+sugar+の観てきた!クチコミ一覧

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『江本真里子一人芝居​ × プロトテアトル』

『江本真里子一人芝居​ × プロトテアトル』

火曜日のゲキジョウ

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2020/07/28 (火) ~ 2020/07/28 (火)公演終了

満足度★★★★★

四か月ぶりの火ゲキ。
個人的にも、四か月ぶりの観劇でした。
四か月ぶりの劇場でした。
結果、つくづく、観劇が好きなんだと実感しました。

ネタバレBOX

江本真里子一人芝居「きみとわたしとクライマックス」

トライアル初出から観てた演目。
一人芝居出場を経て、各地を旅して、また大阪に帰ってきて。
かつて観た時は背負う緊張も相まってか、只ならぬ気迫が漲っていて圧強めでしたが。
それが今は旅する間に熟成されて厚みが増したような、紛れもなく江本さんのものになってるような。
一つの作品をじっくり育てていくことの良さを感じさせて頂きました。

熟成が良い方向に作用したのかな、かつて観た時に比べて、母の弱いところが引き立ってるように感じました。
強い凄いウルトラ母なところが主に前面に出てた印象だったのが。
その陰にある、愛息からの拒絶、母の存在への否定、それに対する迷い、哀しみ、衝撃がグイっと出てきて。
それら弱さが深みを増したことにより、尚強くあろうとする母の愛の強さが際立つ。
全体的にシャープでエッジの利き方が増してて、ひとつひとつのエピソードが飛ばずに立ってた。

そして何より…自粛期間を経ている間、どうやってコンディション保っていたのかなぁって思うくらい。
幕開けてしょっぱなから、いきなりフルスロットル、なにその発声、凄い、空気がビリビリ震える。
まさに、あぁ…今わたし演劇を浴びてるって思う瞬間でした。
生身の役者の芝居は凄いんだ、存在が降ってくるんだよ迫ってくるんだ、凄いんだよ。
御蔭でわたしは自分が演劇に飢えていたことにも乾いていたことにも気づかされました。
ありがとう、幸せでした。

汚されたランドセルを手放そうとした息子にかけた母の言葉。
思いがけず染み込みました。
観るそのときそのときにより、より強く触れてくるものが変わる、それもまた観劇の面白味。


プロトテアトル「エウレカ」

こちらも再演とのことで、初演時は女性ひとり、男性ふたりだったとのことで。
初演は観ていないので配役は分からないまでも、内容からして、おそらくキスで起こされかけていた役が女性だったのであろうと推測。
そうなってくると、そこに色恋めいたものが絡んでくるので…。
個人的な好みで言えば、この再演の女性三人のバージョンが良いです。
あそこに色恋いらないな、それはノイズだなって。
推測が外れてキスで起こされかける役が男性だった場合は、若干わたしの琴線に触れてくるので、それはそれでアリです。

中学生が学校でデモ活動を行い国家権力と衝突という、昭和の時代の学生運動と同じ行為を中学生という幼さで行っている世界線の話。
現実の世界線では、そのように身体張って能動的な活動をするなどはなく。
自分の身の安全は確保しながら、安全なところから匿名で思慮浅く攻撃をするという風潮なのかな。

やり方はともかくとして、でも。
怒っていいとは思う、怒るべきだとは思う。
その為に、色んな事を知るべきだし、色んな事を考えなくてはならない。
大人の時間と、子供の時間は、流れ方も意味合いも異なるのだから。
なんてことを、今の世相を鑑みて思ったりしました。
と同時に、なんか青春だなぁなんて風に思ったりもしました。
青春の香りも在る、その辺りがなんだか好まして良かったです。
強龍2020 〜新春大喜利会〜

強龍2020 〜新春大喜利会〜

大喜利会

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2020/01/14 (火) ~ 2020/01/14 (火)公演終了

満足度★★★★★

毎年、お正月明けに開かれる、関西小劇場演劇人による大喜利会。
毎年、楽しみにしてるんです。
今年は会場が生まれ変わった新1stに移り、舞台が横長になって、司会サイド、解答サイド、ジャッジサイド、やりやすそうでした。

大喜利会は、プレイヤーの呼び込みの時点からもう始まっている。
ダイゴさんによる口上、プレイヤーひとりひとりのバックボーンを紹介する面白ろ口上で、もう呼び込みの時点から場内爆笑の渦。

昨年に爆笑をかっさらった回答、「強龍」ですが、今年からなんと大喜利会タイトルにまで出世して。
しかも優勝者は、将棋のタイトルの如く、「強龍(ストロングドラゴン」と名乗る権利を得ることに。
それが有難いことなのか、若干の迷惑なのかは、さておき。
ものすごく接戦で熱く盛り上がった決勝戦を制して、名誉ある「初代強龍」の称号を得たのは、baghdadcafe’の泉寛介さんでした。

思い返しても、ずっと笑ってた気がします。
ひぃひぃいわされました、笑いくたびれましたよ、くたびれるほど笑わされるって。
演劇やってる人って、基本頭いいんですよね、なんであぁぽんぽん、ぽんぽん、面白いこと思いつくんだ。
ハイライト・・・って思ったんですけれども、大喜利って、切り取って残しても、あの面白さが残らないんですよねぇ。
やっぱ、あの場、あの流れ、あの言い方、あのタイミング、全てを制した先に爆笑がある。
って、格好よく言ってみました。
とても楽しかった!
また来年の開催、「強龍2021」楽しみにしてます!

どうでもいいけど、自宅の物入れには、泉さんのスケッチブックが大量にあります。
終わった後、ロビーで回答者のスケッチブックが販売されるシステムになって以来、毎年泉さんのスケッチブック買い占めていたもので。
終演後も楽しくおしゃべりしてて、これどうしようかしらね、棺桶にでも入れてもらおうかしらと話していたら、それはよく燃えそうですねと言われました、ほんまやな。

上田ダイゴと二朗松田の『演プロ22』

上田ダイゴと二朗松田の『演プロ22』

上田ダイゴトークライブ

デジタルカフェ-スクリプト-(大阪府)

2020/01/08 (水) ~ 2020/01/08 (水)公演終了

満足度★★★★★

2020年、演プロはリニューアルされるそうです。
毎月、豪華ゲストを招くそうです。
そんなリニューアル演プロ一発目のゲストは、有元はるかさんでした。

みんな気がついてる、そこにゲストが座っていることに。
なんなら、あけましておめでとうございますと挨拶しましたしね、始まる前に。
でも呼ばない、いつまで経っても呼び込まれない。
軽快にしゃべるつづけるMCふたり、ゲスト放置され続けること数十分、そのまま1stステージ終了しそうな勢いで、びびりました。

ざっと思い出せる今回のハイライトは。
ビューティーダイゴ、旦那にも嫁にも、面倒くさがられる。
ダイエットの為には、酒とカズチーを絶たねばならない。
荒れ果てた即興コントコーナーにて、くすむらちゃんの持ちネタ「テキーラだ」が誕生する。
などなど、たぶんもっと色々ある、色々ありすぎて。

あぁ、そうそう、リニューアルポイントもうひとつありました。
それは、プロレスの話をしないこと。
毎度いくら会場がすんとしてても諦めなかったMCふたりの心が、ついに折れましたよ、プロレス話はダメだと。
観客側の勝利ですね。

まぁ個人的には、興味あることも、ないことも、とんでも賢いお二人が話すと大概なんでも面白くなっちゃうので。
お二人が楽しく話しておられるのを見られれば、満足だったりです。

トゥーランドット ~廃墟に眠る少年の夢~

トゥーランドット ~廃墟に眠る少年の夢~

少年社中

梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪府)

2019/01/24 (木) ~ 2019/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

二十周年、これまでの少年社中の歩みも詰め込まれつつ。
見える景色が変わる、演劇で世界は変えられる、心の底からそう思わせてくれた舞台でした。
この景色を観続けいたい、この人たちを観続けていたい。
熱い熱い身体の奥底から振り絞られた感情の爆発に心が打ち震える。

『TheStoneAgeヘンドリックス×空宙空地』

『TheStoneAgeヘンドリックス×空宙空地』

火曜日のゲキジョウ

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2019/06/18 (火) ~ 2019/06/18 (火)公演終了

満足度★★★

The Stone Ageヘンドリックス「まともがわからない」

元不倫相手の幽霊が居る叔母さんの部屋に。
結婚相手を連れて挨拶に来た姪。
そこで起こるドタバタの話。

自身は不倫の末に未婚のままおばさんになってしまい、若い姪が結婚する挨拶にきた叔母の心中は。
終盤に不倫相手の幽霊に向けられた、何故自分のところに化けて出てくるのかという激しい非難の言葉に現れているのかなと。

生前は恋人を不倫という境遇のままにしておいたくせに。
いざ幽霊になってから、君に会いたかったとか、元恋人が可愛がってる犬に嫉妬したりとか。
なんて身勝手。

まぁそもそも結婚生活を解消することもなく不倫を続けるような男性は、その時点で身勝手なのであり。
その身勝手に付き合い続ける女性は女性で、自業自得なのであり。
ただ、それを親兄弟でも親戚でもなく、親しい友人でもない、全くの無関係な人間がとやかく煩く非難することでもないと、個人的には思うのです。
不倫といっても事情は様々だろうし、何よりあくまでも内々の問題かなと。
ただ、既婚者の異性にそういうスイッチが全く入る気がしない私にしてみれば。
既婚者の異性にそういうスイッチが入ってしまう人は、気の毒なことだなぁとは思います。



空宙空地「飛ないロケット」

公園でだべる男女二人、公園からは同窓会会場が見える位置、二人は同窓会を抜け出して来ている。
同窓会を抜け出し、賑わうかつての同級生達の様子を遠くに眺めながらの、二人の男女の会話劇。

ポイントは、二点。
友達以上恋人未満なまますれ違ってしまった二人の遠い日の恋心。
地元を離れ好きな事を仕事に都会に出て行くという羨まれる立場だった過去の自分と、地元に残り地に足付けて安定した生活を送る同級生達を羨む現在の自分、マウントの逆転。

共通して言えるのは・・・過去は過去、現在は現在なのだということ。
過去にすがって現在から目を逸らしたところで、現在が変わるわけでもない。
ifはifでしかなく、今生きてる自分の現在が現実。

かつて自分を地元に置いてけぼりにして出ていったと思っていた男が、実は自分に告白しようとしていたと知った女は。
そうと知ったところで、それは過去のことでしかなく、今の幸せが大切なのだと言う。

自分より格下だと見下していた同級生と結婚したかつての想い人のそんな言葉に。
延々、現在の自分を否定し、過去に見下していた同級生達の現在の姿から目を逸らし続けていた男の拗ね切った心も。
ようやく今を大切に前向きに生きようと思えるようになったのかなと。
公園のロケットを見るラストシーンにみえるように思えました。

『INDEPENDENT:19トライアル公開二次審査』

『INDEPENDENT:19トライアル公開二次審査』

INDEPENDENT

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2019/06/25 (火) ~ 2019/06/26 (水)公演終了

満足度★★★★★

今年はあまりに皆さん技術が高くてうまかったので、純粋に作品の内容を楽しむことができたように思います。
なので感想も、作品の内容にたいする感想が主になりがちです。

トライアルで引っかかるポイントは、人により様々で十人十色なことかと思います。
わたし自身も毎年常に変化することなく同じではないように感じます。

そんな中で今のわたしがどう判断してるのかな・・・といいますと、またその一人芝居を観たいと思うかどうか、ということなのかなと。
単純にその一人芝居があまりに良くって、また観たいと思う場合もあれば。
二次の時点ではいまいち・・・でも、トライアルは15分なので、残り15分の発展を観たいと思う一人芝居もある。
逆に、たとえ完成度が高くて素晴らしい一人芝居だったとしても、そこで完成されすぎていると、そこで満足してしまって、もういいかなとなったり。

皆さんは、どうなんだろう?
色んな人のきもち、聞いてみたいです。
なにはともあれ・・・二次に出場された方全てに拍手を!
ほんとうに、一人残らず皆さん技術が高くて、トライアル、なんつーとんでもないイベントになったんだ・・・という思いです。

ネタバレBOX

[b]宇田川はるか
「オーディション」
女性タレントが、オーディション選考で、自分の過去を演じて見せるというお芝居。
女性タレントは過去にスキャンダルがあり、それをネタにテレビへ出演が叶ったものの、本来は女優であり。
民放テレビ番組についてのあれやこれや、芸能マスコミについてのあれやこれや等々を思わされました。
一日目のトップバッター、うわぁ上手いなぁと感嘆したのですが・・・お芝居の内容自体にはあまり魅力を感じませんでした。

[c]鎌田恵弥×オダタクミ(カラ/フル)
「ゴトーくんは待ってくれない」
富裕層の婚約者に旅費全額負担してもらって一緒にハワイ旅行に来たものの、現地のホテルでほったらかしにされて嘆く女の一人芝居。
いや~ハワイ旅行って安くないですよ?
それを全額出してくれてる時点で、神かなと、わたしなんかは思っちゃいますけど。
言葉も通じない海外で一人ほったらかしにされたことに対する不平不満を延々ぐちぐち言ってましたけれども、そういう男性だと知ってて結婚することを決めたということも同時に言ってました。
そんな人だと承知していたんだし、何もかも相手に依存するんじゃなく、旅行が決まった時点で少しは自分でも努力できることあったんじゃないかなと。
お金目当てで好きでもない人だけど我慢して結婚するんだっていうのも、やたら上から目線だなと思うし、自分何も努力しないで文句ばっか言ってんじゃないよとも思いました。

[e]武長慧介(コメディアス)×鈴木あいれ(コメディアス)
「ザック」
ずっと暗闇の中で、ナップザックからたくさんのものを散乱させながら懐中電灯を探す芝居。
かなり観客席から笑い声があり、たぶん面白かったのだろうと思います。
でもわたしには、何がどう面白いのかが、よくわかりませんでした。
わからなくて、もやもやです、みんなあんなに笑ってるのに。
ただ演じている野外活動の先生の語り口は気に入りませんでした。
自分の話に食いついてこない児童を罵る前に、何故食いついてこないのか、興味をもってもらうのにはどうしたらいいのかを考えてあげなさいよと、逆に説教したくなりました(笑)

[g]依田玲奈
「Wait」
お腹の中にいる胎児は、産まれ出て成長し、成人して母になり、また子を宿し、子を育み、年老いてゆく。
お母さんと少女、ふたりの女性でもあり、成長してゆく姿でもあり。
人間の人生を観せてくれた30分間の大河ドラマでした。

[d]今野新菜×五十部裕明(宇宙論☆講座)
「楽しい東京オリンピック」
事前に録音した音声を、手元でスマホ操作して流しながらの一人芝居。
そこにいた人形がしゃべってるという体。
トライアルで観る一芝居におけるあくまでも個人的な好みとして、事前に録音した音声を相方にするという手法は好きではありません。
一人芝居なのに、それでは一人芝居ではないと思ってしまうのです。
通常の公演なら、それもひとつの形態として受け入れられるのですが・・・。
後日ツイッターを拝見しましたところ、どうやら作中の作演が飛んだという話は本当だったらしく・・・。
そのような状況下なら、あれもこれも色々とやむないかなと思いました。

[a]岩田弘子(劇団0F)×帽子屋・お松(劇団0F)
「真剣にお葬式」
さほど親しくない人のお葬式に行って、色んなことに気を取られる人のお話。
でもあるあるですよね~。
どんなに集中しようとしたって、ふっと思考に差し込みが入るって。
そりゃそうですよ、生きてますもん、生きてる限り五感から多種多様な情報入ってきますもん。
とても表現力豊かで面白かったです。


[f]寺嶌奈穂美→観客支持率二位
「注文の多い料理店」無印
モチーフにしたものなのかなと思いきや、忠実に原作の舞台化でした。
合間合間に歌が挟まれ、ミュージカル調。
公共施設とか学校とかで公演されてそうな感じの、小さいお子様にも観せてあげたい美しく綺麗な一人芝居でした。

[c]佐野あやめ(劇団乱れ桜)×napomidori(劇団乱れ桜)
「7曜日の私」
曜日をコールして、芝居。これを曜日毎に繰り返す。
コール時の無と、表情豊かな芝居の落差が良かった。
演じるのはいかにも今時の女子、今時女子の起こりがちな三角関係。
あー面倒くさいことになってんなーっていう恋愛事情でした。

[b]加藤広祐(劇団藤一色)×小笠原るつ代(膿月)
「巣穴」
外にいると思われるよくわからない敵と戦ってる風。
延々ずっと何か分からない敵と戦ってることに関連した内容のことを演説してる。
良いも悪いも、ただそれだけでした。

[f]ぽんちくりん×魔人ハンターミツルギ(超人予備校)
「都合のいい女」
都合のいい女・・・を自称する、要するに単なる女性ストーカーのお話。
思い込み、怖い。でもあそこまで思い込めたら無敵。怖いけど。
性別問わずあんなの現実にいたら怖すぎるし、絶対に関わりたくないところですけれども。
ミツルギさんなので、それはもう怖さの欠片もなく、最高に面白くしてくだって、げらげら笑ってました。
ただ・・・ここで充分に満足してしまい、次に対する期待感をくすぐられなかったかな。

[a]淺越岳人(アガリスクエンターテイメント)
「箱の中身は」
古今東西の探偵のモノマネをしながら。
積み上げられたダンボールの中身を推測するというプレゼンテーション。
特に中身がなんだろう?と興味をそそられることもなく。

[g]山下多恵子(京都演劇サロン)×大谷潔(京都演劇サロン)
「大きなお世話」
無職の引きこもりの、甥っ子でしたっけ?弟でしたっけ・・・?失念してしまいましたが。
そんな年下の親戚の男子の心配をし世話を焼く、しっかり者の女性のお芝居。
このトライアルで観られた部分だけでは、いささか物足りなさがあったのですが。
これが完成され30分間のお芝居になった時、ここからどう展開されていくのだろう?と興味をそそられました。

[d]西山ともか
「あいにく今日もゼリー」
工場で働くパートのおばちゃんの一人芝居。
会話の相手を演じる中で、自身の芝居によって、鮮やかに浮かび上がらせていて、見事。
そして、まぁコミカルなお芝居がうまくて、単純に大笑いできる面白さがあり。
ラストは、一人で演じているからこその演出が活きていて・・・心鷲掴みにされ。
正直、個人的には、一人芝居である意義のある、非の打ちどころのないパーフェクトなお芝居でした。

[e]猫村サキ×緒花(Noisy Bloom)
「少女の埋葬」
スコップを引きずった制服姿の女子が、友人の死体を桜の木の下に埋めたというお話。
同性相手への恋愛感情も入っていたり、桜の木の下の死体云々等、耽美な作風。
『三等フランソワーズ×超人予備校』

『三等フランソワーズ×超人予備校』

火曜日のゲキジョウ

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2019/06/04 (火) ~ 2019/06/04 (火)公演終了

満足度★★★★

三等フランソワーズ「Birthday」

タイトル違っていたので観るまで気が付きませんでした。
始まってすぐ、あっ!これ知ってるやつだ!大好きなやつだ!!って。
産声あげた1stへの贈り物として、クリスマスギャロップからのタイトル変更。
粋ですねぇ。

母親を亡くした女子高校生が、幼い頃に蒸発した父を探す旅に出るお話し。
再会した父親は女装してバーで働く人になっており、その負い目、過去に娘を傷つけた負い目もあり、名乗りをあげてくれない。
お互いにお互いが父と娘であると分かっているのに、他人を装ったまま別れ・・・たのですが。
最後はちゃんと互いに互いを探し求め、しっかり抱きしめあう、ジーンとくる結末でした。

このほっこりした親子の再会の良いお話の中に。
女子高校生と、付き添いで付いてきてくれた親友との、噛みあってないやり取りに。
父親が働いていたお店の店主(もちろん女装)と、建物オーナーのロマンスも、すっごい良い。
自分にぞっこんらぶらぶな元恋人を、つれなく冷たくあしらいながらも、根っこ優しい辺り、すっごい良い。

登場人物がみんな味があって良いので、実は続編はすでに存在しているけれども、個人的には月一くらいで連作上演観たいくらい好きです。

あと、クリスマスツリーが健在でよかった。
いや地味に代替わりしてたりして・・・?

超人予備校「デザート砂漠」

超人予備校なので、人間より人間でないモノの方が多かったです、超人予備校なので。

某アニメ映画の飛行機乗りの豚さんが主人公。

飛行機にのって飛んでいたところ、砂漠に墜落。
ところがその砂漠が・・・スイーツで形成された砂漠。
足元には砂ではなくきなこ、空から降ってくるのは雨ではなく飴、オアシスにたたえられているのは水ではなくチョコレートフォンデュ等。
ちゃんとした水を求めてきなこの砂漠をさまよう豚さんと、少しでも長く生きたい白玉プリンスを探したいという目的もってさまよう白玉だんご達のお話。

日枝さん、尾松さんの、白玉コンビが・・・可愛くも美味しそうで・・・。
白玉だんごって小学校で初めて作って以降作ったことなかったですけれども。
ちょうど、美味しいきなこ、家にあるし。
白玉だんご作って、きなこまぶして食べたいな~という気持ちになりました。

偽曲 安寿と厨子王

偽曲 安寿と厨子王

東洋企画 TO4O KIKAKU

浄土宗應典院 本堂(大阪府)

2019/02/22 (金) ~ 2019/02/24 (日)公演終了

満足度★★★

日本昔話レベルで知られた話とのことなのですが、わたしは原作を存じませんでした。
どんなことでも、変化球の良さを知るには直球を知らねばならない、と思っているので。
読んでみたいなぁと後から調べてみると、森鴎外著の小説が別の題名であり、それは数年前に舞台化もされていたようで。
そういえば、そちらは目に耳にしたことはある気がする・・・と思いつつ、知識の狭さが恥ずかしい。

東洋企画さんは少人数の公演もありますが、大人数の場合はもうほんとに大人数。
個人的には続けて観ることで、この世代の役者さんを幅広く知る機会を得られる劇団さんでもあります。
作風は芸術性が高く、扱う題材は幅広い、今回はその中でも古典の改稿。
殺陣がメインではない時代劇でした。
時代劇の演劇といえば殺陣が魅せ場・・・というイメージを持たれがちな印象ですが、そうではないところがまた良かったです。

物語は吃音の語り部によって進められる。
演じているのは繁澤さんということもあり、應典院で吃音教室が催されていることとの繋がりを感じます。
お芝居は、語り部が聞いた話を書物に残すというかたち。
現実でも「安寿と厨子王」という説話を元にして森鴎外が小説を執筆しており。
実際に起こった出来事を物語にする、読み物にするということは、あくまでも作り物あるいは芸術作品であり、事実とは異なるのだということが表現されてました。

個人的には、歴史学と考古学の違いというものを、つらつらと思っていたり。
書物から歴史を研究するのが歴史学。
物から歴史を研究するのが考古学。
書物、この場合は歴史書になるわけですが、それって極めて不確かなものじゃないですか。
歴史書はその時代、その時代の覇者となった者が、己の都合の良いように後世に残したものが圧倒的に多いと思うのです。
事実が改ざんされ、省かれ除かれる。
しかし本当はこうだったのではないか、と思い巡らす余地があり、そこに浪漫がある、等々。

運命というものは、抗いがたいチカラを持っていて。
自身の思いは取り残され、取り巻く環境や人間に飲み込まれてしまうこもある。
歴史を生きる人物の人生をみていてしばしば感じる無常がありました。

第4回30GP

第4回30GP

火曜日のゲキジョウ

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2019/01/24 (木) ~ 2019/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

準決勝②「S☆J Lab×二朗松田×中野劇団」

準決勝は、金曜日に勝ち残った二組の対戦。

これが30GPに潜む魔のひとつで、同じ作品を同じようにしてても、客席の空気が全く違う。

ウケるはずのところが、空気が重たかったり。

今回、準決勝で作品をチェンジしてきた劇団がなかったので、一日前ないしは二日前に観たばかりな観客もいた・・・という影響もあるかもしれない。

単純に客席全てが全く同じ観客なわけではないというのもあるだろうけれども。



準決勝を終えて、決勝に進んだのは三等フランソワーズと中野劇団。

奇しくもシチュエーションコメディ対決。

そういえば・・・コメディとコントの違いって、なんなんだろう?

ふんわりとした概念しかわたしの中にはないので、よく分からないです。

機会あればお話しおうかがいしたい。



自分は決勝は行けずに残念やら結果気になるやらだったのですが、三等フランソワーズの優勝だったそうです。

面白かったからな~でもどちらも個人的には最高に面白かった。

次のシーズンの火曜日のゲキジョウは、新築1stこけら落とし公演シリーズから。

シーズン期間は短めになるので、始まってから30GPまでがいつもより早く感じるはず。

まだこけら落としの分しか発表されていないので、どんなラインナップになるのか、次のシーズンもとっても楽しみです。

第4回30GP

第4回30GP

火曜日のゲキジョウ

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2019/01/24 (木) ~ 2019/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

準決勝①
わたしが観に行けなかった30GP初日の、第1ラウンド第1試合、第2試合を勝ち抜いた二団体による準決勝。

大阪朝高演劇部「ゾエアが満天の夜空」

彼女達は高校生、自分達で演劇部を発足し、学校に認可してもらえるように現在進行形で頑張っているリアル高校生。
そんな彼女たちが火曜日のゲキジョウに挑戦し、大人達に混じって30GPに選出されたというのが、もう熱いじゃないですか。
内容は、長らく断絶されていた国家の首脳同士が会談するという国を上げての重大な日が。
自分達にはどうにもならない家庭の事情で離ればなれになってしまう仲良し三人組の別れの日となる。
国家の一大事と、彼女たちを取り巻く世界の一大事は、重たさは等しい。
むしろ後者の方が大切だったりする。
三者三様の個性の違いがよく表現されていて、これだけ違う個性の子達が仲良しになれるというのは、学校という枠の中にいる時代ならでは。
笑顔で毎日楽しく過ごしているものが、その笑顔のままに辛いことも何もない毎日だというわけではない。
経験によってそれを知り、子供は思いやりをもてる大人になってゆく。
人によっては、知ることのできないままに大人になってしまう人もいることでしょうけれども。
はつらつとした元気な笑顔と声が、とても好印象でした。

三等フランソワーズ「フレンチとマニュアル」

お見合いパーティで出会った男女の、気取ったフレンチレストランでの食事の場面。
舞台は、コース料理がすっかり終わり、ひたすらワインを飲むしかない状態から始まる。
木山さんの酔っぱらいっぷりが、いやらしさがなく可愛げがあり、とてもいい。
酔う前は大人しかったのに、酔っぱらってからが最高に面倒くさい。
その面倒くさい絡みに対して眉を八の字にしてボヤく中川さんのボヤきが、これまたいい。
男性側がしまいに堪忍袋の緒が切れて拗ねてしまう、形勢逆転今度は中川さんが最高に面倒くさい。
二人のやり取りが可笑しくて、可笑しくて、とても面白かったです。
この芝居の男女は、自分の中で完結し過ぎるのです。
マニュアル本なんかに答えはない、答えは目の前に座ってる生身の相手にある。
勝手に相手の心を推測して決めてかかって、分かったような気持ちになる。
でもねー、分かるんですよねー。
気になる相手ほど、心を知りたい相手ほど、本当は迷惑に思っているのではないだろうか、嫌われているのはないだろうか、そうに違いない・・・って、思っちゃうんですよねー。
この二人はそれでもちゃんとぶつかり合えたから、本音ぶちまけあえたから、良かった。
終電の時間を確認し合う場面で、中川さんは正確な時間を答えたのに対して、木山さんは自分もだいたいそれくらいの時間だと答えたのが、この男女の性格の違いを顕著に表してた象徴的な台詞。
思わず幸せになって欲しいなぁと願ってしまう、そんな人間臭くも愛おしい二人でした。

第4回30GP

第4回30GP

火曜日のゲキジョウ

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2019/01/24 (木) ~ 2019/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

第1ラウンド第4試合

劇団りゃんめんにゅーろん「晴れ間」

これまで火ゲキ以外の場で、別のキャスティングで二度ほど観たことのある作品。
リアルリーマンな南出さんから生み出されるリアルリーマン事情の悲哀が染みる良いお芝居です。
この火ゲキバージョンでは・・・その良さを堪能することができませんでした。
男性二人の会話劇なのですが、会話のキャッチボールができてないように感じられました。
台詞に心を感じることができない。
単に棒読みだというだけではなく、相方を意識して台詞を発していない。
相方の台詞は自身の台詞のきっかけでしかなく、ひとりでしゃべってるというような。
片方の暴投の一人芝居に、片方が巧みに拾って汲んで合わせていってるような。
雰囲気だけで笑わせにいってるような。
わたしには満足のいかないものでした。

中野劇団「結婚の報告」

今シーズンの火ゲキでは唯一観に行けなかった回だったので、こうして30GPに選出されて観られてほんとに嬉しかったです。
なので初見だったわけですが・・・期待値を遥かに上回って面白かった。
笑い疲れて腹筋が痛くなるほどに終始爆笑してました。
バーで繰り広げられる二組の結婚報告シチュエーションコメディ。
まずは友人の母親と結婚することになった男が、友人にそのことを初めて打ち明ける。
この友人がとんでも憎めないおバカさんで。
お相手が誰だか言わせずに自分で推理しようとするのだけれども、よもや結婚相手が自分の母親だとは思っていないものだから、だいぶとおかしなことに。
観てて、だから友人の結婚相手はお前の母親だよ!って叫びたい衝動にかられました。
続いて、もう片方は・・・。
待ち合わせていた女性が結婚相手なのかと思いきや、それは元妻で、よりにもよって元妻に再婚の結婚式スピーチを依頼するという。
もうその言動は変態を通り越して狂気すら感じられる。
それを一瞬たりともブレることなく演り切ってるのが見事でした。
いつも状況を細かく細かく練り込んでたたみ掛けてくる笑いが秀逸な中野劇団さん。
個人的には初めて観た「10分間」に次ぐ面白さでした。

第4回30GP

第4回30GP

火曜日のゲキジョウ

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2019/01/24 (木) ~ 2019/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

第1ラウンド第3試合

俺たちの地球空洞説「がらんどう」

冒頭から旧1st近隣のご当地ネタや、火ゲキスタッフネタがふんだんに盛り込まれる、火ゲキ愛。
1stでの上演時に比べると、2ndの空間を活かして取り込んでいたのが、ポイントが高かったです。
劇場に演劇を観に来た男が、座席と鞄を奪われたと言って、舞台に上がってくるところから始まる。
観る側だった人が舞台の上に上がる、観る側だった人が比較的気軽に演る側に回る、客席と舞台の境界線の薄さ、そういう小劇場事情を現わしている。
物語は女が持つ地球儀を男が逆回転させることで、実在の世界でありつつどこかズレた並行世界へ迷いこむ。
シルクハットをかぶったタキシードの麗人が語り手となり、鞄=人生を奪われた男の話を進行してゆく。
麗人がステッキで床をコンコンと打つ音が、小気味がよくて好きでした。
物語の締めくくりには、出演者全員が正面を切って群唱。
群唱でこれまでシーズンを跨いで幾度となく火ゲキで上演し続けてきた数々の作品を振り返る。
全体を通してメタファーが多様されていて、メタファーを用いるのがだいぶ好きなんやなぁと。
メタファー芝居のもつ掴みどころのない曖昧さ、そこからくる独特の雰囲気が好きな人におすすめな舞台です。
挑戦し続けてきたからこそ、そしてただただ数をこなすというだけでなく全てを糧にできたからこそ、この30GPという舞台に立っているのだということも思わされました。

S☆J Lab×二朗松田「屍体は歩かない」
こちらは劇団参加ではなく、コメディのワークショップに集ったメンバーでの参加。
演出家の男性を巡っての争い、女優ふたりのシリアスな争いの場面・・・と思いきや。
実はそれはお芝居であり、初日を明日に控えた劇団の場当たりの場面だという始まり。
場当たりの段階にもなって、演出家が死体が歩いてハケるのはおかしいとゴネ始めることから変更点が多々発生し、しまいには劇中だけではない劇団内の二股まで発覚するという、シチュエーションコメディ。
わたしは個人的には死体が歩いてハケたとて全く気にならない派なのですが、それも演劇のお約束に染まってしまっている証拠でしょうか。
なんせ二朗松田さんの作品なので、脚本は間違いのない面白さ。
それだけに痛感するのが…面白いことを面白く言う、演じるというのが、どれだけ難しいかということ。
例えば怒りを込めていう台詞でも、コメディにおいてはただただ怒りを込めて発しても、いささかも笑えないわけで。
感情を込めて演じるということとは別に、蓄積された経験や技術、あとはもって生まれたセンス・・・というのが必要なのかなと思いました。
そんな中で室屋さん、もう何言っても、何やっても、逐一面白くて、笑ってました。最高です。
室屋さん演じるタクシー探偵淳子、ほんと是非にスピンオフして頂きたいです。

上田ダイゴと二朗松田の『演プロ10』

上田ダイゴと二朗松田の『演プロ10』

上田ダイゴトークライブ

デジタルカフェ-スクリプト-(大阪府)

2019/01/09 (水) ~ 2019/01/09 (水)公演終了

満足度★★★★★

今年一発目の演プロは、ちょっと意欲的、革命的に。
演劇のお話だけではなく、テレビ番組の話、世間を賑わしたニュースの話等々、多岐にわたる分野に昨年以上に切り込んでゆく。
何が出てくるかな~?っていうワクワク感が高上です。
そんな中でも、他の何より熱を込めてお話されるのがプロレスネタなのですが、毎回ぶっこんでこられるにも関わらず毎回とたんにスンと冷える客席の空気が、個人的にはたまらなくサイコーです。

いつも改めてどんな話してたっけかな~と振り返ろうとした時に、なんだかあんまり残ってないのです。
ひとつのお題から、どこまでもお二人のお話の枝葉が伸びて、で今なんの話してたっけ?ってなるくらいに、お話のネタが豊富で尽きないものですから・・・後で振り返る際にも、でなんやったっけ?ってなるのかな。
なんでも面白くお話してくれるので、楽しくて楽しくて時間があっという間です。

カウンターの中から、そんなお二人のトークを陰ながら支えるスタッフが、演プロカウンターガール。
歴代のガール達忙しく、今年初の演プロは、お初のガール。
くすむらさん・・・面白い、そして可愛らしい。
ほっこり場が和むアシストかつ的確な映像出しで、とてもナイスなお仕事っぷりでした。

そうそう、わたしはおせち料理が大好きです、おせち料理にいらない子なんていないのです。
おせち料理と日本酒がある正月、しあわせです。

『LPOCH × 三俣婦人会』

『LPOCH × 三俣婦人会』

火曜日のゲキジョウ

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2018/07/17 (火) ~ 2018/07/17 (火)公演終了

満足度★★

LPOCH「〆」

自宅の自室に引きこもりの若い男性、弟を優しく気遣い養う姉。
弟は何らかの事件を起こしたらしく、母親も何かしら関わっているらしく、週刊誌の記者が自宅のドアを叩く、取材の申し込み。
劇中、最後まで事件の詳細が明かされることはありませんでした。
なんだろうな、何を、どういうことを描きたかったのかな。
着地点がいまいち見えませんでした。


三俣婦人会「皮」

皮というタイトル、それが指し示すものは…男性特有のあれでした。
包茎の手術をする息子、それに付き添う両親、父親は不倫中、夫婦関係は冷えているけれども母親の性欲は止まるところがなく手術室の待合室で迫る。
手術を終えた息子の願望は、世界中の女性と関係をもち、子供を山ほど産ませること。
いわゆるシモネタ、全編シモネタ全開、わたし終始ドン引き、最後までテンション引き潮。
そのシモネタレベルは、そうですね、少年漫画の下品系のギャグ漫画。
ものすっごい渋い顔して観てたと思います、我ながら。

『全日本超溶接工委員会 × 凡タム』

『全日本超溶接工委員会 × 凡タム』

火曜日のゲキジョウ

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2018/07/24 (火) ~ 2018/07/24 (火)公演終了

満足度★★★

この日は、翌日から1stで公演があるため、火ゲキ史上初の2ndにて。
とても不思議な感じでした、通い慣れた2ndで、通い慣れた火ゲキ、通い慣れたもの同士なのに掛け合わせるとなんてこんなに異空間。
観てみて正直なところを言いますと…やっぱり1stで観たかったかな。
舞台上の空気が、広い2ndに吸い込まれていった感覚がしました。

ネタバレBOX

全日本超溶接工委員会「ちょっと足りない」

お付き合いしている恋人同士、女性側の御両親に結婚の許しを得に行くお話。
そこに男性の友人が何故か恋人達より先に乗り込んでいたり、父親のご友人が何故か絡んできたりで、勘違いやら早とちりやらで話が絡まり合い、コミカルになってゆく。
それともその持ち前のキャラの濃さからか、白井さんが母親役を演じていたのも一興でした。
このお芝居、全配役に対して、キャストが一人足りない。
父親役が不在で、目には見えない父親を相手に芝居をする演出。
本当に足りてないわけではなかったのだろうけれども、足りていなかったと前提すれば…納得のいくお芝居でした。
一応、父親が存在しているであろうと思われる空間に向かって演技をしているのですが、その演技から父親の存在を浮かび上がりませんでした。
その演技から見えない存在が魔法のように浮かび上がる、そこが見えない相手に向かって演技をする芝居の面白さ、それがなかったのが大変に残念でした、浮かび上がって見えて欲しかった。
また父親が見えてないことに、例えば実は故人だとか、何かしらの意味などもあればよかったな…という期待も。
この人達が演るからこその、もっともっとな期待、欲張り過ぎかな。



凡タム「モテキテキナコト」

バイト先と自宅の自室の往復のみの生活、他人との関わりを忌み嫌い避ける生活を送る男性のお話。
男性の本意をは裏腹に、バイト先の女の子にモテ、ひょんなことから登録してしまった結婚相談所の所員にモテ、モテ期到来。
モテ期到来といっても、二人だけですが。
孤独を愛する男性、彼にまとわりつく「孤独」役を小谷地くんが演じるており、途中繰り広げられる伊織くんと小谷地くんのアクションバトルシーンはめちゃくちゃ格好良かったです。
三人娘のイオリダイテコール、可愛かった。
なんか青いな~若いな~若いっていいな~って。
若い彼らがやるからこそ、切羽詰まった人生の終末感が出ず、いい。
若い今しかできない芝居だなと。
内容は若いのだけれど、みな芸達者で演技が上質なので観ていて清々しいです。


『INDEPENDENT:18トライアル 二次審査』

『INDEPENDENT:18トライアル 二次審査』

INDEPENDENT

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2018/06/19 (火) ~ 2018/06/20 (水)公演終了

満足度★★★★★

一日目。
三次予選に出る作品もあるので、全部ネタバレに入れてます。
順番は当日にくじ引きで決まった上演順です。
トライアルにおいては上演順にも運命を左右される。。。

ネタバレBOX

【b】「彼女と彼女」
稲垣晋太郎(劇団fffff)×都倉宏一郎(劇団fffff)

舞台の上には真っ白なテーブルクロスがかけられた大きなテーブル、場所はレストラン、彼女にプロポーズしようとしている男がひとり。
現れた彼女は男性の弁護士を伴っている、ケンジという名前、職業も検事。
ケンジは新しい恋人、別れ話、いやそもそも付き合っていたのか、脳内恋愛?ストーカー?事件のかおり。
しかし、それは男がみていた夢。
現実では、想う彼女は友人と結婚する、それを祝う席だった。
お芝居もうまく、脚本も面白く、演出もよかった。

【e】「腹」
濱田ひかり

場所は一人暮らしの若い女性の部屋。
離婚を機に疎遠になっていた、父親が誕生日の祝いに訪ねてくる。
父親は仕事優先で家庭をかえりみなかった為に、10年前に離婚。
そのわだかまりからの、和解のお話。
父親との会話が説明口調な感があり、娘の反発がわたしには幼く感じ、脚本、演出が残念な印象でした。

【a】「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ」
淺越岳人(アガリスクエンターテイメント)

舞台上で、知り合いに実際に電話をかけているという設定。
手にしているスマホはスピーカーにしてあり、通話相手の男性の話している内容が観客にも聞こえるという体。
舞台の上で電話をしている会話をただただ観客に聞かせる、これは一人芝居と呼べるのかどうかの議論を、通話の中で繰り広げるメタフィクション。
好みの問題で言わせていただけば、好みではありませんでした。

【f】「さいごのホームルーム」→三次予選出場
もりとみ舞×小林ヒカル(劇団アルデンテ)

冒頭は素で観客に語り掛けているかのような漫談から、芝居に入る。
スーツ姿の女性、場所はおそらく学校の教室。
場面は卒業式、演じるのは担任の先生、クラスの生徒ひとりひとりに卒業証書?手紙?を手渡しながら、言葉をかける。
しかしそれは卒業式本番ではなく、本番さながらの予行練習だったというオチ。
クラスの生徒ひとりひとりが皆個性的だという設定っで、かける言葉でいかに個性的であるかを説明しながら、なのですが。
いまいち個性的度合いが薄い、いまいち面白みが足りない、惜しい。

【d】「おかえり光子」→三次予選出場
中西綾香×ゴン駄々吉(三俣婦人会)

上下GUっぽいぴちぴちの服を豊満な身体で着ていて、たるんたるんの腹がむき出し。
浮輪を装着する、ちょうどトアイアル開催の時期である夏を感じさせる装いを意識している。
途中、着替えたイルミネーションを着けたツナギ、照明落とした真っ暗な中をピカピカと光って綺麗でした。
リズム芝居の要素があったのだけれど、躍動感がゼロ、リズム感じず。
あまり後に残るもののない、キャラ推しなお芝居でした。

【c】「きみとわたしとクライマックス」→三次予選出場
江本真理子×竜崎だいち(羊とドラコ)

江本さんの顔の塗りが白すぎて、当初、ネグリジェ着用だったこともあり、死体役なのかなと・・・違いましたが。
赤ちゃんを産んだ若いお母さん、泣き止まない赤ちゃんをあやす為、夜道を車で攻める、暴走族を手名付ける、ハイパーお母さん。
何をやってもスーパーマンのような母親と、そんなすごくなくていいから普通の専業主婦なお母さんでいて欲しかった息子。
母親が普通ではなかったこと、ランドセルが近年流行りなカラフルなランドセルでなく真っ黒だったことが逆に普通でなかったこと。
息子は普通でないということ、多数の皆と同じではないということで、度々学校でいじめを受ける。
そこからの母と息子の関係性、母から息子にかける言葉、江本さんの全力疾走感、素晴らしかった、とても。
『INDEPENDENT:18トライアル 二次審査』

『INDEPENDENT:18トライアル 二次審査』

INDEPENDENT

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2018/06/19 (火) ~ 2018/06/20 (水)公演終了

満足度★★★★

二日目。
一組が出場辞退で観られなかったのが残念でした。

ネタバレBOX

【a】「高田望」→三次予選出場
阿江春果(0F)×帽子屋・お松(0F)

冒頭、腕をぴんと真っ直ぐに前方に伸ばし腰を低く落とし摺り足で歩く、能の姿勢で登場。
この意味が最後まで活きているのが良かった。
若干変態気味な嗜好をもつ女子が結婚相手に求める条件、そしてその条件に適った男性との出会い、見事結婚。
からの・・・の顛末が面白おかしく、コミカルな演技がうまく、最初から最後までずっと楽しかったです。

【f】「トイレの便座の温度はいくつ」
田宮ヨシノリ(劇団月光斜TeamBKC)×小林崇人(劇団月光斜TeamBKC)

便座のクオリティが低いのが気になりました。

【c】「かたほう。」
岡田彩希(てんてんカルテ)×KONOMONO(てんてんカルテ)

まず出オチから始まる、勢いをつけるのにインパクトを重視した衣装は着ぐるみ、スリッパの扮装。
片方だけになってしまったスリッパを擬人化したお話。
テレビの某仮装大会を観ているかのような気持ちになりました。

【e】「ミヤコワスレナイ」→三次予選出場
笹川未希(イヌチャンネル/満月動物園)×澤野正樹(劇団短距離男道ミサイル)

薄明りの中、舞台の上いっぱいに天井から吊り下げられた電灯、もの悲しくも美しかった。
被災者のお話、まるで笹川さん自身のお話のようなお芝居でした。
トライアルで選出されがちな作風とはまた違う、このようなお芝居が選ばれることが、なんとなしに嬉しい。

【d】「母とおかあさん」→三次予選出場
川久保晴(露と枕)

母に置いていかれた幼い姉妹、育った環境はそのまま母から子へ、子から子へ。
となると子の母もまた・・・?と思わされる。
ケーキ屋の外国人アルバイトのキャラがとても面白かった。

【b】「ガッテンLife~人生という名の爆走演劇~!!」→二次予選出場辞退
石住沙織
チャンドラ・ワークス Chandra Works

チャンドラ・ワークス Chandra Works

少年社中

ザ・ポケット(東京都)

2007/02/07 (水) ~ 2007/02/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

まだ観劇の世界に出会う前の公演。
DVDで観ました。

ネタバレBOX

今から11年前の舞台、皆さん今でも若々しくてあまり年齢を感じないのですけれども、でもやっぱりちょっぴり今よりお若い。
劇団員さんオンリーで、お一人お一人の見せ場がふんだん、その魅力を思う存分味わえる。

舞台奥に向かってのびる橋も駆使して、少年社中らしい疾走感。
その疾走感溢れるオープニングからもうワクワクする。

空に憧れ、宇宙を目指す人々のお話。
ハイレゾが古代っぽいとすれば、チャンドラワークスは中世っぽい?
結婚式の場面など、インドっぽい要素もちょいちょいありました。
とある軍人がテストパイロットとして、飛行機工房へやってくる。
軍からのオーダーは軍用の偵察機だったけれども、実際に造ろうとしていたのは宇宙へ向かう乗り物、いわゆるロケット。
宇宙へ行こうとするなんて前代未聞な舞台世界、反発しあっていた者たちが、力を合わせて夢に向かって走り出す。

大切な場面場面、色々思わせてくれる心に響く大切な台詞が散りばめられている。
飛行機乗りにとって一番大切なことは生きて帰ることだ・・・って台詞に胸を突かれる。

クライマックス、疾走感溢れる飛行テストの場面。
今度はワクワクではなく…ドキドキしました、耳の奥で鼓動がドクドクいうほどに。

疾走感からの静寂、静寂の中に満ちる深い哀しみ。
涙が零れる、きっと生で観てたら客席で号泣してました。

夢に向かってみんなで熱く盛り上がっていく前半からの。
夢壊れて哀しみ苦しみもがき傷つけあう後半。
「夢」をみる者の現実。
あらゆることに置き換えてみることができる。

最後、テスト飛行の失敗によって死亡したパイロットが残した最期の言葉を聴く場面で、また涙が溢れる。
ただただ純粋に無邪気に安全なところで仲間の力添えを甘んじて受けつつ夢をみていた男が。
傷を負い、現実と戦い苦しみながらも、夢をみつづけることの尊さと力強さ。
「夢」をみることの覚悟をみました。

派手な殺陣はない、ダンスも少しだけ、ストレートに少年社中な舞台。
終わった後、深く深く溜息をつく・・・あぁ、少年社中が好きだ。
クレイジーレイン

クレイジーレイン

リンクスプロデュース

船場サザンシアター(大阪府)

2018/02/17 (土) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

2回目のクレイジーレイン、前は男性4人だったのですが、今回はうち1人が女性。
いや~もう、今回もおもしろかった~!!

すでに展開知ってるのに、それでも尚、観ててワクワクするし、ゾクゾクする。
最高のサスペンス会話劇です!

ネタバレBOX

最初のうちは、やり取りがたまらなく面白くて、ゲラゲラ笑って観ていられるのですけれども…。
明かされてゆく潜んだドラマに、緩やかにきな臭くなってゆき。
しまいには、西郷さんの狂気の凄みに圧倒されつくす。
そりゃね、あんなね、愛嬌あるゆるキャラ的キャラクターだった人に、あんな顔みせられちゃったらね…震え上がりますよ。

まだ今年中しばらく定期的な上演が続く。
次のクレイジーレインも楽しみです!
ANDORRA アンドラ

ANDORRA アンドラ

清流劇場

一心寺シアター倶楽(大阪府)

2018/03/07 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★

空想の上での、反ユダヤ主義のような小国、ナチスドイツのような大国が登場する。
非常に重苦しい気持ちになるお芝居でした。

小国で育った主人公は、自分がユダヤ人であるということで、狭苦しいコミュニティの中で迫害を受けている。
しかし本当はユダヤ人ではなく、育ての父親だと思っていた人は本当の父親で、敵国のナチスドイツ風の大国の女性との間に生まれた子供だった。

自分たちが絶対正義であると信じる人々が、他者の事を知ることも理解することもなく、勝手な自分なりの正義で断罪する。
国や人種、そのような大きなカテゴリではなくても、地域や家族、会社や学校、そんな小さなカテゴリの中でも、今も昔もそして先の未来でも、それは存在する。
思い込みによる自分勝手な正義、集団の暴力、おぞましい。

人間の厭らしい部分をまざまざと見せつけられる、そんなお芝居でした。

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