白夜 公演情報 エス・エー企画「白夜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/07/28 (土)

    まず会場に入ってびっくり。G/PITという小劇場には…なぜだか舞台美術の域を超えて、会場そのものを異空間にしたくなる何かがあるのでしょうか。他の劇場にはない「長い廊下」が異空間に向けての良い助走になるからかなとも思う。

    過去にも…ある時は「居酒屋」、またある時は「動物園」、時には「うらぶれた寒村」だったりしましたが、今回は…扉を抜けると「シックで都会的なカフェ」でした。本作「白夜」の舞台は うらぶれたホテルの一室なので、G/PITの殺風景な廊下から直に舞台でも何の違和感もないぐらいなんですが、ここで双方に異質な空間を挟むことに…何か演出意図があるんじゃないかと思えて面白い。何せマダムYukiこと演出・鹿目さんがお出迎えのカウンターですしね。この為に営業許可まで取ってるのに驚きです。

    さて ようやく本編の感想。寺山修司作品はたぶん初めて。一つ目立って印象的なのはヴァイオリンによる生演奏… しかも劇伴に留まらず、効果音まで響かせるのがとても効果的で、心理の動きを描写する高音が…観客の動揺をさそう感じでドキドキさせてくれました。生音の威力すごい。この仄かに狂気漂う舞台にぴったし。

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    筋書きとしては、「失踪した恋人を探して5年もの間、各地を転々とする男の…ある宿でのワンシチュエーション」なのですが、男の未練と苛立ちと諦観が綯い交ぜになる空間の中で、妙なハイテンションが垣間見える主人公・松井さんの演技の異質さが絶妙。精神的に疲弊しているにしても、極めてピーキーな性質を漂わせ… 「隠された何かがある…」と感じさせる空気。
    それが実際に謎解きに結び付いていく辺りが、全てが明かされた後に…ぐっと腑に落ちる感じになって心地よかった。

    ぶっちゃけ、室内でスキップを踏み始めた時の異様な空気… くんかくんか匂いを嗅ぎ始めた変態性… 好きだなぁ。

    小熊さんと堀さんの… 一種、童話にでも出てきそうな妖怪的趣きも味わい深かったです。平林さんの客商売らしからぬ無遠慮な振る舞いも面白かったし、何かあの「赤い靴」がとっても印象に残っていて、…実はあれも遺品では…ってちょっと疑っている。

    そして演出としては… 長時間の暗転なんかも印象深かったですが、私の好みで一つ特出しておきたいのは「窓」の存在です。

    少しぼやかして言いますけど、話の各種展開と演出で盛り上げた「窓の外の描写」… それはこの空間設定の根底でもあるのですが…
    …「現実のものを装う」為にあつらえられた「架空の存在」が… 不意に「別の現実」を突きつけるという あの窓の演出… 絶妙な視界と環境音。あの瞬間の驚き。

    今、この空間がどこにあるのか…ソレそのものを覆してみせてくれた感覚… そして演出意図に対して駆け巡った想像の愉しみたるや。

    実際、一瞬…舞台設定自体に対するトリックを想像して、ここは本当は心療治療病棟なのではないか…とも思いました。そこまででなくとも… 白昼夢のごとき主人公の頭の中を… 別の視点で覗き見したと解釈して良いのかも。

    戯曲は未読ですが、ここら辺は 感触的にきっと鹿目さんの演出による細工だと思えて、やはり芝居として観れて良かった。
    さり気ない演出の妙技を味わいました。

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    2019/01/03 14:39

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