
リムーバリスト―引っ越し屋―
劇団俳小
萬劇場(東京都)
2022/03/12 (土) ~ 2022/03/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
家庭内暴力、官憲の横暴、家族夫婦間の倫理の欠如など、日常社会の中に潜む非人道性を描いたドラマだ。オーストラリアの長老劇作家であるウイリアムソンが五十年前に書いたデビュー作という。
劇団俳小は三年前に「殺し屋ジョー」と言うアメリカのプアホワイのトレーラーハウスを舞台に殺し屋を描いた優れたハードボイルド作品を創りだしヒットした。今回は同じ路線で、悪徳警官ものだが、国がオーストラリアとなって味わいも違う。舞台はメルボルンのいかがわしい街の警察の分署。なれ合いの警察に染まり切った分署長〈斎藤淳〉のもとに新人警官(北郷良)が赴任してくる。分署長が、若い警官に警察学校では習わない現実生活の教育をする一日の物語である。持ち込まれる事件は、ドイツに出稼ぎに行っているうちにひどい男(八柳豪)にひかかって帰国、子供までできたが、何とか別れたいと苦慮する女(小池のぞみ)と、その相談相手の姉(荒井晃惠)が持ち込んでくる家庭内暴力からの逃走である。暴力的な夫が夜勤の金曜日の夜に家財とともに逃げようと引っ越し屋(大久保卓洋)を手配し、助平心から警官二人も手つだおうとしたところで夫が帰ってくる。
権力をかさに着て、自分では、在職三十年で一度も拳銃を抜いたことがなく、逮捕したこともないと警察生活の極意を説く分署長も人間的にも社会的にもいい加減だが、相談する方の姉妹も夫婦のモラルなど毛筋ほどにも考えていない。その社会の壊れ具合を象徴するように我関せずの引っ越し屋が次々と家具を運び出していく。その中で警官たちと夫、夫と妻の争いがあり、遂には殺人にまで発展する。
五十年前の本で、オーストラリアと言う国情もあってか、「殺し屋ジョー」のようなピストルを撃ち合う殺伐さよりも、現在の社会には遍在してしまった日常モラルの頽廃が、笑ってしまうような勝手放題なストーリーで展開する。古めかしくもあるが、今や、こういう事態は我が国でも珍しくない。俳優は俳優座から借りてきた斎藤淳と八柳豪が、さすがに動きもセリフの切れもよく、舞台を支える。俳小では若い警官役の北郷亮が、格段の進歩。大久保卓洋もとぼけた味を出している。女優陣はかなり苦しい。役に柱を通すところが出来ていないので、どこまで行っても不見転女の勝手でドラマに深く咬んでこない。
前作の演出が腕力型のシライケイタだったのに比べると今回の小笠原響はおとなしくまとめる方だ。まとまってはいるのだが上手の手から水も漏れる。プロローグの男女二人のシーンは、思わせぶりだが何のことかわからなかった。休憩なしの2時間。

「悠久に遊ぶ」
ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団
渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)
2022/03/15 (火) ~ 2022/03/17 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/03/15 (火) 19:00
沢山の方が踊られるので、その迫力は飛び抜けていますね。

リムーバリスト―引っ越し屋―
劇団俳小
萬劇場(東京都)
2022/03/12 (土) ~ 2022/03/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
前々作がやはり暴力描写のある芝居で、同じくオーストラリア産の、入植白人とアボリジニの確執の話だった。今作は現代(携帯電話が出てこないので20世紀の戯曲と推測)のメルボルンの荒廃地区に勤務する二人の警官が、とある日の数時間に体現する暴力とその心理構造を炙り出すような作品。
役者の負荷が大きい戯曲で、violenceが暴発する狂気の瞬間だけでなくそこに至る精神状況の過程を辿る。戯曲の台詞がそれを誘導している。破滅的な結末は、告発的作品な色を帯びなくもないが、カタストロフに浸るだけでは済まさない要素がある。
観たばかりの青年劇場「裸の町」は真船豊による昭和前期の、小さな人間たちを描いた作品だったが、「鼬」と同じく金銭、引いては当時浸透の過程にあった資本制の持つ暴力性を描き、システムの中の人間の闇に触れる。両者全く違う作風だが似た風景を見る感覚を覚えた。

ネオンキッズ
OFFICE SHIKA
座・高円寺1(東京都)
2022/03/03 (木) ~ 2022/03/14 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
OFFICE SHIKAには三度目(位)のお目見え。鹿殺しもそうだがディストーションの掛かったギターでダークな世界観を盛り上げ、照明暗めの印象は今回も通じる。音量大きめ、照明は「ネオン」の青赤緑が基調。つい最近見たトー横キッズを撮ったTVドキュメンタリーの題材がそのまま出て来てオヤ?と思う。だがドキュメントにも登場していた(無論同一人物な訳はないが)面倒見の良い兄貴の「実像」が明らかになる所から芝居はダークサイドへ。
音楽劇ではあるが、それにしても女子がソロを聴かせる歌が多く、歌い終わると拍手の音が大きくやや長。なんだか芝居仕立てのコンサートにコアファンが来てる風な雰囲気だな、と終演後にパンフを見るとAKBメンバーが3名出演していた。芝居も歌も若干3人フィーチャーした感じを持ったがそうだったのねと納得。あの演技で良しとした(演出がOKした)事情にも納得。(いや納得したくはないのだが、容姿の貢献と相殺されてる感は序盤からあると言えばあって、大詰めでもそれは変わらなかったというだけの話。ただ欲を言えば悲しみ絶望自棄っぱちな気分を彼女らが実在のキッズに心寄せて追体験することが出来たなら、それは舞台の感動とリンクした事だろうに、と惜しく思うのみ。)

リムーバリスト―引っ越し屋―
劇団俳小
萬劇場(東京都)
2022/03/12 (土) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

サブジェクション【初日延期・3月2日初日】
リブレセン 劇団離風霊船
雑遊(東京都)
2022/03/02 (水) ~ 2022/03/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/03/02 (水) 14:00
とある劇団の劇場入りの日、雑遊(らしき劇場)の舞台には何故か家族が生活していて……な不可解な状況から始まるバックステージ系物語。1994年以来4度目の上演とのことだが物語の芯となる部分はむしろイマの演劇界の状況まんまで得心。
また、演出の伊東さんによる改訂もあるそうで、より現実に即したと言うか、メタフィクションの度合いが増したと言うか、「第四の壁」が薄くなったのではなかろうか? 個人的にはこういうの、大好き♪ そしていかにも離風霊船らしい「トリッキーでリアル」な作品だと思う。
装置のシカケもここの見どころの一つで、今回も「え、あんな短い暗転でどうやって???」と思った種明かしが終盤であったのも良かった。そのシカケに1998年秋の「もう一人の善き人」を思い出した。

ハワイ
エトエ
OFF OFFシアター(東京都)
2022/03/12 (土) ~ 2022/03/13 (日)公演終了

悪いのは私じゃない
MONO
吉祥寺シアター(東京都)
2022/03/11 (金) ~ 2022/03/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
人間描写があざといくらいに面白い!
そして皆さん見事に我が強い(笑)
自身をそこに投影というより、よそ様の会社の人間模様をガン見している感じ。
とは言え身に覚えアリの発言にドキッとする観客はきっと一定数いるはずで、ハイ自分もその一人でした。
同じ組織内にいても個人個人で見ている景色はこんなに違うんだって、あたりまえだけれど、こうして俯瞰で見せてもらえると、苦々しくも可笑しくって、ハイ勉強になります。
ジャパニーズビジネスマン&ウーマンがぶつかり合い転がっていくストーリーに舌鼓を打ちつつ
やっぱり何よりのご馳走は思わずだだ漏れてくる彼等の人間味。
いろんな立場、いろんな性格の人間味が絶妙に絡み合い、時には艶っぽく、時にはほろ苦く、2時間最後まで美味しく楽しめる大人味の作品でした。
山奥の小さな会社、大きな窓から見える山々(ジオラマ)の風景が魅力的。
美術さんも良い仕事しています。

其ノ街の涯ル
中央大学第二演劇研究会
シアター風姿花伝(東京都)
2022/03/10 (木) ~ 2022/03/13 (日)公演終了

ハワイ
エトエ
OFF OFFシアター(東京都)
2022/03/12 (土) ~ 2022/03/13 (日)公演終了

リムーバリスト―引っ越し屋―
劇団俳小
萬劇場(東京都)
2022/03/12 (土) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

23時のカステラ
CONVEY
P'spot14(大阪府)
2022/03/14 (月) ~ 2022/03/14 (月)公演終了
満足度★★★★★
とても良かった‼️題名とどこで繋がるのかと不安だったが、最後に歯車があって、とても満足🈵😃✨。演技も素晴らしかったです。次も観たいです‼️

ヤミイチ
TOMOIKEプロデュース
シアター711(東京都)
2022/02/23 (水) ~ 2022/02/27 (日)公演終了

Anonymous Gods
Orgel Theatre
雑遊(東京都)
2022/02/24 (木) ~ 2022/02/27 (日)公演終了

White Valentine Show
DIAMOND☆DOGS
博品館劇場(東京都)
2022/03/09 (水) ~ 2022/03/16 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
平均年齢が若返ったせいなのかどうかはわからないが、全体的に無難にまとめたような感じはする。観ていて楽しいのは楽しい。ファン感謝イベントとしてなら、これもありなのかもしれない。個人的には、もっと迫力のある魅せるダンスが、もっと観たかったのだが・・・。

ファンタスマゴリ
ガラ劇
シアターシャイン(東京都)
2022/03/09 (水) ~ 2022/03/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
AチームとBチーム観劇したけど、ガラ劇特有の言葉遊びふんだんに使われていて
ガラ劇らしさがあって楽しめた
やっぱりガラ劇さんは舞台は面白い
それにどの役者も素晴らしかった
素晴らしく面白い舞台ありがとう

ハワイ
エトエ
OFF OFFシアター(東京都)
2022/03/12 (土) ~ 2022/03/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ナンセンスであるが
とても笑えた(^-^)
自分的には友人宅に友人が訪問する?
という話と
思っても無い事を察し忖度されて迷惑する話が
受けたなぁ~♪と

劇團有機座・ウイングス
有機事務所 / 劇団有機座
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2022/03/10 (木) ~ 2022/03/13 (日)公演終了

黒使
劇団脳殺定理
アカルスタジオ(大阪府)
2022/02/25 (金) ~ 2022/02/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
おおさか学生演劇祭参加作品、千秋楽観劇。
光合聲さんの黒使を見逃したので、今回、とても楽しみにしてました。
正義感に溢れる刑事、闇の監視官、そして黒使。
犯罪大国となり酷使される警察を舞台に、それぞれの正義が…
鍔競り合いの様なヒリヒリする展開、堪能しました。
面白かった。

まだ青い欲
創造Street
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2022/02/25 (金) ~ 2022/02/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
楽日観劇。
ヤバい転売でお金を得ていた5人。
10年前の事を捜査する刑事。
10年前の記憶は錯綜し…
家族同然と思っていた、人との繋がりって!?
色々と考えさせられる公演でした。
リアルにソコに存在し、
ギラギラ眩しく、
フワフワ儚い、
青春の残像の様…
面白かった。
いつものはみでた若者たちの描写から、
一歩引いた社会派っぽい切り口があった様な…
それが返って青く見えたかも…
★4つか5つかで悩みどころだが、挑戦的なところを評価して、今回は★5つでお願いします。