
You'll Never Walk Alone
青春事情
ザ・スズナリ(東京都)
2020/11/26 (木) ~ 2020/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/11/26 (木) 19:30
面白かったし、素晴らしかった。
サッカー観戦に興味持った事がない自分でもぐいぐいと引き込まれた。
見終わった後に爽快感と元気になれた気がした。

一日だけの恋人
稲村梓プロデュース
サンモールスタジオ(東京都)
2020/11/26 (木) ~ 2020/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしい二人。これは面白い
20秒に一回くらい笑った
稲村梓の魅力が爆発💣ゴジラのような破壊力があるかと思えば、ピュアな少女のような表情や、新喜劇・SF・歌・ダンスともう1時間にこれでもかという要素が。
大満足
彼女の元気でコロナなんてぶっ飛んだ。
これは劇場に足を運ぶ価値がある。

刹那的な暮らしと丸腰の新選組
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2020/11/26 (木) ~ 2020/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★
すごく久しぶりのシアターグリーンは前の歩道が広くなってその分車道が狭くなって、車道との間にあった柵にもたれて待てたのが、無くなってしまって残念。立て看板がきれいになっていましたが、ロビーのチラシは一掃されて・・・と色々変わっていたのでした。
こんな新選組見たことない!いわゆる「主な登場人物」だけでなく、素人(私だけ?)には名前さえ知られていない人たちに光を当てて愛する歴女たち。愛するものがあるのは素敵なことと思いました。
昨今の事情で配信用のカメラが入るのも、カメラの台数が多いのも仕方ないとは思うのですが、カメラが視界に入るような座席は割引になるのでしょうか?「カメラが常設されており、見づらい可能性があります」でいいんでしょうか。劇場に来ている観客に失礼じゃないですか?

ただやるだけ
good morning N°5
シアター711(東京都)
2020/11/19 (木) ~ 2020/12/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/11/26 (木) 19:00
世の中に元気のない昨今ですが、711のステージは弾けてた! 物語がなさそうで実はあったり、ふざけてるかと思うと哲学的なセリフだったりと、いろんな顔を見せてくれました。ステージと客席は透明なシートが区切られてましたが、こんなものない状態で上演活動ができるといいな。

ダンパチ18『道』 / リメンバーユー 同窓会にはタイムスリップして参加します!
ショーGEKI
「劇」小劇場(東京都)
2020/11/20 (金) ~ 2020/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★
「リメンバーユー 同窓会にはタイムスリップして参加します!」を拝見しました。
面白かったです!
ドタバタしながら謎が深まっていき、終盤で畳み掛けるような展開に引き込まれました!

月曜日の朝、わたしは静かに叫び声をあげた
甲斐ファクトリー
インディペンデントシアターOji(東京都)
2020/11/25 (水) ~ 2020/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★
頑張っている劇団なので、敢えて少々辛めの評にしているのは、更に伸びて頂けるとの期待からである。脚本:☆5つ。役表現:全体として☆4つ。舞台美術:実に合理的、その合理性に☆5つ。華4つ☆ 追記後送

月曜日の朝、わたしは静かに叫び声をあげた
甲斐ファクトリー
インディペンデントシアターOji(東京都)
2020/11/25 (水) ~ 2020/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
ラストシーン、あまりにも美しい照明で彩られた舞台で、運命の渦に巻き込まれていく二人。
いつの間にか、泣いている自分に気が付いて暗転がもっと長ければと思った。
主役の二人はもちろん、劇団のトラ丸さんは貫禄の演技。悪魔なのかな。。。
前回観た「八月のモンスター」を超えた!以下、ネタバレへ。

Persona
Antikame?
雑遊(東京都)
2020/11/18 (水) ~ 2020/11/22 (日)公演終了

月曜日の朝、わたしは静かに叫び声をあげた
甲斐ファクトリー
インディペンデントシアターOji(東京都)
2020/11/25 (水) ~ 2020/11/29 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2020/11/25 (水) 19:30
劇場側の感染防止対策に頭が下がる。
巨大ホース(直径70〜80cmくらい?)のものを導入して、劇場空間と外気を繋ぎ換気していた機械だったと思う。たぶんだけど。

その男、ピッグテイル
あうるすぽっと
あうるすぽっと(東京都)
2020/11/22 (日) ~ 2020/11/29 (日)公演終了
実演鑑賞
上演時間は約2時間(休憩無)。
パブリックシアターが主催ということで、
細かいところでいろいろあるかもしれないが、
劇団☆新感線のいのうえ歌舞伎、2.5次元系の時代物、
劇団そとばこまちのエンターテインメント時代劇
シリーズといったあたりの作風に近いところもあり、
意外と抵抗感少なく観劇できる作品。
プロジェクションマッピングや高さのある多面的な
廻り舞台セットを駆使した疾走感、躍動感溢れる演出が
特徴的。ただ、補助情報として舞台最奥のスクリーンに
たびたび映し出される字幕の流れが、位置的に
この中央の舞台セットに遮られて、特に前方席からは、
非常に観づらいというかかなり見えなくなっているのは
マイナス。
また、高さのある多面的な廻り舞台を駆使した
演出手法は、つい先日まで明治座で上演されていた
『恋、燃ゆる。』のそれと相通ずるものがある。
平家落人末裔のウツギが大久保利通に語る、
先祖から伝承されている言葉
「こんまことん刀は護身刀。
こんまことん刀持てるは武士(もののふ)なれど、
武士は心魂で戦うがすべて。
強き武士なるは民を殺めず、
強き武士なるは民を慈しむべし。」
が心に残る。
『その男、ピッグテイル』という公演名は、
時代背景からみて池波正太郎の小説『その男』をかなり
意識しているような気も。ちなみに、『その男』は
最近では、2009年に芸劇で鈴木聡 脚本 ラサール石井 演出、
上川隆也主演で舞台化上演されている。

幸福は今日もヒトゴミを歩く
劇団5454
ザ・ポケット(東京都)
2017/08/09 (水) ~ 2017/08/13 (日)公演終了

プロデューサーズ
東宝
東急シアターオーブ(東京都)
2020/11/09 (月) ~ 2020/12/06 (日)公演終了

ミュージカル「NINE」
TBS/ 梅田芸術劇場
赤坂ACTシアター(東京都)
2020/11/12 (木) ~ 2020/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★
ライブ配信で鑑賞。映像は生に及ばない事は承知で、一言感想を。
藤田俊太郎演出舞台は今年春の「VIOLET」が流れ、今回漸く初鑑賞できた。
「観たい」と思った理由は、フェリーニ監督の『81/2』(はっかにぶんのいち)に因んだ作品であること。更に賞をとった舞台と来れば期待は嵩増しである。
フェリーニの映画は好きだった。十代の頃テレビで観て衝撃を受けた『道』や、「カビリアの夜」あたりの初期作は「小さな存在」への眼差しがあり、フェリーニの原点が偲ばれるが、中~後期の映像詩と呼ぶべき作品こそ「フェリーニ映画」、度肝を抜くセットや破天荒なフィルム繋ぎ、ストーリー説明がなく強烈なイメージの映像が語るに任せる独特な手法、フェリーニ節が全開である(見たのは「そして船は行く」「カサノバ」「サテュリコン」「ジンジャーとフレッド」「インテルビスタ」「ボイス・オブ・ムーン」)。「81/2」もザッツ・フェリーニと言うべき作品で、映画製作に行き詰まる(アイデアが湧かない)映画監督グイドの苦悩と荒廃と、再生の物語。最後には不思議な幸福感に包まれる。この作品が芸術及び芸術家について書かれたものであるのは言を俟たないが、さらに人間を描いていると感じるのは例えば監督自身の幼少時の記憶を蘇らせる場面等である。
さて「NINE」である。大型ミュージカルの「威力」を私は「ビリーエリオット」で知り、また「LENT」は映像で観ても楽曲が持つ魅力にやられてしまう。しかし「NNE」は色々と物足りなさがあった。
大きな一つは楽曲である。昔懐かしのミュージカルメロディが「狙い」だったのか、それとも米国の音楽文化の割とスタンダードな形なのか分からないが、小編成オーケストラによる楽曲が私には物足りない。本来大編成での迫力を想定して作曲されたものを「簡略化」したように聴こえるからか。タカラジェンヌ出身女優が大部分を占める出演者の「生声」の歌はさすがだが、メロディラインをヴァイオリン等が補強していて、同じメロディをなぞる女優達の声を合わせると、どうも宝塚の舞台の雰囲気になってしまう。(別に宝塚が悪い訳ではないがどうも音楽的・声楽的には1ランク下がった感じに聞こえる・・何故か分からないが。)
まあとにかくそれもこれも楽曲の良し悪しだろうと思う。しんみりと聞かせる母の歌や、女たちの荒々しさが見える群唱の曲など、中々見せる場面もあるが、ラストを締める曲が、曲・詞ともに深みがなくバシッと決まらない。散文詩のような舞台では、最後は楽曲でぐいっと心をさらうくらいでないと・・という後味であった。
「物語」は城田優氏の演じる主人公グイドの女性関係と、修羅場と化す彼の映画製作及び人生そのものの行き詰まりを描く(そのあたりは原作と同じ)。心の拠り所である妻ルイザ、情熱的に彼を慕う女性カルラ、作品のインスピレーションをもたらす女優クラウディア、この3人に加えスポンサー、プロデューサーも女性。その他彼のファン、行きずりの女性と、ダンサー以外の出演者は皆女性だ。
ある時彼はクラウディアから「あなたは一人の女では足りないのよ」と言われ、(実際は『81/2』より後の作品となる)『カサノバ』を着想する。ようやく製作が波に乗って来たのも束の間、作品中に自分のプライベートが使われていると憤慨した妻に去られ、「夫と別れた」とノリノリで言ってきたカルラをそれどころじゃないと邪険にした結果ついに思い改めた彼女にも去られ、元々気難しかった女優クラウディアにも映画現場を去られ、グイドは一人になる。「全てを追う者は全てを失う」、という格言が自ら語られ、出演者総勢による合唱で劇は閉じられる。
映画を構成する多彩な映像イメージは、主人公の現実であったり想念であったり、また「あり得る」別の現実であったりする。だがその判然としない中に光が刺す。ありきたりな言葉を使えば「物事全て捉え方次第」、フェリーニの出自であるカトリックの「全ては起こり得る」楽観性(神への信頼)もバックボーンにありそうだ。『81/2』の最後、恐らくだが作品制作に対しグイド自身が持ち込んでいた負荷から彼が解き放たれ、映画製作を放棄しても確かに存在する自分自身に出会い、その瞬間彼がそれまで出会ってきた人々の存在にも気づく、という事が起きる。その時彼は、映画もそのように撮ればよかったと気づくのだ。そしてそれは毎回映画製作者としてのフェリーニが苦悶の果てに辿り着く「完成」までのプロセスなのだろう、とも想像させる。人生においても何が肝心なことかを見失う場面を体験する。映画のラスト、人々が広場で隊列を組んで歩き出すと、それまで孤独にあえいでいたグイドの目に、彼らが自分の味方である(友人である)と映っている。
「NINE」の舞台は、孤独になった主人公が孤独を歌い上げるクライマックス、その後特に説明を施さず皆が登場して比較的淡泊な楽曲の「大団円風」でさらりと幕を閉じた。結局原作(映画)の設定を「使った」だけにすぎず、ミュージカル化する意味があったのか・・私にはもう一つピンと来なかった。

ザ・ボイスアクター2020~アニメーション&オンライン~
劇団6番シード
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2020/11/19 (木) ~ 2020/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
《アニメーション編》こちらも面白かったです。新人として頑張る前田君でしたが、現場の常識(?)の違いに翻弄されていました。収録現場って本当はどんなのでしょうね。
終演後のイベントがとても楽しかったです。
オンライン編もそうですが、皆さんあちこちでいろいろやっているので1回だけでは見尽くせません。時間があったらまた見たいですが、なかったらDVDが届くのを待ちたいです。
あ、でもそれだと見たいところが見られないかも・・・

ニンゲン畜生奇譚
グンジョーブタイ
JMSアステールプラザ 多目的スタジオ(広島県)
2020/11/13 (金) ~ 2020/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
名古屋の人気劇作家佃典彦の新作、劇団にアテ書きしてくれたらしい。この舞台だったら、よそからわざわざ観に来てもらっても地元のファンとして鼻が高い。
しっかり作りこまれた舞台セットにほぉ~っと思った。
奇抜な題名と洒落たフライヤーに驚くが、芝居は(おそらくコロナ禍以降に)山奥の過疎の村で自給自足の生活を始めた夫婦と村役場の担当者、毎年訪れるゼミの大学生、それを取材に来たテレビ局員、謎のJTT協会の人たち、その一晩を描いたリアルな近未来世界の舞台だ。
荒唐無稽にならない現実感がいい。ぶっきら棒な物言いの向こうにその人物の思いが見えた時、ジーンとくるプロセスが実に巧い。
誰か客演なの?と訝るくらい、こんなに上手い若い役者が地元にいたのかと目を瞠った。
ホントは、コンビニとネットとゲーム三昧の超便利な生活が大好きなのに行きがかり上、この自給自足の生活を始めることになったと言う、ららら村長のスズキの述懐がツーカイだ。
ゼミで訪れた3人の大学生の其々の思いがちっとも伝わらなず行き違いのままなのも、現実はこんなものよねと気持ちが楽になる。人間は思い通りに生きられなくっても、それなりにしあわせに生きられるものだ。
みんなが一緒に朝ごはんを食べ始めるラストシーンがいい。原始時代からニンゲンにとって、しあわせって結局このささやかな営みのことなのかもしれない。
中国劇王の独善的な辛口批評の佃さんの中には、こんな優しさが隠れている。佃典彦の他の作品舞台も観に行きたくなる。

白石加代子「百物語」
メジャーリーグ
倉敷市芸文館 ホール(岡山県)
2020/11/17 (火) ~ 2020/11/17 (火)公演終了
満足度★★★★★
白石加代子の「百物語」はYouTubeでも一部見られるが、観客席の私だけのために目の前で演じてくれる生の白石加代子が観たかった。
一旦終了した「百物語」だが、大事に取ってあるという、びっしりと書き込みをした上演台本を観ているうちに再開したくなったという。
白石加代子の百物語アンコール公演は夢枕獏「ちょうちんが割れた話」筒井康隆「如菩薩団」半村良「箪笥」和田誠「おさる日記」の4本立て。少年から老婆まで見事に憑依する白石加代子を堪能した。
最後に舞台の中央で白石が、「このような状況の中で舞台にお越し下さった・・・」と述べた後に口ごもったように一瞬黙り込み、「ありがとうございました」と挨拶した。
舞台は一期一会だ。来てよかったと思う。

バンク・バン・レッスン
REBORNプロデュース
座・高円寺2(東京都)
2020/11/22 (日) ~ 2020/11/23 (月)公演終了
満足度★
今まで100本以上舞台を観てきたが、ワースト3に入る舞台だった。
バンクバンレッスンは他の団体も多数上演している作品なので知っていたが、あまりに演出が酷い。
会議室のイスとテーブルがあるだけで、セットがないし、動きもなければ一列に並ぶようなシーンも多い。いらない間が多かったり、キャストの(役柄の)それぞれの個性が立っておらず、全員同じようなキャラになってる。
普段のシーンと防犯訓練のシーンのメリハリが全くない。コメディなのに、会場のお客さんは誰一人笑っていませんでした。
これで5000円…高すぎます…。

ぼくの好きな先生(2020再演)
enji
現代座会館(東京都)
2020/11/21 (土) ~ 2020/11/23 (月)公演終了

嘘 ウソ
俳優座劇場
俳優座劇場(東京都)
2020/11/07 (土) ~ 2020/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
新旧の秀作を堅実な演出とキャストで舞台に上げる俳優座劇場プロデュース。今回はフランス産の近作で、登場人物4名による、サスペンスフルで予期せぬ結末が待つ考え抜かれた台詞劇。
最終的に艶笑譚に終わる芝居だからつい「喜劇」と紹介したくなるが(実際そのカテゴリーに入るのだろうが)、私は本編を「笑って」は見なかった。
ドラマはとある夫婦がこれから親友夫婦を夕食に招こうとしている自宅で、妻が悩まし気な顔をしているのを問い質した所、親友夫婦の夫が今日の昼、ある店の前で妻以外の女性とキスをしている所を見てしまった、という妻の証言に始まる。この事実?を巡っての冒頭の夫婦の言い合いを端緒に、「嘘」と「真実」を巡ってこの芝居丸ごと動員しての壮大な議論の様相を呈する。
「ディナー中止」の合意に至るも時遅く夫婦の訪問を受けてしまうまでの夫婦のやり取りは、次の通り。・・自分にとって親友である相手の妻に「真実」(相手の夫が他の女と会っていた事)を告げないではいられないと、妻が言う。夫は自分の親友である(妻同士の関係よりも古い)相手の夫の前でそれを言うつもりかと迫ると、「私に「嘘」を付けと言うのか」と妻は返す。夫は「それが友人としての態度。彼らの生活に立ち入らない事だ」と言い含めるが、妻は首を縦に振らない。決着がつかぬまま夕食の時が来る。
妻は暫くは我慢していようと思いきや、「例の事」しか頭にないらしく、相手の夫にカマを掛けてみたり、肝を冷やした夫が話題を逸らそうと奔走したりといった「喜劇」らしいやり取りが続く。しかし関心はそこにばかり集中しない。というのも、会話の流れが一々エレガント、言葉に知性と含蓄があり、相手夫婦の佇まいにもどこか注視させるものがあり、「人物」への興味が湧く。
芝居は早々に「真相への道程」のスタートを告げ、やがて主役である夫の目線で「謎」が深まり、彼の目を通して観客も「謎」に向き合い、迷路に入り込むという塩梅。つまりミステリーとなる。
この作品は「謎」に対する驚くべき「真相」が待っているという、「娯楽」作ではあるが、その謎解きに至る手前までは、シリアスドラマと言って良い程に主人公=夫の苦悩がある。人の苦悩(しかも浮気云々)は笑いの要素ではあるが、この場合、観客が登場人物より情報を多く得ているゆえの「笑」の構造はなく、観客は夫と同じく迷わされている。
途中までのストーリーも紹介すると・・スキャンダルの疑惑は相手の夫から、我らが夫婦(相互)にも及ぶ。例の件がショックであったらしい妻が感慨深く夕食を振り返り、ふと夫に訊くのだ。「あなたはどうなの?私以外の女性と・・?絶対怒らないから正直に言って。過去の事をどうとは思わない。その事より私は二人の間に嘘がある事の方がつらいの。」(という趣旨)。妻のまっすぐな目についほだされ、一度あった、と告げてしまう。妻はこれに対し今思いついたとばかり「そうだ」と畳みかけ、具体的な期日と場所を挙げて夫の証言を引き出す。「今年の春に出張とか言って○○に行った、あれ?」・・「そう」。「ちょっと待ってもしかすると夏に○○島に行ったあれも?」、「そう」(正直モードに入ってしまったので畳み掛けの質問につい返事をしてしまう感じ)。ここで妻が「全然過去の話じゃない。ただいま現在の話じゃない」とキレ気味に反応すると、夫は否定できない。話が具体的になりすぎて「いや関係はもう終わった」と抗弁したその舌で、いつ何故どうして終わったのかを具体的に説明せねば説得力を持たず、夫がそこに説得力を持たせる自信など無いのは様子を見ただけで明白である。
夫は今更ながらに後悔した様子だが、妻は最初に「怒らない」と言った約束とは裏腹に夫への不信感と嫌悪を露わにし、リビングを出てしまう(鍵を掛けられ寝室に入れてもらえない)。
夫婦のあり得るリアルなやり取りの一例だが、さて翌日、冷静になったらしい妻は、夫への反撃なのか、正直モードでの告白か判然としない(ここからがミステリー)台詞を吐く。「昨夜は自分の感情に負けてしまったけれど、私はあなたを責める資格はない。」(最初夫はその言葉の意味を理解しないが、やがて気づく)。「実は、私も・・」
その相手は芝居の構成からして相手夫婦の夫と思しく、観客は夫に先走って疑い始めるが、次の場面ではその相手の夫の訪問を受け、こちらの夫の相談に乗っているという案配だ。ここでの友人の「意味深な」回答、アドバイスも観客的には疑惑の説2パターンばかりを連想させる。こうして「謎への解答」は絶妙に迂回路を辿り、やがてラスト、観客に最も効果的なタイミングで見せられる事になるのだが・・。
全編にわたって「真実」と「嘘」が錯綜し、後半から終盤にかけて混迷の度合いは深まる。だが、この芝居がどんでん返しの快感で閉じる娯楽作(喜劇、ミステリー呼び名はいずれでも)と一線を画するように感じたのは、俳優たちのリアリズムに軸足を置いた演技による所が大きいと思った。
最後、仲睦まじく隣り合って座った夫婦は、互いに不貞を働いていたとおぼしいと知った今、事実を受け入れないために「嘘」を相手に暗に要求するのだが(この台詞運びも見事である)、二人はある種の明文化されない「約束」を交わしているように見える。
で、ここは微妙であるが、妻は女性らしく夫に、夫は男性らしく妻に(つまりそれぞれの仕方で)愛情を向けていると知れる演出・演技になっている。
だから、終幕に残るのは(よく書けている)戯曲の言葉ではなく、二人の存在=残像なのである。
夫婦が心底では望んでいただろう所に決着した、という風に少なくとも真実らしく見えた事が、私は演出の狙いであり俳優たちの仕事だったと見る訳である。
相手の夫は最後にはえらく悪役だった事が暴露される事になるが、愛嬌もありキャラも合致。相手の妻も、退屈な夫婦生活に刺激を求めて罪悪感なしというキャラで、裕福さが背景に見える。
一方主役の方の夫婦も一応収入はありそうだが(妻は会社で重要なプレゼンが明日あるとか言っている)、相手夫婦より観客に近い位置にいる。二人は各々「真面目さ(誠実さ?)」の片鱗がその人間性に垣間見える瞬間があって、それが大団円での愛の見え方にもつながっている(・・とすればこの作品はやはり戯曲の勝利か)。
どちらにせよ、戯曲は優れものであり、舞台は爽快感と深み(真実味)を残した。

ぼくの好きな先生(2020再演)
enji
現代座会館(東京都)
2020/11/21 (土) ~ 2020/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
すごく面白かった。話が進むにつれ、あっそうか。そういう事なのか。と思った。学校での公演もあるという事なので良質でストーリーもいいですね。またいつか何処かで観る機会があれば是非観に行きたいです。