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みんな黙ろう未来のためだよ。東京公演

みんな黙ろう未来のためだよ。東京公演

カンムリプロデュース

みらいスペース市ヶ谷 会議室(東京都)

2025/05/10 (土) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/10 (土) 18:00

楽しい会を観劇しました。
シチュエーションも、展開される内容も面白かった。

ネタバレBOX

開場したと同時に、会議室にキャストがいて、観劇している気分だった。
想像の犠牲

想像の犠牲

Dr. Holiday Laboratory

吉祥寺シアター(東京都)

2025/05/03 (土) ~ 2025/05/05 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「創作を批評的に描く試み」

 ソ連の映画監督アンドレイ・タルコフスキーが最後に監督した『サクリファイス』を参照し、創作過程で起きる人間模様を虚構と現実を交えながら描いた意欲作である。

ネタバレBOX

 アメリカで暮らしている演出家の過去作に出演していた元俳優の土井(油井文寧)と西川(石川朝日)は、『サクリファイス』を鑑賞した演出家が創作した新作戯曲『想像の犠牲』の上演を企画する。稽古場に加藤(佐藤駿)と友人の高木(田崎小春)、ロベール(ロビン・マナバット)が集ったはいいものの、結局本作は上演中止となってしまった。その過程を時系列ではなく現在の時点から振り返りつつ、ランダムに再現して描きながら、メンバーが客席に向けて逐一注釈を加えるというスタイルで劇が進行していく。

 各登場人物たちが座組の面々に意見し合う様子を淡々と、手の動きと軽やかな足取りで紡いでいく身体性は、静けさのなかに激情がトグロを巻く独特のものである。俳優のミニマムな芝居が吉祥寺シアターの空間に負けてしまうきらいはあったが、棒読みのような台詞と表情の薄さは観客一人ひとりにさまざまな憶測を呼んだことと思う。『サクリファイス』への言及もとより石原吉郎の詩の引用が入るなど、稽古場にフィクションが入り込んでじょじょに出演者が取り憑かれていく様子に見応えがあった。強い集中を要する作品であり果たしていま自分はなにを観ているのかという気持ちにもたびたびなったが、作品全体を通した風通しのよい含味は独特のものである。ただラストで出演者が追いかけっこをして互いを車椅子に乗せようとする描写など、やや間延びしている箇所を端折ったほうがよいようにも感じた。
花いちもんめ

花いちもんめ

劇団川口圭子

OFF OFFシアター(東京都)

2025/05/08 (木) ~ 2025/05/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

一人の女性の壮絶な半生期を
一人芝居見事に演じきってた
約65分の作品
結構 心に刺さりました

ネタバレBOX

四国お遍路をしているところ
誰かにつけられてると
駆け込んでくる女性が一息ついて
自らの半生を一人語りする形でした

最初は夢の国 満州の首都ハルビンにて
素晴らしく優雅な生活をしていたと語るも
あまりの虚飾に自らが本当の事を述べ
川を挟んでソ連のトーチカの見える
開拓村での生活から日本の敗戦により
ハルビンまでの行軍で現地民の方位
ソ連兵の略奪から暴行により
辱めを受けた女性らの自決の話から
やっとたどり着いたハルビン収容所の
とても厳しい生活にて遂に子供を売り
身も心もボロボロになりながらも帰国し
置いてきた娘が実母である自分を探しに
日本に来ても捨てた娘に会えるはずもなく
お遍路しているが
それでも気になり中国残留邦人のニュースを
ラジオで聞いていた悲しい行動を
見事に演じきっていました

タイトルの回収は
売られることが解っていても
明るく母と雪の降るクリスマに
歩いていた時に母娘共に歌った
曲なのでありました

ロシアと名が変わっても
やる事が同じ国だよなぁと
未亡人襲うために壁を戦車で破壊して
家に侵入したり 金品略奪したり
現代のウクライナでやってるし
迂回しようとした車を急旋回して
踏み潰す映像も見たしなぁ

チフスにかかった息子に
満足な治療もできず
せめてクリスマにケーキを食べさせたく
娘を売るも 実は娘は売られることを
理解していて 救おうとした息子も
結局病にて亡くなりと
底が抜けたような悲劇の積み重ねが
何とも心に強く刺さりました

効果音とか雪の降るギミックとかも
いろいろ工夫されていました
寿歌

寿歌

いいいのいー

アトリエ第Q藝術(東京都)

2025/04/08 (火) ~ 2025/04/13 (日)公演終了

実演鑑賞

1979年初演の名作戯曲と呼ばれるものの一つ。私は 96年のプロジェクトナビ版、 99年のブリキの自発団版、 04年の横浜演劇計画版 を観ていて、20年ぶり。80分ほど。平均年齢70歳のキャストで、4月13日までアトリエ第Q藝術。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/05/post-ab6bd6.html

花いちもんめ

花いちもんめ

劇団川口圭子

OFF OFFシアター(東京都)

2025/05/08 (木) ~ 2025/05/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

下北沢の玄関口OFFOFFでこの趣の公演は珍しいのでは。予習無しで観劇したがこういう題材のこんな作品があったとは不勉強であった。見れば宮本研脚本、初演が1982年。そして結構な頻度でしかもプロアマ問わず地域を問わず演じられている・・。

題材はズバリ中国残留孤児。テレビがこの話題を伝えていたのを微かに覚えているが、第一次帰国が1981年即ち本作初演の前年、以後90年代まで続いた帰国事業。
戦後36年、今に置き換えると阪神大震災・オウム事件が30年前。当時は既に戦争は遠くなりにけり、経済成長を経てオイルショック、低成長安定期に入り、バブル前夜。既にYMOがデビュー、ジャパンアズナンバーワンと言われる海外進出が始まる頃か。中国は中国で、建国後の比較的明るい時代から暗黒の文化大革命を潜り、ようやくこの問題に手が付けられる時代を迎えた・・。
残留孤児の大半が満州からの逃亡の途上での行き別れや、赤子を現地人に預ける形での離別と言われ、時代を超えて戦争の記憶を蘇らせる存在が出現した、といった衝撃的な出来事だったのだろう。
宮本研はこの題材を、お遍路の旅を行く女性に、供養という事に繋げて過去の体験を語り出す一人芝居にした。この形式が効果的である。無論一人芝居の難しさもある。語る出来事と当人の距離感、微妙な感情の揺れ・・記憶を幾度となく反芻し、湧き出す感情と付き合い、己の行為について自問し、弁明し、意味を問うて来て、お遍路という一つの「行動」でしか処し得ないその問題が、どう語られるのか。・・演じる人それぞれの形がありそうだ。今回のがどうだったとは(比較対象もないので)評しにくいが、川口圭子氏は想像以上の「妙齢」、持ち前の本人キャラだろうか?裏表のなさ・闊達さを滲ませ、OFFOFFの間近な距離の観客の目に身を晒し、引き付けていた。

花いちもんめ

花いちもんめ

劇団川口圭子

OFF OFFシアター(東京都)

2025/05/08 (木) ~ 2025/05/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
今年は戦後80年、戦争を扱った公演が多いと思うが、本作は民間人の それも母という視点で語り描いた一人芝居。80年経ち 戦争体験者が減り、その悲惨さをリアルに聞く機会が少なくなっている。周年だから反戦劇 ではなく、演劇の役割の1つとして平和文化への思いを観客と共有することが大切ではないか。その意味で、本作は舞台上の孤独、それを見つめる観客という構図そのものではなかろうか。

冒頭 川口圭子さん演じる遍路姿の女性 鈴(スズ)が旅路の理由を話し始める。そして鈴を 追ってくる何ものかに向かって牽制するような言葉を浴びせる。物語は、旧満州(中国東北部)に渡った開拓団の暮らし 逃避行での悲劇をモチーフに、残留孤児問題に切り込んでいる。

何で読んだか または聞いたか忘れたが、親を亡くせば過去を、配偶者を亡くせば現在を、子を亡くせば未来を失うと。物語では夫も子も喪い、現在も未来もない そんな孤独な影が付き纏っている。鈴の後に付いてくるものは、子を手放した後悔であり、戦争の影のような不気味さ。現に世界のどこかで戦争が起きている。グローバル化社会において、けっして対岸の火事ではない怖さ。

民間人の視点で見つめたリアルな体験談、その客観的な語りと 物語における主観的な母としての台詞、それを巧みに演じ分け 社会的な状況と人間的な心情を見事に立ち上げている。
社会的な状況は、満蒙開拓の希望と挫折ーその表と裏を浮き上がらせる。日本から多くの人が移住し開拓を進めたが、相手からすれば他人(自分たち)の土地を収奪していること。だからこそ 鈴たちの開拓を遠巻きに眺めており、日本の敗走とともに奪還していく。
一方、人間的な心情は 残留孤児のこと、生き長らえさせるためとはいえ人身売買にも等しき行為、その哀切が情感豊かに演じられており感動。一民間人の視点から鋭く捉えたリアルな戦史。
見応え十分。
(上演時間1時間10分 休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は 太い柱を境に上手/下手、主に下手には段差を設え 奥に地蔵菩薩。至るところに外塔婆が立ち 哀切・寂寥感が漂う。登場人物 鈴の出立ち はチラシのような巡礼衣。

物語は、鈴が旧満州へ渡った暮らし振り 敗戦により地獄のような出来事を生き延びた、それを心情込めて順々に語る。国策によって移り住んだ地、始めの語りでは裕福な環境のようだが、実は願望であり夢物語。それでも開拓し収穫する喜び。その結果、他国の侵略に手を貸すことになった。そして敗戦による混乱、生き延びるため 2人の子供を連れての心労の絶えない長旅。

旅の途中、下の男の子(4歳)が腸チフスに罹り 医者に診てもらうことも出来ない。上の女の子 はなちゃん(5歳)を現地の人に預け(売り)、その金で 男の子へケーキを買う。子供たちは知っていた。男の子は、鈴に はなちゃんは売られることを知っていたと言う。鈴の慟哭、はなちゃんは 一言も言わず「花いちもんめ」(人身売買の意も含まれている)を歌いながら 鈴と一緒に出掛けた。男の子は亡くなる。鈴は、はなちゃんの様子を見に行き、声を掛けるが振り向かない。自分は売(捨て)られたと、同時に 鈴は はなちゃんに捨てられたことを悟る。

戦後(中国との国交正常化<1972年>以降)、残留孤児たちの実親探し。しかし、鈴は名乗り出ることはしなかった、いや出来なかったのだろう。その心情 哀れみが心を打つ。巡礼は、許しでも諦めでもなく 死出の旅路のよう。はなちゃんとの別れ、実際 子役が演じていたら涙腺が崩壊していたかも…想像しただけでも胸が苦しくなる。

公演は、川口圭子さんの熱演は勿論だが、音響・音楽や照明といった舞台技術が物語を支える。旅の一休みに湧き水を飲む様子、厳冬の中 はなちゃんと一緒に出掛ける際の雪 などの効果。はなちゃんとの別離に、浄瑠璃「傾城阿波の鳴門」を劇中に取り入れ聞かせるといった工夫。観客の心を揺さぶり響かせる、その演出が見事。
次回公演も楽しみにしております。
なんかの味

なんかの味

ムシラセ

OFF OFFシアター(東京都)

2025/04/02 (水) ~ 2025/04/09 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

全員のお芝居に、ただただ夢中になった。
面白かった!

物語が進むにつれて、このへんてこな四人の関係が見えてきて、察して、思いがぽろぽろとこぼれていく様子を固唾を飲んで見守っていた。
劇中に登場する様々な「なんかの味」が口の中に広がった。
最後には、気づいたら涙が出ていて、温かい気持ちが溢れた。観てよかったなって素直に思えた作品。
このバンドが奏でる音はむちゃくちゃかもしれないけど、そこにはきっと言葉にできない愛がたくさん詰まってる。

逆光が聞こえる

逆光が聞こえる

かるがも団地

新宿シアタートップス(東京都)

2025/04/24 (木) ~ 2025/04/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/04/25 (金) 14:00

人気の若手作/演出家の芝居に高校時代のサッカー部仲間の一人が観に来たことから旧交を温める彼らだったが……な物語。
モブ役をその場に登場しない役の演者が演じ一部の演者は複数の役を演ずる手法などは従来通りだが今回はパワーハラスメントやセクシャルハラスメント、学校でのいじめなどシリアスな題材を扱うのが新機軸。
そしてそれを演劇界を中心に描いているので観劇好きな身として身近に感じて引き込まれるし、旧知の友人が起こしたトラブルがかつて自分が彼に対してしていたことの再現というのはいじめに関する根本問題を呈示しているようで巧いなぁ、とも。
今後も楽しみ♪

再生数

再生数

よた

水性(東京都)

2025/05/09 (金) ~ 2025/05/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 板上はセンター奥のホリゾント手前に白いカウンター状の衝立、衝立上にはモニター、手前には白い椅子一脚。また衝立奥には階段が設えられている。下手側壁前には台車上部に楕円形の枠が付いた機材、楕円枠には様々な四角や螺旋を連ねた銀色のbricolageが吊り下げられており、この飾りの直下に小さなテーブル、テーブル上にはモニター、その周囲に植物のミニチュアがあしらってある。上手には長方形のテーブルが観客席に対して直角に置かれておりテーブル上には3台目のモニター、テーブル奥に丸椅子2脚ほど。床には布の端切れで作られた大小の島のような形が示されているが、これら装飾は総て無意味。この無意味性が、我らが生きるこの「国」の無化された意味へのアイロニーとして用いられているとすれば大したものだが、そこまでの批評性はないと思われる。

ネタバレBOX

 物語はフフとミチコが繰り返す死、生のループに映画撮影者達が割り込んで撮影する有様を描く。タイトルはその死と再生の回数を示したものと捉えられよう。感心したのは、この狭い劇空間に比して極めて多い登場人物たちがぶつかり合ったり鉢合わせしたりせずに動く為に空間処理を巧みに行っている点と、音響センスの良さ、そして脚本の底流に重層低音のように流れていると感じるこの「国」の耐え難い生きづらさ、ネットでの匿名性を利用し正論を装って装われた正論に同調することを押し付けてくる社会に対する有効な手立てを持たず、罅割れて消耗させられてゆく多くの人々の抱える虚無感に蝕まれる不快と最早しっかりと世界に根を張ることが不可能であるかのような疲労感があるようだ。つまり我らの日常の根底には「嘘」或いは敢えて為される事実誤認による事実・真理圧殺の茶番が盤踞している。
 他方、演劇的に難を感じた点は上記に記したような“雰囲気”が本質的には一人称と二人称の世界観でしか描かれておらず、役者の演技としても自らの身体の中に完全に異質なキャラを取り込みそれを表現として具現化できていない点を挙げることができる。演じている役者さんたちが全員若者であるから実際にそのような演技ができるとは思わないが少なくとも演技はそこまでできなければ本物とは言えまい。演劇学科専攻の学生さん主宰のグループということなので是非本物を目指して欲しい。
「この話、したっけ?」令和!太鼓判の巻

「この話、したっけ?」令和!太鼓判の巻

劇団伽羅倶梨

KARAKURIスタジオ(大阪府)

2025/05/09 (金) ~ 2025/05/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「死んでも生きてる」亡くなった両親がかぶりました
最後にそのカードも頂きました。
やっぱり楽しかったです

六道追分(ろくどうおいわけ)~第二期~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第二期~

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/09 (金) 19:00

 片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」第33回ロングラン本公演『六道追分』第二期龍チームを観た。
 前回『六道追分』を観ての、今回が2回目だったが、二期目も劇の物語の内容は全く変わっていなくて、出演している役者が大幅に入れ替わり、私が観た龍チームに至っては座長の山田拓未が珍しく出演していないということで、劇としてのまとまりなど、若手が主演で大丈夫かという一抹の不安も正直あったが、実際本編が始まってみると、勿論龍チームにとっては、明日が千秋楽公演で、5月9日(金)19:00の回が千秋楽前最後の公演ということもあるのかも知れないが、役者一同気合が入り、大きなミスや台詞を間違えたり、台詞が飛んだり、声を枯らしたりすることもほとんどなく、軽妙なアドリブで腹がよじれる程大笑いさせたりする余裕も垣間見せていて、劇全体としても一期目の役者たちに引けを取らず、完成度が高かった。主演が瀬戸啓太さんと石井陽菜さんになっても、全然良い意味で違和感を感じなかった。

 鬼アザミ一味の頭領清吉役の瀬戸啓太さんは濃くて今どき感のない俳優の高良健吾さんに少し似たイケメンで、それを活かした演出なのかどうかは分からないが、野性味溢れる粗野とか、粗暴というか短期というかで、彫物がしてある腕を着物を開けてバッと見せる演出など、鬼アザミの清吉の性格や言動が役者が変わっただけで、こうも変わるのかと感心させられてしまった。
 また瀬戸啓太さんのパッと見た感じの印象と、瀬戸さんが演じる鬼アザミの清吉の言動がフィットしていて、当て書きならぬ、その役者のイメージにフィットした性格に清吉を寄せてきていて、本当に演劇って生ものだなぁと実感させられた。

 お菊役の石井陽菜さんも、一期目のお菊役のしっかりしているが時々緩い感じとはまた違って、良い意味で意思が強い上に、気が強く、隙が無く、喧嘩する場面が笑いにならずに、迫力があって、ドスの効いた緊迫感が出るような威圧感が出ていて、演じる役者によって、役は同じだとしても、こうも役のイメージがガラッと変わるのかと驚いた。
 個人的には、こういうお菊像も全然ありだと思った。
 この後も、3期、4期というふうに続いてゆくのだろうが、大枠の作品の内容はそのままに、演じる役者によって演る役のイメージがころころとどういうふうに変わるのか、その役者の個性も反映された感じになるのか、これからもそういった小さな変化が興味があり、今から期待しかない。

 また与力の九次役の多田有我さんは、役柄的にはかなり冷酷無比で、職務遂行のためならば自分が嫌われ役になるのさえ厭わず、手段を選ばないような役のはずなのに、多田さんの見た目とフィットするかのように、所々優しさが滲み出て、冷徹に振る舞おうとするが、どこかお間抜けな感じが滲み出たりと、人間味のある感じに演じられていて、本来あまり共感できない役のはずなのに、憎み切れず、愛すべきキャラだと感じ、自然と引き込まれた。

 与力の徳蔵役の西川智宏さんはどこかX経営者のイーロン·マスクに似て、イケオジでもなんでもないただのおじさん俳優だが、男性同士の恋愛を茶化したような場面だったり、よって下ネタに走る場面が印象的で、ドキドキ感があって、大いに笑えて、楽しめた。

 尼さん?の念念役の阿達由香さんは、一期目の時の同役の役者の意外とドSでコミカルで、どこか派手でアイドル的な感じと違って、地味で中年のリアルにいそうな尼さんな感じに演じられていて、阿達さん自身の独特な地味だが達観した雰囲気と相まって、その辺に普通にいそうな尼さんの感じが出ていて良かった。
 石津雄貴さん演じる念念の弟子の珍念は、一期目の同役の役者と違って、よりふざけて、さり気なくアドリブもかましていて、今回の念念役の阿達さんが地味で中年、真面目で達観した感じなのと対象的な感じで笑いを取っていて、その全然違う組合せで、バランスが良いと感じた。

 宿で花札に興じたり、鬼アザミ一味と疑われた男女が一瞬出てくる場面で、東海Wallkerを広げたりと一期目にも増して、二期目は小ネタやアドリブが数多く散見されて、一期目との違いも楽しめて良かった。

お歌とお芝居 「髑髏沼の女」

お歌とお芝居 「髑髏沼の女」

たすいち

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったです。でも、もっと面白いんじゃないかなと思っていたのでした。
チラシの脳味噌の意味は分かりましたが、どちらも大事でしょうに。
簡素な舞台装置に散りばめられた立川のお店の名前が懐かしかったです。
歌もたくさん聞けて楽しかったですが、スタジオの構造のせいか素材のせいか歌詞が聞き取りにくくて残念でした。

六道追分(ろくどうおいわけ)~第二期~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第二期~

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

第一期と台本は同じと聞いていましたが、演じる人が違うとまた新鮮で面白く見ることができました。最後は知っているので今回は覚悟して見ていたはずでしたが・・・。
冒頭の地下道から侵入するシーンの音響が説得力があって良かったです。
今後はどのくらい行けるかわからないので、せめてと思って台本を買い求めました。
とろろ汁が食べたい今夜です。

六道追分(ろくどうおいわけ)~第二期~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第二期~

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ストーリー、演出ともにしっかりと練られているなぁという印象で、心を揺さぶるとても素敵な作品でした。
様々な登場人物も魅力的で、演者さんたちの熱演も素晴らしかったです。
初めて観劇される方にもかなりお奨めの舞台だと思いました。

第12回本公演「嫌いな上司のプレゼントを買わなくちゃ」

第12回本公演「嫌いな上司のプレゼントを買わなくちゃ」

劇団マカリスター

駅前劇場(東京都)

2025/05/03 (土) ~ 2025/05/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2025/05/09 (金) 19:00

115分。休憩なし。

六道追分(ろくどうおいわけ)~第二期~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第二期~

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

第二期の【龍】チーム。これは確かにリピートしたくなる舞台。楽しくて華やかでグッとくる。

再生数

再生数

よた

水性(東京都)

2025/05/09 (金) ~ 2025/05/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

前衛的というか斬新的と言うのか、とにかく若い力が新しいことを試みようとした作品。本作は、松原俊太郎氏がスペースノットブランクに書き下ろし、「最後の映画」として上演された「再生数」(2022)を経て、上村陽太郎氏の演出によって 新たな「再生数」(2025)として上演。

少しネタバレするが、複数のモニターに映像(場面タイトルらしきもの含む⇨台割か?)が映り「ゲームの世界なのか、撮影の現場なのか、劇中劇か、はたまた現実なのか」、そんな色々な虚実が錯綜するような感覚劇。分かったような分からないような曖昧さ、それゆえ小難しさは残る。しかし言えるのは、死んでは生き返る「輪廻転生」のループが描かれ、表層的ではあるが<或る愛情>の断面が垣間見える。この感覚を刺激するような舞台、他の劇団(そちらも若手の主宰)でも似たような作品を観ており 最近のトレンドなのか。

この創作カンパニーは、第15回せんがわ劇場演劇コンクールのファイナル5団体に選出されて、5月24~25日開催の本選へ。このコンクールが選びそうな作風とも言える。勿論 上演する作品(時間制限があるため)は違うだろうが、「再生数」で言えば、突き刺さる台詞がありハッとさせられる。そんな批判・風刺的なことが 巧みにもっと込められると好い と思うが…。観客を選ぶ作品だろう。
“よた”カンパニー、まだ この作品しか観ていないが、伸びしろが感じられる。注目していきたい。
(上演時間1時間15分 休憩なし)

ネタバレBOX

この劇場というか会場は初めて。基本的に素舞台で、前方の上手と下手に舞台技術を担うスタッフ各1人。上手にモニター、中央にカウンターとモニター、下手に巻き銀紙等を吊るし 楕円形の天井部分が回転するオブジェ。床はモスグリーンのラグマット カーペット。冒頭は、劇団ワンツーワークスが得意とするようなスロームーブメントで、役者が順々に入場し場内を一巡する。

物語の本筋は説明通り「フフがミチコと繰り返す輪廻転生のループ。映画を撮りたい男たちによって、そのループは壊された」で、分割もしくは分裂した過程を繋ぎ再生していくかのように紡いでいく。フフとミチコの心的距離感、それを撮影隊によって試されるといった不条理。2人だけの世界、そこへ闖入者(撮影隊)が現れ 日常が壊れ、歪な(閉じた)世界が表れる。

第三(撮影)者によって創られた世界、しかし そこには確かに生が存在する。にも拘わらず現代社会はインターネット上の不確かな情報を日々摂取し、アイデンティティ・クライシスに陥る。確固たる自我は幻想でしかなく、空虚さが2人を不安にさせ、信頼関係に揺さぶりをかける。自分(私)に迷い 自我を問い直すことになる。

撮影に台本があるのか判然としないが、役者は組み合わせを変え、劇中劇のように物語を描く。舞台に立つ役者は、役柄だけではなく 舞台という孤独の中に身を置き 自分と戦っているところに魅らされる。それは現実と虚構(舞台)を行き来きするが、確かにその中で生きている。近くに居ながら不安になる心、独りよがりな孤独を乗り越えようと、そんな2人の女性の姿をループで表現しているようだ。この”ループ”は身体的な生死ではなく、<心>の在り様を意味しているのではないか?混沌とした世界の中で、すっくと立つ自分たちを探すことが出来ただろうか。そんな考えさせる作品。

公演の特徴は、日常会話では あまり聞かない哲学的・観念的な台詞、その台詞と大きな身振り手振りのパフォーマンスが一体となって演じるところ。そして美しい映像や生歌といった観せ聞かせといった工夫も好い。
次回公演も楽しみにしております。
花いちもんめ

花いちもんめ

劇団川口圭子

OFF OFFシアター(東京都)

2025/05/08 (木) ~ 2025/05/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/09 (金) 14:00

教科書に載せるべき歴史がわかり、凄く良かったです!

クレイジー・ジャンキー・ショッピング

クレイジー・ジャンキー・ショッピング

MAO WORKS

ミカン下北 砂箱(東京都)

2025/05/09 (金) ~ 2025/05/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/09 (金) 14:00

60分。休憩なし。

花いちもんめ

花いちもんめ

劇団川口圭子

OFF OFFシアター(東京都)

2025/05/08 (木) ~ 2025/05/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 戦争の内実を端的に示した必見の舞台。(追記2025.5.13)

ネタバレBOX

 板上下手客席側コーナーに地蔵菩薩、小さな平台の上に載っているのはやや盛り上げた礎石などの台を示していよう。この奥に柱が立ちその奥、ホリゾントには卒塔婆が連なる。地蔵が祭られた場所の奥には泉の湧く場所があるようだ。この泉の上手は大小の平台が重ねられ四国四県の空海ゆかりの霊場八十八カ所(全長1400㎞)を巡る巡礼の旅(お遍路)の道程を表している。その長い道程には難所もかなりあり、殆ど身一つの旅は難行である。板中央から上手に重なる平台の傍には矢張り墓や卒塔婆が見える。
 物語は中国東北部に大日本帝国が「建国」したと主張し13年間「存在」した満州国(面積は日本の約3倍)末期、ソ連との国境沿いに存在した開拓村団員の方々が経験した事象の有様を、史実を基に演じる一人芝居。
 自分には個人的に様々な縁のある作品であった。縁の深い親戚が満州引き上げ者であったこと。自分の仲良かったライターの父親が満鉄社員であったこと。更に自分の勤めていた出版社の経理の方が矢張り満鉄社員であったこと。取材で訪れた夜間中学に中国残留孤児の方々が何人もいらしてお話を直に伺ったこと等々と自分の親友もお遍路をしたことだ。   
 親戚に関しては伯父は戦中に亡くなっていたのでお会いしたことは無かったが従弟たちは満州の話をあれやこれやしてくれたものの、伯母は一度も満州の話をしなかった。亡くなる迄一切。如何に悲惨であったかは想像できるものの、実際に何が起こったのかは想像する他ない。
 満鉄社員だったお二人は極めて優秀な方々であった。友人は大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞を受賞した一流ライターであったし、お父様、お母さまも実にしっかりなさった方々で流石に出来のよい娘の親と感心させられた。ご両親にお会いしたのは友人の葬式の席であった。お母さまとは電話で何度かお話させて頂いていたが、お父さまとは初めてであったがとても大きな葬式で著名人も多く訪れる中、特に娘と親しかった者の一人として格段のご配慮を賜った。経理をなさっていた方は明治生まれらしく気概が昭和世代の我々とは全く違う覇気に溢れ自らの高い能力をフルに発揮してことに当たる方であったが、この方に我ら編集部員が皆「“侍”だね」と言われたことが嬉しかったことを思い出す。
 夜間中学を当時文科省は正式に認めていなかった(現在がどうかは関心ある読者ご自身で確かめて欲しい)。が実際に存在していたし、実際の中学校で開校されていた夜間中学校教室と中学校の校舎を使用せずに運営されている夜間中学の二通りが在った。自分が取材したのは前者の一つ。ちゃんと給食も出るのは昼間就労している方も多いからである。残留孤児以外に、様々な理由で登校できなかった方々、正式な国籍が無い(出生時に未登録を含む)為、就学できなかった等々本人の責任は全く無いにも関わらず義務教育の機会さえ奪われ社会の最底辺で苦労なさっている人々の例えば電車に乗る時。彼らは最低運賃である初乗り料金の切符を買い、下車駅は車内放送を聞き逃さぬ様注意して乗っており下車駅が告げられるのを目安に降りて精算するという話(理由は分かろう)を伺った時は、余りの落差に唯呆然とする他無かった。引き上げの方々では親を探したが見付かっていない、との話をなさる方々がいらして今作の内容と引き比べると言い出せないお母さまもいらっしゃるのであろうと、その深い、余りにも深い苦悩に胸が痛む。お母さまにとっても、子供(たち)にとっても。
 お遍路をした親友は医師である。日本を代表する大学の医学部出身であるが、天下の秀才には珍しいどこか鄙びた村の村長さんのような人間味溢れる男である。極真空手、柔道等武道を嗜むが無論右翼などではない。常に弱者の側に立つので万が一に備えてのことである。

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