実演鑑賞
満足度★★★★★
もどかしさとかやるせなさとか閉塞感を見つめながら、やさしい願いや祈りがあるようで、私はとても好きでした。シチュエーションコメディにも思えるような軽やかさがあるところも好きです。
幡多弁、端々まで意味はわからなくてもなぜか愛おしくなってしまう。
前説で(本公演が)5作目と聞いて「まだそれだけかあ!」と驚くくらい、毎度安心感と安定感がある。
内容を知らず見ていたわたしは「親と共に暮らす才能はちっとも無い趣味のおえかきマン」なので、謎にあらゆる角度からグサグサと刺された。それでいてやさしかった。好きだなあと、しみじみ思う。
田舎の(田舎から離れられた人間からしたら)やなところの上澄みの飛沫をくるぶしくらいまであびたことがあるので、わっ、やだよねー…と思うところもあったけれど、セリフやキャラクターの同士のめぐり合わせでそれが続かないのもやさしいなと思った。あのおとうさん、あそこではだいぶ異端者なのかなあ。もしかしたらなまちゃんよりも。
キャラクターのバランスが良いというか、誰しも…ゲームチェンジャーになり得るキャラクターもいくら自分と合わなくてもきらいになっちゃう(悪者になっちゃう)一歩手前くらいで印象をコントロールされてる気がして、最後まで気持ちよく物語を追いかけることができる。お話づくりも、役者さんの技術がよいのもあるだろうし、キャスティングもよいのだろうなあと勝手に想像する。
現実は意外とこんなにもうまくいかない…うまくいくタイミングを自分から逃してしまったりする(逆に破滅をすんでのところでのがれられてしまう)ので、いくら現実と地続き風の世界観でも、物語の時点で劇的だなと思う。竹田さんの見つめる・見つめてきた現実を丁寧に描きながらも、やさしい祈りが込められているなと思う。
きっと母が見たら別の感じ方をするだろうし、きっと見て私に(言われて当たり前の)イヤミを言うだろうし、でも見てみて、「母」をいっとき離れてみてほしいなと思ったりもした。