YUBOの観てきた!クチコミ一覧

201-220件 / 310件中
エクソシストたち

エクソシストたち

渡辺源四郎商店

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/12/02 (金) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★

悲しい悪魔
笑えるのに悲しい。善悪ではかれない人間のだらしなさや情けなさを、こんなに楽しく悲しくも愛らしく表現出来るって素敵だ。親子であること、家族であること、こんなにも共有する時が長い存在なのに、いやだからこそか、愛憎裏表なんだなぁ。一見、突拍子のない設定で観客をひきつけておいて、内実はきちんとした人間ドラマを見せる。わかりやすくて深い。

ノマ

ノマ

リクウズルーム

アトリエ春風舎(東京都)

2011/12/02 (金) ~ 2011/12/06 (火)公演終了

満足度★★

そぎ落としてみる
共感よりも驚異を優先した物語。徹頭徹尾何だかわからない。見せたいものは確かにある、伝えようと役者から発される気迫はビシッバシッと伝わってくる。でも意味も物語も何も伝わらない。わかる事を放棄してみる、すると不思議と居心地は良くて、面白い。この世界は何だかよくわからない、って思えるから面白い。でも、それだけしか僕は感じませんでした。

ネタバレBOX

ネガティブな言葉も、怒りも、悲しみも、日常も、短い言葉の全ての語尾に「ありがとう」をつけて叫び続けるシーンが印象的だった。わけのわからなさの自由さ、何でもいいんだという生への強い肯定感。
日本の問題

日本の問題

日本の問題

ザ・ポケット(東京都)

2011/11/27 (日) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

Aチーム観劇
わかりやすく、面白く、深い。見て、いま、こんな世界に生きているんだと新鮮な感動を覚える二時間。そもそも「日本の問題」という企画が良い。1劇団20分弱で「日本の問題」という大きなテーマについて作品を作る無謀さは勿論ある。でも公演のチラシ見た段階から、各劇団の8様の想いが伝わって来て、その無謀さを超えた世界が見れるのではと信じて観劇。結果、想像以上の演出、言葉の力、役者の魅力。こういう世界の見方もあるんだとAチーム4劇団とも息つくヒマ無く感動しました。20分だと、時間的な制約から1アイディアで突き進むしかないけれど、とても刺激的。アフタートークも含めて充実した空間を満喫できました。

ネタバレBOX

アフタートークは当たりハズレがあるんでしょうか?僕の見た回は「永井愛さん」だったので、断然当たりでした。もっともっと話聞きたかったなぁ。

作品の感想の合間に、「3.11」や大阪市長選に触れながら、我々にとって身近な政治との関わりについて、また情報統制の怖さについてお話されてました。「情勢を皮肉った喜劇のつもりの作品が、時間が経つにつれて喜劇でなくなる」というご自身の話が印象的でした。
悟りktkr(ご来場下さいまして、誠にありがとうございました!!!!!!!!!)

悟りktkr(ご来場下さいまして、誠にありがとうございました!!!!!!!!!)

宗教劇団ピャー! !

STスポット(神奈川県)

2011/11/24 (木) ~ 2011/11/27 (日)公演終了

満足度★★★★

まじめ
良い意味で裏切られる、真面目な劇団。一見してでたらめさな表象をきちんと読み解くと、確かに新しい世界が見えてくる。会場に着いて、受付で「開演前に絶対に読んで下さい」と配られる資料には、開演後に目の当たりにする世界を読み解く答えが書いてある。それは何だか「学生時代に教師にここテストで出るぞって言われた答えを書き写す生徒」的な気分で複雑だ。勿論、出来うる限り創り手の想いを理解したいし、共感したいんだけど。そして、今作で提示された「世界の見方」は自分の想像力だけでは読み解けなかったんだけど。答え合わせするのも、何か変な感じ。でも、全体通してこんなのは初めてでとても刺激的だった。

『タイトな車』『日記ちゃん』2本立て公演

『タイトな車』『日記ちゃん』2本立て公演

田上パル

アトリエ春風舎(東京都)

2011/11/18 (金) ~ 2011/11/27 (日)公演終了

満足度★★★★

モーソーボーソー
誰が何と言おうと信じるものは絶対だよなぁ。信じるものは救われるって言うけれど、救われるために信じるってのもありだよな、って思わせる妄想の人達の話。妄想だから何でもありなんだけど。だから楽しいと感じるか、めちゃくちゃだと感じるかは好みが分かれそうな舞台だなって思った。個人的にはすごく大好きでした。「日記ちゃん」は女優一人きりで変幻自在に役が入れ替わり、緩急激しい演技で妄想の世界を突っ走る。「タイトな車」は物語を投げ捨ててるんじゃないかって位、男優2人で、暴走し続けて収拾つかない展開。その破天荒さにワクワクする。

ネタバレBOX

「日記ちゃん」は図書館勤務の女性が恋する相手に想いを伝えたいけど伝えられず悶々と妄想する話。片思いの想いは伝えられずに膨らみ続け、まるで膨張し続ける宇宙さながらだ。

「タイトな車」は記憶喪失した男2人が、周囲の状況から自分達の状況と記憶を妄想していく話。物語なんてどうでもいいのかなって思わせておいて、終盤投げ放った設定が全て力ずくでつながっていくラストは見事だ。まぁ、つじつまなんてあってないようなもんだけども。「タイトな車」の劇中に「これは確固たる妄想だ」という台詞があるが、妄想は妄想でしかないよなぁ。その人の主観的な思いは観念でしかなくて、事象は全然説明出来てないよなって思いつつ。でも同時に僕達は世界は見えるところまでしか見えてないんだろうなって思うので、自分が見えてて自分が信じる世界で感じるのが幸せだし、客観的に見てその姿が滑稽に見えても、その滑稽さも含めて人間だなぁと思う。そういう人間の滑稽さを描くのがコメディだと思うし、演者が少数であるほど人間の内面に迫っていくんだなって知れたし、良質な1人&2人芝居を見せてもらいました。アフタートークも豪華でよかったです。
検察官

検察官

柿喰う客

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/11/12 (土) ~ 2011/11/28 (月)公演終了

満足度★★★★★

安心ブランド
柿であるという安心感。これ、感じるのはもう僕だけではないはず。この劇団の作品良いな、と思っても作品によって合う合わないありますが、柿食う客はもう、その不安はないなという安心感。個人的には観に行けば絶対刺激受けて、笑って、感動して、スカッと出来るという感じ。言語や人種を超えて、古典の作品を見事に演出。日常を生きていても「人は他者とわかりあえるのか」に懐疑的になってしまいがちだけど、この舞台を見ると同じ人間だものわかりあえる同じだ、と信じてしまえるくらいに日韓の境目がない。上演時間60分、中屋敷さんのオリジナル作品と比べると毒気が少ないなと感じる部分はありますが、役者さんたちが魅力的で、演出も良くて、観て後悔は無いなというクオリティ。

ネタバレBOX

韓流ナイトの日。出演役者の方々みんなで韓国語の有名な曲を何曲かダンス付きで熱唱!!さっきまでのシリアスでコミカルな緊張感のある作品がクールな熱量なら、アフターイベントの役者さん達はバカバカしい熱い熱量。僕自身が知ってる曲も知らない曲も役者さんたちのテンションの高さでしっかり楽しませてもらいました。このエキセントリックさも柿の魅力の一つだと思う。深谷さんのテンションで押し切るダンスも、玉置さんの半裸姿で客席で観客を盛り上げてくれるサービス精神も、さすがだぁって思いました。深谷さんと玉置さんは今作のチラシの表裏の人です。チラシもカッチョイイですよね。あ~、そして飛び入りで新良エツ子さんが来るという豪華さ。日頃のウップンなんて、全部吹っ飛びますっっっ!!
ソウル市民五部作連続上演

ソウル市民五部作連続上演

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2011/10/29 (土) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

恋愛二重奏、観劇
もう見る前から、前3作見てきて「篠崎家」の歴史はこの作品で終わってしまう、って思って観てしまったので見る前も後も寂しい。素晴らしいものを見せてもらった、なにしろ壮大な一家の一代史だ。何しろ重い時代を生きている。特に4作目の今作は、重たい空気を感じた。恋愛で浮かれた空気も、僕はあまり感じませんでした。個々の作品は独立しているものの、今作から見始めると「ソウル市民5部作」への印象も変わるのかな、ってくらい雰囲気が違う。重たい。だから、出来れば別の作品から観て、見比べた方が楽しいのかなって思いました。観劇から一週間掛かって、尚うまく思いがまとまらないです。圧倒。

ソウル市民五部作連続上演

ソウル市民五部作連続上演

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2011/10/29 (土) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

昭和望郷編、観劇
「ソウル市民」「1919」に続いて3作目の本作見てみて、改めて現代口語演劇と「ソウル市民」の持つ史実の相性は良いなと感じる。でも、自分の知識の足りなさから「圧倒された」としか言えない語彙能力の浅さが悔しい。「ソウル市民」「1919」と比べると、重たい空気が増すのは時代性なのだろうか。その息苦しい空気さえも伝わってくる感じが魅力だ。「占領された韓国の人への「無関心」に加えて、日本人としての居心地の悪さが印象深い快作。

いつも誰かのせいにする

いつも誰かのせいにする

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2011/11/03 (木) ~ 2011/11/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

世界のミカタ
まばたきすることすら惜しいと感じてしまう目まぐるしく展開する劇的展開。役者の動きや舞台美術音楽照明の細部まで計算された洗練された空間、生きている言葉で浮かび上がるリアルな世界、そして一貫して語られる「いつも誰かのせいにする」というテーマ。最高のエンタメ。文句無し。だからこそわからないことが悔しくてたまらない。あぁ、自分の無知を呪う。それとも、劇中の台詞を借りれば、わかってるやつはダサイのか??

ネタバレBOX

最後のシーンで全てがひっくり返る。各々の登場人物の見えてるものと見えてないものの差を楽しむ。そうした体感では、作品の評価は浅いんだろうなぁと思いつつ、そこまでしかわからない。悔しい。観劇後、クライマックスの黒澤明が徳川さんに向けた台詞の意図をずっと考えてる。「右近さんがああまでして守りたかったものって何だと思う。あなたは何もない。あなたの世界で見えるものしか見えてない。」的な内容の台詞。あっち側とこっち側。右近さんがいるのがあっち側で、徳川さんは何も知らない中立で、じゃあ流されるがままに「革命」を見に行く観客がこっち側なのか。だとしたら僕はどう足掻いたってこっち側だ、だって、見えるものしか見えない。徳川さんが責められる理由はどうとでも解釈できる哲学的なソクラテス的なあれなのか。わからないわからない…悔しい。悪の華、清濁併せ呑む、「いつも誰かのせいにする」の世界を一番俯瞰で見ていて、同時に無責任、この息苦しいくそったれな世界をくだらねーといいつつ楽しみ抜く、右近さんのピカレスク的な世界観。世界の見方、味方。みんな何も見えてないし、正しさは見方で変わる。そんな感覚で物語を楽しみました。
Waiting ~とりあえず、黙って待ってみる…~

Waiting ~とりあえず、黙って待ってみる…~

いいむろなおきマイムカンパニー

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/11/02 (水) ~ 2011/11/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

創造を想像
僕らの身体はこんなに豊かな創造力を持ってるんだなぁ。え、みなさん劇場でパントマイム見たことありますか?僕は初めてでしたけど感動しました。小さい子から年配の方まで誰でも楽しめる普遍性も良いですよね、そういった表現としての力強さも併せ持っているパントマイム初体験。普段、路上パフォーマンスとかガーマルチョバがTVに出てるのを見る位で1時間以上ずーーっとパントマイムは初体験。無駄なことが大好きなので、言葉を削ぎ落としてパフォーマンスするストイックさはどうなんだろうと半信半疑で劇場に。でもでもでもでも、暗幕だけの何もない空間で、言葉を削ぎ落として、修練して、伝える行為に爆笑して心打たれて。ダンスよりわかりやすいのは一つ一つの動作の意味を伝えようという意思があるから。でも演劇と違い台詞がない分、観客の想像力はよりかきたてられる。時間も世界も自由に往復する世界はパントマイだからこそ。中盤、照明が変わる度に空間の世界が変幻し続ける場面に圧倒されまくり。最初と最後もすげー良かった。パントマイム、恐るべしっっ。

桃ノ木高原SA

桃ノ木高原SA

ENBUゼミナール

笹塚ファクトリー(東京都)

2011/11/02 (水) ~ 2011/11/03 (木)公演終了

満足度★★★

人間だもの
「いるよなぁ」って人達のダメダメさをクローズアップして見せる人間臭い登場人物たち。でも卑近なエピソードに混じって、スッと壮大な事が話に出てきたりして奥深い。ゲラゲラ笑って観劇したあとに、等身大の自分を改めて肯定出来る様な元気をもらえるシチュエーションコメディ。ENBUゼミの卒業公演とのことで役者さん達の固さはあるものの、脚本演出の力もあって役とマッチしてるなと感じて好感触。

ネタバレBOX

前説の女性が前口上のあと、自身のエピソードを交えながら「個々人には個々人の事情がありますよね」と導入して始まる。舞台は人もまばらなとあるサービスエリア。壁には最近近所から出土した桃の木原人の絵が貼ってあったりする。登場するのは遺体を運んでる途中に車が故障した葬儀屋の男二人組。いつまでもサービスエリアに居続ける姉妹。夫のDVから開放されようと集まった主婦4人。主婦達は夫から逃れようとドライブの途中、4人の所持金が高速料金が足りずに困惑している。付近が騒がしいのは、近所で死体が見つかったから。

勿論、個々の事情・状況は序盤は謎に包まれており物語が進むにつれて徐々に明らかになる。でもどうだろう、このワクワクするようなシチュエーション。特に夫のDVから逃れたい主婦達の話が面白い。暴力はイヤだけど、夫は本当は自分を愛してると信じて不幸だか幸せだかわからない自慢合戦を展開する風景は秀逸。終盤、姉妹が自分達の交際していた男を殺して埋めていた(それが最近発見された)ことが明らかになる。そして相関して、「人間の肉体はどのくらいで骨になるのか」や「自分の何代前が原人なんだろう」といった、人類の根源みたいな壮大な話が挿入される。やはりコメディの魅力の大きな要因は「共感」だと思う。自分もそうだなぁ、とか、周囲にこういう人いるよなぁを大きく取り上げることで、笑いも物語も深まる。土田さんの脚本には愛と笑いが満ちてるなぁ。
ソウル市民五部作連続上演

ソウル市民五部作連続上演

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2011/10/29 (土) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

「ソウル市民1919」
時間の感覚を忘れるほど見入る、現代口語演劇の魅力っっ。3・1独立運動の喧騒を余所に内輪で笑い合う、この間抜けさ。こうまで無関心でいられるものかと、呆れるほどずれている登場人物達の世界観。あまりにも平和ボケなブルジョアジー的な観点で起こる笑いに腹を抱えて笑う。そして見えないから、余計想像してしまう舞台外の風景、その歴史的瞬間、それを思うとやはりゾッとする。

5作品は独立してる、は本当にその通りで。5部作どれから観ても大丈夫そう。むしろ昨日観た「ソウル市民」と「1919」で同じ役者さんが違う役をやっていてちょっと混乱してしまった。でも作品を重ねる毎に「ソウル市民」の世界が広がっていく。残り3作品、予定は未定だが是非見たい。

食べる。

食べる。

たこ足配線企画

北池袋 新生館シアター(東京都)

2011/10/28 (金) ~ 2011/10/31 (月)公演終了

満足度★★

青年の主張?
僕たちは本当に困ったら何を頼りにしたら良いのか。テーマは普遍的だし答えの出ないテーマなのだが、終わり方が未消化で気持ち悪い。作り手の方では完結しているのなら説明が足りないし、見たままならば何の救いも無い。物語だとしても、それを見ている観客には自身の生きる現実がある。「ほらあなたの生きる、人間って、現実ってこんなに残酷でしょう。」って迫るだけの物語は、もう時代遅れだと思う。

ネタバレBOX

家族も友達も国も頼りにならないならば、神に頼るしかないのか。でも日本は神様だって資本主義の影響からは逃れられず欲深い。「自己肯定して自分の欲求に素直になれ」と諭す教祖と、その教えを乞う信者の話。満たされない思いを募らせた信者は教えに従い暴食やセックスといった短絡的な欲求解消に走り、事後自己嫌悪する。隠しているが教祖は自分の子供を殺し食べたいという欲求を押さえられない。食べる事で自分の大事な子供を、体内で吸収して自分自身と同一化したいと思っている。そして、信者の中には教えに従い欲求を解放すれば、自分と同じ考えの人間が現れると信じ、理性を失う薬を飲ませながら信者に迫り続ける。やがて信者の一人が死ぬが、盲目的な残りの信者達は見て見ぬふりで世界から目を閉ざす。

こんなご時世だから、不安や閉塞感を煽るのは簡単だ。そして不安を忘れるために短絡的に自堕落な、楽な方へ逃げるのはとても人間らしい。でもその先が見たいと思ってしまう。客観的に見ると物語に出てくる人物の欲望は短絡的で、絶望も軽い。でも、幸せは自分自身のもので相対化なんて出来ない。登場人物達は絶対的な幸せを求めて絶望して諦める。停滞は決してわるいことじゃない。でも、このラストでは登場人物自体は盲目的な幸せを得ても観客は救われない。カルト宗教へ倒錯せざるを得ず積極的停滞するのならば説明が足りないし、見たままならば何の救いも無い。観客は現実を生きている。同時代を生きる人達に現実以外の何かを提示しなければ、伝えたい何かがないのなら、演劇である必要はないと思う。その先が見たい。そして個人的な心情としては、ベタかもしれないが宗教を乗り越えて自立する、物語としての救いが見たかった。
ソウル市民五部作連続上演

ソウル市民五部作連続上演

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2011/10/29 (土) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

ソウル市民,、初日
教科書には決して載らない、市井の人達の営みをのぞきみる不思議な感触。歴史を動かすのは教科書に載る様な知名度の高い有名人ではなく、圧倒的多数の市民なのは自明の理で。当然史実があって作品が生まれる訳だけど。作品はあまりにも淡々と日常で、10代の頃学校で習った「日本は当時こんなひどい事をした」と比較するとあまりにも違う。でも違うからこそ、「悪意なき市民たちの罪」という視点で見るとゾッとする。人間は弱い、でも歴史に学び市井の力で同じ過ちを繰り返さないよう努力するんだ。アフタートークも刺激的。芸術の持つ力強さを実感っっ。解決しないことも含め、複線なのか、複線じゃないのか、その後の物語が気になるエピソード満載で、広がり続ける各人物の魅力もたまらないなぁ。明日も続けて行くぞ~。

鳥ト踊る

鳥ト踊る

はえぎわ presents 真夜中

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/10/26 (水) ~ 2011/10/31 (月)公演終了

満足度★★

♂×♂
この面倒くささは全部自分に跳ね返ってくるのか。へ理屈、保身、自己犠牲。この男女2人見ていてずーっとイライラするんだけど、じゃあお前はスマートに生きてるか?って聞かれると、同じくらいブザマだよなぁと思って。だからこの男女2人は他人のようで自分なのかなぁ。

バナ学バトル★☆熱血スポ魂秋の大運動会!!!!!

バナ学バトル★☆熱血スポ魂秋の大運動会!!!!!

バナナ学園純情乙女組

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2011/10/26 (水) ~ 2011/11/01 (火)公演終了

満足度★★★★★

言葉いらない
初バナナ。言葉なんかいらない面白さ、でも伝えたいこの面白さ。目の前で繰り広げられるありとあらゆること。360度全方位でのパフォーマンスは、カオスで過激で美しい。でもジッと一点を見ている余裕はない、だって目まぐるしいスピードで展開、転回。そんな世界を創り出せる演者全員、尊敬して、憧れて、見せられて。魅せられて。そんな集団が舞台と客席の見えない壁をぶっ壊して観客全員体感させる。シビレルような世界を共有して見て聞いて匂って味がして叫んで触って、体感劇で、大感激っっ。アイドルにはまる人の気持ちが初めて実感できた気がする。演者と触れてしまう近さ。満面の笑み。感情爆発。それで勘違いしてしまう。初対面なのに、この集団に自分は受け入れられてる気がする。錯覚してしまう。自分もパフォーマーの一人になった気になってしまう。甘美。まさしく甘く美しい。麻薬級の依存性がある。こんなの初めて。。ドキドキする。この集団と一緒にこの世の中をもっともっと生き急ぎたい。バナナ❤ラブ。

みちゆき

みちゆき

椿組

ザ・ポケット(東京都)

2011/10/26 (水) ~ 2011/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★

未知へゆく
クライマックスで胸にスッと落ちる気持ちの良い作品。チラシに載ってる作者の文章通り「死を体験する」内容でありながら、観劇してみて怖さや悲しさはあまりない。でもテーマはどストレートに「死」、物語もどストレートな内容でわかりやすかった。設定の妙が際立ちありがちな結末に落ち着いたらヤダなと思っていたが地に足着いてる内容で安心しました。役者も安定感あってさすがだなぁと思った。所々にあった役者全員でひとつの場面を作る箇所が見応えありました。

ネタバレBOX

物語の序盤は愛する人の死を受け入れられない女の純愛的なファンタジーとして見ていた。昔のTVドラマに「究極の愛とは、最愛の相手の死を受け入れない事だ」という極端な哲学を発する話があったけれど、それを彷彿させる愛の形。死んだはずの男の死体を背負い、北へ北へと逃げる女。この時点では、伏線は「医療ミス」とかありがちなやつかな、って思っていた。ところが、「積極的安楽死」が物語の根底にあることが明かされて、後半~クライマックスで一気に楽しくなった。ファンタジーではなく、リアルな人間の営みなのだとわかると見ていてのめりこんでいける。医療の発達で、どこからが生きていてどこからが死んでいるかが曖昧な情勢。「積極的安楽死」を受け入れる側も、受け入れない側の気持ちもよくわかる。普遍的な命題である「死」。生きてる我々が同時に命尽きる直前まで、「未知」であるがゆえに不安で仕方ない存在である「死」の物語化として、「命は誰のものか」という問い掛けは秀逸だなぁと思う。その「未知」に向かって我々は日々確実に進んでいるのだなぁと再確認する、あまりの自明の理で普段は忘れてしまってるのだけれども。

舞台の奥へ奥へと進んでいく、舞台美術も効果的でキレイだなぁって思った。また、物語の中盤に、自殺サイトで知り合った人達が死体を触って口々に感想を言い合うシーンが好きで。不謹慎だけど、こういう感情って人間の一面だなって思った。
【ご来場ありがとうございました。】甘え子ちゃん太郎

【ご来場ありがとうございました。】甘え子ちゃん太郎

FUKAIPRODUCE羽衣

アトリエフォンテーヌ(東京都)

2011/10/20 (木) ~ 2011/10/26 (水)公演終了

満足度★★★★

みょ~体験
な、な、なんなんだっっっ、これは。妙っていうか、僕自身の脳ミソの限界を飛び抜けて突き抜けてく。でも、そんなぶっ飛んだ感覚が楽し過ぎるっっ。物語をつかもうとしても無限大と極小を交錯する世界にスルリとかわされ、歌っていうか魂の叫びで、ダンスっていうか情熱で。目の前に起こってるものが何なのか全くわからないまま二時間、息苦しいほどエネルギー浴びせかけられて、生きる活力をもらえた感じ。見たことないもの見たくて芝居見に行ってる側面あるけど、こんなに圧倒されたのは久しぶり。とても楽しかった。

ネタバレBOX

生まれてきたらもう~♪頭からメロディーが離れない。美術も衣装も独特で、この妙体験、クセになりそう。物語は「甘え子ちゃん太郎のラブホでの情事と、彼女のおしりのバージンアイランドを交錯するファンタジー」という理解でいいのだろうか。とにかく歌とダンスが楽しかった。
Kと真夜中のほとりで

Kと真夜中のほとりで

マームとジプシー

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/10/14 (金) ~ 2011/10/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

飲込まれるっっ
リフレイン初体験。訳わからないけど面白いなぁ。ダンスのようで音楽のようで朗読のようで演劇でないみたいな不思議な空間。時間も空間もひょいと飛び越える、役者の体現するジューオウムジンでジユージザイな空間は居心地が良くて。繰り返されるシーンはいつまでも見ていたくなる美しさと、力強さを持っていて、この心地よさは演劇だから、マームとジプシーだからこその体感。繰り返されるシーンが折り重なって紡がれる物語は徐々に深化して、いつのまにか怒涛の加速を経て観客を飲み込んでいく。真夜中の闇や静寂や神秘性のある特別な空気感をも生み出すパワー。見れて幸せでした。

陛下に届け

陛下に届け

ポップンマッシュルームチキン野郎

Geki地下Liberty(東京都)

2011/10/07 (金) ~ 2011/10/16 (日)公演終了

満足度★★★

切れ味バツグン
ノーブレーキ、フルアクセル。演劇でしか表現できない、ぶっ飛んだ笑いを体感。笑った、笑った。文字通り身を削り、あらゆる手段で笑いを取る姿に平伏する。役者の方々も個性派揃いだし、劇中の映像や小道具もセンスがある。とても丁寧に物語を説明し過ぎて、展開が緩慢な印象だったのは好みの問題かもです。

ネタバレBOX

サイショモンドダスト★さん、前説からすげー頑張ってた。とても魅力的な役者さんだし、彼女と別れても頑張って欲しい。あと、全身黒塗りのCR岡本物語さんがすげーツボだった。この2人はもっと見てたかったなぁ。

このページのQRコードです。

拡大