満足度★★★★
大スペクタクル
予想もしていなかった大スペクタクルでした!
ネタバレBOX
屋根裏部屋から望遠鏡で天体観測するロマンチックな話かと思っていましたが、いきなりのロケット操縦の展開でビックリしました。
かつて博士の家で「YANEURA COSMOS」というゲームで遊んでいて、今は大人になった幼馴染三人組が15年前の2012年に戻って、NASAですら破壊に失敗した地球に衝突する寸前の小惑星を破壊して地球を救うというSFストーリー。
「YANEURA COSMOS」がゲームでなく、本物のロケットだったというのが凄いところです。
博士は声優さんのようなユニークな口調で特徴があって面白かったのですが、三人組の一人の女性が半音高く、常に大きな怒鳴り声だったのが気になりました。
場面は屋根裏部屋だけだったのでしょうか。階下の居間のシーンもあったような気がしますが、使い分けができていなかったように思いました。
本当は地球的ヒーローなのに、そんなことは黙って、2012年にタイムマシンを使ってお膳立てをしに出掛けて当時失踪したと思われていた博士と共に彼らは2027年の世界に戻りました。
今回の経験を経て精神的には成長したようですが、彼らの属性は全く変わっていませんでした。それがこのストーリーの真面目なところかもしれませんが、バレエで足を痛めることがないように練習を工夫するようにと小学生の彼女に伝えるくらいのズルがあっても良かったのかなと思いました。
満足度★★★
その後の活躍とは
そういうことなのね。
ネタバレBOX
話に深みがなく、女性ファン向け冒険譚のようでした。
パン屋でアルバイトしながら絵を描いていたところ、大金持ちの父親が現れて、面会するために父親が運営するオークションの会場である船に乗り込んで、会社の跡取りにと乞われて、それが嫌で仲間と船を奪い取って、ついでにピカンコの歓喜も手に入っちゃって、アルテノは彼のおじいさんがそうであったように大盗賊になりましたとさ。
ピカンコの歓喜が三枚、首のところが絵の具でプツプツ盛り上がっているのが本物、しかも三枚とも微妙に異なっているのですから、写真と見比べるとかして入札したらって思いました。
小橋めぐみさんが頑張っていて嬉しいです。
満足度★★★★
思わぬ展開と
福永マリカさんが素敵でした!
ネタバレBOX
嫁の来ない夫婦島で企画されたお見合いパーティの話。当初の参加予定者の他に、東京から何となく逃げ帰ってきた男、その男の行方を探して彼の故郷をたまたま訪れた女、そして漁師に片思いしている地元の民子も加わって話は展開していきました。
レッドとかブルーとかいったん決めたはずなのに、スタート時にもめていました。どうでもよく、尺を稼ぐための手段としか思えませんでした。それにしても、薄手の全身タイツだけは何とかしてほしいと思います。田舎臭さや素人面を強調させるためかもしれませんが、股間のちょこんとしたものを見るのが本質ではありません。
福永マリカさんはとても魅力的でした。旅と食事とイケメン食いだけを目的とした態度、ツンデレのツンだけのような女子振りは素敵でした。ただ、脚線美を見せる衣装としてはあれで良かったのですが、他の女性が着替えていたのに彼女だけがずーっと同じ衣装というのはちょっと不思議でした。
ラスト、いなくなった彼を探しに来た女性に自立心が芽生え、彼としばらく距離を置くことを決意して、結局カップルは一組も成立することなく女性たちは帰って行きました。
島の民子も一緒に。
ギャハハ、民子も目覚めちゃって東京へ行っちゃったよー。前途多難な島の男たち、実に面白いオチでした!
満足度★★★
アレッ!
あっけない印象でした。
ネタバレBOX
二人芝居は一時間、鉄則を守った感のある幕切れでした。正直アレって思いました。
観客に事情を説明するには仕方ないのでしょうが、これまで20年も一緒に暮らしていて今さら口にすることもないような会話があって不自然さを感じました。特に、二人の関係について、内縁という言葉の意味を今の今初めて理解したというのは、いくら頭の悪い男だとしてもそりゃ無いだろうと思いました。
20年前相手の組の者を撃ったのがササイだったのかどうかは分かりませんが、もしこの逃げた男が警察に捕まって真実が明らかになることを恐れたとしても、いずれ死体が見つかって警察が新しい事件を本格的に捜査することの方がリスクが大きいような気もします。
本人も基本的には表に出ないのですから、保険証も無く病気で死んで、「おい、小池!」のケースのように容疑者死亡で書類送検で済ますのがササイにとっても一番良いように思えます。
いずれにせよ、逃げたときの姐さんの姿、黒いスカートに赤いショートコートを覚えていれば、あるいは駅で缶コーヒーを買って二人で飲んでホッとしたことを覚えていれば、姐さんも追っ手から男を逃していたのかもしれません。
満足度★★★★
尻すぼみ↘
横島裕さんは本当に面白いです。なんでメジャーにならないんだろうかと思います。
ネタバレBOX
個性的な面々だし、若い女性陣は可愛いし、横島さんのエヘヘで始まって大笑いし期待したのですが、横島さんの出番は意外と少なく、ああこれが「どうでもいい小ネタ」かと思わせるタイツマン的パフォーマンスがありましたがあまり面白くなく、全体に尻すぼみでした。
サプライズとしてやるはずの結婚式も既に両家の親に知れていたような感じでした。で、そのシーンは全く無しでした。
そもそも、地方の町の商店街をショッピングモールにしようと買い占める会社があること自体疑問でした。しかもウィンウィンでなんて。
最初、野仲真司さんを見て、この人隠せない場所に大きなホクロがあって可哀想だなと思っていましたが、何か光るのでもしやと思ってよく見ると片耳にだけ黒いピアスをしていることが分かりました。ま、とやかく言うことでもありませんが、駄菓子屋さんのイメージではありませんでした。
ゲネプロで怪我をされたという谷仲恵輔さん、鼻に絆創膏で頑張っていました。ずーっとたになかさんだと思っていたので、やなかさんって読むことが分かり、私には怪我の功名でした。
タイツマンショーなんか止めて、横島さんを活かせばもっと面白くなると思いました。
満足度★★★★
うわあ~
『桜の園』かどうかは分かりませんが、筋というか、テーマというか、そういうものがありました。
ネタバレBOX
うさぎストライプは一回観たきりで止めていましたが、始まってすぐに近未来の切ない日本の姿が見えてきて、単にダンスパフォーマンス的なことだけをやっているわけでもないと知り少し安心しました。
三つの家族の話。妻が妊娠したことを機に原発を廃止したドイツに移住することを考える夫婦…、放射能の影響か、知的障害の子を持つ夫婦…、若年性アルツハイマーの父を抱える娘…。
彼らが住んでいるところは、屋外で遊ぶ子どもたちの姿が見られないくらい放射線量の高い地域です。出て行く者、残る者、それぞれの思いが伝わってくるちょっと切ない一時間でした。
運動量は半端ありませんでした。折りたたみ傘を開いて柄を上にすると、バレーボールのトスのようにして遊べることを知り、今度やってみようと思いました。
満足度★★★
前作が良かっただけに
実力的にはワンランク上の劇団であるとは思いますが、今回は後味が悪くて残念でした。
ネタバレBOX
起業話に騙された男が、旅行中に中国で死んだことにして保険金詐欺を目論む話。
前作『floors』は凄惨と思われるシーンがありながら後味の良さが際立っていましたが、本作品は詐取が成功するという後味の悪いものでした。
男が途中で、お金のことより故人のことを偲ぶべきだと正論を吐いたのは余計でした。全員が微動だにせず直立している中での演説は古臭い人情コメディのようであり、彼が会社の金を使い込んでいなかったり、同僚から借金をしていなかったのなら説得力はありますが、本当にその通りだったのですから、そりゃ当事者はお金のことを心配しますよ。当然でしょって。
一生他人になりすまして生きていくことができるのか、男が哀れでした。
ところで、南海キャンディーズの山ちゃんに似た俳優さんを見て、つくづく山ちゃんがモテない理由が分かりました。
満足度★★★★★
テーマ性があって分かり易く、
人類の愚かさ、因果応報を描いたファンタジー。
ネタバレBOX
前回公演と同じような演劇空間は、正直予想外で驚きました。しかし考えてみれば、前回の廃工場にしても鉄パイプが張り巡らされているようなタイプのものではなく、建屋から機械を撤去した四角い空間であり、そういう意味ではどこの劇場だって四角い空間、シアターコクーンでだってできますね。
さて、ビョードロとは細菌やウイルスを扱う森に棲む民のこと。二人のビョードロから作られたトゲトゲのある幼子が、開発依頼者の男の指示に従い、言われたところに出掛けて行くとその土地の人々は死に絶えます。そう、幼子は生物兵器でした。生物兵器が擬人化されたことで分かり易く、よりファンタジーになりました。
ウイルスが空気感染するように変化すると、男はビョードロにワクチン開発を依頼します。しかし、ワクチンを作るにはビョードロ二人の血清が必要なのですが、ビョードロの一人は男とビョードロの母親との間に生まれた子で、町に住みたいと言い出したことを忌み嫌った男に殺されていたこともあり、血清が完成することはありませんでした。
ウイルス感染を防ぐために、ビョードロが善意で人間の友達に防護マスクを渡したことが仇となり、これ以上の生物兵器を作ってはいけないとようやく悟った男が防護マスクを目印にビョードロと思って刺したところ、実は我が子だったという結末は、人類の普遍的悲劇であるとともに、古典的、因果応報的親子関係の悲劇でもありました。
幼子は最後、残ったビョードロによって栄養を断たれ衰弱死しました。とりあえず、人類の危機は避けられたのかもしれません。
トゲトゲのある衣装は、人間の身体に如何にも悪そうで意外と可愛いものでした。
満足度★★★★
捻りの効いた
牛髑髏タウンさんの短編に真面目に取り組んだという印象です。
ネタバレBOX
『ゴースト〜四畳半の幻〜』 民族が異なると、怖い対象も若干異なるのかもしれませんね。足が見えていても足が見えていないものと理解しようと決めたのに脚線美が美しいとはこれ如何に。男が残ってこれからも宜しくがオチでは何か弱いような気もします。
『がんばれ美香子「なにそのタイトルやめてよ」』 美香子の顔の表情がとても良くて、一人で勘違いしているところやドジなところが存分に伝わってきて楽しかったです。しかし、話が進んでいくと、小学生の時に好きな男の子が交通事故で亡くなったことがトラウマになって恋愛下手な今は女子大生になった美香子が友人に相談中に酔っ払って寝込み、転機となる夢を見たという話になりました。いい話ですが、伝わり切らなかったような気がします。
『それでも彼女を愛せますか?』 将来理想の彼女を製造するための壮大な科学実験。彼女を構成する人の名前が多くてごちゃごちゃになりました。ようやく好きだと思った彼女の本質の部分である彼女を見付けたはずなのに、その彼女がさりげなくイヤホンをしたのが意味深でした。
原作に忠実にしようとするあまり、全体に急ぎ過ぎで間が悪かったような気がしました。後ろの二本に絞って、少し自由にやっても良かったのかなと思います。
ところで、舞台背景で使われたgiris.さんのイラストですが、パソコンで見ると不思議な部屋の様子などが分かりますが、実物は舞台の背景画としてはそれほど大きくなく、良さが伝わって来なかったように思いました。
満足度★★
慟哭なんてなんだそれ
そんなん当たり前じゃん。
ネタバレBOX
劇団の演出家の脚本が映画化されるからといって、劇団の俳優が主役を取れるはずもありません。主役は旬の俳優がやるに決まっています。何を今更慟哭してるのでしょう。
大前提からしてズレていました。
妙な事故も、ライトを落とすのは洒落になっていません。殺人未遂です。
舞台装置のスイッチを入れたのも、テグスの先にパチンコ玉を結びつけたものが振り子の原理で上手くスイッチに当たるのかいささか疑問でした。
歌も、コーラス部分は良かったですが、ソロは聞けたものではありませんでした。ミュージカルにしない方が良かったと思いました。
満足度★★★★★
【若林えりさんの回】観劇
今回の公演は何々バージョンだとか煽っていましたが、純粋に面白い作品ではありました。
とは言っても、本来当然のことかもしれませんが、手抜きの多い中で衣装替えの多さが際立っていて、気合が入っていることが窺えました。
ネタバレBOX
『プルーフ/証明』のスラッシュはカタカナの「ノ」かと思わせるような、数学におけるある重要な証明は、天才数学者だった父ロバートではなく、最終的に娘のキャサリンが発見したと証明される話。
父親が残した103冊のノートの中に重要な証明が書かれていたのかと思っていましたが、実際はノート自体は同じ文房具屋さんから大量購入した同じ種類のものですが、父親のノートの特徴である日付を付した日記形式ではなく、その証明だけが書かれたもので、しかもキャサリンが管理していたということで、既に前さばきは済んでいました。
ただ彼女の筆跡だとしても、確かに口頭筆記ということも考えられます。また、精神的な病気には遺伝的要素もありますから、彼女の言葉を即座に受け入れられない周囲の人たちの反応にも仕方のない面はあります。
彼女自身も感情の起伏が激しかったりして、姉の心配もあると、父親のように精神を患うかもしれないと怖れるあまり、発見に執着したり無頓着になったり不安定になりましたが、証明の過程で1980年代のナウい考え方が使われていたことが証拠になり、彼女が発見したことがあっさり証明されてしまいました。紀元前のピタゴラスの定理を使っていなくて良かったです。もちろん使っていたかもしれませんが…。
スマートな証明というのは如何にもできる人の発言ですね。ラストで若い数学者ハルが、途中をスマートにするのを手伝おうかと提案し、キャサリンもそれに応じるような気配で二人は和解することができました。
休憩を入れて2時間40分、もっと揉めるのかと思っていましたが、意外とあっさり解決してしまったなという感じはありました。
満足度★★★★
無缶心
愛の反対は無関心みたいな。
ネタバレBOX
見つめてほしい、気にかけてほしい、探してほしい、コーヒー缶を手にして無缶心なのか、無関心は辛いものです。
一方、少年の場合は怪獣ですが、怪獣を飼うとか、飼い馴らすとか、星の王子さまみたいな話もあり、夫婦や家族、ペットなどと密接な関係になると、責任が重くなり、逃げ出す人もいます。
かくれんぼで探してもらえないといつしかビーナス像になってしまうような、お人形を使ったままごとの家族ごっこはできても本当の家族は作れないような、そんな微妙な距離感を感じさせる少し切ないストーリーでした。
スタート時の虹の彼方には素敵でした。
満足度★★★★
じわりじわりと
まさに蜘蛛の巣に引っ掛かった悪党でした。
ネタバレBOX
悪党を大きな罠にかけて、緩急をつけながら少しずつ追いつめていき、最後に思わず自白させてしまう話。
俳優さんたちの喋り方がちょっと平板っぽかったところが気になりましたが、全体として脚本の面白さが存分に伝わってきました。
原作がそうなっているかもしれませんが、最初に神父が毒入りの酒を飲んでしまって倒れるというシーンでは、夫が警察官を呼びに飛び出した後、女がさあ行ってと神父に指示を与えて二人が仲間であることを強調していましたが、夫が出て行った後に暗転させ神父を消した方が、夫と同様の驚きを観客も味わうことができて良かったのではないかと思いました。
満足度★★★★
究極の押し付け
3時間弱の長丁場ではありましたが比較的集中できました。
ネタバレBOX
過去の後悔をやり直すツアーということで、参加者一人ひとりの過去をやり直していったら時間と精神的苦痛で大変なことになると心配していましたが、とある脳死患者と臓器移植事件に絡んだ当事者や周辺者の話に収束していったため、今回はそれほど長くは感じませんでした。
実際にはやり直しではなく、幽霊となって過去に戻り、誤解していたことや自分の知らなかったことを見つめ直すことで、反省したり納得したりして心を穏やかにするのがツアーの目的でした。
複数の過去があり、複雑な話をまとめあげる能力は大したものだと思いましたが、心の安寧が大切なのか命が大切なのかの究極の選択、というよりも究極の押し付けによって結局は参加者全員が死んじゃったわけで、誰かの自分勝手な思い込みで殺人が許されるのかとも思いました。
死神のサービス付き職務執行と言ったところでしょうか。
満足度★★★★★
いずれまた観たい。
そして見比べたい、そんな作品です。
ネタバレBOX
淡々と、負のスパイラルに入り込んでしまった感じです。
高校生丸尾君も、警察官も、妻直子も、妻はお姉さんが憑依していたかもしれませんが、みんな美味しそうに麦茶や水を飲んでいました。そして、信夫の喉が渇いているときの水は美味しいに対して、直子があのときは喉が渇いていたのでしょうね的な切り返しは抜群でした。
女子高生七瀬の妊娠騒動に対して、別の劇団で観たときはもう少し絡んでいたように感じましたが、信夫は言いがかりを付けられただけの印象でした。
姉佐和子の失踪は、第三者の証言があるので元恋人の悟に連れ去られたり殺されたりしたわけではなく、やはり自殺した可能性が高いと思われますが、信夫との会話からお父さんが海で死んだ原因が自分が溺れかけたことにあったことに気付くというか、封印してあった記憶を思い出してしまったからなのでしょうか。
いずれにしても、九州の男で括るのも大雑把過ぎますが、面倒臭がりの信夫や妹の夫幸一に対して、これから平岡家を取り仕切るのは私よとばかりの直子の態度の変化に九州の女の強さを感じました。
満足度★★★★★
うるうる
ベートーベンのピアノソナタ「悲愴」第二楽章が全体の切ない雰囲気にピッタリでした。
ネタバレBOX
家族旅行で鉄道事故に遭い、一人生き残った少女が大人になり見た妄想。
『異人たちとの夏』のような雰囲気があり、子供の目から見た家族構成には本当に懐かしいものがあります。彼女の場合は競馬にうつつを抜かすがさつな父親を中心とした家族なのですが、お母さん、お兄ちゃん、妹、みんな幸せそうで、その場を離れるとき、もう会えないかもしれないと思うと切なくて何度もウルウルさせられました。
あの頃の家族に会いたいと思う気持ちから生じた妄想がメインですが、親友の運転する車に彼女が乗っていたときに、親友の恋人から彼女のストーカーへと変貌した男が運転する車が追突し、親友とストーカーが亡くなった事故があり、その親友に会いたいと思う気持ちから生じた妄想が加わり、そこに主治医と称する人物が登場してきて、全ては彼女の妄想の世界だと言い出したため、何が現実で、何が妄想か分からなくなりました。
もう気持ち良く頭が痺れました。
お兄ちゃんの活躍で主治医が交通事故で死んだストーカーだと判明し、会いたい気持ちから生じた温かい妄想に、会いたくない人がおまけとして入り込んで撹乱させていたことが分かりました。
鉄道事故の後親戚の家に預けられ、働き出してからお金を貯めて大学に入った32歳の大学生が彼女の真実の姿です。大学の友人たちやお兄ちゃんの同級生だったアラフォーの女性などは現実の人でした。葛飾育ちのサファイア星人も現実の人、ふー、良かった。
満足度★★★★
蛇足
恐怖の元はもう始まっている、まさに恐怖です。
ネタバレBOX
アフタートークで、作演の古城十忍さんから観客には一時間ぐらい経ってから放射能の恐怖の話だと気付かせたいと思って作ったとの話がありましたが、それならば、チラシの防御服は如何がなものかと思いました。完全なネタバレです。以前、別の劇団で同じようにチラシでネタバレになっていたものがありましたが、まさにこれもそうでした。
福島原発2号機で事故処理作業に従事している下請会社の作業員の話。年間20単位、5年間で100単位まで許容されている作業員が100単位前後で白血病などの原因でどんどん死んでいくという展開から今の話ではないことが分かります。あと数年後に現実に起こるかもしれないという近未来のストーリーですが、その原因は2011年から始まっているわけです。
ところで、何作品か見慣れてしまったこともあり、主役がいつも同じ俳優さんなところとか、劇団の特徴であるスローモーションとストップモーションのパフォーマンスが鼻につくようになってしまいました。
誰かがやらなければならない事故処理作業とそれに絡む問題に真摯に向き合っていて本当に申し訳ない気持ちでいっぱいなのですが、ワンパターンからの脱却も考えてほしいと思いました。
満足度★★★★★
バカバカしくて面白い!
とにかく理屈抜きで楽しめました。
ネタバレBOX
宮沢賢治が自分の生徒のために書いた一時間の戯曲、バナナン大将のお菓子の勲章を飢えた兵卒たちが食べてしまう話。
階級差別のこととか、寝ている大将から盗むのは卑怯とばかり、特務曹長が一応見せてもらうという口実で受け取って部下に手渡す手順をとることとか、その後曹長は責任をとって自決しようするところを大将も事の本質を理解し許すとか、さらには大将が自ら考案した農作業の生産向上に繋がるであろう生産体操を教えるとか、考えれば色々意味はあるのでしょうが、そんなことは置いておいて、とにかく両肩にバナナの房の肩章を載せ、胸には源氏パイなどのお菓子の勲章をたくさんつけた大将の姿には笑ってしまいます。
決して満腹にはなっていないであろう兵卒にとっていきなりの体操は迷惑だろうし、観ているこちらもいきなりで驚きましたが、元々は『生産体操』という題名でスタートしたものなんですね。
ところで、回り舞台の装置が無くても回り舞台ができることを知りました。カタカタカタカタと鳴る楽器に合わせて一人がグイッと舞台を持ち上げる仕草をし、全員で少しずつ回って舞台を半回転、良かったです。
満足度★★★★★
夢を持って入隊
新兵訓練生活が生き生きと描かれていました。
ネタバレBOX
ユジーンの新兵訓練体験記。彼が入隊に当たって立てた目標は、童貞を捨てること、恋をすること、将来作家になること、戦争で生き抜くことでした。日本と比べると何か違います、明るい。
男だけの写真のチラシを見ていたので、女優さんが二人も登場したことに感激してしまいました。彼にとって永遠に忘れられない過去の大切な女性となりました。
理不尽さも腕立て伏せであればまだマシですね。仲間の言葉から分かった理不尽さをやり過ごす気持ちの持ちようは、確か相手に対する尊敬と同情とのことでした。同情、そうかもしれません。
軍と売春の問題はやはりここでもつきまとっていました。
ラスト、最後まで訓練を終えた仲間のその後のことですが、戦闘で活躍した者、負傷した者、戦場で行方不明になった者、鬱になった者がいて、それぞれに感情移入したので、こういうことを聞くとジーンと来てしまいます。
彼自身はというと、訓練中に二つの夢を叶え、訓練後はすぐに交通事故に遭ったため戦場には行かず、文才を活かして軍の新聞の記事を書き、さらに作家になるための才能に磨きをかけたのでした。目標は全て達成出来ましたとさ。
満足度★★★★
【男チーム】観劇
観る度に新しい発見があればいいと思っています。
ネタバレBOX
二人がタブレット端末やスマホを手にしているのが目新しく、ラッキーのかぶっていた帽子が知恵の帽子みたいなところが面白かったです。
私の勝手な思い込みかもしれませんが、どちらかから来てどちらかへ向かう一本道があって、その道には方向性があり、無限の彼方で道の両側が一点に収束する無限遠点になっていて、夜になるとどこか道から離れた近くで寝て、日中は道の脇に生えている木の内側辺りでうろうろしているという印象があります。
そういう意味では、二人が下手から出て下手に下がるのは分かるのですが、そして、ゴドーは今日は来れないが明日は来ると伝える使者が一度目は下手から、二度目は上手から現れたのはとても興味深かったのですが、それでも舞台は広場のようにしか見えず、方向性を持った長い道という雰囲気は伝わってきませんでした。
それにしても、人間へたりこんで横になると、立たせるのが大変なんですね。よくもまあ人間は二足歩行をするようになったもんだと感心するとともに、立っていることは生きている証だと痛感しました。