最新の観てきた!クチコミ一覧

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女の子がかわいいだけの話

女の子がかわいいだけの話

獣の行進

インディペンデントシアターOji(東京都)

2019/08/30 (金) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

衝撃的でした。素晴らしかったです!

ネタバレBOX

クラスメートの自殺の原因を調べ出した女子高生が、若者を洗脳する組織があることや女子高生自身の独特な性癖を認知するに至る話。

人肉食にまで話が及んだことに衝撃を覚えました。
√ ルート

√ ルート

Pカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/09/04 (水) ~ 2019/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/09/04 (水) 19:00

座席1階

興味深い作品が続くPカンパニーの「罪と罰」シリーズ。今回は道徳の教科化をテーマにいじめゼロのモデル校の小学校を舞台にしたいじめ自殺の物語。真正面から今の教育問題の一番リアルなところに切り込んだ。
道徳の公開授業のための会議から、物語がスタートする。授業を行う女性教師の子どもが熱を出したと保育園から電話があるが、これが舞台後段の伏線となり、強烈な結末を描き出していく。
原作を書いた山谷典子は文学座の俳優であり、劇作家だ。タイトルのルートは言うまでもなく平方根なのだが、この記号に込めたストレートなメッセージがラストシーンで意外な人物から明かされる。そのメッセージが、われわれ大人に厳しい問いかけをしてくる。それはいじめ自殺という形で12歳の命を切ってしまった少女への、大人社会からの贖罪だ。
政府が導入した道徳の教科化は、人の内心を点数化するのかと大きな議論になったが、それよりも今回の舞台は、こんな大人たちに道徳を語る資格があるのか、と訴えている。教師同士の会話や、さりげない学校の風景など、よく取材され練られた作品だ。最後のモノローグのような場面がやや長いな、と思ったが、気になったところはそれくらい。テンポよく進む1時間40分の簡潔な舞台だけに、終幕後に感じた心の震えがより大きくなる。
今日が開幕日。間違いなく秀作だ。見逃すと損するぞ。

ネタバレBOX

校長が記者会見で最後までいじめを認めない場面が強烈だ。亡くなった子供は祖母、母との3人暮らしだが、その母親の職業が人権派ジャーナリストという設定もこの記者会見で明かされる。「自分は何を書いてきたの?」と自問する姿は、ジャーナリストとしての悔恨であり、同業者として胸に響いた。シナリオとして「ああ、よくそういう設定を思いついたな」と感心させられる場面だった。
サイバーリベリオン

サイバーリベリオン

ジョーカーハウス

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2019/08/31 (土) ~ 2019/09/02 (月)公演終了

満足度★★★

悪魔ver 観劇。七味まゆ味さん目当てに行きましたので,充分目的は達成できました。ストーリーは,お好きな方には堪らないのでしょうね。自分的にはちょっとついて行き遅れてしまい,説明もあったのですが追い付かず,取り残され感の観劇でした。そのため,演出,演技共にもう少しと思ってしまいます。それでも,熱心なファンもいるようで,今後,機会があればもっとわかりやすい世界の話で観劇したいと思っています。

サイバーリベリオン

サイバーリベリオン

ジョーカーハウス

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2019/08/31 (土) ~ 2019/09/02 (月)公演終了

満足度★★★★★

映画で観たことのあるような世界観でしたが、シリアスな中にも遊びがあり、面白く楽しいステージでした!
いろんな意味でジェイソンが良かったです!

YES I AM …

YES I AM …

W.Strudel 2nd Season

近鉄アート館(大阪府)

2019/08/23 (金) ~ 2019/08/26 (月)公演終了

満足度★★

シンギュラリティ AIは人の仕事を奪う 人はやりたい事をすればいい AIの家事をだれが取るか ともに進化 必要のない人間を排除 えらばれた人間 さらに一年後資金援助 消えた研究者 妹 AIではなく研究者の兄自身 妹を守るため。大切な物を守るため。に。

潜狂

潜狂

第27班

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2019/08/23 (金) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

食指が動いた理由を会場に来て思い出した。下手にグランドピアノ、上手にドラムス。楽器に合わせたような鏡面加工の黒い床や台の側面が、控えめな照明に光沢を放っているといった具合。音楽が大きく入り込んで来る、その瞬間は冒頭に訪れた。ドラムをこれから叩こうとする青年に、年輩の女性が指導するように声を掛ける。(手を打ちながら)「最初はハイハット」。・・オモテ(強)ウラ(弱)と物語序章的に秒刻されるリズムの中、役者が各所で会話を交わす。「同じリズムをキープし続ける事」。・・鳴り続けるリズム。「オープン」(小節の最後にシンバルを開いてチーと鳴らす)。・・長い時を刻んで行く。場面は続く。「次はスネア」(三拍目に入れる)。・・「最後はバス」(一拍目)。各所で進行する場面に、拍を刻む行為が重なり三重奏、やがて映写板が浮かび、タイトル、俳優スタッフ名が映し出され、一気に暗転(音も落ちる)。
作り手は形態にこだわっている事が分かる。「生演奏」をやってしまう音響家?も居るがそれは「音響」の範疇、であるのに対し、お話じたいに音楽が絡み、物語の必然で流れた音楽が結果的に「音響」効果を持つことになる演劇の一形態は、それ自体珍しくはないが、この舞台のような繊細な現代口語の登場人物に寄り沿うストイックな「音」、またピアニストとして登場する者が行う実演(素人からすれば十分「弾ける」人だがコンペには落ちる微妙な実力のライン)などは、稀有な形である。そして王道とも言える劇を締めくくるバンド演奏(劇中場面とも解釈でき、かつ劇の気分を包み込む音楽でもある)。萌える。
「アフロ」(演奏される「チュニジア」のリズム)と聴いて懐かしさに眩惑する自分には、音楽要素たっぷりの舞台なだけで点数ボタンを連打してしまうが、もっと成熟した彼らを見た時のために満点は控えておく。

ヘブンズサイン

ヘブンズサイン

ヒノカサの虜

スタジオ空洞(東京都)

2019/08/29 (木) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/08/30 (金)

30日ソワレ『ヘブンズサイン』(10分休憩込みの2時間40分)を拝見。
アングラ的な取っつきにくさを覚えつつも、その割には、スンナリと話の流れに入って行けたかなぁと。
オリジナル版を未見の身で言うのも何だが、今回のはかなりライトに仕上がっていたような気がした。

演じ手では
文字通り、カラダを張って頑張っておられた女優役・中谷真由美さんと
メイジ役・チカナガチサトさん
ドブス役・平野可里奈さん
のお三方が特に印象に残った。

ところでオープニングの出演者紹介で、急病のため降板した背広役・澤原剛生さんを「澤原剛生(役名の代わりに)病院!」とコール。
これには正直グッと来た。オジサン、こういうの、すぐに涙腺に来るんでマイっちまったw

【配役】
ユキ…大島萌さん
ユキの母親らしきヒト…佐藤蕗子さん
メイジ…チカナガチサトさん(『妥協点P』の宮武役とのギャップに驚く!)
マーサ内藤(保母)…稲葉佳那子さん
宇宙人…岡野桃子さん
山田(妻)…小川結子さん
山田(夫)…佐々木タケシさん
※精神病棟の患者グループよりも山田夫妻の方が病んでみえたなぁ
ユキの父…綱川敦さん
悲しい医師…長井健一さん
女優…中谷真由美さん
渋い医師…中村わかめさん
ドブス…平野可里奈さん
チョウノユメキチ…結城亜実さん
背広(澤原剛生さんから交代)/叔父…函波窓(かんなみ・まど)さん

リハーサルのあとで

リハーサルのあとで

地人会新社

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2019/09/01 (日) ~ 2019/09/10 (火)公演終了

満足度★★★★

地人会新社プロデュース公演二度目の観劇(前身の地人会は未見)。前回『豚小屋』は舞台こそ我が居処とばかり緩急自在であった北村有起哉と、田畑智子の濃密な二人芝居であったが、今作は三人、とは言え実質二人の対話劇×二組といった構成。長台詞も多い。そうだイングマル・ベルイマン作だった、と後で思い出した。劇は稽古後の演出家と女優、そしてかつての女優であるその母との対話。対話のテンポ感を見せる場面もなくはないが、俳優それぞれが単体でどのように存在しているかに目が行く。鋭く見入る観客の前で俳優は体まるごと舞台上に晒されるシビアな「現場」の趣きであった。初日、榎木孝明(初見)は貫禄を見せ、台詞の噛みがあっても余裕の風情だったが、机に座って台本をめくる所がカンペーに見えたのは残念(実際そうだったかも)。若い女優アンナは初々しさを出すなら正解だったが、役は母親失格な女優を母に持ち幼少より老成したかのような屈折を底辺に持っている今日この時、他に自分の居所を見出せない女優という職業への思いも同様に屈折しているはずで、今回の森川由樹にこの役はハードルが高かった。驚嘆は一路真輝の母親。演出家の言わば想念として登場するが、舞台奥から歩いてくるのが視界に入った時から空気がガラリと変わっている。私は何と貴重な存在を知らず見過ごしていたか、と後で名を確認して初見である事を恥じ、否、悔いた程。寸分の隙もなく連続性があり赤裸々に役の存在そのものを体現するのを凝視した。パンフには殆ど初めての挑戦、と書かれていたが、女優ここに有り、幸運な遭遇であった。

ネタバレBOX

演出家の深慮と達観、しかし俳優との関係ではしょせん、生け贄のような裸の存在に優位を示しているに過ぎない立場、むしろ女優の側に男には制御しがたい情念(生の輝き)が渦巻き、その魅力を観客の前に見せて差し上げなさいと演出家はただその裏の役回りに徹する、その営みが、稽古を終えた稽古場で展開しているようにも見える。客観・俯瞰の視線と主観の眼差しを目まぐるしく行き来する「演劇」の本質をその事によって言い当てたとも言える重層的な劇。
夏休みの友たち

夏休みの友たち

ハグハグ共和国

萬劇場(東京都)

2019/08/28 (水) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

ちょっと難しい(というか、わかりにくい)ストーリーだった。だけど、観ていて涙が出てきたので、訴えていることはなんとなくわかった、ということだと思う。関心したのは受付から入場、前説、終演、客だしまで、そのホスピタリティが今まで見た劇団の中でピカイチだったこと。演劇を初めて観る人に「是非!」と太鼓判を押せる、素晴らしい劇団だと感じた。

さなぎの教室

さなぎの教室

オフィスコットーネ

駅前劇場(東京都)

2019/08/29 (木) ~ 2019/09/09 (月)公演終了

満足度★★★★

コットーネの大竹野正典シリーズ、「埒もなく..」(大竹野伝)に次ぐ発展形第二弾は、大竹野作品「夜、ナク、鳥」を原案にした新作という試み。作演出=松本哲也(小松台東)、コットーネ企画でなくても観たいと思っただろうが、演技陣も目を引いた。
森谷ふみが降板、代役は演出本人と言うので、男女入れ替えも可な端役かと思えば、中心人物であった。松本氏が女装で、「この姿に一秒でも早く慣れていただく事がこの芝居を楽しむ要素です」とシナも作らず宮崎訛りで。戯曲も例に違わず宮崎弁。

昨年吉祥寺での大竹野戯曲舞台の記憶は朧ろだが、看護学校出の女友達4人組が如何にして保険金殺人をやる犯罪グループと化したか、を淡々と描いていた。今作はそれを土台に幾つか足された要素はあるものの(看護学校時代の四人のシーン等)、基本的には実話の下敷きがあり、女性らの姓を含め原作は踏襲されている。
今作の特徴と感じたところは、主導者ヨシダの強烈な人物像、執拗で細かい場面描写(小松台東特有)、場面の組み方(特に終盤)。最後のは、ラスト及びラス前で時系列的には唐突に過去、さらにその過去と空いたピースを嵌める具合に「全体図」を一気に(ぶっきらぼうに)完成させたような趣。
女装ヨシダ役については、松本氏の好演もあったが決してヨシダそのものでなく、言わば人形劇と同様「本物ではあり得ない」形代が「異形の人間」を観客の想像力で作り上げる媒介機能を果たした、という意味では(結果的に)適切な配役になった、かも知れない。
舞台は駅前劇場を両面客席に組み、ステージ上は動かせる白い立方体数個と小さめの白テーブル一つのみ。俳優の体一つで世界が立ち上がる様を高画素数で眺める緊迫の舞台ではあった。

ネタバレBOX

ヨシダの人物造形には難しいものがあり、今作では閉じた世界で権威と権力を持つに至る新興宗教の構造に近いものを感じた。仲間の結束、紐帯よりも騙す者騙される者の構図がより強く印象づけられ、そうなるとヨシダの行動の動機が少しぼやけて見えてしまった。
さなぎの教室

さなぎの教室

オフィスコットーネ

駅前劇場(東京都)

2019/08/29 (木) ~ 2019/09/09 (月)公演終了

満足度★★★★

途中でチラシが変わったのに気づいていましたが、そういうことだったんですね。複数パターンのチラシが出る公演もあるし、表の文章が同じだったので色違いのチラシもあるのだと思っていました。松本さんのヨシダが怖すぎました。松本さんだから怖いのか、女性が演じても同じように怖いのか分かりません。前説でおっしゃっていたように、慣れられれば良かったのかもしれませんが、馴染みきれませんでした。
事件の全容をよく知らないし、「夜、ナク、鳥」も見ていないので時々時系列がわからなくなり「え?この人ってもう亡くなってるってこと?」それでそのあとは?とか考えたりしてしまいました。
看護実習を終えて希望に満ちているシーンもあり、なんでヨシダに操られるように殺人に手を染めてしまうことになったのか、どこかで立ち止まることはできなかったのだろうか。

革命を起こすんだ

革命を起こすんだ

teamDugØut×マニンゲンプロジェクト

「劇」小劇場(東京都)

2019/09/03 (火) ~ 2019/09/08 (日)公演終了

満足度★★★

熱演がとてもよかった。熱いものを感じた。

革命を起こすんだ

革命を起こすんだ

teamDugØut×マニンゲンプロジェクト

「劇」小劇場(東京都)

2019/09/03 (火) ~ 2019/09/08 (日)公演終了

 自分がまっただ中に居たことと落差が大きい為、☆評価は控えさせて頂く。

ネタバレBOX

 タイトルを見て持ったファーストインプレッション通りの作品。
 革命等まるっきり関係ない話。唯、革命と言い立てることで今作で唯一、コアを為していると思われる“怒られる”ことを目指した行為が校舎屋上占拠計画だったというだけのことだ。戦略、戦術、展望、社会的正義感、目指すべき理想の具体的ビジョンと実現する為の論理的筋道、仕掛けのタイミングとその歴史的、社会的状況分析、反逆する為の止むに止まれぬ居直り、出るであろう犠牲に対するケア等、為すべきことは山ほどあるが、ここに上げた要素の何一つとして舞台上で表現されない。状況分析も甘い。世間で散々言われていることの焼き直ししか言っていないのだ。唯一の例外が先に挙げた“怒られる”ことによって甘えようという判断だが、これ自体甘えでしかない。どうでも良いことだが、当時「甘えの構造」というタイトルの本が流行ったことは事実である。(更にどうでも良いことだが、友人の高校時代のクラスメートの父親が著者であった。)

 今作で描かれている時代は1970年代初頭、自分達は70年に高校を卒業しているが、高校でロックアウトをやり、成田闘争やベトナム戦争反対闘争、沖縄連帯、羽田闘争、新宿騒乱等をやっていた最後の世代に属する。たくさんの友が傷つき、障碍者となり、自死を選んだ者も自分の親友だった友を含めて自分の周りだけでも何人も居る。祭りじゃないんだよ。
夏の階段、一足飛び

夏の階段、一足飛び

楽園王

サブテレニアン(東京都)

2019/08/23 (金) ~ 2019/08/24 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/24 (土) 18:30

価格0円

当日パンフレットには「怪談」の文字があるが、怪談(恐怖譚・怪奇譚・怪異譚)というよりは例えば漱石の「夢十夜」のような不思議譚にして文学的な薫りも漂う短編集。
場内の暗さも相俟って、異世界でひとときを過ごしたような感覚がまたステキ。
あと、入場料(?)は無料で、物販で補填できるか?という試み、大胆だなぁ。(意気に呼応して脚本を購入)

ENDLESS-挑戦!

ENDLESS-挑戦!

劇団銅鑼

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2019/08/27 (火) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★

多少ストーリーが単純化されて入るものの、テーマははっきりしたとも思う。観終わった後でなんだかチカラがみなぎる?みたいに、元気になります!

『努力クラブ×劇団乱れ桜』

『努力クラブ×劇団乱れ桜』

火曜日のゲキジョウ

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2019/09/03 (火) ~ 2019/09/03 (火)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/09/03 (火)

劇団乱れ桜の作品がとにかく面白かったです♪プロットが秀逸でずっとストーリーに引き込まれてました☆
努力クラブは途中から出演者がハケて声だけになる演出が僕的には残念でした★大好きな芝原里佳さんが出演されてたんで余計にそう感じてしまったんだと思います☆芝原さんをもっと見たかったです★

黒い雨-八月六日広島にて、矢須子-

黒い雨-八月六日広島にて、矢須子-

劇団民藝

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2019/07/30 (火) ~ 2019/07/30 (火)公演終了

満足度★★★★★

今回で2度目なのですが、なんというのでしょうか....受ける印象は新鮮というか強烈でした。

スリーウインターズ

スリーウインターズ

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2019/09/03 (火) ~ 2019/09/15 (日)公演終了

3時間、休憩15分を含む。すごく面白かった!!一軒の家の中で、クロアチアの激動の100年間を紐解いていく。シンプルな抽象空間で1945年、1990年、2011年を行き来する。家族の軽妙な会話劇に大河ドラマの奥行きあり。適材適所の俳優陣がのびのびと関係を構築。音楽、音響が控えめなのも好み。

『瓶に詰めるから果実』『プラスチックは錆びない』

『瓶に詰めるから果実』『プラスチックは錆びない』

埋れ木

北池袋 新生館シアター(東京都)

2019/08/28 (水) ~ 2019/09/03 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/08/31 (土) 14:00

『プラスチックは錆びない』観劇。
詳細はネタバレBOXにて。

ネタバレBOX

合宿にやってきた大学生たちの夏の恋の物語。

大学生というのは人生の中でも、なかなか、特異な
立ち位置であると思う。
法的に成人として認められているが、社会的な地位と
しては学生。
同じ学生とはいえ高校生とはまるで違う。

高校生を主人公にした『瓶に詰めるから果実』(以下『瓶』)
と大学生を主人公にした本作『プラスチックは錆びない』(以下『プラ』)

どちらも「楽しむ」ということについて終始、考え、
その思いを吐露していくが、その表現の仕方、世代における
差別化が実に見事でリアルだと思った。

双方ともに見ているこちらが、良い意味でむずがゆくなるような
もどかしくなるような、その辺りのさじ加減は、さすがと感じた。

ただ『瓶』の方が心の葛藤を描くという意味では軍配が上がる
気がする。
『プラ』の方は終始、問いかけがありつつも、そこまで重い感じには
ならず「まぁ、いいんじゃないの」という方向に流れていく。
個人的には、もう少し、お互い、悩み、苦しみ、ぶつかってほしい気も
したが、全編の流れを鑑みると、この作品でそれをやるのも
また少し違うのかな、という気もした。

『瓶』も然りだが、本作も実に気持ちよく爽快に終幕を迎える。
それぞれが思いを一歩進めたいと思っていながらも、不謹慎という
壁を目の前にし、進むことを躊躇する中、例え、自身の都合で
あったにせよ、川口の説得の結果として、それぞれが幸せを手にし、
まさに「楽園」を作り出す。
だがその生みの親たる本人は、ただ一人、思いを遂げることはできず、
自らが作った楽園に足を踏み入れることなく、ただ、外から眺めるだけ。
その理不尽さを見捨てることができなかったほたるの思いと行動力は
驚嘆に値するし、その呼びかけに答えようと一致団結する彼らの
友情に、何だか、直視できないほどの眩しさを感じてしまった。

淀川演じる五十嵐さんの演技は終始、圧巻。
あの眩しい笑顔の虜になったのは、おそらく、自分だけではないし、
終盤の川口への絶叫に近い語りかけと、物足りない気持ちを促す
その繊細な演技に、思わず涙したのも自分だけではあるまいと思う。

夏の終わりにふさわしい、実に爽やかな群像劇。
大変楽しませて頂きました。

素晴らしい舞台をありがとうございました。
埋れ木さん、大好きです!!
次回はTシャツちゃんと着ていきます。
約束したので。
『瓶に詰めるから果実』『プラスチックは錆びない』

『瓶に詰めるから果実』『プラスチックは錆びない』

埋れ木

北池袋 新生館シアター(東京都)

2019/08/28 (水) ~ 2019/09/03 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/08/29 (木) 19:30

『瓶に詰めるから果実』観劇。
詳細はネタバレBOXにて。

ネタバレBOX

ある演劇部を舞台にした破壊と再生の物語。
部長選挙をきっかけに「楽しむ」という個としての感情を
重んじるのか「部活動」という集団としてのゴールを重ん
じるのかという、身近にありつつ、なかなか解決が難しい
課題がテーマ。

「部活動」を「仕事」に置き換えながら観た人も多い気がするし、
自分もその一人。
ただ金銭のやり取りが発生する仕事ではなく、部活を主軸に
したところがこの演劇の肝だと思う。
だからこそ、話は抉れ、登場人物は悩んでゆく。

非常にリアルな人間模様に息を呑んだ。
集団の目標達成のためには個としての感情を脇に置くべし。
その理想に賛同する人間だけが残れば良いという、原理主義者
とも言える沢村。

個としての快楽を追求し、結果として良い演劇が出来れば
それで良いとする土居たち。

まさかの立候補を果たした親友に協力を求められつつも、
その実、沢村の思想に傾倒する坪内。
アウトサイダーに徹しつつも要所では気にかける福田。

各々の思惑が複雑に絡み合う中、単純化すれば打倒沢村
を軸にして話は進むが、学生ながら傀儡まで立てる策を
打ち出すことには正直驚きもしたし、これが劇中の緊張感を
一層深めていた。

とは言え、彼らは、結果として「良い演劇を披露する」ことを
目標にしており(それが副次的な結果であるとしても)、
そう言う意味では沢村も含めてみんなが同じ方向を向いているのは
分かっているので、ゴールに至る手法については大きな隔たりが
あるものの、完全に白と黒を分けることが出来ない。

沢村打倒の策を打ち出す中、彼らが繰り広げる「楽しむ」ことへの
議論は非常に深く、議論を重ねる中で、各々が定義する「楽しむ」
が揺らいでゆくその過程と共に、当初の相関図が少しずつ崩れて
いく姿に、この舞台はいったいどうやって収束させるつもりなの
だろうと、非常にハラハラしながら見守ったが、最後はキレイに
まとまりハッピーエンド。

バッドエンドにはならないと思ってはいたが、最後まで良い意味
での緊張感を強いられた。

とにかく人間描写がリアルだなという印象。
彼らの振る舞いに演劇的な嘘くささがなく、自然。
特に沢村の、彼の言うところの「失敗」から形成される理想主義と
いうにはあまりに強硬な思想は「この分からず屋め」という思いが
ありつつも、私自身がこういう経験をしているので、彼の心情と
いうのは非常に共感できた。

彼が最後には、彼にとっては非常に勇気のいる告白と共に、妥協
を示す姿勢を万座の中で見せた事は個人的には、彼が大きな一歩
を踏み出したと言う事なのでとても嬉しかった。

ただ、沢村と坪内の絡みについては、もう少し時間を割いても
良かったように感じた。
尺の都合もあるので難しかったのかもしれないが、沢村陣営と
反沢村陣営とのシーンバランスは少々偏っていたかなと言う気はする。

平井の成長ぶりも驚きであると同時に見所が多かった。
何となく傀儡に仕立てあげられたものの、そこに悪意がないことも
あって、わりとあっさりと受け入れてしまう。
そのまま進むのかと思いきや、彼女は沢村と対峙する姿勢は変わら
ないものの、傀儡としてではなく、自らの意思で考え、そして、
自らの意思で立ち上がり、正々堂々と沢村、そして親友の坪内に
言うなれば宣戦を布告するシーンは、ホロリと泣けてしまった。
たなべさん、圧巻の素晴らしい演技だったと思う。

ある意味で最もリアルに感じたのは土居。
打倒沢村の急先鋒でありながら、自らそこに立つまでの熱量はない。
そこで平井という傀儡を立てて、思うように操ろうとするが、
そこに邪悪さは全くなく、ゲーム感覚で楽しんでゆく。
最後にはミイラ取りがミイラになるかのように興奮に乗じて自らも
立候補を果たすが、快楽主義者としての彼の有り様と言うのは、
高校生という若くエネルギッシュな世代である事も合わせて考えると、
非常にシンプルで、その姿には個人的には終始、好感を持っていた。

もう登場時から役どころが見えていた顧問の福田の存在もとても良かった。
昼行灯のような立ち位置ながら、要所では、しっかりと部員を締める。
終盤、沢村に告白を促すシーンは、緊張感があってとても良かった。
必要最低限の干渉にとどめつつも、しっかりと捌いてみせる器量は
名マネージャーのそれで、気持ちが良かった。

全編通じて感じたのは、言葉にしがたい思い、あるいは行間の表現が
非常に巧みだと言う事。
そういうものを台詞で表現するのは難しいように思うのだが、高校生
という、まだ成熟しきっていない世代ならではの拙さも見事に取り入
れて、非常に見応えがあった。
同様の展開は『プラスチックは錆びない』にもあるが、登場人物の世代が
違うこともあって、その表現技法は明確に差別化していて、両作品
ともに観劇後に振り返ると、改めてその巧みさに舌を巻く。

久保さんの脚本、演出は過剰にならず、説明的過ぎないところが、とても良い。
そして相変わらずタイトルセンスが抜群。
埋れ木さんの存在を知らなかったとしても、タイトルセンスだけで
劇場に足を運んでいたかもしれない。

今回も素晴らしい舞台をありがとうございました。

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