満足度★★★★
ねこ
やっぱり「母」とはよくわからないものらしい。
ネタバレBOX
父(塚越健一)が死んだ後の母(大原研二)の話。息子(東谷英人)の嫁(堀奈津美)に、「内助の功」とか「仕事やめて」とか言っちゃうデフォルメされた「母」。ベージュねこ(なかむら凛)とくろねこ(百花亜希)の幻想を通して過去を想い、誰も分かってくれない、と精神不安定になる。父の遺言の言葉に母は救われるもそれは脚本家の息子の創作だった…。
2匹のねこが回想の中の母を演じているのを、外から眺める母。1つは息子が演劇の道を進む時。1つは、娘(若林えり)の受験勉強の時。どちらも母の想いは家族に届かず、母の孤独は深まり続ける。ねこ達との独白でも、お買い物メモに「辛い」とかいてしまうくらい、寂しさの中に生きる母。息子も娘も距離ができて、父を亡くした母。寂しさのどん底で2匹のねこを創り出す…。
子としては、そんな母の寂しさなんて知りたくもないとうか見たくもないというのが率直なところ。親が泣くところも見たくないし。ただ目が離せなかった。
2匹のねこは下手に媚びてないとこと猫っぽくしないところが良かった。でも、OPの堀奈津美の乳揉みは意味わからんかった。サービス?
満足度★★★★
大卒
楽しめた。感覚的に好きな劇団。
ネタバレBOX
ポーの国の国境の町・ロンドのバー「smoke」でニセの通行手形を売る、詐欺集団レッド団の元リーダーのレッド(石田誠二)と、元仲間や軍人らが繰り広げるハードボイルド風味の舞台。
それぞれの利害と立場で状況が二転三転するのが魅力。んで、最後は占領軍(帝国軍)に一泡吹かせるも、しっとりとしたところに落ち着く。
リリィ(生見司織)が、国連軍のスパイでなく精神疾患で未だレッドに想いを寄せているというところがしんみりする。それでもレッドは命の恩人の娘のチコちゃん(後藤幸子)と一緒にいると選択する…という確かにハードボイルド風味。笑いも少なめな印象。ケチをつけるなら、リリィはもっとレッドを奪うためかき回してもよかったかな。レッドを助けたい一心で、帝国軍のスパイになったチコちゃんの見せ場ももっと盛り上がって良いし。
詐欺師たちの話ということで、どこか信じてはいけないような空気があって、素直に物語に浸れないところも(警官隊のマーチみたいなストレートさが好みだからか)。場面転換が多いのはいつもどおりか。ちょっと日時とか場所の進行がわかりにくい。
役者は、帝国軍のコーネリアス少佐役の八須賀孝蔵と生見司織が良かった。キャラ的には赤石さん(小澤貴)の侍ぶりがよかった。頼りになるし。
大卒狩りって着眼点は面白い。あんま話には関係しないのが残念だけど。
星から生まれて
岸田國士戯曲賞「わが星」を見てみようと思って。
ネタバレBOX
演者は中高生だろうか。これくらいの人がやる舞台は初めてみたけどなかなか観ていられた。たどたどしいとこもあるけど。有名な作品やるのは勇気なのか、意欲があるのかしらないけど良いことだと思う。てか難しくないのかな、こういう作品って。
ミニマムで壮大な印象。リフレインと発声の妙、時間と空間が濃縮された演劇…。うまい演劇だった。
満足度★★★★
どこかのだれかの笑顔に
面白かった。
ネタバレBOX
お上のおふれにより庶民の娯楽が奪われつつある時代。葛飾北斎の孫娘・応為(山口紗貴)は読み物書きの浮水英斎(玉井勝教)や歌川國芳(ヲギサトシ)らと浮世絵を描いた巨大な凧をあげることを計画するも、鳥居(あンな邦祐)らお上に嗅ぎつけられ、浮水は命を落とす。応為らは裁きをうけるも、応為の描いた浮世絵から生まれた頼光(福島慎之介)や商人・竹ノ屋(残間統)の助力を得て、凧を盛大にあげ、頼光は絵に戻る…。
自分の成したことが、どこかの誰かの幸せになっている…という労働賛歌。この思考って大切かもしれない。停滞感漂う世の中で、芸術とかエンタメというもののがマイナスな目で見られることへの警鐘とも感じた(震災時期に舞台芸術の挨拶文でもこんな意見が目に付いたし)。
作品自体は、序盤のようなノリのよいBGMとイキオイのある殺陣、お上へのレジスタンス的な活劇、ファンタジー、恋愛や友情、愛情、大切な人の死とか、王道な要素がバランス良く盛り込まれている、ストレートな印象。
ただ、なんのためにこれをしているのか…というモヤモヤを、爽快に吹き飛ばしてくれたことと、人物の演技がうまいのか描き方が上手いのか、ジーンとくるシーンが多くて充実感に満たされる。特に凧揚げのシーンは、応為らの満足げな表情が客席まで波及してくるようだった。
応為をはじめ、人物造形はかなり普通なんだけど、面白かったのは話がしっかりした証拠か。頼光の実力があって、実直というか素直な気性は少年漫画の主人公みたい。そこが気に入った。浮水を父と認めるとことか。殺陣シーンもかっこよかった。
満足度★★★
誰かいるから
チケットプレゼントにて鑑賞。どこかたどたどしいような印象。
正村徹と富真道が良かった。セットも小道具もしっかりしてた。
ネタバレBOX
震災後の9月。伊勢神宮近くの喫茶店・ホットラインが舞台。そこに津波で親を亡くした三姉妹が疎開してくる。その人間模様。
作家の甲本(正村)の忠告で疎開を決めた三姉妹。長女・真帆(相原)はホットラインで働き、次女・美帆(新妻)は行方不明のフィアンセへの想いを押し殺して保育士として働き、三女・夏帆(光藤)は笑顔少なく高校へ通う。
津波と放射能のダブルでふるさとを壊された三姉妹を淡々と描き、そんな苦境の中のか細い光を感じさせる。人間の強さというか非合理的な意地というか。三姉妹の水族館での会話シーンは寂しさと愛情が詰まってて良かった。あと、大晦日のお祭り的忘年会も。
実際、自分の故郷が壊滅的被害を受けたら、死の町と言われたらどう感じたろうか。誰も本当のことをわからない中で軽くない判断を迫られた三姉妹の心を推し量る想像力が、自分には足らなかったのかもしれない。
満足度★★★
スピカ
丹羽実麻子はめちゃ美人。
ネタバレBOX
父(石原)の子かわからないスピカ(丹羽)は父の失踪後孤児院の教会へ。その教会がなくなる危機に瀕し、丹羽は強盗だか窃盗だかを、郵便局員(石原)を巻き込み実行し、教会を救おうとする。教会が父との再会の場と信じて…。
というような話を時系列を前後させ、小刻みにかつ断片的に観せる。正直この解釈で良かったのか不安でもある。ちょっと戸惑った。最初スピカとその母(過去回想)を描いているのかと思ってた。(ちゃんとアクセサリーで示唆してたけど)
どことなくアウトローな父に愛情を求める、ちょっと小悪魔なスピカが、一生懸命に悪事を働く姿が純粋で寂しくて魅力的。ラスト、父からのクリスマスプレゼントを受け取り、あぁ良かったなと思わせる。
一方の郵便局員も、母は売春婦、寂しさから万引き、中学生頃の失恋と、哀愁漂う。そして、スピカの犯罪に手を貸し、一人で罪をかぶる…。あくまでメインがスピカだからか、動機とか心情をもう少し描いてくれても良かった。まあ想像の余地があって良いのだろうけど。
スピッツ「スピカ」が素敵。「言葉よりふれあい求めて 突き進む君へ」「やたらマジメな夜 なぜだか泣きそうになる」
満足度★★★★★
リーディングというか一人芝居
いい芝居だったと思う。
ネタバレBOX
時間にして30分程度。いい感じに雰囲気をつくってた。郵便局の青年との場面が見ごたえあった。小道具に外国な感じがほしかった。あたりまえだけど、男性演技より女性演技がしっくりくる。
ショートカットからのぞく眼の表情が良い。
アフターイベントという名の佐藤みゆき一人芝居にも満足した。公演観たくなったし。小道具をいろいろ駆使して、役も演じ分け、涼しい顔して芸達者な方だなと。
この二本を観れて1500円はとても安い。
満足度★★★★
かっこいい三枚目
初コンドルズ。「こどもの劇場」ってことでこの内容なのか、いつもこんな感じなのか。どちらにしろ楽しかった。
演劇のようなコントのような、遊び心溢れる構成で面白い120分だった。
ネタバレBOX
上からの定点カメラで、人間ピラミッドとか振り子(サーカスか)とかリポビタンDのCMを表現したパフォーマンスに、単純に関心してしまった。
SE・TA・GA・YAとかのネタも豊富だったし、客席の雰囲気も良かった。もうちょいダンスが多めでも良いかなと感じたけど。
なんとなく藤田善宏が気に入った。HP見ると皆多才なカンパニーだな。
ちなみに、ゲストの安田美沙子に最後まで気づかなかった。制服姿とかとてもかわいかったけど。
満足度★★★★
アイ・アム・ウェイティング・フォー・ザ・マン
「ゴドーを待ちながら」は観たことない。「見にこなきゃ良かった?」「いいところまできてる」「一人でいるときは大抵空しい」ってのが何故か印象深い。
今回の企画のチラシ(過去チラシの総集)は、どのデザインも素敵だ。
ネタバレBOX
正直話はよくわからない(不条理劇って馴染みないし)。でも舞台の魅力はあった。変な客いじりってわけでない舞台演出と、役者の魅力みたいな一生懸命さみたいな…。
上の3つは七味まゆ味の言葉。アドリブっぽい(実際はしらないけど)言葉と雰囲気になんか求心力を感じた。まあ七味だけでなく石原もそうだけど。良い舞台だったよ。
敢闘賞は、舞台に上げられた若い女性と60くらいの男性。
満足度★★★★
紛れて誰を言え
永津真奈はめちゃ美人。
ネタバレBOX
笑いと苦さの中に美醜への哲学と夫婦の愛情とか織り交ぜての55分。
美人に整形した妻の永津とそれに反抗してブサイクに整形した夫の石原。美人な妻にへんなヤキモチを焼く石原に対して、美人になって中身も変わったと言う永津。整形して態度が変わった夫に半ば失望した妻というかたちであるが、舞台は不思議なあたたかさに包まれる。多分、石原のそれでも妻を愛しているという根幹があるからか。
話は進んで、お腹の大きくなった永津。仕事を探す毎日の石原が、とある喫茶店で妻のヌード絵画を目にして気を揉んでまたひと悶着。
さらに時間が進んで、子供の一周忌?。生後ほどなく他界した息子・鈴音(レイン)の死は整形が原因じゃないか、と弱気になる妻。それを慰める石原。生まれる前、遺伝子まで整形できたら(整形前のような容貌の子が生まれるんじゃないかという危惧)といっていた永津も、見た目じゃなく元気に生まれてほしかったんだと後悔するも、とぼけた石原とともに雨の中お寺へ向かう…。
人間見た目っていう、暗黙の常識のような暗黙のタブーのようなものを、夫婦愛でオブラートに包んだ作品。永津の美しさと石原の無骨な愛情のブレンドがうまい。笑えるし若干ニガい、なんか好きな雰囲気。
満足度★★★
青い光
悲痛な事件の内向きの叫びを歌で綴る120分。
ネタバレBOX
1999年のJCO臨海事故の被害者の一人の死亡までを家族と医者の心をまぜて描く。舞台中央に病室にあるようなカーテンの装置を据えるシンプルなかたちだが、中身は結構濃い。
ミュージカルというものが若干肌に合わないせいか、冷房止めてたせいか(演出上の都合だろうけど)、前半眠くなってしまった。
ただ、大石(古谷)とその妻(麗泉)の病室での二重唱はなかなかの破壊力。涙を拭っていた人もちらほら。
国内初の事故被爆による死亡者の出た事件で、本作は当人とその家族、医師たちの苦悩が中心となっている。会社(JCO)をほとんど登場させなかったことで舞台がシンプルになり、当人らの心情表現に特化した舞台になってたのは良かった気もするし、事件を扱う視点として物足りない気もする。(3.11でもそうだけど企業の関係した事件であるわけで、最後に出た、自分のような人を出したくない~というセリフに繋げるためにもやはり必要な気がする。原因は裏マニュアルってのがセリフであったけど。)
事故から○日目、という映写手法で、時間が前後するスタイルも結果、功を奏したよう。個人的には、日をおう毎に少しずつ死に向かう様子のほうが「恐ろしさ」を認識しやすかったけど。序盤の映写を利用した、皮膚が黒くなり剥がれる表現は良かった。
満足度★★★
キュッとしめる
チケットプレゼントにて鑑賞。初年年有魚。
ネタバレBOX
桜の季節、とある街の祭り当日、とある女優が祭りの仕事のため、とある喫茶店を控え室にすることに。そこで織り成すあたたかでキュっとしめつける話。
小学校の先生で仕事に疲れ休職中の絵美(アワヤ)と、体調不良にもかかわらず仕事を頑張る女優・楠木(平田)の対比が主軸。現在をガンバることが数年先につながるという事務所社長・宝生(トツカ)のように、プロ意識が根付いている女優サイドのパワーが絵美に若干の変化をもたらす。風を背中に~という母・愛子(辻川)のやさしいアドヴァイスや急に警備の仕事をふられた西岡先生(安東)の存在も相まって、人生のエールを贈られたような気分。
また、絵美の祖母・春江(岩堀)がオレオレ詐欺未遂に遭い、犯人・吉森(山下)にがむしゃらに立ち向かう絵美の姿に、まだガッツが残っているような気がした。
Pの代理である石黒(今城)の大御所ブリの間抜けな感じと、一発当ててやる感のギャップが良い。絵美と足して2で割ったらちょうどいい感じかな。鴻巣市長(吉岡)のボケた感覚も作品内にうまく溶け込んでいた。平田の具合悪い演技も良かったし、安東の気の抜けたような職業感も、肩肘張らずなんか救われる。
満足度★★★
浮かび上がれなくて
チケットプレゼントにて鑑賞。
100分間、集中して観ていられた。映像の中の文字が読みにくい。
ネタバレBOX
「桶川ストーカー殺人事件」を元ネタに、加害者側の人間の追い詰められていく様を描く。
不気味な盗撮事件に見舞われている、震災後のとある美容院。上尾ストーカー殺人事件の犯人側の人間がそこで働いているという中傷ビラも撒かれ、スタッフは困惑する。そこに事件の加害者の一人でムショに入っていた田野(中村裕樹)が来店、トップスタイリストの渡辺(伊澤崇行)が事件の際、中傷ビラをまいていたという事実が判明。スタッフに軽蔑の言葉を浴びせられ、スーパーバイザーの彼女・小川(森山静香)からも見捨てられ、渡辺の狂行でトラブった常連客の虻川(戸枝尚)に襲撃される…。
舞台手前が事務所で奥が店舗という作りで、その壁が可視化仕様にようになっているところとか、ひと手間かかっててよい。衣装や小道具も美容室らしくてリアルな感覚があった。
渡辺の苦悩が中心にあって、最終的に死んだのか、怪我して退職したのかわからないけど、そこから「いなくなる」寒々しさが伝わってきた。まあ、事件の加害者側の立場より、その周りの店長の松山(牧野はやと)とか彼女の小川とかスタッフのほうに寄って見てしまう。中傷ビラをまいたことがストーカー「殺人」につながったのかしらないが、結果人が死に不幸が生まれたという大きな事実があると、なるべくしてなったのか…というのが率直なところ。
役者は、牧野はやと、立浪伸一、菊地春美が良かった。
満足度★★★
中の上の下
不思議と楽しかった。75分くらい。
上演中、遅れ客を座らせるため、別の客を移動させるのはよくないのでは。
ネタバレBOX
乙女心愛(濱野瞳)は地味でデブスな大学生。なう子(大日向祐美)は心愛と同居する、男に媚びる女。文学少女シラカバ(柳瀬晴日)は、心愛の旧友でやはりデブスだった、現アイドル。そんな3人を中心に据えた「女子」の話…。
「女子」をデフォルメした内容で、ありがちかもしれないけどどこかニヤニヤさせられる。じょっしーら4名の女子的な煽りとか。正直深いとこはわかってないけど、女子とはこういうもんだ、と言われたような気になった。
心愛のいじけた心が、岡田せんぱい(後藤文嘉)に惹かれるにつれ(じょしこらの煽りもありつつ、シラカバの存在もありつつ)、暖かくなっていく様とそれが壊れるところが、女性作家的だと思う。甘くないというか。
なう子は、美人的な描き方かななんて思ってたら、劇中でほどほどの美人という評価。性格も込の女性の評価とも思える。衣装がどこか野暮ったかったのはそのためかな。人の物をほしがる性分も女子的なのか。
シラカバの、劣等感を克服した向上心と、かわいくなっても幸せをつかめないもどかしさに好感をもった。自問自答の一人芝居とか声色の使い分けなど魅力的。
なにげにじょしりんぬら4人の存在も好き。
今回の舞台で男子の意見ってあんま表現されていないけど、やはり女子は女子の意見を重要視しているということか。男子の存在って女子的にはどうなのかしら。
満足度★★★
二人の幸せ
笑えるような笑えないような舞台。面白い。80分くらい。
ネタバレBOX
姉と不仲なユイ(富田麻紗子)は、バンドやってる大地(吉田能)と東京で同棲。そんな中、姉のマナ(金沢涼恵)から母が死んだと連絡が入り、大地と一緒に小田急線で「渋沢」へ向かう…。
イライラするユイ、結婚の話をマナにしたい大地、マナの母の介護を手伝っていたという宮村(佐々木光弘)、処女であることのコンプレックスや寂しさを押し殺すマナ…4人の感情とか愛情とかがぶつかり合う良い舞台。
いい加減そうなユイらとちゃんとしてそうなマナらが後半で入れ替わるような構成。マナの失恋→一人がいいの時のユイの姉妹愛みたいな感情が面白い。ユイのツンツン具合とのギャップが魅力を引き立ててるし、「好きな人と一緒にいる幸せ」という箇所も輝いてみえる。てかマナの話は笑えるようで笑えない。
大地も宮本もいい味を出してた。宮本は嫌な男、大地は意外と実直で。大地のわがままなユイがかわいい、と言い切る感性は素晴らしい。
全体的に面白かったけど、オチの「大地みたいな男性がいい」はちょっとしっくりこなかったかな。
満足度★★★
エクソシスト
面白いのもあれば退屈なのもあり。約90分。アフターイベントの「もやもやパセリス」なかなか笑えた。
ネタバレBOX
「呪いの動画」…「ノロい動画」一発目としてはアリ。もう少し短めでも。
「オートメーション」…神様(通地優子)と天使(堀米忍)の話。オートメーション化された神様の仕事の存在意義とは…どうも惹かれなかった。
「感情移入」…TVドラマに介入する視聴者、というメタ的な構成。わかりやすくて笑える。身近なアイテムだし。ニシノラン(佐藤ユウ)の悪女な魅力が良い。衣装も素敵。オチ(そんなイイ男か?)も良い。
「プレゼンテーション」…宇宙人が日本人と友好関係を結べるか調査すべく、日本に留学し、その結果をプレゼンする。「人による」は最強、という結果が面白い。曖昧で明確な答えだ。
「あたりまえのできごと」…女子の生活と女子会の様子を、歌にのせて贈る。ダンスはもっとハジけても良かったかな。
若干理屈っぽいところがあるような。それも味かな。共感できればよいのだけど。ホラー映画の悪霊の目的は確かに不明だ。
満足度★★★★
女の悪徳
三島文学は読んだことないけど世界観を垣間見れた気がする。言葉の洪水で疲れてしまった。休憩が2回入ったのは助かる。
皆、声が魅力的。衣装は会心の出来。
ネタバレBOX
サド侯爵夫人・ルネ(蒼井優)…飛んでるサド侯爵の帰りを待つ「貞淑」な女性なんだけど、確かにエロスな意味合いに聞こえる。てかルネもかなり飛んでる。蒼井優の笑顔がやばい。ラストの光のシーンとか。ただ、(一幕~三幕という時間経過に対して)年齢不詳な気がする。
モントルイユ夫人(白石加代子)…ルネとアンヌの母。一番真人間的。随分丸くなったが、一番タフな女だと思う。
アンヌ(美波)…ルネの妹。サドとの関係でルネに対抗心を燃やすこともあった。ルネからもアンヌからも好かれるサド侯爵ってどんな人物なのか。衣装がかわいい。
サン・フォン伯爵夫人(麻実れい)…容貌から発声まで、すごい存在感。一番美しいんじゃないかな。「悪徳」って言葉が輝いてみえた。
シミアーヌ男爵夫人(神野三鈴)…聖女、のちに修道女へ。序盤のサン・フォン夫人とのやりとりがかわいい。
モントルイユ夫人家政婦・シャルロット(町田マリー)…サン・フォン夫人の死へ愛情をみせる。燭台を操作する仕草がやはりかわいい。
「悪徳」とか「正義」とか相反するものが、位置が逆転するような一体となって溶け混むような、そんな印象。薄暗い照明の中、女性たちの口からこぼれる言葉に集中を強いられた。ラスト、修道女になろうとするルネを光が包み込むシーンが美しい。
とはいえ、彼女らの気持ちを理解するのはなかなか難しい。サドが魔物?といわれたりしてたけど、彼女らも十分魔物だと思う。
満足度★★★★
確かに素晴らしい
芯の通ったあたたかい魅力にあふれる舞台。当日パンフの写真はみな素敵。
ネタバレBOX
幸恵(伊勢佳世)が貸した20万を返してもらおうとするも、友朗(内浦純一)は無一文で、一緒になってトモローの友人知人に借金をする、その1日を描く。
ゴルフ場の歌川椎子と元大物女優の歌川(付き人に石澤)から、弁当屋の石澤美和から、キャバ嬢の安藤聖と帰国子女で金持ちの女子大生の安藤から、婦警の浅野千鶴とシングルマザーで頑固な浅野から、次々に金を借りるトモロー。引きっぱなしの幸恵を尻目に、有言実行、20万(正確には19万)を借り切る。
地味でいて変なこだわりを意識してしまう幸恵は、一般大衆の代表のよう。序盤、パチンコに興じるトモローに嫌悪感みたいなものを幸恵同様もってしまう。カネにダラシなくて定職をもたずにフラフラしている人間に対する意識が湧いてくる。それが、キャバ嬢あたりから揺らぎ出し、トモローに尊敬のような感情を抱いて、しまいにはみんなハッピーなんじゃない、と思わせるマジックのような舞台だった。
5名の女優も内浦もみな魅力的な人物だった。特に女子大生・元女優。トモローの、実は奥さんだったというクダリを含め、その優しさ?というか受け止める気概というか、いい感じにフィクションな人物だった。演じた内浦が素晴らしのか。
幸恵のラストの「素晴らしい一日でした」というセリフが、凡庸な言葉でいて、キラキラしている感じがした。ちなみに、キャバ嬢の登場方法(カラクリベッド)は意表をついていて面白い。婦警のチャリンコとかも。
満足度★★★★
さむいから、あたたかい
初菅間馬鈴薯堂。
奇をてらってるわけじゃないけど独特の雰囲気。面白い。
ネタバレBOX
ちっとも売れない演歌歌手の影山ザザ(稲川美代子)やそのマネージャー・城田(代田正彦)、出戻り歌手・社(舘智子)、歌手を廃業する河村(市橋朝子)、河村のマネージャー・東山(西山竜一)、ザザの弟子で袂を分けたがザザの元に戻った川北(橋口まどか)と沼田(関口敦史)ら、落ち目な人間を、秋田のホテル「鶉屋」の主人やそこに住む、震災で一時的に避難している元ホステス3人らを交えて描く。
ザザが放つ「負け通し。勝ったことなんか、一度もない。」って言葉通りの感じで、ホテルも元ホステスらと相部屋という扱い。それでもザザからはマイナスな言葉は出てこない。演じた稲川の自然体な演技が上手いからか、トゲがなく優しい空気を醸し出す舞台。セリフのセンスも細部にわたって良くて、スローなテンポが逆に心地よいくらい。実際、ザザらの状況が大きくかわるワケでなく、また次の街に向かう。平坦といえば平坦だが、8週連続U-SENで最下位をとった「春待草」のエピソードや川北らとの決別、ダンスに歌と退屈することはなかった。
静かな良舞台。次回も観たい。
「ビールのレッテル、落ちてるって書いただけで、それが、詩になるんですか?」ってのはそのとおりだね。
満足度★★★
愛
初ひょっとこ乱舞。タダ観した。
序盤馴染めるかしらと思ったけど、集中して観ていられた。
ネタバレBOX
パンフ買わなかったから役名がわからないけど、「痛み」に鈍感な男といろんなことに「敏感」な女の話。
「アンカ」という不条理な事柄を遂行する「泳ぐ魚」に属する男とその女の悲劇か。男との接触で前より明るくなった女だが、植物人間の臓器をゲットする、というアンカがトリガーとなり、男は女を殺す。
女役を二人にした手法は馴染めたしいい感じだった。女の過去回想とか見ごたえ十分あったし。男が女を殺す演出(額にキス)は、実際どうだったのかしらないが、面白い。純愛話のようにも見えるが、テイストは重い。
また、ダンスはシンプルながら、大人数の魅力と上手く作用して楽しんでみていられた。
ただ、面白い、と言い切れないのはなぜだろうか。男と女の心を掴めなかったからだろうか。やっぱり純愛の話だったのかだろうか。