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闇にさらわれて

闇にさらわれて

劇団民藝

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2019/06/23 (日) ~ 2019/07/03 (水)公演終了

満足度★★★★

ヒットラーのナチ政権の所業は20世紀の悪夢と言うが、今なお繰り返し舞台でも上演されるのは、まだその悲劇を克服されていないからだろう。
「闇にさらわれて」は2014年初演のイギリスの戯曲。テレビ出身のマイク・ヘイハーストの処女戯曲の民芸による日本初演だ。ユダヤ籍の青年弁護士(神敏将)が、ナチ政権以前にヒトラーを裁判の証人としたことで疎まれ、政権発足後に捕らえられ、強制収容所に収容される。一幕は彼の獄中生活。第二幕は彼を解放しようとする母(日色ともえ)の闘いが軸で、舞台は進む。
戦後70年を超えると、ナチ、反ナチの単純な対立項ではドラマは成立しない。身の回りで起きる小さな日常が積み重なって、ヒットラーの社会は生まれる。そこを、この作者は、一幕の単純な反ナチの弁護士と獄窓を共にする同志から始まり、現実派の父親や、行動論理があやふやなナチ親衛隊員、二幕には同盟を試みようとするイギリス貴族(篠田三郎)を、配して重層的に検証していく。なぜあのような悲劇が生まれたのか。
ヒトラーが率いた政治体制のホロコースト、侵略主義、選民思想などは、まず明確に責められるべき要因ではあるが、政治であれ、経済であれ、はてまた学術の世界であれ、全体を覆う風が強く吹けば、それに乗じる日常の権威は生まれ、その権威は暴発する。風の中にいる人間は気がつかないのだ。そこは現代のポピュリズムにも通じるところだ。
「アンネの日記」をはじめ、戦争の検証では多くの舞台を上演してきた民芸の舞台だから、今回の新作も無難に進む。一幕の獄中の描写などは、いささかパターン化しているが、基本的は「母もの」なのに、情緒に流れず、無理に結論を急がず、戦争ものは手慣れた、という感じだ。
しかし、多分、この公演の一番の問題点はそこだろう。
年金受給年齢を越える老人が圧倒的に多い客席は、民芸らしい舞台で安心して見ている。
だが、本当にこの芝居と向き合ってほしい戦争を知らない世代がいない。老人は夜道が不安だろうと若者が見られる夜の公演はわずかしかない。いつも常打ちにしているサザンシアターの舞台も地方の公会堂を回るサンプルとしては便利であろうが、いつまでもそれに安住した咎が出ている。舞台と客席の間に馴れ合いの冷たい風が吹いている。現実には、民芸は、もうこの中劇場は荷が重い。
キャストは9人、もっと小さな劇場でやってみたらどうか。例えば風姿花伝。トラムとか東芸の地下のような既成の場所でなく、まだ形の決まらない劇場でやってみる。俳優も演出も、それはもう、パラドックス定数やチョコレートケーキよりはるかに手だれのキャストスタッフが揃っている。観客にとってもベテランの新しい発見があるだろう。それは経費が、友の会が…と制作部は言うだろうが、もうそんなことに構っている場合ではないだろう。ほかの上演団体は皆ここで勘定を合わせているのだから。


CINEMATIC

CINEMATIC

Lady Bunnies Burlesque

Studio Freedom(東京都)

2019/06/26 (水) ~ 2019/06/26 (水)公演終了

満足度★★★★

自分らしさを表現するLady Bunnies Burlesqueと、夢の世界の物語を描くGN.BBs。
それぞれのコンセプトを活かした2つのグループが初タッグを組んだCINEMATIC公演。

その公演日はたった1日の豪華・贅沢なもの。妖艶という行儀のよい言葉よりはもっと色っぽさを強調した内容である。それは出演者が女性として、その肢体・姿態を十分意識し強調して観せようとしている。この公演は理屈的なことは抜きにし、その場の雰囲気を楽しんだほうが好いと思ったが…。

この公演の最大の魅力は、観(魅)せること、観客に楽しんでもらうこと。それがしっかり伝わり、1時間30分がアッという間に過ぎた。まさしくエンターテイメントと呼ぶに相応しいショーであった。
実際観て体験しなければ、その楽しさは分からないが、少なくとも会場内は大盛り上がりであった。
(上演時間1時間30分 途中休憩10分)

ネタバレBOX

公演は司会であり道化師でもある りんたろう氏の前説の後すぐ公演が始まる。メンバー構成はシンガー、ダンサー合わせて10名。その全員が妖艶・セクシーまたはダイナミックなダンスで大人の世界観や子供心のようなキュートでハッピーな演出で魅了していく。またセクシーな衣装(替えも楽しみ)に身を包み、ステージ上だけでなく、時には会場に降り立ち、客席の間を体をくねらせ踊(躍)り抜ける。
歌は、キューティーハニーなど全22曲を聴かせる。その曲の間の話も面白く会場・観客の気を逸らせない。観客・出演者やスタッフが一体となって熱狂と興奮を演出したワン・ナイト。商魂逞しく、出演者へチップ(Carrot)を衣装等に挟み込んだりして渡すシステムが…バーレスクショーのような、遊び心を誘うもの。

気になった点が2つ。
1つは、歌やダンスの振り付けと後景に映し出す映像の雰囲気が合わない。例えば黒い衣装にダーク系の映像は遠くから(Standing席で)観る人にとっては人物が埋没してしまう。また海と夕陽の風景の映像をバックにダンサーが後ろ向きで踊るシーンは、映像をワザと手振れまたはコマ送りをしているようで、せっかくのダンスに集中できない。人物(衣装等)やダンスの魅力と映像や照明のコントラスト、調和に工夫が必要ではないか。
2つ目は、冴月里実さんの歌唱が弱く、第1回の「Lady Bunnies Burlesque Live vol.1」の時に比べると元気がないように思えたのが心配であり残念でもある。

それと制作サイドは、入場時の対応をもう少しスムーズに行わないと開演時間が遅れる。

次回公演も楽しみにしております。
山兄妹の夢

山兄妹の夢

桃尻犬

シアター711(東京都)

2019/06/26 (水) ~ 2019/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/06/26 (水) 19:30

100分休憩なし。
話全体が、ドライで、軽くて、ポップ。他人の呪縛に囚われたり、驚く裏切りがあったり、しょうもない理由で死んでしまったり、宗教にハマったり・・・。どうにもならない中でも、生きていかないといけないっていう人間のありのままの姿を、感動でもなく、コメディでもなく、ただただ、淡々と明るく描く。独特の舞台テイストが楽しい。
安直な感動の結末を、見事に避けているのが、逆に爽快で気持ちがいい。涙なんて微塵も流れなかったけれど、人が生きる事の滑稽さを、重く深くえぐり取っている作品に感動した。

傷心る(えぐる)~愛を語る資格・改

傷心る(えぐる)~愛を語る資格・改

獏天

Geki地下Liberty(東京都)

2019/06/25 (火) ~ 2019/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

私があのお父さんだったら、相手を憎んでも殺そうとまではしないだろうけれど、幸せになってほしくないと強く願ってしまうだろうと・・・

ネタバレBOX

殺すに至った過程が今ひとつ分からなくて、自分なりにジャッジできないのがもどかしかったです。タイトルと説明文から傷心(えぐ)られる覚悟で行ったのですが、ちょっと肩すかし食った気分でした。
ベストアルバム(仮)

ベストアルバム(仮)

lovepunk

劇場MOMO(東京都)

2019/06/25 (火) ~ 2019/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しかったです!(追記予定)

山兄妹の夢

山兄妹の夢

桃尻犬

シアター711(東京都)

2019/06/26 (水) ~ 2019/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

うっわ~見事なアモルファス構造演劇って思えました

不条理演劇のようで そうでなく
筋が通っては いるような いないような
話は理解し易いんだが
なんというか
いろいろと ぶっ飛んで ぶっ壊れてるような感じを受けた
95分の作品

自分的には大変面白うございました(^-^)

杮落としじゃけぇ
詳しい作品話は まーぼちぼちなーと

愛鯛

愛鯛

鯛プロジェクト

OFF OFFシアター(東京都)

2019/06/13 (木) ~ 2019/06/18 (火)公演終了

満足度★★★★★

関西から参加のオパンポン創造社さんは、笑いの照射と相反する心の表現に脱帽でした。
関東の観客の笑いとココロを完全に掴んだ事をここにご報告致します。
また、全体的に今回は楽しめる内容で良かったと思います。

10分間2019~タイムリープが止まらない~【ご来場ありがとうございました】

10分間2019~タイムリープが止まらない~【ご来場ありがとうございました】

中野劇団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/05/24 (金) ~ 2019/05/26 (日)公演終了

満足度★★★★

独特の間とリピートで静かな笑いと余韻を醸し出す舞台を観劇。
派手さはないが丁寧に練られた笑いのカプセルを一つずつ開けていく様な舞台でした。
終演後に舞台名を見て納得して帰りました。

すべては原子で満満ちている

すべては原子で満満ちている

小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/06/14 (金) ~ 2019/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★

台詞と体現の一体感が凄く印象的で、頭で感じる暇がない程に視覚と聴覚がフル回転の舞台でした。
難しさは相変わらずでしたが、楽しませてもらいました。



ハミングバードへようこそ!

ハミングバードへようこそ!

演劇ユニット 少年cycle

サブテレニアン(東京都)

2019/06/20 (木) ~ 2019/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/06/21 (金) 19:00

価格2,500円

母親との確執から生まれ育った小金井を離れ北海道の大学に通い一人暮らしをする玲奈だったが、幼馴染の要請で夏休みの間だけ小金井を拠点とするヒーローショー、キャラクターショーの運営会社の手伝いをすることになる。しかし仕事内容は当初聞いていた「事務処理」ではなくヒーローショーのキャストで……な物語。
そんな内容ゆえヒーローショー(やキャラクターショー)の担当者毎の仕事内容の説明はあるわ基本的にバックステージものだわ、さらに主人公と家族とのこじれた関係の行く末も語り、「まさかのアノ人」の擬闘まであってとてもよくできた作品でありながら「ある理由」によって集中力を削がれたのが残念。

集中力を削がれた原因は、開演後に来場した5人(1人、3人、1人)の客。
開演が6分も遅れたのはコイツらのせいではないか?(しかも遅れせた6分間には到着せず、結局開演してから到着、うち1人はお加減でも悪いのか大半の時間、俯いていらした(まさか寝ていたのではないよね?))もしもそうだとすれば、主宰が開演定刻に客席にいた多くの客よりこの時間にルーズな5人のトンチキを大切にした理由は何か?などの邪念に囚われていたもので。
なお、会場の構造から言って開演後に遅れた客を誘導することに何の問題もなかった。

山兄妹の夢

山兄妹の夢

桃尻犬

シアター711(東京都)

2019/06/26 (水) ~ 2019/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

初めての桃尻犬でしたが、いやー、自分の知らない面白い劇団がまだまだ沢山あるのだなあという驚きと嬉しさで、帰りの電車の中で思い返してはニヤニヤ。初日だし、あまり余計なことは書かずにおきます。

トリコロールスター

トリコロールスター

X-QUEST

インディペンデントシアターOji(東京都)

2019/06/15 (土) ~ 2019/06/26 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/06/25 (火) 19:30

 『なにもない空間の男』を見た。そもそも3本立てなる企画そのものが無謀とも言えるのだけれど、それをやりきるのがスゴイ(*_*)!。本作のみ新作で、他の2作とは全く傾向が違う。劇作家の男を軸とした物語は、単純に見えてそうはいかないあたりがトクナガらしい作りで巧妙(^_^)v。衣装もシンプルで、ストーリーも分かりやすく、1日で一気に観たが、これが最後で良かったという気がする。

闇にさらわれて

闇にさらわれて

劇団民藝

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2019/06/23 (日) ~ 2019/07/03 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/06/24 (月) 13:30

座席1階

記憶が間違っていたら申し訳ないけど、コンラート博士のせりふで「良心が重なり、共謀罪になる」という一瞬があったような気がする。何だかドキッとして心に残ったのだが。多くの市民の良心が積み重なって一つの事実が作られていき、それが当局によって共謀罪に仕立て上げられていく。つまり、一人一人の市民は良心から行ったことが、最後は市民が政府にたてつく共謀として立件されていく。そんなふうにとってしまったのだ。
単なる聞き違いかな、とも感じたのだが、タイトルにもある「闇」は、自由にモノが言えない、息苦しい闇であり、たてついたものは拷問の末消されていくという世の中だ。
以前なら、遠い昔のファシズムの歴史的一幕とか軽く受け流すことができる舞台だが、今の日本は身につまされる恐ろしい演劇だ。シャレにならないというか、冗談では済まされないというか。そうした闇にたった一人で立ち向かっていくお母さん、イルムガルトはすごいと思う。ドイツ当局は女性だから手荒な真似はしなかったようだが、現代中国では女性でも政府にたてつくものは平気で幽閉し、拷問をする。昔話ではない。市民の他愛ない話を共謀罪にかけることができる法整備が既に終わっている日本だから、もう他人ごとではないのだ。
以前からあった名作という感じだが、2014年英国初演の舞台という。民藝が日本初演ということでチャレンジした。イルムガルト役は看板女優の日色ともゑ。この長大な会話劇を小柄な全身をいっぱいに使って演じきった。パンフレットによると、この役柄の女性への思い入れはずっと前に経験したあるエピソードが源流という。強い芯のような一本の筋が、彼女の舞台を支えていたように見えた。
翻訳と演出を担当した丹野郁弓が「読むだけでも精神的は疲労度は相当高い」と漏らした硬派劇だ。見る方も心してかかりたい。

舞台「アンフェアな月」第2弾 ~刑事 雪平夏見シリーズ~ 殺してもいい命

舞台「アンフェアな月」第2弾 ~刑事 雪平夏見シリーズ~ 殺してもいい命

刑事・雪平夏見シリーズ製作委員会

サンシャイン劇場(東京都)

2019/06/21 (金) ~ 2019/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

緊迫感のある雰囲気がステージ全体に広がっていた。中日を過ぎたせいか、出演者にイイ馴染み感と気迫が強く感じられた。主演の篠田さん、“出来る女”の身のこなしが見事だった。こんな風に成長しているとは思いもしなかった。
ただ残念ながら、後半どうもまとめに走ったというか、後半から登場するキャラが端的ではなく、もっと細かくかかわってくるともっと面白かったのかも?展開があっという間で、前半に比べ、慌ただしい終わりだったような気がする。もっとじっくり仕上げて欲しかったなと個人的には思う。

アップデイトダンスNo.63「マネキン 人形論」

アップデイトダンスNo.63「マネキン 人形論」

KARAS

KARAS APPARATUS(東京都)

2019/06/17 (月) ~ 2019/06/25 (火)公演終了

鑑賞日2019/06/25 (火) 20:00

価格3,000円

20:00の回。最終日。

膝→足→腰痛で「No.62」を欠席。だいぶよくなったので復帰。

事前に数点の画像をみていましたが始まってみるといつものようにとても暗い舞台。そこにうっすらと...

舞台上には、
赤:勅使川原さん
白:ミシンをこぐ女にして上演中ほぼ静止状態で座り続ける女(半人/半人形?)
白:マネキンの女(2体)
いつの頃からいったい何を映してきたのか大きな姿見鏡。
そしてミシン。

これをソロというのかカルテットというのか。

「4人」はずっと舞台上。

妖幻な照明が姿かたちを変え、闇を引きずり込み暗い帳で囲むかのような印象。そのわずかな隙間から決して抜け出せない精神の閉鎖空間。

一方で、外界との境界として使われる「ガラス板」が舞台上で破砕されます。以前、「上映会」で大量のガラスを使った公演を見ましたが、ここAPPARATUSでは初めて。リアルに砕け散る音とギラつく反射は無言の「4人」と対照的。

「静止状態の女」は終始黒髪がかかり顔が見えません。もしかしたら本当に微動だにしなかったのかもしれませんが、見ている方はそんなことはないと確信しているので、揺れているように見えてきたのでしょうか。とても不思議な感覚、闇に対する恐怖、畏怖?

また2体のマネキンはどうみてもマネキンですが、もしかしたら目を動かしたり腕を動かしたりするのではと。

なかなか落ち着いてみてはいられません。

もちろん「静止状態の女」の方は終わって挨拶をされました。それでもどなたなのかわからず、たぶん闇の世界に還っていったのではと。

パルス音、ノイズ、クラシック。

追伸 公演タイトルが「アップデイトダンスNo.53」でしたので「63」に直しました。

雪女

雪女

URARA

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/06/24 (月) ~ 2019/06/24 (月)公演終了

満足度★★★★

筋に忠実って感じでした。

ネタバレBOX

雪女の話の一人芝居。

雪女の話を朗読で聴いているような感じでした。

プロジェクションマッピングで男と女の特徴を映し出していたのは面白かったです。氷の針って痛そう。
ジャン×Keitaの隊長退屈男

ジャン×Keitaの隊長退屈男

青年団国際演劇交流プロジェクト

アトリエ春風舎(東京都)

2019/06/22 (土) ~ 2019/06/26 (水)公演終了

満足度★★★★★

三島景太さんの1人芝居。なのにラストまで、舞台上の熱量がまったく変わらず、惹き付けられた。凄すぎる。そして、これが翻訳モノとは! の驚き。


(ネタバレBOXへ続く)

ネタバレBOX

この作品で唯一の軍歌に導かれて、冒頭から少しの間は威勢の良い言葉が並ぶ。
しかし、そこに「過去の思い出」が紛れ込んでくる。
軍隊での演芸会のようであり、また明らかに盆踊りの櫓でもある。黒白の提灯と紅白幕の残骸。

隊長はお盆に帰って来ているのではないか。

隊長によって行われる、一種の狂乱のような踊りや流れる歌謡曲、それは彼の頭の中での出来事だろう。

これを見ながら思い出したのは、映画『ジョニーは戦場へ行った』で、手足を失い五感も失ったジョニーが、意識があるのに誰ともコミュニケーションをとることが出来ずに、頭の中でひたすら過去を思い出し、妄想を重ねていく。

隊長のこれらも、ジョニーのそれと同じではなかったのか。

隊長は自分の頭を撃ち、ジャングルに朽ち果てようとしている。
たぶん部下などにそのまま置き去りにされたのではないか。戦傷ではなく自殺だからということもあろうか。

隊長は、死ぬまでのわずかな、あるいは延々と続く時間を自分の過去や妄想の中にいるのだ。

そしてその妄想の中で、軍隊の演芸会と郷里の盆踊りが交錯して、一人舞台が始まっている。母や家族のこと、彼にかかわりのあった女性たちの象徴が赤いドレス。彼は彼女たちとも一体化していく。
軍人である彼も時折顔を見せる。

酒を櫓の周りに撒き、死者と生者との間に結界を作る。ビンからこぼれる砂は骨。線香を点け、供養が続く。彼自身が自分も含め供養していくのだ。

草の陰に斃れ、土に還っていった、数百万人の人々。日本人だけではなく、軍人だけでもない。そうした人々へのレクイエムである。

彼を含む供養してもらえないまま異国の地に眠る人々に向けての供養。時間とともに忘れられていく人々への供養。

彼は櫓の上にいて、ジャングルの道ばたにもいる。そして朽ち果てていく。それさえも彼は見て(感じて)いる。

ラストは彼の魂が天に昇っていくようであり、あまりにも美しい。
しかし、ジャングルの道ばたで斃れ土に還った彼の、いや彼らの魂は、天に昇ることが出来たのだろうか。

彼が終始話していた「揺さぶるのはやめろ」の意味は、「死者を忘れるな」ということであり、さらに「死者を起こすな=2度と同じ過ちを繰り返すな」ということではなかったか。

そうした意味においても、この作品で気になったのは、彼が将校であり、すなわち職業軍人ではないかということだ。

彼はたぶん中尉で小隊長。
赤紙一枚で戦場へ連れて行かれた兵とは違うような気がするからだ。もちろん将校と言えども、望んで軍人になった者ばかりではないだろうが。

どうでもいいことだが、「そんな無理言うな」って話だが、隊長=三島景太さんの肉体があまりにも整いすぎていた(笑)。痩せこけた姿だったら、さらに鬼気迫ったものとなったのではないか。

私は、(運良く?)上演中にお線香を手向けることができた。
渡りきらぬ橋

渡りきらぬ橋

温泉ドラゴン

座・高円寺1(東京都)

2019/06/21 (金) ~ 2019/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

シライケイタ+いわいのふ健というと(私にとっては)あのバイオレンスの名作「殺し屋ジョー」である。説明を読むと本作はバイオレンスとは無縁の作品のようだが何か面白いものを見せてくれるのではないかと期待してやってきた。

にわか演劇ファンの私には女性脚本家長谷川時雨と言われても全く知らないし、その内縁の夫で流行作家の三上於菟吉もまったく縁がない。…と思っていたら於菟吉の代表作は「雪之丞変化」であるという。これは子供のころ母とTVの劇場中継で観たことがある(と思う)。つい最近、長谷川一夫主演の映画(1963年)も録画したばかりだ。ちょっとは接点があるということでテンションが少しだけ上がった。

ジョーも今回は日本髪に着物で登場する。あの格好良いジョーも「ごつい」女になってしまったがまあ合格だ。

男性が女性を演じるメリットは表現がマイルドになることだと感じた。色々と女性の権利について主張されると、正直、私の中でも「ピーチクパーチクうるさいなあ」という偏見が顔を出す。しかるに男性のフィルターを通すと「まあそれはそうだよね」と妙に物分かりが良くなったりするのが面白い。逆に悲しみもマイルドになるのはデメリットだ。時雨が於菟吉の浮気に悩まされても彼女に辛い様子が感じられなかった。もっとも12才年上で彼の才能を見出したことに誇りを持っていたであろう彼女には辛さを打ち消す満足感があったのかもしれない。それなら本作ではそこはデメリットではなく狙い通りということになる。

殺し屋ジョーに導かれて全く異なるところに来てしまったが、1時間55分飽きることもなく、初めて来た土地の景色をただあるがままに楽しむように、それなりに面白く観ることができた。

ベストアルバム(仮)

ベストアルバム(仮)

lovepunk

劇場MOMO(東京都)

2019/06/25 (火) ~ 2019/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

THE“女”スペシャルと言って良いくらいに“女”達がオンパレードの作品。
これは決して女性キャストばかり大勢出演されていた!という意味だけでなく、男からして見ると、その精神構造やら守るべき諸々やらが、何かと「うぅぅむ、そうかぁ、そういうものかぁ」・・・女性の業・ココロの塊たちが押し寄せてくる作品だったから。
安易に「うん、わかるわかる」とは言えないけれども、思わず「うぅぅむ、そうかぁ、そういうものかぁ なんか説得力あるなぁ」とただただ唸るばかり。
ほんの一例を挙げると「出る杭は打たれてしまうのだから!ハミ出したくないっ」という気持ちと「できれば自分だけ特別に輝きたいっ」という気持ちが矛盾なく同居する心理バランス・・・他者の女性の波に揺れ動きながらも愛らしく滑稽に・・・その流れ着いた先が一見「成れの果て」の様な姿であったとしても、もしくは愚行であったとしても、何とも憎めない。(でも笑ってしまったりはする)

女性オンリーの公演は数あれど、これだけ普通の成人女性の葛藤やら希望やらが渾然一体となった作品は初めてかも。
(全然普通じゃない有名な性悪も出てきますが)
しかも格言級の台詞もサラッとした軽やかさで笑いありで。

おそらくベストアルバムという事で、通常より濃ゆい作品。
ただ普通ベストアルバムといえばシングルを羅列しただけであるけれども、本作は絶妙にそれぞれが繋がっていて、壮大な女のヒストリーとなっていました。
人生とはヒットがあろうがなかろうがベストアルバムのようなものか。

オフィス上の空プロデュース・トルツメの蜃気楼

オフィス上の空プロデュース・トルツメの蜃気楼

オフィス上の空

ザ・ポケット(東京都)

2019/06/19 (水) ~ 2019/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/06/20 (木) 19:00

座席H列2番

2016年秋の初演は校閲プロダクションのオフィスに会社見学に来ているような「0メートル演劇」ぶりだったが、そこから「劇場版」に変貌。
上演時間も15分ほど長くなり、おそらくユリとアヤの関係が主な加筆部分であろう、初演時は校閲プロダクション部分の印象が強かったが今回はアイドルパートの印象も濃厚に。
そのアイドルパート、終盤で音楽プロデューサーが説く現実の厳しさにいたく共感、と言うか、アイドル志望のコの主張が(設定年齢にしては)夢のまま過ぎてイタい。しかし実際にアイドルを夢見る側にいそうなのがリアル。
そして校閲プロダクションパートもそれぞれ異なる個性の人物がいかにもいそうで引き込まれる。
初演の現場に居合わせているような感覚の刷り込みによるものもあろうが松澤くれは作品で人物や事象への共感度は本作が1、2を争うかも?
なお「春名風花asアヤ」バージョンを夢想したのはσ(^-^) だけではあるまい。

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