鶴かもしれない 公演情報 EPOCH MAN〈エポックマン〉「鶴かもしれない」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    過去最高の彼の芝居。
    『鶴の恩返し』をベースに女性を描くとの前情報に「これは凄いことになる」と確信していましたが、蓋を開けたら驚くほど彼の実力と魅力が発揮された一人芝居となっていました。現代の新宿と民話の世界、それぞれの空間の男と女、そして語り・・・全てを演じ分ける繊細な演技、特に声の表現力は圧巻。いつしか一人芝居と言うことを忘れてしまい、小沢道成という稀有な才能の役者に酔いしれて観てしまいました。古典とコンテンポラリーを融合し、女形然として舞い踊る様は実に艶やかで。次第に性別や種族を超える存在感に、この才能を目の当たりに出来る幸せをひしひしと感じました。

    ネタバレBOX

    歌舞伎の女形を髣髴とさせるメイクで美しい着物を着こなす所作は、女装ではなくもはや女性。と思いきや、男性物の羽織をさっと肩にかけるともうそこには男性の立ち姿。スピーカーから流される男性と語りの声の演じ分けもさることながら、クライマックス、男女が交錯するシーンは圧巻。台詞の一言ごとに人格が入れ替わるその見事さにゾクゾクしました。

    また、着物の使い方も実に上手く。重ね着をして徐々に脱いでいくのですが、それが徐々に痩せていく様をも表現していて。着物の柄もその時々のシーンに合っていて、さほど和服に興味を持ったことのない私が、なんだか和服のことをもっと知りたいな思ったのも印象的。

    そして、脚本・・・自分を救ってくれた男性のために身を削って尽くす女性を描いていましたが、驚くほど共感してしまって。私にもそんな風に救ってくれた人がいて、その人のためになら何でもしてあげたいと思ってて(体は売りませんが!)、でもそれは思うようにできることではなくて・・・なので、身を削りすぎて再び飛ぶことの出来ない悲しさに叫びを上げる鶴の姿が悲痛すぎて、涙をしてしまいました。

    それにしても、小沢道成くん。あなたは何者なのでしょう。男でも女でもなく、人間でもなく鶴でもなく・・・「役者という生き物」。それに尽きるのでしょうね。2008年12月からずっと観続けてきましたが、過去最高、ダントツのお芝居で魅せてくれました。私好みの超ド級ストライクでした。

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    2014/05/25 23:40

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