必ず訪れる日~石鹸工場~
かもねぎショット
ザ・スズナリ(東京都)
2010/11/03 (水) ~ 2010/11/09 (火)公演終了
満足度★★★
ふわふわとした感じ
宣伝文句の通り、出演者の個性もあり、
石鹸工場の大道具の仕掛けも面白かった。
ただ、石鹸工場でなければならなかったかな?
作家が造りだした架空の工場、というイメージが強かったけど、
演技はリアリティを出すような自然な演技だったので
リアルな工場でもよかったような気もします。
ネタバレBOX
一番最初のベルトコンベアのシーンがいきなり面白い。
4人のパートのおばさま方のやりとりが笑える。
全体的にすべての役の動機が薄い気がする。
工場長が英雄になろうとする動機も強く感じられなかったし
幽霊の成仏の仕方も、「その程度の解決で良かったのか?」と思えた。
個々の出演者は上手いし
笑えるところもあった(結構たくさんのお客さんが笑っていた)が
スカッと爽快に終わるためには、決め手に欠ける気がした。
ホームページで拝見したようなダンスの要素は今回はなく。
もうちょっと全体的に空間が動く舞台を観てみたかったと思います。
三人の魔女
劇団アルターエゴ
六行会ホール(東京都)
2010/10/27 (水) ~ 2010/10/31 (日)公演終了
満足度★★★
台詞が正統派
シェイクスピアの
「マクベス」からマクベス夫人
「ロミオとジュリエット」からジュリエット
「ハムレット」からオフィーリア
をそれぞれピックアップした話。
物語はマクベスに登場する三人の魔女が進めていく。
台詞はきちんと小田島雄志訳をもとにした、
正統派のシェイクスピアだった。
ネタバレBOX
ジュリエットを3人にした意図がよくわからない。
客演の方が忙しくて台詞が覚えきれなかったから?
最後だけ、
「もしもジュリエットが幸せを望んだら」
「もしもジュリエットが生きることを望んだら」
という創作部分でこそ、別行動を取ったが、
それまではジュリエットの台詞を3人でまわす。
もともとよく知られた話とは言え、
訳されたそのままの脚本は
初めて見る人にとっては台詞回しが難解なのに、
余計に理解が難しくなった気がする。
小田島さんのシェイクスピアは馴染みがあるので個人的には好きですが…。
男性の役者が女性に比べて随分見劣りする。
マクベスは姿勢が悪いし台詞は多くないのに噛みすぎです。
ハムレットは王子らしさがないし
父の敵を取ろうと執念に燃えている様子がまったく見えない。しかも
ポローニアスをクローディアスと間違って殺す、という大事なシーンを噛んだ…。
ロミオは台詞に感情が乗らない上、滑舌も悪い。
情熱も感じられず、「草食系ヤサオトコ」といった感じだった。
バルコニーにロミオが忍び込むシーンでは、
ジュリエットの方がつらつらと気持ちを込めて達者に喋るので、
その気がないロミオに言い寄る肉食女みたいに見えてしまった。
なにより、脚本がシェイクスピアのつまみぐいなのですが
(あまり原文を加工してほしくはない方ですが)
男性キャストの台詞回しに問題があり真意が伝わりにくかったのでは。
途中に転換ではさむ歌謡曲も世界観にマッチしてるとはいいづらいかも。
コロスをつかった転換のアイディアは好きでした。
三人の客演の方はさすがでした。
伊倉一恵さんは群を抜いて上手く、
難しい台詞も難なく伝わってきて、素晴らしかった。
皆口裕子さんは個人的に好きな方なので、
声を聞いているだけでも楽しかった。
全体的に女性キャストは緊張感があって、
いい演技を見せてくれる方が多かったです。
そういう劇団カラーなのかな?
センの風とムラサキの陽(池袋演劇祭・優秀賞受賞)
劇団バッコスの祭
池袋小劇場(東京都)
2010/09/30 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
3回連続受賞、おめでとうございます!
戦争モノだけど
オリジナルのフィクションを織り交ぜた作品。
戦争モノ特有のやるせない悲惨さはあまりなく、
きちんと主張が伝わってきて良かった。
舞台セットと、照明の色合いがとても好感。
演技の一体感も、劇団のチームワークと舞台への情熱を感じられて良かった。
池袋演劇祭の賞も3回連続となる受賞が決まったそうで、
おめでとうございます。
ネタバレBOX
わりとベタな、というか基本の笑いをしっかり取れるところに
役者の実力を感じる。それぞれ呼吸があっていて、
スムーズに話に入り込めるし、安心感がある。
前回は殺陣をみせてくれたけど、今回はなし。
動きも身体ができていて、いい。いろんな表現、いろんなインパクトがある。
劇団の良さをしっかりもったグループだと思う。
ちょっと気になる点を挙げると、
途中、仁科が研究を辞めて、戦闘機で出撃するくだりから
ちょっと展開が突然すぎるかなあと感じた。
主人公の名越も、いきなり熱血に切り替わったように思える。
それから、日日新聞の記者がキレイな女性なんだけど、
「アンタまるで未来人だな」という台詞が出た時は一瞬、実はそうなんです!
みたいな展開になるのかと想像してしまうほど、スマートでクレバーで
ちょっと時代にそぐわないかなぁという印象。
でも、今回の日本も原爆を研究しているという話、構成は好印象。
気の利いた台詞も展開も好み。尾を引く悲壮感がなく、優しい話だった。
だから主張がストレートに伝わりやすい。
個人的には
特攻を志願する主人公の、
特攻に対する心情の吐露は共感だった。
戦時中の作品を演じるとき、
本当に生きるか死ぬかののっぴきならない状況で
いったい自分だったらどうするかを
役と向き合って真剣に考えるのが
役者や演出家の務めであると思う。
それをしっかりやっている感じがした。
また、
「悪魔を眠らせて、生まれ変わらせてやるんだ」という
主旨の台詞のセンスが好きだった。
池袋小劇場はもう何年も来てなかったけど、
間口が広くて、劇場の大きさの割には舞台の広がりを感じられて良かった。
セットの組み方も良いおかげで、客席もしっかり舞台空間に取り込んでくれる。
背もたれがないのと、クッション有りとはいえ、イス自体が硬いので
ちょっと尻はいたかったけど…。
舞台の使い方も良いし、装置も良いし、
暗転を多用しない工夫が勉強になりました。
お肉体関係
ぬいぐるみハンター
王子小劇場(東京都)
2010/07/28 (水) ~ 2010/08/01 (日)公演終了
満足度★★★★
不思議な話
こういう内容の脚本を書ける人の頭の中っていったいどうなっているのだろう。
意味がわからなかった。
わからなかったけど、よくこんだけ作ったものだなー。
おもしろかった。登場人物の中に、友人に似たキャラクターもいて余計に入り込めたのかも。
きっとこの舞台のテンション、日によって違うのだろうけど、
今日の昼の回はちょうどよかったと思う。心地よいバランスがとれていました。
おつかれさまでした。
ネタバレBOX
あの夫婦がゾンビを持ち込んだというくだりは個人的にはちょっと。。。
「ゾンビ」ってなんかの暗示だとずっと思ってみてたんだけど、
あれはこの話の中の設定のひとつってだけでしかないのかしら。
舞台装置かわいかった。
衣装の色のバランスもとっても良かったです。
今後に期待が持てそうなので★4で。
LOVE YOUR LIFE
readymade foundation
pit北/区域(東京都)
2010/07/21 (水) ~ 2010/07/25 (日)公演終了
満足度★★★
戦争もの
以前、朗読劇はセリフ劇より難しいかもしれないと
ベテランの俳優の方から聞いたことがあるが、
その意味がわかった気がする。
戦争モノは非常にバランスが難しい。
最後のフリートークまでいなかったらあまり印象が良くなかったかもしれない。
ネタバレBOX
当然ながら若い人たちは戦争など経験したことがない。
それでも脚本にある残酷な事実を表現しなければならないが
役の置かれたあまりの過酷な状況を前に、入れ込みすぎて、説教臭くなる。
それに押し付けがましさを感じて、観客が戦争モノを避けるようになっていく。
この舞台もそうなりそうな感じがしたが、
ジャーナリストの男性を演じた方の冷静な演技が温度を下げてくれたことと
最後の主催の方のフリートークを聞いたので印象が上がった。
若い人が戦争モノに挑戦するという気概は素晴らしい。
個人的に、人間が生きるとどこかで必ず戦争は起こると思うが
それを文化の力でとめるということは、芸術の究極の使命であると思う。
それを真っ直ぐ語れる主催の姿勢がとても好感を持てた。
ただ、フリートークに参加してなかったら★は二つだったかもしれない。
だからこそ舞台の中で、その誠実さや素直さに変わる何かを示してほしいと思った。
なるべく公平にと書かれた脚本だとは思うが、
遠い戦争を描いているとはいえ、思想はデリケートな問題。さまざまな視点が必要だと思う。
今回も事実を積み重ねているのだろうが、やはり一方的だと感じる部分もあった。
戦争モノは見る側も、無条件で無批判になりがちである。
どうしてもつらかったりかわいそうな人たちを出されると同調しなければならない気になる。
観る人の哲学や判断も大事になる。
また舞台を作る側の人々が、もっといろんな観方を提示するべきなのだろう。
戦争についての舞台も作っていかなければならないのだと感じた。
考えさせられる一日になりました。
[※25日(日)13:00追加公演決定!!] 脳内TRIPアルゴリズム!!
オッセルズ
シアター711(東京都)
2010/07/21 (水) ~ 2010/07/26 (月)公演終了
満足度★★
むむむ
うーん。楽しめなかった。
コンセプトがむずかしいところ。
いまはお笑いブームで、テレビでプロのお笑いのコントを見ることができるのに、
劇場まで来てお金を払ってまで見るというのはけっこう大変なことだと思う。
もっと劇場に特化したなにかを探さなければだめなのではないかな。
以前ミラクルシアターで見たときは、ダイナミックさがあってもう少し笑えたのだけど、
今回は…これならテレビかな、と思ってしまった。
ネタバレBOX
ケンタッキーとマックの話は、良かった。
MACの女性がとても良かった。
圧されて促されるケンタッキー派とのやりとりに
ライブならではの良さを感じられた。
また、女性陣をバイクに見立てたシーンなんかは
舞台でしかできない表現で良かった。
女の子にドア越しに向かって「やらせて」という話は趣向が面白い。
時間が少なかったのか、今回は全体的に笑いまで昇華してないものが多かった気がする。
また劇場はミラクルシアターみたいに横に長い方がたぶんよかった。
シアター711は初めてきたけど、タテに長いので
後ろに座るお客さんまで笑いの波を届かせるのは難しいと思う。
役者は達者な方が多いので、もっと演出のスパイスをきかせてもよかったかも。
のばら心中
蜂寅企画
シアター風姿花伝(東京都)
2010/06/03 (木) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
満足度★★★
着物の女性は良い。
着物と言うのはとても艶かしくて良い。
白菊の一番最初の入り方は良かった。
それだけに、あのように印象的な演出に耐えうる女性陣がいるのだから
大見得を切らせるシーンがもう少し入っても良いのではないかと思った。
男性陣にはもう少し頑張ってもらいたかった。
展開や、人物の絡み合いはシンプルでわかりやすくて良かった。
言葉も光るものがある。
それだけに、心情を表す演技がとても大切になると思う。
ネタバレBOX
絵師で遊郭にもぐりこんだあの男が、
どこまで本気で遊郭に残りたいのかわからない。
左手なら差し出すというのが
師匠や兄弟子たちを見返すために来たというのでは
説明のつかない演技だった。
絵を書くには左手は必要だし、その後
師匠に認められて白菊を裏切る段でも、男がどこに思い入れがあるのかわからない。
絵か白菊か意地か、どれを取りたくて、現在どの葛藤にとらわれているかを
台詞の無いところで描くことができないと、あの役は非常に難しいと思う。
女性陣の物腰が丁寧で、それなりにピシッと決まっているので
なにか心にひっかかるオトコと言うのでなければ、釣り合いが取れない。
優柔不断な男を演じるにしても、心に何かを秘めていなければ。
話の柱となる人物ならば特にそう。
男性陣は花魁とは別の、時代劇としての動きの様式美が欲しい。
どうにも現代人ぽい。あと、もう少し声張ってもいいかと思う。
男と言っても、オカマの俳優の方は良かった。
また、白菊が死んだあとののばらは、もっと寡黙な演技に重厚感が出るとよかった。
自暴自棄になってる風なのだが、それ以上の何かをもっと観客に感じさせることができそうだ。
それでこそ主役、どこまで思いつめてあのような行動に出たかを
観客は納得することができる。
盛り上がるシーンを、もっと大胆に山を作っても良いかと思いました。
なんたって時代劇だもの。今回はちょっとすんなり行き過ぎちゃったかなと。
ライオンキング【東京】【2023年1月22日昼公演中止】
劇団四季
四季劇場 [春](東京都)
2000/01/01 (土) ~ 2016/05/28 (土)公演終了
満足度★★★★
そうかぁ…。
出演者が違うとこうも違うものか。
値段も前より下がったようだが、若い人にまかせるようになったのか、
全体的に甘い部分が見られた。
ラフィキの一番最初の歌で度肝を抜かれたものだが、俺が慣れてしまったのか?
その他、ダンスがそろってなかったり、噛んだり…
平日だったから?満席じゃなかったから?
ちょっと四季にしては声が出てないと感じる俳優が多くてびっくりした。
方向転換したのかしら。
下村さん達がスカーやってた時と比べるのは酷かもしれないけど。
セットや照明や演出は相変わらず凝っていて素晴らしいのだけど、
やっぱり俳優の力が大切なのだなとしみじみ思った。
それでも迫力はあるのだけど…。
ネタバレBOX
小さい頃のシンバとナラが禁断の象の墓場に足を踏み入れ、
ハイエナに襲われた時に助けに入る時の演出の迫力は素晴らしかった。
あと前も思ったんだけど、
雌ライオンの涙はちょっと笑えてしまう。哀しいシーンなのだけど。
キャストの名前は確認してないのだけど、
大人になったナラと、プンバァの俳優さんがよかった。
『あぁ、自殺生活』 ~ ありがとうございました。次回は下北沢楽園にて6/1(金)&6/20(日)に上演致します。
劇団夢現舎
新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)
2010/05/13 (木) ~ 2010/05/26 (水)公演終了
満足度★★
長く感じた
劇場の雰囲気も入場券も良かった。
だけど長い。
話の中で発想が面白い箇所もあったが
二人の関係と演技のリズムがパターン化しており、ちょっと飽きる。
クライマックスの盛り上がりはよかった。
ネタバレBOX
序盤から中盤にかけて、
背の高い俳優の方が心理的な動きがほとんどない。
理屈、屁理屈のやりとりが長く続くが、展開による心理的な積み立てが見えず
頼道役の一人相撲パターンが連続するので、
役者としての反応は上手いのだが、役に興味が持てず飽きてしまう。
心理戦やかけひきなど、お互いが状況によって少しずつ変化していく部分が中心じゃないと、二人芝居ではなおさら見ていて辛い。
クライマックスはさすがの盛り上がりだったが、
あのエネルギーを常に内在するのは容易でないとしても
この値段なら、話を短くしてでもやってもらいたい。
ユーフラテス/Euphrates<舞台写真を少しずつ公開し始めました>【公演終了いたしました。ご来場頂きました皆様、どうもありがとうございました!!】
一徳会/鎌ヶ谷アルトギルド
atelier SENTIO(東京都)
2010/05/20 (木) ~ 2010/05/23 (日)公演終了
満足度★★★★
難解
むずかしい!正直、話が難しい。
筋は分かるけど、難しい。
出演者の力量は素晴らしい。
よくわからなくてもなんでも、世界に引きずり込まれる。
また、舞台装置や道具のアイディアが卓越しており、
演技の演出も、思いついてもあんまり実践しないことを
ガンガンやってくれます。
前回もそうですが、前島さんという役者は非常に力のある方だと思います。
盛り上がりはもちろん、静かな台詞も聞かせてくれます。
最初から最後まで、強弱、緩急、声と体を制御できている。
うらやましい。
ネタバレBOX
なぜ、死んだはずのアニマ(不倫関係の教え子のK)は男として現れたのか?
「アニマ」とは単なる人の名前ではなく、心理学でいう男性の中の女性像の意味もあり、
舞台に出てきたのは助教授のOの「アニマ」だからなのだろうけど、よくわからない。
結局、女ではなく男として出てきたということは
助教授Oは、自分を正当化するアニマによって妻と別れてほしいと迫る教え子Kを殺し、不倫の清算を迫る妻と家族を殺したということなのだろうか?
スコップが統一した象徴のように出てくるが、それは何を示すかわからなかった。
最後は背びれのようにスコップが背中から生えていた。
はじめから助教授は手にスコップを持っていたが、魚を象徴しているのだろうか。
最初、助手が酸素マスクのようなものをしていたし、
先生も最初の説明で「魚のように口をパクパクさせて酸素を取り込め」というようなことを言っていたので舞台は水の中、なのか。
土は事象を覆い隠す助教授Oの心、か。
いろんなことを考えるが、かっちりハマる正解がわからない。
なんとも難しい。答え合わせをしてほしい気分になる。
金曜の夜のトークでなら、それが聞けたのかなあ?
RAINBOW!
演劇集団ゼオン
相鉄本多劇場(神奈川県)
2010/05/15 (土) ~ 2010/05/16 (日)公演終了
長い…
2時間は長い。
1時間でゆうにまとまる内容。
俳優はそうでもないが脚本がしんどい。
主人公の行動に芯がなく展開が煮え切らない。
ネタバレBOX
途中で苦悩の末、周囲の主人公に対する記憶が失くなってしまう約束で「生まれたばかりの状態」に戻るくだりがあるが、
父と母の実情を知った途端、さも当然のように「やるべきことがわかったから元に戻してくれ」と叫ぶ。
すると当然のように全てがなかったことになる。この展開はちょっとひどい。
ドラえもんの秘密道具だって何でもありだけど話のルールは守っているものだ。
いきなり脈絡のない質問や突発的な言葉が多く、台詞と展開がすべてご都合。言葉で状況を説明することが多すぎる。
また、話があちこち飛んだり余計なエピソードが入ったり
言いたいことが重複したシーンが多く、間延びしている。
俳優はすべてがだめというわけでもないのに生かされてない。
スペースも使い切れてない。
あまり厳しいことを言うのも気が引けますが、
実際作り手が言いたいことをいうために、物語が犠牲になっている。
お金を払っているはずの客が寛大な理解を求められるのは…?
ミブロ! ~新撰組転落記~
劇団バッコスの祭
アドリブ小劇場(東京都)
2010/05/13 (木) ~ 2010/05/19 (水)公演終了
満足度★★★★
素直に面白かった
自分自身がコンディションが最悪で
ユンケルを飲みながらどうにか舞台を観たんだけど、それでも面白かった。
俳優の質も配役もとってもいい。
小劇場ではだらしない俳優を見せられることが多いけど、
きっちり努力が感じられたし、誠実な舞台だった。
欲しいところで十分なエネルギーを出すことができるというのはとってもいい。
役も俳優も個性的で魅力的だった。
ついでに劇場のことも言えば椅子がいい。
ケツが痛くないのは久しぶりだ(笑)
前に見たのは三年前だけど、この劇団は確実に進化している。
なんだか早く自分も舞台がやりたくなった。
ネタバレBOX
全体的にとっても観やすくておもしろかった。
テンポもよかった。それぞれの役の呼吸もあっている。
あえて言うと、体調がわるい中で見たためか
近藤勇が新撰組の局長になったあたりから、長く感じた。
盛り上がるところが少し早かったのかもしれない。
そこまでは話自体が非常にシンプルでわかりやすいけど、
斉藤が新撰組の仲間に銃を向けられるあたりから、
精神論的というか、苦悩を明らかにし始めるのだけど、
ちょっといろいろ入り混じって筋を追いにくくなった。
どれを主眼においていいかわからない感じ。
そしてちょっとだけ殺陣と斉藤一の行動に飽きが来るかな…。
それはそれとして面白かった。
最近見た小劇場の中では一番面白かった。
あんまり新撰組の話とかに興味はなかったんだけど、
きちんと思想の違いや、そういうことを解釈した上での再構築だったので
とても面白く観ることができた。爽快でした。
KIND
劇団伍季風 ~monsoon~
アイピット目白(東京都)
2010/05/01 (土) ~ 2010/05/04 (火)公演終了
満足度★★★
初日行きました。
初日、見に行きました。
まだ温まっていないのか、ちょっと噛みが。
全体的に良い感じですが安定しすぎていて、
もうちょっとアクセントを強く入れてほしいなという感じでした。
ネタバレBOX
一郎の奥さん、郁子の離婚の動機がいまいちよくわからない。
息子の一輝の言っていることは理解できるんですが、
郁子の、子どもたちに言われないと気づかない云々…の台詞は
奥さんの立場から言うものではなかったような気がします。
病院長の富田のガン告知があいまいなので
深刻になっていいのかわからなくて(いつひっくり返されるんだろうと思ってしまい)
クライマックスの長女の告知のシーンでは泣いていいのかわからない感じ。
ガンのことでヘビーな話し合いの後に、一千万の宝くじのオチで締めたのは
息子の父親に対する真剣さが薄くなってしまうような気がしました。
ただ、ラストに院長の娘が電話を取り次ぎに来たけど、
もしかしてあれはやっぱり一郎はガンじゃなかったというラストなのかなと。
全体的に演技が安定していて、落ち着いて見られる感じでした。
Invisible/インヴィジブル 〈舞台写真の公開はじめました!〉 【無事終了いたしました!ご来場くだすったお客様、ありがとうございました。】
一徳会/鎌ヶ谷アルトギルド
d-倉庫(東京都)
2010/02/05 (金) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★★★
熱い芝居を見た
実家が田舎で
閉鎖的な社会が出来あがっているので
感じるところがあった。
台詞に不思議な休止があり
方言を使わないのに
独特な雰囲気を醸し出している。
この小屋のサイズで
久しぶりに芸術的な演劇を見た。
出演者も真摯で情熱が伝わってくる。
台詞のリズム、
ハッとさせる引きつけ方、
勉強になりました。
これで2500円は大満足のお値段。
ネタバレBOX
主役の方の演技がとにかく秀逸。
身体と台詞の安定感が抜群で、ブレない。
切り替えも早く、語りも素晴らしい。
声もいいし、どっしりとした迫力もあるし、顔立ちもいい。
演出も素晴らしいが
この人だけでもお金を払える。
芝居について少し残念なところをあげると、
劇場の天井が高くて
残響があり、台詞が一部聞き取りにくいところがあった。
出だしで消防団の人々が湖をさらうところは
言葉遣いも古くわかりづらい人もいるので
特に丁寧に届けてほしいと思います。
また、犯人の告白がの後、
探偵さんが和装するシーンで
着替えに気を取られて
台詞が宙ぶらりんになってしまっていたので
一番盛り上がったシーンの後だけに
拍子抜けの感がありました。
それにしても、良い舞台でした。
戦国 SHINOBI -忍・偲- 満員御礼
劇団ヘラクレス
明石スタジオ(東京都)
2010/01/22 (金) ~ 2010/01/24 (日)公演終了
満足度★★★★
心地よい
主役の汐崎アイルさんが爽快で気分がいい。
独自の世界観があって、いい男だけどイヤミなく見れました。
アクションの力の入れ方も、凄まじい汗も、すがすがしかった。
潮見勇輝さんも体格からは創造できない流麗な動きと
体の安定感から生まれる威圧感がとても素晴らしい。
これは劇場の問題ですが、座席の段の高さがあまりなく、
前に背の高い人が座ると、見辛いシーンがあるかもしれません。
ネタバレBOX
話はむしろ単純で、わかりやすく
それだけにヒーローものの最後はだれでも想像がつくけど、
そのとおりの展開になっても満足できました。
倒した瞬間に拍手したくなったくらいに(笑)
演技力と殺陣の実力と声量の差が、俳優によって差があるのは
少し気になりましたが、全体的にそれを払拭するエネルギーで
素晴らしいチームだと感じました。
荒削りなところも味だと思わせてくれる。
それぞれにプライドをかけて舞台にあがっているのがよくわかり
俳優同士の真剣なぶつかりあいがとても良かった。
エンディングでは素直に拍手できました。
楽日も怪我に気をつけて、大成功の舞台にしてほしいと思います。
あと個人的に、ことぶき和子、頑張ったなあ。
ヤマト版 仮名手本忠臣蔵
笑劇ヤマト魂
ザ・ポケット(東京都)
2009/12/09 (水) ~ 2009/12/13 (日)公演終了
満足度★★★
情熱は感じる
まず最初のシーンからセリフがいきなり聞き取れないのは
ちょっとつらいです。音量とのバランスがとれてなかった。
迫力を出すために音量をあげるのは心情的にわかりますが、
セリフが聞こえ辛いとなんせ話に入りづらいし、迫力に欠ける。
前半は音楽とセリフがかなりかぶっているので、
調整してほしかったと思います。
ネタバレBOX
抽象的な台詞で話を進行するには、
状況を伝える技術が足りないかもしれません。
それならばもっと直接的な表現がよかったかなと思います。
まだるっこしい表現が多くて、頭の中で変換しなければならないセリフ、
心情が多く少し疲れます。
物語は、話の本筋を太くするべきじゃないかと感じました。
軽いところと、マジなところの境界があやふやで、
その違和感の解決も、脳内で変換する労力が必要でした。
たとえば
解散がゆるかったのに最後にあだ討ちに至る心情の変化の理由が薄かったり
清水なんとかが吉良についた理由がわかりづらかったり、
繰り返しが多かったり、盛り上がり部分を最後に集中させすぎたり。
総合時間が長いからペースをもっと吟味して調整してほしい。
最後の盛り上がりは良かったので、
途中からだんだんと高めていってほしいと思いました。
衣装はよかったけど、やっぱりスニーカーは日常すぎて緊張感がないので
せめてレザーブーツで統一するとか、工夫がほしかったです。
ともあれ、おつかれさまでした!
Se eu Pudesse
グーフィー&メリーゴーランド
アイピット目白(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★
ちょっとひどい
江戸時代の喋り言葉にしたために
セリフに感情をのせる技術不足なのがもろに伝わって、
話に入っていく下地ができないまま進行した感じ。
とにかく場面転換が多く
必要のないシーン、必要のないセリフが多い印象。
やたらスモークをたいていたけど
それも必要なかったのでは…
頻繁に下手からモクモクとスモークがあがり
気になってしょうがなかった。
物語の、説明の足りない部分と
説明の多すぎる部分があってバランスがわるく、
また、話の整合性のとれていないところもあり
全体的にエンターテイメントとして仕上がっていないと感じた。
これで前売り3200円は高すぎる。
ネタバレBOX
タイムマシンを使う話では
お客さんに「こうしたらいいじゃないか」
「この瞬間に戻ればいいじゃないか」と思われないように
さまざまなルール付けを行わなければならないと思う。
クライマックスで殺された人が
すぐそのあと過去に戻って生き返ったという終わらせ方は
話そのものを茶番にする。
じゃあドタバタやってたところも結局無駄じゃんという。
よっぽど上質なギャグにするならまだいいのだけど
大団円のために役を犠牲にしているように感じた。
堕ちて逝く羊の寓話
劇団40CARAT 【第36回公演『ダーリン×ダーリン×ダーリン』9月15日[金]~9月17日[日]阿佐ヶ谷アルシェ】
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2009/11/18 (水) ~ 2009/11/23 (月)公演終了
満足度★★★
独特な世界
まず劇場の特性なのだと思いますが、
後ろの席は見にくかったです。男の人が前に座ると、中央にセットしてある
理髪店の椅子の下が見えない。残念ながらしゃがむ演技が見えませんでした。
物語ですが、結構難解。
話自体が難しいというわけではなく、手法が解りにくい。
ほぼすべての登場人物が九州の言葉をしゃべるのですが
知っているので理解はできるが、うまく喋れている人はいいのですが
感情の乗り切らない俳優がいて、何を喋っているのか伝わりづらい。
方言がこの物語に良い効果をもたらすのはわかりますが
物理的に伝わりづらかったなあという印象。
お話が1時間50分と長いので、
展開がスピーディであってほしいのですが
まだるっこしく喋るシーンが、わるい意味で長く感じられました。
独特な世界、というかストレートに出来事を表現する舞台じゃないので
なおさら、元のシンプルなストーリーを伝えるということに
俳優が執念を出さないと、ほんとにわかりづらいと思います。
うさぎの衣装とメイクがとても可愛かったのと
馬姫様はとても綺麗だし妖艶でよかったと思います。
メイク…といえば、個々にまかせているのか、
人によってずいぶん上手さにバラつきがあるように思いました。
ストイックだよ全員集合!
Theatre劇団子
ザムザ阿佐谷(東京都)
2009/11/18 (水) ~ 2009/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★
俳優さんがうまい
物語は無理矢理なカンジが少ししました。
いろんなキャラクターがいてそれぞれ楽しかったんですが、
物真似のうまさだけではなく、
背景を利用した絡め方ができたのではないかと少し思いました。
確かに、それぞれの生き方に基づいたエピソードが出てくるのですが、
脚本のためにそれを消化しているように感じる部分がありました。
はじめて劇団子さんを拝見したのですが
俳優の方々のレベルの高さを感じました。
物真似もうまい!
劇場は少し寒くて、隣の人との間隔もせまくて見づらいかと思いましたが
俳優さんの魅力と興味だけで最後まで気にならずに見れてしまいました。
ネタバレBOX
最初に集まった時から、自分が一番抜けたいという人たちばかりで
この会議はまとまらないに決まってるけどそれをどう解決するんだろう、と
楽しみにして見てたんですが、
後半で太宰治の「この会議では結論なんか出るわけないんだ」と
いうセリフにいまさら何をっ!と思いました。
最初に想像できた一番ストレートな終わり方でした。
どう裏切ってくれるかと思っていたのですが…
物真似はうまかったですねー
校長と6番さんは特によかったです。
一番笑えたのは4番さんでした。
8番さんは…岡田有希子だったんですね。
一緒に言った人に言われなければわかりませんでした。
ネットで顔検索したら…似てる!
あとは全員わかりました。
他の方々の感想を読んで、
期待と可能性の大きな劇団なのだと思いました。
また違う作品で見に行きたいと思います。
天使を汚す
ロスリスバーガー
RAFT(東京都)
2009/07/17 (金) ~ 2009/07/19 (日)公演終了
満足度★★★★
とにかく暑苦しい
暑苦しい。もうほんとに暑苦しい。
暑苦しくて、ばかばかしくて、ひどい。
それがほんとに面白かった。
約1時間で1000円という試みはとてもいいアイデアだと思いました。
この値段でこの面白さなら納得です。