johnnyの観てきた!クチコミ一覧

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浮標(ブイ)

浮標(ブイ)

葛河思潮社

吉祥寺シアター(東京都)

2011/02/01 (火) ~ 2011/02/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

評判に違わぬ良作。
演出の長塚が掲げている、戦中に書かれた戯曲を現代の作品として舞台に立ち上げるというテーマは、概ね達成できていると思いました。各役者が演じる対象を自身に引き付けて創り込んでいるなど、俳優・スタッフが一丸となって良い公演にしようという意気込みが伝わってきています。田中哲司の演技に物足りなさを感じるところはありますが、あまり高いレベルを求めすぎるのはそれこそないものねだりになってしまうのかと・・・。

金閣寺 The Temple of the Golden Pavilion

金閣寺 The Temple of the Golden Pavilion

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2011/01/29 (土) ~ 2011/02/14 (月)公演終了

満足度

これなら小説を読むので充分でしょう
率直に言って観ているのが辛かった。小説のあらすじを分かりやすく説明することを目的とするような演出のため、舞台上で役者のパフォーマンスが死んでしまっているような印象を受けました。横浜まで出かけてよかったことといえば、新設の神奈川芸術劇場を体験できたことと、柏木を演じた高岡蒼甫の芝居が良かったことぐらいです。

国民傘

国民傘

森崎事務所M&Oplays

ザ・スズナリ(東京都)

2011/01/21 (金) ~ 2011/02/13 (日)公演終了

満足度★★★★

霧がかかったような幻想的な物語
の中に、「戦争」に至る道は「日常」と地続きであるという岩松氏のモチーフがくっきりと浮かび上がっていました。

ネタバレBOX

・ひとつのストーリーの中に、別のストーリー世界がフィクショ ンとして登場するという不条理を用いた手法
・特定の国や時代を感じさせない場面設定
・背景にその影響を強く感じさせるものの、具体的には語られることがない戦争の描写
・随所に流れるチェロの生演奏
これらの要素が合わさって、全編に薄いヴェールがかけられたような、幻想的かつ虚構度の高い作品に仕上がっていました。
あと、車椅子の骸骨女も良かった! ぱっくり口を開けた黄泉の世界が垣間見えたような気がしました。
美しきものの伝説

美しきものの伝説

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2010/12/16 (木) ~ 2010/12/26 (日)公演終了

満足度★★★

ネクスト・シアターの俳優、まだまだ!
よく健闘しているとは思いますが、プロの役者への道はまだまだ遠いと思いました。全体的に演技が軽く、真実味が少し欠けていたように思います。ゴールド・シアターの老優の演技と比べると明白です。蜷川氏の演出だからこそ、それなりの作品になった面がかなり大きいのではないでしょうか。蜷川氏の挑戦は、とくと結果を見てみたいです。トラックバックの欄にURLが載っているわたしの個人ブログに長文のレビューを書いてみたので、よければそちらをご覧ください。

トナカイを数えたら眠れない

トナカイを数えたら眠れない

MONO

座・高円寺1(東京都)

2010/11/27 (土) ~ 2010/12/05 (日)公演終了

満足度★★★★

笑いの職人芸+人間関係の悲哀
いつも通り、ギャグとシリアスの中間を縫うような絶妙の笑いを提供してくれました。クリスマスケーキを巡るやり取りは最高! 加えて今回は、ボート部OB男子たちのねちっこい心模様を赤裸々に綴っていて良いです。
姉妹の不仲の語りが尻切れとんぼな点やトランプ遊びが嘘っぽいといった指摘は、まあ客観的には当たっているなと思います。私は学生演劇で最初に取り組んだのが土田氏の脚本だから、MONOの芝居には好き嫌いを超えた愛着があるのです。

ベルリン・ドイツ座『野がも』

ベルリン・ドイツ座『野がも』

特定非営利活動法人舞台21

あうるすぽっと(東京都)

2010/11/26 (金) ~ 2010/11/27 (土)公演終了

満足度★★★★★

高水準の、美しい舞台
ドイツ演劇の伝統を担う主要劇場のひとつ、ベルリン・ドイツ座の公演。俳優陣の、言葉を際立たせる技術の高さ、演技のバリエーションの広さに圧倒されました。そして、タールハイマー演出が斬新。斜めに切断された巨大な円筒形の回転装置の上で演技する俳優の姿が、見事に戯曲の世界からエッセンスを抜き出していました。ダメ出しするところが見当たらない、レベルの高い舞台。

地点『ーところでアルトーさん、』

地点『ーところでアルトーさん、』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/11/19 (金) ~ 2010/11/23 (火)公演終了

満足度

台詞がまったく入ってこなかった。
地点、初の観劇。Corich! メンバーの観劇レビューはいずれも高評価ですが、わたしは観ていること自体がとてもしんどかった。何しろ台詞が全く耳に入ってこない。通常の日本語の文節やイントネーションからあれほどずらした発話という手法そのものに、根本から疑問を抱いた次第です。「音楽的」と言われれば確かに、そういうふうに見て取れないこともないとは思いますが。そもそも大事なのは、あえて俳優に特異な発話をさせることによって、テキストを舞台上に浮かび上がらせることができるかどうかだと思います。少なくても今回の舞台については、アルトーのテキストは私の耳を文字通り左から右へ駆け抜けていきました。

ロドリゴ・ガルシア『ヴァーサス』

ロドリゴ・ガルシア『ヴァーサス』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)

2010/11/20 (土) ~ 2010/11/24 (水)公演終了

満足度★★★

「過剰」ではなかったなあ。
暴力を振るったり、食べ物を撒き散らすといった扱いが難しいイメージを、芸術作品としてきちんと成立させる演出の手腕は高いと思いました。一方、これらのイメージそのものは決して「過剰」と言えないのが、現代の日本。「資本主義病」が世界で最も進行している国に、わたしたちは住んでいるのかもしれないですね・・・。

クリストフ・マルターラー『巨大なるブッツバッハ村ーある永遠のコロニー

クリストフ・マルターラー『巨大なるブッツバッハ村ーある永遠のコロニー

フェスティバル/トーキョー実行委員会

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2010/11/19 (金) ~ 2010/11/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

「それでも生きろ」―途切れないメッセージ
グローバリゼーションの荒波に揉まれ、長年守ってきた大事な何かを失った住民。寂寞とした舞台にただ立ち尽くし、あるいは唄う俳優の姿が、ただ美しかったです。舞台を彩る、静寂と、空虚と、ユーモアと、そして美しい歌声。全ては、「とりあえず生きろ」という、力強くはないが繊細で決して途切れないメッセージだと感じました。

ノルウェー国立劇場『人民の敵』

ノルウェー国立劇場『人民の敵』

特定非営利活動法人舞台21

あうるすぽっと(東京都)

2010/11/17 (水) ~ 2010/11/18 (木)公演終了

満足度★★★★

何もない素舞台で俳優が躍動
全く何もない裸舞台でイプセンの物語を立ち上げる、俳優陣の地力は圧巻。ナチュラルな芝居というよりも、演出によりある種コミカルでカリカチュアされた表現が取り入れられ、それがこの芝居のカラーを打ち立てています。
この戯曲におけるストックマン博士の正義感をどう受け止めるかについては一通りでないと思いますが、今回の芝居では博士に立ち振る舞いにややヒロイズムを浴びせるような演出だったかなと感じました。

The Blue Dragon - ブルードラゴン

The Blue Dragon - ブルードラゴン

東京芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2010/11/11 (木) ~ 2010/11/14 (日)公演終了

満足度★★

A席にしておいて良かった・・・
すでに観た方のレビューが出揃っている感ありで、私も一言で言えば残念な公演でした。場面転換やイメージシーンの挿入で芝居が思いっきりぶつ切りになっていましたが、ルパージュ氏は役者の演技についての演出をどう考えていらっしゃるのか・・・。勝手な印象ですが、この脚本にルパージュ演出なら、それこそ渋谷のミニシアターで上演するような映画にした方が向いていた気がします。予約の際、S席かA席か迷ったんですが、A席にしておいて良かった・・・。間近で観ても特にメリットなさそうでしたので。

五反田団『迷子になるわ』

五反田団『迷子になるわ』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/11/05 (金) ~ 2010/11/14 (日)公演終了

満足度★★

好みではありませんでした
WEB上のレビューでは絶賛に近い公演ですが、私には不満が募る公演でした。単純に、好き嫌いの問題ですが。
おそらくいつもそうなんでしょうが、五反田団の舞台の俳優のあの脱力した、べったりしたしゃべりと振る舞いが、個人的には好きになれないです。虚構の世界を立ち上げるには、表現の「飛躍」が必要なんだと自分は考えますが、あまりにのっぺりした日常に寄り過ぎていたような気がします。また、芝居を構成する各々のストーリーがそれこそ迷子になってしまっていて、芝居にまとまりがなかったように感じました。まあ、これも前田氏があえてそうしたのでしょうし、私の感度が悪かっただけかもしれません・・・。

ネタバレBOX

伊東沙保さんが「東京」をてくてく歩く様子は気持ちが良かったです。あと、「東京タワー」も。
ジゼル・ヴィエンヌ『こうしておまえは消え去る』

ジゼル・ヴィエンヌ『こうしておまえは消え去る』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)

2010/10/30 (土) ~ 2010/11/03 (水)公演終了

満足度★★★★

精緻な宗教画を鑑賞しているようでした
舞台の造形があまりに美しく完璧で、かつ人の心象風景を描いているから、観ているといつのまにか舞台上に心が吸い込まれていくような不思議な感覚を覚えました。

かもめ

かもめ

MODE

あうるすぽっと(東京都)

2010/10/27 (水) ~ 2010/10/31 (日)公演終了

満足度★★★★

役者の登場と退場時に使われた音楽が素敵
原作に忠実に舞台化。さすがMODEの舞台の俳優陣、物語が持つ奥行きと強度が滲み出る芝居を作り上げました。
MODEの芝居は劇中音楽のチョイスと使い方がいつも秀逸です。今回は幕明けと幕切れ、役者が舞台上を横一列になりそれぞれゆっくり登場・退場する場面で、“The Reggae Philharmonic Orchestra”(レゲエ・フィルハーモニック・オーケストラ)の“Sharpeville”という曲を使用。シックで物悲しい弦楽器の旋律が心を揺さぶります。

おそるべき親たち

おそるべき親たち

TPT

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2010/10/21 (木) ~ 2010/11/03 (水)公演終了

満足度★★★★

一流の俳優の演技をしっかり堪能
5人の俳優が感情の振れ幅が大きい、創造性豊かな演技を見せます。特に佐藤オリエと中嶋朋子が秀逸。初舞台の満島真之介はやはり力不足。これから精進してほしいと思います。演出もウィットに富んでいて楽しくて良い。誰かを愛するとはどういうことか、そして家族とは・・・。人と人が交わって生きることの意味を考えさせられる舞台だと思います。

令嬢ジュリー

令嬢ジュリー

SPAC・静岡県舞台芸術センター

静岡芸術劇場(静岡県)

2010/10/02 (土) ~ 2010/10/10 (日)公演終了

満足度★★

うーん、芝居は不完全燃焼の出来でした
確かに舞台美術は圧巻の美しさでした。しかし肝心の芝居が・・・わずか3人だけの会話劇ですが、その会話が舞台上で成立していなかった。演出の制約が強すぎて、何だか役者さんがひどく窮屈そうな印象を受けたのです。

ヘッダ・ガーブレル

ヘッダ・ガーブレル

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2010/09/17 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★

いまいち掴めなかったヘッダという女性
芝居そのものについては、可もなく不可もなくいった印象。落ち着いて観られる舞台ではあったと思います。

ネタバレBOX

分からなかったのが、ヘッダという女性の造形。
素直に芝居を観る限りではこういう感想でした。すなわち、将軍の娘であるというプライドだけは大事にしながらも、自分のプライドを保つための努力は何もしなかった。そして時代の波に飲み込まれ、決して満足とは言えない結婚を選択せざるをえなくなる。そんな自分に嫌気が差していた頃に過去に好意を寄せていた男性に寄り添って生きる女性を間近に見て嫉妬心にかられて絶望し、発作的に自殺する・・・、とても弱い女性なんだなと。ところが公演チラシでは「強く、気高く、信じる生き方を求めて、人生を駆け抜けた女性―ヘッダ・ガーブレル」と謳っているし、演出家の宮田氏もホームページに掲載の公演概要ではヘッダの選択を「変わりゆく時代そのものに、敢然とNO!を突きつけた、個の尊厳に立った、更なる“新しい女”の生き様」と、とても肯定的です。うーん、この隔たりは大きいな。
ハーパー・リーガン

ハーパー・リーガン

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2010/09/04 (土) ~ 2010/09/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

奇跡の出来栄え
終演後、圧巻の出来にしばらく席から立てませんでした。これまでのところ今年のNO.1舞台候補です。外国の戯曲ですが、これほど現代社会とそこに生きる人を描き切った作品はそうお目にかかれないのではないでしょうか。チラシ表面などに掲載のキャッチコピーが素敵。そう、考えるべきはやはり、「私の人生」なんだよなと。魂が震える芝居でした。

砂と兵隊/Sables & Soldats

砂と兵隊/Sables & Soldats

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/09/16 (木) ~ 2010/10/06 (水)公演終了

満足度★★★

終わりなき行軍と、そして人生という旅
平田氏の作品の中ではフィクション性がとりわけ強いと思われる作品。

ネタバレBOX

ほとんど実際に存在しそうもない登場人物ばかりが繰り広げるドタバタなやり取りからいつしか、「敵の兵隊」の手で1人が殺されたあたりからいよいよ、不条理観全開の舞台に。終わりが見えない徒労感を抱えた一行に、閉塞感漂う日本と日本人の行く末を照らし合わせながら観ました。
「オイディプス王」「タイタス・アンドロニカス」

「オイディプス王」「タイタス・アンドロニカス」

劇団山の手事情社

アサヒ・アートスクエア(東京都)

2010/09/02 (木) ~ 2010/09/12 (日)公演終了

満足度★★★

練り上げた独自の「型」を用いてシェイクスピアを表現
公演パンフレットで劇評家・扇田昭彦氏が述べているように、この劇団独自の「四畳半スタイル」とこの戯曲の「『外部』の視点を欠いた報復行為の閉鎖性」の相性がよく、今回の作品は高いクオリティのものだったとは思いました。ただ多分に個人的な好みを交えた感想としては、独自の型で芝居創りをすることだけで舞台が完結してしまっていて、客席の観客との間に溝があったのでは? という思いが残りました。何というか、日本の古典芸能を観にいったときの受け止め方に近いものがあります。まあ、本当にこれは個人的な好みですが。

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