満足度★★★
バシルーラ
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。110分。
ネタバレBOX
「フレンドリーなコンビニ」
コンビニに飯買いに来た松本が、不思議なカツオ弁当を買う。陽介扮するナカジマとカツオ(松本)のグッとくる青春の1ページとしんみりくる引退編。そしてコーヒー「南風」を買うと、美和子が「甲子園に連れてって(たっちゃんだったか?)」と声をかける…。
一発目ながらなかなかいい感じ。笑いとストーリーのバランスがいいし、オチも綺麗に決まってた。
「食べさせたくて」
太り気味なグルメリポーター(山本)は食べたくてしょうがいないが、敏腕マネ(加藤)がそれを悉く阻止する。山本のファン(小玉)と加藤が死闘を演じるが山本が更なる力で二人を止める…。
コミカルな戦いが笑いを誘う作品。もっとくどくてもいいかも。
日替わり定食「女優」
サンスターな女優だった小玉とチョリッスなマネ(村上)の二人は、楽屋でドラマの台本あわせを行う…。
以前見た小玉久仁子一人芝居時とベースは一緒か。それでも楽しく観られたのは、二人のキャラが立ってるおかげかな。
「毒な男」
毒な男(米山)が10歳の女の子を誘拐、監禁するが、女の子は死んでもいいと言い放つ…。
いじめられてる(かつ虐待されている)女の子に、父親心で接する毒な男というウォーミングな小品。なにげに一番良かった。
「ラブストーリーは筑前煮」
給食のおじさん(加藤)と、低温室に閉じ込められた給食のおばさん(小玉)の会話劇。
オートメーション化された給食調理に対して異論を唱え職を辞すると悩む小玉と、小玉に想いを寄せる加藤という構成。じんとくるといえば来るが、そこまでジーンと響くとこまでいかなかったのが残念。筑前煮は好きだけど。
幕間劇「キラー定食」
定食戦隊的な6人がキラー定食というウィルスとの戦いというよりコントな作品。つかみは最高。スシガリアン?はいいネーミング。
コメディ・コントな舞台。全体的に面白いが、もっとメリハリが欲しい。セリフ(発語)がグダったとこも多いし。定食と銘うっているだけに、気軽に見られる舞台だったのは良かった。
満足度★★★
孤独な女
面白い。60分。
ネタバレBOX
女(川田智美)…タカハシの彼女。死んでるタカハシと付き合っていく。生涯独身。死んだ。
タカハシ(斉藤マッチュ)…亀山に殺されるも女と付き合う。
亀山(亀山浩史)…夢の中で人を殺す。死んだことを気づかず、人を殺しまくる。
のぞみ(森岡望)…亀山の妻。女は叔母にあたる。叔母の遺品(服)を整理する。
かずみ(すがやかずみ)…のぞみの妹。半ひきこもり。綺麗な服持ってない。
亀山の夢と、女とタカハシの恋愛と、叔母の死後と、時間が混在する舞台。死んだ男と付き合うってとこからしてSFな舞台。亀山が二人に接触するとことか妙な味わいがある。のぞみとかずみの会話から、もうちょい女を浮かび上がらせるような仕掛けがあるとよかったかなと。
女の妙にかわいい加減が素敵。亀山との会話のシーンとか。
椎名林檎の白昼夢?のシーンが一番良かった。結婚せずとも幸せを感じる瞬間がどれくらい人生にはあるのかなと。
満足度★★★★
傘
面白い。95分。ATもなんか暖かかった。主宰の影響かな。
ネタバレBOX
菜々(川村紗也)…小学校で父が離婚し出て行き、中学校で兄が結婚し出て行き、母と二人暮らしになる。その後母の再婚話も出るが断った。母と兄の関係にコンプレックスを感じて疎遠になる。
伸夫(松本哲也)…菜々の10上の兄。母に好かれてた。24の時にできちゃった婚した。横文字が嫌い。
深雪(荻野友里)…伸夫の妻。伸夫が会社の同僚と不倫している様子があり不安。
清人(吉田電話)…伸夫らの子。菜々の甥。中学生。ハイランドシー所属。
英二(山田百次)…伸夫の友人。お酒好き。離婚した。
熊田(夏目伸也)…菜々の彼氏。38歳。傘の部品に関する会社に勤める。
母が死んだ通夜の日に、熊田を連れて突如菜々が帰ってくる。今まで音沙汰無しで、男を連れてきたことで伸夫はピリピリしっぱなし、熊田はおどおどしっぱなし…。
家族にだけわかる微妙なとこと家族だからわからない微妙なとこを織り交ぜた会話劇。ピリピリしつつも、根底に愛情が流れてて暖かめ。実家(母の住まい)を取り壊すという終盤のやりとり部分は特に良かった。あと、浮気の疑いありな伸夫に英二が言葉をかけるとことかも。変に語んないのがいい。
妙な会話から笑いがどんどん生まれてくる感じも相変わらず上手い。
役者も皆、安定した演技だった。インパクトのある清人の、いかにも中学生的などーでもいいことに執着するとか、こういう場が苦手な感じも上手い。
満足度★★★★
地球のどこか
面白い。95分。
ネタバレBOX
とある中東の日本人バックパッカー宿。長期旅行者のような会話から一変、戦車や軍人が町を行き交い、銃声が鳴り響く。異様な雰囲気の中、飛び出す者や妊娠中の妻に電話をするものも出てくる。朝になっても爆発音がなり、これからのことを考える面々の前に、飛び出したコウジが笑顔で戻ってくる…。
実はポコチン国王の生誕祭?だったというオチがよいかどうかはわからないけど、前半のいかにもな空気感から徐々に不穏な空気へ換えていくのが上手い。言葉がわからず、情報も制限された異国での不安感はかなりのストレスだしね。なんにせよ、スリリングな感覚が味わえた。てか、宿のおばちゃんらはちゃんとに言っとけよと。あと、あれだけシリアスに飛び出したコウジは結局結婚式に出なかったのかと。
日本から離れた地を描き、日本を浮き彫りにするということか。韓国人・ミンを使って深めてもよかったかなとも思う。ただコウジを想うだけの女のようでもったいないなと。
竹田?が日本人に対してぬくぬくしていると批判してたが、何かしたわけでなくそこに居合わせただけで、自分は日本人と別者だと感じるとこがいい皮肉だなと。
満足度★★★
雲
面白い。原作未読。140分。
ネタバレBOX
架空の原発事故を描いた「みえない雲」の原作者を私(陽月華)が訪ねることと、その作中劇という構成。チェルノブイリ事故後、発生した原発事故でヤンナ(上白石萌音)は弟と親族宅を目指すが、道中弟が跳ねられ死亡する。一命を取り留めたが放射能に汚されたヤンナは汚染者の象徴のようなはげ頭を隠し生きる。片思いの男子が絶望から自殺し、親族宅を出て故郷に戻り、弟の亡骸を埋葬する…。
作中劇としての序盤の緊迫感溢れる演出がとても良かった。14歳のヤンナと事情も飲み込めてない駄々っ子な幼い弟と必死に逃げる様子に、非常事態かつ悲劇な空気が満ちてた。照明や舞台の使い方も見ごたえあったし。
(今の)私が取材する視点で、3.11と日本の意識を浮かび上がらせる手法もなかなか。作中劇だったか、どうなるか誰にもわからないというセリフが、劇と現実を強く結び付けてたように感じた。
面白いと思うが、感覚的には140分面白さを感じられなかった。ちょっと長いかな。演技自体は良いと思うが。外国の地名と人名が苦手というのもあるけど。
大森美紀子の年上の女性性さの表現は流石だなと。主演の上白石は小柄さも手伝ってか、14歳の女の子ぽかった。かなり行動力あるけど。私が怒りをぶつける陽月華のシーンは、もう一歩頑張ってほしかったかな。
満足度★★★★
神様
面白い。115分。
ネタバレBOX
母マリア(新井結香)が強姦され殺された体夢(大手忍)の前に未来の体夢である青二才(石原由宇)と狂人(池下重大)が現れる。謎の奇病に怯える人々の絶望が溢れる世界で、体夢は活動家らとともに旅をする。奇病に対抗できる唯一の人間である体夢だったが、恋人マリア(新井結香)の死を回避しようとする青二才に殺されかけ、逆に青二才と狂人を撃ち殺す…。
人の欲望を枯れさせるという奇病と世界観の設定が面白い。そこに、人間的な軸を通して絶望とちょっとの希望を表現している。ラストの幕を使った演出シーンはちょっと神々しくもある。終焉からの再生というのか。
話的にはもうちょいメリハリのついた感触があっても良かったかなと。まあ面白かったけど。体夢の3人はみな演技が良かった。白塗りのメイクと照明効果といい、モノトーンな荒廃した舞台感は気に入った。
満足度★★
フクシマの話
50分。
ネタバレBOX
震災で夫を亡くした女の受け答えを3人の俳優で行う。
舞台と話に興味が持てず眠かった。
満足度★★★★
フクシマと女
面白い。110分。
ネタバレBOX
滋賀の私立高校で、校長らOB派と外部登用の副校長ら外様派で、修学旅行先を北海道にするかフクシマにするかで揉める。右往左往しつつも、副校長派が勝ちフクシマ行きをもぎ取るが、地方紙にリークされ原発反対派の理事に反対されてしまう。そこでリークしたのが副校長に二股かけられてた美術教師・珠美(中村彩乃)とわかる…。
学校内の政争と男女のもつれ、フクシマという「被災地」に対する想いを織り合わせて、いい感じに笑える舞台になってた。笑いと問題提起のバランス感覚が上手い。珠美のリークの動機をぼやけさせたのも○。
珠美を演じた中村が安定した演技をみせてくれたのも大きいかなと。聞き取りにくいとこも全体にあったし演技力的に微妙な方もいたが、ここがしっかりしてて作品を支えていたと思う。歌のときの表情も良かった。平清盛だけど。
開演前のムービーと解説もあって良かった。
満足度★★★
圧殺
面白い。100分。
ネタバレBOX
荒木実(谷仲恵輔)…投身自殺する。
荒木由紀…実と前妻の子。中学生。同級生を刺殺する。
山口絵美(蒻崎今日子)…実の妹。慎一の子を身篭るが流産した。
山口慎一(根津茂尚)…絵美の夫。広告代理店勤務。浜田に圧力をかける。
坂本なるみ(堤千穂)…実の恋人。前妻死後付き合いだす。
塩月未香(堀奈津美)…PROBE記者。自己の家庭環境から実となるみの影響で事件が起こったと記事を書く。
浜田敬(内田健介)…PROBE営業。未香と婚約する。慎一からの圧力で未香と関係がこじれる。
森川俊介(芦原健介)…PROBEデスク。
小木和宏(竹内健史)…ミタプレス記者。実死亡後、未香のことを記事にする。
友村尚子(高嶋みあり)…由紀の担任。由紀の気持ちがわからないと悩む。
横田出(廿浦裕介)…学年主任。いじめはなかったと収束を図る。
話的には中学生が殺人を犯し、その影響が圧力を生みどんどん派生し、さらに悲劇が起きるというもの。
その立場立場を考えると、(自分の利益のため自分は正しいと考え)みな自然な行動をとるが、どんどんマイナスな方向へ進み引き返せないことになると。退屈はしなかったが、生々しさはあまり感じられなかった。
由紀の事件の原因がどこにあるのか。本人も良く分らないんじゃないかと思うが、周囲の人間が(自分の利益のため)原因を「1つに」断定することの気持ち悪さは面白い。実が自殺したことの原因は、未香の記事だけではないだろうが、小木が記事のせいだと決め付けるってラストもいい。
男女の男女関係に対する意識の違いもニヤっとできる。慎一と絵美、絵美となるみの意見の違いとか。
慎一の(独りよがりな前向きな)離婚提案と、その後の流産のくだりもいい。慎一と絵美は、本作で一番ナチュラルな存在だと思う。逆に、横田は、批判的な意味でないけど、一番コミカルだった。
満足度★★★★★
ホントは
面白い。90分(休憩15分)。
ネタバレBOX
仲村トオル…男1。キッチン用品の販売。
山崎一…男2。男4に耳を食いちぎられた。
マギー…男3。飼育員。男4を蹴った。
犬山イヌコ…女1。
緒川たまき…女2。杖をついてる美女。
奥菜恵…女3。花嫁。昨日殺された男は婚約者。
池谷のぶえ…男4。トラだかライオンだか熊だか言われてた人。
1幕。通りすがりの男1は、トラだかなんだかに喰われたい食われたくないの話で困惑する。女3に「本当に喰われたくない、皆に説明して」とお願いされたとこで幕。
2幕。男3に連れられトラだかなんだかが登場。袋に包まれたまま、女3に杖で叩かれ男3に蹴られ、男2にキッチン鋏で刺そうかと言われる。袋から出された男4は誰が蹴ったのか男1に詰め寄る。女3の代わりに男1が暴露すると、男4は女3を刺し殺し、ドレスが真っ赤に染まる。呆然とする男1に、女1は警察に聞かれたら「トラに喰われたと言って」とセリフを残して去る。
苦笑いな面白さから徐々にサスペンス調が加わり、一種異様な舞台空間が作られてた。男4を誰が蹴ったというくだりのニヤっと笑えるとこから、急降下する感覚になれる。男1が「女3は噛まれたくないと言ってたと説明してくれと言われた」と言うと、女2から「なんで言わないんだ」と叱咤されるとこなんか最高。その後の女1の捨て台詞もいい。面白怖い舞台だった。
奥菜恵の大きな瞳と病的な感じのミックスも魅力的だけど、仲村トオルの翻弄されるやや実直そうな姿が妙にマッチしてて良かった。
満足度★★★★★
鐘つき
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。80分。
ネタバレBOX
カジモド(佐々木豊)…フロローに拾われた孤児で障害者。大聖堂内で、ずっと鐘を鳴らして石像と「お話」して生きてた。
ヒューゴ(加藤晃子)…大聖堂内の石像。いかつい顔をしてる。
エスメラルダ(渡辺実希)…ジプシーの踊り子。カジモドとともにパリを去ろうとするが、フロローに殺される。
ジャリ(小田本亜莉紗)…エスメラルダの妹?。フィーバスに唆される。
フィーバス(渡辺望)…兵士。エスメラルダらをハメる。
フロロー(牧野ななわり)…大聖堂の副司教?。カジモドを哀れみ保護するため、街へ出さなかった。カジモドに突き落とされ死亡。
ユーゴー作は知らない。
6人芝居のバランス感覚がいい。短い時間で上手く光を当ててた。
虐げられる者同士のカジモドとエスメラルダを鐘が結んだ矢先、カジモドを想うフロローにより二人は永遠に別れることとなる。時間にすれば数時間くらいしか触れ合っていないだろう二人の沈痛な心が伝わってくるような感覚になる終盤のシーンはグッときた。エスメラルダの叫びもいい響きだった。
死んだエスメラルダと「父」であるフロローを前にして、言葉も碌に話せないカジモドが父を殺し、独り絶望に暮れるカジモドと記念碑的な夜だったとモノローグを語るヒューゴという流れが上手い。
石像っていうあんま動かない役を演じた加藤は一番大変なのかなと。父を殺した後のカジモドの語りは短めがいいなと。サイド?からの照明はやや眩しかったなと(角度的に美しくもなるけど)。
満足度★★★
青鬼
100分。
ネタバレBOX
さち(山田まさゆき)…仙人に育てられる。その後独りで放浪し無限に逢う。
ゆめ(埜本幸良)…さちとともに仙人に育てられるが仙人の元から逃げようとし死亡。
仙人(サリngROCK)…人類最後の女性?
無限(緒方晋)…さちの伝染病を治し、人を探す旅を続ける。
人がほとんど死んだ世界。そこで生きる男の一生。
無限は子孫を残すために人を探しているが、さちには明確な理由がない。人が生きるのはなんのためってとこを暗澹と描いたような作品。
人とは違う青鬼?が子を産み繁殖する様も描き、人とそれ以外の生き物の差同じとこを見せ付けた格好なのかなと。原始的な話なのかと。
途中途中でもうちょい心惹かれるポイントがあると見やすくてよいと思った。
満足度★★★★
片腕
面白い。90分。
ネタバレBOX
はる子(平岩紙)…太郎の妻。皆から腕の美しさを誉められ、和美と対立する。
太郎(古屋隆太)…デザイナー。照男と関係を持つ。
和美(石橋けい)…専務の妻。田ノ浦をおちょくりはる子と対立する。太郎にモーションかける。おっぱい。
専務(岩谷健司)…はる子に言い寄ったり照男の同級と書斎でSEXしたり。
田ノ浦(師岡広明)…トヨタ勤務。はる子に一目ぼれするが、はる子からは童貞臭いと思われる。
雅人(岡部たかし)…太ってたけど胃を切除して痩せた。何回倒れても会場にい続けた凄い人。そして死んだ。
照男(橋本淳)…専務らの息子。大学生。はる子と合コン。父の恥部を明かす。
微妙な空気感を作るのがうまい。そして笑える。面白かった。
和美とはる子のピリピリした会話もいいし、専務のスケベっぷりもいいし、田ノ浦の童貞っぽさもいいし、キャラと会話の組み合わせ具合が素敵。ラスト、雅人が死んでいる反対で濃厚キスを交わす照男と太郎というシュールさもいい。
はる子が酒を飲んだ後の口元が最高に良かった。
満足度★★★★
あした
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。90分。
ネタバレBOX
朝子(岡まゆみ)…記憶障害的疾患の疑いあり。
英治(瓜生和成)…朝子と同居。小学校の教師。朝子のため彼女に別れを切り出す。里奈と同じ天文部だった。
良子(もたい陽子)…朝子に東京にくるよう説得する。洋平の子を身篭る。
洋平(郷志郎)…良子の夫。医師。リアリスト。
里奈(菊池美里)…良子の同級。天文雑誌の編集長で夫が自殺し失踪。抗鬱薬を使用。
活火山がある地方の町。父の一周忌で帰省した良子らは、朝子の体調の件もあり東京での暮らしを薦めるが…。
序盤から中盤までやや退屈だけども、洋平がお茶を淹れるとこから面白さが増した。あそこの空気感がとても上手い。作品的にも程よく緩まって味わい深いし。役者的にも5人ともうまかった。特に瓜生のちょっと偏屈そうな演技とか。
記憶とか人とか大切なものを喪失する人々の話であり、そこから一歩踏み出そうとする話。朝子が良子に「早く寝なさい、明日もあるから」と促す最終盤のセリフに、家族愛とか人生的な希望とかが垣間見れてちょっと嬉しい。
満足度★★★
旅行記
80分。
ネタバレBOX
初子(村田牧子)…ゆなの母。おばあちゃんからの手紙に自分のことが書いてなかったことが哀しい。
朔太郎(佐藤滋)…初子の兄。ゆなと一緒にいたい。
ゆな(植浦菜保子)…14歳からの記憶を旅する。
たお(李そじん)…ゆなと同い年。朔太郎の前世の恋人。
ゆなの揺れ動く心をカラフルに寂しげに彩る舞台。面白いとは思わないけど、妙なブレンド感はある。ふわっとしたのもいいけど、パンチの効いた重たい感覚を感じたかった。
満足度★★★
チラシぬいぐるみの犬かわいい
160分(休憩込)。
ネタバレBOX
とある犬から始まった狂犬病が世間を震撼させる。その短編。
「犬を拾いに」(コンビニ)
(帰ってきた)ベロが浮浪者をかみ殺す。四話での友紀奈と文太の会話に通じる序章。もうちょいコンパクトは導入でいいかなと思う。
「部長は荒野を目指す」(製菓会社の専務室&会議室)
4号まで持つ部長の魅力ってスゴイなと。凛(22)を演じた井神沙恵の魔性っぷりが上手い。
「漫画の世界」(漫画家の家)
漫画のため(犬への復讐のため?)犬を正当防衛と称して撲殺する漫画家らと、犬を愛護する男の戦いのような感じ。漫画家ら4人の造形がとても上手い。狂犬病の蔓延する世界という設定と動物愛護の精神と、人間の狂った側面のバランス感覚もいい。面白かった。
「賛美歌」(動物愛護センター)
動物愛護センターと愛護団体が行う、譲渡会当日の話。全3話が絡まり収束する。友紀奈の「私たちがかみ殺されるべきだった」という言葉が印象深い。3話の漫画家らがゾンビーになってたのがいい皮肉か。賛美歌が鎮魂歌的な心持になる。
全体的にややメリハリに欠ける。休憩込みでも2時間程度が良かった。座席の割りがよくわからんかった。
満足度★★★
にじり寄り
面白い。90分。
ネタバレBOX
加藤(木下崇祥)…片山と仲がよくて好き。後輩を脱がせる。
片山(小瀧万梨子)…加藤と同郷。里見とも仲良し。
里見(黒木絵美花)…母の看護のためなくなく帰省する。
澤田(成瀬正太郎)…里見が好きでマフラー渡したけど、石鹸にしとけばと後悔。
鈴木(重岡漠)…澤田の同期。童貞。全裸になりたがる。
清美(村井まどか)…加藤の姉。旅館地下のバーのママ。森が好き。
久子(墨井鯨子)…清美の店のホステス。槙尾が嫌いで森が好き。
有美(鄭亜美)…清美の店のホステス。森といい感じ。加藤と同郷。
森(野田慈伸)…清美の店の従業員。有美をレイトショーへ誘う。威圧感あり。
槙尾(折原アキラ)…清美の店の常連客。スーパーの店主。嫌われ者。
里見の送別会でサークル仲間?で加藤の実家の旅館に宿泊。そこかしこで男と女の「にじり寄り」が展開する舞台。
好意持ってる同士がちょっとずつ距離を縮める様を面白く描き、結構笑える。が、90分の時間だと中だるみはするかなと。ATで作演が、くだらないものだけを書きたいと言ってたけど、それだけだと飽きちゃうかなと。ニヤニヤできる舞台は好きだけどね。
里見の悩みみたいなとこもちょっとはあったけど、やや宙ぶらりんな気もするし。リアリティな舞台なんだろうけども。
槙尾の悪口さんざん出た後の折原アキラの登場シーンはウケた。あと、鄭亜美のかわいくて病的な声がやはりいい。ゲスト・田川の不幸論もウケた。玉田真也は見た目の優等生っぽさとウラハラに、しょーもない話が好きという変わった人だった。
満足度★★★
砂
面白い。120分。
ネタバレBOX
「隣人の顔」(堀川炎)
精神カウンセラーの男(島田曜蔵)に高校教師の女(高木直子)が相談に来る。男は女が高二の時に片思いした女と気づくが…。
作演が客に初恋の人を思い出すよう話かける導入とかテーブルクロスをめくっての転換とか、面白いと感じた。終盤の、「箱」に女が気づいたかにみえるとこでかわすのもいい。カウンセリングで再生(未来)に向かう女と、過去を振り切れなかった男の対比もよいと思う。ただ、カウンセリング部分と男の情の絡みがちょっとピンとこなかった。
「不眠普及」(綾門優季・蜂巣もも)
眠気はあるも眠れない女(坂倉奈津子)が、色んな男とセックスして不眠病を感染しまくり隔離され、充実感を得る…。
話の設定と突飛さがいいとこ突いてる。坂倉のまばたき少なめな狂気染みた演技も○。普通にしてれば美人だろう容貌の崩れ方が、女の内面を現してしているようで上手いなと。
自暴自棄とかでなく、女のストレートな欲求が徐々にヒートアップしていき、幸福へと昇華していく。暗めな色合いながら内容は前向きなんじゃないかと感じた。いい舞台だった。
「Closet」(下田彦太)
とある企業の就職テストで組んだ、新卒なマエハラ(前原瑞樹)と子持ち社会経験有りのクシオ(串尾一輝)。M市であったストーカー殺人&リベンジポルノ事件のロールプレイと考察を重ねるが…。
就職ってとこから人間の罪とか進化とかまで飛躍する話は面白いと思う。一番笑えたし。カインとアベルの「それ神様が悪いじゃん」は妙に納得した。折角だから、神とか人間とか大きな部分で話をもっと展開しても良かったかなと。
満足度★★★★
XYZ
面白い。100分。
ネタバレBOX
紫式部(長澤まさみ)
人気上昇中の若手作家。源氏物語執筆中のほか何本も連載を抱えている。容姿美麗だが作品を観てくれていないと悔しがる。和泉式部の勢いに自分の存在の危うさを感じる。酒を愛している。
清少納言(斉藤由貴)
大切な人のためだけに書いた「枕草子」がヒットしたベテラン作家。オワコンと影口叩かれ、紫式部との世代交代をささやかれるのが面白くない。紫式部を潰そうと思う反面、その才能を認める。あけぼの賞の講評をしたいと紫式部に願い出る。
あけぼの賞授賞式前夜のバー。二大女流作家同士の心と心がぶつかり合う。紫式部の奔放な感じと清少納言の垢抜けない感じのメリハリをベースに、年齢や女の器量や作家としての才能、自己への帰結と転々する会話劇。
終始紫式部のペースで進む中、紫式部が不安をみせ、清少納言がそれを和やらげる。トイレに行った隙に紫式部日記を盗み見る清少納言が複雑な高笑いをして幕。
親子ほども離れていない年齢差で人気商売なとこもある同業者という二人の織り成す空中戦は単純に楽しめた。長澤まさみの奔放演技はとても魅力的だが、斉藤由貴もまたそれを受け止めていたように思う。清少納言の、「才能もあって美人がなんで書くのよ」とか素の言葉が結構響いた。やや臭めなヤボったい演技も愛嬌があるように見えた。
もっと緊迫感とかイライラの感じられる舞台だと、なお良かったかなと。
満足度★★★★
生着替え付き
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。80分。
ネタバレBOX
「新婦あき」
新婦あいさつで18歳の彼と結婚すること、16年前に彼の父と不倫していたこと、実父は彼の祖父であること(母も不倫していた)を暴露するあき。電話が鳴り、カラオケで独り新婦芝居をしていたと分かる…。
ブラックユーモアなとこからストンと落としてくる。一発目ながら楽しめた。
「鍋川というオンナ」
オナベな鍋川が実家に帰る。母から手紙を受け取ると、父は母で母は父だと書いてあった…。
もうちょいひねりがあってよかったかなと。
「白く濁った保健室」
小学校のときに口腔の細胞を男子に見られ興奮していた女が中学校の保健養護教諭となり、生徒と肉体関係をもっていた。その子の子を身篭り、同僚の臭い体育教師と結婚するという。そして生徒が成人したあかつきに慰謝料と子を抱いて生徒と一緒になろうと誓う…。
禁断の愛を純愛に変換するため同僚教師を利用する先生が、エロくて美しい。笑えもするしドキドキもするし、いい小作品。
「失恋タクシー」
親友に彼氏を奪われた女が交わす、タクシー運転手との会話…。
ユーモラスな親友との電話での会話から、悲しみにくれる女とすっとぼけた運転手とのこれまた味わいのある会話が魅力的。首都高?のSAで不安になり、思わず親友に電話してしまう女のブレつく心が面白い。そして鉄腕アトムのテーマを口ずさむ乾いた表情が堪らない。
「わたしのあおぞら」
路上で寝ている女に通行人が声をかけるが、女はその場を動かずとりとめもないような話を始める…。
クリスチャン?な女が男に乱暴され汚されたと判明する以降の静かな空気感がいい。会場の天井ガラスと夜の冷めた感覚が舞台を引き立てる。ずっと寝そべっての演技で顔は見えないけど、神がいるか知らないとこぼす女の絶望と家族への希望のようなものが見えてよかった。
保健室とタクシーが秀作。衣装替え時の味わい深いカラオケもかわいい。