最新の観てきた!クチコミ一覧

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テン9

テン9

ペキニーズ・ドットコム

OFF OFFシアター(東京都)

2025/07/15 (火) ~ 2025/07/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/07/15 (火) 19:00

価格3,300円

ここ最近、実話を元にした演劇の功罪をずっと考えてきたのだが、これを観ると本当に救われるような気がした。たとえ実話とは異なる「捏造」であったとしても、「演劇」の力はそんなものではないはずだ!!史実は越えられる。創作はそれだけの力がある、と高らかに宣言しているかのようである。
「演劇」の力を私たちが信じなくて、だれが信じるというのか?それは決心であり、信仰の表明であり、作者が常に自分に言い聞かせてきたことの言語化なのだろう。それを実際に作品として昇華させた作家の力量に脱帽した。

ネタバレBOX

劇、劇自体(劇の裏側)、劇中劇、という重層的な構成になっており、観客までまきこんでしまうことで、我々も「(本作品の)劇の観客」を越えて、「劇自体の観客」「劇中劇の観客」の重ね合わせがなされる。しかも「劇中劇」の役者名はそのまま役者本人になっており、中間領域の役割を果たしている。
楽屋が丸見えになっていることも特筆で、非常に多層構造になっており、一度観ただけでは足りないほどの濃密さがある。
すごいモノを観た。
この暮らしにタイトルを付けようとした、日々

この暮らしにタイトルを付けようとした、日々

劇団 Rainbow Jam

シアター711(東京都)

2025/07/15 (火) ~ 2025/07/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 初日を拝見。

ネタバレBOX

 板上は下手側壁脇に置かれた赤いフレームのチャリ。ホリゾントとその手前には天井から幕が吊られ手前の幕は下手の半ばで断ち切られて、奥の幕との合間が袖になって出捌けを形成している。チャリの横や客席側の板上には丸椅子と箱馬が点在している。オープニングでは手前の幕に取り付けられたブラインドが下がりタイトルが映写される。尺は120分。
 ちょっと変わったタイトルの今作、中々ユニークな内容で興味深い作品である。タイトルからは自堕落であると自認している自分自身の遣る瀬無さに対する足掻きに対し、幾らしてみても明確な手応えが見られないと日々感じているヒトの寄る辺なさがイメージされたが、どっこいそんな甘さは無く寧ろ居直る他無いと腹を括った、あと3週間で36歳の誕生日を迎える女性の、底なし沼に落ち込んだ中での極めて「真っ当な」生き様が描かれる。
 紡がれるのは、小劇場演劇に携わる演劇人個々の表現する者としての自覚・自意識と、日本に於ける非メジャー演劇が置かれた「先進国」としては極めて特異な厳しい状況下の実態を背景とした葛藤、そのような表現者として生きた過去を持ち現在はコンビニで掛替えの無い戦力として働き、1時間1100円で生計を立て乍らアンニュイに沈み込む主人公。 
サブエピソードには同世代の結婚・出産に絡め、極めて深刻且つ普遍的な選択に纏わる諸問題(半年間セックスレスな夫婦関係・産みたい願望を持つ妻の妊娠活動を要する男女関係の実態から生じるあれやこれや。と個々の実存を賭けた諸対応。正解を追い求める世間一般的な在り様と、現実との関係に重きを置きそれらとの諸関係の中に独自の解を見出そうとする立場の角逐が、現実への歪んだ距離感を体現するような生き方の差として描かれる点も面白い。この哲学的在り様の個人的差異が演劇表現方法の微妙な差異と比較されつつ描かれている点で今作のメタ構造が見える点もグー。約2時間の作品であるが、以上に挙げた諸要素が呼応して幾重にも重なりあいながら今作を運んで行く。適度なブラックユーモアを交え、シリアスでシャープな科白が飛び交う興味深い公演である。主役のコンビニ店員を演じる甲斐 千尋さんの熱演もグー。他の演者では金持ちの娘が立ち上げた劇団・リボーンの演出家役を演じる新納 ゆかい氏、妊活中の妻を演じた櫻井 由佳さんの演技も気に入った。

テン9

テン9

ペキニーズ・ドットコム

OFF OFFシアター(東京都)

2025/07/15 (火) ~ 2025/07/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

楽しかった!終盤の高揚と拡がりに思わず胸いっぱい。演劇だぁ!どうだぁ!という様な素敵な終幕。ニコニコ。そこに至るガチャガチャも心地良くて。よく舞台で観る役者さん達が結構見覚えのない激しさ可笑しさ満載でそれもまた。かっけぇ役者盛り沢山。おすすめ!

この暮らしにタイトルを付けようとした、日々

この暮らしにタイトルを付けようとした、日々

劇団 Rainbow Jam

シアター711(東京都)

2025/07/15 (火) ~ 2025/07/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

う~ん、これは面白い。ネガティブハイで、暴走しまくるけれど、妙にリアルで、突き刺さります。実にアッパレです。

ケムリ~silent memory~

ケムリ~silent memory~

激富/GEKITONG

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2025/07/10 (木) ~ 2025/07/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初めての激富。
歴史の有名人を借りての殺陣芝居。泣かせる物語。なかなか人気のある劇団。
難を言えば序盤の話しの流れがわかりにくいのと、けっこう斬られても元気なる主要キャストですかね。

夏場所八番勝負-後半戦-

夏場所八番勝負-後半戦-

STAR☆JACKS

STAR☆JACKS Studio(大阪府)

2025/07/12 (土) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「ウィリアムズ・スイート 」
二人の息が合った楽しい小作品。
和柯さんは元気なんだけどちょっと頼りない役のイメージがありますね。
Cheeky Queensの赤松英実さんを観る最後の作品となりました。彼女の笑顔がとても素敵でした。

「瓦斯に舞う紙の翼2025」
「アンネの日記」を作品にした、結末が分かっている哀しい物語。
アンネ役の北田結子さんは、そのまま天使でした!
三原悠里さんの少女と老女を行き来する芝居はさすがです!

WIREINSATS -ヴィアインザッツ-

WIREINSATS -ヴィアインザッツ-

壱劇屋

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2025/07/10 (木) ~ 2025/07/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

殺陣シーンは相変わらず迫力があって良かったですが
再演ということもあるかもですし・・・

ネタバレBOX

世界が階段上になっているという設定は面白いと思うのですが、侵略してくるのが宇宙人というのは広げすぎでしょ!と思ってしまいました。
最後まで納得できなかったので、終演後お隣にいた方に聞いたところ昨年上演された『アポカデンツァ』の続編であるらしい。そちらを見ていたらもっと感動できたのでしょうか。周りには涙している方がたくさんいましたから。
最後に「その惑星が飛び散った破片からのなんたら言う物質のお陰で死傷者はほとんどいなかった」みたいなナレーションがあって、それもどうかと思いました。
料理昇降機

料理昇降機

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2025/06/20 (金) ~ 2025/07/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

二度見 推奨 納得の不思議な会話劇で、楽しめました。

音楽劇 金鶏 二番花

音楽劇 金鶏 二番花

あやめ十八番

座・高円寺1(東京都)

2025/07/07 (月) ~ 2025/07/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

序盤の演出から一気に引き込まれ、
あっという間に作品の世界に没入していました。
視覚的な仕掛けや空間の使い方が非常に巧みで、
観客の想像力を心地よく刺激する構成だったと思います。

物語が進むにつれ、感情の流れと演出が丁寧に重なり合い、
気づけば登場人物の心の動きに深く共鳴していました。
今年いくつか舞台を観てきましたが、ここまで余韻が長く残った作品は珍しく、
「今年のベスト作品かな」と感じながら観ていました。

台詞や歌詞の一部に少し聞き取りづらいところがあったものの、
全体としてのエネルギーと集中力が非常に高く、
むしろその密度の高さが生の舞台ならではの魅力になっていたようにも思います。

父と暮せば

父と暮せば

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2025/07/05 (土) ~ 2025/07/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/07/14 (月) 14:00

座席1階

前回の山崎一と伊勢佳代をはるかにしのぐ出来栄えだったと思う。特に、瀬戸さおりの成長が著しい。こまつ座への出演が定着しつつある彼女が、演出の鵜山仁に鍛えられたのだろうか。どちらかというと兄の存在がある中で一歩引いていたような印象があった瀬戸さおりが脱皮を遂げたように見えた。
今回は舞台セットもチェンジし、新作並みの対応で臨んだという。瞬間の差で生死を分けた父と娘。父は最初から登場するがけして幽霊などではなく、主人公の娘・美津江が勤め先の図書館で偶然会った男性に思いを寄せるその心の動きが、現生に帰ってきた父の手足、心臓を形作ったとセリフの中に盛り込まれている。その思いが弱まっていけば父は娘のそばに存在することはできない。娘の恋愛応援団が存在理由である父だ。
だが、美津江は一瞬にして命を奪われた友人らを思い「自分だけ幸せになることはできない」と恋愛を拒んでいる。舞台は4幕あるが、再終幕で美津江の本当の胸の内が語られる。これが圧巻だ。
瀬戸さおりと身長差がかなりある松角洋平が、少しだらしないところもあるが包容力のある父親を、瀬戸を全面的に受け止めるような形でうまく演じている。松角の包容力が瀬戸の才能を引き出したのではないかと思えてくる。

先人も書いていたが、サザンシアターという広い客席だけに空きが目立ったのは残念だ。再演であるということも影響しているのかもしれないがもったいない。この親子は自らの生死も含めて運命を「解決した話」と言っている。だが、どうしてこのような結果を招いたのか、どこかで止められるところはなかったのか。この芝居を何度も見て考えたい。戦争は国と国との戦いであり、各国の国民に勝者はいない。自国民の優越性を掲げて戦った歴史を、今こそ胸に刻むべきだ。

料理昇降機

料理昇降機

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2025/06/20 (金) ~ 2025/07/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

思ったよりは不条理ではなかったかな
と感じた全席自由 約80分の作品
状況説明的な演出や台詞を
もーちょい入れて欲しかったかしら
と感想
各座席のお座布団がドーナツ型なのが
珍しかったかしら
とても久しぶりのハコであり
とっても小劇場な雰囲気は好きです

ネタバレBOX

舞台は幕が無く ベッド二つにハンガー二つの
シンプルなセットで中央に料理昇降機がある
開演前のBGMはピアノインストゥルメンタルです

説明通りで
地下室にてMIBみたいな黒ずくめスーツの
二人が仕事の待機時間を部屋で過ごしてて
いろいろ不条理な出来事に直面してく話
舞台中央に見えるタイトルにもなってる
料理昇降機の動作音デカかった

料理オーダーのメモが降ろされて
あたふたと対応するのだが
最後にはベンに仕事内容のメモが来て
扉を開けて入って来たのは
身包み剥がされたガスであった
地下室のWCに入ってたはずなのに
で暗転して 水滴音響いて終演です

なんでガスが? と思ってネットで
いろいろ調べてみるとー
なんか殺し屋後輩のガスくんは
先の仕事でミスがあって
組織上部はガスの始末を
先輩のベンにさせようとしたらしい
今作で もーちょいハッキリさせて
欲しかったのは
仕事のターゲットを待機してる地下室に
送り込むから扉を開けた人物を殺れ
と明確に表現して欲しかったかな と
いまいち ふんわりとしか伝わって
こなかった=そこのトコが残念
海と日傘

海と日傘

R Plays Company

すみだパークシアター倉(東京都)

2025/07/09 (水) ~ 2025/07/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/07/11 (金) 19:00

7月11日(金)、12日(土)(2公演)、13日(日)(アフタートークあり)の4公演見てきました。

スゴかったです!!!
まず、舞台会場に入るとステージには畳と机があります。ステージの左右と奥に半透明なカーテンがかかっていて、その向こうが透けて見えます。そこには椅子がたくさん並べられています。
舞台美術は開演前と終演後に撮影可能なので、海と日傘で検索して見てみてください!
音楽もなく、かすかな灯りで灯された舞台に観客はお喋りできる空気じゃなく、会場から開演までの30分間シン…として待っていました。なんだか喋ってはいけない気がするんです!こわいです!(いい意味で)

役者はみんな生声で、マイクなどは使いません。衣装を場面で変えることもなく、小道具も日傘(と椅子)以外登場せず、食器もハチマキもノコギリもパントマイムです。椅子は布団の変わりにもなります。(椅子に腰かけると布団で寝てるんだなと分かります)

この舞台は観客の想像力によって、どこまで面白くなるかが変わる。そう思いました。パントマイムや台詞で分かる動きや時間の流れ、分かりやすい説明はないので、見逃すと理解できません。
どうかこれから観に行かれる方は一瞬たりとも無駄な動作も台詞も無いことを理解した上で、目の前のすべての事象を想像力を駆使しながら理解しようと全力で見届けてください。
そうしてやっとこの物語は完成します。
この作品はとても面白いです。アフタートークありの13日の公演は満席だったそうです!👏👏👏もっとたくさんの人に見てもらいたいなと思って、コメントしました。気になった方は観に行ってください!

ネタバレBOX

大野拓朗さんのストレートプレイは7年ぶりということですが、いきなりすごく難しいことに挑戦していると思います。長崎弁だし、パントマイムで食事など表現しなくてはいけないし、その上に台詞も説明口調ではないし、ミュージカルのように感情を歌やダンスで表現することは出来ないし、ちょっとした目線や手先や喋り方で表現して、一番長く舞台上に居るからお客さんを惹き付けないといけないし…。しかもこの戯曲を毎日公演して、日によっては2回も演じている。すごすぎる…。
ラストシーンでは毎公演泣いてしまいました。
南沢奈央さんは美しくて、衣装のワンピースが華やかで、居るだけでその場が明るくなるような雰囲気があって素敵でした。だからこそラストシーンはほんとに…何度みても泣いちゃう…。
瀬戸山夫妻を演じている斉藤淳さんと、阿南敦子さんは演技が上手すぎる。九州出身の友人が言っていましたが、斉藤さんの長崎弁があまりにも本物なので、そちらの出身か調べたらしいです。(違ったそうです)
他の皆さんは出番は少ないですが、常に舞台脇に控えており、様子を見ることが出来ます。時には演出としてステージを横切り、観客に印象付けます。
ほんとに面白い舞台です。
ライブ配信、アーカイブ配信も決まったので、そちらも見たいと思います。
1度や2度、4度だけではこの舞台は理解しきれません。もっと見て、彼らの生きた言葉を受け取って、考えて、解釈したいです。

私も虹の中にいるんだろうか?
はぐらかしたり、もてなしたり

はぐらかしたり、もてなしたり

iaku

吹田市文化会館 メイシアター・中ホール(大阪府)

2025/07/12 (土) ~ 2025/07/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

客席は八分の入り。東京公演で評判だった、期待のほろ苦いラブコメディは、どうにもごちゃごちゃした舞台に私には見えた。

人物の背景が次々に明かされるのに、なぜか心に沁みる暇がない。笑いを取るために用意されたキャラクター造形には、面白くても「こんなヤツ、本当にいる?」という、どこか現実感のなさが引っかかる。 人生は、そんなに安直なコメディじゃないはずだ。

自分たちは離婚しても子どもには幸せを、元夫に裏切られても新たな恋には軽やかに進みたい。多くの人が感じる希望だと思う。
けれど、それを舞台でさらりと描かれても、ほっと安心するほどに観客の心は単純ではない。人生のつらさやしんどさは、もっと複雑で繊細なものではなかろうか。

上下に分かれた舞台セットは、そんな人生の紆余曲折を象徴していたのかもしれない。役者の動きにはハラハラさせられたが、動線の変化そのものは楽しく、やや深みに欠ける演出を新鮮に見せていたようでもある。

目に見える工夫と、内面の説得力。 その両輪がそろってこそ、人の心に深く届く、味わい深い舞台になると私は思う。

ネタバレBOX

関係を持った教え子の妊娠が分かり、妻と別れて、彼女の卒業を待ち結婚した筈。なのに高卒で就職した彼女が、就職後間もなく妊娠が発覚したため、職場で居づらくなったというのが時系列。
高卒で妊娠を隠して、就職をするだろうか?
彼女の妊娠発覚のタイミングは、高校在学中と就職後と2回あるのだ。変ではなかろうか?
六道追分(ろくどうおいわけ)~第六期~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第六期~

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/06/25 (水) ~ 2025/07/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/07/02 (水) 14:00

吉原の遊郭から大金(と花魁)を盗み出した義賊一味と彼らを追う与力・同心・岡っ引きたちの顛末を描いた娯楽時代ピカレスクロマン。
おそらく講談などで定番であったであろう「それなー!」な人物設定・展開に外来語や現在の事物も交えてポップに仕上げて「楽しませるぜ♪」な心意気を感じる。
さらにオープニングとエンディングの男女の「舞」やエンディングでの核人物の見せ方などもショーアップされて巧み。そりゃあロングランするしリピーターも多いよなぁと納得。

せんがわ劇場×桐朋学園芸術短期大学 自主上演実習公演

せんがわ劇場×桐朋学園芸術短期大学 自主上演実習公演

桐朋学園芸術短期大学芸術科演劇専攻

調布市せんがわ劇場(東京都)

2025/07/11 (金) ~ 2025/07/13 (日)公演終了

実演鑑賞

今年も依頼により、桐朋学園芸術短期大学専攻科演劇専攻57期の公演を観劇。今年は、3日間のうち1日(3公演)のみ観た。原作よりコンパクトにテキレジしているだろうが、どの作品も充実(テーマを明確に)しており楽しめた。

なお、教員の監修のもと、学生が自ら作品を選び 上演する。学士「芸術学(演劇)」取得の審査対象になり、上演作品の映像を独立行政法人大学改革支援・学位授与機構に提出することになっているため、★評価はしない。  

観たのは、次の3作品(上演順)。また「観てきた」コメントは、まとめて記載する。
●「ダウト~疑いをめぐる寓話~」(作:ジョン・パトリック・シャンリー、翻訳:小川絵梨子)
●「この道はいつか来た道」(作:別役実)
●「熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン」(作:つかこうへい)

ネタバレBOX

舞台美術は演目によって異なる。

●「ダウト~疑いをめぐる寓話~」(70分)
舞台は、アメリカ ブロンクスにあるカトリック系の教会学校 セント・ニコラス・スクールの校長室。上手に ぶら下がり健康器にカーテンを取り付け ドアに見立てる。下手は校長 シスター・アロイシスの机。

シスター・アロイシスはフリン神父が小児性愛者で性加害 行為をしていると疑っている。対象者は校内唯一の黒人生徒ドナルド・ミラーである(人種差別問題が見え隠れする)。そこで新任(担任)教師のシスター・ジェームスに神父の監視を命じる。室内で男女二人っきりになってはいけない、シスターは直接 神父に話しかけてはいけない等、いくつもの制約がある。

神父はドナルドに親身になって接しているが、その度が過ぎているとシスターは思っている。それ以外にも疑わしき行いが…。シスターは<正義>を振りかざし神父を追い詰めるが、疑惑は解明できない。真相は藪の中のまま 神父は他校へ転任するが、それは栄転。シスターと神父の息詰まる会話が見どころ。

●「この道はいつか来た道」(60分)
とある道に電柱が1本と、その前にポリバケツがあるだけ。
他の劇団でも観たことがあるが、ほぼ同じような舞台装置(別役 作品=電柱?)。

物語は女2人が出逢い、互いに名前や素性がわからないまま、色々な出来事を語り合う。他の劇団で観たときは男女2人…身なり、様子からホームレスらしい。繰り返される取り止めのない会話、しかしラスト近くなって話は思わぬ方向へ。2人はホスピスを抜け出してきた末期癌患者。そして2人は偶然知り合い、愛し合い結婚するという演技を繰り返している。つまり「いつか来た道」。

ラスト、寄り添うように死を迎えようとする2人。アカシアの花が咲く初夏を待ち侘びるが…。お互いの痛みを確かめ合うことは出来ないが 凍死するのは確実であろう。寒く冷たい死の実感がそこはかとなく漂う。が、何故か自分はあくまで明るく楽しく人生を生きる、といった前向きな姿に思えてしまう不思議な余韻。

●「熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン」(75分)
この演目では、初めて観る舞台装置、演出であり興味深かった。中央に大きな机、下手に水野トモコの小さな(スチール)机。そして三方(客席方向以外)を3段のkeep outで囲う。まるでリングのようで、捜査室という格闘場を思わせる。まさに生死をかけた戦いが始まる。犯人の大山金太郎以外は女性の配役。木村伝兵衛≒伝兵衛コ、レズという設定。上演前に、差別用語等が飛び交うが、原作の世界観を損なわないため そのまま使用すると アナウンスあり。

元オリンピック棒高跳び日本代表 伝兵衛コが、熱海で女子砲丸投げの選手が殺された事件を担当。同時に木村の恋人がモンテカルロで自動車事故死した真相の解明も…。オリンピックの正選手と補欠選手(蔑称:男はゴミ、女はコケ)にみる差別、同性愛への偏見、そして金銭と名誉などの欲望を抉り出す。

冒頭 伝兵衛コが「白鳥の湖」の音楽に合わせ(バレエを)踊りながら登場。歌ありダンスありといった観(魅)せる、そのエンターテインメント性に会場が沸く。それにしても、伝兵衛コ と速水ケイコが 大山金太郎の後ろ股下から腕を伸ばし、競技に準えて<棒>か<玉>か なんて言いながら股間を握るのを 初めて観た。

次回公演も楽しみにしております。
WIREINSATS -ヴィアインザッツ-

WIREINSATS -ヴィアインザッツ-

壱劇屋

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2025/07/10 (木) ~ 2025/07/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

東京支部さん、スペースゼロまで来ました。
4年前、萬劇場で独鬼の初日観て、あまりも良くて3回観て。
回によっては本当にガラガラだったんですよね。
千穐楽は評判を呼んで、満席だったけど(当日券で遅刻で飛び込んだら、最後の1席と言われた)。

個人的には、すぐにここはチケット取れなくなるに違いないって思ったので、
とうとうじゃなくて、やっとスペゼロなんですが。

単なる殺陣ショーじゃなくて、演劇愛ある殺陣芝居。
本当に、創意と運動量と熱量たっぷりで、それは劇場が大きくなっても変わらずで。
充分にチケット代以上のものが観られます。

ただ、不思議とセリフあるほうが、ワードレスより、わかりにくいんだよな。
セリフによる情報が渋滞を起こして、わかりにくくなる感じがあって。
尺が長いはずなのに、場面の取捨選択もワードレスの時よりもキレが無いというか。
特に今作は、1年前に上演された『アポカデンツァ』と直に繋がっていて、観てないとラスボスで??になります。
しかも、作品の最大の見どころがそこなんだよね。

アポカデンツァは現状観る手段が無くて、台本買って読んでくれになってるのも厳しい。
アーカイブで手軽に触れられるなら、こういうやり方して、考察を楽しむってのもアリだとは思うんだけど。
アポカデンツァ自体も割と賛否があって、あの作品を何度も繰り返して観て、考察に考察を重ねた人なら、凄い楽しめるんだろうなって思うんだけど、演劇は儚い媒体だ。

次の作品で、一連のシリーズは幕を閉じるらしいし、見届けるつもりです。
最高の形になること願ってます。

音楽劇 金鶏 二番花

音楽劇 金鶏 二番花

あやめ十八番

座・高円寺1(東京都)

2025/07/07 (月) ~ 2025/07/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

2回目。
初回よりも面白く感じた。前回は金子侑加さんの老女の台詞がさっぱり聴き取れなかったが、かなり改善されていた。

クリント・イーストウッド監督の硫黄島ニ部作『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』。アメリカ側と日本側に視点を分け「硫黄島の戦い」を映画化。アメリカが奪取後、日本本土空襲の発進基地となる重要な拠点だった為、地獄の激戦に。
今作も『金鶏 二番花』『金鶏 一番花』で全体像が完成するように作られている。その為の伏線であろう台詞も多い。

ここは本当に凄い才能が掛け合わさっていく様を体感できる場。居合わせることの幸運。作家(堀越涼氏)の見ている先はもっととんでもない場所だろう。本当に前人未踏の領域へ。

ネタバレBOX

2025年、NHK放送100周年を記念して黒柳徹子と先輩である宮田恵美(河口恵美子)が思い出を語るトーク番組。宮田恵美は亡くなっており、生きていても百歳を越えている為、1992年位の設定かな?と思ったが現在だった。そりゃ腰も曲がりゃ声もしゃがれる。

ライターは消しゴム?、椅子はNHKと印字された箱馬、花束はメガホン、お菓子は紙テープ?、テーブルは脚立で見立てる。

丸川敬之氏と浜端ヨウヘイ氏が天井から操るマリオネット劇。
念仏を唱える母親(璃音〈りのん〉さん)を家に置きハレー彗星を見に外に駆け出す高柳健次郎(藤江花さん)。曲は「ハレー彗星から生き残れ」。幻想的な夜の丘を何処までも駆けていく宮沢賢治的名シーン。
浜松高等工業学校に助教授として赴任し、学長(内田靖子さん)の訓示に心震わすシーン。その後、藤江花さんと内田靖子さんがタップを踏むのも決まる。

金子侑加さんの姉(高岡由季さん)は帝国放送効果団のアコーディオン。

宮内國郎のウルトラマン調「ピストルと大砲」。

浜端ヨウヘイ氏は声が上田晋也と富澤たけしっぽくもある。左肩を痛めているのか湿布。
サナトリウムで浜端ヨウヘイ氏が起こした騒動、ラジオから流れてきた曲(「僕の可愛い妹よ」)を「この曲好き!」と歌い出して内田靖子さんが治める。この曲が良い曲で、河西美季さんが歌う妹・中野亜美さんへの歌に繋がる。

照明技師の武市佳久氏と田久保柚香さんの悲恋。「恋は日光網膜症」も良かった。

「特効野郎!ストレプトマイシン」は『ゴジラ対ヘドラ』の名曲「かえせ! 太陽を」を思い起こさせる出来。サナトリウム看護婦トリオで決める。織詠(おりえ)さん、藤江花さん、古川和佳奈さん。

ラストの紅白メドレーは前回よりも曲数が増えていたと思う。作品を彩った歌のリフレインは上手い。

神宮外苑で行われた「出陣学徒壮行会」を実況した井上裕朗氏。その中に愛する息子もいた。隠れて酒を飲んでやり切れない思い。ビルマで戦死した息子。戦後も酒に溺れる。彼の存在が作品の柱になっている。

スマトラ島は石油など天然資源が豊富だった為、爆撃されず。そこで見た蜃気楼。

当時のテレビのイメージは街頭テレビに群がる人々と力道山。今作に足りないのはテレビのイメージ。ラジオ番組の印象の方が強くなっている。

井上裕朗氏、内田靖子さん、田久保柚香さんの方が物語の引きが強い。

「遠くまで届ける為にテレビはあるんだ。きっと向こう(あの世)にだって届いてるよ。」
「人生は生放送。」

鴻上尚史でお馴染みのOpus「Live Is Life」を思い出す。
恋するアンチヒーロー

恋するアンチヒーロー

sitcomLab

テアトルBONBON(東京都)

2025/07/08 (火) ~ 2025/07/10 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/07/10 (木) 14:00

何度も上演されている評判の良い作品のようですが、私は今回が初見。
悪の組織の戦闘員も善玉のヒーローたちも、クセのある、人間臭い人ばっかりで、多少哀愁すらただよっていました。暑い中、見に行って良かった。

いてふノ精蟲

いてふノ精蟲

劇団活劇工房

明治大学和泉校舎第二学生会館地下アトリエ(東京都)

2025/07/11 (金) ~ 2025/07/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/07/13 (日) 13:00

科学史の裏話。とても勉強になりました。
植物に関する蘊蓄や植物学の歴史から帝大の研究室の人間関係(怪演笑えた)まで、ものすごい量の情報が1時間ちょいの間にぎゅっと詰まってるステージでした。

『お野菜の逆襲』

『お野菜の逆襲』

ウチポケっと.Inc

スペースコラリオン(大阪府)

2025/07/11 (金) ~ 2025/07/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

一時間のショート演劇だったけど、良かった!
あたらよの客演が主役の、ミュージカル調と今までに無い構成だったのでは…
こんな発想は中々…
あたらよの女優さん歌うめ~
楽しめました!

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