満足度★★★
オルゴールほしくなった
運営の段取りがよろしくなかった。出演者の名前間違えてるし。
ネタバレBOX
プロスペクト・テアトル…パワフルなダンスでした。
齋藤英恵…陰影と身体のバランスがうまかったです。
水越朋…キレてました。好きなダンス。
7g…コミカル調な作品。小道具もいいエッセンスでした。
満足度★★★
cosplay
面白い。
ネタバレBOX
15年前の大阪
櫻井智也と景子(みぎわ)の出会い。
5年前の新宿
「Bar MEGUMI」のノリミ(松葉祥子)から19歳の少年に妹が轢かれた話を聞く櫻井。
3年前の戸山ハイツ
南田りん子(川添美和)に、不適当なごみ捨てで逮捕された櫻井。
2年前の新大久保
隣人の二瓶(二瓶あすか)の荷物を預かった櫻井が中を覗くと、500万と拳銃うが入っていた。
現在
櫻井が職務上の事故で死んで、集まる関係者。景子や、同じプロダクションの森ユカ(綱木夏)の話で、櫻井のヒモっぷりが明らかになる。そして更に、桜井が例の少年であったこと、その被害者の関係者が共謀して櫻井を事故死に追いやったことが明らかになる。
時間の流れとか伏線とか、しっかり効いてて面白い。実際重い話を重く見せず、綺麗なとこを見せて楽しませてくれる作りだった。
ラウンドガール的にコスプレガールがシーンを教えてくれるのも嬉しい。猫田ミオ(藤井沙央理)のナースSMでしっかり印象づける演出もダレなくていい。戸山ハイツの話がいい感じに盛り上がった。川添美和がここで魅せてくれた。あと、櫻井の舎弟的な水谷(藤代知己)が、いい演技だった。
満足度★★★★
ダークサイド
面白い。
ネタバレBOX
「黒田、演劇やめるってよ」
とある映画のセリフについて、過去回想を始める監督の話。
初台の貧民街にマッカーサーが新国立劇場をつくることになるが、貧民の投げた石があたったことで、怒り、貧民街を焼こうとする。元演劇人の金子は、演劇で友人を亡くしたことから演劇を封印していたが、初台のピンチに演劇で周囲の人間やマッカーサーを突き動かす…。
黒田大輔降板で、金子が役を代わるという実際のハプニングも、芝居の中にドンドン突っ込んできて、どんどん笑いに変えていく。ゆるい空気の芝居だけど、笑えて芝居っていいよね的なぬくもりが好き。
「ザ・プーチンズのお正月」
曲間のネタは前田司郎の提供だろうかしら。面白かった。
「大作映画のニセモノ-多分スターウォーズ-」
飛鳥と影(チャゲ)のデビュー話はさておき、メインはスターウォーズのダースベイダー審査の「暗黒面」談義。バカな話を真面目な空気の中繰り広げるという、爆笑の舞台。最終的に「ダークサイド」って言葉だけでもなんか笑えてくる、そんなチカラのある作品だった。
「ポリスキル」
黒田降板により上演なし。とても残念。
あと、前田らがワイン片手に会話する転換時、握手会しか女性と触れ合ってないってネタは大いに笑った。
満足度★★★★
ラジオ体操第一
面白い。パンフイラストが絶妙なバランスで成り立ってるのがスゴイ。
ネタバレBOX
「マボロシ兄妹」
幻覚の見える兄(マエバ)とその妹(オクバ)や医者とか色々を、二人で演じていく…。
人間とか愛とか果ては椅子ってものまでを、相対的な関係性で捉えて舞台上で展開していく。幻覚なのか、妄想なのか、現実なのか、なんなのか、あんま細かく考えると余計にわからなくなりそうだけども、シンプルに孤独な人間の話と、シンプルに捉えたい。そして、ラストの兄と恋人の話から、一人じゃないんだと思いたい。そんな舞台。
「ふたりマクベス」
マクベス(山崎彬)と、マクベスを王にしようとする夫人(岡田あがさ)の話。
戦戦で寂しい夫人は、王が泊まりに来ることをチャンスとし王殺しをマクベスに強制するが、王となったマクベスは、その罪から暗殺に脅え昼も夜も眠れなくなり領主(部下)への暗殺を繰り返す…。
作者が「原作と随分違って結構同じ」と書いているが、初心者にもとっつきやすく、シンプルな構図にしてあるのが嬉しい。
順調に昇進を繰り返す男に、魔女が囁いた悪魔の罠。ろりえ「年末」の劇中で、「男は仕事を優先する」ってあったけど、マクベスの中の仕事(権力)と夫人への愛情のバランスってどこにあったのかな。無邪気な少女のような、狡猾な大人な女のような、色んな性質が混ざってる夫人の、愛を渇望する欲に支配されちゃったのか。
王暗殺後の二人の荒廃っぷりたるや見事だった。
あと、部下暗殺の報告書がシャっと投函されるのが上手い。ラストの血のついたのとか、とてもそそる。
満足度★★★
マザー・テレサ
面白い。
ネタバレBOX
たこはしいのり(徳橋みのり)…上京し七子さん(斉藤加奈子)と同棲するレズ。田舎に戻った際、高校の時の彼女・みほ(梅舟惟永)と再会する。
七子さん…Xmasすっぽかしたいのりを責めることなく愛する女性。
REICO(志水衿子)…バンドのヴォーカル。団長と付き合うも、その優しさの無さから団長を殺そうと企てる。ラスト、紅白で団長からプロポーズされ幸せを得る。
みほ…懐妊し、結婚し、九州へ引っ越すことをいのりに告げる。
Xmasイヴから大晦日までの数日を、レズ3人を中心に描く。とはいえ、いのりの調子が男性気質なため、男も女も関係なく味わうことのできる舞台に仕上がっている。
元の恋人との思い出とか惹かれるも、破局してしまうってありがちといえばありがちなストーリーではあるけども、作演の女性(とその心情)を描くスキルの高さから、飽きたりダレたりすることのないいい作品。照明・音響効果もいい。
志水演じるREICO絡みの笑いもシンプルながら、ツボをしっかり押えていて面白かった。オチのもってき方もハッピー色で好み。
満足度★★★★
薄着じゃない?
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
鎌倉の実家で過ごす家族の大晦日。その4年間。
山本晴彦(藤川修二)…典子の弟(実弟でよいのかな)。三兄弟のおじで父・松沢孝博死後、典子の家の世話をする。なんか特別な想いを抱えている。俳句好きの公務員。
松沢典子(羽場睦子)…母。過労で入退院後、やはり体調不良で死去。
松沢賢一(荒井志郎)…長男。大阪の会社勤務。彼女・ナカタニミキとは別れた。
松沢享子(福寿奈央)…長女。やはり家を出ている。なにかに悩んでいることを母にも言えずにいたが、結局、母の位牌に報告することに。晴彦に雪が甘いと騙された。料理が下手。
松沢孝二(林竜三)…次男。働きに出ず、家事をして過ごしていることの引け目と劣等感をもち、海外でのワーホリを考える。恋仲だったと思われる麻衣の結婚の話にすすり泣く。
田中麻衣(大西玲子)…典子が通う町医者のとこの看護師。そこの息子と婚約した。ハリポタを孝二から借りてた。
享子が31→34歳くらいとのことなので、30台に突入した息子らと60前後と思われる母との会話、及びその置かれた状況にチクチクきた。恋愛・仕事・家事・親の老いと、場所や時間って意味でリアリティが半端ない。
話は、母が死に家(土地)が売れることになる。三兄弟は一応自活していて、「家」が無くなっても生活に変化はないだろう。晴彦も駅近くにアパートを借りるというし。
しかし、「家」=「母」の母がなくなり家もなくなる…その空虚さはなんだろうかしら。三兄弟は自ら選択して家をでて「家」をどこかで持ったわけだし、母が先に亡くなるのは自然だし、悲劇でもなんでもないのに。
舞台空間を創るのが上手い。美術もいいし、演技もいい。台本もいい。
雪ってあんま降らなくなったけど。「大晦日」前に見といて良かった。
満足度★★★
パフェおじさん
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
母の葬式後。次女・雅代(太田幸絵)夫妻のアパートでの会話劇。
長女・景子(横山美智代)…両親の離婚が元でか、仕事に生きる。
次女・雅代…母の介護のストレスからか不倫に走る。
三女・美紀(如月萌)…DJケンヂ(星耕介)と付き合う水商売な女。葬式にも出ずダンスして海に行って香典で喪服買ってた。
問題抱えた家庭で育った三姉妹とその周辺の人間が、人生の疲れた顔を見せつつまた明日が始まるという感じ。長い間閉まってた「箱」を開けたかのように、気持ちをぶつけあい、これからも姉妹として生きていくんだろうなと思わせる、甘辛な舞台だった。
90分程度の短い公演時間はいいけど、もうちょい「辛い」部分が辛辣だと良かった。
舞台セットの質感は素晴らしかった。
満足度★★★★
いいわよ
面白い。
ネタバレBOX
読む男(菊沢将憲)が、どこか緊張気味で「片腕」を読み始める、男(カトウシンスケ)と娘(山縣美礼)の三人芝居。娘から右腕を借りた男が家に持ち帰って一緒に寝て、自分の腕と交換して…。
55分の間、観客の興味を引き続ける舞台だった。話の不可思議な空気を舞台で再現したような。遊び心もふんだんにあって、クスッと二ヤッとできる。
かと思えば、人間性を押し出したシーンもあって、生々しい感覚も味わえる。
娘を演じた山縣の、奔放そうで色っぽっくて少女っぽくもある、腕や足の動きが目をひいた。山縣は立ち姿が抜群に美しい。あと、潤んだ瞳もいい。
菊沢の女演技は笑った。眼ぇ剥いてベロ出して。娘の腕に魅せられた男の情を、熱演してた。
満足度★★★★
スキスキダイスキ超アイシテル
キュートな純愛
ネタバレBOX
小学生の六(亀島一徳)がトビ(森本華)に告白するもフラれ、転校生の空(島田桃子)に恋して、卒業の日に歌を捧げる…。
意味があろうとなかろーと、透き通るような愛が溢れてた。
かわいい舞台だった。
卒業ソングと六から空への歌にのせて、役者の体と電飾がキラキラしだす終盤。心がきゅーっとなる。
なにげに先生(小橋れな)が好き。
トビ役の森本も少女なかわいさが上手い。
空役の島田の端正でキレイな顔立ちと表情が、キャラの意味不明さと相まって、惹きつけられる。
六役の亀島の子供ジミた感じと思春期な感じが上手い。
ダイジェスト版(過去公演)を見ると、今回のほうが作品にあったキャスティングに見えた。まあ良さはまちまちだけど。
満足度★★★
インダスver
できた脚本。
ネタバレBOX
土井先生のカウンセリングルームで繰り広げる会話劇。同僚のキャバ嬢を殺した罪悪感を減らそうとカウンセリングを受ける小泉を中心に、圧迫された人間の心を描く。
小泉(松野有加里)と同僚キャバ嬢(川本麻里那)、土井先生(みちこ)とアシスタントの片山(川本麻里那)の関係性の同化効果で、舞台の重みが増す。この三人のシーンだけでも十分見応えあった。川本はいかにもな女性像を上手く演じてた。
「人の話は聞かない」と言わんばかりの同僚キャバ嬢に対して、自分の気持ちを聞き取ることの不器用な小泉。土井先生も同じだなと。そして、大抵の人は二人のようなんじゃかなと思った。人の心はげに恐ろしいなと。
実は小泉が土井先生だったという、オオモトからひっくり返す展開にはシビレた。泥棒の2人のコミカル調に乗れなかった。
満足度★★★★
懐中時計
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
親友・マーレイ(渡辺望)と金貸会社を立ち上げたスクルージ(菊川仁史)。約束は約束だと、貧困民にも厳しく当たるマーレイに対して、情にあついスクルージだったが、7年前のクリスマス、スクルージの吐いた2ペンス硬貨の嘘をきっかけに集金に行くマーレイは、貧困民から暴行され殺される。自分が死ぬはずだったと悩み苦しむスクルージは、マーレイの墓に自分の名前を彫り、マーレイのように厳しい金貸を始める…。
クリスマスの夜、従業員・ボブ(佐々木豊)の子の幽霊(加藤晃子)が現れ、スクルージに過去と現在と未来を見せる。過去と向き合ったスクルージは、墓参りでマーレイと言葉を交わし赦され、未来を生きる。
元の作品は知らない。
マーレイの他人にも自分にも冷めたような一貫した考え方が、この7年で冷え切ったスクルージの心を温めるラスト。涙を流すスクルージにグっときた。演じた菊川がとても上手かった。
きっかけとなった幽霊を演じた加藤も、少年性と純真さを備えた演技が良かった。この幽霊が現れたのは、スクルージがボブに見せたひとかけらの優しさ(クリスマスの休暇)のお返しだろうか。マーレイとして生きる前のスクルージが言ってた「特別な日(カーニバル)」に起きた特別なイベント。全体的に寒々とした空気の舞台に、小さな灯りがともるような作品だった。好み。
マーレイを演じた渡辺もいい存在感を出してた。マーレイという人間にも興味が湧くくらい。
スクルージに金貸の相談をした貧困母子家庭のマリアを演じた渡辺実希も良かった。スクルージに懇願する際の目の表情がいい。
簡素な舞台セットと服飾を用いた演出、照明効果、硬貨の効果音。80分程度の短い時間で、高い物語性とそれに合った印象深い舞台演出でもって、少人数のスマートな作品に仕上げた良作品でした。
満足度★★★
天使
いまいちノれなかった。
チラシのイラストが素敵なだけに残念。
ネタバレBOX
天使になりたかった、純真無垢っぽいやよい(棚橋幸代)が、彼氏のゴジラ(持永雄恵)を連れてきて、家族に結婚したいという…。
序盤の家族のドタバタから、ゴジラ紹介あたりの導入部。どこかまどろっこしいような、クドいような気がして入り込めなかった。ゴジラの婿って面白い設定なんだけども。
結局、やよいの愛をゴジラが受け止められずゴジラは去る。んでやよいらが、噴火の危機にある島から脱出するシーンで、ゴジラに似た男に逢う…ってラスト。なかなかいい展開と思った。
やよいが、もうちょい天使に見えると良かった(もしくは人間の暗い部分を主張するか)。ちょっと変わった女性ってだけで、ゴジラの彼女という突飛なポジションを担うような感じに見えなかった。演技が悪いわけでなく。捉え方がよくわからんかった。
満足度★★★
SEXッ!!
チラシデザインは表も裏も100点。
そして、チラシの印象とは違って粘っこい舞台が魅力。
ネタバレBOX
とある田舎町の久須乃家。6歳で母から「神様」になるよう言われた星子(能登麻美子)は、家から一歩も出ず地域の「神様」として存在していた。そこに、長い間音信不通だった妹・弓香(松崎亜希子)とその彼氏で売れてないアーティストの藤田(鈴木達央)がやってくる…。
藤田と星子がSEXして、住民にバレて問題になり、今度は母の弟・桐彦(三原一太)の娘・あまね(福圓美里)が神のチカラ(予知とか読心とか?)を持っていることが判り、「かみさま」となる。しかし、「かみさま」から「にんげん」になった星子は、結局自ら「かみさま」に戻る…。
女性っぽさ全開の作品(偏見だけど)。
星子と弓香の関係とか、桐彦の妻・奈江子(木村はるか)、あまねらの、ドロっとしたとこがいかんなく発揮されてる。そもそも、「かみさま」を作り上げ集金するってとこが、田舎の閉鎖性も相まって気味悪さを膨らませる。星子と姦通し、「かみさま」にこだわり、シスコンな桐彦の存在もまた、異様な舞台を作り出す。
桐彦に抱かれることで自己の存在を認識していた星子が、藤田の登場で自己を認識するようになるも、一般社会に入り込めず「かみさま」に戻る。しかし以前と違い、自己を持った女性として「かみさま」となる。善悪でなく、特殊な環境にある人間(特に女性)を面白く描いていた。面白い脚本と思った。
主演の能登麻美子の、穏やかでニコニコしてるが、どこか呆けたような表情が素敵だった。
満足度★★★★
一周回って面白い
初蜷川演出。
ネタバレBOX
トロイア戦争後、スパルタの奴隷等として生きていくことになる「トロイアの女たち」の嘆きを描く。
1幕~ポセイドンとアテナの会話~カッサンドラ~アンドロマケ
2幕~スパルタ王のメネラオスとヘレネ
1幕
これでもかってくらい嘆きまくる女たち。くどいってくらい嘆くのが、途中からなぜか可笑しさがこみ上げてきた。周りのコロスらが、日本語→ユダヤ→アラブと、同じセリフを繰り返すのも、当初まどろっこしいと感じたけど、ユーモラスに思えてきた。
アンドロマケの子供が殺される悲劇性が上手く演じられてた。カッサンドラの気が触れた演技も、静かな狂気を感じられた。カッサンドラ役の女優が上手かった。
2幕
トロイアにヘレネを迎えにきたメネラオスと、トロイア女王のヘカベと、戦争の原因と言われたヘレネのやり取りが面白い。1幕で嘆いてたトロイアの女たちが、ヘレネやメネラオスらを攻める構図。女の意地が燃えてた。
ヘレネを演じた和央ようかは美貌はまさに絶世だけど、宝塚っぽい発声が舞台に馴染んでたか微妙。演技自体はいいけど。
メネラオスを演じた役者は、小遊三みたいないやらしい顔がいい感じにハマってた。
コロスの順繰りにセリフを言うのが、2幕でやっと効果的と感じられるようになった。可笑しさでなく悲壮さに(自分の中で)変わったというか。
あと、子供の死を悼むシーンの、各国のオリジナリティが面白い。
満足度★★★★
マトリョーシカ
職人肌な舞台。
ネタバレBOX
カナダのケベックの男女3名。
ディヴィッド(吹越満)…ルーシー(太田緑ロランス)と恋に落ちる。フランソワ(森山開次)に対してポリグラフの検査を行った過去を持つ。
ルーシー…女優。事件を題材にした映画に出演することになる。フランソワの隣りに住む。
フランソワ…多国籍料理のボーイ。昔、友人女性が強姦殺人された事件の容疑者となり、ポリグラフ検査を受け、以後、自分が犯人である可能性に苦悩し薬物に逃げる。
話的に過不足がないように思えた。3人が無駄なく提示されているというか。少人数芝居のシンプルさが、際立ってた。
吹越の演出に好感が持てた。客を置いてきぼりにしない。そして各シーンが鮮やかに時にグレーに染め上げられる。フランソワが、悲しみにくれ、街中をあてもなく歩くシーン(吹越と太田が森山が乗った机をくるくる回すとこ)がじんわりかっこいい。
3人ともスタイルがいいからか、ヌードの演出もとても惹かれる。
照明・音響効果や舞台セット、衣装や映像などと俳優の動きのバランスが非常に良かった。
開演前の太田のフランス語前説や、終演時の吹越の「終わりです」もいい。
満足度★★★★★
炭坑の神様
面白い。
ネタバレBOX
炭坑で小さいながらも王国を作り上げ、「神様」と慕われる辰介(池下重大)だったが、落盤事故を契機に、カネや名声、地位を一気に失い失踪する。辰介の妻・玉恵(椎名りお)が命と引き換えに生んだ末弟・ハジメ(大手忍)は、ちょっと変わったとこはあれども、愛され育つ。そしてダンボールの汽車で遊ぶ孤児(外山博美)と友達になり、失踪した辰介を、スラム街的な地域で見つけるが、変わり果てた父の姿に動揺する。結局、炭鉱は閉鎖となり会社も倒産となり、2人の姉とともに親類の家に転居することになる…。
ラストの父や母やおばあちゃんらの「生きろ」コールから、覚醒したような表情をみせるハジメが眩しい。炭鉱の街の地下の冷たい水に、汽車を浮かべるという、孤児との約束は守れなかったが、ゆっくり動き出したハジメの人生を表現するような汽車の登場(とバックのひまわり)も相まって、印象的なシーンとなっていた。
板垣桃子演じる、辰介の義母・野毛綾華がワンポイントになってた。
ちょいアウトローで強引で「ドン」って感じだけど、孫らには優しい。辰介に対して、家族をもっと大切にしろと忠告もしたり、辰介の性質が炭坑主には向いてないことを見抜くなど鋭い女性。それでいて、事故後の家族への血の通った対応ができる芯の太めな女傑。
綾華との対比というわけでないだろうけども、辰介の「家族」への想いはどれほどだったのだろうか。玉惠の死後、墓参りもあまり行かず、お手伝い(川原洋子)と通じ(綾華は見抜いてた)、事故後は突如失踪。綾華曰く「宝物」のはずの子供らのことをどれほど想っていたのか。
炭鉱に取り憑かれた男の悲劇の話と、その息子の心に生まれた志の話、だった。
ちなみに、父(炭鉱の神様)と孤児(ハジメからみた神様)とハジメが言葉を交わすシーンが美しかった。
また、エネルギーは誰かの苦労の上に成り立つというメッセージが、コトの重大さとそれが難題であるということを思い起こさせる。
満足度★★★
ピーちゃん
面白い。
ネタバレBOX
小説が書けない男(フジタタイセイ)がバスに乗って途中下車。バス停近くで流しそうめんを食べる女(田中渚)に一緒に食べようと誘われる…。
挫折し逃げる男と泰然として「世界は流しそうめん器だ」という女の、噛み合わない話。そうめん器の外にはそうめん器があって、太陽系の外にはさらに宇宙が広がっていて、逃げることに意味はないと。それよりもここにいて不毛に過ごすと。
生み出そうと意味をみつけようともがく男に対して、「不毛を愛する」と言ってのける女のミスマッチ感。それでいて話が崩壊してないから75分惹きつけられる。
女は自分を女優であるといい、ここが舞台だという。メタユーモアとも言えるし、実際地蔵を相手にした自称・舞台ともとれる。逆に、バケツを被り顔半分を隠す男。見て欲しいと欲する男に対して、見られていることを勝手に意識する女。
この男女の組み合わせが絶妙と思う。そして舞台は哲学な空気と世俗っぽい人生観でいつの間にか満たされる。
ラストは巡回バスで東京に戻ったということなのか。夢オチのようにも見えるけど。男がバス停の話を小説にする舞台化するって言って、バスに乗ったとこで終わっても綺麗だったかな。
田中渚は表情がとても美人だった。そしてアヒルのようなひよこがクルクル回る姿がとてもかわいかった。
満足度★★★
fictions
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
「とりあえず先は見えない」
30前後くらいの男5人が、引越し準備をしている変哲もない会話劇。急に終わったかと思えば、同じ劇を暗闇の中、全裸でやるという。
人生の未来が全く見えない男らのどこか冴えない雰囲気に、「暗闇」「全裸」のエッセンスを注入すると不思議なことに面白さが4倍増しに。着衣verの際のセリフが全裸verで活きてくるあたり、なかなか出来た作品。セリフ的に視界は明るくなるというか。
確かに、デジカメじゃなく使い捨てカメラで写真とんないとダメだなと。
「秋にまたない」
仲のいい4人組の中の女性が突如としていなくなり、残された手紙には○月×日に帰ってくるとの文字が。男3人は、希望のような諦めのような心でその日一日を不毛に過ごす…。
結構好き。姿を現さない女性に惹かれ続ける男の性というか、なにしてんだかって空気がいい。悲観的なくせに希望を捨ててないってね。湿ってるいい作品。あと、ラスト女が来たっぽい話のシメも。そこでトモ(津和野諒)がニヤってするのも。
「だらしなく人生は確かに続く」
人を殺しに行く男とその妻っぽい女性。駆け落ちして服毒自殺する教師と女生徒。木炭自殺を図る冴えない男3人と、失恋で首吊り自殺する女…。
みな、死ねず殺せず、生きていく。シンプルな作品だけど、BGMも手伝って、気持ちが楽になるよう。失恋女(木村ゆう子)の能天気な歌い方が特にいい。人間、一人はよくないってことかな。誰かがいないと。
「うちの屋根がでかい鳥に持っていかれた。」
遠藤みちる(関原あさこ)に告白したい真田の葛藤を、4人の真田で描く…。
「屋根が鳥に持ってかれた」と悩むみちるは、家族崩壊の悩みを抱えていて、それを引き出した真田(中舘淳一郎)の想いがちょっと伝わってって話。4人の真田って変化球なとこと、真田の告白ってストレートなとこのメリハリがもうちょっと利いてるとなお良かった。
「男達だけで踊ろうぜ」
高校野球地区大会決勝の控え室。自分もベンチに入りたいと懇願するマネージャーの岬(湯口光穂)。ヤクザに支配された街で、先輩方に服従するメンバーらは、女を入れないのは伝統だと突っぱねる…。
キャプテン(ひら凌一)が先輩方にボコボコにされながらも、甲子園出場を条件にマネージャーをベンチに入れることを約束していたことが判るというオチ。友情出演の面々のキャラが面白くて序盤は笑える。ヤクザな街に生まれた男の生き様ってとこで、もっと引き込んで欲しかった。いい作品と思うけども。
「ミセスフィクションズのメリークリスマス(仮)」
虚構な「ミセスフィクションズ」の楽屋と終演後を描く…。
ブルジョアな三姉妹(受付・中嶋含めて四姉妹?)のブルジョアなセリフと感覚がウケる。受付やって蟹工船思い浮かべんなと。
自己パロディの中に、想いみたいなのをすべり込ませる、ちょっと綺麗な舞台。実際、北川未来は、顔立ちがとても綺麗だった。
4人の作演でつくられた作品群。どれも「味」があった。今後も、この集団のこのスタイルが続いているといいなと。
満足度★★★★
不思議な茶碗
演者を間近で見られる贅沢な落語会
ネタバレBOX
立川談奈「転宅」
名前の間違いで笑いを誘い、その後も間違いをネタに笑わせるのは良かった。内容的にはもう一歩ほしい。
桂米紫「はてなの茶碗」
米紫の勢いのある口調が活きてた。茶金の説得させられるシーンであえて茶金を演じない手法が面白い。話自体もわかりやすくて面白い。
神田京子
忠臣蔵。話をほとんど知らないけども、なかなか魅せてくれた。討ち入り時のシーンは確かによくわからんがカッコイイ。小気味いい。
立川左談次「町の若い衆」
話のオチが綺麗な話。左談次が意地悪げな旦那を好演。そしてそれにカウンターパンチを喰らわす妻。面白かった。