カルメン、オレじゃダメなのか…
シンクロナイズ・プロデュース
調布市せんがわ劇場(東京都)
2013/08/07 (水) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
ん?これは男たちの物語ですね
男性陣のキャラがユニークで面白かったです。洋服をうまく使った演出も楽しかった。でも、カルメンが何だか良い人過ぎてエグさが無く、物足りなかったな~。カルメンって何で面白いんだろうと考えると、カルメンが悪女だからではないでしょうか。女性から見ると、何で男ってこういう悪い女に引っかかるんだろう、とイライラするし(だから最後のシーンでスカッとする?)男から見るとセクシーで悪い女ってたまらないんでしょうね。でも、このカルメンはなんだか悟ったようなカルメンで、金にも男にも執着が無く、自分の命にすらあまり執着が無い。女から見ると何だかカタルシスが得られなかったです。それともう少し、いつもの素晴らしいクラシックセレクション聞きたかったです。
砂漠の町のレイルボーイズ
とくお組
座・高円寺1(東京都)
2013/08/07 (水) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しかったなぁ・・・・・。
頑張っている人も頑張って無い人も、ぼっくらはみんな生きている~、生きているから笑うんだ~、と歌いたくなるような(?)いい感じのお芝居でした。実際帰りの電車の中ではずっとこの歌が頭の中に流れていた。大人になって会社や家庭に入ってしまうと、私達は意外なくらい狭い社会で生きていく。レイルボーイズの世界は決して寓意ではないな、と思いました。ずっとくすくす笑いが絶えない舞台で、キャラがよく活きていてとても楽しめました。信号係さん、いいキャラでしたね~。トークショーでどうでもいいような質問タイムが無かったのも良かったです。美術や衣装、お見事でした。
極東の地、西の果て
TRASHMASTERS
本多劇場(東京都)
2013/07/25 (木) ~ 2013/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★
TPPと芸術問題を問う
硬派の社会派の演劇。明治初期に、国際法に無知な日本に付け込んで締結された不平等条約にも等しいTPP問題を真正面から取り上げた作品だが、まず前半の芸術論が面白かった。そこからあれよあれよととんでもない展開になるが、私にはこの過程が一番興味深かったです。この、芸術による独立とその破綻の過程をもう少しじっくり見たかったなぁ。時間の都合でそこまではできないでしょうが、この過程をナレーションでもいいから作者がどのようにシュミレートしたのか知りたい。この過程が省かれてしまったので、後半の設定が掴み切れず、だいぶ後になってようやく納得できるものの、観客側としては戸惑ったまま後半に突入することになってしまう。台詞などもいきなり方言に変わるので、状況がよくつかめず苦労した。ただ、言葉がよく生きている劇団だなぁという感がとてもします。一つ一つの台詞が印象深く、重い。これで休憩なしの3時間10分。見るほうも結構体力が必要。
波よせて、果てなき僕らの宝島(ネバーランド)
天幕旅団
ザ・ポケット(東京都)
2013/07/17 (水) ~ 2013/07/21 (日)公演終了
満足度★★★
ブラックなストーリー、
なかなか楽しかったです!オープニングが印象的。とても素敵でした。しかし、なんだか台詞が聞き取りにくい。役者さんによっては半分以上、こちらの想像で理解していた。こうした舞台構成上、声がばらけやすいのは仕方ないのかな?とはいえ、台詞はお芝居の中心だし、基本中の基本だと思います。どのような構成の舞台でも、常にクリアーに苦労せずに聞き取れるようであって欲しい。台詞が聞き取りにくいと、せっかくのストーリーもよく出来た衣装や小物も魅力が半減する。音楽も素晴しかったので、すごく残念な感じ。
NO GOAL 【ご来場ありがとうございました】
青春事情
駅前劇場(東京都)
2013/07/10 (水) ~ 2013/07/14 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しかったです。
ホームレスのワールドカップという設定がいいですね!いろんなトラブルが起きることが予想できる設定で、割と予定調和的な感じでしたが、それでも台詞の聞きやすさ、適格な演技で魅せてくれました。もう1、2個エピソードがあってもよかったかな?それにしてもサッカーってホントに人生を彷彿とさせるゲームだといつも思う。何度もいろんな角度や作戦で攻め込んでも、ガンと跳ね返される。それでもあきらめずに攻め続けていると、ポロリと入ったりする。でもサッカーに逆転一発ホームランはない。またここからよいしょと始める・・・・。あきらめずに一歩ずつ。日本チームの負けっぷりがだんだんまともになってきて、ビッグネームのチームにも臆せず立ち向かえるようになってくる過程が泣かせる。
ヴェローナの二紳士
ハイリンド
吉祥寺シアター(東京都)
2013/07/08 (月) ~ 2013/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★
珍しい古典の公演、
とても興味深く観ました。当時の劇場を模したかのような美術はすごく素敵だった。召使が主人の恋のお手伝いをしたり、狂言回しを務めるというのは、当時の喜劇の常套だったと何かで読んだことがありますが、なるほどこんな感じかぁ・・・・と面白かったです。現代劇とは全く違う台詞回し、膨大な台詞量、所作などただただほう~という感じ。台詞については少々こなれが悪く、何より横や下を向いていると聞き取りにくい。あと、衣装が少々気になりました。身分の差による区別がほとんどなく、古典劇の楽しみに欠けてしまった気がする。贅沢なものを用意する必要は無いと思いますが、物語の解り易さのためや当時の空気感を出すためにも、もう少し何とかして欲しかったなぁ。
Pride -プライド [傲慢] -
演劇レーベルBo″-tanz
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2013/07/03 (水) ~ 2013/07/08 (月)公演終了
満足度★★★★★
ああ、終わってしまった・・・・・。
見応えのある見事なラストでした。麻薬捜査に有りがちな錯綜するトラブル、警察内部の思惑。麻薬捜査の水面下のストーリーを描いて社会的な問題を浮かび上がらせていました。しかし、何という多重なストーリーだろう。しかも解り易く感動的。これをまとめて上演するのは・・・・・やっぱり無理かなぁ。レパートリーシアターシステムで上演出来ないものだろうか。
ことほぎ
文月堂
「劇」小劇場(東京都)
2013/07/03 (水) ~ 2013/07/07 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しかったです!
テンポのいい会話と登場人物の背景が感じられ、すごく楽しめました。こうした劇ってリアリティとお芝居の虚構がどれだけうまく綯い交ぜになっているかがポイントだと思いますが、物干しにリアリティがにじみ出ていたし、女優さんには素晴らしい虚構の香りが・・・・。群像劇の楽しみを十分に味あわせてもらいました。
『太平洋食堂』
メメントC+『太平洋食堂』を上演する会
座・高円寺1(東京都)
2013/07/03 (水) ~ 2013/07/07 (日)公演終了
満足度★★★★
まず、明治時代の大逆事件の犠牲者への
オマージュという形でNPOや世話人が動き、この劇が実現したことに驚きと感動。また多くの人が見に来ていたことにも驚きを禁じ得なかった。それから開演ブザーで劇が始まったのも何というか・・・・・初めての体験でした。実は近代史というのは一般人にとって割と未知なもの。学校で時間切れになってしまって習わない場合が多い。なので、始めのうち時代感が掴めず苦労した。演出は超正統派の真っ向勝負なので、よけいしんどい。音楽や効果音がミニマムなのも、それに拍車をかけている。小道具や衣装が丁寧で好感を抱かせますが、3時間の長丁場なのでもう少し音楽などで時代の空気や各シーンに変化をつけてくれればリラックスして見られたかも。
Call me Call you
劇団6番シード
吉祥寺シアター(東京都)
2013/06/27 (木) ~ 2013/07/04 (木)公演終了
満足度★★★★★
うわぁ・・・・・
これ、最高ですね!吉祥寺シアターいっぱいに設えられた警察トレーラーといい、(思い切った美術だ~。もうこれしか無いってやつですね)入場前からのものものしい雰囲気といい、(もう、SITの制服カッコ良すぎ~涎出そう・・・・)ストーリーの巧みさ、結末の意外さ、展開のスピード、その他のサイドストーリーもすべて完璧!でした。これはもう誰が見ても五つ星でしょう・・・。でも、この劇団には珍しく、わずかですが台詞の噛みが目立った。いつも完璧に近いのであれっという感じでした。すごい大人数の出演でしたが、これでもAチームとBチームがあるとか。地力があるなぁ、と驚きです。交渉人の「コール!!」の声の使い分けが素晴らしかった。
少年王マヨワ
ニットキャップシアター
座・高円寺1(東京都)
2013/06/28 (金) ~ 2013/06/30 (日)公演終了
満足度★★★
うん?座・高円寺という
比較的大きな舞台に合わせたのだろうか、様々な大道具や天井から吊られた布、舞台上の生の音源やマスクなどの小道具が効果的といえば効果的だが、その分この劇団の持つ強烈な神話的独自性が弱まったような気がする。
こうなると単に難解な劇という印象でちょっと残念な感じに。時空を超えてシンクロし、繰り返される悲劇というだけでは決してないのだが、何だか核がよく見えない感じでした。「古事記の何とかのエピソードも台詞に込められているんですよ~」とアフタートークで言われても・・・・。無知な私は気がつかなかったので、悲しかったです。
「野菊の墓」ご来場有り難うございました!
NPO法人 演劇倶楽部『座』
シアターサンモール(東京都)
2013/06/27 (木) ~ 2013/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
芳醇而贅沢
な時間を楽しみました。よく彫琢された伊藤佐千夫の原文の美しさをそのままに、ゆったりとしたテンポは当時の時間の流れを再現したかのよう。生のピアノとチェロも朗読や台詞の邪魔にならないよう音量がよく計算され、とても美しくて品格がありました。美術や衣装なども素晴しかったです。見事な朗読も気持ちの入った適格な演技も良かったですが、何よりも劇団の原作に対する敬意と謙虚さが感じられて、爽やかな感動を呼び起こされました。場内は感涙の嵐。次の「詠み芝居」が楽しみ。また観たいです!
サロメ
虹創旅団
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2013/06/20 (木) ~ 2013/06/23 (日)公演終了
いいっ!ヘロディアス最高!!
すみません、ヘロディアスが台詞言う度に大笑いしてしまいました。いい味出してるな~と。帰りの電車でも笑いが止まらず・・・・。劇団の意図とは大きく違ってしまったと思いますが、私はコメディとして楽しみました。ごめんなさいです。でも、こういうのも有りだと思います。コスプレサロメとでもいうか・・・・。しかし、ヘロディアスが強烈で、サロメがかすんでしまいましたね。中途半端に本当にきれいにしようとしたのがまずかったのでは。サロメはユダヤの王女様ですから、ゴスロリでも貴金属ジャラジャラは必須だったと思います。シックにまとめるには金銀はよろしくないというので着けなかったのだと思いますが、マーカサイトなどのアクセサリーでシックゴージャスに決めて欲しかったです。それにサロメの衣装には黒のレースやシフォンを足して欲しいなぁ。アクセサリーは普段あんまり見かけないどっしりしたアンクレットや足指輪など。色の白い俳優さんだったので、きっとよく映えると思います。
マリオン
青☆組
こまばアゴラ劇場(東京都)
2013/06/15 (土) ~ 2013/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
とても静かで美しく、力強い
物語でした。この静かなお話を全くゆるみなく演じきった役者さんたちもすごいですが、何よりも脚本の力に脱帽です。日常に溺れ、時間に忙殺される私たちの人生観を思わず見直すほどの力強さを感じてしまう。生命とは、時間とは、そこに流れる歴史を貫く意思とは何だろう。何だか久しぶりに哲学を感じるお芝居でした。
飛ぶ金魚
ジ~パンズ
銀座みゆき館劇場(東京都)
2013/06/13 (木) ~ 2013/06/19 (水)公演終了
満足度★★★★
リアルでコミカルな要素もいっぱいの
ほっこりするホームドラマでした。次々に起こって来る問題と難題、それでも何とか対応していかなければならないのが現実ですが、その現実感も含め
うまくお芝居に仕立て上げていた。あきらめないで頑張れるのは家族がいるから、見守ってくれる人、見つめ続けたい人がいるから、と素直に納得できる佳品。
バイト
カスガイ
テアトルBONBON(東京都)
2013/06/12 (水) ~ 2013/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
は~、もう、後味悪い傑作!
というか、2013年超絶感じ悪いキャラアワードの第一位決定というか・・・・。
とにかくすごく面白かった!ラストは予想できましたが、この揺るぎのなさ、一気に話を進めていく手腕は剛腕というかなんというか、やはり演技力の成せる技なんでしょうねぇ・・・。情念とかトラウマなどという言葉では片づけられない何かを見てしまった。何から書けばいいのかわからないのですが、ええと、まず舞台美術、素晴しかったです。シンプルで、ドキドキして、ラスト近くでは
血の海に見えた。効果音、これも余計なものを削ぎ落とした感じでよく舞台を盛り上げていました。役者さんたちの演技は云うに及ばず。劇場に行って体感してくださいというしかない。なんでもありの小劇場って、まさにアミューズメントパーク。ただし、舞台初心者の方にはお勧めできない。それこそトラウマになってしまいます。
ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!
おぼんろ
d-倉庫(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
う~ん、やられました。
これは良かったですね~。まず、ウイルスの擬人化という発想がすごい。そのウイルスに無邪気さ、悲しみ、喜びなどの感情を与えたのも、この物語に不思議な存在感と演劇性の高さを与えている要因の一つ。今回は構成がかっちりとしていて、観客目線からのアプローチも随分研究されている感じだ。すごく解り易く、観やすい。どんなに激しく動いても、お話の基準点は常に中央にあり、無理に声のするほうを見なくてもきちんとストーリーが追えるようになっている。急がしい感じがせず、目線を転じることがむしろ楽しみだ。衣装も素晴らしかった。キャラクターをよく表わしていて、カラフルで美しい。仮面や木の葉に至るまで丁寧に作られていて、ほうっとため息が出る。
明らかにプロの人が全体のバランスを見ながら作ったきっちり感があって、舞台全体に何か新しいものが確立されたような感じがしました。美しくて、哀切感に満ちている舞台。ラストは絵のようでした。音楽も秀逸。
ミレナ
劇団俳協
TACCS1179(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★
正統派の真面目な演劇でしたが・・・・。
その分、良くも悪くも終始演劇臭さとオールドファッションな演出が気になった。カフカとのくだりは最初のミレナが逮捕される原因の示唆のみでよかったような気がしますが・・・。また、主演女優さん二人が何だか体力不足のような感じで、台詞の噛みや聞き取りにくい台詞が多く、どうしたのかな~と。割とよく似た体格と容貌のお二人なので、髪の毛の右わけと左わけのみの違いというのも、演技力のみに頼った正統派演劇の感が強く、これも演劇臭く感じた要因の一つかもしれない。もうちょっとプラハのボヘミアンらしさがあってもよかったのでは?(大体ボヘミアンなんて言葉、若い観客に理解できるのか?)観客に理解力や想像力を期待しすぎている感じだ。見上手な観客ばかりでは無く、私のように「え~、もっと髪型や化粧ではっきりさせてくれればいいのに!」なんてバカもいますので・・・。
仏の顔も三度までと言いますが、それはあくまで仏の場合ですので
ポップンマッシュルームチキン野郎
サンモールスタジオ(東京都)
2013/05/24 (金) ~ 2013/06/03 (月)公演終了
満足度★★★★
意外と真っ当だった脚本・演出家の
吹原氏の宗教観。もっとめちゃくちゃなことになるかと危惧していましたが、惨殺キリストとアラブ人=テロリストの図式が引っかかると言えば引っかかる程度で、それも後に出てくる日本古来の妖怪達によって毒をうまく薄められた感じだ。氏の破れ寺の住職の哀愁感がいいですね!お寺に妖怪が下宿するあたり、仏教の寛容性を暗示していて(?)面白かったです。(深読みのしすぎか?)それと、fuck you ! の手印の仏像、笑えました。
ストーリーの中心となる、父・叔父・息子の情はいつもながら温かい笑いと泣かせを巻き起こしていた。でも、私の好みとしては前半のメタルバンドの強列な宗教揶揄と毒で突っ走って欲しかったな~。まぁ、ほんとにそれをやるのは危なすぎとは思いますが・・・・・。こんなお芝居見られるなんて日本はいい国だ!
ソウルドリームズ
ぱるエンタープライズ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2013/05/28 (火) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
歌、ダンス、踊りと
頑張っているのでしょうが、その頑張りが感動を呼び起こすところまで全然いってない。ミュージカルでもないし、サスペンスでもないし、演劇というほどでもないし・・・・。主役のリョウ君はなんで踊ったり歌ったりしないのかな~?最後に出てきたフラメンコの指導の先生がひと節踊っただけで、劇中の女優さんのフラメンのレベルが低く見えてしまったのは何だか気の毒だった。大人数の出演にもかかわらず、舞台全体が広く感じられました。