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『ポストグラフ』【中止】

『ポストグラフ』【中止】

劇団月光斜

立命館大学衣笠キャンパス学生会館1階小ホール(京都府)

2024/04/18 (木) ~ 2024/04/20 (土)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

拝見したかったが、最終日の公演が中止とのこと。
ですが…映像を限定配信されているので、拝見しました。
とっても『ポストグラフ』でした。
衣装も世界観もとてもよく表現されていました。
とても良かったです。

鬼啖

鬼啖

troupe▲antLion

東日本橋A-Garage(東京都)

2024/05/09 (木) ~ 2024/05/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/11 (土) 12:00

かつて芸術集団れんこんきすたで上演された奥村千里による衝撃の二人芝居。

まず思ったことは奥村千里の戯曲は濱野和貴の尽力によりこのtroupe▲antLionで上演を引き継がれているが、やはり素晴らしい作品が多い。それだけに主宰だった中川朝子の不実によってれんこんきすたが解散せざるをえなかったことが無念でならない。
なにしろ奥村は作者としては日本劇作家協会の新人戯曲賞で最終審査に残った6人のうちの一人だった(対象作「Gloria」は審査員の坂手洋二や渡辺えり子の評価は大きかったが、実際には上演されていたにも関わらず「これって上演するの無理でしょう」という理不尽な理由で受賞を逃したのだった)し、演出家としても日本演出者協会の若手演出家コンクールで一次審査を通っていたのだ(二次審査が「木立によせて」となり、これは演者の力不足が大きかった)。

閑話休題、トリプルキャストの内のAチーム(町田恵理子&小松崎めぐみ)を鑑賞。定刻に開演。上演時間80分。
ただ12時開演(11時半開場)に間に合わせるにはかなり早く自宅を出ねばならず、朝食抜きで出たために、入場後のポップコーン食べ放題が有難かった(笑)。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

山間の村で捉えられた人を喰らう鬼とそれを折伏して欲しいと頼まれた旅の尼僧との息詰まる会話劇。その対決の中で明かされる尼僧の過去を通じて、念と業と罪と祈りとを深く考えさせた。

最初に尼僧(町田)と縛られている鬼女(小松崎)とが対峙する時に、鬼女が多少身を引き気味に感じられ、その分村人や人間に対する恨みの念が弱いように思えたのだったが、終盤でそれが活きてきた。

小松崎のメイクは大きな傷や腫れあがった右目など村人から痛めつけられた様が痛々しいが、それに反して歯が真っ白なのが気になった。歯をもっと汚すべきだった。
れんこんきすたでの上演時は亀甲縛りにするために専門の緊縛師に習いに行ったとのことで、終演後も簡単には解けないようにされていたが、今回はそこまでのことはなく軽く縛っただけだったようだ。

それにしても町田の尼僧姿の美しいことといったら。高貴ささえ湛えて、まさに後光が指しているようだった。
それだけに武家の娘だった時に許婚を女中に奪われた悔しさを語るときの悲痛さが痛々しく伝わってきた。
因みに茣蓙のところで草履を脱ぐ仕草がとても良かったのは川田ももによる所作指導の賜物か。

緊迫した濃密な空気感に満ちた舞台だった。
白狐伝

白狐伝

SPAC・静岡県舞台芸術センター

駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場(静岡県)

2024/05/03 (金) ~ 2024/05/06 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「アウトサイダーの嘆き」

 岡倉天心が1913年に亡くなる直前に書いた唯一の戯曲を宮城聰が劇化した。「ふじのくに野外芸術フェスタ2024」の新作である。

ネタバレBOX

 舞台上には上下に御簾の掛かった演奏スペースが設置され、草花の意匠をあしらった衝立が目につく。真ん中の衝立の向こうから現れた美加理演じる狐のコルハは、口に青く光る魔法の玉を咥えている。SPACの劇団員による演奏も相まり、白皮の狐姿の美加理は愛らしくも妖しく我々を劇世界へといざなう。

 魔法の玉の力を狙う悪右衛門(動き:貴島豪/語り:吉植荘一郎)は、歌舞伎や京劇を思わせるようなメイクで強いインパクトを与える。悪右衛門一味の放った矢で負傷し窮地のコルハは、土地の領主である保名(動き:大高浩一/語り:若菜大輔)に助けられる。このあたりでいよいよ宮城がコルハの語りで物語に加わり客席が湧いた。

 保名は許嫁の葛の葉(動き:美加理/語り:宮城聰、共に二役)と彼女の誕生日を祝っているところを、葛の葉に横恋慕する悪右衛門一味に屋敷を侵略され、彼女を奪われてしまう。野外劇場の舞台機構をフルに使った軍勢や立ち回りは見ごたえがあった。葛の葉の破れた片袖を握ったままさまよい歩く保名を救うため、コルハは葛の葉そっくりに姿を変え保名を山中の隠れ家に匿う一方、悪右衛門を罠にかけ崖から突き落とす。

 葛の葉に姿を変えたコルハは保名とのあいだに生まれた幼子を育てながら静かに暮らしていたが、ある日保名の留守中に家の前を通った巡礼の一隊から、保名を探すことを諦めた葛の葉が明日剃髪することを知らされる。恐れおののくコルハを美加理の動き、宮城の語りが絶妙なコンビネーションで表現しここが一番の見ごたえがあった。心を決めたコルハは保名に万感を込め最後の願いを告げる。

 昨年の『天守物語』同様に人間界と自然界の対立と調和に通じる作風ながら、本作が特徴的なのは人間にも狐にもなりきれないのコルハのアウトサイダーとして嘆きである。古典芸能の世界で散々描かれてきた世界に、現在私たちが直面している人種間やジェンダーなど、さまざまな状況を重ねて観られる、きわめて間口の広い上演であった。

喝采は星の彼方に

喝采は星の彼方に

シニア演劇ネットワーク

駅前劇場(東京都)

2024/05/10 (金) ~ 2024/05/13 (月)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

『BIGGER BIZ』

『BIGGER BIZ』

自由劇場

シアター300(神戸大学国際人間科学部 大講義室)(兵庫県)

2024/04/17 (水) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

私は前日に拝見したのですが、奥さんもお友達と千秋楽観劇したそうで…
メッチャ面白かった。学生演劇お初のお友達も大興奮だったご様子でとても楽しかった、との事。

ただ奥さん的には最初の展開の速さ、健三の縦横無尽ぶりについていけなかったとの事。確かにそれはありますよね。
でも奥様&友達ともに面白かったのは面白かった様です!

九十九の彼岸花

九十九の彼岸花

学園座

関西大学・千里山キャンパス内KUシンフォニーホール(大阪府)

2024/04/19 (金) ~ 2024/04/20 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

此岸パート千秋楽観劇。
陰陽師·安倍家は息子を助けるため、死神との協定を…
此岸では次々呪い殺され三途の川底へ!?

大人数でのオリジナル冒険活劇、面白かった😆
舞台美術や設定も凝っていて見せ場も考えられてて、良かった👍
ただ話は凝っているのだが…盛り上げ方や見せ方がやや単調なので損をしている感じ、もう一捻りすれば完璧✌️?

ネタバレBOX

設定や話の展開はとても凝っているのだが、話の持って行き方がスーッと流れていく気が…?
学園座さんのオリジナル脚本を見るたび、何かが足りない気がして、とても勿体ない気がする。
深い森のほとりで

深い森のほとりで

秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場

紀伊國屋ホール(東京都)

2024/05/10 (金) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/14 (火) 14:00

座席1階

ウイルスの基礎研究にまい進する女性科学者の物語。日本の女性の研究者たちが、男性が多い大学の研究環境の中で不当に見下されている現状や、「選択と集中」という名の下に文部科学省が研究費を差配し、すぐに成果が明らかにならない基礎研究に冷淡な状況など、よく取材されている。

休憩を挟んで2時間半は少し長いな、と思ったが、冗漫にはなっていない。後段ではコロナ禍での研究開発の流れなども織り込んであって、リアリティーがあった。
物語は、バングラデシュの奥地で人道支援に当たる若者が、原因不明のウイルス禍で感染してしまうという設定で、そのウイルス研究に没頭する女性たちを対比させている。ゲノム解析には成功するが、すぐに薬剤ができるわけではない。そうした現実も、この舞台では丁寧に描いてあった。このような基礎研究を結実させた薬剤を開発して途上国に提供することで日本の国際的な地位が向上するだろうとか、科学技術で貢献する外交を進めていけば戦争にはならないだろうとか、対米追従で武器ばかり買っている日本外交の強烈に皮肉るせりふが飛び出してくるところは、青年劇場の真骨頂だろう。
優秀な研究者が非常勤で契約をばっさり切られかねない不安定な状態にあるというところもきっちり盛り込んであって、世界と争って高めていくべき日本の技術開発の脆弱性も突いている。

五嶋佑菜ら若手俳優も重要な役どころをきっちり演じ、歴史ある青年劇場も次世代に向かっているところを目撃する。納得の舞台だった。

『阿房列車』『思い出せない夢のいくつか』

『阿房列車』『思い出せない夢のいくつか』

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2024/05/08 (水) ~ 2024/05/15 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/12 (日) 10:30

「思い出せない夢のいくつか」
アゴラ劇場サヨナラ公演もあと3日を残すところとなり、建物外観の写真を撮る人が目につく。
大人3人の夜行列車の旅。
木製の座席とランプの灯りが、”大人の銀河鉄道の夜” を柔らかく見せる。

ネタバレBOX

芸能人の女性、ベテランマネージャーの男性、それに若い付き人の女性の3人が
夜行列車の座席に座っておしゃべりしている。
星座の話、結婚式の話、煙草を吸いに行ったら変な乗客がいた話など。
付き人の女性が星座盤を持っていること、鳥捕りや灯台守など、
「銀河鉄道の夜」のエピソードがいくつも織り込まれ
この列車はひょっとして、死者を乗せているのかと思ったりする。
あるいは死にゆく人を乗せているのかと・・・。

会話の ”間” は、信頼関係の度合いを表すものだが、
彼らのそれは緊張感を伴うものの、苦痛は感じない。
この静けさとテンポが、心地よかった。

駒場東大前というこの駅、この街、この商店街が好きだったなあと思う。
アゴラ劇場が無くなるなんて、考えもしなかった。
だがこの芝居のように、全ては夢のごとく過ぎ去って、
私たちは皆いつか、銀河鉄道の乗客となるのだろう。

ありがとう、さよなら、アゴラ劇場・・・。

Four Hearts

Four Hearts

トランク企画

アバンギルド(京都府)

2024/05/09 (木) ~ 2024/05/10 (金)公演終了

満足度★★★★★

とても面白かった 客席も大盛り上がり❗ スリランカ風の部屋といった設定には演者もビックリだったと思うが、流石プロといった感じでした 次も是非

いつかの交差点で、僕たちは異次元の希望を探す

いつかの交差点で、僕たちは異次元の希望を探す

kazakami

スタジオ空洞(東京都)

2024/05/05 (日) ~ 2024/05/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「当事者」と言って良い30前後の登場人物の視点から、現下の少子化問題の諸要素を網羅していた
細かい場面をうまくつないでいおり、転換のテンポが良かった
リーディングでも一々前に出て「演ずる」ので変化もあり、 キャストの表情もはっきり見えて良かった
そのキャストの表情、リーディングにはもったいないくらい生き生きしていた
花火のメタファーが効いていた
第2場が説明的になりすぎていたのと、井口と江の会気で不自然に「正直」が多すぎたこと、飲食店での注文がやや唐突だったことが引っかかった点かな
当該世代が「これが問題」と思うのがどういう点かは浮き彫りにされて、シングル貫きそうな30代娘ふたりの親は耳が痛い点もあったが、やっぱり解決策は分からないねぇ

除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。

除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。

キ上の空論

新宿シアタートップス(東京都)

2024/05/09 (木) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

新たな3部作という事で、1部見てませんが2部見てきました。

感想は私の主観です
キャスト、芝居、間合いなどどれも悪くない、いやむしろイイ方かもしれないのに…
なぜか消化不良な感じします
新たな作品と宣伝しておきながら、ピーチanother sideの様な作品でした。
ピーチの再現にもかなりの時間費やしており
途中これはピーチ2の焼き直しなのか??みたいな感じです
色々な制限がある中、出来ない難しい表現をわざわざ入れて意味あるのみたいなシーンも多かった気がする。
小便シーンなんて本当に意味わかりませんもん

天の秤

天の秤

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2024/03/29 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

「客席をハイジャックする歴史劇」

 1970年3月31日に発生した日本赤軍によるよど号ハイジャック事件に取材した作品である。2022年に新型コロナウイルスのため上演中止になった公演のリベンジとなった。

 客入れでかかるサイモン&ガーファンクルの曲が往時を思わせ、機内アナウンスを模した上演前の案内が客席を劇世界へといざなう。楽園の二面舞台最奥を操縦席に見立て、そこから対角線上を飛行機内と見立てることで、客席がハイジャック犯に占拠されたかのような気持ちにさせる空間設計がまずうまい。

ネタバレBOX

 機長の石田真二(祥野獣一)と副操縦士の江崎悌一(北川サトシ)により運航されていた日本航空351便は、赤軍派を名乗る田宮貴麿(杉浦直)らによってハイジャックされ、北朝鮮へ向かうことを強いられる。客室乗務員の神木広美(秋月はる華)は乗客の命を最優先に他の客室乗務員と奮闘するが、新米の植村初子(吉永雪乃)はオロオロするばかり。その頃地上では日本航空専務の斎藤進(高橋亮次)が対応に苦慮するなか、運輸大臣の橋本登美三郎(齊藤圭祐)の代わりに政務次官の山村新治郎(山村鉄平)が自ら人質になることを申し出る。しかし山村には他に隠している家庭内の苦慮があった。

 事件にかかわった人物を実名で舞台にあげた勇気には感服したが、この上演を通して伝えたいテーマが見えてこないため、調べたことをただなぞっていたようになってしまった点が残念である。また状況の変化がすべて台詞で説明されてしまうため劇的な効果を殺いでしまっていた。さらに機内の様子や航空会社、関係省庁や議員が行く末を見守る様子に加え、乗組員のプライベートの描写が入ってきたことで情報が錯綜し、観ていて混乱した。いっそ機内の様子に的を絞ったほうがより緊迫感が増しただろうに残念である。

 俳優は皆健闘していたが、説明的な台詞のために深い共感を呼ぶようなものが少なかったのも残念な点である。そんななかでも実行犯に一時的に共感する様子を見せる沖宗陽子を演じた岡田さくら、冷静な指導教官深澤聡子を演じた下平久美子が印象に残った。
新生!熱血ブラバン少女。

新生!熱血ブラバン少女。

博多座

博多座(福岡県)

2024/04/06 (土) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/04/13 (土) 16:00

*

千と千尋の神隠し

千と千尋の神隠し

東宝

博多座(福岡県)

2024/04/27 (土) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/04/28 (日) 12:00

*

いつかの交差点で、僕たちは異次元の希望を探す

いつかの交差点で、僕たちは異次元の希望を探す

kazakami

スタジオ空洞(東京都)

2024/05/05 (日) ~ 2024/05/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/05 (日) 13:00

少子化を筆頭とした家族/家庭の問題に関する会話のスケッチ集……であるがシンポジウムや討論会のように大上段に振りかぶった堅苦しいものではなく、飲みの席や終業後の職場などでのものなのでカジュアルでとっつき易く大胆な説(ってか暴論?(笑))まで出てあれこれ考えさせられる。
また、複数の場での会話だが場が代わる度に舞台上手にその場の情景画像を掲示し、演者が上衣や眼鏡の脱着で人物の違いを表現するのもイイ。(とか言って気付くのが遅れてしばし戸惑ったが(爆))
さらにそれまで併走していた各場が終盤で「花火」によって一つに収束してゆくのが巧いしドラマとしてのまとめ方として好み。

609号室からの脱出/ 口を開け、息だけを吐け

609号室からの脱出/ 口を開け、息だけを吐け

演劇集団nohup

RAFT(東京都)

2024/05/11 (土) ~ 2024/05/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

演劇集団nohup&劇団よけいの事 の2団体によるコラボ公演。公演は4回だけだが、すべて満席(完売)。勿論 作・演出は別々だが、どちらの作品も基本は会話劇。当日パンフに nohup主宰の朝比奈史樹 氏が「約10年ぶり、大学以来となる志島との合同公演」と記している。どちらも会話劇だが、ラストの観せ方が違うため印象は全然異なる。

まず「609号室からの脱出」は、登場しないヒロインが2人の男をラブホテルに閉じ込めて といったコミカル調の物語。ラストは、そのような状況になった事情などの謎解きと脱出を…。一方 「口を開け、息だけを吐け」は、今事情を反映させた内容で 途中からサスペンスミステリー調になる。ラストは観客に問い掛けるような。端的に言えば「609号室からの脱出」は人間ドラマ、「口を開け、息だけを吐け」は社会(世間)ドラマといった印象を受けた。その違いをコラボ公演として観せる好企画。

チラシ(裏面)に あらすじが書かれており、「609号室からの脱出」は 2人の男がラブホテルの一室で交わすチグハグな会話、その漂流するような内容から夫々の境遇と状況が浮き上がる。「口を開け、息だけを吐け」は、当日パンフに 劇団よけいの事 主宰の志島はこ さんが「6年ぶりの作演となり、その間に世は刻々とナイーヴになり、様々な痛みが可視化され続けている。本作は器用に生きられない人々の痛みを描いている」といった旨を記している。勿論 コロナ禍のことで、不寛容な世の中になったことを意識しているだろう。息を吐け どころか生き苦しさがしっかり描かれた作品。

因みに、演劇集団nohupは「サイボーグ会社員 美々美」で グリーンフェスタ2024 優秀賞を受賞した新進の劇団。今後 注目していきたい。
(「609号室からの脱出」50分、「口を開け、息だけを吐け」60分 転換兼休憩5分) 追記予定 

雨降りのヌエ

雨降りのヌエ

コトリ会議

扇町ミュージアムキューブ・CUBE05(大阪府)

2024/03/09 (土) ~ 2024/03/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「待ちわびていない兄の再来」

 扇町ミュージアムキューブのオープニングラインナップとしてまるまる1ヶ月、さまざまな企画を詰め込み劇団が総力をあげて取り組んだ公演である。

ネタバレBOX

 全4話からなる『雨降りのヌエ』は、長兄の四宮幸人が亡くなった2124年10月5日の21時に弟妹に起きた出来事を描いている。どの話にも共通して、客入れの挨拶を終えた若旦那家康が「私は死にました」と舞台に上がると物語が始まり、「兄」として物語に介在し続ける特徴がある。

「第夜話 縫いの鼎」は4番目に生まれた次女の優香理(三ヶ日晩)と夫の壮太(山本正典)が離婚届に判を押そうとすると、横から兄がくまさん判子を押してきて妨害する様子をコミカルに描く。二人とも幸人が亡くなったことはわかっているし、その場に立ち妨害行為をしてくる点も納得済みであるというところがこの物語の奇妙な点である。優香理は幸人の葬式に行こうとしているが、急に兄思いになった彼女の異変を壮太は見逃さない。どうやら家族にとって兄は邪険の対象だったことがここで示唆される。壮太の不倫を疑う優香理は葬式に行こうとしない彼を咎め、やがて矛先は兄へと……互いの腹を探ろうとする言葉少なな問いかけの応酬と、電動ケトルで湯を沸かす音でできる間が、この夫婦の心情を台詞以上に物語っていて面白い。

 急にSF色が濃くなる「第空話 盗んだ星の声」は、火星へと旅立つ宇宙船での珍事を描く。末弟の和(吉田凪詐)と並んでの宇宙船の最低客席に寝転ぶ友人の高橋隆也(まえかつと)は、傍らにいる兄がずっと自分たちを眺めている様子を気味悪がっている。3年かかる航路の最中は冷凍冬眠が必要のようで、あらかじめ必要な薬剤を渡されたのだが、英語の取扱説明書が読めない高橋は薬剤を全て飲んでしまい体が硬直しかかりパニックに陥っている。地球に何の未練もない二人のヤケクソ、体を固めた状態で寝場所を行き来する様子は面白かったが、ちょっと元気過ぎるように見えた。

「第蓋話 糠漬けは、ええ」は幸人のすぐ下の弟の康雄(大石丈太郎)が営む占いの館「きら星」が舞台である。息を吸うようにぬか漬けを食べる訪問者の楓智子(川端真奈)は、その臭いに子どもの頃兄から受けたトラウマティックな仕打ちを思い出した康雄に不機嫌な顔をされる。智子はやがて自分は体を乗っ取られて火星人になったことを告白し、和の火星への航路を案じる康雄を戦慄させる。いつの間にか兄の頭には宇宙人のツノが生えており、彼もまた火星人になっていたことが明かされる。今から100年後に訪れる火星人の侵略、黙示録的な未来世界がコミカルに描かれる。

 5人きょうだいの真ん中、長女の理子(花屋敷鴨)と兄の分身(原竹志)との対話「第形話 温温重」を観ると、四宮家における幸人の立ち位置がより鮮明になる。運転中の理子は幸人の分身と子どもの頃父親が起こした事故のことや、その父親の葬儀で見せた幸人の暴挙を咎める。幸人の分身はただ無表情に受け流すだけで、その様子に腹がたった理子は幸人の分身をクッションで散々に殴りつける。やがて理子はトランクのなかにある兄の遺体を県境に捨てにいこうとしているのだと告げる。かたくなな理子に対して幸人の分身がとる行動が常軌を逸してくる。いまにも泣き出しそうな理子を演じた花屋敷と、ずっと舞台上にいる若旦那同様に無表情ながら次々におかしな行動をとる原演じる兄の分身の腹のさぐりあいは見ごたえがあった。ドライブ中にサザンオールスターズの「希望の轍」がかかり、サビに入るタイミングで消音したり、扉の開け閉めや灰皿を回収する擬音を台詞で言ったりするなど、ここでも音とその間が台詞以上に雄弁である。

 本来不在であるはずの兄の幸人が常に物語の中心に位置し、死してなお弟妹たちに影響を及ぼし続けている4作を観ていて、私はサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』を想起した。4人とも兄の再来を待ちわびてはいないものの、生前素行がよくなかったからむしろ亡くなってくれて嬉しいかと思いきや、いざいなくなったらその不在に苛まれている点では、ウラジーミルやエストラゴンと近い心持ちだろう。しかしいつまでもやって来ないゴドーとは異なり、可視化された兄が具体的に行動を起こしていた点が独特である。その意味では別役実の『やってきたゴドー』の展開に近いものを感じた。

 番外編の「第糸話」は楽屋落ちとSFの要素を融合させた人形劇である。消息を絶った若旦那家康を探す劇団員たちの珍道中を、映像とアテレコでリアルタイムに紡いでいく。途中に入れ込む音楽やテレビアニメのパロディなど、手数の多い遊びを好き放題やっていて面白い。

 充実した短篇公演を敢行しただけでも瞠目だが、ほかにもトークショーや公演準備の公開、過去公演のリーディングや公開デッサンなど、企画力の高さが伺える内容であった。
ブルーアイデンティティ

ブルーアイデンティティ

X-QUEST

王子小劇場(東京都)

2024/05/03 (金) ~ 2024/05/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

それはその男の夢なのか夢想なのか、まあどうとっても良いのでしょう。それよりも殺陣やダンスや衣装や役者陣の素敵なところを見惚れて終わる80分。
その後の撮影タイムはステージから一人ひとり観客をみんなで見つめてくれる、一瞬の幸せでした。
途中何回かの公演が中止になってしまったので、いろいろ購入して応援したいところですが諸々事情もありまして、次回公演もきっと観に行きます。

風と共に去りめ

風と共に去りめ

かーんず企画

シアター711(東京都)

2024/05/02 (木) ~ 2024/05/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

あらすじにあった通りに
『裕福な家庭』『無機質なオフィス』『1Rマンション』『画家のアトリエ』
を白線で分けて舞台上に四つの世界を表現してるので
結構狭い感じに見えたかなぁ
中心は一人の男であり
彼がオフィスの人間に罪をかぶせられて放逐され
画家のアトリエからも逃げ
ネット配信していた女性の元も追い出され
傷つき倒れていたところを
医者夫婦の裕福な家庭にて助けられるのだが・・・
と展開がクルクルと
舞台上の四つの世界を男が巡ってゆく作品

う~ん
ドニーダーコみたいな感じだったかなぁ と

ネタバレBOX

最終的に男が隕石の衝突を認めて
受け入れてくれてた医者夫婦の一人娘が
その隕石落下という事象を受け入れる?
という感じであっているのだろうか・・・

隕石とタイトルの風とかは
あまし繋がりを感じなかったかしら
風の名はアムネジアみたいな話の方が
分かり易かったかなーとも
『緋色の研究』『四つの署名』

『緋色の研究』『四つの署名』

東映

サンシャイン劇場(東京都)

2024/05/02 (木) ~ 2024/05/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「四つの署名」を観劇
広い洋館の一室、ソファーには名探偵ホームズとワトソン
てっきり二人の回想録で物語を紡いでいくものかと思っていたら、次々登場してくる人物達も全てこのお二人で演じ分けていくという
場面転換も変幻自在、リーディング公演の自由度を大いに活かしながら、海外ミステリー独特の世界観をみるみるうちに創り上げていくテクニックには驚かされました
ストーリー的には雰囲気美人な印象でしたが、莫大な利権の匂い、浮かび上がってくるきな臭い人物達、段々と立ちのぼってくるおどろおどろしい空気感にはゾクゾクさせられます

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