『瓶に詰めるから果実』『プラスチックは錆びない』 公演情報 埋れ木「『瓶に詰めるから果実』『プラスチックは錆びない』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2019/08/31 (土) 14:00

    『プラスチックは錆びない』観劇。
    詳細はネタバレBOXにて。

    ネタバレBOX

    合宿にやってきた大学生たちの夏の恋の物語。

    大学生というのは人生の中でも、なかなか、特異な
    立ち位置であると思う。
    法的に成人として認められているが、社会的な地位と
    しては学生。
    同じ学生とはいえ高校生とはまるで違う。

    高校生を主人公にした『瓶に詰めるから果実』(以下『瓶』)
    と大学生を主人公にした本作『プラスチックは錆びない』(以下『プラ』)

    どちらも「楽しむ」ということについて終始、考え、
    その思いを吐露していくが、その表現の仕方、世代における
    差別化が実に見事でリアルだと思った。

    双方ともに見ているこちらが、良い意味でむずがゆくなるような
    もどかしくなるような、その辺りのさじ加減は、さすがと感じた。

    ただ『瓶』の方が心の葛藤を描くという意味では軍配が上がる
    気がする。
    『プラ』の方は終始、問いかけがありつつも、そこまで重い感じには
    ならず「まぁ、いいんじゃないの」という方向に流れていく。
    個人的には、もう少し、お互い、悩み、苦しみ、ぶつかってほしい気も
    したが、全編の流れを鑑みると、この作品でそれをやるのも
    また少し違うのかな、という気もした。

    『瓶』も然りだが、本作も実に気持ちよく爽快に終幕を迎える。
    それぞれが思いを一歩進めたいと思っていながらも、不謹慎という
    壁を目の前にし、進むことを躊躇する中、例え、自身の都合で
    あったにせよ、川口の説得の結果として、それぞれが幸せを手にし、
    まさに「楽園」を作り出す。
    だがその生みの親たる本人は、ただ一人、思いを遂げることはできず、
    自らが作った楽園に足を踏み入れることなく、ただ、外から眺めるだけ。
    その理不尽さを見捨てることができなかったほたるの思いと行動力は
    驚嘆に値するし、その呼びかけに答えようと一致団結する彼らの
    友情に、何だか、直視できないほどの眩しさを感じてしまった。

    淀川演じる五十嵐さんの演技は終始、圧巻。
    あの眩しい笑顔の虜になったのは、おそらく、自分だけではないし、
    終盤の川口への絶叫に近い語りかけと、物足りない気持ちを促す
    その繊細な演技に、思わず涙したのも自分だけではあるまいと思う。

    夏の終わりにふさわしい、実に爽やかな群像劇。
    大変楽しませて頂きました。

    素晴らしい舞台をありがとうございました。
    埋れ木さん、大好きです!!
    次回はTシャツちゃんと着ていきます。
    約束したので。

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    2019/09/03 21:50

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