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マリーバードランド

マリーバードランド

やみ・あがりシアター

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2022/03/17 (木) ~ 2022/03/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/03/17 (木)

なんでわざわざ??…というよりこの会場(北とぴあペガサスホール)結婚披露宴会場として使い勝手がいいのね。そりゃこのホールになる前はそんな使いかを…と帰りのエレベーターの中でおじ様たちがお話していたわ。そんな結婚披露宴の一部始終に巻き込まれて、南極の氷が解けてしまうくらいの勢いがとまらない中の人たちをたっぷり観賞致しました。

リムーバリスト―引っ越し屋―

リムーバリスト―引っ越し屋―

劇団俳小

萬劇場(東京都)

2022/03/12 (土) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

実演鑑賞

鑑賞日2022/03/17 (木) 18:35

 『リムーバリスト 引っ越し屋』という劇のタイトルと、あらすじから、もちろん、DVやパワハラ、セクハラなどを扱っていることは知ってはいたが、それらの社会的な問題を扱いつつも、主人公が個性的だったり、アクが強かったりする登場人物のペースや勘違いに巻き込まれていくシチュエーションコメディかと思って観に行ったら、良い意味で私の予想を裏切ってくれて、実際は、笑いなんて一切ないどころか、不条理でバイオレンスなスピード感がありつつ、重厚なサスペンスで息もつかせぬほどに切迫して、観ている側の観客をその世界の渦の中に巻き込ませ、没入させていく新たな体験に、私がまるで起き上がれないぐらいの強烈なカウンターパンチを受けた時のように全身にとてつもない衝撃が走り、眼の前で起こっていることに戦慄し、終わってもしばらくは呆然としていて、今日に至るまでそのショックは、観た直後ほどではないが、持続しており、何かとてつもないものを観たという感じがしている。
 現代にまで続くパワハラやセクハラ、DVの問題、格差や貧富、権力の側にいる人間の、それを利用しての横暴の限りを尽くすことの問題を実際よりも相当誇張して表現してはいたが、DV夫による言葉や暴力によって妻を威圧し、怖がらせるリアルさや、いざ妻が自分のところを離れていきそうになるときの不安や惨めさ、巡査の上司であるダン·シモンズ巡査部長は警察という公の立場を利用してのセクハラ、DV夫が自分や訴えてきた女性の姉や女性に歯向かおうとしたことや、罵詈雑言を浴びせてきたのを、実際よりも大いに拡大解釈してこじつけ、殴る蹴るの暴行を加え続けたり、今までおとなしかったネヴィル·ロス巡査がDV夫の挑発にブチ切れ、(これは観客には観せないが)猛烈に殴る蹴る音が聞こえ続け、それが終わったと思ったら、暫くしてネヴィル·ロス巡査が顔にも手にもやけにリアルに見える血を滴らせて出てきて、オロオロして、狂気と正気の間を彷徨っている場面、最後の方で意識が朦朧として、アザや、顔面が血だらけになり、眼球がやや浮き出て、顎が外れている感じで、全身の感覚がないように見えるDV夫が、若干動き喋ったのを見て、束の間巡査部長と巡査は安心するが、数分話した後、DV夫が今度こそ息絶えたのを観て、ロス巡査はやけくそになって狂気に陥り、自分だけでなく巡査部長も巻き込もうとし、巡査部長は共犯者になりたくない保身から、何とか責任逃れをしようとし、最終的に殴り合いになり、最後に巡査部長がケリをつけるため拳銃を抜き巡査に狙いを定め、ゆっくりと引き金をひいてゆくところで暗転という、なんとも救いようがない話の上に、人間のエゴや醜い部分などが洗いざらい眼の前に暴き出され、まるで本気で殴り合い、相手を蹴飛ばしているように観ている側に感じさせるほど、白熱し、緊迫して、とてつもない臨場感と、役者が本気で言い合ったりするかのようなリアルさに満ちていて、まるでその中にいるかのように錯覚させられ、引き込まれた。

 この劇を観て、パワハラやセクハラ、DVの問題、格差社会や貧富の問題、権力の側の横暴さの問題など未だに完全には解決されていない問題について、改めて深く考えさせられ、失くしていかなければいけないと感じた。ただし、まずは私達一人ひとりがそういう問題について考えていくところからスタートしていくのではないかと思った。

悪いのは私じゃない

悪いのは私じゃない

MONO

吉祥寺シアター(東京都)

2022/03/11 (金) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

めちゃくちゃに面白い舞台

不安の倒し方について

不安の倒し方について

山田ジャパン

新宿シアタートップス(東京都)

2022/03/17 (木) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/03/17 (木) 19:00

130分。休憩なし。

一枚のハガキ

一枚のハガキ

劇団昴

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2022/03/16 (水) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

八岐大蛇は最高だった。和太鼓もすごい。
家が炎に包まれるシーンは衝撃的だ。このふたつが目玉。
このふたつだけでも観る価値ある。
個人的には、休憩15分が有難い。腎臓が悪いのでトイレが心配なので。

ひとつ残念なのは、小さな声で演技されているところはほとんど聴こえない。
せっかくの、素晴らしい昴さんの公演を楽しみに来ている人もガッカリなのでは?
そこの工夫があるといいですね。
今回はじめて昴さんの公演観ました。
人気があるのもうなずける。
とても素晴らしい公演でした。満足でした。

「悠久に遊ぶ」

「悠久に遊ぶ」

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)

2022/03/15 (火) ~ 2022/03/17 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

迫力があり、リズム感があり、衣装も凝っていて、飽きさせることはなく、最初から最後まで真剣に観てしまいました。
本当に素晴らしかった。
次回も期待です!!!

ハングマン

ハングマン

パルコ・プロデュース

世田谷パブリックシアター(東京都)

2018/05/16 (水) ~ 2018/05/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いい芝居だった

一枚のハガキ

一枚のハガキ

劇団昴

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2022/03/16 (水) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

上手に小さな納屋、下手に階段つきの高さ1m幅2mほどの台があり、軍の上官の演台や、兵士の二段ベッド、啓太の故郷の家になる。開幕時は正面は白いカーテンだけだが、その奥に、劇の中心となる森川の母屋があって、この出し入れで、大きな舞台の転換がある。こうした美術がよくできていた
ただし少々舞台が広すぎた感がある。

前半のどんどん場面が変わるのは、カットを積み重ねる映画のような効果があったが、少々説明的で感情がじっくり深まらないのが残念。
後半は一転、森川家で戦争未亡人の友子(服部幸子)と、尋ねてきた啓太(中西陽介)の二人芝居をじっくり見せる。欲を言えば、二人の対話にさらに時間をかけてもよかったのではないか。意外とサッサとすすんでいく。いい話だが、映画の舞台化にあたってのめりはりのつけかたが不十分だった。
神楽の竜踊りは見事の一言、これももっと見たかった。
2時間10分(休憩15分込み)

ネタバレBOX

森川の家が炎に包まれるシーンは、炎の効果満点。一転しての緑の、そして黄金色にかわる麦畑も併せて、いい場面だった。
裏切りの街

裏切りの街

パルコ・プロデュース

新国立劇場 中劇場(東京都)

2022/03/12 (土) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いやあ、驚いた。初めて会った二人のやりたい思いを隠した会話、夫への隠し事、彼女へのごまかし、それだけでこれほどニュアンスに富む芝居になるとは。前半は1時間半かけて、ネットで知り合ったダメ男と人妻が、3度目に会って体を交えるまでを、ためらいや無駄話でじっくりじっくりみせる。何も起きない、人生的深みもないのに、これがまったく飽きない。浮気の理由もない。ただ「なんとなく」。これほど非演劇的な話もないのに、すごい演劇的。非常にびっくりした。逆説的な舞台だった。

場面転換が多い。女のマンション、ダメ男のボロアパートもよく作りこまれたセットを使い、映画のような本当らしさがある。演技も、大きな感情の表出がない分、クローズアップ的な微細な演技で映画的といえる。それを舞台でやって観客を引き込むのだからすごい。

ショートメッセージやマッチングアプリの文字のやり取りを、舞台中央に浮かぶスマホ画面で、延々見せる。その間、俳優は自分のスマホに向かってカチカチやるだけ、「声」も動きもない。舞台ではほんとは避けるやり方を、確信犯的にやって成功している。
いろいろな意味で、アンチ演劇の舞台。
三浦大輔というとセックスを席らに描くので有名だが、そんなのなくても、すごいということがわかった。

ドライで冷徹な人間観が、絶望的なようで、意外にも救いを感じる。多少のことでびくびくするな、と勇気を与えてくれる、というか。とにかく、普通の道徳をすべてひっくり返したところに生まれる、かつてない生きやすさみたいなものを感じた。現実はこうはならないので、日常的な表層の底に、非日常的体験、演劇的飛躍がある。そこがひきつけられる理由だろう。アンチクライマックスによるカタルシス経験である。

3時間10分(休憩20分)

ネタバレBOX

後半は、浮気がばれて修羅場になるのかと思っていた。二幕早々、妊娠が起きる(うかつにも予想外だった)。ところが、すぐ「結論は決まってるでしょ。産めといわれても困る」と、軽くスルーしてしまう。あれ? ドラマが起きる格好の材料なのに…。と思っていると、浮気がばれるのも、夫からの呼び出しも、すべて衝突になりそうなことすべてが、何の衝突にもならずにすんでいく。「本当のことは一つじゃないんだよ」「君も面倒なことはいやだろ」とか言って、なかったことのように飲み込まれて行ってしまう。このアンチドラマの作劇にびっくりした。

夫も、ダメ男の彼女も、実は浮気していた。皆が皆相手を裏切っている「裏切りの街」。
裏切りの街【東京・大阪 全公演中止】

裏切りの街【東京・大阪 全公演中止】

パルコ・プロデュース

新国立劇場 中劇場(東京都)

2020/05/31 (日) ~ 2020/06/16 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いやあ、驚いた。初めて会った二人のやりたい思いを隠した会話、夫への隠し事、彼女へのごまかし、それだけでこれほどニュアンスに富む芝居になるとは。前半は1時間半かけて、ネットで知り合ったダメ男と人妻が、3度目に会って体を交えるまでを、ためらいや無駄話でじっくりじっくりみせる。何も起きない、人生的深みもないのに、これがまったく飽きない。浮気の理由もない。ただ「なんとなく」。これほど非演劇的な話もないのに、すごい演劇的。非常にびっくりした。逆説的な舞台だった。

場面転換が多い。女のマンション、ダメ男のボロアパートもよく作りこまれたセットを使い、映画のような本当らしさがある。演技も、大きな感情の表出がない分、クローズアップ的な微細な演技で映画的といえる。それを舞台でやって観客を引き込むのだからすごい。

ショートメッセージやマッチングアプリの文字のやり取りを、舞台中央に浮かぶスマホ画面で、延々見せる。その間、俳優は自分のスマホに向かってカチカチやるだけ、「声」も動きもない。舞台ではほんとは避けるやり方を、確信犯的にやって成功している。
いろいろな意味で、アンチ演劇の舞台。
三浦大輔というとセックスを席らに描くので有名だが、そんなのなくても、すごいということがわかった。

ドライで冷徹な人間観が、絶望的なようで、意外にも救いを感じる。多少のことでびくびくするな、という勇気を与えてくれる、というか。とにかく、普通の道徳をすべてひっくり返したところに生まれる、かつてない生きやすさみたいなものを感じた。現実はこうはならないので、日常的な表層の底に、非日常的体験、演劇的飛躍がある。そこがひきつけられる理由だろう。アンチクライマックスによるカタルシス経験である。

ネタバレBOX

後半は、浮気がばれて修羅場になるのかと思っていた。二幕早々、妊娠が起きる(うかつにも予想外だった)。ところが、すぐ「結論は決まってるでしょ。産めといわれても困る」と、軽くスルーしてしまう。あれ? ドラマが起きる格好の材料なのに…。と思っていると、浮気がばれるのも、夫からの呼び出しも、すべて衝突になりそうなことすべてが、何の衝突にもならずにすんでいく。「本当のことは一つじゃないんだよ」「君も面倒なことはいやだろ」とか言って、なかったことのように飲み込まれて行ってしまう。このアンチドラマの作劇にびっくりした。

夫も、ダメ男の彼女も、実は浮気していた。皆が皆相手を裏切っている「裏切りの街」。
リムーバリスト―引っ越し屋―

リムーバリスト―引っ越し屋―

劇団俳小

萬劇場(東京都)

2022/03/12 (土) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

1971年オーストラリアのメルボルンが舞台。開幕早々、主演の巡査部長役斉藤淳(あつし)氏が大暴れ。奥田瑛二と諏訪太朗を足したような魅力。初日の新人(北郷〈ほんごう〉良氏)にここでのルールを叩き込む。デンゼル・ワシントン主演の『トレーニング・デイ』宜しく、警察学校では教えてくれない本当の授業の開幕。『ここには正義も糞もない。自分が生き延びる事だけが全て。』と云う論理。そこに訪れる姉妹、裕福な歯科医のエロエロな妻(荒井晃恵さん)とその妹(小池のぞみさん)。妹が旦那(八柳豪〈やつやなぎたけし〉氏)からDVを受けているとの相談。下心ムンムンの巡査部長は引っ越し屋(大久保卓洋氏)を手配して妹の逃亡の手助けをするのだが・・・。

引っ越し屋のキャラクターが良い。三木のり平みたいに飄々として卓越した仕事人。クズ旦那のクズっ振りも清々しい。妙なナンセンス・コントのような空気感。

ネタバレBOX

起承転結の“承”までは楽しめた。“転”から怪しくなる。キャラ設定の崩壊?何か変な展開だなあ。引っ越し屋が意味ありげで謎めいたムードだが何もない。
自分が楽しめる作品ではなかった。このホンにこの演出じゃ役者が可哀想。巡査部長が間抜け過ぎる。こんな手際で30年も上手くやれる訳がない。多分上演当時は警察の腐敗をパロった切れ味鋭いホンだったのだろうが、2022年に通用するものではない。もっとホンを弄ってリアルな感覚に直した方が良い。部長は姉にブチ切れて殺し、止める妹も殺す。DV旦那は狂った警察に独り立ち向かう・・・。まあ、それもそれでつまらないが。
悪いのは私じゃない

悪いのは私じゃない

MONO

吉祥寺シアター(東京都)

2022/03/11 (金) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

小さな会社の密な人間関係の裏と表がだんだん見えてきておもしろい。勘違い上司や、裏読みゴシップ女や、正論煙たがられ女史など。どこにでもいそうな人たちの右往左往のコメディ。

社員旅行を年に二度もやるのが社員のためと考えるアナクロ社長。突然やめた社員が、代理人を通じて、実はいじめを受けていたと告発をおくってくる。その調査のため、総務課長(金替康博)と同課長代理(石丸奈菜未)が社員を一人ずつ呼び出して話を聞く。でもこの二人実は不倫中。手錠を買って夜は刑事ごっこをやろうなどという話を、調査前にイチャイチャしている。呼ばれた社員も、普段は言えない上司への不満や、同僚のゴシップを「ここだけの話」と次々話す。やめた社員の直接の上司(水沼健)は「俺はわるくない」と。部下をからかって嫌われていたが、本人はそれで課内を和ませているつもりだった。ところが、話した内容が外に漏れたらしい、とわかって、互いに疑心暗鬼に…。

最後は、意外と真面目に終わらせる。リアルな会話の応酬が互いの仮面をはいでいくが、それで終わりでない。いつのまにか癒しの世界に舞台が変わり、許しと友愛が訪れる。終わってみれば、一つの大人のメルヘンだったような気もする。

ネタバレBOX

ICレコーダーを盗んだ犯人は、普段から社内のゴシップ集めを、また別の人間のためにやっていた。社員のリベート着服をえらそうに批判した社長も、実は裏金をもらっていた。そうして、渦の外にいると安心していた偉い人も仮面がはがれていく。
とにかくみんなの前で懺悔して気持ちよくなるというのは、寓話として、思考実験として面白かった。
売春捜査官

売春捜査官

KURAGE PROJECT

高田馬場ラビネスト(東京都)

2022/03/16 (水) ~ 2022/03/21 (月)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

リムーバリスト―引っ越し屋―

リムーバリスト―引っ越し屋―

劇団俳小

萬劇場(東京都)

2022/03/12 (土) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/03/17 (木) 18:30

3/17の夜の部観て来ました。
とにかく内容が凄いですね。
パワハラ。セクハラ。ドメスティックバイオレンス。暴力と全てが話しの中に含まれているので、観ていて大変でした。
チラシを読むと、1970年代のオーストラリアの社会問題だったとか。
連日いいお芝居が観られて大満足です。有難うございました。

#斉藤淳
#八柳豪

ネタバレBOX

最後のシーンがとっても印象的でしたね。
リムーバリスト―引っ越し屋―

リムーバリスト―引っ越し屋―

劇団俳小

萬劇場(東京都)

2022/03/12 (土) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

期待外れの一言。
バイオレンスもパワハラもセクハラも薄くて味がない。
女性二人は何か別の劇をやっているかのように混じり合わない。
昔のオーストラリアも関係ない。
引越屋の存在も調味料でしかない。

数年後に「当時は観る目がなかったなあ」と振り返ることになるのだろうか。

ネタバレBOX

全公演が終わったので再検討してみた。

・バイオレンスもパワハラもセクハラも薄くて味がない。
→バイオレンスについては『殺し屋ジョー』と比べると全く怖くない。もっとも、あちらは舞台が遠いし照明も暗かった。逆に言うとなぜ明るい舞台にしたのかということになるがバイオレンスをほどほどにしたかったのだろう。
最初の部長と新入りの会話だって単にしつこいだけでパワハラの不快さがマイルドである。
セクハラも笑いを取りに来ているし。

・女性二人は何か別の劇をやっているかのように混じり合わない。
→一人はラブコメ、一人は時代がかった悲劇でも演じているかのよう。狙った演出のはずなので何か奇妙な雰囲気を作り出そうとしたのだろう。

・昔のオーストラリアも関係ない。
→オーストラリアの人にはあれは何これは何と分かることがあるのかもしれないが、私にとってはどこにでもある暴力警官の話にすぎない。

・引っ越し屋の存在も調味料でしかない。
→それで正解。表題にはなっているがアクセントにすぎない。

結末の「殺したと思った相手が生きていた…→警官同士の殺し合い」は完全にエンタメ・アクション映画だ。色々総合して考えるとこの劇は社会派劇ではなくコメディかエンタメということになる。会場で配布される立派なパンフの格調高い文章を読んで勘違いしたけれど、そういうことなのだ。しかし考えれば考えるほどこの劇、すべてが噛み合わないように作られている。
サヨナフーピストル連続射殺魔ノリオの青春

サヨナフーピストル連続射殺魔ノリオの青春

オフィスコットーネ

シアター711(東京都)

2022/03/11 (金) ~ 2022/03/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

永山則夫は十三歳年下だが、私が社会に出て仕事を覚え始めたころにこの事件が起きたので忘れられない犯罪事件だ。昭和三十年から四十年にかけて、高度成長驀進中の社会で、経済による階層分化は、音を立てて、日々進んでいった。当時を知らない今の人びとも記録を渉猟すればその実態のすさまじさは理解できるだろう。
現在は、「ノリオ」の直接原因となった貧窮の実態は当時とは変わってしまっているが、今もなお、社会に巣くう様々な形の階層分化はいまを生きる人間の宿痾の源になっている。
この芝居のテーマは確かに今も生きている。満席の客席が粛然となったことも肯ける。
舞台ではノリオ(池下重大)の軌跡が、犠牲者四人が、紀夫の家族(母・水野あや、姉・清水直子)のもとに集まってくるという巧みな相対化の仕掛けの中で演じられる。どのようなテキストレジがされているかは知らないが、過不足ない演出だ。711の狭い劇場の観客に、網走の氷の海に浮かぶ氷山でひとり遊ぶ幼いノリオを眼前に見せてくれる。
俳優も全員が、よく演じ切っている。幕間なしの1時間45分。
現実の本人の犯行からその後の獄中の変遷まで、事実はセンチメンタルな悲劇やプロバカンダ劇に流れやすい素材だが、そこをよく押さえ、現代の社会がもたらす普遍的な差別の社会劇にまとめた見事な舞台であった。見た回にはオマケで、母親が事件後に取材を受ける短いひとり芝居〈15分〉がついていて、濃い内容の芝居を見た後、劇場を出るまでの短いブリッジになっていたが、やはりこれは蛇足だろう。観劇後そのまま今の世の中に放りだされたほうが心に響いたと思う。

だからわたしたちは今日も

だからわたしたちは今日も

三栄町LIVE

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2022/03/17 (木) ~ 2022/03/21 (月)公演終了

満足度★★

前回は面白かったが、今回は…。コスパも、内容も悪かった。今の若い人はこうなのか…😣

マリーバードランド

マリーバードランド

やみ・あがりシアター

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2022/03/17 (木) ~ 2022/03/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/03/17 (木) 19:00

南極であげる結婚式💒 愛し合う二人が帝国ホテルよりも高い費用をかけてここで結婚式をするのには、色々な大人の事情があるわけです。

設定、展開、回収ととても巧みで、最初から終わりの少し前まで、終始ニヤニヤしながら見続けられました。

ただ巧みさよりも、やっぱり熱量がハンパないお芝居だったと思います。汗ダラダラだったし💦
そして見終わった後の満足感も十分

とても楽しいお芝居でした🐧

売春捜査官

売春捜査官

KURAGE PROJECT

高田馬場ラビネスト(東京都)

2022/03/16 (水) ~ 2022/03/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/03/17 (木) 19:00

男女比9:1、ほぼ満席、席は自由席、ただ前から三番目はご自身の座高に余程自信がない限り座らない方が良いです。前の人の頭で見えないところがたくさんある!
あと冷房がすごいきいてる!体を摩擦してどうにか寒さを凌ごうとしてる人が気になってしまった!役者さんのためだから客は羽織るもん持ってきて!

みんな声が大きくてよいです!声が大きい人は大好きです!パッション感じました!
もう一回見に行きます!そのくらい素晴らしかった…!お時間がある方も是非!

ネタバレBOX

※ちょっと女性が顔を顰めるようなお下品なシーンがありますので、そういうの笑って許せる方向けです。

存じ上げなかったのですが、何回も色んな方が演じられている作品なんですね、なのでストーリーについては割愛しまして、、、。
最初1時間はキャストの顔見せついでの軽いジャブだと思ったら渾身のストレートギャグが飛んできて、アッという間に過ぎていくと思います。
ウノ!(2枚以上持ちながら)大好き。散々ふざけ倒した後の今からOP!?の衝撃は凄まじかったです。
殺人現場の再現というシリアスなシーン中「僕、●ン●ンマン!」がぶり返してしまい(集中してください)笑いをこらえるのに必死でした。
花を叩きつけるシーン、全然見えなかったのが悔やまれるなぁ、次この劇場来ることあったら絶対前の方に行きたいと思いました。
リムーバリスト―引っ越し屋―

リムーバリスト―引っ越し屋―

劇団俳小

萬劇場(東京都)

2022/03/12 (土) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

説明で気になっていた伏字はだいたい分かった。ところが、今度は何故「リムーバリスト ー引っ越し屋ー」というタイトルなのか。確かに引っ越し屋は登場するが、多くは語らない。表層的には、暴力と隠蔽、貧富格差、愛憎と崩壊といった嫌悪内容を、圧倒的な迫力(演技)をもって描いている。嫌悪の中心的人物・シモンズ巡査部長は、その地や環境にいることによって得た権力であり、それを背景に やりたい放題の悪行が透けて見えてくる。人は一度権力という甘い蜜を味わうと感覚がマヒするのだろうか。1970年代 オーストラリアが舞台であるが、現代日本にも通じるところがあるような…。
(上演時間2時間 途中休憩なし)

ネタバレBOX

回転舞台。冒頭は荷物がほとんど運び出された後の部屋(カーター家)。次に警察派出所で舞台美術の表裏凹凸を生かした出入り口や窓の作りは上手い。そして回転する都度、情景が変化し物語へ集中させる(舞台回転中も興味を持って見入ってしまう)。再びカーター家へ戻った時には、TVを始めいくつもの家具がある。冒頭の舞台は、愛の終わり その果てである。その崩壊の経過こそが引っ越しにおける荷物の搬出行為であろう。物語は信頼(もしくは愛情)関係とその不信・崩壊が根底にある。終焉のきっかけが暴力であり背信行為である。

カーター家・夫ケニーは妻フィオナに家庭内暴力を加え、フィオナの姉ケイト・メイソンと一緒に被害を派出所へ訴え出る。派出所には、ベテランのシモンズ巡査部長ーパワハラ、セクハラ気質の男と警察学校を出たばかりの新米巡査ロスがいる。
フィオナは夫と別れたいと言い、シモンズは姉妹への下心からケニーがパブで飲んでいる間に引っ越し屋を呼んで家具を持ち出すと提案する。しかし、ケニーはその晩に限ってパブに寄らずに帰ってくる。そして引っ越し屋が現れ、寝耳に水のケニーが逆上したところにシモンズとロスが入ってきて…。

いくつもの観点がある。もちろんシモンズ巡査部長の暴力や理不尽な行為。それは派出所、管轄地域内での職業的地位を利用した行き過ぎた権力の行使。そしてケニー夫婦、その結婚生活の崩壊を引っ越し作業を手伝うが下心ありあり。シモンズ部長刑事は、この地に長く勤務しており、街の恥部を知り尽くし悪用している。一方、貧富格差や自分の自尊心を傷つけられることに異常に反応する。公演では、シモンズ部長刑事の人間性を掘り下げることで、社会の理不尽さと照合させる。異動がない、2人しかいない逃げ場のない派出所という場所は、小さいながらも権力を保持しやすい。社会(組織)の欠陥によって人が作り上げられた典型的な物語。

キャストは6人で、それぞれの性格と役割はしっかり観える。
シモンズ部長刑事(斉藤淳サン)は、威圧・威喝する圧倒的な存在感を出し、厭らし感たっぷり。新人巡査・ロス(北郷良サン)は、正義感あるが融通が利かない小心者。ケニー(八柳豪サン)は、ゲスぶり、強かさが十分伝わる。フィオナ(小池のぞみサン)は、おっとりしているようで芯の強い女性。ケイト・メイソン(荒井晃恵サン)は、色気 エロっぽさムンムンの姿態。引っ越し屋・ロブ(大久保卓洋サン)は、朴訥とした口調、稼業に誇りを持つが、何となく不気味な存在。控えめな存在こそ、我関せずの傍観者である。ロスに作業を行わせ、困った事(運出し順が不明)があれば指示を求め、決して表立たない狡猾さ。が、他の人物に比べれば普通の人に見えるところが怖くもある。

表層的には破壊力ある場面、そこに色香というかエロさを漂わせ、舞台的な絵図としては男女の物語といった印象。しかし、根底には人が持つ本能というか本性が描かれ、その先に社会システムの歪さ、弱点を垣間見せる秀作。
卑小だが、カーター家の問題を契機に派出所(刑事)と繋がるが、それ以降の繋がりに緊密さが見えないところが残念。
次回公演を楽しみにしております。

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