最新の観てきた!クチコミ一覧

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溺れるクジラ

溺れるクジラ

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

イムズホール(福岡県)

2019/02/01 (金) ~ 2019/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★

昔のドタバタコメディから徐々に大人の演劇へ脱却したガラパ。
私は最近のガラパのほうが大好きだ。

ただいま

ただいま

劇団こふく劇場

パピオビールーム・大練習室(福岡県)

2019/02/01 (金) ~ 2019/02/02 (土)公演終了

満足度★★★★

やっぱりあべゆうさんが群を抜いて良かった。セリフがなくても演技で見せてくれる。
表情や間が素晴らしい。宮崎弁って博多弁と近い?

イーハトーボの劇列車

イーハトーボの劇列車

こまつ座

紀伊國屋ホール(東京都)

2019/02/05 (火) ~ 2019/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

いろいろに考えさせられ、発見がありました。「宮澤賢治の評伝劇」なのですが、単純な評伝とはいえない仕掛けが満載で、一言で言えば宮沢賢治批判の芝居ということもできます。農民たちの演じる劇中劇になっており、賢治の思い描いたユートピアが、農民の現実から遊離したお坊ちゃんの夢想に過ぎないではないかという批判です。これは驚きでした。もしかしたら井上ひさしは、賢治の話より、重労働と出稼ぎと借金にあえぐ農民の苦しみを訴えたかったのではないでしょうか。

なんといっても、主人公宮沢賢治があくまで受け身の存在で、賢治の父や、監視役の賢治批判の方が、質量ともに圧倒的です。漫才で言えば賢治はボケ役で、ツッコミを受けてうまく返せないボケ役。
それでもなお賢治の残しだ詩や童話が私たちを惹きつけるのはなぜか。考えさせられます。

俳優たちはみなはまり役で、見事な出来でした。まず松田龍平がシャイなボケ役の賢治にぴったり。そこに実直な生活者の立場から批判を突きつける山西淳が強烈です。賢治に呆れつつ、憎めない友人役の土屋佑壱も場を大いに盛り上げました。ナイロン100℃の村岡希美も、何気ない仕草で観客を引きつけ、とぼけた味で素晴らしかった。これだけのキャストが揃う舞台も滅多にありません。
長塚圭史の演出も素晴らしい。昔の小学校のような木製椅子と畳だけで場面を次々転換させる舞台作りも見事でした。

ネタバレBOX

休憩15分込みで3時間30分。ただ、非常にセリフの密度が高く、それをテンポ良く演じているので、長さを全く感じませんでした。
この海のそばに

この海のそばに

えにし

「劇」小劇場(東京都)

2019/02/05 (火) ~ 2019/02/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

重い内容過ぎて、これが主宰の前田さんの実話だと思うと、何と言ったらよいのか分かりませんでした。前田さん自身が、主人公を演じていたので、より苦しくなりました。衝撃なストーリーと共に、役者さん達の熱演も良く、釘付けになって観ました。偏見や苛め、そして辛い過去を持ちながらも、今を強く生きている事に感動でした。

PARTY PEOPLE

PARTY PEOPLE

艶∞ポリス

駅前劇場(東京都)

2019/01/31 (木) ~ 2019/02/11 (月)公演終了

満足度★★★

役者さんの演技が特徴的で個性的で繊細で、役者さんを見ている分には飽きない芝居だった。
半面、群像劇を狙っているからなのか、話に抑揚のない「のっぺり」とした印象を受ける。パリピ(?)の周りに集まる人々を通して、お金と人間について表現したいのだろうと思うけれど。お金に関する結論が、かなり安直なモノに落ち着いてしまっている印象を受けた。

拝啓、衆議院議長様

拝啓、衆議院議長様

Pカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/02/06 (水) ~ 2019/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★

相模原障害者施設殺傷事件を題材にした芝居。「意思疎通もできない障害者は安楽死させるべき」という犯人の思想にも障害者介護の現実の一面に根がある。形だけの障害者の生きる権利と、それを全否定した犯人の思想という対立を、死刑制度の問題と絡めて、より高い次元にどう止揚させるかを問いかける舞台だった。
障害者施設職員の悩ましい本音、犯人の抱いていたコンプレックスなども掘り下げたところに発見があったし、作品が提示した目指すべき社会のイメージに私は感動した。ただ、様々な議論と理屈が十分登場人物の肉体になりきらなかった恨みはある。それは役者の問題だけではないような気がした。そのなかで荻野貴継の被告役の不気味さが一番印象的だった。(2時間10分、休憩10分含む)

卒業制作

卒業制作

しあわせ学級崩壊

インディペンデントシアターOji(東京都)

2019/02/06 (水) ~ 2019/02/10 (日)公演終了

満足度★★★★

ラップによる乗り地で、謡曲に通じるところが面白い。

わが家の最終的解決(再演)

わが家の最終的解決(再演)

アガリスクエンターテイメント

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2019/01/25 (金) ~ 2019/01/29 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/01/25 (金) 19:00

座席G列10番

台詞の7~8割(だっけ?)を書き直したそうで、そのためか配役の違いからか初演時(2016年5月)には感じなかったが、井上ひさしの「きらめく星座」に通ずるように思えた。

戦争の愚かさやオカしなところを笑いの中で指摘するという基本的な骨組みもさることながら、主人公にとっては脅威である人物がコワい役職なのに間の抜けたところもあり、最後に粋な計らいをするというのが重なる、みたいな。
ハンスの上司・ゲルトナーってドイツ版の憲兵伍長・権堂さんと言えよう。(笑)

また、クライマックスでは緊張感、愛の強さ、大岡裁き、など様々な要素が絡み合った怒涛の展開となるが、その感覚はさながらジェットコースター?
ホント巧いわ。(一家が脱出に成功することに「サウンド・オブ・ミュージック」も連想)

そして「新たな騒動」を予見させて幕を引く最終場(終戦直後)では戦中と戦後で態度をガラリと変える一般民衆を描いてシニカル。まさに画竜点睛を打つ、だね。

舞台『12人の怒れる人たち』

舞台『12人の怒れる人たち』

Alexandrite Stage

シアター風姿花伝(東京都)

2019/02/04 (月) ~ 2019/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

Rossoチームを観劇

文句を言いたいところは数多あれど、それを補ってお釣りがくるほど大小さまざまの工夫があった。ここでは良悪どちらも書かないので劇場で確認して欲しい。

Rossoチームは男性4人女性8人の構成である。8号が女性であることがRossoチームの売りであるが8号は公正で柔軟な人物なので女性であっても意外性はない。しかし3号は頑迷固陋な中高年男性でしかありえないと思われる役である。ここを若い女性としたのには新鮮な驚きがあった(この辺も女性に対する偏見なのだがそれはおいておく)。そしてこの難しい役を永咲友梨さんが見事にこなしていた。あの、ああそれを言ってしまっちゃったか!的なシーンは拍手をしたくなった。もちろん、このシーンは8号の栗原みささんとの息の合ったコンビ技である。
6号でクラブホステス(キャバ嬢かも)の西原杏佳さんもお父さん達にはうれしい存在だ。

ストーリーの大筋は原作通りなのでどなたにも大外れにはならないはずだ。「12人の…」ファンの方はRossoチームはmustである。

なお Rossoチームは2,3,4,6,8,9,11,12号の8人が女性であり、Bluチームは2,6,9,11,12号の5人が女性である。1号以外は皆さん若い俳優さんである。

『新選組』完結編

『新選組』完結編

Blue Shuttle

あうるすぽっと(東京都)

2019/02/02 (土) ~ 2019/02/12 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/07 (木) 18:00

2017年に上演した際には二章四話の構成だったが、今回は三章六話。ストーリーを追う中、随所で心象風景が抽象的に描かれるという作風は前回と同様だが、構成を1.5倍に拡大しての上演だけに意気込みはアップ。殺陣、ダンス、かっちょいい。

卒業制作

卒業制作

しあわせ学級崩壊

インディペンデントシアターOji(東京都)

2019/02/06 (水) ~ 2019/02/10 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/02/07 (木) 14:30

この劇団の作品を見るのは「非国民的演劇」に続き2回目。前回もハードル高かったが、今回も私の頭は玉砕。我々が危険な場所に閉じ込められていて、そこから抜け出せずにもがいていることはわかった。抽象的で難しい表現をする劇団で、しかも平日の昼間なのに、客席は満員。着実に支持を増やしてるのは確実。今後、どう成長していくのか注目を続けたい。

朗読劇『罠 Piège pour un homme seul』

朗読劇『罠 Piège pour un homme seul』

演劇企画CRANQ

ザ・ポケット(東京都)

2019/02/06 (水) ~ 2019/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★

 原作はフランス語で書かれた作品と見える。(気懸りを少しばかり追記)

ネタバレBOX

恐らく表現にも様々な引っ掛けや罠が仕掛けられた本なのだと思う。フランスの作品らしいエスプリの効いた洒落たものなのではあるまいか。原題を見てそう思う。いつか原作を入手したらゆっくり読んでみたい。当パンには朗読劇となっているのだが、結構動きや出捌けもあり動的な作品に仕上がっている。唯残念なのは、テキストを持って演じているのに噛むシーンが何か所もあったことである。このような点については改善を求めたい。舞台美術も中々お洒落で、音響は弦楽器の生演奏というのも良い。ストーリーは観てのお楽しみだ。と言うのも、推理物だからにゃ。
 おっと、これはもう少し調べなければならないのだろうが、原作者は、今作で本当は何について書いているのだろうか? グローバリゼーションだの、治安と言えば何でもアリの極めて危険な国家の在り様をこそ、問題にしているのなら極めて刺激的なのだが。
ストアハウスコレクション・タイ週間Vol.3

ストアハウスコレクション・タイ週間Vol.3

ストアハウス

上野ストアハウス(東京都)

2019/01/30 (水) ~ 2019/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★

カラダを使った舞台、特に日本の演目の抱き合うシーン、迫力充分でした!
どちらも同じような印象のステージでしたが、
演目順が逆の方が良かったように感じました!

朗読劇『罠 Piège pour un homme seul』

朗読劇『罠 Piège pour un homme seul』

演劇企画CRANQ

ザ・ポケット(東京都)

2019/02/06 (水) ~ 2019/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

声のプロの方達出演の朗読劇なので声量もあり聞き取りやすい舞台だった。
生のバイオリン演奏や水音、照明の色などセットも音響も凝っていて良かった。
席の近くにずっとカサカサ動く人さえいなければもっと集中できたのになぁ。

朗読劇『罠 Piège pour un homme seul』

朗読劇『罠 Piège pour un homme seul』

演劇企画CRANQ

ザ・ポケット(東京都)

2019/02/06 (水) ~ 2019/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

沢山張り巡らされた罠にどれが真実か見分けがつかない。途中少し中だるみし集中できなくなるが、役者さんの演技力に驚きです。朗読劇といってもバイオリン演奏が効果として使われ役者さんの多少の動きもありとても面白かったです。ラストで謎が解けると「ァ―そうか」とほっとします。満足のいくお芝居でした。

朗読劇『罠 Piège pour un homme seul』

朗読劇『罠 Piège pour un homme seul』

演劇企画CRANQ

ザ・ポケット(東京都)

2019/02/06 (水) ~ 2019/02/11 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/02/06 (水) 19:00

オリジナルのミステリー舞台を観ると、初回はストーリーの構成や謎解きに関心が行き、ミステリー本来の楽しみに耽溺できるのだけれど、2回目以降の観劇となると、読書と同じようにその伏線を丁寧に拾う楽しみに変わる。特に舞台の場合は、本と違って前のページを読み直すことができないだけに、それを求めて再観劇という方も多いだろう。
そしてそれ以上に、ミステリー再観劇の楽しみには、役者の演技、演出のオリジナリティー、舞台美術・装置の工夫の違いを楽しむこともある。この点は、読書と大きく異なる点である。

さて、今回の舞台で気付いたこと。→ネタバレ

ネタバレBOX

全体的なトーンについて
ダニエル、そして偽エリザベートと神父が冒頭からテンション高すぎではないか。
ダニエルは、エリザベートの家出にかなり神経をすり減らし、失踪捜査をする警部に当たり散らすことから舞台は始まる。しかし、彼女の失踪の理由を一番理解しているはずの彼が、家出後もう何日も経っているのに、あれほど怒声や罵声を揚げ続ける必要があるのか。その後の混乱と猜疑、恐怖によって次第に精神を疲弊させ、衰弱しながらもテンションが上がって自身を失っていく様がこれでは描き切れない。
偽エリザベートと神父は、早くから悪役丸出し過ぎないか、ダニエルを落とし込めるには、むしろ優しく穏便な言動こそが効果的で、そのトーンが警部を騙し、そして何より観客を騙せると思うのだけれど、警部が来た時点で、もうすでに悪役全開だもの。騙されるも何もあったものではない。

舞台装置について、
ラストの水を降らせる演出はよかった。
最後の謎解きと場面では、役者の立ち位置や言葉遣い、照明の転換などがなされることが多いのだけれど、まさに物理的な転換。エリザーべートの運命をも垣間見せるような
情景だった。

朗読劇と日替わり配役について
朗読劇にしたのは、日替わり配役によるセリフ覚えの軽減なのかな。
確かに、ミステリーの場合、先の書いたように謎解きの面白さは初回を超えられないのだから、こうした日替わり配役で、楽しみのバリェーションを作るのはよいアイデアかもしれない。ただ、舞台の狭さをそれほど気にする必要もなく、舞台美術にそれほど手間をかけなくてもよいことを考えれば、朗読劇にしない可能性も十分あるのではないだろうか。
というのも、朗読劇と言いながら、かなり動きが(それも格闘シーンあり)あるので、本が邪魔に見えてしょうがない。初日ということもあろうが、セリフのかみも、セリフを覚えていないということではなく、朗読劇ということで、本に目をやることでセリフのリズムを失していることが原因のように思えてならない。
特に、全公演、カンタン警部を演じる田中正彦さんにとっては邪魔そのものでしかないだろう。(でも、今回のメンバーで、この役を演じられるのは彼しかいない)

最後に、メルルーシュ役の利根健太朗さんには拍手。チェンジオブペースに大貢献!
この海のそばに

この海のそばに

えにし

「劇」小劇場(東京都)

2019/02/05 (火) ~ 2019/02/10 (日)公演終了

満足度

観てきました。 残念ながら期待していたようなお芝居ではありませんでした。

イーハトーボの劇列車

イーハトーボの劇列車

こまつ座

紀伊國屋ホール(東京都)

2019/02/05 (火) ~ 2019/02/24 (日)公演終了

満足度★★★

うーん、二日目だからとはいえ劇としてまとまらない様子は特に前半は唖然とする感じ。舞台上の俳優の口によって機関車の音が基調として流れるはずがリズムが合わないというか松田龍平の声が小さいというか全体としてアンサンブルとして成立していないのでイライラする。「子供のためのシェイクスピア」を素人がまねたみたい。松田龍平は舞台が初めてとしても出来上がっておらず、まあ、主人公がでくのぼうであるので印象はあっているのが救われる。舞台のベテラン勢が何とか支えている。これまで見た「イーハトーボ~」とは異なり井上ひさしの笑いに包んで心に染み入る芝居とは別物になってしまっている。しかし、芝居が練れてくればよくなっていくはずなのでこれから観られる方はご期待を・・・。

拝啓、衆議院議長様

拝啓、衆議院議長様

Pカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/02/06 (水) ~ 2019/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★

他劇団からの新作要請に高頻度で応えて安定した評価を得ながら、劇団公演も怠らないという、着実に劇作家キャリアを重ねる古川健氏の劇団「外」舞台を観るのはトムプロ『挽歌』以来になるか。日澤雄介氏以外の演出に委ねた舞台となると(番外公演的なのを除けば)初めて。Pカンパニーの同じく社会的テーマを扱った秀作『白い花を隠す』の小笠原響氏演出は堅実な仕事振りである。
戯曲には「遺産」で顕著に感じられた特徴が今回もあって、実際に起こった出来事に果敢に挑む姿勢は以前に変わらないが、この所、簡潔な台詞のある意味淡々としたやり取りが、構成の妙で(場面の繋ぎも淡々としていたがこれは演出か)事実が語る力強さを持つ。
初日の「硬さ」とはこういうのを言うのか、描かれる人物はよりリアルを掘り下げる事歓迎の面持ちで、肉付き血の通う舞台に変貌する予感というか骨格をしっかり見せてもらった。
相模原事件を扱った芝居だとは知らなかったが、開演後間もなく、タイトルの趣旨も判る。出色は、この事件の犯人の人格に斬り込んでいる所。注文があるとすれば、施設職員の「苦労」だけでなく「喜び」を見せて欲しかった(これは演技の領域、難しい所だが)。



ネタバレBOX

犯人の人格に迫った点を評価したが、事件とその背景を巡る「論」として、十全であったかと言うと疑問がある。(もっとも一本2時間の芝居で十全に語り切る事を期待するのも無理な話、ただ押さえたいポイントが私とは違う。)
施設職員の障害者と接する仕事の喜びの側面が欲しいと書いた。先日の初日の舞台にて、女性職員の脳性麻痺の入所者との姿は、その片鱗を見せてくれていた(台詞での説明でなく態度の中で)。だが残像としては疲労の側面が印象づき、また彼女が、犯人に対して「怒りは湧かない、むしろ自分の中にそういう感情が起こらないとは限らない」とこぼした言葉を、主人公である若手弁護士は犯人の人間像に迫る足掛かりとしていく。「論」としては、犯人の所業を許す事はなくともやむを得ざる事情の一つとされるのが正直、難点だ。
がその後の「論」の展開は見事である。
現代の若者論、というか政治の失敗、就職難と非正規雇用増大、勤労環境悪化はトータルとして「社会からの非承認」の状況と言え、そうした若者の生きる風景の片隅に、事件の犯人となった青年の姿も浮かび上がって来る。(犯罪は社会を写す鏡。)
そして芝居は一度は犯人への怒りで弁護を諦めた主人公が、彼を弁護団に誘った先輩弁護士(死刑廃止論者)の「どんな被疑者にも弁護を受ける権利がある。」との説得や妊娠中の細君の助言で考えを変え、犯人と言葉で対峙し、彼の「心」に迫っていく。
ここで作者古川流のリベラルが顔を覗かせる。犯人が衆議院議長にまで送った主張とは、「心失者(自らコミュニケーションが取れない人間)は安楽死させるのが社会のためである(本人のため、とも)」というもの。「今回の事件では方法が乱暴になった点、十分な理解を得ない前に事を起こした点は謝罪せねばならない」が、安楽死の考えは正しい、この考えは変わらないと犯人は顔色一つ変えず答え続けるのだが、弁護士は「君だけではない」と切り込む。証言を得た彼の生い立ちを語り、コンプレックスで自分を大きく見せたい欲求に君は負けただけだ、と言う(このあたりで犯人は初めて冷静さの仮面を脱ぎ怒声をもって否定する)。この時彼は犯人に言う、「だが(君と同じく疑問を持った)彼女はそうしなかった。障害者に向き合い必死に答えを探そうとしている。」
長くなったがこれがリベラルの1。作品のキーワードでもある「生きるに値しない命など存在しない」、どんな命も全て尊い、という命題である。
同時に、弁護士の態度は死刑廃止論にも掛かっている。犯人が考えを改めないなら、死刑廃止の意味は半減する。犯人と本音で向き合う事が彼の「弁護」の意味であり、死刑廃止論の実質化でもある、と見える。これがリベラルの2である。

リベラルの1は難題である。酒鬼薔薇事件の頃だったか「なぜ人を殺してはいけないのか」、どう大人は答えるのかが議論になった。
少し遡って学生の頃の話、ある授業の試験で渡部昇一なるウヨ学者が書いた文章を批評対象として何か書けという問題が出た。そこには「障害者は家族にも国家にも負担を与える存在、経済的なお荷物」といった事が書かれていた(どういう文脈かは判らないが嫌悪感を催す表現であった)。この感性は今に始まった事ではなくむしろ近年までスタンダードであったのを渡部は居直って書いたのに違いない。
なぜ「全ての命は尊い」のか。今答えるとすれば一つ。可能性が開かれているから(年齢問わず)。個性(変わらない異質性)こそ他者を人間理解に導くもの。異質な存在と出くわすと反射的に疎ましさが走るが、その背後に人間の自然な感情を発見した時、得したように嬉しくなるのは演劇での発見の喜びに近い。
障害は際立った個性であり、個性は人間性を伴う。従って多様な異質との接触は、「人間」の条件を考えさせ、間口を広くし、開かれた可能性への想像力を助ける。この絶大な長所を持つ事実から出発して、「何が生産的か」を再考したいものだ。
その点、過去既に書いたレビューで、障害者を周囲の者を葛藤に追い込む負の存在と位置付け何やら深刻ぶったドラマをやっていた青年団若手のその舞台を難じたが、障害の「負担」の側面しか見せていないとすれば、今作も残念ながら同じステージにある事になる。対照的な作品として「ブーツ・オン・ジ・アンダーグラウンド」を思い出す。
確かに障害の中でも最も重い重症心身障害の人は必要とされる介助量が大きく、「負担」という概念は脳裏を過る事だろう。
個人的に見聞きした話をすれば、、施設職員は長い付き合いの中で利用者それぞれの個性を見ており、人格に触れている。多くは脳性麻痺と言われる人達だが、頭脳明晰な人も意外に多い。明晰でなくとも人は本質的にコミュニケーションを「取ろう」という意思を持ち、その「内容」に個性が滲む。利用者と接する喜びが彼らの仕事の支えになっているのを私は感じる。
経済的な話、そこには公費が投じられている。だが人間とそれを助ける人を支えている「生産的」なお金だ。方や「アメリカのご機嫌取り」ないし「他国で事を起こす」ための莫大な軍事費は果して「生産的」か・・。桁も違うが議論があって良い。
(文字数の記録更新か)
孤島 0n the Island

孤島 0n the Island

ARICA

北千住BUoY(東京都)

2019/01/31 (木) ~ 2019/02/04 (月)公演終了

満足度★★★★★

ギリギリまで説明を削いであり、想像の余地のある舞台だった。観客の知識や感情によって、理解度も感想も千差万別だろう。さらに、断片的に提示される情報が、事実なのか主人公の妄想なのかと疑い始めると、訳がわからなくなる…面白い。考えることも必要だが、感じたことが自分にとっての真実なのかも?と思った。

2/15~2/17にTPAM参加作品として、横浜の東邦ビル1Fの特設会場で上演されるとのこと。興味を持たれた方はぜひ!

ネタバレBOX

舞台を動いてくる大きな装置。そこから足が伸びてきて、隠れていた女性が現れる。彼女は誰か?彼女の言動は何を物語っているのか?島のような装置は何を意味するのか?
断片的に示される情報で、想像はふくらむが、答えは観客の数だけあるのかもしれない。
そこに断固として「在る」主人公の存在感がきわだっていた。

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