最新の観てきた!クチコミ一覧

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TRAIN TRAIN TRAIN

TRAIN TRAIN TRAIN

東京芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2025/11/26 (水) ~ 2025/11/30 (日)公演終了

実演鑑賞

非常にコンセプトがしっかりしている公演で、今作が強い信念、熱い情熱をもって創作されたことが伝わってきます。観客のために用意された資料も丁寧にまとめられており、それらに目を通し、頭の中で作品を反芻することも今作の醍醐味であり、演劇の醍醐味と言えるでしょう。印象的だったのはロビーに貼ってあった説明文に「理解ではなく、より想像して楽しんで欲しい」という趣旨の一文があったこと。「紐解く」ではなく、自由に「広げる」ことを望んでいる作品なのかな?と考えました。

ネタバレBOX

公演資料に「子どもも大人も、視覚でも聴覚でも、あらゆる感性で楽しめる、新しい舞台作品」という記載があり、この説明に納得。共生への理解・浸透はもちろんですが、例えば好きなものが異なる人々も、それぞれ感性で楽しむことができる。言い換えると、観客それぞれによって好きなシーン、好きな表現が異なるだろうし、そういうフックがとても沢山用意されている公演と感じました。それから、これは余談になりますが、このコンセプトで公演をデザインする際に、上演時間が「一幕50分、休憩20分、二幕50分」に設定されていたことが、個人的に印象深かったです。ペース配分に色々な配慮が感じられ、こういう沢山の配慮が積み重なった集大成が、この上演と感じました。
再生ミセスフィクションズ3

再生ミセスフィクションズ3

Mrs.fictions

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2025/11/13 (木) ~ 2025/11/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/11/15 (土) 18:00

極めてベタな表現になるが「珠玉の短編5編」。
一つの公演のために一気に書き下ろしたのではないということもあろうが、それぞれタイプが異なりしかもどれもクオリティが高いとはお見事。
その中で敢えて1本挙げるとしたら5編目の「ハネムーン(仮)」か。「そんなのアリか!」/「そのテがあったか!」な発想はメタフィクション好きとしてはもうタマラン!(笑)
あと、役名が初演時の演者なものが多いだけにプレッシャーもあっただろうところ、それに負けず演じた役者陣に拍手!

エリザベート

エリザベート

東宝

東急シアターオーブ(東京都)

2025/10/10 (金) ~ 2025/11/29 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ずっと観たかった演目の「エリザベート」を観劇しました。
Wキャスト、シシィ(望海風斗さん)トート(井上芳雄さん)の回でしたが、主演者陣の歌のレベルが凄すぎて、圧巻でした!
舞台美術や衣裳、音楽、ダンス・・その世界に惹き込まれ、素晴らしい歌声に何度も鳥肌が立ちました。
井上さん、望海さんの歌声が素晴らしくて頭を離れないのは勿論、フランツを演じた田代万里生さんの歌声が響きました。
観劇後も、ずっと歌が頭を巡り、疲れているのに眠れなくなりました。
観る事が出来て本当に良かったです。心に残る素晴らしいミュージカルでした!

イミノウム

イミノウム

シアター・コントロニカ

京都府立文化芸術会館(京都府)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

良かったです

新宿八犬伝  第一巻 ー犬の誕生ー

新宿八犬伝 第一巻 ー犬の誕生ー

流山児★事務所

Space早稲田(東京都)

2025/11/21 (金) ~ 2025/11/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

2回目。
騒!乱!情!痴!遊!戯!性!愛!
平井和正(『幻魔大戦』や『アダルト・ウルフガイ』)の原作を唐十郎が戯曲化し、更に石川賢がメチャクチャにコミカライズしたような作品、しかも未完。(雑誌は廃刊)。

リーディングであることを足枷のようにしてみせた演出。台詞を覚えていても敢えてリーディングであることに拘らないといけない。逆説的。

去年の冬の新宿を襲った大火、風俗嬢が何人も犠牲に遭った。傴僂のV・銀太氏がピンサロ嬢(真田雪さん)とプレイ前、たぬき蕎麦の出前を取る。突然化物に変身し(犬の口吻を付けて)子宮を噛み千切る。死体は窓から下界へと落ちてゆく。

山丸莉菜さんは失踪した獣医の旦那の捜索を探偵フィリップ・マーロウ(上田和弘氏)に依頼。事務所には秘書のシャロン(荒木理恵さん)。警部(木下藤次郎氏)は連続子宮切り裂き男を追っている。上田和弘氏は内藤大助似。

ホスト軍団(兼焼肉屋経営)・バイキングと手コキ風俗嬢・深海魚の軍団がいつものように喧嘩。横断幕のようなカンペを皆で向かい合って読みながら怒鳴り合う。ホストの親玉は男装の麗人・皇帝ルドルフ(伊藤弘子さん)。テーマ曲は『風と共に去りぬ』、イメージはレット・バトラー。風俗嬢の親玉はモモコ姫(神原弘之氏)、アンドロジナス(両性具有)。

ヒロイン山丸莉菜さんが適役。失踪した夫を捜す、左目に眼帯をした若奥様、これだけでほぼ満足。劇中歌も良い。グラスに入ったバーボンの中で赤犬が何かを探し続けて彷徨っている。自分の尻尾をその何かと間違えてくるくるくるくる回り続ける。遠吠え。

雲子役橘杏奈さんが体調不良で降板、代役は演出の小林七緒さん。前回観た橘杏奈さんはド迫力だった。
珍子役向後絵梨香さんはホスト共の話を枝毛のチェックでガン無視。
安子役高信(たかのぶ)すみれさんは妙にエロい。
ヴァギ菜役山川美優さんは星井七瀬とだぶる。

レバ刺し役里美和彦氏は色気がある。
ユッケ役本間隆斗氏は万有引力に似合いそう。
ビビンバ役の達(徳永達哉)氏はユライア・フェイバーみたい。
クッパ(山下直哉氏)とヴァギ菜(山川美優さん)は『ロミオとジュリエット』のよう。
キリシマ役V・銀太氏は存在が映画的。
伊藤弘子さんと神原弘之氏が登場すると常連客がどっと沸いた。

面白いんだか面白くないんだかさっぱり判らないが観に行って良かった。山丸莉菜さんの復帰により、流山児★事務所の八犬士は出揃った。誰も顧みない場末の小劇場から世界を変革する狼煙が上がる。

ネタバレBOX

この戯曲を書いている影の滝沢馬琴(甲津拓平氏)と彼に仕える二十九時の姫君(春はるかさん)。新宿で起きた全ての物語は彼の手によるもの。

犬の出前蕎麦。本物の子宮を使わないと物語を孕めない影の滝沢馬琴。犬殺し?の青酸コーラ。夢魔。

誰にも相手にされない陰気な乞食、伏子。フィリピン人の連続殺人鬼、通称イヌを匿う。イヌは警官の銃弾を受け血塗れ。瀕死のイヌは伏子を無理矢理抱いて死ぬ。伏子はイヌの死体から8発の弾丸を抜いてやり、拳銃に込める。ルドルフとモモコ姫がその8発を新宿のアスファルトに撃ち込む。その弾は空に浮かんでバラバラに飛んで行った。新宿八犬士の誕生。

実は『正義』がテーマ。火事の中、ピンサロ嬢(真田雪さん)が口で抜いてやった客の大学生を置いて逃げ出したことにキリシマ(V・銀太氏)は激怒する。「じゃあ正義は何処にある⁉」「正義?そんなもん何処にもありゃしないよ。」

昔、バイオレンス・ジャックは自分の命を担保に復讐を依頼した少年に言った。「これからのお前の人生は俺のものだ。」「心、正しく生きよ」と。少年はこれからずっと自分の中の『正しさ』と向き合って生きていかなくてはならない。

かつて、三池崇史の映画は曼荼羅だと思った。普通、曼荼羅は美しいもの価値のあるもの黄金や絹、高貴なものを使って表現する。逆に三池崇史は血や反吐や糞や死体、拷問、醜くて汚くて目を逸らしたくなる不快なものを使って描く。方法論は違ってもやろうとしていることは同じ。今作も新宿歌舞伎町の曼荼羅だろう。糸を引いた精液と尿の混じった愛液、くしゃくしゃの垢にまみれた千円札と何度洗っても落ちない手に染み付いた生臭い匂い。恥知らずの暴力的なふるまい、人の心を踏み躙って得る快楽。まるで弱い立場の存在を見下して優越感に浸る惨めで醜悪な自分自身を見ているようじゃないか。そこに風が吹く。そこで『正義』が問われる。

悪に染まった八犬士により窮地に陥る山丸莉菜さん。この戯曲の作者である影の滝沢馬琴から八犬士を自由にしようと説得する。「優れた作品は作家の手を離れて既に読者のものである!」と。登場人物が作者を裏切り自由の身に。自分が自分自身を裏切るのだ。

ラスト、レバ刺し(里美和彦氏)とクッパ(山下直哉氏)の殺し合い。「正義とは何だ?」「悪とは何だ?」との答なき問答。結論は「俺達は正義でも悪でもない、ただ吹きすさぶ風だ。」
新宿に風が吹いて、その場で為すべきことをするのみ。
山丸莉菜さんはその名前を伏子だと明かすエピローグ。
新版 小栗判官・照手姫

新版 小栗判官・照手姫

横浜ボートシアター

座・高円寺1(東京都)

2025/11/26 (水) ~ 2025/11/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/11/26 (水) 18:30

180分。休憩15分を含む。(85-休15-80)

星降る教室

星降る教室

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2025/11/22 (土) ~ 2025/12/01 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初日に続いて2回目の観劇。哀しい記憶を巡るファンタジーだが、昨年の朗読劇、今年の演劇化と、作品が成熟して行くプロセスを味わえるのは、観客としても嬉しいことかも。今日は大西さん演じる「泉」と雪子の再会シーンに心を持って行かれた。今日は福寿さんが体調不良とのことで、演出助手の野口結愛さんが代わりに出演。

ネタバレBOX

いいところで携帯鳴らすお方が(泣)。。。
星降る教室

星降る教室

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2025/11/22 (土) ~ 2025/12/01 (月)公演終了

実演鑑賞

昨年2024年に、同じ劇場、そして同じキャストで上演された演目が、翌年の2025年に上演される機会はなかなか珍しいと思います。元々はラジオドラマの脚本として生まれた物語が、昨年の朗読劇化、今年の演劇化と、時間とプロセスと稽古を経て、ゆっくり様変わりしていくことは、劇団活動の原点であり本質であると言えるかもしれません。見比べる楽しみもありますし、再会を喜ぶこともできます。青☆組は活動歴25年(劇団歴は15年)とのことで、創作団体として長く活動しているからこそ実現可能なアニバーサリー公演だと感じました。

ネタバレBOX

東京で教師をしている32歳の女性の元に一通の葉書が届く。差出人は彼女の恩師で、彼女が卒業した小学校の卒業式に出席し来賓として挨拶して欲しい、と書かれていた。その小学校は既に廃校となっているが、葉書から恩師の想いを感じとった女性は、懐かしい故郷へ向かうーー。上演時間は約65分。現在、過去、記憶などが幻想的に彩られ、ラジオドラマらしいオノマトペを多用した、「大人と子どものための寓話」という印象。手触りの良い、優しい表現に感じられ、手のひらに落ちる雪どけのような、繊細で儚い物語に触れることができました。
彼方の島たちの話

彼方の島たちの話

ヌトミック

シアタートラム(東京都)

2025/11/22 (土) ~ 2025/11/30 (日)公演終了

実演鑑賞

ヌトミックによる新作音楽劇。会場のシアタートラムは横長に広いブラックボックスが特徴的だが、アクティングスペースに何段かの高低差をつけ、いくつかに分けたようなシンプルな舞台セットがよく映え、スタイリッシュな空間に仕立てられていた。俳優6名に、ギター、ベース、ドラムのスリーピース構成でバンドが加わり、俳優が台詞を喋ることと、バンドが音を奏でることが並列的に取り扱われる演出が印象的。演技パート、演奏パート、それらが重なるパート、が主な構成要素だが、ひとつの作品として統一感があり、見応えがあった。特にバンドが音圧を上げて演奏するシーンに俳優たちの演技が加わった際の「最大瞬間風速」はとても強かったと思う。

ネタバレBOX

海岸から飛び降りた父とその娘。その娘は、同じ海岸で父同様に飛び降りようとしていた女性と出会う。等々。死者や希死念慮、死生観などが物語の中心にある。ただし、私の個人的な解釈としては、「死」よりも「境界」の話のように感じられた。その境界をどう行き来するか?(現実的には行き来できないのだが…)。あるいは、その境界を超えるために、人間の叡智や文化はどう貢献できるか? という。それは、演劇と音楽、演じることと奏でること。その境界について考えることと重なり合う部分があるのかもしれない。
連続するシタイの方程式

連続するシタイの方程式

プレイカンパニー 空集合

シアターウィング(東京都)

2025/11/22 (土) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/11/23 (日) 11:00

価格2,000円

11月23日〈日〉11時鑑賞

白洲教授のキャラが怖くて怖くて…
生徒に対してホッペタひっぱたくわ、暴言吐くわ…
アカハラの極みのような存在です。
そのキャラのせいで、彼が登場すると、空気が凍るように感じました。
でもストーリー展開的には場が締まる感じで、それはそれでありだと思います。

途中でふと思ったのですが、白洲教授は純粋なんだと思います。
研究以外は全く何の興味も無い。
私自身も大学院を経験していますが、
大学の研究者はひたすら自分の研究テーマ(数学の難問)に打ち込む存在です。
周りから見れば浮いていても、本人は純粋に研究のことしか頭にない…そんな人間たちです。

脚本は洗練されていて、決して無駄が無く、よいテンポでストーリーが展開していきます。
登場人物の数もちょうどよく、それぞれキャラも際立っています。

「連続殺人の犯人が、きっとこの中にいるな…」と思って、誰かなぁと考えながら観ました。
“齋藤しおり”さんかな?と予想しましたが、見事ハズレました(笑)。

小道具も舞台装置もすごく凝っていてよかったです。
このお値段で、このクオリティー?とびっくりです。

素晴らしい劇でした。役者の方も名演技で素晴らしかったです。
シール、大切にします。来年も期待していますね。

THIS HOUSE

THIS HOUSE

JACROW

新宿シアタートップス(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

終わってみればじんわり沸々湧き出ずるものあり。
近代民主主義発祥の英国で、二大政党である労働党と保守党(その他の少数政党もある)の法案審議の都度熾烈な駆け引きが繰り広げられる様を通して「民主主義」という錦の御旗(これを裏付ける権威として王室も機能している)をギリギリの所で守り抜いている国家の矜持がじんわりうっすらと浮かび上がる。
どちらかと言えば労働党側に視点を置いて描写され、やがて不信任案の動議で政権が解体、サッチャー時代を迎える直前で芝居は終わる。そして短いテロップが流れる。経済重視の政策を推し進めたが格差は広がり人々は苦しむ事となった・・。作者の結論。明快だ。

勝手に唾が出てくる甘さ

勝手に唾が出てくる甘さ

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2025/11/14 (金) ~ 2025/11/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

今作も楽しい1時間50分。
本公演早くに完売であったが、当日券をゲットしに開演40分前の抽選に足を運ぶ。前回公演ではB1で長蛇の列であったがKAATでこの日は十余名、結果は当日券数名、キャンセル待ちも4名が入れた(自分もキャンセル待ち組)。
この日はトークがあり、芸術監督長塚氏が城山羊の会への思いを語り、作演出山内ケンジ氏に色々と聞き出す。脚本執筆のくだりは興味深く会場から笑いが出ていた。初めに決まっていたのは「最初に歌を歌う」だけ、あとは成行きで。稽古始めに出来上がっていたのは半分弱。そうか。ゼロから生み出す営為は面白い。
お芝居は例に漏れず、男女の「いけない関係」を軸に諸々。岩谷氏、岡部氏が変わらずとぼけた役どころで支え、全登場人物のお間抜けな人間っぷりが充満する。人間は欲望の存在であり、それは充足されたりされなかったりは当然であり、人生その視点で眺めれば様々な「追い求めとその結果」の連続という事になろう。これを笑える時間の贅沢。

真夜中に挽歌

真夜中に挽歌

Y.T.connection

上野ストアハウス(東京都)

2025/11/20 (木) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ぶっちゃけ松田優作、という孤高の存在の秘密というか、片鱗を覗き視たくて訪れる。特段フリークでもないがた。恐らくそういう人達(あるいは何らかの繋がりのある人達?)が大部分だろうと想像しつつ上野ストアハウスへ足を運ぶ。地下へ下り、賑わう客席を眺めると、どことなくそんな空気が。
ある意味で予想したような内容であったのは、脚本は短編であっさりと終える。鮮烈な短編映像作品が撮れそうなハードボイルド作品で、ATGが持て囃された時代の空気を感じなくもなく・・。そして上演前にお連れ合いの語りの映像、上演後に松田優作と音楽で関係した二人によるライブ、トークで一つの出し物であった。
一俳優を偲ぶイベントであり、具体的なエピソードにも故人の存在が三十年を経た今に伝えて来る何かを、観客は持ち帰った事だろう・・等とうまく纏めるつもりはないが何かを求めて訪れ、何かを持ち帰った事だろうと想像されるやはり存在だな、と。
夫人曰く「不器用だったが・・」それを凌駕するエネルギーが彼の真骨頂という言葉を、自分の中にも幾らかある故人の残像と重ね合わせ、何かを読み取ろうとするその欠片をもらった時間。短時間ながら個人と接触した場面を生々しく語るトークは面白かったが、芝居の方はやはり映像向き、人物の行為と発語にある何かを色付けする事で人間と社会を抉るものになる・・その印象。

存在証明

存在証明

劇団俳優座

シアタートラム(東京都)

2025/11/08 (土) ~ 2025/11/15 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

“数学物”には惹かれるものがある。先般ラビット番長が将棋物でAI(書いた当時は人工頭脳あるいはコンピュータと呼称していたか)との対決を織り込んで人情劇にしていたが、将棋やチェスはまだ「勝負」がある。数学は(純粋数学、という言葉があるらしい・・本作ではこの語句が重要ワードに)純粋に「数に関する法則」をただ見出そうとする営みで、結果その理論が実用に資するとしてもそれは二の次、法則性という「美」を彼らは追い求めて行く。前世紀前半(戦前)と1970年代現在を舞台に長田育恵女史は数理に一定程度踏み込んで作劇をした。
素数が現れる現れ方に法則性がある、との予想(数学の世界ではある定理の存在を一定の根拠を示して提示し=「予想」、それを何世紀にもわたって「証明」しようとする数学者のドラマがある)を証明しようとした数学者の生きた時代と、その子の世代のドラマは前者が主に男性が、後者は主に女性が担うが、その対照にも含意がある。
ドイツの暗号を解読したチューリングも登場するに及び、総花的な感もあって(他の方が述べていたように)「詰め込み過ぎ」と言われれば確かに。ではあるが、数理に踏み込んでドラマを描いた意味で長田女史の記念すべき仕事と言えるのではないか。(過去フェルマーの定理を題材にしたちょっとしたお話をユニークポイントが上演し、近年ではチューリングを扱った海外作品もあったが「人間・チューリング」を「暴く」といった趣き。「数」に捕われた者たちの棲む、ある種異界に踏み込んでの作劇は私は超難関に思えていたので感服しきりである。)

一九一四大非常

一九一四大非常

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2025/11/25 (火) ~ 2025/12/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初日観劇。超面白い!お薦め。
タイトルは、ちょっと調べれば分かる大惨事。前作との関りもあるが、別に観ていなくても十分解る。事実(記録)を準えた展開であるが、その奥に隠された事(記憶)を虚実綯交ぜにして描いた骨太作。「一九一四大非常」は、111年後の「ニ〇二五大傑作」だ と思う。

物語の展開は、或る有名な洋画を連想する。いや ラストシーンを考えたら…感動で心魂震える。少しネタバレするが、今まで観てきた桟敷童子公演に比べると ラストの舞台装置によるインパクト(ダイナミックさ)は小さい。その代わり、劇中で鏤められる印象そして余韻ある演出は、瞬時にその情景を表象する。

場内が現場を表し、役者陣の迫真ある演技が緊張感と緊迫感を漂わす。勿論 衣裳やメイクが当時の凄惨さを物語る。また状況や情況が刻々と伝わるよう、日にちや時間を繰り返し言う。現代と地続き、そこで何を伝えるのかという社会性は、国家(戦略)に翻弄される虐げられた人々の思いではなかろうか。
(上演時間2時間 休憩なし) 追記予定

お寺でポンポン‼︎

お寺でポンポン‼︎

劇団娯楽天国

ザ・ポケット(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

舞台セットは田舎の大きな家の居間です
奥の開き戸からは遠くに山並みが見えて
田舎感がよく出た作り込まれたセットでした
のんびりとスローライフする主人公に
いろいろと絡んでくる人々の織りなす
ドタバタコメディだったディス
全席指定であります
そんで高低差の無い座席は
もーちょい千鳥配置強めでと思ったッス

ネタバレBOX

説明とはチョイズレてますねー
娘3人都会に置いて定年退職後に1人
田舎で一軒家を購入しスローライフする
主人公さん妻の七回忌も ここで行おうと
知名度のある寺に頼んだり
昔チョット仏教の修行もした事があり
写経をしつつ将来は妻の墓も移して
ゆくゆくはココを寺にしようと
ゆるい希望を抱いていたが
修行先の寺の御坊らが泊まり込み
次女が特殊効果マンの彼氏と共に
二階に住み込んだり
長女が女性救済の駆け込み寺の事務に
使い始めたり
なんや怪しい中国人観光業者が
出入り始めてツーリスト集めたり
豪放磊落な宗教家市会議員候補が来たりと
賑やかになり収集つかなくなりー
爆発オチでピリオドが付くのです

いやぁ舞台でのバクハツ落ちは
何とも珍しくて楽しかったデス♫

オープニングでの坊主の踊る
ヘビーローテーションとか
インパクトも強くて掴みはバッチリでした

昭和な感じのチラシにある
金眼像みたいのは出てこなかったけど
ドタバタ感の強い田舎暮らしコメディは
十二分に堪能できた作品でした

結局焼けた家から出て
都会に戻るという主人公さん
ホントは田舎暮らしはキツかったと
本音をもらしての終演です
何か定年退職後の
蕎麦屋とか居酒屋経営で失敗する
典型的なパターンみたいで
オチは妙に納得できましたわ

似非中国人観光業氏の連れて来る
二人組のベタな中国娘さんが
明るく楽しく気に入ったデス♫
位置について

位置について

かわいいコンビニ店員 飯田さん

吉祥寺シアター(東京都)

2025/11/12 (水) ~ 2025/11/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/11/14 (金) 14:00

9年前の初演(未見)の会場がシアターノルンだったと知った上で臨んだので装置を目にしてそのスケールから再演への意気込みを感ずる。
そんな中で演じられるのは保育士たちの奮闘記、というよりむしろ「悲哀記」、中盤でブレイクポイントになるか?という場面もあるものの結局そうもならず2時間半近く続くので観るのに体力を要した。
なお、その場面にデール・ワッサーマンの戯曲(ケン・キージー原作)「カッコーの巣の上を」の深夜パーティーの場面を想起。

勝手に唾が出てくる甘さ

勝手に唾が出てくる甘さ

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2025/11/14 (金) ~ 2025/11/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いつもとは趣の異なる、
どこか静けさをたたえた城山羊の会の舞台だったが、
終わってみれば、深い満足感が静かに胸に満ちていた。

注意事項で「スマホのバイブ音で台詞が聞こえないから
電源からお切りください」と言うくらい静かな舞台。
それでも、普通に鳴らしている人がいて驚いた。

真夜中に挽歌

真夜中に挽歌

Y.T.connection

上野ストアハウス(東京都)

2025/11/20 (木) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

船津祐太さんがとても良かった。ファンになりました。

氷河の果てに

氷河の果てに

虚空旅団

AI・HALL(兵庫県)

2025/11/21 (金) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

自らの生業とぴったりマッチ。同じ時代に同じように仕事をしてきたので、とても興味深かった。「紙焼き」「写真製版」とかのワードがチョー懐かしかった。

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