
真夜中に挽歌
Y.T.connection
上野ストアハウス(東京都)
2025/11/20 (木) ~ 2025/11/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
文学座から『太陽にほえろ!』の主人公に抜擢されてブレイクした若き松田優作。多忙な裏で同期を集めて劇団F企画を作演出で主宰。劇団解散後も、3本の舞台を個人プロデュース。朴李蘭名義だった為知る人ぞ知る話。文学座付属演劇研究所12期生の同期であった野瀬哲男氏とは一生を通じて付き合う兄弟のような関係。1978年11月初演の今作は唯一脚本が残っているものだそうだ。当時主演、とおる役を務めた野瀬哲男氏が演出に回る。
松田美由紀さんのビデオメッセージからスタート。松田優作の唯一無二の魅力はエネルギーだと話す。彼よりも演技が巧い人、ルックスが良い人は幾らでもいるが、彼のようなエネルギー、人に何かを伝えようとするエネルギーが溢れているような人はいないと。自分が松田優作に夢中になったのもそれかも知れない。作品以上のものを提供しようとする有り余るエネルギー。勝新もそうだけれど100で充分の作品に無理矢理1億ぶっ込もうとする。その溢れ返った余剰なエネルギーに心酔するのかも。
冒頭、松田優作っぽい男(上西雄大氏)が無言でステージから客席へと通り過ぎる。
青森から上京して一ヶ月、自動車整備工場で働く青年
とおる(船津祐太氏)。殺風景な倉庫を改装して暮らしている。鎮座したピカピカのバイク。何処からか船の運航する音が聴こえる。やって来た関東狂走連合京浜支部リーダーのジョージ(徳田皓己〈こうき〉氏)とその情婦ハクラン(世森響〈よもりひびき〉さん)。ディスコで知り合った都会に憧れる田舎もんを食い物にしようと企んでいる。ダセえ世間知らずの素朴な田舎もん、東北訛りの腰抜けに現実分からせてやる。
ジョージ186cm、とおる182cm、モデルの世森響さんと、手脚が長いスタイリッシュなダンスが映える。必殺シリーズを現代に置き換え漫画化した「ブラック・エンジェルズ」みたいなルックス。
映画を判ってる人間の作る舞台。しょぼい嘘がない。安っぽい誤魔化しがない。
場内に流れる松田優作の歌がかなり良かった。これは一度ちゃんと聴いた方がいいかも。
船津祐太氏は魅力的な役者。
是非観に行って頂きたい。

山吹
遊戯空間
六本木ストライプスペース(東京都)
2025/10/18 (土) ~ 2025/11/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い。泉鏡花原作「山吹」の独特の世界観を見事に表しており観応え十分。心地良い緊張感に包まれた舞台空間、そこに妖しげな物語が描かれる。まさしく「妖話会」に相応しい話。キャストは3人(篠本賢一サン、中村ひろみサン、加藤翠サン)、その少ないメンバーによる濃密な会話が観客の心を捉えて離さない。
原作の魅力もあろうが、物語に登場する人物の心情が切々と伝わり、その情景/状況を生演奏(設楽瞬山サン)が支える。また この会場の特徴を活かした演出が余韻を残す。物語全体の世界観というか情景は上演前から既に始まっており、その雰囲気作りが実に上手い。客席配置は観客をも劇中の民衆として取り込むような工夫であろう、その没入感に浸る。
(上演時間1時間40分)

AI(アイ)
こぬかーめ
studio BLANZ(東京都)
2025/11/22 (土) ~ 2025/11/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
Bチームを拝見。尺は若干長く2時間25分程。然し全く飽きない。オープニング場面こそ、研究所の模様や出演者が、それも所長役が長髪でその髪をポニーテール宜しく後ろで束ねていたり、やや遅れて入って来た研究者たちが何人も白衣を着ていなかったりで聊か調子が狂わされた感を持ったが、各キャラの特徴や好きなことが分かり、可成り早い段階でAI自体がヒトの心を持ったような伏線が敷かれて以降、今作に対する見方が180度変わった。
現在実際にAIの進歩は日進月歩等というトロイものではなく秒進分歩以上のスピードで開発競争が進捗していると考えるべきであろう。そしていつか進歩したAIがヒトの心のような働きを獲得するかも知れないという想像は、SFファンのみならず多くの方々にも共有されているのではないか? 無論、より慎重に考察するなら現時点でAIが獲得できているのは既存の発表データを網羅・集約したり分析・統合・解釈して表示したり音声で伝えたりすること等で、己の“存在”としての体験を自らの原資として今までに無かったものの見方や想像力を新たに付け加えることは出来ないと考えられる。(追記24日12:55)

お寺でポンポン‼︎
劇団娯楽天国
ザ・ポケット(東京都)
2025/11/19 (水) ~ 2025/11/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
フライヤーが魅力的。とは言え、この作品、最初と最後が見所かも知れません。2時間を超す芝居。前説で「長い!」と言うだけで無く、具体的に時間を言って欲しかった。

白貝
やみ・あがりシアター
浅草九劇(東京都)
2025/10/08 (水) ~ 2025/10/19 (日)公演終了
実演鑑賞
やみ・あがりシアターの新作。130分。九劇。10月19日まで。
https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/11/post-f6ca47.html

お寺でポンポン‼︎
劇団娯楽天国
ザ・ポケット(東京都)
2025/11/19 (水) ~ 2025/11/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
圧巻!です。もうオープニングからぶったまげました。脚本も演出も演技も満点ですね。舞台にありがちなわかりにくさは一切なく、かといって安易なつくりになってなくて、ほんと、演劇のお手本のような舞台でした。2時間20分という長尺の舞台でしたがまったく長さを感じませんでした。まだ今年1ヶ月ありますが、おそらく今年ベスト5に入るハイクオリティの舞台でした。最高の時間をありがとうございました。劇団さんには感謝しかありません。ありがとうございましたm(_ _)m

何もできない男の子と何も持たない女の子
劇場企画タイオン
インディペンデントシアターOji(東京都)
2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
いやー、素晴らしかったです。若手の劇団ではダントツですね。オープニングの「しげる」ネタから「脚本家、いいセンスしてるなー」と思いました。というか、エンディングまでセンスの押し売りのようなすごさでした。脚本家の才能とパワーに圧倒されました。ほんと、お世辞抜きに脚本も演技も演出も何もかもすばらしかったです。ロングランで公開してもいいレベルです。ぶっちゃけ、東京芸術劇場とかザ・スズナリあたりでもいけると思います。それと、最後の電飾と垂れ幕でうかつにも涙が出てしまいました。ほんと感動しました。最高の時間をありがとうございました。

喜劇王暗殺
トツゲキ倶楽部
「劇」小劇場(東京都)
2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
史実からインスパイアされたミステリー風味のワンシチュエーションコメディ。
かなりいい感じで各キャラクターの物語が重なっていきます。

お寺でポンポン‼︎
劇団娯楽天国
ザ・ポケット(東京都)
2025/11/19 (水) ~ 2025/11/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
オープニングで捕まれました。人の話を聞かない奴らばかりで一体どこへ着地するかと思ったら、思いかけずほっこり。クライマックスの仕掛けにもびっくり。

ニュー花園
早稲田大学演劇研究会
早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)
2025/11/21 (金) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

リーディング版『春はやて』
虚空旅団
AI・HALL(兵庫県)
2025/11/22 (土) ~ 2025/11/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
川口仁さんが出るはずだった作品
時代はコロナ下
家庭の格差に結婚を反対され別れた末の、娘の登場 や パートナーに協力する理想郷を追い求める男性 そして離婚調停を拒まれている女性と周辺が絶妙に絡まり進む
時間軸はブレることなく、とても分かり安い中で、各々の心境の変化をこれまた絶妙捉えている
仁さんはどの役だった?おそらく…

氷河の果てに
虚空旅団
AI・HALL(兵庫県)
2025/11/21 (金) ~ 2025/11/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
流石高橋作品
最後は観客で創造してね〜みたいな作品が多い中、全ての役者(出演者)の最後まで説明頂けたのにスッキリ
リアリティが感じられ、私には刺さりました!

星降る教室
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2025/11/22 (土) ~ 2025/12/01 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
封印された記憶を呼び戻す情感溢れるファンタジー、グッときました。前回のリーディング公演よりも、ブラッシュアップ感がありますね。ちょっと早めのクリスマス感を味わえました。

喜劇王暗殺
トツゲキ倶楽部
「劇」小劇場(東京都)
2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
喜劇王の“笑い”を愛し
その“笑い”を守るために奔走する姿を描く
ヒューマン・コメディという説明通りに
結構な熱量で駆け抜けた感があった作品
史実に合わせた辻褄合わせに
何か背後に危ない感じがする世の中を
逞しく明るく生き抜いてる感じが
楽しめた舞台でありました

MOON 全公演終了しました、ご来場ありがとうございました!
KUROGOKU
シアターシャイン(東京都)
2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

山吹
遊戯空間
六本木ストライプスペース(東京都)
2025/10/18 (土) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

『人の香り』『他人』
Pカンパニー
西池袋・スタジオP(東京都)
2025/11/20 (木) ~ 2025/11/26 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
いずれも現代的な作品で女性的な感性(今の時代はこういう表現も躊躇されるが)が煌めく佳作。タイトルが意味深。その意味は観てみないとわからない。むしろ、タイトルをキーワードにして作品を読み解いてみるという鑑賞スタンスが良いかも。
・洗濯物を畳む作業が全然進まない。あれだけ時間をかけてちゃんと畳んだのはバスタオル2枚?
・ダブルをわざわざクィーンと言い換えさせるところはリアリティの追求が妙に細かい。時計が落下したが、ああいう留め方だったのか。

『はりこみ』
殿様ランチ
駅前劇場(東京都)
2025/11/12 (水) ~ 2025/11/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/11/13 (木) 14:00
手配犯が訪れるかもしれないかつての交際相手である女性の部屋が見える部屋で張り込みをする刑事たちを中心とした物語、7年ぶりの再演。
以前観た時同様、各人物の造形が的確かつ細やかで劇中で語られない背景まで思い浮かぶようにリアリティがあり。もちろん現実の張り込みなど知らないが「あんな会話や出来事があるのかもなぁ」な説得力が秀逸。
そこにサスペンス要素のみならず程よい笑いもまぶしてさらに引き戸とドアが両立する装置のギミックまで備えて完璧では?
何年か経ってそこそこ忘れた頃にまた観たい秀作。

星降る教室
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2025/11/22 (土) ~ 2025/12/01 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/11/22 (土) 18:00
ラジオドラマの舞台化だが、景色が立ち上がってより深い作品になっていた。(2分押し)64分。
主宰で作・演出の吉田小夏が、2016年にNHKラジオドラマとして書き下ろした作品を自劇団で2024年にリーディング公演(観ている)、同じメンバーで今回舞台化した。演技と言うよりムーヴィングとでもいう感じの作劇だが、リーディングでは観客に想像させる部分が大きいように思ったが、今回はより場面が立ち上がって、説得力のある作品になっていたように思う。心優しく帰れる芝居だった。

密夜譚
feblaboプロデュース
RAFT(東京都)
2025/11/19 (水) ~ 2025/11/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
『金の惑星』を観劇。
美術が簡素なのは、公演規模、劇場の大きさから仕方ないとしても。
衣装が残念に感じた……のですが、これは僕の見落としだ。
へたにSFだからと、安っぽいコスプレ感になるくらいなら、このガールズのパジャマパーティって感じで統一したのは一つの手ではあるなって。観て一日たってから気付く。
始まってしばらくは、わちゃわちゃとしたコメディ感ですが。
銀河鉄道が宇宙に漂流して、一人だけ助かる、誰を選ぶか。
その問答が始まってからは、どんどん落ちていく照明とともに、色んな主張が展開。
全てがうまくいってるわけじゃないけど、きっと作り手の感じ方や思索が、真摯に表明されてると思えた。
ラストは蛇足かもしれない……けど、安直だとしてもあのエンドにしたのは、心の光かなって。