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散り散り星

散り散り星

のびる

十色庵(東京都)

2020/03/28 (土) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/03/28 (土) 19:00

初回である28日19時と最終回である29日11時をフルで視聴、28日23時と29日8時は終盤からアフタートークにかけて視聴。

第一場、というかプロローグ的な場では「ソレ、何?」な部分も多少はありつつ従来と較べていたってオーソドックスな夫婦の会話劇であることに「新境地か?」と思ったが、続くメインパートでの「あのキャラ(とその表現方法)」に「あー、やっぱりのびるだ♪」と。(笑)
とは言え恋愛……と言うよりは(二組の)夫婦の物語、やはり新境地であると言えるか?

で、2回目となった29日11時の回ではそれまで3回のアフタートークや目にした感想の内容、さらに初回で聞き落とした台詞に気付いたりしたことから内容をかなりクリアに把握。これが配信の利点でもあるか。

で、いつか「本来の形での上演」があることを期待。

ネタバレBOX

メインパートに登場する「謎のキャラ」、最初は生霊?回想的なもの?などとも思ったがいずれにしても「身体表現者」と「声」を別にして「何か特殊な存在」と思わせるのが巧みだし、それがいかにものびる。こういうの、好きなんだなぁ。
揺れる

揺れる

東京演劇アンサンブル

d-倉庫(東京都)

2020/03/25 (水) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

個性的なファッションに身を包んだ10数人の若者が警句を吐き叫ぶ休憩無し1時間45分、パンフの用語解説に助けられつつも隠喩の半分も分からないままでしたが、危機感というか緊迫感は伝わりました。中心となる男女の意味不明のやり取りが後半少し腑に落ちる構成が印象的。

冬の時代【3/28-29公演中止】

冬の時代【3/28-29公演中止】

アン・ラト(unrato)

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2020/03/20 (金) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

劇場と座席について。
最前列のB列の2~3、21~22は舞台の袖でそれぞれ下手、上手が見えない。
また、ステージが客席に向かって凸型に張り出し、中央部に柱2本とそれを繋ぐ梁がかけられ額縁のように設置されている。
鴨居に首を括るシーンがあるので梁が必要なのは仕方ないが、
2本の太い柱とそれに寄りかかるキャストの背中に阻まれて、前方の左右のブロックの全席は視界が遮られてしまい、
第2幕で一番盛り上がる渋六と瓢風との激論シーンがなんと声だけしか聞こえない。
前方は中央ブロック、または後方ブロックでしか正常に観られない状態でした。
さらに、額縁状の枠の陰がスクリーンに映ってしまい映像やテロップが切れてしまっている。
前方席だと喜んでいた方々は、幕間で一転、ことごとく柱が邪魔で見えないと残念がっていました。
ちなみに急遽千穐楽が前倒しになり、中止公演からの振り替えの方をその見えない席に案内していたようで
見えない席にお客さんがぎゅうぎゅうに詰められ、見やすい前方の中央ブロックはガラガラでした。
舞台を作った方は客席からどう見えるのかを検証して考えてほしいと思うのと同時に、
正常に観られない座席を同じ値段で売ってはいけないと思いました。

劇中でいびきをかいて寝ている人、会話をしている人、咳をしている人が複数いたのが残念でした。
どの舞台でも一定数こういったお客さんがいますが、静かなシーンが多かったのでやめていただきたかったです。
特に咳をしている人に対してはスタッフさんが注意喚起のために幕間で声をかけてくれたらいいなと思いました。

最初と最後に出てくる現代の少年。
あの少年のマスクは果たして必要なのでしょうか。
冒頭のスクリーンにも「マスクをかけぬ命知らず」というポスターだけが長い時間映されていました。
そもそもこの戯曲で社会主義弾圧に抵抗する姿から現代の私たちに伝えたかったのは何だったのでしょうか。
マスクをつけた意図が未だによくわかりません。
ラストの渋六夫妻のしっとりとした余韻が、マスク少年の登場でぷっつりとかき消されたのがとても残念です。

休憩込みの3時間超も気にならないほどお芝居は面白かったです。
ただ、第1幕での瓢風とショーのキャラクターがかぶっていたのは残念でした。
ショーの活舌が今一つで何を言っているのかわからず、第1幕は大声で怒鳴っているだけでした。
渋六、ノギ、ニ銭玉は安定した演技で声も聴きやすい。
奉公会とのコミカルなやり取り、瓢風との激論、飛び出していく売文社社員への悲哀など、
渋六の演技はざくざくと胸に楔を打ち込まれました。
渋六夫妻が無言で微笑み合うシーンは、互いに信頼し合っている様子が出ていてとても良かったです。
元の脚本をほとんど変えていませんが、古さは全く感じず、むしろ真新しく感じました。
キャストの多くは好演していてとても面白かっただけに、演技以外の残念な点が目立った舞台でした。

冬の時代【3/28-29公演中止】

冬の時代【3/28-29公演中止】

アン・ラト(unrato)

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2020/03/20 (金) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

私が座った列の席は5席あったのに、隣同士座って、あとの三席は空席。
だったら1席空けて座るようにすればいいのに。
と思いましたよ。

マクベスの悲劇【3/20(金)~4/3(金)に公演延期】

マクベスの悲劇【3/20(金)~4/3(金)に公演延期】

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2020/03/15 (日) ~ 2020/04/03 (金)公演終了

今作では敢えてレトロというか先祖返り的な翻訳をしていたようですね。
「明けない夜はない。」とか。

揺れる

揺れる

東京演劇アンサンブル

d-倉庫(東京都)

2020/03/25 (水) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

面白い舞台でした。
アフタートークも良かったです。

学園探偵薔薇戦士

学園探偵薔薇戦士

フリーハンド

萬劇場(東京都)

2020/03/25 (水) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

元気があってよかったです。
ヒロイン、執事、ママさん、保健の先生は印象に残りました。特にヒロイン役の朝木さんは高校生役いけてます。

安らかな眠りを、あなたに YASUKUNI

安らかな眠りを、あなたに YASUKUNI

燐光群

劇場MOMO(東京都)

2020/03/20 (金) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

中止の連絡が来ないかと気を揉んだが、上演を敢行する模様。まだ明るい内に家を出、がらんと客のまばらな電車を乗りついで中野駅に降り立つと、雨に光る夜の町。ザ・ポケット界隈では二つの劇場の灯りが消え、残る二つだけ慎ましく入口を照らしていた。
入口では非接触体温計で検温し受付を済ませ、開演10分前まで待機した後、階段を上って入場。一つおきに指定された席に案内され、上演中は空調が稼働している事と、次亜塩素酸何とかを混入した蒸気を噴霧している旨の説明があった。

今回の燐光群はタイ演劇人との合作で、「靖国」を題材としたニコン・セタンのテキストを作者と坂手洋二が演出。主要人物2名を含むタイの若手俳優が溌剌として日本語流暢、二言語&国籍をシェアする一方の日本人勢(燐光群+客演)とのアンサンブル良し。硬いテーマを扱っていながら、愛らしさのある舞台である。国際共同製作としては高水準の仕事と思う。

印象的な部分を一つ挙げると・・
タイのある地方、祖父のお墓を訪ねたタイ青年ワンチャイの前に、友人を探して彷徨う軍服姿の亡霊が現れる。青年はどうやら霊が見えるらしく、墓参りをしても姿を見せない祖父を探して呼ばったり、一人の女性(彼の元カノ)の亡霊を退けたりしている。唯史(ただし)と名乗るその若い兵士の亡霊は、固い約束を交わした彼の戦友・伸介を探しているという。約束とは他ならぬ「死んだら靖国で会おう」。ワンチャイ青年はあるカップルを道連れに、伸介がいるかも知れない泰緬鉄道の元工事現場まで汽車旅をする事になる。
さて色々あってついに友人の亡霊と出会った唯史は、友人の伸介が靖国に祀られたがっていない事を知り、二人の間に一悶着起きる。やがて殴り合いに発展して双方潰れた後、唯史は自分が命を失った戦争の記憶を甦らせながら、自分を奮い起たせるように天皇陛下万歳を叫ぶのである。
この唯史をタイ俳優が演じ、対する友人伸介を荻野貴継が演じたが、これ程真情溢れる「陛下万歳」を私は聞いた覚えがない。
伸介と別れた唯史は、列車が急停止した線路上の場所まで戻り、「友人と会えた」事を報告して皆に別れを告げる。そして現代では、カップルが去り、ワンチャイは彼に絶えず付いて来る元カノと、ここで別れる事になる。彼女を巡っての話も面白いが省略。

「靖国」問題という危ういテーマが、他国(タイは戦争当時中立だった事もあり侵略に拠る被害は殆どなかった)の俎上に乗る事でイノセントな眼差しを得ている事がテキスト上も、上演の上でも大きい。今カノとの関係が大事な時を迎えているらしい(度々携帯で連絡している)タイ青年が、元カノの亡霊の存在を引きずりながらも、熱意に負けて見も知らぬ日本人兵士と同道するという設定が、うまく成立している。タイでのそれなりにシビアな日常が信じられるのである。
その事により問題が相対化され、耳慣れた言葉が新鮮に響いて来る。国際的な仕事の見本と言える。

野鴨

野鴨

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2020/03/24 (火) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

イプセンの名作、期待通り、すばらしかった。
[何があっても、懸命に、生き続ける本当の人間] 、役者さんのすばらしい演技力で、見事に表現されていました。
北欧の雰囲気、効果音、音楽、衣装、全て味わいながら観ました。
コロナ対策も、徹底していました。
これからも応援します。本当に満足しました。観てよかった。

散り散り星

散り散り星

のびる

十色庵(東京都)

2020/03/28 (土) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

鑑賞日2020/03/28 (土) 23:00

配信上演を観劇。漠とした不安感、純なのか不純なのかわからない人達。でも、そもそもこの世はそんな要素で出来ているのかもしれない

学園探偵薔薇戦士

学園探偵薔薇戦士

フリーハンド

萬劇場(東京都)

2020/03/25 (水) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

 前半、砂糖過多。

ネタバレBOX

中盤からがストレートプレイらしい展開になる。執事役の溝呂木賢氏が中々器用な演技をみせるが、杏奈役、朝木さんの空手の型はなっていない。果林役の吉田さんは、行儀、合気道の動き共にグー。美羽役小野垣さんの動きはまずまず。ダンス部リーダー、倉田役の水嶋さんのソロダンスシーンがあるが、切れの良い動きを見せてくれる。
 薔薇戦士誕生の経緯を描いた作品だが、何があったかは終演後に書くことにする。
ミュージカル「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

ミュージカル「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ

俳優座劇場(東京都)

2020/03/26 (木) ~ 2020/03/31 (火)公演終了

満足度★★★★

悲運の中劇場ミュージカルだ。
リアルな人間感情をしっかりと持ちながら、ファンタジーの世界をミュージカルで成立させるのがいかに難しいかは、いくつもの事例が示している。これはまれにみる成功した中劇場ミュージカルなのに。
原作は映画にもテレビにもなった人気作家東野圭吾の連作短編集。廃業した雑貨店にたまたま侵入した三人の若者の発見する過去・未来の人々の手紙という枠の設定だけは同じだが、連作だからそれぞれ趣向が違う。これを一つの2時間前後に舞台作品としてまとめるのは容易ではない。初演(2017)は見ていないが、今回の再演では、その経験を生かして原作をうまくまとめている(脚本・大谷美智浩)。原作を多く使いながら、非常に長い映画の脚色に比べると実に手際がいい。しかも、小説の主題でもある、挫折した人々に寄り添う優しさだけでなく、人生の歳月や世代への感懐のような表現しにくい(通俗に落ちそうな)領域まで組み込んでいる。
音楽(小沢時史)はミュージカルの生命線だが、巧みに作品の基調を作っている。さらにねだるとすればファンタジーなのだから、もっと奔放に歌い上げるところがあってもいい。メインの二曲は少し趣向が近すぎる
初演は劇団の劇団内公演のような形で上演されたようだが、再演では、ゲスト出演者も招きレベルアップしている。ベテランの石鍋多加史(雑貨店主)と、若者の一人を藤原薫の二人が、役どころにはまっていて舞台が締まった。なかには、うーんという人もいなくはないが、青年座から招かれた磯村純の無理のない素直な演出にひきだされたのか、皆がこの上演に向かって纏まっていることが感じられる。見ていて上手下手を超えた爽快感がある。
だが、この、久しぶりの俳優座公演はもろにコロナ騒動にぶつかった。企画でも若干は考えられたであろうが、一つのエピソードの軸になるオリンピックも延期が決まった。どこまでもついていない、のである。
外出自粛の首都の六本木の土曜日のマチネは三割がやっとという入りだったがフィナーレに並んだキャストの顔を晴れ晴れとしていた。手を抜いたところは全くなかった、ぜひ、時宜を見て再再演を期待している。

愛する母、マリの肖像

愛する母、マリの肖像

T-works

ABCホール (大阪府)

2020/03/27 (金) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/03/28 (土)

実在したキュリー夫人の話★ノンフィクションかと思って確認した位崇高なドラマを堪能させて頂きました♪【病に犯されるリスクに臆する事なく立ち向かう主人公】の姿に現状演劇界がピンチな状況でも上演してくれたT-worksの想いがダブって胸が熱くなりました★そういう意味では【今だからこそ上演する意味(義)がある作品】だったんではないでしょうか☆

野鴨

野鴨

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2020/03/24 (火) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

レリング医師が「愚かで馬鹿な男」と言い放つシーンがあるがまさにそんな男達の話と頷きながらかなり見入ってしまいあっという間の2時間10分でした。
残念だったのはまだ観劇途中でスマホで時間を何度も見ている人がいたのにはがっかり。それも演劇関係者らしかったがいい加減に観劇マナーを守ってほしい。

マクベスの悲劇【3/20(金)~4/3(金)に公演延期】

マクベスの悲劇【3/20(金)~4/3(金)に公演延期】

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2020/03/15 (日) ~ 2020/04/03 (金)公演終了

満足度★★★★★

演者がすばらしい!敬遠してたシェイクスピア作品も分かりやすくて、感謝!コロナ対策の気遣いもはなまる。楽しめて免疫力アップできました。ありがとうございました。

暁のバッキャロー!!

暁のバッキャロー!!

株式会社Ask

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2020/03/25 (水) ~ 2020/03/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

とても面白かったです!東京タワーを作る熱い男たちの姿に感動しました。登場人物には様々な事情や思いがあり、それが伝わってきて、涙腺が緩みました。ストーリーの面白さに、東京タワー設立への興味も加わり、どんどん惹き込まれました。役者さん達の熱演も素晴らしかったです。観劇後は、東京タワーって、やっぱり素晴らしいな!と改めて感じました。大満足の舞台でした。

揺れる

揺れる

東京演劇アンサンブル

d-倉庫(東京都)

2020/03/25 (水) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

 作家の多和田葉子さんと話をする機会が何度もあり、彼女が現在住んでいるベルリンの演劇状況なども聞き及んでいるので今作「揺れる」を拝見して、なるほど、と得心のゆくことがあった。

ネタバレBOX

というのも今作の表現方法に極めて実験的且つチャレンジングな姿勢を見るからである。原作者の視座・立場からの射程は、ヨーロッパ全土は無論のこと対アメリカ、プーチン独裁を完成させようと動いている対ロシア、世界の新大国として浮上してきた中国等との現実的政治のリアルな闘場として現実が展開する真っ只中で、争闘するドイツのリアルな生活感覚そのものを描くこと。然し、余りにも多くの、時に拮抗し、また優劣を生じ、EUの牽引役として、世界の各大国の凄まじい、情報戦、スパイ戦等の他、政治的、軍事的、経済的、民族的争闘の央にあって、その収奪の対象となってきた或は犠牲となってきた第三世界からの難民問題を抱えながら日々できるだけ人間的に公平に世界情勢に対応しようとすることが、ドイツ民族或はドイツ国家にとって如何様な責任と可能性を負わせるかについての各階層からの叫びが、実際にドイツの新聞などメディアの一面を賑わした情報そのものの羅列によって描かれることで、通常レベルの常識で判断できる脈絡を見付けることは極めて困難であり、演劇が演劇として成立するドラマツルギーそのものが最初から原理的に存在し得ない。自分が初めに書いた“得心”の内容こそ、演劇そのものをこのような形で否定することにより人々の目を現実世界へ開こうという演劇的企画を原作者が持っており、その点を極めて正確に読み取った演出の公家氏が作品と当に格闘しながら東京演劇アンサンブルというこれまた優れた演劇団体と協同して作り上げた作品だという点だ。通常の演劇ではない。実にチャレンジングな、状況への入り口のしての演劇・問題提起作品である。
冬の時代【3/28-29公演中止】

冬の時代【3/28-29公演中止】

アン・ラト(unrato)

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2020/03/20 (金) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

終演後の拍手は鳴りやまず,最後は観客もスタンディングオベーション!これが全てを物語っている。素晴らしい舞台だった。ただ,休憩2回を入れて3時間15分の長丁場。観劇初心者にはきつかったのかも知れない。

耳隠して、女隠して、心隠す

耳隠して、女隠して、心隠す

劇団野良犬弾

上野ストアハウス(東京都)

2020/03/27 (金) ~ 2020/03/31 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/03/27 (金) 19:00

「かごめ」。125分。休憩なし。

冬の時代【3/28-29公演中止】

冬の時代【3/28-29公演中止】

アン・ラト(unrato)

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2020/03/20 (金) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

冒頭より演出的手腕がゴリゴリと迫って来る舞台である。紗幕裏の4本の枯木が照明に映え、冒頭、雪(芝居用と判る)が舞う。冬の時代のタイトルロールに等しい。次いで、「以下の文が舞台上に映し出される・・」という原作のト書きが、恐らく作者の手書き原稿だろう、白抜き印刷した映像で紗幕に流れて行く。ト書きを無視せず背景に使った巧い処理により、この戯曲が古典である事とそれを今再現しようとしている事が、さり気なく前置きされる。
中央の張り出し舞台の前面に二本の柱(頂上にもう一本渡され、コの字を伏せた形。首を括れる)。黒褐色の卓、本棚、椅子などの調度が古色蒼然。
若い俳優の起用は当初の方針であった由。若手二枚目が数名では役柄の腑分け(個体識別)に時間を要したが、俳優力に納得。演技・発語のテンションは鐘下舞台に通じ、青春群像の一つの解釈として受け止めた。
3幕舞台の幕間休憩が2度。初めて耳にした作品だが、熱い台詞劇も木下氏は書いたのだと新鮮。戯曲の構成は見事で一幕は赤旗事件、大逆事件の衝撃冷めやらぬ中の売文社(堺利彦社長)内で、赤旗事件で捕縛されたお陰で大逆事件を逃れた面々による喧々囂々唾を飛ばす議論の最後、革命歌が飛び出し、やがて大合唱、「革命」の志を刻み、同志を失った無念を歌に乗せて身を震わせる男たち、そして馬鹿な男たちにもこの時だけはほだされる女たち・・暗転。

木下順二の生きた時代なら自身が体験しただろう議論だけに「革命」が義たる事を大前提とした激論、分派化の必然の流れが見事に辿られ、目が離せない。初演された1964年はまだ政治の時代の渦中であった。
直近では匂組公演で観たこの題材の芝居は多々あるが、この作品は大杉栄や荒畑寒村より年輩で、実社会を知る堺利彦を軸に据える。彼が「事の現実性」を語るときの感覚は、現代の私たちの感覚に近く、共感できる(これが時代が違えば又違うだろう)。じっくり腰を据えねば革命など見えてこない、人間はそれほど単純でない・・。
現実的である事と、理想を持つ事とは共存でき得るはずであるところ、理屈・論理が勝つ若者には感覚的にしか認識できない「現実」を理解できず、非論理性を攻撃し分派して行く、という「運動」の典型的な軌跡がこの舞台にも。連合赤軍事件を見ないこの時代、作者は彼らの姿を青春群像として描き、演出もこの戯曲の狙いに寄り添いつつ完結させたと見えた。

これは戯曲の問題だが、エンディング部分が長く、時代性かな、と思う。もう一つは、ちょい役が4人ばかりある中で、「主義者」の一人、渾名キリストという若者が最後に凶報を届けに登場するのだが、これに二枚目系を当てたのが私としては失敗。ちょい出は(他の役はそうだったが)一発で印象に残る個性派を配するべき。あるいは熟練の演技派でないと・・もう1エピソード始まるかと期待してしまった。

それにしても客席の埋まり具合が非常に残念であった。料金高めの舞台ではあるが、、この時期とは言えかなりの目減り、演目のせいだろうか。。
だが私としては、今この演目をチョイスした大河内直子の懐を思う事である。

ネタバレBOX

観てほしい舞台だったが28、29ファイナルまでの3ステージが中止に。悔しいことだろう。芝居どもども苦渋の思いをバネに良い仕事をして行ってほしい。(心情的にも随分肩入れしてしまったようで。)

付記:座席の問題について書かれていたのを読んで。
私の席は正にその問題の最前列サイドの見づらい席であった。見始めは「こりゃないな」と消沈しかけたが、開幕早々引き込まれて気にならなくなった(今の表情見たいと思う箇所があったが少し乗り出して確認)。逆にかぶり付きだからこその臨場感と感動であり俯瞰できたらさほどでなかったかも、等と解釈したような案配で、いやはや。
(マスク少年の記憶がないのだが、、中止を余儀なくされた事への何らかの「表明」であった、とか。)

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