美術がうみだす舞台 公演情報 とよた演劇祭「美術がうみだす舞台」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/08/12 (日)

    初めて観る とよた演劇祭。共通の舞台美術イメージからの着想で各々作品を作っていくという異色企画でしたが、その上… 演劇祭なのにダンスパフォーマンスを招請して更に幅を拡げているのが素晴らしいです。

    ネタバレBOXに作品毎の感想を。

    ネタバレBOX

    ①青血図(新人枠:team 10+)
    お遊び的要素がやや散漫な感じがしましたが、むっちゃ楽しそうなのは伝わってくる。以前から続けているコンセプトらしく、ずっと観れてればノレたんかな。舞台を船と見立てオールを使ったパフォーマンスは印象的で、これが船の揺動を錯覚させるまでいけたら凄い。

    ②ダンスパフォーマンス「 」(招請枠:afterimage 他)
    序盤の流れがホント好き。一人ずつ、その人の家の間取りをなぞるように生活を追っていき、輪唱しながら増えていく感覚。徐々に拡がりをみせ、重なり、不意にシンクロする時の高揚感。個人から活きた集団に傍聴する感覚が素敵でした。全てが組まれた完成形からバラして作られているのかと思いきや、ホントに個人の生活を重ね合わせて作られているらしく、配られたバラバラの間取り図は そういうことだったのかぁと驚いた。

    中盤以降の身体表現の数々は盛り上がりを見せ、エネルギッシュ。
    終盤、ごみ箱さんによる怒涛のノンストップ・リフトは見応えありました。100本ノック感。
    そういえば、あらゆるものを皆が打楽器にしだし、民族音楽的なノリが面白かったのですが、目の前でごみ箱さんが勢い余ってお盆を粉砕してしまったのは衝撃でした(笑)
    一部バックで流れる演説は何か政治的な主張?と思っていたら、会場が国際会議場である故の演出とのことで、舞台美術のみならず、会場全体を消化しようという貪欲さを感じる。

    最後に天井から垂れる長布をパフォーマー全員で繋いでいくアクトは印象的でした。

    ③象牙の船に銀の櫂(公募枠:古場ペンチ演出)
    不条理感とコミカルさを重ねる看護師パートの面白い導入部。まるで「世にも奇妙な…」的に、元々が意味深な童謡を背景にして、徐々に…主人公が自分の罪悪感を掘り起こす…ここはそういう不思議な空間なのか…との感覚に陥る味わいやよし。

    最終的に、医療事故の責任問題、病院での処世術がうっすら見えてきて、リアルな話に整理されていくのですが、後半… 医師パートから、私には若干の違和感が。
    前半が自己との戦いであったのに対し、後半で他者1人の責任問題を問うていく様な空気になっちゃって、勧善懲悪的な味わいに映ってしまったのはやや残念。

    1人を責めて済むのではない、組織的…あるいはやむを得ない過失の集積みたいな背景の方が、人間の悩みとして深くなりそうな気がして、その方が題材に対しては相性が良い気がしました。

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    2019/01/03 15:22

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