天守物語
少年社中
吉祥寺シアター(東京都)
2011/06/03 (金) ~ 2011/06/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
無題7
直前になってみることにしました。チラシだけはよく目にしていて「みようかなぁー、どうしようかなー」とは思っていました。タイトルを聞いてもピンとこないのですから泉鏡花原作はもちろん、あらすじすら知りません。もともとSF以外の日本の小説はほとんど読んだことがないのでした。泉鏡花といえば→「消滅の光輪」が泉鏡花文学賞を受賞したしたくらいしか知らないのです(ですのでみなさんのコメント、たいへん参考になります)。ここは3回目ですけど、前2作広さを少しもてあましているような感じを受けたので、ちょっぴり不安。新宿から混んでいる中央線で吉祥寺へ。ブックオフと古書店1件をチェックし会場へ向かいました。奥の扉からはいるとそこは異郷。
ネタバレBOX
お芝居のこととか役者さんのことは、もうみなさんが書いていらっしゃるので割愛。
入った時の第一印象。ちょうど江戸東京博物館、入口から「日本橋」を渡りながら一歩ずつ進むごとに時代を遡ってゆくかのよう。「封建時代──晩秋」という設定に対して日本橋が1603年(慶長8)だそうなので思い出すのにいいかんじ。舞台の幅、奥行きを存分に使っています。セット、衣装、言い回し、照明と音楽。こういったお芝居、久しくみませんでした。四季の「ジーザス」以来かも(主演山口さんのとき..古っ)。大がかりな舞台、海外ものだったら昨年みたけどちょっとちがうか...「ニーベルングの指輪(新国立劇場)」。
妖しい人たちが雰囲気十分に演じているのでお話のなかにすっと入ることができました。みながら思い出したのは「蜜姫村(乾ルカ著)」。山奥深い村..伝奇物(賛否あるみたいですが、個人的には大好き)。
your little smile
年年有魚
新宿眼科画廊(東京都)
2011/06/10 (金) ~ 2011/06/15 (水)公演終了
無題6
無題4に続き、全く受けつけず…。出していただいたのはご馳走だったのでしょう、でも一口も口にできませんでした。偏食なんですね、きっと。
ネタバレBOX
ここは2回目。「とても個人的な物語」で、だてさんをみました。席に着いてそんなことをぼんやりと考えて…おしまい。普通のことが普通のまま目の前にあって、それだけ。
(追記)第5話の平田さん、表情、仕草、セリフなどなどとてもよかったです。
星より昴く
東京ストーリーテラー
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2011/06/04 (土) ~ 2011/06/12 (日)公演終了
無題5
I have a dream(M.L.king).
Storyteller、このことばからはどうしてもR.ブラッドベリを思い出します。「お話」ひとつで読むもの聞くものをいろいろな世界に誘う案内人ですね。映画でも、ドラマでも、お芝居でも同じ。装飾らしいものがない簡素な舞台です。2色の水玉模様。天井にはミラーボールがみえます。ちっとも面白くない漫才でお話しは始まりました。
ネタバレBOX
本作品、お話の筋立てに難しいところはなく、演出とあとは役者さんの力量しだいということになりますが、折角のラブ・ストーリー、もっともっと甘酸っぱくてもよかったのではないかと思いました。でも、突然の音量上昇がそのあたりを遮っているようにみえます。どうしても異質なもの(演技)が溶け合わないままになっていて、決してよい舌触りではありませんでした(私には、ということです)。水玉模様は何をイメージしているのかなと考えても答えは見つからず、天井のミラーボールはいつになったらギラつくのかなと思っていたり。
おいしいケーキでもおなか一杯になるまでは食べられません。ちょっと手を休めてドリンクを飲んだり、おしゃべりしたり。ゆっくりできる間がほしい。ときどきセリフを噛んでいましたが、うっとりとレコードを聴いていて「これからっ」というところで大きなスクラッチノイズがはいって夢から醒めてしまった気分になります。
地震ありませんでしたか?
ピーチボーイズ
天然工房
テアトルBONBON(東京都)
2011/06/08 (水) ~ 2011/06/12 (日)公演終了
無題4
初日、本編終了。その後イベントがあるそうですが、劇場をでました。初めから終わりまであいませんでした。まだ公演は続くのでここまで。※多くのお客さんはよく笑っていらっしゃいました。
ネタバレBOX
ラスカルさんがコメントされたので少し追記します。えーと、説明文にあるニュアンスと相当違うと思うんですけど。控室の場面と本番中の舞台とがいっしょに演じられ、その転換が大仰で鬱陶しく感じてしまいました。あと演出家のテンションと性格設定についていけず。思い思いの自由な演技がとんでもない方向へ・・・面白い展開になりそうな気がする・・・が、ダメでした。
吹雪の中でワルツ
さるしげろっく
ワーサルシアター(東京都)
2011/06/07 (火) ~ 2011/06/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
無題3
八幡山登頂3回目。入ってみると畳が正方形に組まれていて、その四方に椅子席が配置されています。8畳の和室を観客が取り囲みます。入って奥3列、両横1列、手前2列だったかと。どこに座っても大丈夫だと思います(もちろん前列に陣取りましょう)。和室の四隅には柱がありこれで屋根があったら土俵かも。本日はそれにふさわしい大相撲をみた思いです。
ネタバレBOX
始まるや否や女性が突っ伏します。と、突然大勢が闖入暴れまくります。ここで今日はダメかも、と思いましたが、すぐにお葬式の場面に展開。こちらの劇団は初めて、初日でこれだけみせてもらったのでいうことありません。それぞれ個性的なキャラが登場人物(とハンドルネーム)、一世一代のオフ会というところでしょうか。ぐるっと囲まれているのでみなさん役になりきっていて、少しも気の緩みをみせません。笑って、怒って、泣いて。
題材の飛行機事故については、個人的に関心があり123便についての書籍はできるだけ読むようにしています。昔、会社の知人が夏休みで実家に帰っていたとき、墜落(18:56)した時の音を聞いたと話してくれました。
事故と企業。ひとたび惨事となれば、その会社にかかわる者全員が責任をとれと追い立てられます。JR西日本も東電も同様。それでよかったのでしょうか?
ともしび
劇団芝居屋
ザ・ポケット(東京都)
2011/05/31 (火) ~ 2011/06/05 (日)公演終了
満足度★★★★
無題2
このような趣のお芝居は始めてでした。舞台前方に幕。まさか、この狭い空間で演じ続けるとまでは思わなかったものの、突然、ラーメン屋が現れてビックリ。舞台に野球場が出現して以来のビックリ。予習しなくてよかった(なんて言ってるから…)。
ネタバレBOX
役者さんの年齢に幅があり、お芝居としての役そのものに見えました。難しいことはひとつもなく、一緒に心配したり、笑ったり。世の中そんなに都合よく行くわけないさ、なんて思いがちな自分も、そうでなくっちゃ、と納得してしまうのでありました。
泣けば心がなごむけど、あなたの前では泣けません
世田谷シルク
「劇」小劇場(東京都)
2011/06/03 (金) ~ 2011/06/06 (月)公演終了
満足度★★★★★
無題
日曜日の下北沢PARTⅡ。本公演、チラシのデザイン、クレヨン王国、ファンタジー、どれも私がみたいなあと思うものではなく、もしかしたらちょっと違うものがあるのかもと考えながら、どうせ下北沢にくるんだし、という気持ちでいたのでありました(基本的には、みなくちゃわからない、と思っています)。ですので、前説で2時間を超えると聞き、少しだけ危機感を新たにしたのでした。おまけに、最前列は舞台との間がほとんどなく、お客さんが通る都度体を小さくしなければなりませんでした。ここまでで本日の体力、40%は消費。これでは寝てしまうかもしれません。私の前の方までで満足度3.2。
それでも、こんなにドキドキしたのはなぜだろう…
ネタバレBOX
気にいったお芝居をみ終わっていつも思うのは「みにきてよかった〜!」と「危うく見逃すところだった…」。みることがなかったお芝居についてどうとかホントはありないけど、心底そう思うのです。本公演、SFを読み始めた頃の「ジュヴナイル」もののようでした。これって個人的なもの。ハインライン、クラーク、眉村さん、光瀬さん、筒井さん、豊田さん、ほかにもいっぱい。主人公の少年少女、仲間たち、SFならではの設定。今では照れくさくてなかなか読み返すことはありません。でも、買った本は大切に持っています。
最前でしたのでセリフは気になりませんでした(どの席に座っても聞き取れるのが正解)。モニターも近いのでいいのですが、舞台正面に映っている文字は読めませんでした。ひとつ、日登美と先生との関係…。ありえないシチュエーションとは全然思ってないけど、王国への道に必要だったのかな…。ファンタジーの世界でこのようにいのちが喪われるのはみたくないな。ここは女性のお客さんどうなんでしょう。
天井に吊られていたのはトルソ?
おまんじゅう
多少婦人
OFF OFFシアター(東京都)
2011/06/02 (木) ~ 2011/06/06 (月)公演終了
思ったより甘さ控えめ
日曜日、下北沢、受付時間少し前から並ぶ。隣(駅前)では「15-0」を上演、危うくそっちに並ぶところでありました。普段、和菓子を食べることはないのですが、チラシではおまんじゅうを食べようとしてビックリしているよう…でしたのでやってきたのです。
第一話、これは好きです。ゆるさ加減がちょうど肌温でいい感じ…なんですけど、そのあとのお話は、もひとつピンときませんでした。最初に食べたところには餡がいっぱいつまっていたのに、あとは皮が多くて、みたいな印象でした。
『十二人の怒れる男』/『裁きの日』
劇団チョコレートケーキ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/05/25 (水) ~ 2011/06/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
意外と覚えていました【十二人】
映画はTV(もちろん吹き替え)でみました。なんでみたんだろう。「イージー・ライダー」→P.フォンダ→H.フォンダだったのかな...演劇は石坂浩二版 1985.7.11@SPACE PART3(全席自由)をみてます。
http://210.235.25.144/parco-play/FMPro?-DB=parco-play.fp5&-Format=detailpage.html&serial=425&-Find
小野ヤスシさん、小松方正さん、田島義文さん懐かしいお名前。伊藤四郎さんのインタビュー記事に「真ん中にテーブルを置いて、まわりにお客さんを入れるっていう形」というのがありました。でも全然覚えていません。テーブルを挟んでの座席配置、この同じ場所で「THE LIFEMAKER」をみましたが、本日は入って奥の座席に座ります。お客さんの座るスペース以外をフルに使った熱いお芝居。特に「有罪派」のお二人の迫真の演技(こういった場合に使うんですね)。お話の筋を知っていても新鮮そのもの。
ネタバレBOX
盛況で、当日券(キャンセル待ち)のお客さんの入場で開始が10分超遅れました。当日券の方は受付開始よりだいぶ前から並んでいらっしゃるので、予約済の方の入場後としても、準備する時間は十分あったのでは?
遅れています、というアナウンスがあったので状況は理解できましたが、なんとか誘導に工夫ができたのではないかと思いました。
今回一番懐かしかったのは!
一人でも座ってもらおうと、誘導係の方が前列のお客さんに「もうちょっとだけつめてもらえませんか」とお願いしたこと。お芝居をみ始めた頃。それはスズナリなんかで体育座りが当たり前だった頃、スタッフの方が「みなさーん、せーのぉ、で行きますよー!!」と声をかけ、ちょっとずつ横に移動したものです。
IN HER TWENTIES
TOKYO PLAYERS COLLECTION
王子小劇場(東京都)
2011/05/31 (火) ~ 2011/06/05 (日)公演終了
みんなが私
なんとなくの距離感。なぜか今日もノリがよくありませんでした。なので以下駄文
ネタバレBOX
女性が横一線に並んで自らを語る...というのは、「解体されゆくアントニン・レーモンド建築」でみています(このときは9人)。違いは、語っている「自分」が一人かそうでないかと、動き(体育館を駆け巡る)。
上野さんの作品は「りんごりらっぱんつ」を2回みて、「わたしのせんぱい」がみたくてシアターグリーンに行ってるので好きなはずなのですが、今回はノリきれませんでした。それぞれの役者さんはとてもよい雰囲気なのに全体としてみたとき「一人なんだよ」と自分に言い聞かせられないというか、設定に素直に入り込めないというか。最前列でみていると、ライトにあたり、お話をしているときと、後ろに座っているとき。みなさんその表情の切り替えが巧みで、「20歳」と「29歳」のやりとりでも、あえて話をしていないほうをみたのですが、これもよく感情を現していたと思います。今、一晩寝て、買い求めた脚本を読みながら書いています。思い出しながら、ということは、相当、自分のフィルターがかかっているはずで、やっぱりいいお話だよね、と感じながらも、劇場ではもうひとつノレなかった自分がいたこともよく覚えているのでした。
劇中流れたのは、ラフマニノフ? (Somewhere in Timeで使われていた?)
untitled
shelf
atelier SENTIO(東京都)
2011/06/02 (木) ~ 2011/06/05 (日)公演終了
SENTIVAL その4
雨の板橋、SENTIO4回目です。今夜はお客さんがたいへん多いです。開場時間となり靴を脱いで入ってみると、すでに8人の演者が壁に沿って佇んでいます…立っている人、座っている人、横になっている人。開始時間まで動きません、そのままの姿勢です。レコードのスクラッチノイズのような音がずっと流れています。さて、ゆっくりと不思議なお話が始まります。ちなみに、チラシ写真(表)のイメージとは全然ちがいます。
ネタバレBOX
4回目なのでこちらもすこし学習しました。舞台中央にフォーカス(震災の特集でしょうか)、ハードカバーの書籍、文庫本、時計、空き瓶などが並べてあります。ひとりゆっくりと近づき、フォーカスの記事を読みます。続いて壁沿いの役者さんは、ゆっくりゆっくりと中央へ。おおよそこんな感じで展開します。パフォーマンスと台詞(既存の文献から)。照明もシーンによって切り替えられます。よくわからない、というのはその通りですが、気がついたのは、わからない=つまらない、ではないということでした。つまらない(あわない)お芝居は苦痛。
約60分という、普通のお芝居の半分の時間ではありますが、かなりの緊張感。お客さん50人として、スタッフ含め60人が物音ひとつさせずに演技を注視します。私も、目で見て、耳で聞いて、混乱しそうな思考を解放します。次回公演はイプセンとのこと。時間がとれるようでしたらまた観に来ます。
あなたと住むなら ~東京タワー編・スカイツリー編~ 二本連続公演
劇屋いっぷく堂
テアトルBONBON(東京都)
2011/05/31 (火) ~ 2011/06/05 (日)公演終了
今日も不調
なぜかノリきれませんでした。ですので以下は駄文です。
ネタバレBOX
工事現場の足場のようでもある舞台。高度成長期である昭和30年代と現在とをうまくつなげた作品だと思います。席に着くと昭和を代表する歌が流れています...青い山脈...他。と出だしはよかったのですが、道路建設にともなう地上げということが明らかになってから今日はずっとノリきれませんでした。経済成長の裏側にある「犠牲」は、現在も、国内だけではなく発展途上国にもあります。黒澤明「生きる」は昭和27年公開。最近、芝居の中でよく「ゴンドラの唄」が歌われるのですが、昭和30年、それは目と鼻の先のことです。でも、舞台で描かれている昭和に「らしさ」がないように思います。まるで「噂の東京マガジン」をみているよう。本作、水俣病のことがほんの少し語られますが、史実(それも悲しい史実)を取り上げるのであればもっとやりようがあるのではないかと思いながら、ここが私にとってNGな部分なんだろうなとも思いました(中途半端な言及ならやめてもらいたい)。5分間の休憩があり、スカイツリー編。ここはまた別の意味で気を持たせるので、さらにダメでした。もったいぶった「真相」が、実は東京タワー編とつながる部分だということにポイントをおくのであればもうすこしヒントを散りばめておかないと...。役者さんの演技はよかったと思うので、お話が私にはダメだったということです。
小瀧ソロ
渡辺美帆子事務所
gallery Bauhaus(東京都)
2011/05/27 (金) ~ 2011/05/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
見つめていたい
これはPoliceのヒット曲(Synchronicity)。今夜、ギャラリーに集まったお客さんみんなそう思ったに違いありません。場所は、御茶ノ水gallery bauhaus。サイトをみると「写真専門のギャラリー」とあります。そこの地下にある「マンションの一室」が今夜の舞台。床はフローリング、キッチンにトイレ、普通の縦長、居室内...なのですが、壁には写真が展示してあります。部屋の奥には純白のウエディングドレス。モンローの写真集。丸いテーブル(時計が埋め込まれています)、上には電話。椅子があって、部屋のまわりには私たちの椅子が置かれています。椅子の上には(白い紙に描かれた)キスマーク。黒は男性、赤は女性の席。主人公は語り始めます。
ネタバレBOX
「観たい!」に書いておきながら予約を失念。なんとか予約し滑り込みです。時間前に着き外で待っていると、スタッフの方に中で待つよう案内していただけました。受付が済んで会場へ行こうと階段へ向かうと、小瀧さんがいらして案内してくださいました。「黒」の椅子に座ろうと、そこにいらした女性の方にどの辺がよいかお聞きしました(実は渡辺さんだったのですね)。マリリン・モンローが自身を語るというスタイルの一人芝居です。今までも一人芝居を観たことはありますが、本作品は、説明にもあるように、いつのまにか観られているのでした。いや、小瀧さんは直接お客さんに語りかけるのです。観客は、観客であることを超え、語りかける相手方になっていきます。椅子に座り、相手に顔を向け真っ直ぐ目を見つめて語ったり、お客さん(夫であったりカメラマンであったり...)の目の前まで近づき、問い詰め、訴えかけます。両親のこと、結婚生活のこと、仕事のこと。ここでお客さんが何か返事をしてもなんら不自然ではありません。演出の渡辺さんは効果音や照明を担当。
時間にして1時間くらい。こんなに(気持ち良く)緊張したお芝居は初めてです。この部屋に招かれ、座ったときから観客席/ステージというものはなくなっていたのですね。観客は15人ほど。小瀧さんに見つめられ、きっと、どう反応したらいいのかドギマギしているな、狼狽しているハズだ、なんて思いながら、吹き出してしまうお客さんが多数。今夜は最高でした。次回公演にも行かせてもらいます。
玻璃ノ翅音 (ハリノハオト) 公演終了いたしました。ご来場ありがとうございました。
三日月バビロン
ザムザ阿佐谷(東京都)
2011/05/27 (金) ~ 2011/05/29 (日)公演終了
時代はまわり、時代はめぐる
日曜日、夜の部を観劇。これを書く前に、みなさんのコメントを読ませていただきました。開場すると小さな女の子がビニール袋を渡してくれました。場内は明るくなっていて、舞台には小さな椅子、上部にはステンドグラス。ちょっと見ただけではどこなのかわかりません。私…予約する時にはざっと説明文を読みますが、その後、実際にみるまでサイトをみたりちらしをみたりはしません。これは映画の場合でも同じで、予告編をみて決めるか、お気に入りのミニシアターなら時間があるときが優先。昔からこうで、Rockコンサートだって聴いたアルバムが1枚もなくてもホイホイでかけていきました。で、本公演、なにがなにしてがぼんやりとみえてくるのに少し時間がかかりました。なんていうか、これっていう味付けが足りないのかな、と思いました。以下駄文。
ネタバレBOX
最近、それ(成り行きまかせ)って損しているのかも、と思い始めました。小説やDVDだと「繰り返し」気になるところを確認することができます。ちらしも席についてちょっと読むだけでも随分違うんだと思います。でも〜、時間ギリギリに駆け込んで来たときでも、じっくりみていればわかるようなお話だとありがたいのです。前述のように頭の中で再現しながらみているので没頭できないのは私の問題として、お話ですが、どうも「らしさ」がよくみえまでんでした。ちょうど「華族令嬢たちの大正・昭和」(華族史料研究会というのがあるんですね…)を図書館に予約したところなのでまだ具体的例などありませんが、やはり、言葉使い、抑揚、イントネーション、立ち振舞い。ここらにもっと「らしさ」があって、当時の社会的な事件などを少しずつちりばめておくと本筋の味もひきしまったのではないかと。
大正
3年:第一次世界大戦勃発
5年:ゴンドラの唄( 最近、お芝居の中でよく聴きます)
6年:ロシア革命勃発
7年:第一次世界大戦終結
10年:原敬首相暗殺
12年:関東大震災 甘粕事件
14年:治安維持法公布
木原さん、萩尾望都さんのキャラクターが似合う…なんて思いました。
☆☆☆
今田康二朗、大橋可也、三浦宏之振付「ぴちぴちちゃぷちゃぷらんらんらん'11」
日本女子体育大学ダンスプロデュース研究部
アサヒ・アートスクエア(東京都)
2011/05/28 (土) ~ 2011/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
雨降る金の炎の下、弾ける身体
吾妻橋、初「アサヒ・アートスクエア」です。浅草駅で降り、金色の物体を目指し吾妻橋を渡ります。雨はさほど強くはないです。昨年、友人が出るというのでサンバのカーニバルを見に来ました。それは暑い夏でした。今日は雨ということもあってひっそりとしています。受付前なので壁際に沿って並びますがあまり濡れません。目を向けると「スカイツリー」がよく見えます。上のほうは靄っています。終演後、上の2/3は見えませんでした。公演タイトルに相応しい梅雨。
ネタバレBOX
日本女子体育大学ダンス・プロデュース研究部によるダンス。3チームが演じました。前2列が座布団席(ほとんど女性、学生さんのようです)、あとは椅子席。3列目の椅子に座ります。黒い床、壁。先日みた神奈川芸術大劇場にちょっと似ています。
最初のチーム10人が登場。思い思いに体をほぐしています。こういった風景をみたことがない私としては、こんなところでも驚きをおぼえます。照明を受け光と影に色分けられる身体が尋常ではない動きをみせます。しなやかな身のこなしと力強さ。歩く、走る、倒れる、這う、転がる、起き上がる。観客は身動き一つせず見入ります。素足が床を打つ音、衣装がこすれる音、風を切る音だけが聞こえます。ひとりで、バラバラで、揃って。海の奥深くで魚たちが揺れ動くかのよう、大樹が風に揺れるかのよう。本公演、3人の振り付けを、3チームが演じています。基本的に無言で、2チーム目におひとりだけ男性がいらっしゃいました。3番目、なんとなく「にわとり小屋」を思わせるシーン。くちばしで餌をついばんでいるのでしょうか。普段見ている「芝居」とは違う世界。何度でもみたいと思うのでした。
起きろよ、 はる子
立体再生ロロネッツ
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2011/05/27 (金) ~ 2011/05/29 (日)公演終了
夢の中の夢に夢見て
参宮橋は2回目。雨が止む様子はありません。開場前ですけどちょっと並んでいますね。
ネタバレBOX
結構面白いと思いますが、はる子が男性になった理由はなんだったんでしょうか?冒頭、はる子が牛乳の一気飲みをして寝て...初めの夢...男がひとり寝ていてはる子と呼ばれている。ここで話が分断され、頭の中でお芝居の進行とは別に意識が再構成をし始める...ただでさえ少ないメモリなのに。次の夢になると、あぁこれは別バージョンが始まるんだなと意識が先行します。
小冊子(パンフ)とても丁寧な作りで感心しました。
☆☆☆
紫桜舞い散る時
オフィス櫻華
高田馬場ラビネスト(東京都)
2011/05/26 (木) ~ 2011/05/29 (日)公演終了
宇宙船はなくても…
梅雨ですか…早稲田ヘ来ました。今日も受付で?がありましたが乗り越えます。気分はすでにSF度が高まっています。舞台にSFっぽいものがないけど大丈夫かな。さて、前説があって、打ち上げのシーン。役者さん、みなさん若いですね。SF好きなひといるのかな?本作品、宇宙船や地球がなくても成り立つと思うのです。スペース・オペラではないし、ハードSFでもない。そう叙情派。たしか(昔)「ロマンチックSF傑作選」っていう文庫があったと思うのですが、そんなテイストでもない。
ネタバレBOX
脚本がストーリーになっていません。登場人物の感情の揺らぎが不自然。イロイロ詰め込んでいるので話が長いし、いかにも的なセリフが並び耳を通り過ぎる。おまけに客席に背中を向けている場面が多い。役者さん、同じような演技になっていませんか?役をシャッフルしてもあまり変わらないような気がしました。
SFとしての科学的な説得力はなくてもいいけど、舞台がその惑星である必然性(何らかの意味付け)は欲しい。先発隊からの連絡が途絶え、調査のために出発。SFにこういう話はたくさんあります。なので、そこにある「何か」とどう絡むかが話を面白くするわけですね。エイリアンでもいいし、モノリス、知能を持った海でも、先住民でも(アバターか…)。でも、本作品はそうではないようです。伝染病もスペイン風邪という実例があるし、SF仕立にする必要はなかったと思うんですけど。ロバート・F・ヤングとか「時の娘 ロマンティック時間SF傑作選(これは新しい本)」なんか読んでみるといいと思います。ホントに切ない話なんだから。
☆
4時48分サイコシス/渇望
七ツ寺共同スタジオ
atelier SENTIO(東京都)
2011/05/27 (金) ~ 2011/05/29 (日)公演終了
ひきずる
板橋3回目。今日もよくわからない。そもそも2作品がつながっているということすらわかっていない。終演後のトークがありましたが、とっかかりとなるものを持ち合わせていないので、これまたよくわからない。演技というのか、はたして上手いのか...。聞いている限りでは「セリフ」に意味があるように聞こえてこないし、そもそも誰が誰に話しているのか、この人たち(男性2、女性4)はどういう関係なのかもわからない。でも、わからないかもしれない、ということはわかっていたはず。頭の先で考える前に感じ取れるようになりたい。シアターバビロンに行って、また違う目でもみてこようか。
髪結う時 【無事終演致しました!ありがとうございました!】
TOKYOハンバーグ
千本桜ホール(東京都)
2011/05/25 (水) ~ 2011/05/31 (火)公演終了
満足度★★★★
零れ落ちてゆく
「観たい!」にも書いたように「明日の記憶」を読んでいます。ですのでお話の内容そのものは自然な仕上がり(こうなるんだろうなぁ)になっているように思います。そうなると、あとはお芝居としてどう見せてもらえるか。千本桜ホールは3回目(バレーボールで2回)。雲行きが怪しくなってきました。雨が降りそうです。
開場するとそこは洋間。下手から、白いソファと小さなテーブル、中央には車椅子があります。オープンキッチンとテーブル、奥には2階への階段。車椅子だけがこれから始まるお話を暗示しているようです。暗転、聴こえてくるのは波の音でしょうか...。
ネタバレBOX
ここ最近そう感じるのですが、やっぱり女優さん(もちろん子役さんも!!)が素敵。本作品では同じ人物を二つの世代で表現。あるときは別々に、あるときは同じ舞台上で。冒頭、幸子がみている風景はチラシに描かれている空と海なんですね?
舞台でも波が陽光を受け輝いています。そこで欠けているピースは大切な思い出のこと...。親が子の髪を結うということ、髪を結う時。子を持つ親としてみたときちょっと締めつけられるものがあります。終盤、幸子の混乱を現す場面、全員が舞台上で自らを主張、整理することもできず混乱するけど、それもすぐに忘れ去られる切ない場面。
醜い蛙ノ子
張ち切れパンダ
テアトルBONBON(東京都)
2011/05/19 (木) ~ 2011/05/26 (木)公演終了
満足度★★★★★
アヒルの子(小野版)と蛙ノ子
今晩は中野でした(帰宅途中)。本公演はあと明日1回。今日、予定では「ブラック・スワン」をみるつもりでしたが、昨日、予定変更。見逃さないでよかったー。すみません、帰宅後追記
ネタバレBOX
追記です。「アヒルの子(小野版)」というのは、小野さやか監督がご自身を撮ったドキュメンタリー映画で、上映会はポレポレ東中野から始まり、まだまだ各地域で上映が続いています。「家族」って何だろう? [私]って何だろう?
作品のサイトではこんな紹介文があります。「親子の価値観の違い、姉妹間の愛憎、性的虐待」....この映画をきっかけとしてドキュメンタリー映画をみるようになりました。
舞台はゴミ屋敷。小さな日本間がみえます。庭先から眺めるような設定。最初はこぎれいな部屋で、庭には草木、縁側があって上のほうには2階の部屋。「さくらノート」もよくできていましたが、本作もよく雰囲気がでています。始まって早々、「こと」が起こります。暗転し、部屋はゴミでいっぱい。本作品、ここから相当イライラしながらみていました。こんなに自分勝手な連中がでていて楽しいのか...「ゴミ」を放置=だらしないだけなのでは? とか。これがお話が進むにつれて意味を持ってきました。それにあわせてこちらは気がつかないうちに深みにはまっていくような感覚。八木さん、中島さんの姉妹。大谷さん。
この3人でお芝居を引っ張っているようです。それ以外の登場人物の役回りはもっと掘り下げることができると思います。特に男性陣。「今風」なんでしょうけど、なければならない、のかというと少し弱いのでは? なにかを人のせいにして自己を取り繕うというのはよくあることで、悪くはないけど、それが終盤、重要なポイントになっていないように思います。聞こえるかきこえないかくらいの鳥のさえずり。なぜか、まる裸のシーンがあったり。終演後、みなさんのあいさつ、おひとり石段の上でお辞儀をする八木さん。ここで改めて拍手をおくります。
余談です。「ローラ、叫んでごらん」という本があります。少女はフライパンで焼かれます。原題「No Language But a Cry」 ちょっと手に入りにくいかもしれません。