
ニオノウミにて
岡崎藝術座
STスポット(神奈川県)
2020/01/11 (土) ~ 2020/01/19 (日)公演終了
満足度★★★★
二年前に岸田戯曲賞を受賞した上里雄大の新作の公演・客席50ほど(満席)の横浜のビル地下の狭いスペースでの上演である。長い年月をかけて練り上げられた昨年の受賞作「バルパライソの長い坂をくだる話」に比べると、こちらはエッセーの味。それでも、天皇の血で琵琶湖が真っ赤になる、とか外来魚のブルーギルが人間の勝手を訴えるとか、それぞれ、ふつうの演劇の舞台ではなかなか観客に納得させるのが難しいところを、ホリゾントの黄色と朱の幕(この色彩感覚は大したものだ)で表現してしまうとか、異様ともいえるブルーギルの着ぐるみ(衣装デザイン秀抜)の女優(重実紗果)の快演でみせてしまうとか、思い切った演出があって芝居好きは嵌められてしまう。
エッセーの趣旨は、作者が国境横断派ということもあって、琵琶湖で外来種として駆除されるブルーギルの命に託して、現在問題になっている外国人労働者をはじめとする開放化に対する日本の無意味で不思議な閉鎖性への多角的な批判、ということだろうが、作者の意図に反して、そのような内容より、舞台の仕組みが面白い。
舞台は三場に分かれていてそれぞれ約30分。一場(夜更け)は、竹生島に夜釣に出かける湖岸の過疎の村の老人と娘が島で神に会う話、二場(夜明け)。は、外来魚として排除されるブルーギルの訴え。三場(曇り空)は鎮魂の神の舞.で、一場と二場の間に10分の休憩がある。ここで、横浜ということもあって、観客にシュウマイ弁当やスナック、お茶を売る。もぐもぐしながら気軽に見てくださいという趣旨と説明されるが舞台の方が広いスペースで壁際に押しつけられて見ている観客はとてもそんな気分になれない。が、「バルパライソ」でも大きな船のデッキの客席を組んで、観客を取り込もうとした作者の意図はよくわかる。観客は、読むかどうかっ分からないアンケートを書かされたり、次回公演の広告をもらったり、突然舞台から賛否の声を上げるのを強制される観客参加には心底うんざりしているのだ。
俳優は三人。柄が役にあっているうえに、ダンスもやっているらしく、動きがきれいで無駄がない。巫女の役を演じる浦田すみれはまだあまり経験はないようだが、こういう役を演じられる貴重な年齢にも恵まれた。受けの諸役を演じる男優の嶋田好孝も、相手をよく見て演じている。舞台が狭いという条件もあるが、動きと衣装がち密に計算されている。能のワキだ。
平らなギターのような木切れにモニターを張り付けたような持道具が登場して、モニターの部分にはその楽器を弾く手元が鮮明に映し出される。音は、琵琶で、この楽器の伝来と三線としてのこの国での普及が語られる。また、終盤では「琵琶湖周遊の歌」が聞こえるともなく聞こえてくる。論理的な起承転結でなく、埋め込まれた民族の記憶の断片が立ち上がってくる。こういうところがうまい。
最期に内容になるのは本末転倒だが、この舞台や、松原俊太郎、岡田利規などの新しい演劇を作ろうとしている人たちには、既成のリアリズムに対する根強い不信がある。セリフによる戯曲、現実べったりの俳優演技のリアリズム、劇場の仕掛け、そこをウザイ、似非だと、否定するところから彼らの演劇は始まっている。岡崎芸術座の舞台は、地点よりも、木下歌舞伎よりも、前衛的だが、スッと観客の心に入ってくるところがある。これからの演劇を純粋な形で見せているのかな、とも思う。

十二人の怒れる男 -Twelve Angry Men-
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2020/01/10 (金) ~ 2020/01/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/01/10 (金) 20:00
古くは1985年の石坂浩二演出、1992年の俳優座から、ULPS(2011年)、劇団チョコレートケーキ(2011年)、オフィスコットーネ(2011年)、えにし(2015年)、東京ジャンクZ(2018年)、ナイスコンプレックス(2018年)、劇中の休憩で休憩をとったもの(2013年)、四方囲みにしたもの(2015年)など二桁回数観ている作品ではあるが、戯曲自体の出来に加えてそれぞれの演出・アレンジの違いもあり、さらによく知っていて先が読めるだけに「来るぞ来るぞ……キターーーっっ!!!」も複数あって何度観ても面白い。
(ちなみに劇中の休憩で実際に休憩をとったものは休憩前後のバランスが悪く、四方囲み客席は見取図を掲示できず(各陪審員にA4サイズの紙で渡した)ともに「やってはいけない演出」だと思う)
常々思っていることの一つに「悪役・憎まれ役が憎たらしいほど物語は盛り上がる」というのがあり、本作はまさしくソレで、根強い有罪派(論理的な4号は除く)の「なんだコイツ!」度の高さたるや。(笑)
また、一昨年の東京ジャンクZ、ナイスコンプレックスの公演同様、元の戯曲にある「議論に入る前の席の交代」を省いたので、陪審員たちが番号通りに並んで座っいるのも終演後に役者名の確認がしやすくて親切。(戯曲では一旦陪審員番号通りに座るものの「この席は風が入って寒い」と言う人がいて、「じゃあ私と代わりましょう」となり、番号がワカりにくくなる)
なお、今まで「ナイゲン」を観ていて「十二人……」を思い出したことはあったが、今回は観ながら「ここがナイゲンのアレの元ネタか?」があり、そういう意味でナイゲンファンがこれを観ても面白い筈。(例えばナイゲンの議長が何度か口にする「あの台詞」は「十二人……」のまんまだし、どさまわりのキャラは「十二人……」の人物2~3人の混合だし、まだ他にもあるし、そういう楽しみもある)
さて、次に本作を観るのはどんな配役、どんな演出になるのか、今から楽しみ。

十二人の怒れる男 -Twelve Angry Men-
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2020/01/10 (金) ~ 2020/01/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
この作品は有名だけれど演劇でも映画も見たことがありませんでした。
内容をしっているのは法廷ものというだけ。2時間弱、濃密で熱い時間の芝居でした。
演者と客席が近いので自分が13人目の陪審員になり会議に参加し意見を述べたくなる臨場感。
年初にいい作品を見させてもらいました。

文化祭スクランブル
放課後ビアタイム
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2019/12/18 (水) ~ 2019/12/23 (月)公演終了
満足度★★★
思っていた以上にシッカリと物語を作ってきていて、
コメディ色が強いのかと思ったら、意外なほどにドラマ性があり良い意味で裏切られました。
学生時代特有の人間関係もスンナリと受け入れられる感じで、
学校生活という狭い世界だからこそ感じる劣等感や嫉妬なども印象的でした。
そのメインの物語は楽しめましたが、全体として情報量が多い舞台でした。
なんと言うか…悪目立ちしてしまう人の存在や言動が、
本筋とは関係無い場面で多々、渋滞している感じで本当に勿体なかった気がしました。

ファントム・チューニング ~調霊探偵・四十万八十二の事件簿~
LIVEDOG
新宿村LIVE(東京都)
2017/08/02 (水) ~ 2017/08/06 (日)公演終了
満足度★★★
このLIVEDOGさんのバージョンの約1年前に、
怪傑パンダースさんのファイナル公演でも拝見していた作品。
世界観がシッカリと確立されていて楽しめますし、
多彩でそれぞれに一癖も二癖もある登場人物達も見どころの作品でした。
オムニバス形式で、作品が連続しているのと分断されているのとで、
ちょっとだけ違和感があったのは今回も取れなかったのと、
個人的に妖怪関連の作品はイマイチ馴染めない部分もあるので、
この作品もそこだけはちょっと馴染めなかったのは正直なところですが、それでも楽しめました。

三獣士 ─ヴァリアント・マスケティアーズ─
X-QUEST
シアターサンモール(東京都)
2019/12/25 (水) ~ 2019/12/29 (日)公演終了
満足度★★★
多分5年ぶり、しばらくぶりに観て、随分丸くなったなと感じた。昔に比べてストーリーがわかりやすくなって、まとまっている。面白くて目にも楽しい舞台だっだ。出来うるならもう少し脇キャラを丁寧に描いて欲しい。せっかく面白いキャラがいるのに、それを活かさないのはもったいない。
お得意の殺陣に昔ほど迫力を感じなくなっていたのは私の目が慣れてしまったのか?また、無茶苦茶な部分が減ったのは良い事ではあるが、棘が無くなったように感じた。

千葉のジョニー
タンバリンステージ
Geki地下Liberty(東京都)
2018/02/28 (水) ~ 2018/03/04 (日)公演終了
満足度★★★
Geki地下のコンパクトなサイズ感を上手に利用して、
テーマも絞ったシンプルな作品になっており、
公演後のダメ出しも含めて楽しめる時間でした。
会話劇で「え~!?」みたいな展開も面白く、
5人の役者さんだけの作品なのに、多彩な手数も楽しめました。

紙風☆スクレイパー
UDA☆MAP
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2019/08/21 (水) ~ 2019/08/28 (水)公演終了
満足度★★★
十分に楽しめた作品。
大人数での迫力もあり、各役者さんの魅力もあり、客席も十二分に湧いていた様に思います。
ただ上手く説明出来ませんが、私にはもう一歩刺さりませんでした。
作品云々ではなく、私自身のその時の気分などもあるかも知れませんが…

まってました。
ゆるふ酒
千本桜ホール(東京都)
2019/12/20 (金) ~ 2019/12/22 (日)公演終了
満足度★
90分間、ポカンとしてしまった。。。
コメディなんだろうけど、色々とっ散らかってて訳が分からなかった。
途中、役者さんが薄ら笑いをしていて、もの凄く冷めた。。

沼田☆フォーエバー
UDA☆MAP
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2018/07/25 (水) ~ 2018/08/01 (水)公演終了
満足度★★
期待を上回らなかった印象でした。
ドタバタ・コメディと銘打って、目の前でただただドタバタが繰り広げられている感じ。
既に私の前にコメントを書かれている方々に似た印象を受けました。
「こんな感じに演じたらオタクっぽいでしょ?」という仕草や言動で、
それが上手くハマっている感じはしませんでした。
何という表現が正しいのか分かりませんが、
「演技で存在が目立つ事」と「悪目立ちをしたモン勝ち!」は、
似て非なるモノだと思うのですが…
ちょっと内輪ウケ(しかも演者さん内だけの)を感じてしまいました。

雉はじめて鳴く
劇団俳優座
俳優座劇場(東京都)
2020/01/10 (金) ~ 2020/01/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
劇団俳優座と言えば、「新劇」と呼ばれた老舗劇団のひとつ。でも最近、元気があるようには見えません。若い観客が少ない、少な過ぎる。演劇人口が減ったとは思いません。宣伝が上手く有名俳優の出る舞台はチケットが取れないほどの人気なのですから。今日は久々の劇団俳優座の俳優座劇場公演。平日の昼、満席ではありませんでした。良い作品だからと言って客を集められるとは限らない。そんな日本の演劇界の現実を感じるのです。
iakuの横山拓也氏の書き下ろした戯曲を眞鍋卓嗣が演出、昨年の『首のないカマキリ』に続く第2弾。誰もが経験している学校の話。生徒側から言えば、素敵な先生の思い出。先生側から言えば、優秀な生徒より手を焼いた生徒の苦労。ありきたりの話のようですが、父の不在、母子家庭、男子生徒と女性教師、ヤングケアラー、現代性があります。同じく高校が舞台だった畑澤聖悟『親の顔が見たい』(2009年)のような迫力がありました。
新任のスクールカウンセラー藤堂智絵(保亜美)が物語を分かりやすく解きながら展開し、主人公舞原健(深堀啓太朗)の家出へと話が進みます。担任教師浦川麻由(若井なおみ)が優しく接します。舞台は抽象的なセットですが、回り舞台を上手く生かしています。舞台を回し、照明を変えることで、一瞬にして「場」を変える。上手い。緊張感が途切れないのです。前回『首のないカマキリ』と全く異なるキャラクターを演じた健の母親役の清水直子。どんな芝居でも存在感抜群の劇団桟敷童子の板垣桃子と重なります。私が驚いたのは、同じく前回に続いて出演の後藤佑里奈。潔癖性の強い今時の女子高校生役がぴったり。本公演の連続出演、とても嬉しいのです。
開演前から悩みを抱えた健が舞台にいました。物語のスタートラインを明確にしているのが良い。タイトルですが、雉は「ケーン」と鳴くのですね。「健」とのつながりなのでしょうか。そして最後の「えっ!」と誰もが思うまとめ方。素敵な作品に仕上がっていました。是非多くの若者に観てほしい。もちろん若くない人にも。高校生を対象にした演劇鑑賞会でも、衝撃的ですが、人間関係のあり方を考えさせる適切な作品だと思いました。

ニオノウミにて
岡崎藝術座
STスポット(神奈川県)
2020/01/11 (土) ~ 2020/01/19 (日)公演終了
満足度★★★★
STスポットの狭い空間にはパフォーマンスエリアが大きく取られ、その片隅に申し訳程度の客席が割合スシ詰めで30席程度か。
このユニットの初見が数年前、横浜での殆ど取り付く島のない抽象舞台であったが、その風景を彷彿させた。ただし今回のは面白い。自分の感覚が耕されたのか..、しかし作り手の「問い」がより普遍的か否か(普遍的表現に昇華されているか)も大きな要素のはず。
言語化して伝える材料が見出しづらいが、四角の台上の世界はある種の箱庭。愛着を感じる。そう言えば初見舞台にもあった宙に浮かぶ大きな球体が、場面によって色を変えて幻想的に光っている。もう一つ魅力的なアイテム、弦楽器は三つの伝統的な楽器を兼ね備える(これ如何に)。

阿呆浪士
パルコ・プロデュース
新国立劇場 中劇場(東京都)
2020/01/08 (水) ~ 2020/01/24 (金)公演終了
満足度★★★★
赤穂浪士の「忠臣蔵」を、阿呆浪士の「おまつり蔵」に換骨奪胎する。八(戸塚祥太)が、長町小町のお直(南沢奈央)の樹をひきたいばかりに、「俺は赤穂浪士だ」と名乗るのがきっかけだが、そのまま突っ走るほど科単細胞ではなく、何度も引き返そうとするのに、そのたびに、いろんな見栄や反発からかたき討ちへと突っ走っていく。緩急と名セリフをちりばめた戯曲がよくできている。
演出と役者も笑いのツボをよく抑えていて、楽しめた。
討ち入り場面の立ち回りも見ごたえ=「聞きごたえ」があった。というのは、刀と刀が打ち合う効果音を流すことで、実際には刀がぶつかっていないのに、斬り合っているように見えたから。なかなかの迫力だった。ただ、最後はみんな切腹して死んでしまうので(そこは忠臣蔵ですから)寂しかった。無言劇も切なかった。

You're a Good Man, Charlie Brown
Sweet arrow Theatricals
シアター風姿花伝(東京都)
2020/01/04 (土) ~ 2020/01/13 (月)公演終了
満足度★★★★★
二度それぞれ違う席で観劇して、見え方が違っていた、というより同じ見え方のする席が全くないのでは?と思った。
なので連続して観ても新しく見えていって演者さんの香盤も合わせて唯一有無の観劇と感じました。これは、脚本、演者、演出全てが高レベルだからできることだと思います。
演者さんが演じているお姿を見ているお客さまのお顔が幸せそうに見えたので。
また、すぐにとは言いませんが、再演があればと思いました。

アルトゥロ・ウイの興隆
KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2020/01/11 (土) ~ 2020/02/02 (日)公演終了
満足度★★★★
かなりハードルの高い戯曲で、へたをすると歴史の解説やあらすじを追いかけるだけになってもおかしくない。上演時間は今回だって休憩込み3時間5分と長い。そこを、草彅剛というオーラをまとった俳優と、ギンギラの大音量ソウルミュージック(ボーカルは大阪弁)を前面に、コンサートのようなノリで、この歴史アイロニー劇をくるんだところがみそ。薬でトリップさせた替え玉を犯人にさせてしまう放火事件裁判、ローマ(レーム)の粛清、等々、見どころもたっぷりあった。
最初はシカゴのギャングの話(補助金詐欺、商人シートの自殺とか)に、初期のヒットラーのどういう史実が重なるのかわからず、(字幕で理解するものだから)理屈っぽいように、説明っぽいように感じたが、後半は、国会放火事件、オーストリア併合とよく知っている史実を踏まえたものなので、すんなりブレヒトの皮肉や舞台の盛り上がりを楽しむことができた。
こんな怖いウイを支持するか、観客に問いかけ、マシンガンをぶっ放しておどす。最前列の観客は演出の狙い通り、支持の手を挙げていたが、そのより後の反応はちらほらだった。いつものことだが、日本の観客はちょっとおとなしいところが残念。これが本当に観客が熱狂したら、見事なアイロニー劇になるのだけれど。アメリカやドイツではうまくいくのだろうか?

十二人の怒れる男 -Twelve Angry Men-
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2020/01/10 (金) ~ 2020/01/20 (月)公演終了

十二人の怒れる男 -Twelve Angry Men-
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2020/01/10 (金) ~ 2020/01/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
ものすごく濃密な1時間55分でした。見る前は12人の区別がつくか不安でしたが、そんな心配は不要でした。中だるみもなく、気持ち良いほどテンポもいい。
役者たちの演技による鍔迫り合いを目の当たりにし、鳥肌が立つほどの演技に、自分も議論に参加してたかのような錯覚が!
映画では味わえないライブ感は舞台ならではの醍醐味です。本当に素晴らしい舞台でした。

うっかりキスをして
劇団aji
世田谷文化生活情報センター 生活工房 ワークショップルームB(東京都)
2020/01/15 (水) ~ 2020/01/16 (木)公演終了
満足度★★★★
ひとことで言うととても瑞々しいお芝居でした
演者もテキストもフライヤーも、トータルでセンスが良くて素敵です
このクオリティが無料でいいのだろうか…

(本公演)土木座
guizillen
インディペンデントシアターOji(東京都)
2020/01/03 (金) ~ 2020/01/06 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/01/06 (月) 14:00
価格3,000円
祖父の死を機に別々の生き方を始めた三姉妹がそれぞれに出会うちょっと変わった人々……な物語。
じわじわっと始まり以降だんだん華やかになるもラストにモノ哀しさが漂うのは線香花火の如し。(初演時は気付かなかった)
また、どことなく微かに文学臭もしたようだが、たぶん気のせい。(爆)
逆にジブリっぽさは随所にパロディあるいはオマージュがちりばめられていたからであり、気のせいではなかろう。(笑)
再演なので出演者が倍増くらい?と思ったが初演も出演者は15人いたのだった。梟門で15人なんてバカだなぁ!(笑)
で、その人数ゆえ、メインの芝居の後方や脇であれこれ演っており、2回観て最初はメイン、2回目はワキを注視するのが理想的かも?

雉はじめて鳴く
劇団俳優座
俳優座劇場(東京都)
2020/01/10 (金) ~ 2020/01/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
生徒、教師、親、それぞれ縦や横のコミュニティーが織りなす人間模様。
清濁合わせ持つその鮮やかさたるや。
まるでスポンジになったかの様に舞台から溢れ出る感情が、紡がれる言葉が沁み込んできました。
男子生徒の女教師に恋焦がれる頑なさにピッタリ張り付いた涙したくなる痛み。
ごくごく普通の37歳でもある女教師の、一人の女として、常識ある教育者として、人生の先輩である大人として一体何が正解なのか、悩ましい心情。
もう切なくて切なくて胸が締め付けられます。
登場から速攻でこちらのペースをも掴み取ってしまうカウンセラー女性の人間力、
代表者として真価を問われる校長の立ち振る舞い、
ある意味台風の目でもある母親の目が離せない言動、
調子に乗って全て挙げてしまうとネタバレになってしまいますが、もう出演されていた人たち全員が(時には厄介ながら)とても愛おしい。
ことごとく教頭先生には笑わせて頂きましたが、これは油断すると同じ穴の狸になりかねないので気を付けなくちゃ(笑)
確実な総合力で心揺さぶられる極上の人間ドラマでした。