最新の観てきた!クチコミ一覧

31961-31980件 / 191848件中
ゲルニカ

ゲルニカ

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2020/09/04 (金) ~ 2020/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

9月の4本目。
今回も演劇らしい演劇、しかも硬派の反戦劇である。
歴史上初めて無差別爆撃の行われたスペインのバスク地方の中心地ゲルニカを舞台とし、爆撃までの9か月ほどを描く群像劇である。

革命により没落した貴族の娘が主人公というだけで沢山のドラマが作れそうだがそこに共和国軍と反乱軍の戦争が加わってくるのである。バラエティに富んだ人物が生み出されていると思う反面、作りすぎてわざとらしく感じるところもあった。

娘役の上白石萌歌さんは堅実な演技で紛れもなき主役だった。特に、他人に頼ってばかりの娘から自立した大人へと豹変するところはすっかり引き込まれた。もっともそれは母親役のキムラ緑子さんの憎たらしい演技があって初めて成り立つものだ。おそらく私を含めた観客全員が彼女から鞭を取り上げてひっぱたいてやりたくなったことだろう(笑)。外国特派員役の勝地涼さんは落ち着いた演技で私の一押し。これで重みが着けばとは思うものの「ハケンの品格」での軽目の演技が今の売り物なのだよね。

全員での歌が2度あるが練習していないんじゃないのレベルで星2つ。歌ではないが最後に全員でメッセージを発するところはバラバラで何を言っているのか分からない。ここが数少ないがっかりポイント。

70分+20分休憩+80分。

ネタバレBOX

作りすぎだと感じたのは娘が実は女中の子であったり、結婚相手と母が関係を持っていたりするところである。また話の構成上、娘に子供ができるのは欠かせないところだが何とも無理筋であった気がする(ここはちょっとボカしておく)。また結婚相手の運命がひどすぎる。せめて子供の父親にしてほしい。
ATOM

ATOM

THE CONVOY

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2020/08/14 (金) ~ 2020/08/23 (日)公演終了

とは言え、やっぱりATOMのシーンはこんなフリフリのシャツではなくてTシャツにしてほしかったわ。若者たちには和太鼓は似合いそうもないので、こんな日常品を楽器に見立てたのかしら。全体的に毒は薄まっていると思いましたし、フロイトはナルシスト感満載の舘様には敵わないわね。最初から若者たちも念頭に書かれている「星屑バンプ」や「ONE!」は無理なく見れましたが、時代背景が違うと思ってしまうのは旧ファンだからでしょうか。次回は「パピプペポ〜」だそうですが、ぜひ今の世界観を持った面白いものにして欲しいと思います。でも、マイウェイは外さないでくださいね。衣装もあのシンプルさが素敵なので変えないで欲しいものです。

川口知夏のエチュードやってみよう!

川口知夏のエチュードやってみよう!

新宿シアター・ミラクル

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2020/09/05 (土) ~ 2020/09/05 (土)公演終了

満足度★★★★

エチュード観るのは初めてでしたが、なかなか楽しめました。

観客が喋ってもらいたいセリフをスマートフォンで投稿して、それを役者が早いもの勝ちで使いつつ、短時間の即興劇を組み立てていくのですが、無理矢理感もあるセリフも詰め込みつつ、何とか劇にしていく過程が面白い。

Vol.2もあるかも…といった川口さんからの言葉がありましたので、気長に待ちたいと思います。

「アルバート、はなして」

「アルバート、はなして」

彗星マジック

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2020/08/28 (金) ~ 2020/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

初日に劇場で、さらに配信チケットでアーカイブを観させて頂きました。
なんと1枚買うだけで、全公演のアーカイブが一週間観放題という太っ腹。
彗星マジックは観劇三昧Liveで全公演生配信、客席後方からの定点撮影というスタイルでした。

ネタバレBOX

アルバートとウルズとの対話。
ウルズはアルバート自身が、自身の中に生み出した存在。
思考する中で、自分の思考の対話相手として生み出した存在。
その存在に過去の女神の名前をつけてしまったせいで、アルバートの意識の中でウルズは過去でしか存在できないと定義づけてしまった。
ウルズを過去でしか存在できないものにしたのはアルバートのその定義づけのせい、つまりはアルバートの意識次第でウルズはどこででも存在できる。
名前とは存在を象徴するもの、存在は名前に縛られる。
現代でも姓名判断などがあるように。
そして無意識化ではアルバートも分かってた。
分かっていたから、出現できなくなったウルズの次に、現在の女神の名前、ウルズと名付けた。
しかしそのウルズでさえも、現在というものに対する己の定義付けにより手放してしまう。
同時に考えることをも手放してしまう。

世界は不思議に満ち満ちている。
分からないことを、明らかにされていないことを、どう考えるも、自由。
考える自由がそこには存在している、こうであらねばならない、こうであるはずがない、そんな枠はない、自身を枠の中に押し込めて、枠の中に囚われてしまうのは、自分自身、自身の思考。
歳を重ねて経験を積み重ねていくと、子供の頃にもっていた思考の自由をその経験によって失ってゆく。
あんなに世界の不思議を思考することを楽しんでいたアルバートも、歳を重ねることで次第に無意識にあるいは意識的に、自身を縛ってゆく、思考する自由を手放してゆく。
死の間際、3に縛られていたアルバートは、3の次には4があることに気が付く、限界の向こう側があることに気が付く、枠の外側があることに気が付く、思考の自由を思い出す、何をどう考えるも自由だったのだということを思い出す。
その瞬間、死によって身体だという枠から解き放たれたアルバートは魂だけの存在になり4次元の世界へ自由に飛び立つ。
冒頭から自分に関わる全ての人々を暖かな眼差しで見守り続けていたのは、このアルバート。
4次元の世界で時間軸を移動する、過去の自身と周囲の人々を見守り辿ってきた思考を辿り直す、そして辿り着く。
辿り着いた先にあったものは、ウルズとの再会。

また同じように父ヘルマンも臨終を迎えて魂の存在になった瞬間に4次元を悟り、それまではアルバートを通して存在を認識していたウルズに出会う。
妻が最期の別れを言ってた時には、その身体からは既に魂は離れている。

好きなシーン。
マヤが両親を説教するシーン。可愛い、とかく可愛い。コブシはグーで膝の上!がもうとかく可愛い。
アドルフがフリッツを伴って社長室を訪れるシーン。ここは初演でも面白かったけれども、中川さんの一人芝居もまた面白かった。
離婚調停のシーン、貧困時代を支えてくれた献身的な妻をよそに、母親そっくりな女性と本気の浮気をするというマザコンっぷりを発揮した、なかなかに泥泥な状況にも関わらず。
とってもコミカルに演出されてて、とっても楽しい。
女神ふたりの実況面白いし、ミレーバ可愛いし、エルザ憎めないし、アルバート情けないし。
アルバートの晩年の病室のシーン。この劇中最も終始愉快だったシーンな気がする。立花さんのコメディ手腕がいかんなく発揮されてる。
4次元へと解き放たれた魂の出発点のシーン。ここのシークエンスは初演から好きだった。アルバートの人生に登場した様々な人々の元を巡る。巡る。巡る。時も場所も越えて。とても彗星マジックらしいと思う。好きだ。ここでは誰ももう何も取り繕わない、むき出しの魂だ。

主に焦点が合わされているのはアルバートの人生だったけれども、
暗黒の時代に、信仰だの人種だのに翻弄されたフリッツ、アドルフの人生も、生々しさを伴って描かれている。あまりに物悲しい。悪役を担っている人でも、産まれた時からそうであったわけではない、そこには理由がある、そうなるに値する理由が。運命の哀しさ。

アーカイブを観直す時に、ツイキャスで聞いたSEの3について注目してみようとは思ったのだけれども。
観てる最中に、その意識はノイズで、邪魔だなって思ってしまって、探すのをやめてしまいました。
意識してなくてもそれでもそういう仕掛けというものは、無意識化に働きかけてきて心地よく観させてくれるもの。
舞台の世界に厚みを増してくれる。
何かしら軽いな~という印象を受ける時というのは、そういう丁寧な仕事がなされていない場合なのかもしれない。。。

これまで様々な折につけ、一度ちゃんと相対性理論読みたいと思い、いまだ未読な現状。
相対性理論そのものではないけれども、興味が沸いたアインシュタインの生涯にも触れている、相対性理論を楽しむ本というものをようやく買いました。
まだ一文字も読んでませんが、買ったからには、読書の秋な間には完読を目指したいと思います。
時間とはなんなのか、ということを考える時の材料にしたいです。
そう考えることは自由、何をどう考えるも自由、考えることは楽しいことなんです。
台本も読みたい、まだ2020年度版は一文字も読んでない。

アーカイブで千秋楽のカーテンコールを観ていて。
おひとりおひとりのお顔観ていて。
あぁ、なんて最強な布陣だったかと、なんて最高の再生だったかと、改めて。
ある人はこの方はこんなに達者たったのかと今さらながらに驚いた方もいて、ある人はこの方は本当にいいお芝居をされるようになられたなぁと驚いた人もいて、ある人はこの方の存在は全てを率いて纏める説得力のある豊かな芝居をされるなぁという方もいて。
どなたにとっても間違いなくご自身の代表作のひとつになりうる舞台になったのではないかと思います。
ありがとうございました。
あのコのDANCE

あのコのDANCE

毛皮族

ザ・スズナリ(東京都)

2020/09/02 (水) ~ 2020/09/07 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2020/09/07 (月)

価格2,720円

昨年の『渇望』ぶりの江本純子さんの作品。動画配信で視聴(100分)。

観劇(ないしは視聴)した方々の感想を目にしたうえでの視聴だったので、無理に?!理解しようとはせず、聞き流し…もとい!ながら視聴的なスタンスで拝見した。
作者が言うところの「ゲージツ」、自分にも、なんとはなしに伝わってきたかもしれない。

ところで、動画配信を視聴中、カメラとは違う視点(たとえばフォーカスが当たった個人ではなく、舞台?全体とか)で視たい!と何度も感じた。たぶん、この「ゲージツ」は間違いなく、その場で「体感」せにゃならんヤツだったようだ(やや後悔)。
あと、男性客の年齢層が高いように感じられたが、毛皮族さんの固定客?なのかなぁ。

IN HER TWENTIES 2020

IN HER TWENTIES 2020

TOKYO PLAYERS COLLECTION

シアター風姿花伝(東京都)

2020/09/02 (水) ~ 2020/09/07 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/09/06 (日)

 いい芝居を観せてもらったという思いと同時に、懐かしさもある作品だった。
 2011年に初演され、2013年に再演された戯曲を、再々演する。20歳の誕生日の翌日から30歳の誕生日の前日(つまり29歳最後の日)までの10年を、1歳毎に一人の(しかもほぼその年齢の)女優が演じるという興味深い戯曲。初演も再演も観たが、その都度違ったテイストを感じさせてくれる。物語は、出会いと分かれ、成功と挫折という、ごくありきたりものだが、10人への割り振りと、セリフの巧妙さが活きる。戯曲も書き換えているのだろうけれど、演じる女優でテイストが変わるということを、つくづく思い知らされる。上野の女優選球眼(^_^;)は私のテイストにピッタリ合っていると以前から思っていたが、今回も見事にヒットし、こんな話だったなぁ、という懐かしさも加わって、幸せな85分を過ごした(^_^)v。
 初演で20歳の役を演じた榊奈津美が29歳になったら再演したい、という希望から実った企画だというが、そういう思い入れを女優に持たせるというのも、戯曲の力・演劇の力だと思う。

 なお、2011年の初演の配役は

20歳(榊奈津美)・21歳(八幡みゆき)・22歳(井上千裕)・23歳(中村梨那)・24歳(梅舟惟永)・25歳(南波早)・26歳(吉川莉早)・27歳(甘粕阿紗子)・28歳(小鶴璃奈)・29歳(冬月ちき)

だった(記録がデジタルに保管されていた)。演劇を続けている人もいるが、演劇を離れた人もいて……、時の流れを誰か知る。

明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

演劇企画イロトリドリノハナ

シアターX(東京都)

2020/09/03 (木) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

千秋楽・・・♪
あっという間の四日間・・・もう終わってしまうのか♪
イロトリドリノハナは初演から全部観させて貰っているのだが・・・いつもなら終演後にその日の感想を話せるのだけど・・・今回はコロナのせいでそれも出来ず・・・♪
少しだけ・・・でも目一杯の感想を伝えたら・・・芝居は生き物だね~物凄く良くなっていた♪
これが初日から出来ていたら・・・物凄い舞台になっていたのではないか♪

明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

演劇企画イロトリドリノハナ

シアターX(東京都)

2020/09/03 (木) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

三日目・・・♪
ダブルキャスト・・・全く違った感じに観えるのだが・・・オヤジの贅沢な希望・・・Aのこの人とBのこの人を一緒の回で観たい・・・♪
初演のKASSAIでは狭いのですべてがセットの中に詰め込んでの芝居になっていたが、今回はしっかりセットを作りこんでの他のシーンは上手側に別舞台を組んでの芝居♪
動線もしっかり採れてゆったりした感じで観れた♪

明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

演劇企画イロトリドリノハナ

シアターX(東京都)

2020/09/03 (木) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

二日目・・・♪
初日の硬さは取れていたのだが・・・まさかの二落ち・・・♪
初日を終えてほっとしたのか・・・台詞を間違えたり咬んだりが多々あった♪
四季には「慣れ」「ダレ」「去れ」と言う標語が貼ってある・・・♪
四季の役者さんのインタビューで印象に残っている言葉・・・「芝居は瞬間の芸術・・・二度と同じ芝居は無い」♪
そう一期一会なのだ・・・♪

スモール アニマル キッス キッス

スモール アニマル キッス キッス

FUKAIPRODUCE羽衣

吉祥寺シアター(東京都)

2020/08/28 (金) ~ 2020/09/07 (月)公演終了

満足度★★★★

久々に羽衣妙ージカルを観たが、最も完成度が高く感じられたのは何故か。総勢15人全てにメインキャストとなる小エピソードがあてがわれ、10個程あったろうか。曲に乗って描かれる色恋にまつわるエピソードは、人間と小動物が半々位。曲+歌には好みもあるが場面に即しており、秀逸なものが幾つか。振りと曲のマッチングもさすがだが、踊り手もいい。
今回の特徴は「口ぱく」との事。最初離れた男女が呼び合う声に違和感あり、奥の女性が生声、手前の男性がマイクを通したこもった声に聞こえ、確かに喉も枯れていたので窮余の策かと思えば、他もマイクの声である。そこで「なるほどステージ前面では録音を使い、感染症対策としている」と納得。だがよく見ると殆どが口パクである。
場面は音曲とダンスが基本構成要素なので、歌は音楽に乗せて録音できるが、ただの台詞は合わせが大変である所、よくやっていた。それにしても録音は声のテンションと身体状態とのギャップを生むが、臨場感ある録音の声に身体が付いていく。稽古の賜物か。またエピソードが少人数ごとなので稽古参加人数も制限できたに違いない。
さて今回感じた優れた点は恐らくこの「口パク」が理由だ。というのも生声であの動きを全力でやるのは無理である。録音だったからこそ身体パフォーマンス(口パク込み)に専念でき、質を高めた。コロナ対応のためのアイデアが舞台上でもうまく機能した訳である。演じ手と語り手の分離は宮城總のお家芸だが、この手法の利点に通じる。
糸井氏演出による「摂州合邦辻」の再演も嬉しい。

ネタバレBOX

劇中でフランクザッパを彷彿する楽曲が流れたが(確かこの芝居だったと思う)、曲のエッセンスを場面のニュアンスにうまく反映し少なからず喜悦。糸井氏の守備範囲の広さを改めて。
BLACK OUT

BLACK OUT

東京夜光

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2020/08/21 (金) ~ 2020/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★

作演出の名もユニット名も初、星のホールのNEXT COLLECTION(注目の若手)にしては小劇場の実力派を揃えており、評判も良いのでコロナ後初の三鷹(最遠方)へ足を運んだ。
小劇場演劇界のあるあるを超えて当事者だから書ける生々しい逸話が、2月後半あたり、つまりコロナ事態の迫る状況を背景に展開し、フィクションながら(観劇屋として)身に詰まされるリアルなドラマであった。
作演出を夢見る(まあまあ書ける)主人公が、「仕事はあり金にもなる」演助のオファーを受け、夢と天秤に掛けて手堅い将来像を思い描くあたりは切ない。
芝居の大部分はあるプロデュース公演の稽古。映像の仕事にかまけて?ブランクのあった鬼木が久々に舞台の仕事を受け、企画段階とは異なるコロナを題材に自分としては満足の行く台本で挑もうと意気込み、先の主人公も制作担当である旧知の女性の声掛けで演助に入っている。所が問題発生、観客の7割を動員するだろう事務所所属の若手俳優が台本に異論を唱えた。「今苦しんでいる人がいるのに何故コロナか」(彼なりの真剣な意見)。一度疑問を呈して黙ったが、いつか答えが解るだろうと思ってたが未だに理解不能と彼は言い、説得に失敗。結局鬼木は台本を書き直す事になる。「バイトのつもりで頑張る事にするよ」と主人公にこぼす鬼木。
物語は、主人公の「作演出者への夢」と「演助への期待度が高い現実」の葛藤の構図の中に意味づけられながら展開する。「夢」の片隅にいた制作の女性が実は婚約していて妊娠中、最後の仕事として鬼木の作演舞台を企画した事が後に判ったり(主人公は彼女と大学時代から演劇を作った仲で自分の夢も語り共有してくれていると思っていた)、演助を受ける代わりに鬼木に自作を渡してもらうよう依頼していたが今の仕事の中で渡すタイミングなく過ぎていた頃、別のルートから作演オファーが来て舞い上がる。一方「コロナ」から「不倫」をテーマに変えた鬼木の舞台は転換手順の検証など粛々と進み、主人公は演助の役割を見事にこなして信頼を得るが、作品の「中身」は観客には伏せられている。そこで主人公による舌禍事件発生。確か照明スタッフとして稽古参加し気安くなった声力のある女性に、つい通し稽古の感想を漏らす。相手は「演助」としての彼に「うまく行った」感想を期待したのだが彼は首を傾げ、「え、え、何、問題あった?」と突っ込まれて「正直自分がやった方がうまく行く気がする、台本も含めて」と本音を漏らす的にこぼす。「お前がそれ言ってんじゃねえ!」と一刀両断された直後(この先が「通常ない」だろう展開だが面白くなる)、稽古場の片隅でのこのやり取りに気づいた鬼木が、記録のために録っていた主人公のレコーダーを見つけ(このかん主人公は手も出せない)、会話の全てが全員が聴く中で再生される。次に主人公がとった行動が哀れで滑稽で、普通なら脇役に振られる類の中々なシーン。「演劇界」で生きて行こうとする彼の本心が実力者鬼木にすがりつき己の非を詫び、受けたオファーも断ると宣言するという行動へと突き動かす。つまり演助として「食って行く」道を選択したと見えるのだが、同時に「作演出」を貫く器ではない、との周囲の評価そのままが露呈した風景にもなる(自分を対象にしなければこうは書けないだろう)。が、主人公がオファー元に電話をした携帯を鬼木が取り上げ、「彼、今酔っぱらってるんです。仕事、とても喜んでまして。では」と相手に言って切る。それをきっかけにだったか、主人公はついに自分の本音に居直り、コロナの芝居の方が断然面白かった事、新しい台本がつまらないゆえに通し稽古もつまらない事、皆がそれを指摘しない事の欺瞞を吐き出すように言う。この瞬間は一旦突き落とされた地獄(世間)から、かつて魅せられ信じた演劇に対する思い(己にとっての真実)に踏み止まった瞬間とも言え、胸を掴まれる。鬼木は「面白くないと言われれば、謝るしかない」と頭を垂れ、「面白くないのなら面白くするしかない」と彼に稽古の進行を頼む。周囲は再び稽古に戻って行く。
もみくちゃになりながら舞台を作ってもコロナには勝てなかった結末を含め、演劇製作者へのエールになっていた。

明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

演劇企画イロトリドリノハナ

シアターX(東京都)

2020/09/03 (木) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

ウイズコロナならぬウイズ戦争の中を生きる人々。
オヤジ♪さん、ハンダラさんの感想にもあるように初演と比べて演出が、より丁寧に、より深く描かれていたと私も思いました。
それでもって役者さんが大幅に変わったことで、
初演でのシリアス感強めな雰囲気が、これまた一変。
親しみやすい空気感多めになっていたと思います。

Aチームを拝見し、間をあけてのBチームを観劇。
自分的にはこれが大正解!
1回目の観劇では全体像を把握。
2回目ではダブルキャストの醸し出す違いを楽しむのは勿論。
何より、決して難しいストーリーではないにしろ、人間関係の機微や政治的不安要素など、演出においては様々なニュアンスが随所に散りばめられているので、見落としのあったこれらを発見、なるほど!と噛みしめながら鑑賞できるっていうのはこの公演ならではの至福。
う~ん、観察力、洞察力がもっと達者であれば1度の観劇で済むのでしょうが(笑)
ラストに向けての追い込みが圧巻!

ひとよ

ひとよ

KAKUTA

本多劇場(東京都)

2020/09/03 (木) ~ 2020/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

初演から9年。題名から舞台風景がすぐに浮かぶレアケースだったが、笑い所豊富であるのは記憶と違った。初演時は震災の記憶が未だ生々しく、笑いのある日常を背景(地)に、不穏要素が「図」として強調された、のに対して今回は(確かに脚本もそう描いてあるのだが)不穏な事情を背景とし(て利用し)、笑い待ちの観劇となった。
恐らくコメディエンヌにしか見えなかった主役渡辺えりの演技の影響も(本人は大真面目だと思うが)。本来なら物語そのものが問う「果たしてそれはあって良かった事なのか」という、ナイーブな問いが全編通じて波寄せるようでありたかったが、渡辺女史の逼迫振りを示すような噛みトチりは「コメディ的には」どうにかクリアしても、役の裏面史的にはどうだったか。聞けば前日が初日で、観劇日は魔の2ステージ目・・という問題ではなさそう。
役の女性は、渡辺本人と重なる要素はあるが、私には真逆の人物像に感じられる。「言わずにおれない」渡辺えりがあの行動に出る事は想像しにくい。男女同権の思想や女性のマイノリティ性の認識や自意識からではなく、言葉で状況が変えられないと悟ったからこそ家族のために「行動」を選択した一個の女性であり母親。それがこの芝居のヒロインである。
言わば自己犠牲・忍従の方に情熱を傾け得る古風な人格が、渡辺女史の演技に宿るか否か。。
社会の制度や風潮の変革を訴えることをしない代わりに、ヒロインは愚直に己の考えから割り出した「正解」を実行し、法が定める善悪を相対化した。そこには聖性が宿る危険もある(「危険」とは世間一般の価値基準によるが)。
芝居の方は母親が去った後も続けられていたタクシー会社を舞台に、様々な人間模様が展開するが殆どが男女関係に帰結し、親子関係が絡む。ヒロインの家族以外の人物は悲喜こもごも、人生あるあるを辿るのに比して、中心となる家族の事情はやはり特殊だが、両者がタクシー会社という場所で共存しているのが不思議である。従業員や関係者がある程度「過去」を知っている様子であるのも(やや曖昧に見えた部分もあったが)不思議なバランスで、この日常の帰趨には興味がそそられる。
KAKUTAお得意の笑いは吃音の長男(若狭)の妻(桑原)、男性目線では中々こうはフィーチャーされない「面倒くさい女性」キャラをうまく(可愛く)カリカチュアして見せていた。主人公が旅先で助けられた外国人のキャラ作りは(訛りも含め)芸の域。新米ドライバーの弟分だった男と恋人のカップルが訪れ終盤波乱を起こすが、主人公(母)の存在自体が波乱要因であり、このコミュニティの耐性を与えている。
この場所に横たわるぎこちなさや欠落が、言葉を当てられる事で埋まり、皆に収まり所が与えられ、芝居は終わる。シェイクスピア喜劇がフィナーレにもたらす統合は、戯曲がかくありたいモデル。KAKUTAらしい作品と言える。

ネタバレBOX

震災の年の秋に打たれた芝居。事件が脚本に反映されたのかどうかは分からないが、作者は観客をエンパワーしたかったのには違いない。
その翌年の芝居は、現実的な「苦」の背景が希薄で、それでいてウェルメイドな出来であったのにやや失望した。その思いをアンケート用紙の表裏に書き殴った。・・震災と原発事故は未だ終っておらず、痛苦を踏まえない舞台上のハッピーなど信じる事ができない。「見ない」事で得られる安心・安楽を提供することが演劇の役割だろうか?、少なくともKAKUTAが目指すものだろうか・・。そんな風な事を書き、要望を伝えた。その次の新作が『痕跡』。アンケートには謝意を記さなかったが自分に応えてくれたかのように嬉しく報われた思いがした。
演劇界(又は演劇評論界)で名を上げる作品と、劇団の客のニーズとはズレがある事だろうがそれでも演劇が果たすべき(その才能があるなら使うべき)役割がある、と考える。
KAKUTAを最初に観たのがNHKシアターコレクションで取り上げた『目を見て嘘をつけ』(筒井真理子主演=ゲイだったか性同一性障害の男性役)であったが、この時は「社会問題を扱いながら笑えて泣ける舞台を作れている」と絶賛した。が、笑えて感動で終る「エンタメ縛り」に陥っていないか?という一抹のハテナも頭を掠めたのを覚えている。そしてその一年後に震災が起きた。その秋の『ひとよ』は前作に比べ深刻度が増したがそれでも自分としてはウェルメイド(エンタメ)性が維持されている点にネガティブな印象を持った。『痕跡』『愚図』『らぶゆ』と犯罪絡みの作品が続くKAKUTAは、今も性分としてのエンタメ性と使命としての社会性の狭間に揺れていると勝手に想像している。
明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

演劇企画イロトリドリノハナ

シアターX(東京都)

2020/09/03 (木) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

初日・・・♪
初演より倍くらい広い舞台・・・どんなセットになるか楽しみにしていた♪
しっかりしたセットで一安心・・・♪
強いて言えば床の間が上座に無い事か(笑)♪
初演より細かい所まで描いていて判り易かったのではないか♪

GIRLS TALK TO THE END

GIRLS TALK TO THE END

藤原たまえプロデュース

千本桜ホール(東京都)

2020/09/02 (水) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

女性同士の関係を、リアルに可笑しく描いた舞台で、とても面白かったです!仲良さそうに見えても実は・・という感じとか、男性が絡んでくると、友情もへったくれもない感じとか「ある、ある」と納得してしまいました。役者さん達は、個々のキャラクターを熱演し、皆嵌っていました。ダンスも良く、テンポも良く、あっという間の時間でした。そして、役者さん達も主催の藤原さんも可愛かったです!

IN HER TWENTIES 2020

IN HER TWENTIES 2020

TOKYO PLAYERS COLLECTION

シアター風姿花伝(東京都)

2020/09/02 (水) ~ 2020/09/07 (月)公演終了

満足度★★★★★

やはり脚本というか設定がいいので面白いですね⁉︎

ネタバレBOX

初演の時は自己紹介はあったのかな?記憶にないのだけれど...
21歳の子が昔の榊さんのイメージにかぶっていました。
各年齢の間の、未来を知らない自分と過去を経た自分とのやり取りがいいですね
並んだ椅子も、それぞれから見える景色が違うイメージを感じさせてくれました
2020 みんなの春をやり直す

2020 みんなの春をやり直す

安住の地

シアターセブン(大阪府)

2020/09/05 (土) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

私自身、義務教育意外の卒業式などは出たことありませんが、これを拝見し、出なかったことを反省しました。

かがみの孤城

かがみの孤城

ナッポス・ユナイテッド

サンシャイン劇場(東京都)

2020/08/28 (金) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

東京千秋楽をライブ配信で観劇しました。
色々と演劇公演配信を観てきましたが、また新しい媒体。
今回は、ぴあライブストリーミング。
もう…感動的にハイクオリティでした。
映像的にも音質的にも最高品質、定点撮影ではなくスイッチング切り替えもあり、生配信でここまでのクオリティ、臨場感を出せるのかと…衝撃でした。
日本全国、いやむしろ世界各国、どこにいても皆等しく、今まさしくサンシャイン劇場で紡がれている時間を共有できる、感動です。

ネタバレBOX

事前に原作は読まずに観る選択をしました。
純粋に久しぶりのキャラメルボックスイズムを味わいなぁと思って。
きっらきらしてました、これだよ、これ。
中学生のいじめを題材にした作品なのですけれども、明るさと希望で輝いてた。
観ていると、とても気持ちが安らいで和らいで暖まる、浄化されるような面持ち。
どんなに心がしんどい時でも、ひび割れにしみこんで癒してくれる、そんな素晴らしい世界。
人生は、誰と出会い、どう過ごすかで、良くも悪くも変わる。
誰と出会い、どう過ごすか、一期一会の大切さ尊さが描かれている。

あの頃の自分に観せてあげたくなる。
学校というものは、強制的にもれなく押し込められるコミュニティで逃げ場がない、小学校中学校は特に。
でもさ…行きたくなければ行かなくていいんだよ、付き合いたくない人間とは付き合いもたなくていいんだよ、ぼっちでも構わない、無理するくらいならぼっちでも全然いいんだよ、勉強なんて学校じゃなくてもできる、学校は勉強をする為の場所じゃないんだよ、学校生活を楽しむ為の場所なんだよ、楽しくないなら辛いことあるんなら行かなくていいんだよ、学校行かないことを後ろめたくなんて思わなくていいんだよ、その場所が全てではない、その場所での自分が全てじゃない、その場所にいる人間が全ての人間じゃない、先生は聖人ではない親も聖人ではないいつでも正しいわけではない。
今、辛い思いしてるひとに、辛い思いしてる周りの人に、届いて欲しい。

モマぶりの舞台の生駒ちゃん、すっかり髪の毛が伸びてて可愛らしさが増して。
そしてすっかり頼もしい座長でした。
衣装の淡い色彩な花柄のふわっとしたワンピースも可愛かったなぁ。
普通に、っていうかとても欲しい。。。

観られて良かった、ライブ配信に感謝。
東京千秋楽のスタンディングオベーションの景色が観られて感激でした。
この後、東京を出てまだ公演は続く。
カテコでの生駒ちゃんの言葉に胸が締め付けられる。
どうか最後までこれ以上この誰一人として欠けることなく最後の地まで無事に駆け抜けられますよう、この素晴らしい世界を最後まで届けられますように。
IN HER TWENTIES 2020

IN HER TWENTIES 2020

TOKYO PLAYERS COLLECTION

シアター風姿花伝(東京都)

2020/09/02 (水) ~ 2020/09/07 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

価格3,800円

観劇前は、柴幸男さんの『あゆみ』風作品かな?と思っていたが、フォーカスを20代に絞った為、上野友之さん独特のテイストが存分に発揮された、「演劇観たぞ〜!」と終演後に叫びたくなるような85分だった。
それにしても、20歳の頃に夢見た諸々が潰えていく過程は色々と滲みたなぁ。

ネタバレBOX

それから…終演間際に、20歳の「彼女」も靴を脱ぎ、履いているのは、もう6時間で20代に別れを告げる、今の「彼女」だけになったが、裸足と靴の意味合いって何だったんだろう?と意図を読めない自分の読解力の無さに、ちょっと苦笑い。

【配役】
20歳…谷川清夏さん、21歳…小島あすみさん
22歳…堀口紗奈さん、23歳…佐藤美輝さん
24歳…榎木さりなさん、25歳…原愛絵さん
26歳…永田佑衣さん、27歳…橘花梨さん
28歳…星秀美さん、29歳…榊菜津美さん
鳥籠の城

鳥籠の城

ワイルドバンチ演劇団

ザムザ阿佐谷(東京都)

2020/09/03 (木) ~ 2020/09/07 (月)公演終了

満足度★★★★

ストーリーや個々のキャラクターも良く、ダンスあり殺陣ありのエンタメ性の高い舞台で、とても面白かったです。演技や殺陣に関しては、役者さんによって差はありましたが、皆の一生懸命さが伝わってきました。仲間への愛、男女の愛、友情や裏切りなど、色々な事が描かれていて観応えがあり、笑いあり涙腺が緩む部分もあり、とても良かったです。そして、鴉丸を演じた古田龍さんの動きと殺陣、キレがあってカッコ良過ぎました。良い舞台でした!

このページのQRコードです。

拡大