満足度★★★★★
第1ラウンド第3試合
俺たちの地球空洞説「がらんどう」
冒頭から旧1st近隣のご当地ネタや、火ゲキスタッフネタがふんだんに盛り込まれる、火ゲキ愛。
1stでの上演時に比べると、2ndの空間を活かして取り込んでいたのが、ポイントが高かったです。
劇場に演劇を観に来た男が、座席と鞄を奪われたと言って、舞台に上がってくるところから始まる。
観る側だった人が舞台の上に上がる、観る側だった人が比較的気軽に演る側に回る、客席と舞台の境界線の薄さ、そういう小劇場事情を現わしている。
物語は女が持つ地球儀を男が逆回転させることで、実在の世界でありつつどこかズレた並行世界へ迷いこむ。
シルクハットをかぶったタキシードの麗人が語り手となり、鞄=人生を奪われた男の話を進行してゆく。
麗人がステッキで床をコンコンと打つ音が、小気味がよくて好きでした。
物語の締めくくりには、出演者全員が正面を切って群唱。
群唱でこれまでシーズンを跨いで幾度となく火ゲキで上演し続けてきた数々の作品を振り返る。
全体を通してメタファーが多様されていて、メタファーを用いるのがだいぶ好きなんやなぁと。
メタファー芝居のもつ掴みどころのない曖昧さ、そこからくる独特の雰囲気が好きな人におすすめな舞台です。
挑戦し続けてきたからこそ、そしてただただ数をこなすというだけでなく全てを糧にできたからこそ、この30GPという舞台に立っているのだということも思わされました。
S☆J Lab×二朗松田「屍体は歩かない」
こちらは劇団参加ではなく、コメディのワークショップに集ったメンバーでの参加。
演出家の男性を巡っての争い、女優ふたりのシリアスな争いの場面・・・と思いきや。
実はそれはお芝居であり、初日を明日に控えた劇団の場当たりの場面だという始まり。
場当たりの段階にもなって、演出家が死体が歩いてハケるのはおかしいとゴネ始めることから変更点が多々発生し、しまいには劇中だけではない劇団内の二股まで発覚するという、シチュエーションコメディ。
わたしは個人的には死体が歩いてハケたとて全く気にならない派なのですが、それも演劇のお約束に染まってしまっている証拠でしょうか。
なんせ二朗松田さんの作品なので、脚本は間違いのない面白さ。
それだけに痛感するのが…面白いことを面白く言う、演じるというのが、どれだけ難しいかということ。
例えば怒りを込めていう台詞でも、コメディにおいてはただただ怒りを込めて発しても、いささかも笑えないわけで。
感情を込めて演じるということとは別に、蓄積された経験や技術、あとはもって生まれたセンス・・・というのが必要なのかなと思いました。
そんな中で室屋さん、もう何言っても、何やっても、逐一面白くて、笑ってました。最高です。
室屋さん演じるタクシー探偵淳子、ほんと是非にスピンオフして頂きたいです。