白石加代子「百物語」 公演情報 メジャーリーグ「白石加代子「百物語」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    白石加代子の「百物語」はYouTubeでも一部見られるが、観客席の私だけのために目の前で演じてくれる生の白石加代子が観たかった。
    一旦終了した「百物語」だが、大事に取ってあるという、びっしりと書き込みをした上演台本を観ているうちに再開したくなったという。

    白石加代子の百物語アンコール公演は夢枕獏「ちょうちんが割れた話」筒井康隆「如菩薩団」半村良「箪笥」和田誠「おさる日記」の4本立て。少年から老婆まで見事に憑依する白石加代子を堪能した。

    最後に舞台の中央で白石が、「このような状況の中で舞台にお越し下さった・・・」と述べた後に口ごもったように一瞬黙り込み、「ありがとうございました」と挨拶した。
    舞台は一期一会だ。来てよかったと思う。

    ネタバレBOX

    「ちょうちんが割れた話」は、暗転の舞台の上を白石が動きながら語っていくのがわかる。姿が見えないのがもどかしい。
    そして、圧巻はやはり「如菩薩団」、上品でインテリだがつましい生活を強いられる団地の主婦たちによる悪逆非道な強盗団のお話。役に合わせて、高価ではないだろうが橙黄色のカラフルなドレスを上品に纏った白石がうっとりするほど素敵だ。強盗に襲われても育ちのいい人間はあんなふうに覚悟して死ぬのだろうか。これはもう敵わないなと苦笑い。
    幕間休憩20分をはさみ「箪笥」、行燈の明かりが設えられ、一段高く設けた席に座った白石が演目を読み上げた、ぺたんと体勢を崩すと次の瞬間に奇妙な老婆の話が始まる。聞きなれない方言のせいで話の筋が朧にしかわからないのだが、コミカルさの中にじわじわと怖さがくる風変わりな怪奇譚だ。
    高座から降りて舞台中央にたった白石はそのままの姿で、たどたどしい少年の声で「おさる日記」を読み上げる。登場する母親と父親の見下すようにも感じる落ち着いた声音の意味は、ラストで分かる。

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    2020/11/24 10:26

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