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天保十二年のシェイクスピア【東京公演中止2月28日(金)~29日(土)/大阪公演中止3/5(木)~3/10(火)】

天保十二年のシェイクスピア【東京公演中止2月28日(金)~29日(土)/大阪公演中止3/5(木)~3/10(火)】

東宝

日生劇場(東京都)

2020/02/08 (土) ~ 2020/02/29 (土)公演終了

満足度★★★★★

悲劇で喜劇。流れるようなシェイクスピア作品メドレー。シェイクスピアを知らなくても楽しめると思います(実際、37作品中、私は5作品しか分かりませんでした)
ただ、「リチャード三世」「マクベス」「ハムレット」あたりは何となく知ってるほうが、より舞台を楽しめます。

主人公の佐渡の三世次(高橋一生さん)は、紛うことなき極悪人でした。なんなら外道。でも、そう生きるしかなかった生い立ちというか、三世次という男の悲しいさがを感じることができて、個人的に切なくなる場面も……。陰謀と悪事を軽快に繰り返すので同情の余地はないんですが、ラストシーンは見ていて少し胸が痛くなりました。
あと舞台を観るまでは、ポスターなどから「高橋一生かっこいい悪人」と思ってたんですけど、舞台ではちゃんと醜い男でした。顔の造形じゃなくて佇まいが。声やしゃべりも何か気持ち悪かったです。さすがだなぁ…。

長丁場の舞台ですし歌います。うっかり寝ないか心配でしたが、一瞬たりとも眠くならなかった。それは、ちゃんと物語になってたし、随所に言葉遊びが散りばめられていて面白かったし、華やかな舞台装置と衣装に目をみはったし、何より登場人物それぞれのキャラが立ってて魅力的だったからです。失礼な言い方かもしれませんが、実力派ぞろい。レベル高っ!次は細かな演出にも注目したいので大阪まで観に行ってしまいそうです。
間違いなく面白い舞台でした!

ネタバレBOX

印象的なシーンは数多くありますが、一番心に残ったのは、三世次の「俺、そんなに醜くないかも」というセリフです。舌先三寸で代官までのぼりつめるけど、結局愛する人には愛されず、最期は自分の醜さを突きつけられて復讐されるという…。喜劇要素が多い中で、三世次と浮舟&桶職人の結末は本当に悲劇的だと感じました。

ちなみに、どストレートな濡れ場が結構あるので苦手な方とお子さんはご注意ください。
タブーなき世界そのつくり方

タブーなき世界そのつくり方

アブラクサス

サンモールスタジオ(東京都)

2020/02/12 (水) ~ 2020/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

圧巻、見事な演技でぐいぐい引き込まれた2時間10分の舞台でした。ヘレン▪ケラー役の羽杏さんはいったい、どんな稽古をしたのだろうか。終演後の素顔も素敵な役者さんでした。井戸の効果音、いいですね、Water のシーンでは一緒に感動しました。エネルギーがほとばしる濃厚な舞台でした。

傾斜

傾斜

OM-2

日暮里サニーホール(東京都)

2020/02/14 (金) ~ 2020/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

あまりにもカッコ良くて、涙さえ出てきた‼️

その鉄塔に男たちはいるという+

その鉄塔に男たちはいるという+

MONO

AI・HALL(兵庫県)

2020/02/13 (木) ~ 2020/02/17 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2020/02/14 (金) 19:00

いま、会話だけを聞いていてこんなに高揚しながら観ていられるのはMONOだけではないか。新作部分が話の頭で、若い人だけでやったのは良かったと思う。後に続く旧作部分に繋がるのは観ていて楽しかった。
でも、僕はこの「鉄塔〜」という作品があまり好きではない。MONOにはもっと面白い作品がいっぱいあるし、できれば毎年新作を観てみたい気持ちが心にあるからだ。戯曲賞をとっているからと言って必ずしも名作だとは言い切れない。この作品はそうだと思っている。ただ、入り口としては代表作だと言われている作品なのでMONOという劇団を知るきっかけにはちょうど良い作品なのかもしれない。なので一度見て欲しい。

四角い2つのさみしい窓【三重公演延期】

四角い2つのさみしい窓【三重公演延期】

ロロ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2020/01/30 (木) ~ 2020/02/16 (日)公演終了

まんま、見ぃや!

まんま、見ぃや!

カラスカ

新宿シアターモリエール(東京都)

2020/02/13 (木) ~ 2020/02/17 (月)公演終了

まずは観客を楽しませようという姿勢に好感を覚えます。

ネタバレBOX

最後に落語の「さげ」みたいな落ちがつきます。
春母夏母秋母冬母

春母夏母秋母冬母

CBGKシブゲキ!!

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2020/02/13 (木) ~ 2020/02/19 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/02/15 (土)

深井さん森下さんペアを観てきました☆
二人とも良かったです!特に森下さんの芸達者ぶりがすごかったです☆

OFF THE WALL

OFF THE WALL

梅棒

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2020/02/06 (木) ~ 2020/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

初梅棒!なるほど、これが梅棒か~!めちゃくちゃ良かった!当たり前のように笑って、当たり前のように泣いてた。こんな素敵で最高なエンタメがあったのか!適材適所に曲が押し寄せて来るのズルい。クセになった、最高!

まんま、見ぃや!

まんま、見ぃや!

カラスカ

新宿シアターモリエール(東京都)

2020/02/13 (木) ~ 2020/02/17 (月)公演終了

満足度★★★★★

何だか馬鹿馬鹿しいほどに面白かったです!!!
役者さんも皆さん素敵でした。

傾斜

傾斜

OM-2

日暮里サニーホール(東京都)

2020/02/14 (金) ~ 2020/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

昨日見てきました。ダンス、台詞、映像、すべて完璧でした。出演の皆様に感謝しています。
迫力があまりに大きかったので、自分でもあの傾斜台に這い上がろうという衝動に駆られました。

セビリアの理髪師

セビリアの理髪師

新国立劇場

新国立劇場 オペラ劇場(東京都)

2020/02/06 (木) ~ 2020/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★

久し振りでした。

ネタバレBOX

金持ちで権力のあるアルマヴィーヴァ伯爵が、理髪師で何でも屋のフィガロのアイデアと、自らの金と権力を駆使して、一目惚れした女性ロジーナと結婚する話。

一階と二階を繋ぐ螺旋階段が、個人の部屋を経由する構造が不思議でした。

1960年代に置き換えられていますが、結婚の制度、貴族の権力がどれくらいあるのか、電話が存在する時代に紙の枚数を管理することがあるのか等々、疑問が湧いてきます。

伯爵とロジーナが喜びに満ちて歌っているところに、フィガロが伯爵の声に被せるように、茶化しながらしかも朗々と歌い上げるシーンがあり、このオペラの主役はフィガロであるとまざまざと知らされました。
明日に笑え!

明日に笑え!

劇団 深海水族館

北池袋 新生館シアター(東京都)

2020/02/13 (木) ~ 2020/02/15 (土)公演終了

満足度★★★

2月14日(金) 18:00~に行きました。

ネタバレBOX

中では「前説」が好きでした。
寒がる寒がり

寒がる寒がり

あひるなんちゃら

OFF OFFシアター(東京都)

2020/02/13 (木) ~ 2020/02/19 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/02/14 (金) 19:30

 あひるなんちゃららしく、楽しく下らない(誉めています)芝居で、気持ちよく帰れる舞台だった。喫茶店の雇われ店長で画家だった寒がりの娘(篠本美帆)が、寒がりの父親(根津茂尚)と実家の火事を見ているシーンから始まり、家がなくなった父が喫茶店に住む。娘の高校時代の同級生やら、喫茶店のバイト(野村梨々子)の仲間のライトノベル・ファンやら、喫茶店のオーナーと秘書やら、妹も登場し、不思議な会話を続ける。ちょっとオカシイ人たちの会話を楽しむ72分。

メアリー・ステュアート

メアリー・ステュアート

アン・ラト(unrato)

赤坂RED/THEATER(東京都)

2020/01/31 (金) ~ 2020/02/09 (日)公演終了

満足度★★★★

蜷川舞台の演助出身演出として、藤田俊太郎氏も大河内直子氏も未見だったが今回初めて大河内演出舞台を赤坂REDTHEATERで観、「演出」の仕事としてハッとさせられるものがあった。濃密な二人芝居、疲労のため一幕の後半は実に気持ちよく眠ってしまったが、後半集中できた。歴史の中の女性(権力者)の生きざまが現代的な視線によって再照射された戯曲は、作者の思いが硬質な作りの中から滲み出る風であった。メアリーを断頭台へと送った後、物語は色を変えた照明の中に浮き、二人は芝居の冒頭そこに居た両脇のそれぞれの机(楽屋の一角をイメージ)に戻り、黙って身づくろいをする。中央奥に据えられたアクリル製の?大鏡の周囲には雑然と歴史の遺物が積まれ配置されているが、空いた真ん中の演技エリアには土俵のような円が白く描かれ、芝居中にも活用されるが人と物がなくなったラストにはそれが歴史の表舞台の暗喩となり、薄れていく明りが最後にそれを残して消える。言語説明では追いつかない大きな文脈を表わす非言語表現になっており、これを描かせる感性は芸術家のそれであるなと、思わせるものがあった。
二女優を私は知らなかったが、素材の個性と堅実な仕事ぶりとが印象に。ただメアリー・スチュアートとエリザベス女王だけでなく、それぞれのお付とのやり取り等主役二名以外の役になり替わると、すぐには判りづらく台詞幾つか分置いて行かれる事も。展開の心地よい速度を優先し、俳優はよく動いていたが。。

天保十二年のシェイクスピア【東京公演中止2月28日(金)~29日(土)/大阪公演中止3/5(木)~3/10(火)】

天保十二年のシェイクスピア【東京公演中止2月28日(金)~29日(土)/大阪公演中止3/5(木)~3/10(火)】

東宝

日生劇場(東京都)

2020/02/08 (土) ~ 2020/02/29 (土)公演終了

満足度★★★★★

いやあ楽しい!シェークスピアの全作品に触れるというお遊び企画ではあるのだが、しっかりとした物語になっていて、さすがは井上ひさしと感心した。そこに宮川彬良の音楽が重なったところに、高橋一生、浦井健治という人気と実力を兼ね備えた役者さんが登場するのではこれ以上の贅沢はない。

最初は「リア王」と3人の娘のお馴染みの場面。ここでは天保12年(1841年)のヤクザの親分、鰤の十兵衛(辻萬長)の跡目相続である。アホ真面目な三女のお光(唯月ふうか)が弾き出され、長女のお文(樹里咲穂)と次女のお里(土井ケイト)で縄張りを分割して受け継ぐ。そのとたん、長女の夫の紋太と次女の夫の花平が争うようになる。これは「ロミオとジュリエット」のモンタギュー家とキャプレット家ではないか…。以下どんどん書きたくなるが自粛。105分+20分休憩+95分と長いが全然飽きない。

ここまでの役者さんも実に良い味を出しているが梅沢昌代さんの明るい魔女風老婆も嬉しくなるような怪演である。そして進行役の木場勝巳さんの変幻自在のうまさにはあきれるばかりだ。

この場面はシェークスピア作品の何かを考えながら観るのは実に楽しい。私は有名どころの「リア王」「ハムレット」「オセロ」「マクベス」「ロミオとジュリエット」「リチャード三世」くらいしか分からなかったが、通の人は一つ一つの動作にも連想が湧いてくるのだろう。もっともそういうことを一々考えなくても、しっかりとした衣装、美しい舞台装置もあって絢爛豪華な世界をたっぷりと楽しむことができるだろう。文句なしのスタンディングオベーション、絶対のおすすめ。

ネタバレBOX

シェークスピア関連の名前の由来の推定

鰤の十兵衛 = リア王:ブリテン王→ ブリ、テン → 鰤、十
三女、お光 = コーディリア:三→みっつ→みつ
お文の夫、紋太:「ロミオとジュリエット」のモンタギュー
お里の夫、花平:同じくキャプレット→カプレ→かぺ→かへい→花平(読みは、はなひら):ものすごく苦しい(笑)
お里の愛人、幕兵衛:マクベス
主人公、佐渡の三世次:リチャード三世(前半は「オセロ」のイアーゴー役)、ちょっと苦しいけれど”リチャード”が”佐渡”になっているのだろう
三世次のライバル、河岸安:「オセロ」のキャシオー
きじるし王次:「ハムレット」のハムレット王子の性格そのもの
紋太の弟、九郎次:同じくクローディアス
紋太の右腕、ぼろ安:同じくボローニアス:「ぼろ安」はあんまりだ(笑)
ぼろ安の娘、お冬:同じくオフィーリア:音的にすごく綺麗な対応だし、運命をも予感させる

宝井琴凌作の講談「天保水滸伝」からの名前はそのままである。

清滝村:「天保水滸伝」の舞台となる村の一つ。最初、シェークスピア関連で探してしまった(笑)
笹川の繁蔵:力士でもあった侠客、講談では悲劇の若親分として描かれる。
飯岡の助五郎:ライバルの侠客、講談では悪知恵の働く悪親分として描かれる。
佐吉:清滝村の侠客、後に獄門。棺桶屋なのは「ハムレット」の墓堀人からの連想か。ロミオでもある。

どこから来た名前かわからなかったのは次のもの。

十兵衛の長女、お文 = 元はゴネリル
十兵衛の次女、お里 = 元はリーガン
代官、茂平太
代官の妻でお光の双子、おさち
浮舟太夫:佐吉の恋人なのでジュリエット相当。
おこま婆:「マクベス」の魔女。

*パンフレット、ウィキペディアなどを参考にした。
*『天保十二年のシェイクスピア』研究 : 井上ひさし・追悼プロジェクト:磯山甚一, 鈴木健司, 藤井仁奈編著、文教大学出版事業部, 2012.3
という研究書もある。自力解決を諦めたときに見てみよう。
酔鯨云々

酔鯨云々

文化庁・日本劇団協議会

ザ・ポケット(東京都)

2020/02/12 (水) ~ 2020/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

良かったです。追記予定ですが、考えたことがすぐ文章になればいいのに・・・

傾斜

傾斜

OM-2

日暮里サニーホール(東京都)

2020/02/14 (金) ~ 2020/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

 作品タイトル通り正面奥には傾斜角38度、縦の長さ5間(約9m)幅8~9間の傾斜、登り切った所には踊り場があり、傾斜を降りた上手コーナーの窪みには後になって若い男がパフォーマンスを行える空間が設えられている他、傾斜手前には低い櫓の上に床面が設置され、音響操作機器や、今作の重心を務める男の演ずるパフォーマンス上演空間が設置されている。傾斜上部踊り場のど真ん中には大きな時計の文字盤。(無論、これは資本主義による収奪の象徴であろう)追記後送

明日に笑え!

明日に笑え!

劇団 深海水族館

北池袋 新生館シアター(東京都)

2020/02/13 (木) ~ 2020/02/15 (土)公演終了

満足度★★★

 劇団旗揚げ公演は4作品のオムニバス公演だ。

ネタバレBOX

2019年女子3人で結成。今回上演の1「抜き打ち父さん」2「抜き打ち母さん」は、同一作家による作品、1では、いきなり父が都会に出た娘の部屋を訪ねてくる話、2はその母親版で植物系息子の部屋を母が訪ねてくる話でキャストが異なる。1では単語レベルで話が通じない娘には記号的にしか認識できない昭和を生きた父と娘のディスコミュニケーションが前面に押し出された作品という印象を持つと同時に家父長制が見事なまでに崩れ去った現代日本のかつての家長・父と現代娘のジェンダーギャップの大きさに着目すれば、それなりの社会戯評として面白いが、いかんせん父を演じた若い演者の年を取ることへの認識不足や人生経験の浅さ、役者としての経験不足を感じた。無理からぬ面はありながらも課題は多い。

 通常の演劇評価基準、即ち演技評価の点からみると、先ず人生経験を積むということの意味する所を考えずに役作りをしているので、演技が表層的、即ち役者本人の実存レベルから内的表現の発露として身体を用いていないという決定的な粗が見える。「神田川」、「名残り雪」正式タイトルは知らないが拓郎の「人間なんて」などの歌の歌い方にしても声の質は良いのだが、ジャパンポップスの歌い方ではない。(当然、歌い方にも主張が込められている訳だから、)この辺りことは。ポップスが如何に出てきたのかという音楽史的知識も持っておいた方が良かろう。先日ある研究会で発表をした研究者が現代日本でロックが体制批判的な歌詞の歌を披露したらロックが体制批判するとは何事か! と抗議する聴衆がいた、と驚いていた。当然だろう。ロックにしろ、60年代フォークソングにしろ、ヒップホップにしろ、ラップにしろ全部体制批判を眼目として出現した音楽群なのだから。そんなことも知らずにトンデモ発現をしていること自体が“訓練された白雉”と揶揄される原因なのである。世界から日本を見る目を持てなければ、少なくとも世界に向かって雄飛することなど夢のまた夢であると知っておくべきである。一方、ヒットする力があれば、それを利用して一儲け企むの奴が出てくるのが資本主義社会だ。だから多少気の利く連中は体制・反体制関係なく上手に利用して儲け、あまつさえ著作権という作者にとっての人参を鼻先にぶら下げて、本来表現に許されていた本歌取り的な利用も制限することによって、著作権保護を名目に企業の独占権を強めている可能性は否定できまい。

 2では、母には完全植物系と見えていた息子の住まいを訪ねてみると、息子は同世代の女子と付き合っており、既に同棲迄しているということが信じられない。面白いのは、こういった親密な男と女の人間関係の中で(Ex.夫婦、親子など)男と女が敵対した場合、男は極端な場合、浮気した女房を殺すが、女は自分の男の浮気相手の女を殺すことが多い、という話を聞いたことがある。キチンとしたデータに基づいた社会学的に実証されていることを自分で確かめた訳ではないから、ハッキリ言い切れる訳ではないが、何となく、女性が大切にしている男に裏切られたと感じた場合、裏切らせたと感じた女を敵対視する傾向が強いようには感じる。この辺りの女性同士、男女関係についてもジェンダー概念を導入して考えてみると面白かろう。こういったジェンダーレベルでの関係があるからなのか、1より2の方が作品としても自然な仕上がりを見せているように思えた。従って単純に父と娘、母と息子というだけの単純対比作品とは捉えなかった。

 3は「コンビニ・ブルース」コンビニの夜間バイトをしている男女、女性は26歳、男の年はハッキリしないが年下である。この男、兎に角ズボラ。ズボラの塊のような男で、口から出るのは何ら根拠のない駄法螺と、己が何もしないで済ますため、相手の拒否できないような状況や念を利用して他人をこき使う下種な能力である。この若者は生まれて初めて就業しているのだが、実際に仕事は全然していないのは先述した通りである。そんなコンビニに、強盗が入った。金庫から金を奪おうとした犯人は、包丁を持って、客対応に出た女性を人質にとったのであるが、結局は簡単にノサレテしまった。若く狡い店員に首筋を手刀で一打ちされ伸びてしまったのである。店員2人は、強盗犯を生け捕ったお手柄店員としてTV報道されることに夢を馳せるが、実際に捕り物劇が進行したのはバックヤード、監視用カメラに映像は映っていないとして。犯人の被っていた覆面、上着を女性が着、前に撮られていたリアル映像を消し、再度演技した場面を撮ろうということになった。映像を撮り終える頃犯人は息を吹き返し、自己事情を話し始める。グローバリセーションが席巻する今日の日本、その犠牲者となった彼の話は他人の心を撃つものであったが、若い店員は如何にも狡猾なキャラらしく、金庫に入っていた60万を3等分して強盗犯に総ての罪を被せ、バイト2人で残りを山分けしようと女店員に持ちかけた。さて、ラスト、バイト2人には新たな難問が持ち上がるが。未だ上演中故、それは観てのお楽しみだ。

 さて、オムニバスのラストは、タイトルも如何にもいま風の4「幸薄い選手権」である。ノミネートされたのは、33歳、本厄、32歳前厄の▽商事事務職の先輩・後輩社員2人、2人のうちどちらがより幸薄いか、評価される対象が僅か2人というのはちょっと鼻白むので、決勝戦という設定にした方が良かろう。解説者などもきて“盛り上がって”いる訳だから。
 ところで、自分が如何にも今風と感じたのは、評価される側、評価する側、何れもが実際に自分たちが生きて死ぬ現実社会を、リアルに人間的で社会的なごった煮とは捉えておらず、ヴィヴィッドな闘争をしながら生きているというより、一見淀んで波風も立たず、生きているのか死んでいるのか既に定かとは感じられないような淀みの、緩い流れに浮かぶエパーヴよろしく漂う現代日本人の退屈まぎれの「ゲーム」という感覚に漂っている目出度さだけ。計算できるから楽しんでいるのではなく、否全く逆にフェイクや詭弁、嘘が多すぎ、最早1次情報からは余りにも離れた「情報」ばかりが飛び交う嘘八百情報氾濫地獄の中で、メディアリテラシーという基本技術も持たずに流され、己自身を批判的に検討するだけの知恵も欠いて人間の面を被った只の余計者として存在していることをまともに見据えることすら(つまり人間として生き残る可能性の最後の砦を自ら放棄した姿を己に突き付けもせず、鵺の一部を形成してゆく生きた振りをした精神的遺体)放棄していることで既にそれを演技すべき内実を喪失しているにも関わらず、演技を評価して評論家にでもなったつもりらしい。寂しく、愚かで、訓練された人畜、即ち日本人の戯画。そのような日本人の実態から目を反らしていること自体が、この「国」の本当の寂しさではないのか? そう捉えると面白い。
傾斜

傾斜

OM-2

日暮里サニーホール(東京都)

2020/02/14 (金) ~ 2020/02/16 (日)公演終了

満足度★★★

一流のパフォーマンスでした。迫力があり、すばらしかった。

まんま、見ぃや!

まんま、見ぃや!

カラスカ

新宿シアターモリエール(東京都)

2020/02/13 (木) ~ 2020/02/17 (月)公演終了

満足度★★★★★

面白かったです!子どもの頃夢の世界と思っていた劇場を再開しようとする姉妹を、助けてくれる人やら邪魔しようとする輩。みんな個性的で笑えたりジンときたり。舞台セットにもうひと工夫とも思いますが楽しく笑えたのでいいや。

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