
笑う男 The Eternal Love -永遠の愛-
東宝
日生劇場(東京都)
2019/04/09 (火) ~ 2019/04/29 (月)公演終了
満足度★★★
デア=衛藤美彩の回を観劇。子供時代のグウィンプレンの子役の名前はメモするのを忘れた。
あらすじ 「笑う男」とは人買いにさらわれ、見世物とするために口を左右に大きく切り裂かれた主人公グウィンプレン(子役/浦井健治)のこと。彼は人身売買団の船が難破して自由の身となる。盲目の赤ん坊デア(衛藤美彩)を拾って彷徨ううち興行師ウルシュス(山口祐一郎)に保護される。ウルシュスの作ったグウィンプレンを主人公とする芝居「笑う男」は大評判になる。そしていつしかグウィンプレンとデアは愛し合うように。そんなとき、亡くなった貴族が残した文書によりグウィンプレンは貴族の子供であることがわかり、貴族院議員となり、アン女王の異母妹のジョシアナ(朝夏まなと)の結婚相手になることを女王から言い渡される。貧乏仲間、特にデアをとるか貴族の暮らしをとるか悩むグウィンプレンの運命やいかに…。
注意:小さな誤りはご容赦ください。
舞台セットが美しい。デザインも色も洗練されている。冒頭の船の難破のシーンも短い時間なのにお金も手間も掛けている。衣装も豪華。生演奏のバンドも良い。
だがしかし、まだ2or4ステージ目で歌いなれていないのか肝心の歌がなんとも雑に感じた。
浦井さんは出番が多いせいもあるが、一杯一杯で無駄に力が入っていて聞きにくい。
山口さんはいつもの調子で力でねじ伏せていて細かい味わいに欠ける。
衛藤さんは乃木坂46を卒業したばかりで期待されるところであるが、音程が不安定で、強弱のコントロールができていない。またビブラートもかからない。難しい歌が多いことには同情するのだがまだまだの印象だ。
唯一、朝夏さんだけは伸びやかな歌声にやや嫌味な味付けをして、高飛車なジョシアナを十分に表現していた。
4月も下旬になれば調子が出てくるのではないでしょうか。

カフカの猿
シアターX(カイ)
シアターX(東京都)
2019/04/10 (水) ~ 2019/04/13 (土)公演終了
満足度★★★★★
英語、字幕無しだが、これだけ素晴らしい舞台がたった1000円。どんなことをしても見るベシ。華5つ☆ あと2回マチネ公演がある。2度目の人は500円。

まほろば
梅田芸術劇場
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2019/04/05 (金) ~ 2019/04/21 (日)公演終了
満足度★★★★
芝居を見たあと、豊かな気分で家路をたどれるいい舞台だ。
まず、脚本がいい。いくつか賞を受けた再演で、こういういい芝居が、俳優・演出の趣向を変えて何度も見られるのは演劇の円熟を示すことにもなる。再演は何も商業演劇の経営保持のための特権ではない。
ストーリーは、田舎の実家のまつりで戻ってきた一家4代の女だけ6人の話だ。よくある帰郷もの、の世界だが、焦点が女たちが子供を産むと言う事に絞ってあって、二転三転面白く見せられてしまう。最後に物語が、タイトルの『まほろば』、(豊穣の国)の大きなテーマにつながっていくところ、ここ10年の現代劇の代表作の一つと言われるだけのことはある。
蓬莱竜太にとっても代表作だろう。世代をつなぐという視点から、現代世相の中の女を書いた。舞台は、元地主の家の2間つづきの部屋、一杯。祭りの日の朝から夜まで。
チョコテーとケーキの演出・日澤雄介の手際がいい。台詞だけでなく、舞台の俳優の動きにリズム感がある。突然、4景の終わり、長女がトイレに行っている長い、ほとんど台詞も動きもない時間を、そこまでの各登場人物の相克を詰め込んだクライマックスにしてしまうところ等、お見事。次は劇団代表作「治天の君」を装いを変えて再再演すると言う。楽しみだ。
三田和代がすっかり老け役になっていて、高橋恵子が、一家を切り回す主婦役。ベテランのうまさだが、新派風にならず、現代になっている。問題は長女の早霧せいなと次女の中村ゆり。二人とも十分旨いのだが、今後現代劇でも大いに期待されている早霧せいなは、役の解釈が時に宝塚風に単調になる。少し、酔うと何もかも忘れてしまうという設定にとらわれ過ぎた。ここは雛まれの都会女の方が彼女のガラを生かせたと思う。逆に中村ゆりは田舎の雰囲気が薄く、ズルズルと田舎で自堕落に生きているたくましさが弱い。むしろ都会的でさえある。娘の衣装の値段に気付くところの姉妹の反応のシーンで、二人のあり方が鮮明になるところなのに、生かされていない。生越千春はガラが生きた。
しかし、総じていえば、梅田芸術劇場の仕込みとしては大ヒットである。
客席は、ほとんど中央の席は、早霧せいなの宝塚時代のファンクラブらしいアラ・サーティ・フォーティの婦人客で埋まっていた。満席は何よりだが、この芝居の面白さを下世話の興味だけでなく見てくれているといいのだが。

検事と犯人のフィクション術
東京パイクリート
Geki地下Liberty(東京都)
2019/04/10 (水) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
あの箱馬は…正方形になるピースじゃないからタングラムとは言わないか。でもそれっぽい形状の組み合わせで、転換の度に変えていくのは大変そう。序盤はそれがやや煩くも感じたのが、途中から気にならなくなったのは、やはり芝居そのものが面白かったからでしょう。東京パイクリートさんの舞台は今回初めて観たけど、2時間楽しませてもらいました。

1つの部屋のいくつかの生活
オフィス上の空
吉祥寺シアター(東京都)
2019/04/06 (土) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/04/09 (火) 19:00
座席E列16番
【黄】3ステージ目
Aga-risk Entertainment「エクストリーム・シチュエーションコメディ(kcal)」
いわば2段ロケット。定番ファルス的な前半が1段目でホイッスルによる中断で第2段に点火、ブーストして勢いがさらに増して行く感じ。(1段目が置き去りになるところも似ているか?(爆))
また、「こういう役どころはこの人」なスターシステム的な的確な配役もさすが。
あと、「あのアイテム」で以前から観続けてきた観客に目くばせをするのもイイ。(笑)
それにしてもよくまあこんなことを思いつくもんだ。次はどんな奇策で来るんだろう?
なお、事前に(ネタバレではない)感想や紹介を見ていたので「あ、このことか」と納得したり、それらから想像した以上のものであったり、さらには2連勝のディフェンディングチャンピオンの敗北を目の当たりにしたりと楽しさが増したように思う。
Straw&Berry「サイケデリック」
観ながら「あぁ、河西さんだなぁ」と納得するほど河西戯曲のド真ん中。
題材が誰しも似た経験があったり「あんなだったら良かったのに(?)」だと思ったりで共感し易いものである上に小道具や台詞に出てくるものなどで場の「時代」を……いや、時だけでなく台詞にヒントを潜ませておき「作品構造」もさり気なく伝えるのが巧み。
劇中では描かれていない期間の彼らの物語をあれこれ想像する楽しみもあった。

バンガラ・ダンス・シアター『Spirit 2018』『I.B.I.S』
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)
2018/11/09 (金) ~ 2018/11/10 (土)公演終了

検事と犯人のフィクション術
東京パイクリート
Geki地下Liberty(東京都)
2019/04/10 (水) ~ 2019/04/14 (日)公演終了

幻想寓意劇 チェンチ一族
演劇実験室◎万有引力
ザ・スズナリ(東京都)
2019/04/05 (金) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★
超面白い。何となくのイメージでつまらない実験演劇(自己啓発センターじみた)への不安から、敬遠していた自分を恥じる。才気迸るデカダンス・エンターテインメント。BUCK-TICKやキュアーのファンなら嵌まる世界がそこにある。ヒロイン、ベアトリーチェ役の森ようこさんが凄い。夢でうなされるレヴェルのインパクト。中世イタリア、欲望の限りを尽くす悪魔のようなチェンチ伯爵。サディズムの権化の如く実の女房娘までも凌辱し虐め抜く。到頭、親殺しを選択せざるを得ないベアトリーチェ。後半は裁判に掛けられる彼女達の血を吐くような叫び。PUNKなメイクから肩甲骨を誇張した舞踏。J・A・シーザー氏の優れたバランス感覚によって普遍的なものになり得ている作品。舞台と客席の間にちょこんと置かれたキャベツがまたいい味。

あるジョバンニとカムパネルラの物語
ENGISYA THEATER COMPANY
KISYURYURI THEATER(東京都)
2019/04/04 (木) ~ 2019/04/13 (土)公演終了
満足度★★★★
足立区綾瀬にある、アトリエのような劇場で観てきました。
まるで、ドラマを見ているようでした。
人の芯からの生きる強さを見せてもらいました。
役者と音楽と照明と共に舞台を創っていく、、、途方もないものに感じられました。
次回作品も観てみたいです!

SHOOTING PAIN
ピヨピヨレボリューション
インディペンデントシアターOji(東京都)
2019/04/05 (金) ~ 2019/04/16 (火)公演終了
満足度★★★★★
ライブstyle演劇 が ますます すごくなって と 思いましたのでした
FRESHとRIPEの両公演観ましたら どちらも すごくて 全然違う と 思いまして て
とても よかったのでした

うえんでぃーず
東京ノ温度
赤坂CHANCEシアター(東京都)
2019/03/29 (金) ~ 2019/04/01 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/03/31 (日) 13:00
座席1階1列
今回のモチーフは『ピーターパン』
夢ばかり見て大人になろうとしない大人たちへのメッセージかな
個性的な濃ゆいキャラたちのはちゃめちゃな掛け合い、原作の蘊蓄が相変わらず楽しいです

つながりのレシピ
秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2019/04/05 (金) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/04/11 (木) 19:00
座席1階
亡き妻の残したパンのレシピ。会社人間で定年直後に妻をなくして閉じこもる夫が、妻がやろうとしていたことを引き継ぐようにして地域に溶け込んでいく物語。ホームレス支援をする団体でボランティアをする元ホームレス、精神的に病んでいる人たちが、この夫を支えるように取り囲むのがいい。
ホームレスへの世間の無関心、町内の偏見など、よく取材を重ねて練り上げられた脚本だと思う。親の過干渉で引きこもる少女が元ホームレスのメンバーとパンを焼くことで自立の道を歩こうとする話も、リアリティがあった。しかし何よりも、ホームレスとか精神病とか引きこもりとか全く関心がなかった定年後の会社人間が大きく変わっていくのが、この舞台の見どころだ。
台詞の中に「自分たちは普通の人間」といってホームレスとは違うという場面が出てくる。何が普通かというものさしがいかに狭い世界で使われるのかということを、この舞台は実感させてくれる。

今、何時?
スナック来夢来人
北池袋 新生館シアター(東京都)
2019/04/10 (水) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★
劇団スナック 来夢来人 旗揚げ公演 「今、何時?」
まだまだ荒削りな部分は目についたが、ストーリーの妙と後半に向かってのスピード感は爽快でした。
旗上げ第2弾も期待しましょう。

かえるバード
玉田企画
小劇場B1(東京都)
2019/04/04 (木) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
観客の笑いのツボを的確に突きつつも、不意にその笑顔を引き攣らせ、自問自答させられる場面がいくつも。男女間や友達同士、あるいは風俗の客と業者など、お互いが発する言葉のやりとりによってパワーバランスがあっちにいったりこっちにいったりするのがスリリングで惹きつけられる。
これまで何本か玉田企画のお芝居を観てきましたが、1,2を競うくらい好きかも。傑作といって過言ではないと思う。あと、山科さん演じる関西弁の偉そうな男、毎回ムカつく!(褒めてます)

フラッシュバック
チタキヨ
恵比寿天窓.switch(東京都)
2019/04/11 (木) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/04/11 (木) 14:30
チタキヨの4人が40歳になったのを記念しての公演。物語の達人・米内山の実力を遺憾なく発揮してて、役者陣もしっかり演じて、非常に面白い舞台になっている。20年前にアイドルとしてデビューし、1曲だけヒット曲「フラッシュバック」を出した3人組「イエローバード」が、あの人は今、的な番組で取り上げられる。3人の現状はさまざまで、それが絡み合ってのさまざまな出来事が面白い。最後は少しジンとさせてくれるのも、米内山らしい。チタキヨ3人の女優の歌って踊る姿も興味深い。男性と女性では感じるものが違いそうだが、面白い作品であるのは間違いない。

正造の石
劇団民藝
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2019/02/14 (木) ~ 2019/02/25 (月)公演終了
主役の女性がとても可愛らしく見えました。
先輩役者方が周りを固めていたので、彼女がより素敵に見えたのかなーと思いました。
悲しさと温かみのある作品でした。

ヒトハミナ、ヒトナミノ
企画集団マッチポイント
駅前劇場(東京都)
2019/04/10 (水) ~ 2019/04/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
知的障害者や身体障害者の性介護問題。
男性だけじゃなく女性の方も。
少しでも踏み外した意見するだけでもお前は何様の世界。というか、
今リアルにある介護現場の問題。
丁寧に書かれた脚本と演出。良かったです。

1つの部屋のいくつかの生活
オフィス上の空
吉祥寺シアター(東京都)
2019/04/06 (土) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/04/10 (水) 14:00
座席1階A列6番
鵺的「修羅」
一昨日、解体社の舞台アフタートークで散々いじられたH氏(あくまでも演劇論でですよ)の名前が、この舞台でまた語られたのは一人含み笑いしました。やはりK劇場は使用料が安いのですね。(このネタも一昨日に出た)
さて、小劇場ネタで適度に笑いを取った後は、確かに鵺的世界。
それでも、いつもよりは抑え目かな。展開としては、予測可能な範囲です。
脚本うんぬんとか、演出うんぬんとかは敢えて言いません。
というのも、女優陣が豪華で、皆様が一堂に会して演じているだけで大満足。確かに鵺的に縁の深い方も多いのですが、いかにもな犬神家の一族的座席配置で、性と業を演じ切る。正面右端にVoyantroupe川添美和、左端にフロアトポロジー小崎愛美理、そこに挟まれる鵺的奥野亮子と堤千穂。随時登場する牡丹茶房赤猫座ちこ、ハマカワフミエ。
絢爛豪華。それぞれが、場持ちしていやあ満足、満足。
さて、4姉妹に最も強烈に因業含みの復讐をしたのは、腹違いの姉だったのですね。

毛皮のマリー(オリジナルver./未公開ver.)
青蛾館
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2019/03/14 (木) ~ 2019/03/21 (木)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/03/16 (土) 14:00
2019.3.16㈯PM 13:00 東京芸術劇場シアターウェスト
麗らかに暖かいお昼の池袋駅の中を通り、東京芸術劇場シアターウェストへと、演劇集団アクト青山の小西優司さんが出演されていた青蛾館『毛皮のマリー~オリジナル~』を観に足を運んだ。
『毛皮のマリー』と言えば、美輪明宏。美輪明宏の『毛皮のマリー』をずっと観たいと思いつつ、チケットもなかなか取れず未だ観れずにいた舞台。寺山修司の筆になるこの舞台、アングラと言われるものに振り分けられるのだが、あけすけな描写や台詞、動きがあり、話自体も平成も終わろうとしている今でも、刺激も衝撃も強い内容ゆえ、俳優や演出の力量が問われる舞台でもある。
力量のない俳優と演出で上演したら、ただ醜悪で悪趣味、下品なだけの舞台になってしまうだろう。
今回、青蛾館が上演する『毛皮のマリー』には、美輪明宏により演じられ続けているオリジナルの寺山修司の戯曲の「オリジナル」版とニューヨークのラ・ママ劇場での公演の際に別のエンディングが書かれた戯曲が発見された「未公開ラ・ママ」版の2つを上演。
私は、「オリジナル」版を観劇。「未公開ラ・ママ」版の美少女役は中村中さんだったので、両方観たかったのだが時間の都合で観られなかったのが悔やまれる。
舞台上に置かれた浴槽に身を沈めるマリー(のぐち和美さん)が、執事(加納幸和さん)に体毛を剃刀で剃ってもらいながら、養子の欣也(安川純平さん)の話をする所からこの舞台は始まる。
贅沢に設(しつら)えた一室に住む中年の男娼「毛皮のマリー」は、産後の肥立ちが悪くて亡くなった、かつての同僚、金城かつ子の息子、美少年の欣也を引き取り共に暮らしている。
欣也はその部屋から出たことがなく、マリーが部屋に放った蝶を捕まえては標本にして暮らしていたが、ある日、上の階に越してきた謎の美少女によって、マリーと欣也の関係がかき乱されて行き、やがて欣也とマリー、それぞれに隠された秘密を欣也が知った時、思いもかけない結末に向かってゆく。
描写や台詞、動き、所作、衣装全てが淫靡で猥雑でありながら、嫌悪感を持たずに惹き込まれて観てしまったのは、そこにどうしようもなく残酷でありながら不器用で、狂おしいまでのマリーの欣也に対する母親の愛というものを感じ取っていたからだと思う。
生い立つに従って、自分の中にいる少女に気づき、身体と心の性が違う事に恐れ惑った時、そんな自分を受け止め少女として接し、優しくしてくれたかつ子が、マリーが美しい少女になって行くことに嫉妬し、マリーが男である事を他の同僚の前で暴き、笑いものにした事で、マリーは金で雇った男に襲わせ、孕み産み落とし絶命したかつ子の息子欣也を最初は復讐のために引き取ったにしろ、産まれたばかりの頃から自分を母と呼ぶようにしつけ、母として振舞っているうちに、母性が目覚めて行ったのではなかったか。
そしてその母性は、欣也の出生に関わる秘密と自分が生みの母にした仕打ちを知られたくない、欣也を失いたくないあまり、欣也を部屋から外に出さず、世にある醜いもの、醜い事から隔離し、羽根をもがれて飛べない蝶のような、時を止め、標本にされた蝶さながら欣也の成長を止め、永遠に美しい少年のまま留めようとするマリーの心情が、18歳の欣也に子供のような半ズボンを履かせたのではないだろうか。
自分の出生の秘密を知り、マリーの元を出で行ったもののマリーの『欣也!帰ってらっしゃい』という、叫びに手繰り寄せられるように戻って来た欣也を世の醜いものから守る為に、ドレスを着せ、カツラをかぶせ、口紅を塗り、少女にして部屋から、そしてマリーという、母という檻もしくは胎内にも似た繭のように閉じ込める事で、欣也を護ろうとしたそれは歪み過激ではあるがマリーの母としての愛だったのではないだろうか。
美少女(日出郎さん)の出現により、マリーとマリーの世界を屈託もなく信じていた欣也は、揺さぶられこの世界が壊される事をおそれたのではないだろうか。出生の秘密を知り、母に憎まれているのではないかと思い、心と神経が乱された時、美少女にキスされそうになったり、身体に触れられ、無意識下に育まれて行った欣也の中の「大人になりたくない」という、ピーターパンのような大人になる事への恐れ、大人になる事によって、世の中の醜いことを知らなければならない戦(おのの)きから、美少女の首を絞め、我を失くし、美少女からもマリーからも、自分に絡みつき縛るものから解き放たれたくて外へ出てみたものの、そこは欣也を受け入れる世界ではなく、汚い言葉や嘲り、無垢で無知な心を傷つける場所だったのではないだろうか。
だからこそ、マリーの呼ぶ声に、蜘蛛の糸に絡め取られ引き寄せられるかのように戻り、マリーのされるがまま少女の姿をさせられ、自らもまたそれを受け入れたのではなかったろうか。
内容が内容なだけにかなり濃厚な艶っぽさはあり、好悪が分かれる舞台だと思うが、私は嫌悪感なく 毛皮のマリー の世界に見入って、好きだ。
美少女役の日出郎さんが、時に可愛く、時に綺麗で、時に毒を孕んでいてとても素敵だった。
寺山修司独特の耽美な猥雑さと暗い水底に潜むような毒を孕み媚薬のような、アンセリウムの危ない香りのような世界に彩られた舞台だった。
文:麻美 雪

ハイライト
うさぎストライプ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/04/03 (水) ~ 2019/04/08 (月)公演終了