
であったこと
安住の地
GALLERY maronie(京都府)
2020/03/05 (木) ~ 2020/03/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/03/07 (土)
無声劇。…といっても、よく見るパントマイムとも味わいは大きく異なる。
悠久の時の流れの中、まるで自然の営みを眺めているかの様な感覚に陥る。目の前に拡がるのは、まさしく「風景」に他ならない。
大小動植物の様々な命の育みは、役者の細かいモーションでリアリティを増していき、徐々に物語性も孕んでくる。人間社会も些かシニカルに俯瞰して、容赦ない惑星規模の活動の輪廻まで感じさせる。舞台美術に昇華された「布のパフォーマンス」が絶妙で、自然ばかりか時間までコントロールされた錯覚に陥り、唸る他はない。さすが芸術性に富む京都の風土が産んだ逸品というべきか。ギャラリー公演というのがとても馴染んだ。

その鉄塔に男たちはいるという+
MONO
四日市市文化会館 第2ホール(三重県)
2020/03/01 (日) ~ 2020/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/03/01 (日)
劇団代表格の約20年前の作品と…そこに奇縁で繋がり同じ場所を舞台とする新作を結び付ける構成。この2作は劇団員の新旧を繋ぐものでもあるらしい。
会話自体はいずれもたわいない身内の諍いなれど、ともに戦地との繋がりを窺わせながらの諍いの本質と背景に…この大局に人々を誘った日本人の悪癖を想起させる。人が集まって個を失うと… 冷徹な人ならざるモノに変質する怖ろしさを滑稽味の向こう側に感じさせる不穏さ、それに目を逸らすかの様な楽観さのギャップが痛々しい。
一瞬の希望を感じた先に突き付けられる現実。2つのドラマが繋がって… 歴史が繰り返されたことを暗喩するシニカルさが突きつけられる。個を尊重する慎ましさを忘れ、安易に二極に切り分けて他を攻撃する… 今この世相の先にあるものを浮かび上がらせる。20年前の眼差しは今もって杞憂でないことを感じさせる…意義ある公演でした。
終演挨拶で作演の土田さんが不意に涙ぐまれたのがとても印象的で…この新型コロナウィルス騒ぎの状況下で、中ホール規模の公演を全うするプレッシャーと… 万全を期そうとする御苦労の大きさを感じずにはいられません。四日市市文化会館スタッフも含めて、その完遂に厚く感謝申し上げます。

『ハンザキ』
演劇組織KIMYO
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2020/02/27 (木) ~ 2020/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/29 (土)
うん、流石は初演/再演東京公演と磨いてきた作品。エンタメとして卒なくカッチリ仕上がって、洗練されてきているのが分かる。動きを見ているだけでも充足感アリ。
お話でグッと来るところの印象は初演とほとんど同じでブレて無いね。終盤でスパイスとなる新平のエピソードは、このご時世ではもっと膨らましても良いぐらいには感じた。一方で山彦が開花していく一連の苦闘は、初演よりも印象が強くなった気がするなぁ、好みの盛り上がりと役者の味でした。
3妖怪の振る舞いも益々磨きが掛かって言うことなし、ホント好きだなぁ。

蒲実里 卒業できる公演
名城大学劇団「獅子」
PICO2(愛知県)
2020/02/28 (金) ~ 2020/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/29 (土)
12月の… 前代未聞「卒業できない公演」の向こうを張って、「私は卒業できるぞ~」と蒲実里(カバミノリ)嬢が息巻く晴れ舞台。大変な状況下ではありましたが観れて良かった。何気に「獅子」も卒公2度開催の偉業を成し遂げた(笑)
あとはネタバレBOXへ

ときめく医学と運命的なアイデア
匿名劇壇
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2020/02/14 (金) ~ 2020/02/29 (土)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2020/02/24 (月)
「ときめく医学」編と「運命的なアイデア」編を同日連続で観ました。ともに前回公演「大暴力」に引き続きのフラッシュフィクション構成でしたね。「大暴力」は文字通り「様々な暴力の形」にフォーカスして、テーマにかなり求心力があって深く考えさせる力がありましたが、今回は2作共通で「様々な恋愛の形」がテーマかなぁ… よりバラエティさに富んでいて、何となく人間の滑稽さと愛らしさを色々と見せてもらった感じ。フラッシュフィクションらしい、ムードの起伏の激しさにお得感アリでしたよ。

第5回全国学生演劇祭
全国学生演劇祭実行委員会
名古屋市中村文化小劇場(愛知県)
2020/02/20 (木) ~ 2020/02/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/02/23 (日)
12作も観れる演劇祭なので、細かい感想は省きますが、
特に…
でいどり。(福岡)の「ありふれた白にいたるまでの青」
と
睡眠時間(京都)の「◎(わ)」
…が出色の出来でしたね。

443.75km
南山大学演劇部「HI-SECO」企画
ナビロフト(愛知県)
2020/02/21 (金) ~ 2020/02/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/02/22 (土)
まずこの舞台世界を掴むまでの敷居の高さがむしろ魅力の荒井戯曲。予習で公開戯曲を読んでいる段階から幾らでも湧いてくる妄想の嵐を楽しみましたが、そういったものを役者さん方が見える形にしていって、自分の想像を超えるものを感じるのもまたとても楽しい時間でした。
そして、窓辺とリップス「消えた明日に代わって」で片鱗を見せた「独特な舞台美術の運用」は、また更に磨きが掛かり、それが最終的に戯曲の意味にも喰い込んでくる終盤の演出が堪らなかった。

『煙草とguyについて』『どうせなにもみえない』
演り人知らズ
AHAアトリエ・ギャラリー(愛知県)
2020/02/14 (金) ~ 2020/02/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/02/16 (日)
2作の45分の中編が観れる公演。
「どうせなにもみえない」は、役者を1人増やしてのリメイクで、前作と重ねてみると、解釈が深まって面白い。
「煙草とguyについて」は新作だが、コミカルで理屈っぽい出だしから、次第に極めてシニカルで男の身には耳の痛い切り口が満載。ダンサーでもある役者の登用で生まれる… ヤバいシーンのある演出にも面白みがあった。
ともに、以降の感想をネタバレBOXに。

劇王2020
日本劇作家協会東海支部
長久手市文化の家 風のホール(愛知県)
2020/02/08 (土) ~ 2020/02/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/02/09 (日)
決勝に残った
「残像」
「死ぬ時に思い出さない今日という一日」
「天国と地獄」
…はいずれも極めて秀逸で、かなり趣味にも合いました。

『ツアー』+『タワー』
ままごと
長久手市文化の家 森のホール(愛知県)
2020/01/25 (土) ~ 2020/01/26 (日)公演終了

警部と探偵、その助手と殺人鬼
劇団芝居屋かいとうらんま
瑞穂市総合センターサンシャインホール(岐阜県)
2020/01/18 (土) ~ 2020/01/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/01/19 (日)
お馴染みジュリアーノ警部の舞台に、BLANK BLANK BRAINの迷探偵コンビ蘭子&珠理が殴り込み… ツッコミ不在でボケの3乗、舞台上で留まることなくボケ倒す。かいとうらんま不動の定番キャラの存在感に… 遂に拮抗できるキャラを、しかも若手から生み出した価値は非常に大きい。本公演での客の評判の高さに対応して… まさしく機を見るに敏なり!の投入は大成功でしたね。

『ムンク l 幽霊 l イプセン』 劇場パフォーマンス
第七劇場
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2020/01/10 (金) ~ 2020/01/10 (金)公演終了
満足度★★★★★
因習による呪縛の辛み、そこからはみ出す精神の苦しみ、マイノリティの足掻きが空気感として迫ってくる。あぁ…やっぱり鳴海さんの演出って好きだなぁ。特に今回は環境音と暗がりの効果に痺れまくった。美術館パフォーマンス(ムンク作「イプセン『幽霊』からの一場面」の実物を前にしての演劇)もセットの企画で面白い取り組みでした。)

私たちは何も知らない
ニ兎社
三重県文化会館(三重県)
2020/01/10 (金) ~ 2020/01/10 (金)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2020/01/10 (金)
日本の女性解放活動の思想的礎の一つとなった雑誌「青鞜」編集部を舞台に、平塚らいてうを核にした一癖も二癖もある女性達が口角泡を飛ばす議論を重ねる。
史実の人物たちの原文を大事にしてなのか、硬い語調ながらも その風体は現代に寄せているところにギャップとしての面白さがある一方で、昔から変わらぬ問題を今と重ね合わせようとしている感触があった。
シンプルながら多彩な顔を見せ 尚且つ多機能な舞台装置も強い印象を残し、特殊な照明効果(?)による遠くの霞んだ空気感の演出には感動すら覚えた。音楽も含めて思いの他 ポップな味わいもありましたね。
青鞜編集部員達は相互に批評精神に溢れ… ある種 硬派な言葉を交わしながらも、その一方でゴシップ好きの井戸端会議的な趣きも重なる描写なところは ある意味で意外だったが、そういうモノなのか… そこに作り手の意図の有りや無しや。
基本、史実を追っている感覚で小気味良いテンポだが… 何となくやや単調?…何となく距離感があって観ていて中に入り込めない感触もあったが、それは私が男だからなのかも。
一方で、終盤の話運びの処理は上手いなと思った。仄かに今が重なっていくのが いかにも永井愛作品の佇まい。意外に奔放であったり、何のかんの何より自分本位な人物像も印象的だったし、その晒された環境として「女の敵は女」って思わせる瞬間が多かったのも納得感を生んだ。
女性に限らず… 虐げられた者が何かを変えようとする時、その足を最も引っ張り傷を負わせる障害は「虐げた者」ではなく、同じ環境にありながら「その環境に順応して上手く世渡りした者」… もっと始末が悪いのは「それに耐えて、自己肯定的にそこに価値を見出してしてしまった者(自分が耐えたのを誤りとされるのが許せないパターン)」…という現実。
庇った身体を背中から撃たれる光景は、今なお続く日常に思えた。

Dear...私様
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2019/11/27 (水) ~ 2019/12/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
とにかく脚本が素晴らしい。笑いあり涙ありの、充実した内容だった。
そしてアクションも派手ですごい。
役者さん一人一人が魅力的で、これほど面白い公演は久々に見た。

三国志〜たった二人の赤壁の戦い〜
国産本マグロ
高田馬場ラビネスト(東京都)
2021/01/02 (土) ~ 2021/01/04 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
三国志は学生時代に読んだ。公演の前説では横山光輝氏の「三国志」(漫画)を紹介していたが…。映画「レッドクリフ」(partⅠ、partⅡ)も観ているから、内容の面白さは十分理解しているつもりだ。2人だけで三国志の主要人物を演じ、特に「赤壁の戦い」はその中でも有名な人物が登場し、よく知られた8場面を持って分かり易く展開していく。2人だけと記したが、正確には案内役2人と舞い手(ダンサー)2人がおり、物語を立体的に構成していく。芝居だけではなくコント的要素も取り入れ笑いを誘い、観客を飽きさせない工夫もある。なにより2人だけで三国志という時代絵巻の壮大なスケール感を出そうと試みているところが魅力的だ。
(上演時間2時間 途中 換気の休憩あり)

刹那的な暮らしと丸腰の新選組
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2020/11/26 (木) ~ 2020/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
幕末の頃のドラマとして、このような人間模様が実際にあったような気がするリアルな会話に引き込まれました。
誰か一人主人公にというのではなく、それぞれの人物像に感情移入してしまう不思議な舞台でした。

脳ミソぐちゃぐちゃの、あわわわーで、褐色の汁が垂れる。
オフィス上の空
シアタートラム(東京都)
2020/09/17 (木) ~ 2020/09/27 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/09/19 (土) 13:00
座席H列8番
価格7,500円
従来作品にはよくあった時制の移動などのトリッキーな部分はほとんどなく(あるにはあるが一般的に使われがちなもの程度)まるでど真ん中の豪速球のような恋愛譚。
物語の中心は普遍的で目新しさなど微塵もなく、かつ恋愛経験者の大半に共感を得そうな話であるが、そこに「翳さすもの」が昭和なら先進的すぎ、平成前半でもマニアックと誹られた気がする。
まさしく温故知新、オーソドックスなものをイマに即して仕立て直した「机上の空論流の恋愛物語」ではあるまいか。

『コントロールオフィサー』+『百メートル』二本立て公演
青年団
アトリエ春風舎(東京都)
2020/12/31 (木) ~ 2021/01/10 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2021/01/04 (月) 19:30
スポーツに関する30分弱の短篇を2作上演するが、2作とも短篇という特徴を活かした巧妙な作品で、面白かった。
『コントロールオフィサー』は旧作。水泳選手の競技会の後の、ドーピング検査場での会話。4人の選手同士の関係が徐々に分かる会話の積み上げも巧みだが、それぞれに付く4人のドーピング検査員(コントロールオフィサー)という「異質」な存在がいることで生じる微妙な感触の違いが特に面白く、客席からの苦笑が絶えなかった(時に爆笑)。さすが平田オリザだと思った。
『百メートル』は陸上競技の控室での扱った新作。こちらも、4人の競技者と2人のコーチの関係などが徐々に明らかになる展開が巧みだが、1人だけ場を認識していない存在がいて、その人の気づかなさ具合が面白い。
両作とも、スポーツ選手がそのような会話をするのか、という疑問はあるが、いや、するかもしれない、という微妙な線を巧く作り上げている。新年最初の観劇として、いいものを観せてもらった。観て損はない。30分弱-休憩10分-30分弱。

BLACK OUT
東京夜光
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2020/08/21 (金) ~ 2020/08/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/08/26 (水) 14:00
価格3,000円
演出助手の目を通して描いた商業系プロデュース公演の製作過程。
事前に目にした感想に「演劇人として刺さる/痛い」というものがあったが、専業観客(?)の立場としては「演劇あるある」ならぬ「演劇聞く聞く」満載でシニカル、自虐的、コミカルに理想や希望も加味した疑似ドキュメントとして大変「面白い」。
……ではありながら、終盤のある場面ではそれまで観客側として「察する」ことしかできなかった「その時」の当事者の心情を目の当たりにするようで胸に迫るものがあった。
そして「実体験に基づいたフィクション」としてどこまでが事実でどこまでが創作なのか境界が曖昧で、さらには演者の中には実際に似た体験をされた方もいらっしゃるのでは?などと思うともう「第四の壁」がとろけてなくなるようで、それがまたタマラン。
さらに漠然と思い描く程度であった演出助手、舞台監督などの担当職務を改めて認識できて観劇マニアとして有益だった。

スノー・ドロップ
感情7号線
劇場HOPE(東京都)
2020/01/11 (土) ~ 2020/01/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/01/16 (木) 15:00
座席F列4番
価格3,300円
16日昼にAチーム、17日昼にBチームを観劇。
事前に伝わっていた情報通り、切ないと言うかビターと言うか、オトナの味わいのパラレルワールドもの。
梶尾真治の「クロノス・ジョウンターの伝説」を舞台化していた頃の演劇集団キャラメルボックスに通ずるモノもあったような。
同じ時間を繰り返してハッピーエンドに辿り着く時間ものがお好きな方はこれを観ると盲点を突かれると言うか新たな発想に眼からウロコが落ちるのではないか? 少なくともσ(^-^)は「そう来たかぁ!」と膝を打った。