小栗剛(キコ/qui-co.)の観てきた!クチコミ一覧

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組曲「空想」

組曲「空想」

空想組曲

OFF OFFシアター(東京都)

2010/06/16 (水) ~ 2010/06/22 (火)公演終了

すばらしさとすばらしくなさ
空想組曲、初見でした。やっと観れた。とある会議でご自分を「ファンタジスタ」と仰っていたほさかさん。現代において幻想を看板に掲げることの愚かさに心撃たれ、是非とも拝見したかったのです。なんとも嬉しい作品群だった。

ネタバレBOX

構成の妙。言葉のセレクト。アクトの大胆さ。ひさびさに観る中田顕史郎の芝居。熱量。こいけけいこの足。
うん。
いいスポーツを観たような、プレーについて(プレイについて)語りたくなるような素晴らしいゲームだった。
そこはかとなく素晴らしくない部分が見え隠れするのがさらに良い。
それはおそらく繊細な感性が悲鳴をあげているような一瞬。
この瞬間を見に、次回も是非うかがいたい。
青

reset-N

ザ・スズナリ(東京都)

2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了

フカイブルー
終始鳥肌が立ちっぱなし。ボッ立ちであった。
碧い色にズンズンとシンクできて最高だった。
あらためて惚れた。キャストも最高。「体の半分をもってかれちゃうような」体験ができるのは演劇だけなんだよなあ、とかそんなことを考えた。

幸せの歌をうたう犬ども【ご来場ありがとうございました!】

幸せの歌をうたう犬ども【ご来場ありがとうございました!】

DULL-COLORED POP

タイニイアリス(東京都)

2010/02/02 (火) ~ 2010/02/04 (木)公演終了

クソガキ
みんなに怒られる谷氏が好きだ。
叱られたくて作ってんじゃないかって気がした。
クソガキ丸出しの前説といい、俺が父親だったらゲンコツでぶん殴ってる、である。
親父のゲンコツまで含めての企画なんだろうな、と思った。

ネタバレBOX

谷氏がニルヴァーナのTシャツ着て少林寺拳法をレクチャーする時点で相当ムカついた。そのTシャツが。脱げよって思った。
みんな勢いのある役者たちだったが、もっと若くてもよかったと思う。気持ちがね。
俺は小5が好みだが、中1くらいのバカさ加減だったと思う。
中学あがってるんだけど、出来のいい中学なんだわ。
なので、そう思うとなおさらその、中1が着そうなニルヴァーナのTシャツがムカついて思い出される。

いつもより性格の悪さと良さが極端に出た作品だと思う。
またやってくれ。
もしくはシリーズ化してアリスで月イチでいろんな作家がやればいいんだよ。
客席に企画自体を楽しむ空気、内輪感がもっともっと多いと、面白い企画に成長する気がする。


LOVE

LOVE

ロロ

王子小劇場(東京都)

2010/01/01 (金) ~ 2010/01/04 (月)公演終了

ひかりつづけるちから
動機のなさが心地よく不気味。
省略しているのか、はたまたそんなもの始めから無いのか。行動原理のユニークが際立った。
とても「明るい」舞台だと思う。光を光として表現する屈託の無さが最高に魅力的。
テクニカルの部分で修正すべき点はあったかもしれないが、アイデアから実現までのタイムスパンの速さ(つまり発想の新鮮さ)が素晴らしいので、見る側の度量に問いたい。そのへんは気にするほうがヤボだぜ、と。
 
役者は個々としてより板の上のカタマリとして、迸るものがあった。もっともっとよくなるのは確実。次回も楽しみ。

午后は、すっかり雪

午后は、すっかり雪

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/13 (日)公演終了

隣人の指
「ほぼ全て」の人の指に触れることは無い。
触れる指はかすかな人数なのだ。そしてその全部の指に触れる人数となると、絶望的に少ない。
吉田小夏の描く昭和の夫婦その情景を通し、あらためてその触れられる人数の少なさを思った。
あえぐような感情を覚えたのは、その寂しさと、尊さがないまぜになったからだろう。ざわついた。

記憶は、過去としてパッケージされることで美化の工程を踏むことがしばしばだ。まるで夢のように、ささやかではかない。
ただし、鮮明に思い出すことで、嵐のような浄化が起こる事もある。
 
感性に響くハイクオリティの会話劇。しかと堪能せよ。

リフラブレイン

リフラブレイン

MCR

駅前劇場(東京都)

2009/10/29 (木) ~ 2009/11/03 (火)公演終了

満足度★★★★★

自殺した友人にみせたい
冗談抜きでみせたい。
本気でみせたい。

死人でも笑えると思う。
笑ったら元気になるよ。死人でも。

地獄で観るならMCR。
思いっきりファンになりました。長渕に対する清原みたいな感情です。

ペンパル狂時代

ペンパル狂時代

B-amiru

OFF OFFシアター(東京都)

2009/10/20 (火) ~ 2009/10/25 (日)公演終了

無意識のエロス
かぶりつきで観劇。
まず、タイトルが素晴らしい。無粋なことだが、いまどき「ペンパル」なんて単語をタイトルに持ってくるところは、とても憎い。
背中で笑う、というか。少数派に向けて撃たれるネタの散りばめ方が、相変わらず良すぎる。
僕の隣の人はツボにはまって一人でもだえていた。
「自分しか笑っていない」ということを恍惚に楽しめるのは、幸福な時間がそこにあったということだ。

岩島さん不在で、かえって浮き彫りになった魅力があり。これからのアミルさんの可能性を示唆していたようにも思う。

ネタバレBOX

オムニバスの繋がり方がサラサラしていて、ナイス。
ここいらの洒脱感がイチキさんのうまいところだ。
ラストの「ペンパル教」が秀逸。
ひさしぶりに宮本奈津美のヤバさを喰らう。なんなのかしら、この娘は。恐ろしい娘。

おそらく、まったく意図していないだろうが、それぞれの役者の魅力が引き出された(もしくは解き放たれた)結果、清々しいエロスが漂っていたように思う。
つまりはいい女といい男が凛としてそこにいた、ということだ。
『ヘアカットさん』 / 『朝焼けサンセット(朝公演:朝食付き)』

『ヘアカットさん』 / 『朝焼けサンセット(朝公演:朝食付き)』

岡崎藝術座

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/10/16 (金) ~ 2009/10/25 (日)公演終了

満足度★★★★

変であることの尊さ
「面白かった」と断言してしまうことにリスクを感じる。
知った風なクチを聞くな、と言われてしまいそうで気がはばかる。
だが、あえて断言してしまう。
面白かった。
星つけるのはやめようと思っていたが、いくらなんでも平均星が低いのがカチンときたので高い星をつける。これじゃまるで不評みたいじゃないか。不評は正当な評価ではないと思う。

ネタバレBOX

作り手の苦悩が感じられてしまった。それがなければより渇いていて、もっともっと鋭利な孤独が描けたのではないかと思う。
神里さんは強い人だ。彼の表情がもっと見たい。
悪趣味

悪趣味

柿喰う客

シアタートラム(東京都)

2009/09/04 (金) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

悪い趣味だ
ツボったのはゾンビの村長。
セリフと関係のないところで脳みそを齧る描写がなんとも愛おしい。
ほくろの位置が変わるなどの伏線を放り投げる痛快さといい、柿の、中屋敷くんんのパンク・ロック感は、80年代中期におけるブルーハーツに通ずる。

一瞬、「誰にでもできる」と錯覚させてくれる。
ここがすごくパンクなのだ。
 
現代アートのヒトツの課題である
「インタラクティヴ性」
を存分に楽しんだのだが。アフタートークを聞くと真逆のことを言っていた。
うーん。
楽しい。これからも柿について悩みたい。

片想い撲滅倶楽部(公演終了・ありがとうございました・御感想お待ちしています)

片想い撲滅倶楽部(公演終了・ありがとうございました・御感想お待ちしています)

MU

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/09/10 (木) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

相対性理論
客席に着くと、客入れのBGMとして相対性理論が流れていた。
僕は初見の劇団の場合、判断の材料として客入れの曲から、観る。
2009年9月13日、公演タイトルは「片思い撲滅倶楽部」。
このチョイスに、にやける。

ハセガワアユムさんは僕と同年代(同い年?)
90年代を共に過ごした年代。
ぼくらの世代だ。90年代、ユースカルチャーのユーザーの中心だったぼくらは、全ての価値観を食い尽くして形骸化してしまったイナゴだ。
あの時代の死骸を、犯人である僕達は愛している。
この時代を表す言葉は一言でいい。
「虚無感」
僕達はこのネガティヴを心から楽しんでいた。
これをソリッドに描くのがoi-scaleの林灰二君で、
ウェットに描くのが僕だ。
ハセガワアユムがどう描くのか、期待が高まった。

ネタバレBOX

劇中に使われる楽曲は小島麻由美。耀ける90's!

セリフの随所に散りばめられたエスプリとアイロニー。
ストーリー上のペリペティアに関して少し不満はあったが、インタラクティヴに楽しめる作品だった。

と、このように無駄にカタカナを使いたくなるのも90'sキッズの気分だからなのだ。そんな気分にさせてくれた。

ラストシーンでの赤い糸が可視化される部分は、ティム・バートンを彷彿とさせた。

印象的だった役者は、佐々木なふみ。
ともすればキャラ芝居に陥りそうな役なのに、しっかりとブルーズを注入していた。注入というか、にじみでるものなのかもしれないが。とても魅力的だった。
堀川炎さんも好きな役者さんなので期待していたが、こちらはアンマッチな印象。まあ、これはファン的な、マニアアックな意見ではあるが。
マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人

マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人

DULL-COLORED POP

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/08/14 (金) ~ 2009/08/17 (月)公演終了

満足度★★★★★

東京
ラストシーン。

近年まれに見る美しさだった。

これほどに言葉が乱反射し、サイケデリックと言ってもいいほどプリズムとヘドロを織り成すスクリプトなのに、最後の最後で黙った。
言葉を持つ人間が黙ると、こういうことが起こるんだな。

日蝕を見た気分だよ。

ネタバレBOX

企画自体、狂気の沙汰だし。
バカだなー。と思っていた。
谷氏はバカではない。キチガイだ。御前試合に全裸で赴く阿呆だ。

この作品は中世の再現でも現代の隠喩でもない。
ただの物語だ。

パリだとかそういうものを無下にして、世界をナタで真っ二つに断ったようなラストシーンは、谷氏の原風景のひとつであろう、東京を映していた。

こうも鮮やかに原風景を見せ付けられると嫉妬の念にかられる。
これが物語というものだ。
花とアスファルト

花とアスファルト

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2009/08/01 (土) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★

森はどこにある
種のものがたりなんだろう。
物語が進むにしたがって、なんだかクマに妙に肩入れしてしまい、涙が出てきた。
さみしかったガキの頃のこと思い出しちゃった。

この作品は道祖神のよう。
やさしい顔で笑っているけど、土地のかなしみを吸い込みすぎて、少し顔が欠けている。

ネタバレBOX

くまがピクニックで彼女の足だけをスケッチする(けどうまくかけない)シーン。
それがチラシの写真とリンクするところ。
くまが描こうとしていたのは、彼女が少女だった頃の足だった。
と、いうところでシビれた。くま、かっこいいじゃねえか、と。

最後の別れで、何の逆転もなかったさみしさ。
くまが最後の挨拶でたべもののことばかりお礼を言うところ。
ほんとにさみしくなっちゃったよ。

彼が帰った森は、
自分の幼少期における傷をたくさん閉じ込めている、記憶の森なんだろう。
彼には、ゆっくりと、ゆっくりと死んで欲しい。

とここまで書いて思ったが、ほんと感情移入して観てたんだな。
丁寧な作風とはりつめんばかりの繊細さがそうさせたんだろう。
だからこそ、もっと傷つけてほしかったかも。
心臓をつかんだのなら、そのまま握りつぶしてくれたらよかった。
グッバイ・マイ・ダーリン

グッバイ・マイ・ダーリン

世田谷シルク

小劇場 楽園(東京都)

2009/08/06 (木) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★


汚れた下着のような作品だと思う。
この汚れこそが愛おしい。
洗いたくないし、もうしばらくにおいをかいでいたい。

女っちゅうのは可愛いな。としみじみ思ったのでした。

ネタバレBOX

この世田谷シルクの世界で、最も重要な存在は堀越涼さんなんじゃないかな。
おそらく。
堀川炎さんの感性に内在する「禍々しさ」を一手に引き受けていたと思う。
日常に、透明に存在する魔物。
彼が出てくると、心地よいストレスを感じた。例えば、サイコホラーで感じるような、生理に響くひんやり具合。
この要素が世田谷シルクの特異性の正体なんじゃないだろうか。
彼はそういったものを可視化できる稀有な役者だ。

そして、キャサリンが可愛すぎた。普通に惚れた。
カタコトがうますぎる。あんなにうまいカタコトはみたことがない。
なるほど、ある意味、すごくフェティッシュな作品なんだな。
愛おしいわけだ。

そしてトミ。おつかれさま!すっごく君の良さがでていたよ。
眠るために目醒める

眠るために目醒める

reset-N

王子小劇場(東京都)

2009/06/25 (木) ~ 2009/06/30 (火)公演終了

満足度★★★★★

ラブレス
初のReset-N観劇。
特筆すべきは、やはり「透明感」。
これに尽きる。

おそらく、Reset-Nの作品には愛がない。
まったくない。
それは恐怖だし、そんな舞台を作っている人たちはモンスターだ。
愛がないということが最大の魅力だった。
つまり、感情の論理からは逸脱した作品だった。
感情に毒されていないから、ずっと遠くまで透明な感じがするのだと思う。
なんとも観念的なものいいしかできず、はがゆい。
とにかく。

とても可能性に満ちた作品だったと思う。面白い!!!!

ネタバレBOX

台本を燃やす演出が最高にゾクゾクした。
 
あれ、役者にとっては聖書だもん。コーランだもん。

あと、ドイツ軍の捕虜の「エアー女の子」のepが好きだった。内容も、落としどころも。役者の声もよかった。
ヴェニスの商人 ~逆襲のシャイロック~

ヴェニスの商人 ~逆襲のシャイロック~

あなざーわーくす

遊空間がざびぃ(東京都)

2009/04/16 (木) ~ 2009/04/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

極致
いまさらですが、さっきこりっち登録したばかりなので。今書きます。

子供の頃に観たデパートの屋上のショウのような、奔放な時間。
ぬいぐるみに恐怖したノスタルジーを背中に感じつつ、あっと言う間の終演。

ただひたすらに、「楽しい」。
楽しいってことはこんなに簡単なのかと勘違いするくらい。いやいや違う。
ここにある高度なスキルと精神に感服!本当にすごい!
ある意味理想が完全に実現されている、その空間で呼吸できたことは幸福だった。
うん。幸福とはこういうことを言う。
なんて事を考えていたら帰り道にそういう宗教団体の建物があって、入りかけた。あぶなかった。
罪だぜ。あなざーわーくす。

「リサイクルショップ『KOBITO』」

「リサイクルショップ『KOBITO』」

ハイバイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/06/05 (金) ~ 2009/06/16 (火)公演終了

満足度★★★★★

楽しい
演劇の楽しさを存分に味わいました。

ネタバレBOX

ラストの尾崎豊の選曲がマニアックで、すっごい生々しい。
生活に穢れた世界は、かくも悲しく、美しい。
ディスコミュニケーションの原理がこんなにも愛しいものだったなんて。
この滑稽さ。たまらない。

ルー・リードの唄にあるような、疲弊感と焦燥感が織り交ざったカオスが心地いい。ベルベッツの3rdみたいな印象。
終演後、外は豪雨と雷。
出来すぎだ。
アゴラのにおい、雨のにおい、ハイバイのにほい。
すべてが本当に心地よかった。

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