公演情報
SPACE U「とき語り 源氏物語」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/02/21 (土) 18:05
源氏を取り巻く、男たちの政略、因果応報のドラマに焦点をあて、今までの今作『とき語り 源氏物語』を30周年の記念公演として上演します!
梅若能楽学院会館さまの能舞台での上演が叶い、演劇における他の要素を極力そぎ落とし、【語る】ことにより、「漢(おとこ)…光源氏」の世界を鮮やかに描くと言う風にCoRich舞台芸術!のあらすじに書かれており、梅若能楽院会館での演劇公演ということもあり、その特殊な空間をどう活かすことができるのか、不安と期待が半々だったが、実際に観てみると、現代夢幻能のような感じに仕上がっていていて、思っていた以上の出来栄えに感心してしまった。
古典の紫式部の『源氏物語』を扱いつつも、服装や舞台セット、メイクから分かる感じにはなっておらず、それでいて、黒い足袋を履き、終始基本は摺足で、所々に平安時代の古語や和歌が盛り込まれ、現代語での台詞との違和感をそんなに感じない程、余りにも自然に劇中に織り込まれており、そのバランス、実験性と能的な所作が入り混じって、その両方の1方が目立ち過ぎたりせず、見事だった。
梅若能楽院会館の能楽舞台の特徴の1つの渡廊下も有効活用しており、能舞台独特の緊迫感、閉塞感、能舞台に役者が出てきて台詞を喋り始めたその瞬間から夢幻的な空間が潜在的に流れていて、何処からが始まりで、何処からが終わりか見え辛い空気感が漂っており、能舞台に対する最大限のリスペクトが感じられて良かった。
壮年の出家した光源氏が走馬燈として、自分の生みの親で後宮に住まう周りの嫉妬や度重なる嫌がらせに精神的に追い詰められ、心身共に病弱になって、病死したの桐壺更衣に瓜二つの藤壺女御や他に出会った女性たち、知り合った男たち、自分が今まで経験してきた人生を思い返すというような構成になっていて、夢幻能に寄せて来ている感じがした。
壮年の光源氏が劇の最後のほうで語る正式な妻を差置いて、『今までの女遍歴は皆、自分の生みの親桐壺更衣に生き写しの藤壺女御の影響を受けて、似た顔、代替物だったんだ』と言うようなことを言い、不倫や自分の過去の所業を何処か男の都合良く描き切っている辺り、昨今のジェンダー論的観点からは頂けないが、藤壺女御との近親相姦的要素を美しく、しかし何処か妖しく、儚く、破滅的禁忌を破った道ならざる純愛のように描かれていて、そこに妙な美意識を感じ取れた。