神神の微笑
4RUDE
シアターX(東京都)
2009/01/21 (水) ~ 2009/01/23 (金)公演終了
満足度★★★★
邪道な楽しみ方もしましたが、ここでもまた・・・
観劇させて頂きました。この作品はあらすじ通りの手法を基本とした作品でしたが、個人的な本作品に対する印象を先に述べると「とても好みです!」自分が本作品を観せて頂きたくなった理由に本公演のあらすじから興味をもったこともありますが、 「内容理解しようとしないで。全身開放して頭空っぽで見てね。」のコメントに対してとても好感を覚えてしまったことです。確かに本作品は理解するよりも感じて楽しむ作品だったと思います。しかし、自分の場合は先のコメントに惹かれて観に行かせていただいたはずなのに、本作品を観劇している最中にどうしても使用されたテキストの一文一文を思い起こしながら観劇してしまうことが多々あり、言わば「貝合」をして楽しんでいた所もありますが、それはそれで楽しかったのですがやはり「頭空っぽで見て、感じ取る」鑑賞法が最も楽しめそうで、自分で作品を味わう楽しみを半減させてしまった気もします。個人的な全くのわがままに過ぎませんが、できれば使用されたテキストの発表は終演後のお楽しみ!にしていただき、最初は全て感じ取るしかない方法で観劇し、使用されたテキストを知ってからもう一度足場が少し与えられた状態で観劇し、2つの鑑賞法での作品に対する印象を比べてみたかった気もします。しかし、本作品に対して完全に心を許してしまう理由は、ここでもまた元プログレオタクの血が目覚めてしまったからです!本作品の物語展開からイタリアのプログレを思い出してしまいました!オタク臭い話しになって申し訳ありませんが、イタリアのプログレはクラッシックの作品構成や演奏にロックやジャズの演奏法を融合させたものが多くあり、レコード1枚まるまる1曲のみのアルバムも多いです。そして、自分はイタリアプログレに最もはまっていて手当たり次第に集めていました。そのような自分が本作品を観ていると、「音」を聞くことと「演技」を観ることの違いはありますが、本作品の物語展開に元プログレオタクの血が完全に騒いでしまいます!そして結局「いいよ!いいよ!もっと、もっと観たい!」にいきつきます!しかし、お断りしておきますが完全に本作品の内容を理解しているわけではなく、邪道な鑑賞法も多用しましたが、わかった気がする部分もあれば・ちょっと上手くイメージがまとめられなかったところもあります。しかし、本作品を完全に理解するならばこちらの劇団から作品解説書を受け取るしかない気がしますし、そこまでの作品理解度をこちらの劇団も観る者に望んでいない気がします。むしろもっと気軽に「もう一度観てみたい人は手をあげて」の問いに手を上げれる気になるか・ならないか程度の理解度さえあれば十分だと個人的には思います。それよりも作品を興味深く楽しめたかどうか、肌に合うものを感じたかどうかで、公演時間内にどれだけ楽しめた時間があったかどうかぐらいの、こちらの劇団にとってはむしろ気軽に楽しんで欲しい作品なのかもしれません。そう考えると自分の観劇の仕方は好んで楽しい時間を半減させてしまった気がしてしまいます。ところで、本作品とは全く関係ない話ですが、自分は趣味で乗馬をしていたことがありますが、腕前がどのくらいあるかは馬に乗った瞬間に分かります。腕前がいい方が乗るとその瞬間に馬が鎌首を持ち上げるように身を起こして、その場で小走りを始めて走る気満々になりますが、馬が認めるレベルに腕前が無い場合は乗っても何も関心を示しません。馬にとっては乗った瞬間のお尻にかける微妙な体重バランスでその乗り手のレベルが分かってしまうそうで、いい馬になればなるほどその乗り手を馬が選ぶようになります。インストラクターの話では「15歳までに乗馬を始めれば頭で何一つ考えなくても体で勝手に覚えられるが、15歳過ぎてから始めると頭の中で色々考え・イメージしてあれこれ試して大体の感覚を覚えるしかない」とのことでしたが、自分の場合はあれこれ考え・いろいろと悪戦苦闘しましたが、いつまでたっても馬は鎌首を持ち上げてはくれません。結局3年近くかかりようやく大体馬に乗る感覚らしいものをおぼえたような気がしました。やはり、いくら頭で覚えても肌で感じ取り身につけた者には敵いません。どんなに頑張っても表面上肩を並べているように見せるのが精一杯です。ところで、当サイトの観劇記を拝見させていただいていると作品を感じとる感覚に、自分から見たら非常にうらやましく感じてしまうものをお持ちの方々をお見かけしますが、自分にその感覚があれば10倍観劇が楽しめるのになぁ、といつもため息をついております。お心当たりを感じられた方々はその感覚を大切にされてください。30超えたらまず上積みは期待できない変わりに、失いだしたらアッという間に消えてしまうかもしれない貴重なものです。今回の作品評価においてはまず誰も完全に作品を理解することは無理でしょうから、あまり難しく考えずに「また観たい」「迷うけれどもちょっと観てみたい」「試みは分かるが、自分には残念ながら肌に合わない」ぐらいのことに手をあげるつもりでいいのではないのかとも思えますが、自分の場合はちょっと邪道な楽しみ方もしてしまいましたが、何と言っても元プログレオタクの血が完全に目覚め、ウズウズしてしまったものですから「もっと、もっと観てみたい!」という気持ちをたんに星の数で表したに過ぎないものです。個人的にはあまり作品を理解しようと細かいことまでも考えていると後手後手に回り作品展開自体の流れから取り残されそうな危険性も感じられましたから、クラッシック音楽の演奏の部分部分が何を表しているのか考えるよりも、ハッキリとは分からないけれども聞いていて肌に心地よいぐらいの気持ちで、言わば聞き酒をするよりも酔い心地を楽しむように、本作品の物語展開の流れにすっかり身を任せて気軽な気持ちで鑑賞するぐらいが、一番本作品の楽しみを堪能できそうな気がします。ちなみに、自分は新宿周辺で観劇させていただいた後、頭を使った後は手足を使おう、と歌舞伎町のバッティングセンターへ行きますが、もっとも球速の遅い時速100㌔のバッティングマシーンを相手に、空振、空振、ファールチップ、空振、空振・・・もはや全てを失っていく一方の悲しい年代になってしまいました。 「内容理解しようとしないで。全身開放して頭空っぽで見てね。」その通りだと思います!
僕たちの町は一ヶ月後ダムに沈む
演劇ユニット3LDK
調布市せんがわ劇場(東京都)
2009/01/16 (金) ~ 2009/01/22 (木)公演終了
満足度★★★★★
好みの話しになりますが・・・あると思います!
観劇させて頂きました。この作品は公演タイトルとあらすじから大体想像がつく話を基本に登場人物たちの模様を描いた作品でした。特に目に付く奇抜な発想はありません。丁寧に人間模様を描いた作品です。観る方がこの作品をどのように感じるかは、作中の台詞表現にどれだけ心を許してしまう表現に感じられるかだとも思います。ところで話しは本作品とは全く関係のない個人的な昔話になりますが、自分の住んでいる所は神奈川にも山梨にも非常に近い場所にあります。このような所に住んでいて車の免許がとれるようになると何をするかと言うと、深夜に車で山の中へ行きます。そして自分で自分の運転にウットリする、お恥ずかしい年頃がありました。その時好んで行っていたのが、今は宮ヶ瀬ダムになっているところにあった峠道でした。直線などなく、急カーブだけが続く地元の者だけが知る穴場の峠道でしたが、自分もまたこの年代特有の車遊びに夢中になっていた、今から考えるとお恥ずかしい年代を過ごしました。やがて、その峠道はダム建設のため通行止めになり迂回する今の宮ヶ瀬ダムの周りを走る道が出来ましたが、その途中に完成した時のための眺望台にあたるスペースがありましたが、時折そこへ行きダムが出来ていく過程を眺めておりましたが、自分が夜遊びしたところは多少木々の伐採はされましたが何も変わらない場所でした。やがて、ダムの建設が完成し少しずつ水が蓄えられていきましたが、ある日訪れるとやはり自分が遊んでいた頃と何も変わらない光景でした。道路もあれば車線もありガードレールも道路標識も変わらずありましたが、全てが水の中にありました。前から分かっていたことですが、実際にその光景を目にした瞬間にはとても現実の光景として受け入れるように頭が働かずに、ただ煙草を立て続けに吸っていた思い出があります。もし、その土地に愛着がある方が見られたらその瞬間は、無条件降伏で玉音放送を聞くような思いになられるのかもしれません。そして言葉が出てくる余裕すらないかもしれません。話しは全く変わってしまいますが、個人的には饒舌で比喩や装飾の多い台詞はあまり強くは印象に残りません。例として悲しい心情を表す場合にそのような台詞表現であったとすると、自分の場合はその表現感覚を面白がって楽しんでしまう嫌な癖があります。印象に残るのは重要な場面であればあるほど台詞が少なく、素朴な言葉であるものが強く胸の内に残ります。台詞のない心情表現にも強く惹かれてしまいます。手が加えられた言葉であればあるほど、頭の中でなぞって楽しむことは好きですが、観劇させて頂いてから数十年経ったある日の夜中に酒を飲んでいると突然思い出すのは素朴な言葉です。自分の場合は素朴な言葉であればあるほど、脳裏に刻み込まれる言葉になるみたいです。本作品の話しにようやく戻りますが、観劇中ずっと脳裏にはっきりとある光景が思い出されて観させて頂いておりましたが、おそらく他の観劇された方々と若干本作品に対する思い入れが違う星の評価ですが、個人的には何年先になるか分かりませんが夜中に突然思い出し、またもう一度味わうことが出来そうな作品でした!ただ、この日の公演は8割ほど客席がうまった公演でしたが、小劇場で終演後にこれ程強い拍手が鳴り響いたのを聞いたのは久しぶりのことのように感じましたが、自分勝手な思い込みだったのでしょうか?今回の観劇記は個人的な話ばかり書いて作品にはあまりふれませんでしたが、宮ヶ瀬ダムが出来て年月も経ち、全く無責任な立場にある自分はかつて自分が夜遊びしていた場所は、今は河童の子供たちの通学路になっていると思っております。
有限サーフライダー
飛ぶ劇場
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/01/08 (木) ~ 2009/01/12 (月)公演終了
満足度★★★★
あぁ、親しみを感じてしまう!!
観劇させて頂きました。この作品は、昔でしたら「奇妙な味の物語」と呼ばれるジャンルになるのかとも思われますが、今の方がロアルド・ダールの「奇妙な味の小説」を読まれているか知りませんし、その頃の日本の名のある作家も文芸雑誌に単発でよくこの様式の小説を発表していたことを知っている方がどのくらいいるかと思うと、もはや古い言葉なのかもしれません。しかし、この全くお洒落ではなく、男臭い上にオタク臭くて・・・個人的には本作品の物語が肌にピッタリと合い・・・その台詞の一つ一つに納得してしまいました!実は昔、色々なオタクをしていました。プログレオタクでもありジャズオタクでもあり文学オタクでもあり、昼間はレコード屋と古本屋を物色し、そして夜は陸サーファーの格好でサーファーディスコへ行き朝まで遊んでいた時期もありましたが、当時のディスコは2000円でフリードリンク・フリーフードでしたが、店員さんと仲良くなればすべて無料のありがたい遊び場でしたが、サーフィンをしている者はごく少数で、サーファーの格好をしていながらサーフィンの話題はタブーと言う不思議な遊び場でした。そのサーフィンに興味があれども手は出さない陸サーファー世代としては本作品のオタクさに心を許してしまいます!そして、本作品の全く洒落ていないけれども正直な男の気持ちを表した台詞に大きく頷いてしまいます!その台詞を言った者のせいで何度修羅場の仲裁に立ち会わされたことか、その台詞を言った者のやけ酒に何度付き合わされたことか・・・男は本当に自分勝手で困ったものですが、周りで観ているのならば楽しいものです!男臭いし、オタク臭いのが嫌でなければの話しですが・・・自分の場合は本作品にかつてのオタクの血が騒いでしまいました!文学オタクからすれば「奇妙な味の物語」ですし、プログレオタクからすれば物語の「変拍子」具合が肌に合ってしまいます!若かりし頃の思いばかりが過ぎってしまった本作品に対する今回の星の評価は全く個人的な好みでつけたもので、客観的な視点で本作品がどのように思われるのかは自分にはほとんど分かりません。観劇中自分勝手に「波乗り戦隊オタクレンジャー!」と名づけて楽しんでいる始末です!やはり、今でもまだ自分はオタクであることを再確認してしまった夜でした!
宇宙ロケットえんぴつ
とくお組
駅前劇場(東京都)
2008/12/26 (金) ~ 2008/12/30 (火)公演終了
満足度★★★★
今回は、笑いました!!
観劇させて頂きました。個人的な今年最後に観劇させていただく作品をどの公演にするか悩みましたが、本作品を観に行かせて頂きました。こちらの劇団の公演は「エヌ氏の晩餐会」以来ですが、実はその作品においては観客席の爆笑の連続に対して、個人的には全くと言っていいほど笑うことはありませんでしたが、たんに自分の笑いの感覚にちょっと合っていなかっただけで作品が悪かった訳ではありませんし、笑えはしませんでしたが作品の細部に至るまで緻密に創り上げられた物語性と言う点で十分楽しめましたので、今回は小さい規模の劇場での公演でしたので少し期待するものがあり、観劇させて頂きました。が、今回は笑ってばかりでした!あまりにも笑ってばかりで、前回と違い作品の物語としての楽しみは帰り道の電車の中で思い出しながら味合わせていただきました!初演公演の再演作品だそうですが、いい意味で小劇場で公演する当時の意欲を思い浮かばせる、個人的な笑いの感覚にドンピシャリの作品でした!しかし、散々笑わせていただいておいて言うほどのことではないと思いますが、初演の時には観劇していないのでハッキリとはわかりませんが、役者さんたちは完全にあか抜けて、洗練された演技を身につけられていて本作品をあまりにも余裕十分に演じられてしまい、個人的には本作品には申し訳ありませんが、現時点でのこちらの劇団の役者さんたちの実力は本作品の内容を越えた水準に達してしまったのかなぁ、と思ってしまいました。なんとも観ている者の完全なわがままですが、あまりにも余裕十分に演じられてしまう役者さんたちの実力の高さが、まったく個人的な本作品における唯一の不満でした!あまりにもひどいケチのつけかただと自分でも思えてしまうのですが、こちらの劇団の今後の活動に対して強い関心があることだと、出来るだけ好意的に解釈してください!本年度最後の観劇作品は笑うだけ笑わせていただいて、感謝しております!また個人的な今年の観劇は終了しましたが、皆様良いお年をお迎えください!
火男の火
TUFF STUFF
シアターアプル(東京都)
2008/12/20 (土) ~ 2008/12/22 (月)公演終了
満足度★★★★★
シアターアプル最後の観劇作品!!
観劇させて頂きました。コマ劇場に続いて、この日はシアターアプルでの最終公演を観劇させていただきましたが、シアターアプル最終公演に相応しい本作品でした!この作品は、さながら羅生門の世界における美女と野獣の物語とも言えそうですが、欲望が表に剥き出しになって渦巻く世界での、登場人物各自が持つ単純で素朴でありながら胸の奥底に描く思いが、時には笑いを誘い、そして笑った分以上に深い哀しみへと誘う、重厚な作品でした!本作品は正統的な作品と呼ぶべきもので、特に目を引き取り上げておきたくなるものがある作品と言うよりも、取り上げるならば一つ一つ最初から最後までを細かく取り上げていかなければならなくなる、作品そのものがいい作品としか言いようのない作品でした!個人的には本作品がシアターアプルで観劇させて頂ける最後の公演の作品だったことに大満足しております!しかし、実はこの日の最終公演においては、たいして気になることではありませんでしたが、舞台上の役者さんたちの演技の実力の高さからはちょっと信じられないくらい若干台詞をかんでしまうことが度々ありましたが、シアターアプルにおける最終公演ということで、役者さんたちの胸の内にもまた何か感じられる思いがあったのでしょうか?終演後における観客席からの拍手は、コマ劇場のものに負けないほどの拍手がいつまでも舞台上に送られておりました!この日の最終公演を観劇された方々の胸の内もまた、いつまでも送られる強い拍手に込められていたように思われます!個人的にはシアターアプル最後の観劇作品が迷わずに星5つの評価を送れる作品で、最後にいい思い出ができました!しかし、コマ劇場・シアターアプルと続けて観劇させていただきましたが、やはり少し寂しい思いがこの日の観劇後に残りました。
愛と青春の宝塚~恋よりも生命よりも~
フジテレビジョン
新宿コマ劇場(東京都)
2008/12/02 (火) ~ 2008/12/22 (月)公演終了
満足度★★★★★
さようなら、コマ劇場!!
観劇させて頂きました。しかし、この日の作品は興味があれども足が遠のいていくばかりの宝塚!実際は勉強しておりませんが、自分にとっては「目下勉強中!」の分野の作品でしたが、1幕目の見応え十分の舞台上に対してその物語部分については「わかる気がする」6割・「なんとなくわかる気がする」2割・「?そういうものなのかなぁ」2割のお恥ずかしい程までの理解度で、まだ自分には早かったかなぁ、とも思いながら実際に舞台上の見事な演出をボォーと眺めているだけの時間も多少有りましたが、休憩後の2幕目に入り、自分のような者でも良くわかる物語展開になり頭がシャッキリして、1幕目ではわからなかった部分部分も2幕目でようやくその意味がわかるようになり、結局最後まで楽しむことが出来ました!しかし、本作品には大変申し訳ありませんが、自分にとってのこの日の最大の目的はコマ劇場!最後にもう一度だけコマ劇場に行きたかった自分は、開演前・休憩時間・終演後にその座席・その柱・その壁を撫でまわしておりました!が、その自分の手つきをよくみていると、先日観劇させて頂いたぬいぐるみハンター解散公演で覚えてしまった手つきでは!まさか、実際に役立つ時があるとは思いませんでしたが、世の中には覚えていると便利なこともあるようです。しかし、この手つきをぬいぐるみハンターの方たちは一体どこで・どうやって覚えたのでしょうか?非常に興味深い謎です!また、どこでタバコを吸っても同じことなのに「最後だから」と訳もわからない理由をつけて結局1箱吸ってしまいましたし、「最後だから」とコマ価格の缶ビールをおみやげに買って帰りましたが、今から考えると何しに行っていたのか、とも思えてしまいます。今回の星の評価は、作品としては個人的に自分のような無粋な者でも星4つぐらい楽しめたことと、やはりコマ劇場で観劇させて頂くことはもうないことを考えるとあと星1つ加えて、自分にとってのコマ劇場最後の観劇作品としておきたい、まったく個人的な満足感を表す星の数です。長い間楽しませていただいたコマ劇場ですから、この日が最後というのはやはり寂しいものがあります!
チョコと可笑しな宇宙人
YANKEE STADIUM 20XX
アイピット目白(東京都)
2008/12/16 (火) ~ 2008/12/23 (火)公演終了
満足度★★★★★
やはりこの時期は!
観劇させて頂きました。と言うよりも、この作品に期待していた思いを胸一杯に抱きながら楽しい時間を過ごさせていただきました!普段でしたら作品の簡単な紹介でもするのですが、この作品においてはそれよりも自分の観劇させていただいた回の会場の様子について書いたほうが相応しいかと思いますが、おそらくこの日、この作品に望んでいたものを誰もが感じ終演までの時間を十二分に過ごされたかと思います。普段の観劇でしたらまず味わうことの出来ない暖かい優しさの込められた笑いに会場内が包み込まれておりました!この作品のあらすじからどのような思いを抱けるか期待し、作品がその望みを見事に胸に残してくれました!ひょっとしたらこの作品はまったく別の時期に公演されていたらこの日の客席の反応ほどのものはなかったかもしれませんが、やはり12月のこの時期は誰もが年に1回くらいはこの作品のあらすじから期待する思いをもち時間を過ごされたいことと思われ、客席から起こる笑いも拍手もみな同じ思いが込められたものばかりで会場の全ての方の望まれることが一致して思いを共有し、終演まで過ごすことが出来たように思えます。今回は作品としての評価というよりも、この時期こそは味わいたい思いをどれだけ胸に持つことが出来、楽しくも舞台上に目を細めて望んでいた時間をどれだけ最後まで堪能できたかが星の数になっております!やはり、クリスマスは子供の頃の思いを素直に再びもつことが出来る、いい習慣なのかもしれません!
クレームにスマイル
ニットキャップシアター
ザ・スズナリ(東京都)
2008/12/11 (木) ~ 2008/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★
あった、あった!!
観劇させて頂きました。この作品はコメディー作品になるのかと思えますが、自分の観劇させて頂いた回の公演の客席の反応とこれまでに当サイトに観劇記を書きこまれた方々のものを読ませていただいたのですが、おそらくだいぶ愉しんだ部分が異なっているところがあるかと思われますが、自分の場合もっとも面白く楽しめたのは前半部分になってしまいます。おそらく前半部分における笑いに使われた話題はその年代ごとに実際に経験しているか・いないかで笑いの点はともかく、面白さの点では若干受け取り方が変わってくる類の話しかとも思えますが、自分の場合はこの作品の登場人物全ての年代を経過しておりますので、その話題の一つ一つが「あった、あったそんなこと!」と実際に身の回りであった話しなどに近いものですから、多少は笑いますが、それ以上に「あった、あったその話し!」と懐かしくも面白がっておりました!そして、観劇させて頂いた時の客席の反応とこれまでに書きこまれた方々からのものから推測する反応からも同じで後半部分の方が笑いの点では反応が強かったのですが、自分にとっては笑いの点では全くと言っていいほど笑えませんでした。この作品の後半部分の笑いの感覚が悪かったのではなく、自分にとっては残念ながら持ち合わせていなかった笑いの感覚だったので、客席の反応と笑いの点では前半後半全く逆の反応をしておりました。この作品は自分のことと客席の反応から考えると観る者の年代が違うと面白く思える部分が前半後半逆になるものを笑いの点で用いられているのかなぁ、とも思えました。後半部分においては笑えはしませんでしたが、作品の背景になっている複雑な事情に触れるのですが、この作品においてはそれを役者さんたちの身体表現による表現演出により見事に説明しておりました!と書くと若干語弊があるのですが、舞台上の役者さんたちを観ていれば複雑な事情や心理がたとえ台詞の半分ぐらいしか聞き取れなくともほぼ全部理解できてしまう、観るのではなく単純に目で観ることだけでわかってしまうほどでした!役者さんたちの身体表現による演出で心理面等などを表すことは時折これまでにも観劇させて頂いておりましたが、この手法をコメディーに用いるとそれまでのスピーディーさを少しも落とすことなく、かつ観ている者が一切観るにあたっての気持ちの切り替えを必要としないで違和感なくすんなりと複雑な事柄が伝わってくる、自分としては手法の用い方の盲点でした。しかし、この作品を星で表すとしたら実に困ってしまう作品で、どの点から評価するかで星1つ分変わってしまうので、どうしたものかと思いましたがコメディー作品に期待する笑いの点からでは、自分の場合はちょっと持ち合わせていない笑いの感覚でしたので十分には笑えませんでしたが、懐かしくも面白がっていましたし、なかなか見応えのある舞台展開でしたので、個人的な満足度を加算させていただきます。
永遠にムーン
カラスカ
アイピット目白(東京都)
2008/12/11 (木) ~ 2008/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★
居心地が良かったです!
観劇させて頂きました。この作品は一応コメディーに分類されるものかと思います。こちらの劇団の前回の公演を観劇させていただいた時、田舎の若者の青春作品だったのですがその作品の感覚が古い年代の自分でも何も考える必要のない馴染みのある感覚で、観劇させて頂いている間随分と居心地が良く感じられたのですが、作品のタイプは違いますが本作品でもまた居心地が良かったです!この作品においては新しい感覚の笑いはありません。むしろすでに誰にもお馴染みの笑いの感覚のものしかないのですが、それが妙に面白い!馴染み深い笑いの感覚をあえて作中にもちいてそれ自体をパロディにして笑い飛ばすように用いているようにも思えてしまいます!よく知られた笑いの感覚ですから、ある程度観劇中事前にどのような笑いが次に来るのかわかるのですが、それで笑いが半減するわけではなく、むしろよく知られたはずの笑いがさらに笑いの度合いを増してしまうばかり!個人的には面白い笑いの感覚の使い方だと思えてしまいます。しかし、こちらの劇団の作中の感覚が古い年代の自分にとってもお馴染のものばかりなので、舞台上の作品の進行速度とは全く関係なく、自分の肌の感覚ではゆったりと時間が過ぎていくような気分になり、実に居心地がよく感じられてしまいます!どうやらこちらの劇団の作品の感覚は自分の肌にピッタリと合い、毎回ゆったりした気分で観劇させていただいております。古いようでもそれを逆に生かして魅力を増したものへとしてしまう作品でしたが、これで自分がこちらの劇団の公演を観劇させて頂くことは2回目ですが、これがこちらの劇団の手法なのでしょうか?自分にとっては観劇させて頂いていると安心してのんびりと時間を過ごさせていただける劇団ですので、次回作品もまた楽しみにしております!
飴をあげる
こゆび侍
ギャラリーLE DECO(東京都)
2008/12/09 (火) ~ 2008/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★
好みです2!!
観劇させて頂きました。本公演はメルヘン短編集とのことですが、個人的には開演直後の舞台上を観ていると、違うものなのですが、とあるSF映画の冒頭シーンを連想してしまい、その瞬間から舞台上を観る目に力が入ってしまったのですが、SF映画を連想してしまったせいか、観劇中「内面世界を舞台に描き出したSF作品」と勝手に思っておりましたが、全く適切な表現ではないので鵜のみにされないでください!しかし、taraさんにとっては大変悲しいお話になりますが、どうやらこの作品においては好みが一致してしまったようです。しかし、一部分においては違うようですので御安心ください!この作品の「笑える部分」を除けば、作品の世界観からすると台詞の量が少なめであり、台詞そのものの表現も含めて極めてシンプルなものですが、そこが個人的には魅力を感じてしまいます!自分のように書いても書かなくても良いことをダラダラと書き続ける者にとっては、自分にはない・身につけることも出来ないものに惹かれるものがあります!台詞の量からすると作品世界をイメージするには若干情報量不足かと思われますが、その分舞台上の役者さんたちの演技に注視してしまいますし、なおのこと興味が深まるばかり!個人的な好みと興味の点から観ると「バランス感覚のいい作品!」に映ってきてしまいます。そして、台詞も文章にすれば極めてシンプルであるものですが、短い中に必要十分な意味合いをもつものが濃縮され、表現に使用する言葉の選択感覚が「いい感覚しているなぁ」と感心してしまいましたが、良く考えてみると自分のような古い年代の者が「いい感覚」と思うのならば、若干古い表現が使われているのではないかとも思えたのですが、今の若い方の言葉の表現感覚がわかりませんので、役者さんたちの年代の方々が発する言葉として若干の違和感を覚えられる方もいるのでは?とも思えましたが、実際観劇された若い方がどう感じられるのか?自分もまた興味のある点です。しかし、「笑いの部分」はさすがに饒舌になりましたが、これもまた一文一文にしてみると「シンプル」かつ選択された表現が古い自分にとっては「いい選択感覚」であり、台詞の量はこの時こそは多くなりますが、役者さんたちの見事な発音で全て聞き取れてしまいます!個人的には本作品を全く的外れな表現になりますが「マジック・ショーのマジックのタネはどうなっているのか?それをあれこれと楽しむ」という感覚に近いもので観劇させていただき面白がっておりました!星で評価をつける前に思っていた何も根拠のないことですが、本作品を観劇されてどのように感じ・どのように思われ・どのような評価を与えるかで、その方の深層心理がみえてくる面があるのではないか?と思ってしまいました。その上で星の評価を自分はつけさせていただきますが、好みが一致してしまったtaraさんにはまたまた悲しいお話になりますが、グレていませんか?自分はいい年してもグレてしまいタバコを肌身離さず常に持っておりますが、何か中毒性のあるものにはまっていらっしゃいませんか?ピッタリ好みが一致してはいなかったので安心しておりますが、ちょっとだけ心配してしまいます。しかし、ここまで書いた自分の文章を読み返すと、やはりこの作品に魅力を感じてしまうことは避けようのないことだったと思えてきます!
アクトリーグ日本シリーズ関東ラウンド
アクトリーグ
スタジオアルタ(東京都)
2008/12/09 (火) ~ 2008/12/09 (火)公演終了
満足度★★★★
東西頂上決戦!テレビ放送決定!!
観劇させて頂きました。この日の公演は関東アクトリーグ覇者カルツと関西アクトリーグ覇者フィクションズによる日本シリーズ最終戦で、この日アクトリーグの2008年度の頂点に立つチームが決定しましたが、この日の公演は後日にテレビ完全放送!2008年12月27日(土)25:40~26:40の日時にフジテレビで放送されますので、気になられた方はそちらでどうぞ!!としか書くことがないのですが、もし御興味をもたれた方で、深夜の時間帯ですが眠い目を少しこすって観てみようかなぁ、と思われた方の為にこの日の公演のアクトリーグのルールなどと公演された作品の内容まではわからない程度の個人的な感想ならば書いても差し支えないかと思われますので、まだ少しだけ観劇記らしいものが続きます。御存知の方も多いかと思われますが、アクトリーグの基本ルールは、観劇されている方からいただいた「お題」をもとにその場で起・承・転・結を各3分ずつ使い合計12分のインプロ公演で両チームこの日登録された5人の選手により1作品創り上げられていきます。そして、日本シリーズのみのルールとして、この日は両チーム2作品ずつの合計4作品が上演されましたが、作品の発表は1作品目、2作品目の前に両チームから1選手だけ選ばれ、選ばれたもの同士が一緒にインプロ小作品を創り上げ、審査委員がどちらの選手が印象に残ったか判定し、勝利した選手の所属するチームが先攻・後攻が選べる個人戦がありましたが、選ばれた選手はアクトリーグではおなじみの選手なので、味わい深くも意地の火花を散した小作品が創り上げられていました!その上で両チーム本作品の1作品目を観劇させて頂きましたが、なるほど!ほとんど全ての点でほぼ互角の1作品目でした!しかし、個人的には両チーム「笑い」の点でも「物語としての作品の完成度」の点でもほぼ互角かと思えましたが、「笑い」の点においては東京ではすでに人気を確立しているカルツの方が若干「地元の利」を生かしたかもしれない気がする会場の反応でしたが、実は自分が「笑い」と言う点で笑い声を多く上げていたのは関西の覇者フィクションズの方でした!初めて観劇させて頂く関西のチームの関東アクトリーグにない感覚や作品の仕上げ方が、実に新鮮で魅力的に感じられました!それに対しておなじみの関東アクトリーグの覇者カルツの作品は、おそらく「笑い」と言う点でもフィクションズの作品と互角と思えますが、あまり笑っている余裕がなく、フィクションズと互角かそれ以上の作品が関東アクトリーグの時と同じように創れるか、若干緊張しながら観ていましたが、この日の運命の勝敗を決めたのは2作品目かと個人的には思われました。2作品目も両チーム各選手が持ち味を生かした異なるタイプの両作品を、審査委員の方々が何を最大の評価ポイントにされたのか?個人的には味わいの違う両作品にそれぞれ良いところがあるように思えましたが・・・気になる方はテレビ放送で御自宅を公演会場にしてみてください!最後に涙したものは、はたして誰なのか?自分はもちろん知っておりますが、ここまで読まれて結果が気になられた方は27日にテレビへと続いていきます!しかし、この日はアクトリーグを観劇させて頂いて初めて観劇後に疲れてしまいました!会場内は大きな反応に包まれていましたが、個人的には互角の勝負を展開する両チームの勝敗の行方が非常に気になり緊張しながら観ていたのですが、カルツに対する「素直になれない応援」だったのか、それともフィクションズに対する「浮気心」がはたらいたのか、運命の女神が微笑んだのはどちらにだったのか?気になる方はやはり「テレビ放送」を御覧になられることをおすすめします!星の評価はどうしようかと思いましたが、これだけ緊張しながら観劇させて頂いたのも久しぶりで若干観劇後疲れてしまったのですが、振り返ってみるとアクトリーグの公演は5つ星しかまだつけたことがなかったので、たまにはその点から個人的に減点させていただきます!しかし、テレビ放送されれば来年のアクトリーグの観劇株は大暴騰するでしょうから、テレビを観られて御興味をもたれた方は公演のチケットの御購入はお早めにされた方が無難かと思われます!個人的にはあと数年後には一番離れた客席から覗くように観劇させて頂くことになるのかなぁ、と思うと少し寂しいものも感じてしまいますが、来年もまた時間に都合がつく限り観劇させていただきます!
幻のセールスマン
舞台芸術集団 地下空港
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2008/12/03 (水) ~ 2008/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★
個人的には好きな感覚です
観劇させて頂きました。この作品は未来SF物語になるのでしょうが、個人的には音楽感覚をそのまま作品に投影したものに思えました。役者さんたちの台詞の交わしかたが、リズムテムポを刻むような感覚であり作品の展開もやはり音楽的に感じられました。役者さんたちの衣装からも古い年代の自分としては「テクノ」的に思えましたが、今だとどのような音楽が聴かれているのか知りませんのではっきりとはわかりません。しかし、全編その感覚かと思えば様々な音楽感覚が複合され、作品全体としてはちゃんと交響曲に仕上がっていました!作中には所々に古典的な手法も違和感なく取り入れてあり、個人的な感覚では面白い感覚をした作品に思えました!しかし、序盤から中盤にかけての台詞のリズム感覚が合わない方には少しキツイ面もありそうな気もします。未来を舞台にしたSFですから想像しようにも想像で補えない面もあり、台詞の一つ一つを聞き取り作品の世界観をイメージする必要があるかと思えますが、この台詞のリズム感覚が肌に合わないと台詞を丹念に一つ一つ追っていくしかなく、本作品の公演時間を考えると集中力が途中で途切れそうにも思えますし、その上で作品の世界観を想像するとなるとシンドイものを感じられる方もいそうな気もします。普段どのような音楽を聴き、興味があるかで聞き取りやすさが変わってくるような気もしますし、年代によっても肌に合わないものを感じられそうにも思えますが、舞台上から目を離さなければある程度わかりそうにも思えますので、なんとも言えません。うまく台詞が聞き取れるならば「面白い作品!」と思われそうですし、そうでなければ「良いものがあるだけにちょっと惜しい作品」となりそうな気がしますが、個人の好みや趣味的なもので若干評価がばらけそうな面もありそうな・なさそうな・・・正直なところ古い音楽しか知らない自分としては、他の観劇された方がどのような感覚を今は持たれているのか良くわからないので、ハッキリとしたことはちょっと想像がつきません。序盤から台詞が聞き取りやすく感じられたのならば、わりとイメージしやすい世界観なのでかなり楽しめそうな作品かと思えます。本作品を星で評価する時、今回は客観的な点からはちょっと作品がどのように思えるか判断しかねますので、個人的な感覚からでのみの星の評価です。しかし自分の観劇させて頂いた公演では全体的に若い方が多かった気がしますので自分だけかもしれませんが、「昔のアメリカ映画」や「MTV」をみてアメリカに憧れを抱いていた時代がある者にとっては、本作品に何か懐かしいものが若干感じられました。
ファインランドリー
IQ5000
笹塚ファクトリー(東京都)
2008/12/04 (木) ~ 2008/12/08 (月)公演終了
満足度★★★★
面白・摩訶不思議作品!
観劇させて頂きました。実はこちらの劇団のことは以前まで何も知りませんでしたが、10月に観劇させて頂いた作品にムシラセ69「シルバニアファミリア」と言う公演があったのですが、その作品の独自の作風が個人的に非常に気に入って今年観劇させて頂いた独自の作風の作品の中でも印象の強いものでしたが、そのような作品を書かれる方がどのような観劇を普段されているのか興味があり、大変失礼ながらMyページを覗かせていただいたのですが、そこにたった一つだけ書き込まれていたのがこちらの劇団でしたので、本公演を絶好の機会と観劇に行かせていただいたのですが、なるほど!独自のものを創られる方が興味を示すのは、これもやはり独自の作風の作品なのかと納得してしまいました!物語の構成・表現手法・演出など面白くも摩訶不思議な世界が創り上げられていました!本公演の舞台には全くと言っていいほど美術装飾はありません。しかし、繰り広げられる作品の世界観はどこまでも広がりをみせるばかり!何も大掛かりな舞台セットなどなく、一際目立つ表現・演出があるわけではありませんが、役者さんたちの演技・表現などだけでここまで広がりをみせる本作品には個人的にはやはり惹かれるものがあります!しかし、本作品の笑いの感覚は一般的なものではなく若干マニアックなもののような気がしますし、一瞬だけ考える時間が必要なものに思えましたが、それに対しては軽快を通り越してスピーディ過ぎ、観ている者の考える時間を超えているのではないか?と思えるところも所々あり、作品の展開が早い時は思ったよりも客席の反応が鈍かったようにも感じられましたが、一般的な通常のスピードの展開ならば客席の反応も上々で、やはりその面白さと楽しさは幅広く通用するものかとも思えます。と書いていながら、自分もまた本作品の手法・作風の面白さに夢中になり過ぎて、口元にまで力をまわしている余裕があまりなくニヤニヤとしている方が多かった気がしますので、勿体無いことをしてしまいました!しかし、この手法・作風は一回目より二回目・さらに三回目のほうが楽しさ・面白さが存分に味わえてくるもののように思えますし、個人的にもあと1・2作品観劇させて頂いた頃に本当の面白さがわかるような気がします!ひょっとしたら、中毒性の高い作風なのでは?とも思えてきてしまいました!本作品を星で評価するにしても、作品の本当の面白さの70%ぐらいしかわからなかったような気がしますので、今回の評価は何ら確信があってつけたものではなく、個人的な感覚で大体このくらいが妥当なのでは?と思えた星の評価です。しかし、独自の作風の作品は観る者各自の好みが評価に反映されやすい部分も強く、劇団の方々にとっては不本意な結果に終わることも多いかと思われますが、自分としてはそのような劇団があるおかげでいくら年を重ねても演劇鑑賞に飽きることがないので感謝しております!けれども、本作品は受身で観劇できる時間の割合が短く、風邪を引いてしまっている身としては観劇後少しグッタリしてしまい、会場を後にするとすぐにユンケルを購入し、その場で飲んでしまったことはここだけの秘密です。
あの娘ぼくがロングコート裸で着たらどんな顔するだろう
ぬいぐるみハンター
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2008/12/03 (水) ~ 2008/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
センスの良さがキラリ!!
観劇させて頂きました。前回公演と本公演と2公演連続で観劇させていただきましたが、相変わらずの抜群の発想力とセンスの良さがひかる作品でした!単純明快でありながらも柔軟な発想力の生かし方は実に魅力的で、2公演連続で「やられてしまった!」が最大の感想です!古い年代の自分には、「自由奔放な本作品」を大雑把にもジャンルわけすることが出来ませんが、もし本作品が映画作品ならばB級作品と呼ばれることになるかもしれませんが、一部の熱狂的なマニアの間でプレミアのついた高額価格で取引されるような作品かもしれません!そのようなわけで、本作品について自分が解説のようなものを加える能力は持ち合わせてはおりませんが、前回公演が「色彩的感覚」が印象的な作品ならば、本作品は「無機質な感覚」が印象的な作品でした!本作品全編に流れる「シュールな笑い」が観る者の笑いのツボに合うか、合わないかが本作品の評価の最大の分かれ目になることかと思いますが、前回公演を観劇させて頂いた時の反省を生かし本公演に一人で観劇に行かせていただきました自分としては、やはりありました!若い方には笑いたくても声をあげて笑うことの出来ない一部の場面でも、もはや恥じらいのない年代の自分は一人でゲラゲラ笑い転げておりました!本作品を観劇させて頂いた自分としては、この作品がいい作品か悪い作品か振り分けること自体極めて野暮なことに思える作品でしたが、一応星で評価するならば星4つかとも思えましたが、こちらの劇団が解散された後はこの感覚の作品は当分の間観劇することも出来ない気がしますし、またひょっこり復活公演が行なわれることを期待したいのであと星1つプラスさせていただきます!なお、完全に風邪を引いてしまっていた自分は面白がってロングコートを着て観劇に行かせていただきましたが、本公演には「ロングコート割引」はありませんでしたので、念のため!いずれ復活公演が行なわれることを期待してもおりますが、劇団の皆様方の今後のさらなる御活躍をお祈りしております!
SOLITUDE (本年度劇作家協会新人戯曲賞最終候補選出作品)
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2008/11/29 (土) ~ 2008/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★
鮮明な舞台空間!
観劇させて頂きました。本作品はハードボイルド作品とのことですが、個人的にハードボイルドの文学作品は数十年前に読んでいただけなので、かなり古い作品しか知らないのですがフィリップ・K・ディックの一連の作品に近い感覚のものも感じられましたが、なにぶん古いものしか知りませんので自信がありません。しかし、物語的には非常に興味深いものがありました。そして、もっとも印象に残ったのは抜群のライトの使い方でした!舞台上の光景のワンシーン・ワンシーンが実に鮮明に脳裏に焼き付きました!光と影の色彩感覚が微妙なところまでもが舞台上で表されていて、その光景がハッキリと思い出せます!しかし、この作品の作品構成は落合さんの発案なのでしょうか?落合さんのことが頭にありました自分としては開演後しばらくして即興集団E.D.O の作品構成手法だと気づき最後まで楽しめましたが、終演後隣に座られていたまだ若いカップルの方々が「話がよくわからなかった」と話されていたのが少し気になり、11月の「LongForm Project 2」の観劇記を書かせていただいた時に即興集団E.D.O の作品構成手法について少しふれさせて頂いたのですが、これから観劇をされる方で普段あまり演劇鑑賞をされていない方のために、あらためてもう一度書かせていただいた方が作品をより楽しめる気もしますし、逆に楽しさが半減してしまいそうな気もして悩んでしまいますが、もし本作品の評価が分かれるようなことがあればその点からなのでは?と余計なことと思いますが若干危惧しております。
よこしま
chon-muop
調布市せんがわ劇場(東京都)
2008/11/29 (土) ~ 2008/11/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
好みのど真ん中でした!!
観劇させて頂きました。この作品の舞台は、舞台と言うよりも長く広く設けたステージのようでそこにたった一つオブジェがあるだけなのですが、本作品自体がオブジェのような作品でした!基本的な物語はありますが、作品全体が抽象的でもあり、ある意味においては基本的な物語を構成する台詞・演技・表現・演出等が与えられているだけの作品とも言えます。そしてこの作品の所々では台詞と台詞の空白の時間を長く、回数も多めに取りこまれています。その間は役者さんが完全に静止していたり、動作演技をされたり、その背景に意味ありげな単純映像が投影されたりもしますが、個人的にはとても好みの作品でした!役者さんたちの演技、演出、台詞etc・・・全ての点で好みが揃った作品でした!完全に受身になり観劇されたならば、作品を知る手がかりとなる台詞は意味ありげではありますがシンプルなもので、空白の間も多く、演技による表現も抽象的なところもありますから、場合によってはわけもわからないうちに終わっていたことにもなってしまいます。しかし、少し身を乗り出して観劇しているとこれほど面白い作品もありませんでした!作品全体がオブジェのように意味ありげに仕上がっていますから、役者さんたちの台詞・演技などから頭の中で作品のイメージがどんどん膨らんでいく一方で、身を乗り出して観劇に夢中になっているうちに終演になっていました!本作品を星で評価するならば自分としては躊躇うことなく星5つの評価を与えますが、この作品の最後の仕上げの演出等は観ている者の頭の中で行なわれ完成されますから、どのようなイメージの作品が出来上がるかで評価もガラリと変わっていくことと思えます。極端な話、星1つの評価を与える方がいても最終的にそのような作品のイメージが思い浮かんだだけのことで、何ら不思議にも思えないところもあります。本作品がいい作品か悪い作品かは、おそらく誰も正確には評価出来ないことと思われますが、個人的には「面白くてしかたがない!」作品でした!しかしこの作品ズルイ手法でもあり、頭の中でイメージをどんどん膨らませていくうちに出演されていた女性の役者さんたちが全員実に可愛らしく思えてきて、公演タイトル通りに「よこしま」な感情も生まれてきてしまう罪な作品でもありました!
マクベスがいっぱい!
CAPTAIN CHIMPANZEE
ザ・ポケット(東京都)
2008/11/26 (水) ~ 2008/11/30 (日)公演終了
満足度★★★★
なるほど!マクベスがいっぱい!
観劇させて頂きました。この作品は役者さんが人生の選択を迫られながらのコメディー風の作品でした。個人的には役者さんの話で思い出すのは「ゴールデン街」と「思い出横丁」で飲んでいると隣の席に座った劇団の方々が交わされる演劇に対する熱い議論などですが、この作品で取り扱われている問題は「思い出横丁」の方で聞くことが多かった気がします。人生の一大選択とも思える問題ですが、酒場で交わされる会話の中には女性が聞いたらしばらく男性不信になりそうなマクベスそのものの会話も昔は多少ありましたが・・・そういった感覚にすっかり染まってしまっていた自分の感覚でこの作品を観ると、少しロマンチック過ぎるような気もしましたが、自分が観劇させていただいた席の両隣の席で観劇をされていたのは二人とも若い女性でしたが、作品終盤はずっと鼻を啜り上げていらっしゃいました。個人的にこの時、なぜ自分が恋愛もの・特に女性視点の恋愛ものがほとんどわかることが出来ないのか悟った気がしました。そして自分にもまた「マクベスの甘い囁き」が一瞬聞こえてしまいました。「これを利用すれば、女性の心を容易くものに出来るのでは?」・・・そうなのです、客席から舞台上の光景に純粋に涙する女性のすぐそばにも「マクベス」がいたのです。しかし、この作品を個人の好みから離れて観ると作中の柔らかい質の笑いにはロマンチックな話がもっとも合う気がします。作品を星の評価でする時、今回は個人的好みの点からはプラス評価は加えられませんが、今後の演劇鑑賞の予定に少しだけ恋愛作品も加えてみようかな?という気持ちになるだけの勉強をさせていただいた点から星半分プラスさせていただきます。この作品を観劇の御予定、あるいはどのような作品か御興味のある方は、間違っても自分の観劇記を参考にはされない方がいいかと思います。なお念のため申し上げておきますが、酒場で交わされていた役者さんの会話は昔の会話で、今の役者さんたちの会話ではないですから誤解されませんように!
MOTHER
劇団青年座
紀伊國屋ホール(東京都)
2008/11/21 (金) ~ 2008/11/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
お恥ずかしい観劇記ですが・・・
観劇させて頂きました。この作品は真っ向勝負のもので、直球一本を絶妙のコントロールで投げ分ける正統派と呼ぶべき作品でした。が、正直なところ自分には正統派の作品の観劇記を書ける能力はありません。観劇中に思っていたことは「面白い!」「笑っちゃう!」「さすが!」の3つのみでした。観劇記の文章を書こうにも、どのような文章を書いても文末には先の3つの言葉のいずれかで結んだ文章をひたすら繰り返すのみになってしまいそうです。お恥ずかしながら観劇記を書こうにも、抜群にコントロールされた剛速球の前に、何も出来ずに見逃しの三振状態です。普段いかにぼんやり観劇しているか、明らかになってしまいます。この作品の主要登場人物はいずれも名を知られた文豪・思想家ばかり!作品を読まれていない方でも十分過ぎるほど楽しめますが、作品を読まれた方ならば「あの作者が!・・・」とニンマリしてしまいます。個人的にもっとも笑ってしまったのは、戦後の文壇で重鎮として活躍し「門弟三千人」と謳われた佐藤春夫でした。あの佐藤春夫ですら、この作中の豪華な顔ぶれの前では一番の下っ端。生前のいかにも文学者の風貌をした顔を思い浮かべては、その立ち居振る舞いだけで笑ってしまいました。今回はなんともお恥ずかしい限りの観劇記ぽいものでしかないのですが、大目にみてください。
ニコルと月
劇団さかあがり
吉祥寺櫂スタジオ(東京都)
2008/11/22 (土) ~ 2008/11/23 (日)公演終了
満足度★★★★
なかなか・・・しかし一言
観劇させて頂きました。本公演の作品は、少し昔のアメリカ文学作品にあってもおかしくないような話をもとに現代を舞台に脚色したようなファンタジー・コメディーとでも呼ぶべき作品でした。物語としての面白さは少し古いようにも思えますが、かなり丁寧に創られていて場合によっては星5つの評価をする方がいてもなんら不思議ではないものです。ですが、本公演ではそれが最大限に生かせられていなかった気がします。役者さんたち個人個人の演技は何ら問題のあるものではありません。充分な水準以上だと思われますが、問題はそれを作品全体として考えた場合です。一人一人の役者さんの台詞・演技が自分に与えられた役割をはたしてはいるのですが、そこから先へ演じるところに少し物足りないものを感じました。台詞において感じたものを書くならば、役者さん各自の台詞はそつなくこなされてはいたのですが、会話として考えるならば不自然なものがついてまわりました。事前に相手がどんな台詞を話すか知っているから会話らしくなっている印象が強く、普通の会話の流れのように相手の言葉に対応して出てきた台詞として受け取れませんでした。そのため物語の進行が軽快に進んでいくと言うよりも、不自然ながらもどうにか進行していく印象が残りました。自分としては、まだ馴れていなかった部分があるのか、役者さん全員で集まりそれぞれの役回りに対応する形での事前の練習時間があまり取れなかったのかなぁ、と思えました。少し厳しく書いているかもしれませんが、役者さんたち各自の演技力に問題は何もありません。ただ作品全体として考えた場合においての「自然な流れ」というものにちょっと物足りないものがあっただけのことなのですが、その結果作品の物語性の魅力をさらに2倍・3倍にまで高めることが出来なかった気がします。この作品の内容で、観劇された方が何のためらいもなく星4つ以上の評価を与えられなかったとしたら、こちらの劇団にとっては本公演における最大の反省点かとも思えます。しかし、個人的にはこちらの劇団の構成の仕方は、高校野球を応援する心情のようなものがありますので、今後も公演活動での観劇に行かせていただくつもりですので、今回は次回作以降への課題に思えたものを書きこませていただきました。星の評価で本作品を表すならば星3つと星4つの間かとも思えますが、今回は良かった点からの評価を加えたものを星の評価とさせていただきます。個人的に今後も期待しております!
コレナンダパンダ
ATTENTION, PLEASE!
銀座小劇場(東京都)
2008/11/20 (木) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
いい作品かもしれませんが・・・
観劇させて頂きました。本公演で脚本、演出をされている山縣有斗さんの作品で10月に公演された『吾輩は人間である』を観劇し、こちらのサイトでも観劇記を書き込ませていただいたのですが、その時の作品が実に印象深い作品であり期待して本作品も観に行かせていただきました。本作品は決して悪い作品ではなく、むしろ良く出来た作品だと思います。しかし、なかなか興味深い話の展開であり、なかなか楽しい作品でもあり・・・個人的には丁寧に物語を創り過ぎてしまっていた気がします。いい作品だと思うのですが、その前に「惜しい!」と言う思いが自分としては観劇後に先に出てきてしまいました。求められるあらゆる点を丁寧に仕上げようとし、いい作品にまとめあげられていますが、作品の内容から考えると強烈な印象において少し物足りないような気がします。おそらく個人的には『吾輩は人間である』でのインパクトの強さと比べてしまっているのかもしれませんが、どこかの面を極める変わりにどこかの点を少し弱めてもよかったのでは?とも思えますが、そうするとこちらの劇団に期待する観客の求める作品とも違った作品にもなりそうでもあり、なんともある意味において評価のしにくい作品でした。どの視点から作品を評価するかで若干物足りないものを感じるか、ある角度から観た場合においてその点でもっと深く掘り下げた作品として観てみたかったと思うか、いい作品ではあると思いますがもう少しどこかの点だけを極めた作品として仕上げられたものも観てみたくなる、ついつい欲張りになりたくなってしまう「良いものを秘めた」作品でした。個人的には山縣有斗さんの前脚本作品『吾輩は人間である』の社会的問題を厳しく描きながらも心温まるエピソードを交えた作品と本作品を観劇した感想として、山縣さんのどこまでも社会的面を描いた作品をぜひ1度観劇してみたいと思いますが、この方はあらゆる面で万能型の脚本を書ける能力をお持ちなのかなぁ、とも思っています。本作品を星で評価するならば実に扱いずらい作品なのですが、前回の『吾輩は人間である』が厳しく評価して星4つに対して、今回は自分としてはちょっとおたくっぽい部分が妙に気に入ってしまった点を加えた星の評価です。