉を抜けると「シックで都会的なカフェ」でした。本作「白夜」の舞台は うらぶれたホテルの一室なので、G/PITの殺風景な廊下から直に舞台でも何の違和感もないぐらいなんですが、ここで双方に異質な空間を挟むことに…何か演出意図があるんじゃないかと思えて面白い。何せマダムYukiこと演出・鹿目さんがお出迎えのカウンターですしね。この為に営業許可まで取ってるのに驚きです。
さて ようやく本編の感想。寺山修司作品はたぶん初めて。一つ目立って印象的なのはヴァイオリンによる生演奏… しかも劇伴に留まらず、効果音まで響かせるのがとても効果的で、心理の動きを描写する高音が…観客の動揺をさそう感じでドキドキさせてくれました。生音の威力すごい。この仄かに狂気漂う舞台にぴったし。
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ネタバレBOX
【続き】
筋書きとしては、「失踪した恋人を探して5年もの間、各地を転々とする男の…ある宿でのワンシチュエーション」なのですが、男の未練と苛立ちと諦観が綯い交ぜになる空間の中で、妙なハイテンションが垣間見える主人公・松井さんの演技の異質さが絶妙。精神的に疲弊しているにしても、極めてピーキーな性質を漂わせ… 「隠された何かがある…」と感じさせる空気。
それが実際に謎解きに結び付いていく辺りが、全てが明かされた後に…ぐっと腑に落ちる感じになって心地よかった。
ぶっちゃけ、室内でスキップを踏み始めた時の異様な空気… くんかくんか匂いを嗅ぎ始めた変態性… 好きだなぁ。
小熊さんと堀さんの… 一種、童話にでも出てきそうな妖怪的趣きも味わい深かったです。平林さんの客商売らしからぬ無遠慮な振る舞いも面白かったし、何かあの「赤い靴」がとっても印象に残っていて、…実はあれも遺品では…ってちょっと疑っている。
そして演出としては… 長時間の暗転なんかも印象深かったですが、私の好みで一つ特出しておきたいのは「窓」の存在です。
少しぼやかして言いますけど、話の各種展開と演出で盛り上げた「窓の外の描写」… それはこの空間設定の根底でもあるのですが…
…「現実のものを装う」為にあつらえられた「架空の存在」が… 不意に「別の現実」を突きつけるという あの窓の演出… 絶妙な視界と環境音。あの瞬間の驚き。
今、この空間がどこにあるのか…ソレそのものを覆してみせてくれた感覚… そして演出意図に対して駆け巡った想像の愉しみたるや。
実際、一瞬…舞台設定自体に対するトリックを想像して、ここは本当は心療治療病棟なのではないか…とも思いました。そこまででなくとも… 白昼夢のごとき主人公の頭の中を… 別の視点で覗き見したと解釈して良いのかも。
戯曲は未読ですが、ここら辺は 感触的にきっと鹿目さんの演出による細工だと思えて、やはり芝居として観れて良かった。
さり気ない演出の妙技を味わいました。
輪廻輪唱アラモォド
右脳中島オーボラの本妻
ユースクエア(名古屋市青少年交流プラザ) (愛知県)
2018/07/28 (土) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
述べよ !
はい( ´ ▽ ` )ノ
オーボラさんの本公演を観るのはこれで4回目。いつも心地よい混乱のドツボに突き落としてくれます。
オーボラさんの特色と言えば、やはり怒涛の様に降り注ぐ「言葉の洪水」
ただし問題はその物量ではない。使われる言葉の一つ一つは…たいてい最初のうちはアカデミックさが漂うのですが、…言葉の韻や響きの類似性をキッカケに…まるでダジャレの様に全く別の趣きに転じ…爆発的な連鎖を生む。
しかもそれが…とても身近な俗なものだったり、時には極めて馬鹿げたものだったり… そのギャップの激しさや関連性の皆無さが常人の理解を遥かに超え、先を読むことができぬ濁流となって観客をさらう。
そして流された人は…それがいつしか心地良くなっている…恐るべき この麻薬性。
「理解を諦めることを公言するくせに、やけに気に入っちゃってる人」が…こんなに続出する芝居を他には知らない。
ごった煮になるそのスープに投入されるアレやコレやに…色んなヒントが隠されているのだろうなぁ…といつも思うのです。作中から観客が拾えたピースの掛け合わせで…脳内で再構成される物語や思考が無数にあるのだろうけど、それをいつかトコトン突き詰めてみたいよなぁ…と願ってやみません…が、その境地に達した時には、廃人になっていそうな気もします笑…
丸蟲御膳末吉さんの脳内って、一体どうなってるんだろうなぁ。発狂寸前のオタク哲学者… みたいな印象が付いていますが… 今もって謎な集団です、オーボラさんは。
以降、ネタバレBOXへ
ネタバレBOX
【続き】
さて、ちょっと前置きが長かったのですが、今回のオーボラさんは、そのいつもの特色を活かしながらも…初めて「あっ…何か今までと違うかも…」っと思わせる変化を感じたのが一番の印象。
オーボラ作品の登場人物は…たいていは誰が主役…という感じは全然無くって、すごく機能や軽重が分散して、確たる物語性も有るんだか無いんだか…って趣きが常なのですが、輪廻輪唱アラモォドは…何やらとてもドラマチックでしたよね?
ドロシー(#1)と よだか(#6)を核に…何だかよく分からないけど情感たっぷりのドラマが展開されていた様に伝わってきました
… ただし何が起こっているかは分からない(笑)
… 何だか分からないけど、すごく尊い感じ… 原始宗教?
…原語で海外のドラマ見てるみたいな感じにも似てるなぁ。
後は…もう印象本位なのですが…ばらばらの文字が…徐々に連なり…コトバとなっていくとことか… 役者の必死さと相まって、なんか良かった、うん。
驚きの生演奏、生歌とかも素晴らしかったなぁ。
…ああ…もう単語だ…あとはもう単語しか出ねぇ(笑)
拡声器、トランポリン、焼肉、白米、We Will Rock You、知恵の実、浜乙女、ロート製薬、7の倍数、未完の文字、フェイスペイント、合唱、ジャンプ…
そして…最後。
余韻も拍手も許さぬバッサリ感。
…やっぱ、唯一無二だわ。
アトムが来た日
serial number(風琴工房改め)
ザ・スズナリ(東京都)
2018/12/20 (木) ~ 2018/12/29 (土)公演終了
満足度★★★
まずは、スズナリとは思えない綺麗なセットでした。
内容は日頃から憂いている問題を、可視化してもらった感じでした。
ファクトベースなものは好きなので私は面白かったですが、
そこは意見が分かれるところでしょう。
HELP! from HELL!
team.ups!
ユースクエア(名古屋市青少年交流プラザ) (愛知県)
2018/07/21 (土) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★
生温くなった地獄の再建… というトンデモ設定からの展開が見どころ。どう活かされたかは地獄に行ってのお楽しみ(笑)
人はどこまで行っても業を引き摺るものよのう。
イツキのボケぶりとフカワの佇まいが好みでした。