笑ってよゲロ子ちゃん-殉情編 公演情報 NPO法人C,A,ワークス「笑ってよゲロ子ちゃん-殉情編」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/09/16 (日)

    ロ組(野村有志×真臼ねづみ)で拝見。

    うだつは上がらないけど(だからこそ?)…志は一際高いラジオ番組のディレクター 井口時次郎が、棚ボタの人気に溺れて堕ちていく私欲の闇。理想の精神論を熱く語る姿、成果が伴わない現実に対する激しい落胆、転がり込んだ成功に酩酊し、それに目がくらんで…かけがえのない唯一の支えを生贄にし、挙句の果てに自業自得の己が罪への疑心暗鬼に怯える。人間の様々な弱さを…みっともなさも含めて、ここまで熱く、生々しく演じた野村さんの「熱量」は圧巻の一語に尽きる。

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    ぶっちゃけ、ナンジャーレの激しい蒸し暑さを「演出効果」と錯覚するほどに大きな相乗効果を生み出して、演る方も観る方も堪らんけど(笑)、噴き出す汗が時次郎から伝わってくるものにも感じられるほどの一体空間でした。野村さんが自らの顔をパーンと叩いた時に逆光化下で大きく飛散した「汗の飛沫の輝き」も… 目に焼きつく光景だったなぁ。

    たま子/ゲロ子があまりにも従順で 抵抗がほぼ皆無なので、相対的に「時次郎が狂気にシフトする実感」はやや薄めにも思えたところもあったけど、結局、それがホラーとオチの両方の裏付けとなっていくのか。

    音響でのホラーの盛り上げは十二分、真臼さんの作った声質もゲロ子のホラー感にぴったりで、想いが募って「物の怪」と化す…まさしく怪談の予感を最後の最後まで引っ張り続けた… でも…いや、だからこそ、ホラー演出の裏で純愛を貫き通したゲロ子の想いが沁みて沁みて…仕込み花束のインパクトは素敵でした。それが鮮烈である程に…時次郎の後悔の深みも一際…思えば、序盤からの 普段の声(過去)とモノローグ(現在)での野村さんの声質/口調の落差は、ホラーとしての盛り上げ以上に、時次郎の落胆の度合いを表現しているモノにも見えて、いずれ時次郎も…失意の果てに…物の怪になっていくのだろうか…と感じさせつつ… 最後のON AIRは 自らの語録とゲロ子の想いが時次郎を奮い立たせた…と素直にみるべきなのだろうなぁ。

    取り憑かれて…新たな「都市伝説」が生まれた…とみるのも業が深くて良いのだが笑。

    なお、ハガキによる悪意の肥大化は… むしろ現代のSNSの荒れぶりを如実に表現した風刺にも見えた。今の世の中、人一人の罪よりも匿名の悪意の増幅装置たるSNSの方がよほど手に負えない感あり。

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    2019/01/03 16:07

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