満足度★★★★
芦田愛菜
1200円位、30分位で、十分楽しめる。
ネタバレBOX
とある私立保育園。ダンス遊戯のネタを考えるため、始業より一時間早く集まるはずだが、尾崎桃子が遅刻してくる…。
片桐はづき…処女をこじらせた27歳。几帳面。尾崎の虚言癖が気に入らない。芦田愛菜が嫌い。
前園あかり…ほぼ処女とのことだが、実際は園児の父との不倫で前の保育園を解雇された。飴が精神安定剤。
尾崎桃子…不思議ちゃん系のめんどくさい女。
前園の「精神的に処女」って発想が突飛で面白い。片桐と尾崎の喧嘩に挟まれるも、職場に本音はいらない、問題なく仕事できればいいってドライな思考と独特の男性観(誰かと結婚しているか付き合っている男は、誰かが選んでいるのだからハズレでない)もイイ。アバウトな性格が、作品の重心をうまくとってた。
片桐は、イライラ演技がうまい。落ち着いているようで意外とねちっこいというか、子ども思考というか。けっこう愛すべきキャラ。一番、「女」してたのかも。
尾崎も、不思議ちゃんな感じが出てた。もっと飛んでても良かったけど。
単純に会話が面白い。「女」ってものをわかりやすく加工して舞台に上げてみせてくれた。
満足度★★★
罪
なかなかぐっとくる。95分くらい。
ネタバレBOX
孤児院を兼ねた教会?が舞台。家族のように生活する面々だったが、岡田亮輔がキリスト教では罪にあたる自殺をし、神父(西沢仁太)が兼崎健太郎や那須野恵の両親を殺した(ヤクザに殺害を依頼)過去から、那須野恵は神父を殺そうとする…。
和やかな雰囲気からダークなテイストまで、しっかりと描けている。兼崎兄妹の両親殺害だけでなく、那須野は叔父から虐待をうけてたり、神戸アキコは知的障害児で、岡田の自殺は那須野への想いからであったろうし、生島勇輝のヤクザ人生だったり、玄里は韓国人売春婦だし、刑事の寺井文孝もとある女性を見殺しにした罪を背負ったりと、なかなか重い。田中里衣はバツイチの発情女っていうコミカル寄りだったけど(もしくは神父の罪を知っていたのか)。
荒れくれ刑事の尚玄が、ニッチローのつなぎみたいな感じでおわっちゃったのが残念かな。まあ、ニッチローネタは面白かった。仕草は似てるが、しゃべりが全く似てないのがイイ。
終盤の那須野が復讐を誓うシーンと、神父の懺悔をきく兼崎のシーン。前者は熱く、後者は冷たく、それぞれいい温度だった。演技も二人ともよかった。
宗教への理解はあまりないけど、罪や復讐の念を抱えながら生きることと、赦し赦されることって結構怖いことなんだなと。
満足度★★★
広島に原爆を落とす日
面白いには面白いが、140分はちょっと長いかなと。気合は十分。
ネタバレBOX
京大出身の天才・ディープ山崎とその上司・夏枝の悲愛。マサイ族の住む南の島で納豆作りを命ぜられる山崎は、日本の未来は俺が左右できるといわんばかりの自信家だが、夏枝の京都への原爆投下阻止の気持ちから、エノラゲイのパイロットになり、広島へ原爆を落とす…。
破天荒というか子供じみている天才・山崎を、杉山圭一が好演。世界的「悪役」ヒトラー(武田義晴)や重宗貴一郎(吉田学)のシーンで世界の流れをみせ、それに翻弄される山崎と夏枝という構図。実際は、広島で山崎に親と会うという約束を夏枝は破ったわけで、翻弄されていたのは山崎だけだったのだろうか。夏枝の困ったような秘密めいたような表情が、ミソなのかしらと。
山崎と夏枝が再会して、跪く山崎に夏枝がキスするシーンが、静かでとても美しかった。
満足度★★★
思い出
130分、飽きないけど…
ネタバレBOX
【シーン1】賞金王ゴルファー・虎雄(鈴木歩己)と妻で元女優・えり(佐々木なふみ)のマンションの一室。虎雄と愛美(映美くらら)の不倫中に妻が帰ってくる。そこに、メイドの富貴子(清水那保や)愛美の夫・宏(泉政行)、えりの愛人・小山(川野直輝)とその恋人・豊田(古川侑)、えりのマネージャー・松野(須貝英)が乱入し、コメディな展開。虎雄やえりに金で解決することを勧める弁護士の浜(永山智啓)。丸く収まったかに思えた矢先、富貴子になにか耳打ちされたえりは、虎雄を包丁で刺殺する。
【シーン2】とある倉庫に集まる詐欺集団。愛美が最後の仕事(標的は虎雄)を掲げ、5年ぶりの再会する富貴子以下6名。愛美への誕生日ドッキリもあったりするも、過去の事件や愛美への気持ちからか、どこかチグハグな空気が流れる。
【シーン3】いつもの倉庫に虎雄のカネの山分けのため集合する面々だったが、虎雄の死亡とえりの失踪で、稼いだカネがヤバいカネになってしまう。そこに松野がやってきて、詐欺集団を脅迫、同時に、虎雄と富貴子が恋愛関係にあったことがわかる。富貴子は罪をかぶり出頭。カネは虎雄の隠し口座へ返すと出て行く浜。愛美のことを不信に思ってた小山は、愛美と浜がすでに結婚していた事実などを愛美に突きつけ、5年前の想いもぶつけるが…。
初日だからってわけでないだろうけども、心に引っかからなかった。演技も悪いわけでないが。シーン2がややダルいと感じたせいか、シーン3への弾みがつかなかったのかもしれない。詐欺集団(男女の)の「リ・メンバー」って焦点がぼやけたような感じ。
メイドファッションの清水那保はかわいく、いい役周りだった。
満足度★★★
カレーの魅力
異色ミュージカルというのか。面白い。
ネタバレBOX
無人島に飛ばされた8人の主婦。誰が何のために~ってとこは明らかにせず、主婦の悲喜こもごもをパワフルで泥臭いミュージカルにのせて駆け抜ける80分。
「目立つ」ってキーが「自立っ」だったり「四立」だったり「音」だったり「普」通だったりして、テンポ良く場面がすすむ。曲も基本ノリがいいし。
平山(伊藤弘子)…脱出の権利を放棄する、どこか達観した感がある。
吉田(小林七緒)…元ガールスカウトで家を建てるも内田に放火される。
内田(佐藤華子)…イオン?を愛するあまり、吉田を逆恨みする。
城戸(平野直美)…子を愛する。
東海林(坂井香奈美)…夫に会うため自作の筏で島を去る。
星(阿萬由美)…ホステス。中川(だったか)の夫と寝る。
中川(荒木理恵)…やはり子を愛する。
佐藤(山丸莉菜)…目立ったことない。カレーを0から作る才能。
内向的な作品と感じた。ありがちな緊急時の異常性を押すのではなく、「普通」の主婦の内面を一見コミカルに描く。描かれるのは、異常な感覚でなく、子や夫への愛情だったり食への想いだったり平凡であるが、見せ方が面白いのか演者が上手いのか、飽きはしない。「普通」から始まって「普通」に行き着く主婦たちがカレーという日常のシンボルを食べるシーンに、カレーの匂いと相まって不思議な感動を覚えた。この時の山丸の表情が美しかった。
満足度★★★
詩も思想もない労働
チケットプレゼントにて鑑賞。
平土間の会場は、見にくさがネック。雰囲気もあるし照明の使い方も良いけど。
ネタバレBOX
チェーホフなどの有名作家の作品はよくしらない。3幕が一番面白かった。
結婚生活(相手)に満足できず、ヴェルシーニン(河内大和)と恋する次女・マーシャ(朱永菁)の表情が素敵。これからの人生に前向きな労働観や希望に溢れる恋を夢見るも、年を重ねるにつれ、感覚が乾きはじめる三女・イリーナも面白い。
この三姉妹がいい育ちでお金持ちで美貌を持ってて、飢えているってとこに魅力を感じた。
戯曲が自然なのか、演出が自然なのか、なぜだか受け止めにくいと感じた。
満足度★★★★
どことなくロック
面白い。タイトル「カナヅチ女、夜泳ぐ」も面白さがジワジワ伝わってくる。
ネタバレBOX
発作的に宙に浮いてしまう螢(吉川莉早)は、地元から上京し、また地元へ戻ってくる。何しに上京したのか、上京して何をしていたのか、なぜ戻ってきたのか、色んな記憶が欠落している螢は、親友・小雪(大川原瑞穂)や魔女と呼ばれる女(宮下絵馬)らを通じて記憶を取り戻す…。
客をおいてきぼりにしないテンションで、エネルギッシュに駆ける115分。派手なパフォーマンスだけでなく、細かい演出も散りばめられて、飽きることはない。話も、単なる記憶を辿る話に終わらず、哲学的というか人間物理学的要素とカッパの合の子とかタイムリープというSFエッセンスも添加され、小さくまとまらず魅力的。
重力とか時間とかいう「一方向な力」に、ジタバタしながらも一矢報いるという、妙な力をもった舞台だった。
満足度★★★
ミステリー
いい感じのミステリーで楽しめた。
客を移動させるのはやめてほしい。
ネタバレBOX
孤島にあるマジシャンのアトリエに集められた、TVスタッフやマジシャン(大久保藍子)や代理できた男女。マジシャンのアシスタントの女性2名とマジシャンの主治医とメイド。マジック中にマジシャンが首切断状態でみつかり、アシスタントに嫌疑がかけられ、一晩監禁されるも、翌朝アシスタントが頚動脈を切断され、死体となって発見される…。
話もわかりやすく、110分でちゃんとにまとめあげ、きちんとミステリーしてていい舞台だった。孤島で外部との連絡もつかず、招待客の代理の男女が探偵的なポジションで、医者がいて、密室殺人で…いかにもな話だけど、変に凝ってなくて気に入った。
ミステリー慣れしてない人間としては、犯行の動機や手法(双子の入れ替わりとか)も納得できた。犯行動機を変に感傷的にせず、マジシャン的な独論でまとめたのが良い。んで、マントで消えて→自殺とか、いかにもだけど不快感はない。
ちなみに、ラストのDNA鑑定の話はなしで、アシスタントの姉説も残して終わってもよかったかな。あと、殺人があってこの中に犯人が…ってなった時に、何故みんなで同じ部屋にいるという話にならないのか、昔からの不思議。
満足度★★★
華組
チケットプレゼントにて鑑賞。90分くらいの程よい公演時間が良い。
ネタバレBOX
幕末の佐幕派と尊皇派、その恋人の芸妓たちなどの話。
登場人物が多いわりにキャラがたってないので、のっぺりした印象。新米舞妓の小桃(吉田彩花)は無愛想が笑いにもなってて良かった。幽霊の夕鶴(水口早香)は、せっかく人でないものなので、見た目も動作ももっと差別してアクセントつけてよかった(DSかなんかやってたけど、それがどんなキャラ造型につながっているのかが理解できなかった)。
パンフに相関図あってもよかった。
志がひとつのテーマなんだろうけども、ちょっと汲み取りにくい。演技力の問題か演出の問題かわからないけど、そこのとこが散慢な印象。ただ、蘭学医の所(鈴木紀進)は、医者の矜持を覗かせてくれたので○。
ダンスはあってよかったと思えた。場面転換のつなぎみたいな使用は控えめで。
照明や音響のミスがあったのは別に良いけども、照明がちょっと暗すぎというか効果的に作用してたのか疑問。舞台美術がそこまでない舞台なので、照明効果をもっと活かしたほうが、場面場面でいい空気を作れたんじゃないかと思う。
満足度★★
デザインはよい
暑くて眠くてきつかった。
ネタバレBOX
サイド席は観にくい。
渡邊えりのと本山三火は表情が○。
無責任なスーツのくだりは好き。
満足度★★★★★
傑作
28期ver.
面白い。80分あっというま。
ネタバレBOX
卒業後、毎年死人が出て、その都度葬式が開かれる。日野(萩山博史)の経営するバーには、各回のメインキャストが訪れ、人生の悲哀を嘆き楽しむ…。
2002年
市ヶ谷(岡見文克)は、人生低空飛行。踏んだり蹴ったりの中、恩人の会社の金を持ち出すクズっぷり。
2004年
神田(金崎敬江)は、学生時代地味グループに所属し、大人になって結婚を忌み嫌い、モテる西荻(篠原あさみ)を妬む。
2006年
当時付き合ってた男が死に、嘆く西荻。さらに、夫の浮気と浮気相手の妊娠(しかも西荻が欲しかった男児)と姑から暴言にと、打ちひしがれる西荻。
2008年
慕ってた男が死に悲しみにくれる日野(ゲイ)を尻目に、飄々とした大久保(伊藤信隆)。そんな大久保も、息子の喫煙トラブルをはじめ、家庭の問題から逃げるようにキャバクラ通いに走る。
市ヶ谷と西荻の新婚旅行当日。一人バーを訪れる市ヶ谷。追ってくる西荻。自分と関わると不幸になると放つ市ヶ谷だったが、大吉しか引いたことのない西荻の心に押され、再度結ばれる。結婚反対の神田も男性と同居し、大久保も引越し後、新たな人生を歩み出す。日野も、妹の結婚を機に親との確執も和らぐ。献杯の瞬間、市ヶ谷たちが乗るはずだった飛行機がメカトラ&着陸失敗の情報が入り、驚く面々。クラスにかけられた呪いは終わったんじゃないかと、明るい未来に盃をかわす。
30後半から40半ばの年齢だろうか。苦い想いがバーに醸す。けど、彼らの表情は悲観というより、乾燥しているようにみえる。
「毎年葬式」(他人の死)って設定に反射するように、生きるってことを静かに描いた作品。バーテン日野の乾いた人生観に癒される、バー公演に相応しい舞台だった。
苦くてニヤニヤできて、ちょっとあったかい。
満足度★★★
宇宙からのプラネタリウム
初宇宙食堂。
ネタバレBOX
2000年くらいの、大地(伊丹孝利)と宇宙飛行士・山崎直子(ささきくみこ)の夢と愛情と、介護、子育てという問題を乗り越える話。2022年くらいの、大地と直子の子・優希(阪田瑞穂)が、一般公募の宇宙飛行士になり、宇宙に行く話。2つの時代を交互に展開するスタイル。
序盤、悪く言えば安っぽい宇宙服みたいなコミカルな質感の衣装と、音楽とダンスで期待が高まったが、終盤、ダレてしまった。
大地の苦悩と直子の夢と優希との家族愛が本筋だろうか。優希への逆恨みトラブルとかが、本筋を際立たせるように見えなかった。ちょっと話を入れ込みすぎなのか、130分でお腹いっぱい。毒が少なめな作風なのは良いけど、調子があんまり変わらない(優希のトラブルとかハラハラするでもない)のが残念。
直子役のささきくみこと、大地役の伊丹はよい演技だった。劇団の作風は嫌いじゃないけど、ガツンとくる演出が時折入っていると嬉しい。
満足度★★★
「ふざけた社会派」
エンタメ色が若干強い。
ネタバレBOX
四畳半の部屋に住む男(熊野善啓)は元教師。女生徒・黒川(提千穂)と過ちを犯すもその精算もせず、黒川へのいじめ?に関して黒川を守れず、黒川は自殺してしまう。その罪悪感から逃げ続けている…。
裁判員制度をはじめ、多種多様な社会問題のエッセンスを投入して、男の混乱する精神を描く。正直、120分は長い。もうちょい絞っても良かった。
タイトルの「恐ろしい日本人」ってのはリアル。原扶貴子がこの点、いい味出してた。
「事件は会議室で起きてるんだ!ってのは言い得て妙」ってのも、恐ろしいけどリアルだなと。
満足度★★★★★
責任論
面白い。とてもいい台本。
チラシはオシャレなデザインだけど、中身はけっこう抉ってくる。
ネタバレBOX
同じ会社(地元の広告代理店)に勤める綾(伊藤えりこ)と心(宿南麻衣)と長田(永津真奈)が、心の弟・泰治(大塚宣幸)の喫茶店で、事故で右腕を切断することになった同僚・アデコや寿退社した同僚とその婚約者の話を元に、答えの無い議論を交わし合う…。
アデコの切断のショックからできる限りのサポートを表明し、冷めた長田に噛み付く心。長田は長田で、自分の乳房摘出の経験から、病院でのアデコの笑顔が理解できない。寿退社した同僚の婚約者と付き合っていた綾は、アデコの事故の原因がそいつにあるとして、結婚式の余興で追求するつもりでいる。
序盤の小さそうな話(関西OLのおしゃべりのような会話)から、派生と発覚を経て、広く深く展開する舞台が熱い。途中、学校の門に挟まれて死んだ学生の話をする泰治が、作品に一定の目処をつけ日本人の気質をつく。自分に関係するかどうか、自分から遠い存在、事象ならば無関心でいると。ここのカラオケのエピソードはかなりチクチクくる。
3人の主張は皆正しいような気になったし、正解なんて無いんじゃないかって思える。人間関係の限界を見せられた気になると同時に、それでも人間はお互い近づけるんだという気持ちにもなった。
役者のバランスも良い。永津真奈のOLスタイルが美しい。
熱いだけでなく、笑えて、テンポ良く、公演時間も80分と短めで、全体的にみてもいい公演だった。
満足度★★★
神経症
話は面白い。
客席案内はしっかりやってほしい。
ネタバレBOX
男が吉田医師の精神医院へ仕事を抜け出し相談にくる。受付の女は、パレスチナの子どもの飢餓や網膜移植、人体解剖などの話で一向に受付をしてくれない。男は苛立ち、奥の部屋は入るも、何もないじゃないか、ここで何してるんだと女に問う。このビルにそれぞれ「受付」があって女がいる、貴方を待ってたんだ、と答える女。崩れる男はフラフラした足で別の階の受付に行くと、奥の部屋から吉田医師がやってきて誰も来ないと嘆く。女は来たら呼びますから奥で待っててください、と答える…。
「受付」自体は2回目。やはり面白い。いい感じにぐにゃってなる。
演技はちょっと覚束無いように感じた。
満足度★★★
白い骨
演技も空気も美術も良い三人芝居。冨樫真は笑いもいける。
ネタバレBOX
栞(新妻聖子)が事故で左聴力をなくし、後遺症を患い、正気を失う。苦悩するも、父・源吾(高橋長英)や姉・薫(冨樫真)の愛を一身に受けて生き、そして散る…。
エミュウやウサギに自分を重ね、それを救おうとし、また嫌悪する栞。一見、母の亡霊でも乗り移ったかのような振る舞いに困惑する父と姉は、一緒に千の風車を作ることで栞を救おうとする。
偏屈だが誰よりも栞を守ろうとする父と、栞の怪我の罪悪感を抱え抵抗感のある父にも理解を示す姉の二人と共に、海の向こうに蜃気楼をみる。姉が戻る日、死んだ栞が白のワンピースで最高の笑顔をみせる。序盤の不穏な空気や土地の気色悪い風習の雰囲気が、終盤には吹き飛び清々しい舞台であった。
栞の絶望感がもっと欲しかった。高橋も冨樫もいい存在感だった。
満足度★★★
運動会
チケットプレゼントにて鑑賞。
ネタバレBOX
同窓会後、影山(大野ユウジ)が教師をしている母校へ忍び込む面々。卒アル見たり用務員(鈴木規史)に見つかったりして、思い出に浸ったり現実に向き合ったりしているところに、御子柴(本折智史)がやってくる。小学校時代仲の良かった影山と能登(加賀美秀明)と御子柴だったが、御子柴が火事で妹を亡くしたことの傷を、まだ引きずっていた…。
わだかまりの元であり、友情の象徴であった「リレー」を教室でやって、過去の精算をする三人。言葉でなく一連の流れでの表現は良かった。変に劇的にしてないというか。御子柴も能登が悪くないとわかってて、能登も御子柴に言われた「絶好だ」なんて言葉が本心でないとわかってて、ズルズルきてしまったところがリアル。影山や用務員や友人らのサポートもあって、好転を迎えられた幸せがあった。
ちなみに、御子柴に片思いだった美咲(貫井りらん)の玉砕はちょっとニヤニヤできた。主軸の話からあまり逸れず、90分程度で仕上げたのは良かったと思う。
夕焼けチャイムの反響も表現してた細さが○。
満足度★★★
戦争と人
役の交代は残念でした。
ネタバレBOX
終戦前後の樺太(サハリン)にある津田理髪店が舞台。樺太で生まれ育った兄弟、理髪師の徳雄(伊原農)、お節介焼きの長女・美都子(津留崎夏子)、交換の仕事が決まった活発な次女・春子(浅野千鶴)の店。学校の先生で化学が専門の島崎(ワダタワー)や朝鮮人へ厳しく当たる警官・平原(岡本篤)が出入りしている。朴(金成均)や売春婦に身をやつす仙女(石村みか)、仙女を探しに来た沈(金丸慎太郎)、春子の友人・一香(香西佳那)ら朝鮮人たちとの間で生まれる人間模様。
時代や価値観、状況を理解しきれなくて、正直戸惑った。ちょっと想像つかないというか。
舞台も、あくまで理髪店の中を描き、外の状況は伝聞に限って(それも噂だったり)いて、「戦争」という物事より「人」に重点を置いてるような気がした。いかにもな、直接的で悲惨な状況をみせると「それ」だけになってしまう可能性があるし。それはそれで良かった。
ただ、感情移入とか、共感とかそんな芝居じゃない気がする。
美都子と朴の愛情や沈と仙女の愛情、日本人と朝鮮人との憎しみ。戦争という器の中で静かに、たまに激しく放たれる気持ちが見所か。沈の「憎しみの連鎖を絶つ」ってセリフがグっときた。
津留崎のひたむきというか、純朴というか、そんな眼差しは好き。金成均の落ち着いた存在感は良かった。浅野千鶴はハマってた。石村みかの韓国語の発音が良い。
満足度★★★★
博士
ライトに楽しめる群像劇。好み。
ネタバレBOX
従業員への理解に乏しく、意固地なレストラン経営者・朋和(竹井亮介)、朋和と腹違いの弟で朋和との確執を抱えた亮(瀧川英次)、亮の姉?でさっぱりした美人の純子(岡田あがさ)、亮と恋愛じみた関係にあった、朋和の店のコック・みのり(黒木絵美花)、朋和の店で働いていた、バンドの夢を諦めたけい(川村紗也)、朋和への反抗心を覗かせ、けいと付き合っていたコック・聡志(澤田慎司)、聡志に心寄せる就活生・遥(篠原彩)、けいとバンドもやってた堺(阿久澤菜々)、けいの予備校時代の先生・平(菅野貴夫)、朋和からの借金の取立て業務に頭と心を痛める銀行員・大林(大川翔子)らが、けいの転勤祝いのため朋和の店に集まるが…。
朋和と亮の確執、亮とみのりの恋を中心に、いいバランスで人間が描けてた。聡志のファミマ便所とか、けいの北海道偏見とか、堺の変化球的な人格とか、コメディな色彩で笑ってみてられた。特に、平の博士っぷりが、真面目なボケって感じで、素晴らしい。確かに「今夜必要な人間」だった。
動物園の話とか、しんみりした空気もできてたし、明るい中にビターな味のする舞台だった。
みのり役の黒木の大人しそうで毒もってそうな表情が良い。瀧川英次もいい存在感だった。
満足度★★★
ゴドーを待たせつつ
ちょっとねじった感じが良い。
ネタバレBOX
真嶋一歌のやさぐれたような演技が好き。ポッツォ役の立木雄一郎やラッキー役の植田祥平、男の子役の太田彩佳の演技が良かった。特に太田は(目の)表情が良かった。
「ゴドーを待ちながら」に(現代日本の)コンビニの場面を加えてある構成。意味はよくわからんけど、一幕でダレた気持ちが回復した。