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真夜中に挽歌

真夜中に挽歌

Y.T.connection

上野ストアハウス(東京都)

2025/11/20 (木) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

文学座から『太陽にほえろ!』の主人公に抜擢されてブレイクした若き松田優作。多忙な裏で同期を集めて劇団F企画を作演出で主宰。劇団解散後も、3本の舞台を個人プロデュース。朴李蘭名義だった為知る人ぞ知る話。文学座付属演劇研究所12期生の同期であった野瀬哲男氏とは一生を通じて付き合う兄弟のような関係。1978年11月初演の今作は唯一脚本が残っているものだそうだ。当時主演、とおる役を務めた野瀬哲男氏が演出に回る。

松田美由紀さんのビデオメッセージからスタート。松田優作の唯一無二の魅力はエネルギーだと話す。彼よりも演技が巧い人、ルックスが良い人は幾らでもいるが、彼のようなエネルギー、人に何かを伝えようとするエネルギーが溢れているような人はいないと。自分が松田優作に夢中になったのもそれかも知れない。作品以上のものを提供しようとする有り余るエネルギー。勝新もそうだけれど100で充分の作品に無理矢理1億ぶっ込もうとする。その溢れ返った余剰なエネルギーに心酔するのかも。

冒頭、松田優作っぽい男(上西雄大氏)が無言でステージから客席へと通り過ぎる。

青森から上京して一ヶ月、自動車整備工場で働く青年
とおる(船津祐太氏)。殺風景な倉庫を改装して暮らしている。鎮座したピカピカのバイク。何処からか船の運航する音が聴こえる。やって来た関東狂走連合京浜支部リーダーのジョージ(徳田皓己〈こうき〉氏)とその情婦ハクラン(世森響〈よもりひびき〉さん)。ディスコで知り合った都会に憧れる田舎もんを食い物にしようと企んでいる。ダセえ世間知らずの素朴な田舎もん、東北訛りの腰抜けに現実分からせてやる。

ジョージ186cm、とおる182cm、モデルの世森響さんと、手脚が長いスタイリッシュなダンスが映える。必殺シリーズを現代に置き換え漫画化した「ブラック・エンジェルズ」みたいなルックス。

映画を判ってる人間の作る舞台。しょぼい嘘がない。安っぽい誤魔化しがない。
場内に流れる松田優作の歌がかなり良かった。これは一度ちゃんと聴いた方がいいかも。

船津祐太氏は魅力的な役者。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

前半は退屈な遣り取り。不良が真面目な田舎もんをからかう描写が延々続く。だが時折のダンスシーンやフォトセッションなんかは魅力的。後半、一転してとおるのキャラが変わりいよいよ本筋に。そこに乱入する謎の男(上西雄大氏)、無言で全員ぶっ殺す。発砲音がリアルで良かった。北野武映画に通ずる暴力の無意味性。暴力とは意味不明で圧倒的で全ての人間性を踏み躙る戦車のキャタピラだ。終わった後にいろいろ類推するしか手はないが、今更どうしたってそこに意味などない。松田優作と北野武に通ずるものがある。

松田優作は在日朝鮮人であったことを非常に気にしていた。それがバレると全てはおしまいだと。そんな松田優作が書いた戯曲では不良の出自に拘る。名字が李や知念の奴が日本文化を語るなと。

修学旅行で上京した際、暴走族に轢き殺された弟。弟の復讐の為、とおるは関東狂走連合に所属する連中を地道に一人ずつ殺してきた。謎の男(上西雄大氏)はそんなことお構いなしに皆殺す。その不条理性が作品の味。

アフタートークとして演出の野瀬哲男氏と上西雄大氏(映像劇団テンアンツ主宰)がトーク。松田優作の人気テレビドラマ『探偵物語』の話題。当時、兄貴と心酔する松田優作の運転手兼付き人だった野瀬哲男氏。新宿のロケ現場で松田優作と監督が揉めている。用意された20人のエキストラを帰し、急遽野瀬哲男氏一人にやらせることに。ロケバスに戻った野瀬哲男氏は裸になって背中にマジックで「イレズミ者」と書く。現場に入ると松田優作は大受け。レギュラー化が決まる。そのまま撮影の日々が続いていたがある時居眠り運転で改造したハイエースが大破。電柱が助手席に食い込む程。後部座席で寝ていた松田優作は足を怪我。事務所社長は激怒し野瀬哲男氏は降板。「イレズミ者」は前田哲朗氏に。
山吹

山吹

遊戯空間

六本木ストライプスペース(東京都)

2025/10/18 (土) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い。泉鏡花原作「山吹」の独特の世界観を見事に表しており観応え十分。心地良い緊張感に包まれた舞台空間、そこに妖しげな物語が描かれる。まさしく「妖話会」に相応しい話。キャストは3人(篠本賢一サン、中村ひろみサン、加藤翠サン)、その少ないメンバーによる濃密な会話が観客の心を捉えて離さない。

原作の魅力もあろうが、物語に登場する人物の心情が切々と伝わり、その情景/状況を生演奏(設楽瞬山サン)が支える。また この会場の特徴を活かした演出が余韻を残す。物語全体の世界観というか情景は上演前から既に始まっており、その雰囲気作りが実に上手い。客席配置は観客をも劇中の民衆として取り込むような工夫であろう、その没入感に浸る。
(上演時間1時間40分)

ネタバレBOX

この会場は、中央に折り返しの階段があり、これをどう使う(演出する)か関心があったが、本作ではラストに活用。舞台を中央にした対面客席で、劇中にある<祭>の見物客(群衆)に見立て 物語へ誘うよう。会場入り口近くの紗幕、上演前に<祭>の映像を映して雰囲気を盛り上げる。逆に、奥に 語りと登場人物の島津正(洋画家)を演じる 中村ひろみ さんの立ち位置。イーゼルとその足元に絵画が数点。中央階段下に演奏スペースで和楽器(チベットベル、能管等)が置かれている。

物語(2場)は、時・場所・候を語り 始まる。舞台は修善寺温泉近くの山中。人形遣いの辺栗藤次は、寺の祭りの日に、木に人形を立てかけたまま 酒屋で飲んでいる。そこへ洋画家 島津正と小糸川子爵夫人の縫子が現れる。縫子は 料理屋の娘として働いていた頃 島津を見かけ、密かに憧れていた。嫁ぎ先での惨い仕打ちもあって家庭を捨て島津の許へ。しかし、芸術にしか興味を持たない島津は彼女の想いを受け入れない。絶望した縫子、そこへ酔った辺栗が現れる。縫子は、自暴自棄になり辺栗に「何でも言うことをきく」と。辺栗の望みは「女に(鞭で)打たれること」、縫子は傘骨で打つ。辺栗は若い頃、女絡みで罪を犯し その罪悪感から折檻されることで贖罪している と。縫子は島津に問う、「応えてくれなければ、この人形遣いと生きる」と。島津は「仕事がある」と答え 拒絶。縫子と辺栗は、念仏を唱えながら闇(階段を上り階上)へと消えていく。

物語は現実か夢想か、または現世か来世か そんな揺蕩うような雰囲気を漂わせている。その曖昧さが島津の「仕事が…」という逃げ口上を巧く引き出している。そして この「仕事」こそが洋画家としての島津の関心事ー縫子と辺栗の道行を絵に描きたいのでは と思ってしまう。能でいえば、縫子と辺栗はシテで、島津はワキ(始めに登場し時間や場所、状況を語る)のような役割を担っている。また傘骨で半裸になった辺栗を打つ、その異様にして耽美的な光景、それを(生)楽器の効果音によって艶めかしく響かせる。

謳い文句にある―魔界の誘惑、現世と来世のはざまで揺れる、女と男たちの一瞬間のドラマが、鏡花の豊饒な言葉で浮かび上がる―、それを見事に体現する3人の役者の演技が見事。至近距離で異様にして唯一無二の世界観を堪能する喜び。
次回公演も楽しみにしております。
AI(アイ)

AI(アイ)

こぬかーめ

studio BLANZ(東京都)

2025/11/22 (土) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 Bチームを拝見。尺は若干長く2時間25分程。然し全く飽きない。オープニング場面こそ、研究所の模様や出演者が、それも所長役が長髪でその髪をポニーテール宜しく後ろで束ねていたり、やや遅れて入って来た研究者たちが何人も白衣を着ていなかったりで聊か調子が狂わされた感を持ったが、各キャラの特徴や好きなことが分かり、可成り早い段階でAI自体がヒトの心を持ったような伏線が敷かれて以降、今作に対する見方が180度変わった。
 現在実際にAIの進歩は日進月歩等というトロイものではなく秒進分歩以上のスピードで開発競争が進捗していると考えるべきであろう。そしていつか進歩したAIがヒトの心のような働きを獲得するかも知れないという想像は、SFファンのみならず多くの方々にも共有されているのではないか? 無論、より慎重に考察するなら現時点でAIが獲得できているのは既存の発表データを網羅・集約したり分析・統合・解釈して表示したり音声で伝えたりすること等で、己の“存在”としての体験を自らの原資として今までに無かったものの見方や想像力を新たに付け加えることは出来ないと考えられる。(追記24日12:55)

ネタバレBOX

 つまり、AIは情報を収集し処理しているということだ。そこに実存としての存在は関わらない。飽くまで電気によって駆動されCPUのような演算装置によって膨大なデータを処理しているに過ぎないから、人間が例えば事業の失敗や失恋、希望の根絶、病による死への恐怖や苦しみ、人間関係の様々な苦悩によって発狂に至る程の悩みに責め苛まれる経験を通して獲得した今迄思いつくことすらなかった精神的地平に気付き新たなものの見方や新たな価値観の発見等をするようなことは、今の処できていないと考え得る。然しこの思考が正しいと自信をもって言い切れる者は多くはあるまい。それほどの大問題を今作は提起しているのである。ひょっとして、と期待していたことが裏切られなかった。尺の長さは以上のような理由で全く問題にならず、最後迄集中して拝見することができた。場転の際暗転して移動式テーブル上に必要な場合はその都度小道具を置いて対応する手際も良い。集中が途切れることもなく、休憩が無いにも関わらず兎に角夢中になって観ることができた。始め学生っぽく思えた演技もアンドロイド、ミコに心の萌芽が芽生えたことが伏線として表現されて以降全く気にならなくなっていたので問題無し。 
 板上は観客席対面に大きなぬいぐるみや地球儀、幾多の小さな人形たち、真ん中にポスト型の貯金箱等が置かれた長方形のテーブル。上手に矢張り大きなぬいぐるみ、人形の他にノート、スマホ、タブレット等々の置かれたテーブルがある。出捌けは主として上手ホリゾントの奥から。ホリゾント裏側が袖。下手は場転で用いるテーブル、小道具類の収納場所として機能するので出捌けは上手が殆ど総てを占める。
 既に記したように今作の素晴らしさは、アンドロイドが心を持つ事態を想定して脚本が書かれていることだと考える。それは単にヒトが他のヒトを恋する場合に対し単に異種との恋というコンセプトで括り切れる事象ではなく、ヒトの心に極めて良く似た而も情報量や情報処理能力に於いては人間を桁違いに上回るAIのような知的産物VSヒトの倫理的問題を含む社会問題として極めて本質的且つ深刻な大問題でもある。本当に優れた作品がこのような事象を具体性を通して描くように今作もアンドロイドがヒトを恋する物語として紡いでいる点がグー。而もこの具体性が今作を単にSF的なお伽噺ではなく、近未来に実際に起こってもおかしくないようなリアリティーを持った物語として着地させている。

お寺でポンポン‼︎

お寺でポンポン‼︎

劇団娯楽天国

ザ・ポケット(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

フライヤーが魅力的。とは言え、この作品、最初と最後が見所かも知れません。2時間を超す芝居。前説で「長い!」と言うだけで無く、具体的に時間を言って欲しかった。

白貝

白貝

やみ・あがりシアター

浅草九劇(東京都)

2025/10/08 (水) ~ 2025/10/19 (日)公演終了

実演鑑賞

やみ・あがりシアターの新作。130分。九劇。10月19日まで。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/11/post-f6ca47.html

お寺でポンポン‼︎

お寺でポンポン‼︎

劇団娯楽天国

ザ・ポケット(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

圧巻!です。もうオープニングからぶったまげました。脚本も演出も演技も満点ですね。舞台にありがちなわかりにくさは一切なく、かといって安易なつくりになってなくて、ほんと、演劇のお手本のような舞台でした。2時間20分という長尺の舞台でしたがまったく長さを感じませんでした。まだ今年1ヶ月ありますが、おそらく今年ベスト5に入るハイクオリティの舞台でした。最高の時間をありがとうございました。劇団さんには感謝しかありません。ありがとうございましたm(_ _)m

何もできない男の子と何も持たない女の子

何もできない男の子と何も持たない女の子

劇場企画タイオン

インディペンデントシアターOji(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いやー、素晴らしかったです。若手の劇団ではダントツですね。オープニングの「しげる」ネタから「脚本家、いいセンスしてるなー」と思いました。というか、エンディングまでセンスの押し売りのようなすごさでした。脚本家の才能とパワーに圧倒されました。ほんと、お世辞抜きに脚本も演技も演出も何もかもすばらしかったです。ロングランで公開してもいいレベルです。ぶっちゃけ、東京芸術劇場とかザ・スズナリあたりでもいけると思います。それと、最後の電飾と垂れ幕でうかつにも涙が出てしまいました。ほんと感動しました。最高の時間をありがとうございました。

喜劇王暗殺

喜劇王暗殺

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

史実からインスパイアされたミステリー風味のワンシチュエーションコメディ。
かなりいい感じで各キャラクターの物語が重なっていきます。

ネタバレBOX

チャップリンが大相撲を見に行ったことまで史実だったとはしりませんでした
お寺でポンポン‼︎

お寺でポンポン‼︎

劇団娯楽天国

ザ・ポケット(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

オープニングで捕まれました。人の話を聞かない奴らばかりで一体どこへ着地するかと思ったら、思いかけずほっこり。クライマックスの仕掛けにもびっくり。

ニュー花園

ニュー花園

早稲田大学演劇研究会

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2025/11/21 (金) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/11/23 (日) 19:00

90分。休憩なし。

リーディング版『春はやて』

リーディング版『春はやて』

虚空旅団

AI・HALL(兵庫県)

2025/11/22 (土) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

川口仁さんが出るはずだった作品
時代はコロナ下
家庭の格差に結婚を反対され別れた末の、娘の登場 や パートナーに協力する理想郷を追い求める男性 そして離婚調停を拒まれている女性と周辺が絶妙に絡まり進む
時間軸はブレることなく、とても分かり安い中で、各々の心境の変化をこれまた絶妙捉えている
仁さんはどの役だった?おそらく…

氷河の果てに

氷河の果てに

虚空旅団

AI・HALL(兵庫県)

2025/11/21 (金) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

流石高橋作品
最後は観客で創造してね〜みたいな作品が多い中、全ての役者(出演者)の最後まで説明頂けたのにスッキリ
リアリティが感じられ、私には刺さりました!

星降る教室

星降る教室

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2025/11/22 (土) ~ 2025/12/01 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

封印された記憶を呼び戻す情感溢れるファンタジー、グッときました。前回のリーディング公演よりも、ブラッシュアップ感がありますね。ちょっと早めのクリスマス感を味わえました。

喜劇王暗殺

喜劇王暗殺

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

喜劇王の“笑い”を愛し
その“笑い”を守るために奔走する姿を描く
ヒューマン・コメディという説明通りに
結構な熱量で駆け抜けた感があった作品
史実に合わせた辻褄合わせに
何か背後に危ない感じがする世の中を
逞しく明るく生き抜いてる感じが
楽しめた舞台でありました

ネタバレBOX

有名なカフェと名前が似てて
それが客数を伸ばしてるので
あえて間違えを正さず
営業をしてる喫茶店内が舞台で
有名人の喜劇王も
その流れで入店するのだが
店に出入りする情報通が電報で
官邸に行くと暗殺されると知らせてきて
必死に店内に留めて
官邸行きを阻止しようとする
ドタバタを描いた話になってました
男女の仲を描いたり
婚活してる占い師さんが来たり
お嬢様に女中ーメイドさんかなーとか
濃い目の登場人物たちが
騒がしくも明るく話を進行していきました

なんとか喜劇王の興味を相撲に向けて
暗殺は防げたのですが
世の中の先行きが戦争という
暗雲に向かいそうと暗示して
終演となります
MOON 全公演終了しました、ご来場ありがとうございました!

MOON 全公演終了しました、ご来場ありがとうございました!

KUROGOKU

シアターシャイン(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

わかりやすい不条理劇で
説明にあった通りに
夫を待ちわびる妻の寂しさを
描いた作品でした
で あってるのだろうか?

ネタバレBOX

舞台美術はモノトーンでカラフル
漫画的な感じで表現されていました
花道的な通路を作り
劇場出入口からも演者が出入りしてました
アンケート用紙有り

プロローグは旦那のモノローグで
アノことが原因でコウなったんですと説明し
本編は軸が夫で家で待つ妻が
待ち人の認識が無くなり
間男氏を向かい入れてしまい
本当の旦那さんがアイディンティティを
模索して彷徨うような話となってくのでした

旦那の母親さんが状況に巻き込まれて
ペット扱いされたり
可燃ごみとして出されたりと
ブラックなコメディパートを担当されてて
受けたなぁって

不倫というか本妻との諍いを目指す
迷惑系のOLさんの設定も面白かった

ラストは全当事者同士が
背中向きに円陣組んで
放射状に10歩歩いて振り向いて
拳銃で撃ち合う決闘をし 暗転ー
住居のマンションの取り壊しの轟音と
重なって 残った奥さんに本当の夫が
後ろにくるも妻の手の中には
銀のトースター以外に銃も持っていて と
終演となるのでした
山吹

山吹

遊戯空間

六本木ストライプスペース(東京都)

2025/10/18 (土) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 ベシミル。本日23日追加公演。(追記24日16:3)

ネタバレBOX

 妖話会の5作目公演、桐生市での公演を終え、東京での公演は六本木ストライプハウスで行われている。この会場は上演空間に会場上からの階段がニュッと突き出ている。この階段と四国修善寺にある画家のアトリエに見立て敷物の敷かれた(絨毯と解しても良かろう)空間が今作の上演に係る空間である。階段下の空間には、楽器奏者、設楽 瞬山さんが座り敷物のある空間が主たる演技空間、階段の対面にナレーターが立ち、ナレーション及び画家の台詞を担当する。敷物とナレーターとの間の床部分には画家の作品群が並べられている。この劇空間の対面階段の更に奥が袖。出捌けはこの袖一カ所である。アトリエと袖に挟まれた空間が庭という想定で池がある。このように設定された長方形の劇空間を挟むように観客席。
 上演作品は泉 鏡花の「山吹」、構成・演出は篠本 賢一さん。彼は人形師も演ずる。縫子役には加藤 翠さん(和服で出演)。巡礼で有名な四国は空海が往時に関ったとされる場所が多く残り現在も実在している物も在る。舞台となる修善寺もこの一つで空海創建の寺と言われる。
 篠本氏の演技は流石に技術の高いもので、人形師の若い頃に侵した罪障が彼の内側から彼を苛み続け荒れ狂う力に心休まる瞬とてない様を、彼の良心と罪の意識との葛藤する様を、鏡花独特の美意識に貫かれた言語表現との鬩ぎ合いに対峙させようと身体化を図っているような演技に結実させている。酒を呑むシーンでは、一気に呷るように呑むが酒量はさほど多くは無い。然し痩せさらばえた身、歳も取っている上に乞食同然の暮らしぶりが伺われるから効くことは確かだろう。而もこのような身体で出会った縫子に頼むのは打ち据えられること、血を流すまでかんぷ無きまで叩きのめされることなのだ。縫子は子爵の妻であったが、舅、子舅らに責められ豊かな実家の財産を奪われる生活に完膚なきまでに叩きのめされ子爵家を出帆したのであった。そして娘の頃初めて恋の焔に焼かれた相手であった画家にここで出会った。娘の頃の心情、己の恋の在り様迄つぶさに語り死を望んでいることさえ告げた。然し画家は、彼女が死ぬことを諫めた。既に通常の生き方では己の罪障に耐えられなくなっていた人形師は、縫子の折檻だけが自らの罪障意識から精神を休ませることを告白した。縫子は漸く自らの生き得る道を見出し死を求めることを止め、池で死に腐りかけていた鯉を肴に人形師と祝言の盃を交わす。
 実質、既に挙げた篠本氏の演技と加藤さんの女性らしいたゆたうようなある種自由を湛えた演技が腐りかけた鯉を共に食べる覚悟と絡み、二人の演技にナレーションと画家の台詞を述べる中村 ひろみさんの声が被さる。演奏の設楽さんが作品の流れに応じた極めてセンスの良い演奏で効果を高める。いつもながら完成度の高い作品だ。

『人の香り』『他人』

『人の香り』『他人』

Pカンパニー

西池袋・スタジオP(東京都)

2025/11/20 (木) ~ 2025/11/26 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いずれも現代的な作品で女性的な感性(今の時代はこういう表現も躊躇されるが)が煌めく佳作。タイトルが意味深。その意味は観てみないとわからない。むしろ、タイトルをキーワードにして作品を読み解いてみるという鑑賞スタンスが良いかも。
・洗濯物を畳む作業が全然進まない。あれだけ時間をかけてちゃんと畳んだのはバスタオル2枚?
・ダブルをわざわざクィーンと言い換えさせるところはリアリティの追求が妙に細かい。時計が落下したが、ああいう留め方だったのか。

『はりこみ』

『はりこみ』

殿様ランチ

駅前劇場(東京都)

2025/11/12 (水) ~ 2025/11/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/11/13 (木) 14:00

手配犯が訪れるかもしれないかつての交際相手である女性の部屋が見える部屋で張り込みをする刑事たちを中心とした物語、7年ぶりの再演。
以前観た時同様、各人物の造形が的確かつ細やかで劇中で語られない背景まで思い浮かぶようにリアリティがあり。もちろん現実の張り込みなど知らないが「あんな会話や出来事があるのかもなぁ」な説得力が秀逸。
そこにサスペンス要素のみならず程よい笑いもまぶしてさらに引き戸とドアが両立する装置のギミックまで備えて完璧では?
何年か経ってそこそこ忘れた頃にまた観たい秀作。

星降る教室

星降る教室

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2025/11/22 (土) ~ 2025/12/01 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/11/22 (土) 18:00

ラジオドラマの舞台化だが、景色が立ち上がってより深い作品になっていた。(2分押し)64分。
 主宰で作・演出の吉田小夏が、2016年にNHKラジオドラマとして書き下ろした作品を自劇団で2024年にリーディング公演(観ている)、同じメンバーで今回舞台化した。演技と言うよりムーヴィングとでもいう感じの作劇だが、リーディングでは観客に想像させる部分が大きいように思ったが、今回はより場面が立ち上がって、説得力のある作品になっていたように思う。心優しく帰れる芝居だった。

密夜譚

密夜譚

feblaboプロデュース

RAFT(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

『金の惑星』を観劇。

美術が簡素なのは、公演規模、劇場の大きさから仕方ないとしても。
衣装が残念に感じた……のですが、これは僕の見落としだ。
へたにSFだからと、安っぽいコスプレ感になるくらいなら、このガールズのパジャマパーティって感じで統一したのは一つの手ではあるなって。観て一日たってから気付く。

始まってしばらくは、わちゃわちゃとしたコメディ感ですが。
銀河鉄道が宇宙に漂流して、一人だけ助かる、誰を選ぶか。
その問答が始まってからは、どんどん落ちていく照明とともに、色んな主張が展開。

全てがうまくいってるわけじゃないけど、きっと作り手の感じ方や思索が、真摯に表明されてると思えた。
ラストは蛇足かもしれない……けど、安直だとしてもあのエンドにしたのは、心の光かなって。

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