れいの観てきた!クチコミ一覧

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毒婦二景「定や、定」「昭和十一年五月十八日の犯罪」

毒婦二景「定や、定」「昭和十一年五月十八日の犯罪」

鵺的(ぬえてき)

小劇場 楽園(東京都)

2014/06/12 (木) ~ 2014/06/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

ふたりの定
大好きな女優さんお二人が定を演じるということで楽しみに楽しみにしていた当公演、マチソワで観劇しました。どちらも鵺的の公演としては以前観た「荒野1/7」「クイアK」とは大きく毛色が違って。高木さんの脚本が役者さんに肉付けでこんなにも人間的な舞台に見えたこと(しかも笑いの多かった)がとても嬉しくてゾクゾクしました。あがささんとハマカワさん、舞台の上のお二人に生きる力と幸せをいっぱいいただきました。良い舞台でした。

ネタバレBOX

以下、ツイートのコピペです。

『定や、定』

鵺的でこんなに役者力がクローズアップされて見えたのは初めてで、かつ笑える鵺的も初めて。二人の力のある役者さんのおかげで濃密かつ贅沢な時間が過ごせた。定の愛、宇野の愛。思いを馳せると羨ましくさえ思う。自分はあんな風に生きられないからこそ。

で、今までに私が観たあがささんでは最高に痺れた。10代の不良少女時代から、自分の愛した男の名誉のために阿部定に戻る中年時代までを髪型も化粧も変えずに素晴らしい演技で魅せてくれた。舞台の上の彼女や彼女の表現から目が離せなかった。そりゃ、宇野も寺十吾さんも惚れるって。


『昭和十一年五月十八日の犯罪』

こちらも笑いが多く、その中から抉り出される定像に目を見張る。懐に切り取った一物を忍ばせた定を演じるハマカワさんの凛とした演技は絶対的正義とさえ感じ、細やかに心情を映す表情から目が離せない。クライマックスからの美しさは壮絶。

定が捜査官達を翻弄したように、ハマカワさんも男優さん達を翻弄している。あれだけ力のある男優さん達に一人で張れる女優さんはなかなかいないんじゃないだろうか。あんなに華奢で小柄なのに、並々ならぬ生命力。

まず、声が違う。彼女のあんな声を初めて聞いた。凛としたあの声と物腰だけで、定がいかに一貫した正義の持ち主であるかを知らしめる。会話劇の中、受けの演技からも全く目が離せず、表情から見える定の心情から彼女のこれまでの生までもが見える。

彼女の価値観での「独占欲」を満たして至福の状態からの、椎茸のくだりで心が動く頃から益々目が離せない。体を張った攻防。鋭い眼光、命懸けで発する声。そして着物を着る流れでの心情の変化は空間の温度さえ変える。素晴らしかった。

『毒婦二景』まとめ

A,Bどちらも笑いが多く、しかしそこから確実に「真実」が抉り出される。どこからがフィクションかは分からないけれど、もし定さんが観たらきっと喜ぶだろうなと思えた愛の物語だった。不思議と異常性は感じない。自分には持ち得ない愛の形は羨ましいとさえ思う。

定を演じたお二人、あがささんとハマカワさんの驚異的な役者力を目撃して欲しい。これだけ一人の役者さんの力量を堪能出来る舞台は一人芝居でもない限りなかなかない。こう言う言い方は普段しないけど言う。これは、「観ないと損」。もちろん定を取り巻く男優陣も最強。

どちらにも出て来ない定の愛人・石田。定にあれだけ愛されたのだから幸せだったのだろうなと思う。それだけに、代弁された彼の言葉は殺人を綺麗事にしすぎていた私の脳に一石を投じてくれた。重い事件を描いていたけれど笑いも多く良いバランス。きっとそれは人生のバランスと同じ。
シアター・ミラクル放送部 読書の時間「ぽ」

シアター・ミラクル放送部 読書の時間「ぽ」

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2014/06/08 (日) ~ 2014/06/08 (日)公演終了

満足度★★★

遅くなりました・・・。
穴埋め公演ということで稽古等準備がかなりタイトだったと思います。それはやはりクオリティに現れてしまっていて、2010年に池田さんが関わっていた同じように穴埋め公演の「Project anaume」のクオリティと比べてしまうと、やはり役者さんの基礎体力に差があったのは否めないかな、と思ってしまいます。安藤理樹さんの声はとっても好きなので、いずれは十分に準備されたリーディングや本格的な古典でもその声をお聞きたいなと思ってます。それにしてもお話には徐々に引き込まれて意外な犯人に驚かされました。あんなお話だったんですね><

サラエヴォの黒い手【ご来場ありがとうございました!!】

サラエヴォの黒い手【ご来場ありがとうございました!!】

劇団チョコレートケーキ

駅前劇場(東京都)

2014/06/11 (水) ~ 2014/06/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

ストライクど真ん中。
バルカン半島が「ヨーロッパの火薬庫」と言われていた時代からロシア革命後の粛清までを、圧倒的なリアルな人間の存在感で魅せていただいた今回の劇チョコ。「治天ノ君」でも感じられた美術の妖しいフェティッシュ感も含めて、2時間15分全く目の離せない、私好みのストライクど真ん中の演劇でした。いつものように「時代が目の前で動く」感覚を体感できた上に、今回は役者さん達の「瞳」が印象的。青年達の目、軍人達の目・・・それぞれがそれぞれの「愛国心」と「生」に満ち溢れていて、見ていて眩しいくらいでした。それにしても、いつの世も愛国心で動く人間は国や思想に殺されてしまうものなのですね。やるせない。

ネタバレBOX

時代や思想の背景は前知識であったので、チョコの作劇の分かり易さ・親切さに唸りながら観ました。お芝居では日本の「に」の字にも触れていないものの、明らかに現在の日本に警鐘を鳴らしていて。戦争の足音が近づいている今、自分は何をすべきか日本人はどうするべきかと考えされてくれる道徳的な演劇でした。前方で小学生の男子が観ていましたが、実に大人しく舞台に見入っていて感心。彼らの世代が戦争に行くことにならないようにと切に願います。

寄り添い支える

寄り添い支える

KATO企画

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2014/05/30 (金) ~ 2014/05/31 (土)公演終了

満足度★★★★★

心洗われる、
大切な大切な公演になりました。美しいピアノの音色に乗せられた、亡くなった人・残された人それぞれの思念、白檀の香りが漂うような淡い思い・・・。後半の朗読劇では震災を扱い、決して風化されてはいけない現実(多分、その現実は私が思うより重く深い、)を思い起こさせてくれました。個人的に、ネットには書けない様々な琴線に触れるお芝居で。前半の途中から涙がとまらなくて、心のデトックスになったように思いました。同時期にお誘いいただいた数々の舞台の中から素子さんのお芝居を選んで良かったなと心から思います。

ネタバレBOX

亡くなってから息子に買ってあげたカメラに思念を残した素子さんのコミカルな演技がめちゃくちゃ可愛かったです(^^)

なお、私の2011年度こりっちアワードの投票は、1位が加藤素子さんご出演のさいたまゴールド・シアター、2位が吉田能さんがピアノと役者でご出演のキコでした。どちらも、震災後に絶望して辛かった頃に私を救ってくれた演劇で。そのお二人がまたこうしてタッグを組むということで、とても楽しみにしていました。

そして絵空箱の吉野翼さんが作るモヒートは絶品だという噂を役者さんから聞いてたのでそれもまた楽しみで(笑) こちらも今までに飲んだことのない美味しさで。モヒートを飲みながら吉田さんのピアノ、最高でした。終演後に吉田さんがいつもよりキラキラして見えたのは内緒です(笑)
鶴かもしれない

鶴かもしれない

EPOCH MAN〈エポックマン〉

明大前KID AILACK ART HALL 5F ギャラリー(東京都)

2014/05/22 (木) ~ 2014/05/26 (月)公演終了

満足度★★★★★

過去最高の彼の芝居。
『鶴の恩返し』をベースに女性を描くとの前情報に「これは凄いことになる」と確信していましたが、蓋を開けたら驚くほど彼の実力と魅力が発揮された一人芝居となっていました。現代の新宿と民話の世界、それぞれの空間の男と女、そして語り・・・全てを演じ分ける繊細な演技、特に声の表現力は圧巻。いつしか一人芝居と言うことを忘れてしまい、小沢道成という稀有な才能の役者に酔いしれて観てしまいました。古典とコンテンポラリーを融合し、女形然として舞い踊る様は実に艶やかで。次第に性別や種族を超える存在感に、この才能を目の当たりに出来る幸せをひしひしと感じました。

ネタバレBOX

歌舞伎の女形を髣髴とさせるメイクで美しい着物を着こなす所作は、女装ではなくもはや女性。と思いきや、男性物の羽織をさっと肩にかけるともうそこには男性の立ち姿。スピーカーから流される男性と語りの声の演じ分けもさることながら、クライマックス、男女が交錯するシーンは圧巻。台詞の一言ごとに人格が入れ替わるその見事さにゾクゾクしました。

また、着物の使い方も実に上手く。重ね着をして徐々に脱いでいくのですが、それが徐々に痩せていく様をも表現していて。着物の柄もその時々のシーンに合っていて、さほど和服に興味を持ったことのない私が、なんだか和服のことをもっと知りたいな思ったのも印象的。

そして、脚本・・・自分を救ってくれた男性のために身を削って尽くす女性を描いていましたが、驚くほど共感してしまって。私にもそんな風に救ってくれた人がいて、その人のためになら何でもしてあげたいと思ってて(体は売りませんが!)、でもそれは思うようにできることではなくて・・・なので、身を削りすぎて再び飛ぶことの出来ない悲しさに叫びを上げる鶴の姿が悲痛すぎて、涙をしてしまいました。

それにしても、小沢道成くん。あなたは何者なのでしょう。男でも女でもなく、人間でもなく鶴でもなく・・・「役者という生き物」。それに尽きるのでしょうね。2008年12月からずっと観続けてきましたが、過去最高、ダントツのお芝居で魅せてくれました。私好みの超ド級ストライクでした。
あなたがもしもを選んだあとで

あなたがもしもを選んだあとで

Moratorium Pants(モラパン)

新宿眼科画廊(東京都)

2014/05/16 (金) ~ 2014/05/28 (水)公演終了

満足度★★★★

女の子ver.拝見。
出演する役者さん達による客入れ、終演後の乾杯。舞台と客席との近さに当劇団の特徴を感じながらの観劇は、良い演劇は他の何をも凌駕することの再確認になりました。清涼感のある脚本・演出、温かみのある衣装(主演お二人の足元が特に素敵でした)。そして「観客参加型」と銘打っての芝居運びは、なんと重要なラストを一人の観客に委ねるマルチエンディング(笑) 私にとっての初モラパンはとても楽しい公演で、好感触となりました。

ネタバレBOX

私にとって初のモラパン本公演。三団体合同コント公演のときに客入れや終演後の飲み等で劇団の方針や雰囲気は創造がついていたものの、上演中の撮影OKとのことでこれはちょっと面食らいました。おまけにコアなファンの方達の隣に座ってしまったようで、静かなシーンでも目にする撮影や笑い声の大きさにちょっといづらくも感じましたが、終演後の飲みでその方たちとめっちゃ仲良くなりました(爆) こうして観客と観客とが繋がれるのも素敵ですよね。

少し気になったのは、心情や出来事が台詞で多く語られること・・・分かりやすくはあるのですが、台詞の行間から感じる想像の部分でカタルシスを覚える身としては、ちょっと親切すぎるかなとも感じました。しかし、その他、男の子ver.で語られているであろう、シーンや台詞の無い部分に惹かれてしまい、この分かりやすさは逆に男の子バージョンを観たいと思わせる仕掛けなのではとも感じ。マルチエンディングのもう片方も観たいし、でももう行ける日がないので悩ましすぎる思いを感じてます。

マルチエンディグ。今回のお客さんはごろうを選びましたが、いわばこれはドラクエ5でフローラを選ぶようなもので。ビアンカのラストも観たいねん!たくととどうなるのか観たいねん!!という、伝わる人には伝わる感想を述べておきます 笑

※かおりんが可愛すぎて可愛すぎて。やはりホームでのお芝居が一番伸びやかで魅力的だなと思いました。

※モラパンがもっと大きな劇場で公演をするとき、客入れ・客出しは今と同様でも、上演中の撮影はどうなるのかなぁなんて秘かに楽しみにしています^^ 千本桜では囲み舞台で撮影OKだったとのこと。あの劇場をそんな風に使えるとは!
【無事終演しました】荒川、神キラーチューン【ご来場ありがとうございました!】

【無事終演しました】荒川、神キラーチューン【ご来場ありがとうございました!】

ロ字ック

サンモールスタジオ(東京都)

2014/05/14 (水) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

大好きなロックの曲を聴くように
最初から最後まで夢中になって観てしまいました。ブランキーやユニコーンの音楽、役者さん達の繊細な演技が光る数々の二人芝居、女性達のリアルすぎる感情の流れに酔いそうになると絶妙なタイミングで挿入される演劇的表現・・・それらが壮大にリズミカルに、かつキレ味の鋭さを以って観る側の心臓の深みで切り込んで来る。ああ、この感覚が「ロ字ック」だった、と。『タイトル、拒絶』を観たときに感じた震えを再度味わえたお芝居でした。

ネタバレBOX

観ている間はただただ夢中でしたが、時折掠める胸の痛みや忘れかけていた過去の記憶が、終演後に脚本・演出の山田佳奈さんとお話させていただいたときに急激に溢れ出るのを感じました。私にも、中学生だった頃にまだまだ子供だったせいで心残りを感じている友がいました。あのときもう少し大人だったら、という思いを久しぶりに思い出して心が痛かったです。

振り返ると、舞台芸術として・エンタメとして・人間ドラマとして実に多くのファクターが詰め込まれているにも関わらず、煩雑さや難解さが全くなく。例えば、カラオケルームでのシーンのときは、音楽はなく会話劇が進む中、画面に流れているアイドルの対談や歌手のPVに見入っていても(環奈ちゃん可愛いーって感心してても笑)芝居が壊れることなく、むしろそれが上手い具合に芝居に飲み込まれる要素の一つになっている。素晴らしい演出だなと思いました。

役者さんで目を引いたのは、まず、円山チカさん。小野寺ずるちゃん演じる子供の頃を引きずっている「わたし」の痛みの繊細な表現から目が離せず、その思いを放出させるラストには涙。

ずるちゃんと対話する堂本佳世さんも、お腹の子供の親である男性を語るシーンで発する台詞だけでは語られない思いが表情や声から読み取れて、それが女性としてとても共感できるもので、ああ素敵な女優さんだな・・・と心臓を震わされました。

元々大好きな大森茉利子さんは、初めて見た悪女役。直視するのが憚れるほど生々しくて「嫌な女だなぁ」と思う反面、激しく正直に生きる彼女にどこか憧れまで感じてしまい、ますます女優として好きになってしまいました。

レベッカちゃん、今まで何度か拝見しましたが今回が突出して好きでした。役は当て書きだとお聞きしましたが、彼女の内面の魅力を引き出す素晴らしい役だったと思います。さすが山田さん。と、ここでも女性演劇人の力にうらなされます。(前回見たロボット役は男性のイメージを投影したものでしたから笑)

そして小野寺ずるちゃん・日高ボブ美さんの双璧ロ字ック女優さん。二人とも、観始めたらその存在感に釘付けになってしまいます。ずるちゃんのキレキレのダンス、いつもの事ながら見入ってしまいました。ボブ美さんが中学のときの体育の先生に激似で、それもまたちょっと痛い子供だった自分を思いださせてくれました。

その他、どの女優さんが演じたどの役も、自分と似たところを少しずつ見出して。胸の痛みもどれも懐かしく感じ、女に産まれてよかったなぁと今回も思わされた演劇でした。

※同じくロ字ックを観た男性とメッセでやり取りをしたのですが、「女性は『フィクションとはいえ誇張されてるな』と感じるの?」と聞かれて「フィクションとは全く思わなかった。むしろリアル。リアルの上を言ってる」と答えました。それに対して「男でよかったw」と言われましたが、私は「女でよかった」って心から思います。
38mmなぐりーず 卒業メンバーお見送り&新メンバーいらっしゃ~いライブ 「♪芽が出て膨らんで♪花が咲いて枯れちゃっ…!? べっ別に、さみしくなんかないんだってばぁぁぁぁ!!!!(;_;)」

38mmなぐりーず 卒業メンバーお見送り&新メンバーいらっしゃ~いライブ 「♪芽が出て膨らんで♪花が咲いて枯れちゃっ…!? べっ別に、さみしくなんかないんだってばぁぁぁぁ!!!!(;_;)」

38mmなぐりーず

新宿ライブハウス&イベントスペースLEFKADA(レフカダ)(東京都)

2014/04/26 (土) ~ 2014/04/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

ハセガワアユムさんの脚本演出
ライブはもとより、大好きなハセガワアユムさんの脚本演出でのお芝居があるとのことで半ば狂気乱舞で足を運びました。JKの残飯喰いの教師が登場しかし女子生徒たちはコロコロと参っているところとか流石のMU。変態すぎて客席から悲鳴が上がっていてお腹痛かったですw かおりんの最後の表情が目に焼きついて心を切り裂かれた感覚も私にとっての大好きなMU。まいまいやいっちゃんの演技力をアユムさんのお芝居で観られて良かった!是非MUに出て欲しい・・・あ、もちろんライブも楽しかったですよ!卒業する3人のメンバーは多分お芝居ですぐに会えるので、さびしくなんか・・・ないんだからねっ・・・(;;)

レッドパージ~赤字狩り~

レッドパージ~赤字狩り~

あんかけフラミンゴ

RAFT(東京都)

2014/04/25 (金) ~ 2014/04/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

演劇はお金にならない
という話はよく聞きます。生きるか死ぬかの問題でその間がないともよく聞きます。おそらくは誰もが将来が怖くて不安で、でもそんな葛藤は表に出さずに輝いている部分だけを見せてもらっていて、「楽しかったー」とか言ってる観客はお気楽な人種だと思うのです。こういった自虐的なお芝居を何度か観たことがありますが、もれなく感じるのは「甘えないでください」。こんなだめな俺達だけど許してね、なんてお芝居をお金を払って見たいとは思いません。

しかし、あんかけのこのお芝居を観たときに全くそのようなネガティブさを感じなかったのは・・・「甘え」ではなく、「覚悟」を感じたからだと思います。今の辛さをこの公演に全部乗せて、共に傷に塩を塗りたくって将来を生きる「覚悟」。絶望と希望のギリギリのラインで20代前半のうちに振り切ったあんかけフラミンゴのこれからは希望しかない。観客としては観ることしか出来ないけれど、覚悟を決めた劇団だから、これからも見続けようと思いました。

ネタバレBOX

最近島田さんの脚本が好きだなぁとよく思います。役者さんの成長も考えているところも素晴らしいし、24歳でここまで「先をいく」演劇人もなかなかいないです(ろりえの奥山さんもそんな方ですよね)。この公演にしても、他の劇団だったら5年後に上演してるとこで。今このタイミングで上演したことに将来性を感じました。

役者さんで特筆すべきはやはり笹木皓太くんと一橋純平くん。皓太くんが小川千尋さんを背負っての二人のやり取りは圧巻でした。役者力では同世代の追随を許さない皓太くんが、一橋くんに引き上げられてました。一橋くんやはりパワーアップしてます。二人が戦うところをもっと観たい。
ぬれぎぬ

ぬれぎぬ

アマヤドリ

シアター風姿花伝(東京都)

2014/04/01 (火) ~ 2014/04/23 (水)公演終了

満足度★★★★★

重厚な会話劇
独特のファンタジー要素も乱舞もありませんでしたが、驚くほど濃密に「アマヤドリ」の空気が感じられ、広田さんの戯曲力と役者さんの力をひしひしと感じました。ただ、今回体調が悪い中観てしまい、思うように舞台を見つめられなかったので大変申し訳ない思いです・・・ロングランなのでもっと早く行っていればフリーパスで何度も観られたのに、と後悔しきりです。すみません、次回公演を楽しみにしています。

グローブ・ジャングル

グローブ・ジャングル

虚構の劇団

座・高円寺1(東京都)

2014/04/04 (金) ~ 2014/04/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

再演!
「エゴ・サーチ」の再演は脚本・演出ともに全く変わらなかったので、劇団員の方達の成長を楽しむ以外に目新しい要素がなく正直ちょっと残念だったのですが、今回の再演は驚くほど舞台にも役者さんの演技にも奥行きや深みを感じて驚きました。根本宗子さんの客演がもしかしたら大きな要因かもしれません。大久保綾乃ちゃんの隙のない緻密な演技も好きでしたが、根本さんの愛らしく柔軟な表現が、新しい風として今までにない虚構の劇団の空気を動かした・・・そんな気がします。ゲイの幽霊を演じた小沢道成くんは、見た目はもちろん大人びましたが、演技でピュアさを軽やかに感じさせてくれて逆に幼く思えました。劇中劇の「桃太郎」、早くDVDで観たいです。ダンスシーン、カッコ良かった><

通底器

通底器

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

pit北/区域(東京都)

2014/03/26 (水) ~ 2014/03/31 (月)公演終了

満足度★★★★★

驚くほど新鮮な再演
初演から日も浅くキャストも殆ど変わっていないのに、驚くほど濃密な空気をもって胸に迫る再演を見せていただきました。劇場がサンモールスタジオと違い、2面客席で映像を使用したのもかなり効果的。まるで密室に自分も迷い込んだかのような緊迫感で海賊の世界観を楽しんでしまいました。ストーリーを既に知っていたおかげで物語世界にも入り込みやすく、徐々に愛が浮き彫りになっていくあたりから、風子の心の震えに心臓がシンクロして涙が止まりませんでした。素晴らしい演目ですので、これからも海賊の代表作として幾度となく再演してほしいなと思います。川添美和さんと大塚尚吾さんを超えるキャストが果たして出てくるか・・・それも含めて、海賊の未来が楽しみです。

ネタバレBOX

小道具の「地層」。あれ、毎回仕込むのが大変だろうななんて思いました。小道具さんお疲れさまです(^-^)
美しいヒポリタ

美しいヒポリタ

世田谷シルク

吉祥寺シアター(東京都)

2014/03/27 (木) ~ 2014/03/31 (月)公演終了

満足度★★★★★

期待に違わず
大きな劇場での素晴らしいパフォーマンスで魅せていただきました。カッコ良くて何度もDVDを見返しているオープニングも、振付がガラっと変わって垢抜け感が抜群。あかりさんや岩田さんのキャラクターも益々生き生きとパワーアップして愛らしく感じ、シルク流コンテンポラリー演劇と古典の融合とを存分に楽しませていただきました。これからも広い劇場で炎さんの演出を観たいなと改めて思いました。

ネタバレBOX

ちょっとだけ気になったのは、最近古典の作品を観る機会が多かったので、古典パートでの役者さんの演技にもう少し現代パートとのメリハリが欲しかったかな?と。そんな中、安藤理樹さんの古典パートの台詞回しが物凄く私好みで、多分ご本人は古典には興味ないかも知れないけれど、是非がっつりとして古典での演技を見てみたいなと思いました。

そして、今までアンサンブルやダンスで見ていた菅山望くんが、表情豊かで垢抜けた魅力を持っていることに気付き、これからもどんどん大きな舞台に出ていってほしいなと感じました。

個人的には・・・今会社で、携帯の電波が悪すぎて困ってて、しかも原因が隣のビルの工事で。休み時間になると電波を求めて社内をぐるぐる歩き回っているので、あまりの今回のお話とのシンクロに、勝手に親近感を覚えてしまいました。笑
刀と天秤

刀と天秤

JACROW

スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)

2014/03/21 (金) ~ 2014/03/24 (月)公演終了

満足度★★★

久しぶりのJACROW
「吐き気がするほど濃密な空気」が売りのJACROW。最近行けないことが多かったので今回楽しみにしていたのですが、その空気感が感じられなくてちょっと残念に思ってしまいました。テイストが違うのはともかく、一番辛かったのは、岡田以蔵と東電OLとが結びつくだけの説得力に欠けていたこと・・・。蒻崎さんのうらぶれた雰囲気、谷仲さんの七変化的演じ分けには心を惹かれました。

「40 Minutes」

「40 Minutes」

TABACCHI

スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)

2014/03/21 (金) ~ 2014/03/24 (月)公演終了

満足度★★★★

主旨がよく分からなかったのが残念
人気劇団が3つ集まっての公演は観客にとっては涎モノでしたが、このイベント自体の主旨がよく分からず、せっかく100万円をかけるならもっともっと宣伝して演劇界を盛り上げれば良かったいいのにななんて思いました。個人的には、好きな劇団チョコとJACROW、初見の電夏といったラインナップでしたが、安定のチョコ、ちょっとあれれのJACROW、やっぱり一位の電夏といった結果でした。

ネタバレBOX

まずチョコ。広い劇場で、私は真ん中より後方の席だったのですが、いつもの重厚な空気感がひしひしと伝わってきて、ああ流石だな、と。

続いてのJACROWは、売りの「吐き気がするほど濃密な空気」を先にチョコにやられてしまって不利だったかな、と。で、どうしても岡田以蔵と東電OLが結びつく要素が見つからなかったのは辛かったです。。谷仲さんの七変化的な演じ分けは楽しかったです。

そして、電夏。始まった途端に客席の空気が変わって温かくなったので、あ、ここが優勝だなと思いました。私の好みではあまりなかったけど、岩田さんの出ている公演はそのうち見てみたいなと思います。
◯六◯◯猶二人生存ス

◯六◯◯猶二人生存ス

劇団チョコレートケーキ

スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)

2014/03/21 (金) ~ 2014/03/24 (月)公演終了

満足度★★★★

流石の密度でした。
「楽屋」を拝見できず、楽しみにしていたこちらの作品。広い劇場だったのでどのように攻めてくるかなと思いきや、意外にいつものショコレートケーキでした。真ん中より少し後方の席で観たのですが、見ていて胸がどんどん苦しくなっていって・・・流石日澤さんの演出だなと感心しました。チョコの後に上演したJACROWとくの売り文句「吐き気がするほど濃密な空気」を先に感じさせてくれてしまったので、JACROWさんにとってはちょっと不利でしたかね(^-^;)

男の60分 -2014-

男の60分 -2014-

ゲキバカ

王子小劇場(東京都)

2014/03/19 (水) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

笑いっぱなしの60分(以上)。
いい大人達が子供を演じ、やんちゃ放題で笑いっぱなしの90分でした。田舎育ちの私にとって、子供の頃の放課後や休日は時間がとてつもなく長くて。こんな楽しい日々がずっと続くんじゃないかと思ってた、その時間を「体感」しました。ネットも携帯もない時代の空気が・情景が舞台の上に確実に存在し、笑いの中にもノスタルジーを感じる、温かな温かなお芝居でした。

ネタバレBOX

前半の子供達の「遊び」(というかコントタイム笑)が長くて長くて、その体感時間の長さがそのまま、子供の頃の長い遊びの時間の郷愁感に繋がっていて。凄い構成力だなと思いました。

そして、役者さん達の身体能力が高いので、演技の垢抜け感とダンスのクォリティが尋常じゃない。前半の菊池さんの怪獣の形態一つにしても、とてつもないセンスを感じます。

ダンスシーンはスタイリッシュな「FOUR ROSES」とは毛色が違い、ひたすら元気で楽しいダンスが満載。そんな中で目を引いた、石黒さんのソロダンスがすごーく綺麗でした。観ているこちらも激流に「飲まれる」気がして。そこからの西川さんとのキスシーン(正確には人工呼吸でしたが 笑)にはドキっとしてしまいました。。

EPOCH MANで観た西川さんもひたすら素敵で。亜斗武さんも見たことのないやんちゃさで。今人さんのキャラには序盤何が出てくるか分からない楽しさがあって、涙が出るくらい笑わされて・・・ゲキバカを観るのは2回目ですが、もっと観たいなと思わされました。

あと、小劇場によく見られるマニアックな客層でないとこがなんだかとても嬉しかったです。
江戸系 諏訪御寮

江戸系 諏訪御寮

あやめ十八番

小劇場 楽園(東京都)

2014/03/12 (水) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

堀越流絶品古典演劇。
初日こそ情報過多に思えて全体的に未完成と感じたものの、リピートしたら演技も生演奏もスタッフワークも驚くほど完成度が高まっていて、たった2回でここまで上げて来るかとこの劇団の持つ底力に心底震えました。今回の演目は、島に根付いた人喰い鬼伝説に絡む人の業をオールディーズナンバーの生演奏とともに郷愁感に満ちた空気で描き出すファンタジー。語り口の上品さ、絶え間なく漂う演出の妖艶さに終始酩酊。神道に馴染んだ日本人の心にいとも簡単に転がり込む堀越流古典演劇は類を見ないジャンルで絶品。将来演劇界の宝になるであろう「あやめ十八番」の公演を、楽園というキャパシティの劇場で観られたことをまずは誇りにしようと思います。

ネタバレBOX

2時間の上演時間の演出の緻密さ。役者さんの立ち居振る舞い全てに指導が行き渡っていてその一つ一つにときめきを覚える、つまりはセクシー。転換やシーンの繋げ方にさえ研ぎ澄まされたセンスを感じて、ああ何で堀越涼という人は2年前までこの才能を眠らせておいたのだろうと不思議でなりません。彼の口からよく聞く「まねぶ」という言葉ですが、WSを見ていると彼が演じて様を見せて役者さんに真似をさせる・所作を体に叩き込むということなのだろうと思いますが実はこれはとても危険だと思っていて、役者さんに技量がないとただのお人形になってしまう、感情も情景も見えないつまりは人間不在の演劇になってしまう。実を言うと初日はそう感じてしまったんですね、心に何も響いてこなかった。何の色気も感じずに、あやめのファンとして悲しくなってしまったのです。

しかし2回目以降空気がガラッと変わってとても濃密になっていて、役者さん達それぞれが生き生きと生命力に満ち溢れていて、2日でここまで変わるものかと嬉しくてたまりませんでした。ここからはいつものあやめ。歌に踊りにときめいて、素敵な役者さん達に終始うっとり。特に印象に残ったのは、金子さんのラスト・・・本当に祖母(しかも孫を殺す鬼のような拝み屋)が乗り移っていたかのようでした。北沢さんの大人気ないはしゃぎっぷりも、嫌われていると思っていた弟から相談されて至福の笑みを見せる熊野さんも好き。役者としてこんなに色気のある演技をみせてもらえると思っていなかった吉田さんも(音楽は相変わらず絶品)、出番は少ないものの素敵な狂いっぷりを見せてくれた紗弓さんも印象的、安定の好きっぷりはもちろん涼さんと笹木皓太くんですですが(笑) ああ書き足りないので後日ちゃんと追記しますね。


※「肥後系 麗月」(ツイートをそのまま転記)

・アフターイベントでの「肥後系 麗月」は、コロさんのために書き下ろした一人芝居のセルフカバー。三味線、そして楽隊の生演奏はもとより、目の前に立つ堀越涼という方の存在そのものに圧倒される。フェティシズムというよりもはやエロティシズム。あんなにしっかりと着物を着込んでいても。

・コロさんのお芝居を観ていたときに透けて見えた涼さんの姿以上のものがそこにあった。紡がれる時間に連れて高鳴る鼓動、そして最後の「見て見ぬフリするな」で心臓崩壊。これだけの艶気を醸し出す男性は他にいるだろうか。元々セクシーな人が狙ってやってるのだから手に負えない。水巴を越えた。
フリージアの不可知論

フリージアの不可知論

劇団霞座

ぶーふーうー(東京都)

2014/03/07 (金) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

霞座、そして一橋純平、顕在。
カフェ公演でこんなに重厚な演劇を観られるとは思いませんでした。45分間、命を削って臨む役者さん二人。その情動にいつのまにか光景が時代を超え、空気までもが静かに人が狂う戦地のものに変わったかのよう。観る人を微動だにさせない霞座、顕在。休眠は本当に勿体ないです。

ネタバレBOX

アンティークな雰囲気が漂う古いカフェのテーブルの上に散乱するフリージア。黄色のフリージアの花言葉は「無邪気」。その花言葉をみどりさんが体現。無垢の狂気を全身から迸らせる彼女もさることながら、彼女の姿に震えながら涙を見せる一橋くんの感情表現からも目が離せません。

久しぶりの一橋くんの演技には、オープニング、声を発する前から背筋がビリビリさせられました。キレた目線、どこか退廃的な佇まいは、活動休止期間を経て、衰えるどころか凄みを増してました。多分彼は新しい武器を手に入れたのでしょう。同年代の役者が手にしたことのない武器。これからが楽しみすぎます。

なお、最近観たさいたま・ネクストシアターの「カリギュラ」は主演の方が今一つだったのですが、一橋くんが演じたら本気で凄いものが観られそうだと思いました。それほどまでの才能の持ち主です。超期待。
かもめ~21世紀になり全面化しつつある中二病は何によって癒されるのか、あるいはついに癒しえないのか、に関する一考察~

かもめ~21世紀になり全面化しつつある中二病は何によって癒されるのか、あるいはついに癒しえないのか、に関する一考察~

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/02/26 (水) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★

【Aチーム】びっくりするほど中二病。
Bチームを観た上での観劇のおかげで、戯曲や演出の細かい部分まで落ち着いて堪能。まずはやはり、15歳の宇野愛海ちゃんがニーナを演じることで、びっくりするほど世界観の違う「かもめ」に仕上がったことに驚嘆。ロシアの雪を模したセット(ルデコ4のあの鉄枠が白い布(紙?)覆われている)、真っ白い家具等は全部同じなのに、これほど「温度」の違う光景を見られるとは。おかげで、Bに比べて古典としての質感よりも、現代的な部分が前面に押し出されて「中二」が全編に渡って匂い続ける、喜劇的で面白いお芝居になっていました。

ネタバレBOX

まずはマーシャが実ることのない恋の象徴として「悲劇の女」ぶって黒い服ばかり着ているところでもう苦笑。トレープレフは中二をこじらせてかもめを撃って殺しちゃうし(かもめ可哀想><)、ニーナはあざといプレゼントをして大の男を篭絡しちゃうし(作戦なのか天然なのか。どっちにしても嫌な女w)、かもめ名義で手紙を送り続けたり、嵐の夜に震えながら男の家に来るし挙句は「私はかもめ!」と痛いことを叫ぶ。ああ、なんて中二病な人たち・・・。

そんな風に喜劇として観たAチーム。宇野ちゃんがリアルに「子供」であるために、あっさり落ちるトリゴーリンのしょーもなさや、振り回される人々に苦笑しっぱなし。脚本も変更されている部分が多くあり、ニーナの少女性を生かすための様々な調整が垣間見えて、それが上手くハマるときとそうでない時の差が激しいだろうなと感じました。多分私が観た回は後者だったのかな・・・。4年後のシーン、宿した命を不本意な形で失いボロボロになった「女」の演技はまだ彼女には早かったかな?彼女の熱演を見て思ったのは、「ああ私、男と喧嘩するときにこんな演技をするわ、、」。受けの内田くん演じるトレープレフの表情からその心情を感じることにこのシーンの意味はあると直感的に思い、ずっと内田くんを観ていました。そのことを客席で観ていたとある役者さんに「れいさんはちゃんと観てる」と言われたことがとても嬉しかったです。超余談(笑)

そして、「21世紀になり全面化しつつある中二病は何によって癒されるのか、あるいはついに癒しえないのか、に関する一考察~」に対する私の答えは・・・トレープレフは自殺によってニーナと精神的に結ばれ、やっと癒されたのかなと感じました。いや、それでも中二的愛が続くと思われるので癒されることはなかったかも知れないのですけど。でも、ニーナはトレープレフを追うなんてことは絶対にせず、しぶとく生き続けると思う。だってあざとい女だもん 笑

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