恋におちたシェイクスピア
劇団四季
自由劇場(東京都)
2018/06/22 (金) ~ 2018/08/26 (日)公演終了
満足度★★★★
スランプだったシェイクスピアが恋をして「ロミオとジュリエット」を書いたお話と聞くと、どこかの小劇団の怪しい演目だと思いますが、1998年のアメリカ映画「恋におちたシェイクスピア」はアカデミー賞を7部門で受賞する傑作となりました。権威に負けてアマゾンでビデオを観ると(199円)美しい映像とシェイクスピア愛溢れるストーリー展開に一気に最後まで観てしまいました。
舞台は2014年になってロンドンで上演され、日本では本公演が初演です。劇団四季ですがミュージカルではない普通の演劇です。歌は大きな場面の変化のときにBGM的にアンサンブルの方のコーラスが流れるだけです。
舞台装置は当時の3階建ての劇場が基本でそれがアレンジされるだけです。センスの良いものですが劇団四季にしては安普請でちょっとがっかりしました。しかしその舞台が回って劇中劇の「ロミオとジュリエット」を裏と表から見せてくれたのはなかなか新鮮でした。ちなみに舞台を回すのは人力です。ロングランになればお金をかけるのでしょう。
映画ではシェイクスピア役のジョセフ・ファインズの独特の雰囲気が作品に深みを与え、ヴァイオラ役のグウィネス・パルトローの圧倒的な美しさが華やかさを作っていましたが、この舞台では上川一哉さんも山本紗衣さんも明るくややコミカルな若者なので雰囲気はまるで違います。映画のイメージを捨てて別物として観るのが吉でしょう。ストーリー的には映画と基本的に同じです。
シェイクスピア好きの方はとりあえずレンタルビデオだけでも観ることをお勧めします。作品中のセリフのように「役者が自分のために演じてくれる」臨場感が恋しくなったら劇場に足を運びましょう。8月26日に一旦終了し、京都に行きますが、10月12日にまた東京に戻ってきます。
あなたも知らない舞台裏
バードランドミュージックエンタテインメント
新宿村LIVE(東京都)
2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★
主人公呉原の過剰なやさしさにイライラさせられたり、A(役名失念)の怖さにビビらされたり、B(役名失念)の色仕掛けのリアルさに固唾を飲んだりで、役者さんと個々の場面には楽しませてもらいました。
しかし全体としては既視感溢れる芸能ゴシップでした。全編にわたる嫌悪感と後味の悪さを楽しむものかとも思うのですが、それも中途半端で何がやりたいのか分かりませんでした。
マナナン・マクリルの羅針盤 2018
劇団ショウダウン
シアター風姿花伝(東京都)
2018/08/11 (土) ~ 2018/08/16 (木)公演終了
満足度★★★★
「マナナン・マクリルの羅針盤」を観劇
リアル北島マヤでしたね。
正直、最初の15分くらいはたくさんの役を演じ分ける軽業的面白さしか感じず、これで2時間はきついなあと思っていましたが30分を過ぎるあたりからすっかりのめりこんでしまいました。ただし私はファンタジー物は苦手なのとセリフが早口で聴きにくいところがあったり噛みが多かったりしたので満足度としては4つ星に留まります。
セリフだけを聴いていると落語にも聞こえ、リズムのあるところでは講談にも聞こえました。張り扇風にパパンパンパンと音を出しながらしゃべるところがあっても良いんじゃないかと思いました。
疑惑の教室にて
カスタムプロジェクト
調布市せんがわ劇場(東京都)
2018/08/10 (金) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
大千秋楽に行ってきました。
主宰が「ネタバレ解禁」を宣言されたので、たくさんバラすことが応援になると思います。ちなみに私は0点(笑)。
それから来年も同時期に「高層ビル立てこもり事件で人質に紛れた犯人を捜せ」というのを催されるということなので、来年の対策としてこの劇団の考え方の特徴をまとめておきましょう。訂正補足を歓迎します。
コナンさんの解説を前提に書きます。観てない方にはチンプンカンプンでしょうがお許しください。雰囲気だけでも伝われば幸いです。
②推理パート
配られた捜査資料の封筒を開けると資料と解答用紙が入っている。
問題1 第一夜の殺人ではどうやって足跡を残さずに犯行ができたのか。
問題2 どうやって高校生探偵を殺したのか。
問題3 番長は誰か。
問題4 どうすれば外へ出られるのか(以下の暗号文を解く必要があることが示唆される)。
暗号文は以下の3行
山荘か空想
時風と滝の月に
奇跡の大予想
実際は縦書きでふりがな付き。さんそう、くうそう、じふう、たき、つき、きせき、おおよそう。
③解決パート
解答1 チョークの粉をまいて足跡を消した。更にバラバラにした人形を置いてその上を歩いた。
採点基準:前半だけでOK
解説1:15分経過するとヒントが告げられるが「資料の写真を見よ」ということだった。バラバラの人形と白い粉がまかれた状態が写っている。
対策:穴があくまで写真を見よう。場所が学校という特殊性を考えよう(これは実際は無理だなあ)。
解答2 秘密の抜け道を使った。
採点基準:理由はいらない。
演劇パートを振り返ると:
1.一同がいる場所では南十字星が見えているのでおそらく沖縄であろうと意見がまとまる。北極星が見えないという人もいる。
対策:実際は南半球なので、一応の結論が出ていても、理由が曖昧ならば、その結論は信じてはいけない(むしろ間違い)。
2.正午に太陽の方向を確認する会話がなされる。
対策:南半球なので太陽が見える方向は北なのだ。ミスリードでもあるが「何か方向にこだわっているな」という注意喚起でもある。
3.「通路の北側に抜け道がある。抜け道は一つだけ」という事実が主催のウサギから告げられる。建物見取り図の上側に抜け道が発見されるが行き止まり。
解説:ここはこういうことらしい。
我々:結局抜け道は2本あったじゃない。嘘つき!
ウサギ:あんな行き止まりを勝手に抜け道と呼んだお前らが悪い!
我々:捜査資料にも抜け道と書いてあるぞ!
ウサギ:捜査資料なんてお前らの言動を誰かがまとめたものだ。わしゃ知らん!
対策:抜け道を通る以外に方法がないので、南半球云々は分からなくても正解を書くことは可能。しかし「それ以外に方法はない」と断言するのは無理なので「これだけ抜け道にこだわって結局抜け道はなかったことにすると、皆怒って来年から来ないので、商売的にありえない」あるいは「観客の非難に作家のメンタルが崩壊するのでできない」と考えよう。結論として、とりあえずこだわっているものを書こう。
解答3 女子高生
採点基準:理由はいらない。
解説:第二夜で高校生探偵は犯人を見ているはずなのに言葉を濁していた。これだけで幼馴染の彼女が犯人と考えるに十分で理由が分からなくても正解は書ける(他の人は陶芸教室で知り合っただけの他人)。彼女が犯人である(状況)証拠はいくつか挙げられていたが、その一つは第一夜に彼女がいた教室の白チョークが無くなっていたこと。それは第三夜にその部屋にいた高校生探偵が赤チョークを使って推理をしていたことから間接的に示される。
対策:重要な場面での曖昧な演技は見逃さない。
解答4:解答欄に付属のシールを貼る。
採点基準:普通に貼ってあればOK。→コメントが正しい。→シールに書かれた文字が自然に読める向きで貼る。
暗号は以下のように解く。
全部ひらがなに直せば
さんそうかくうそうじふうとたきのつきにきせきのおおよそう
演劇パートを振り返ると:
主催のウサギの発言に以下のものがあった。
「扉を開けるには私を満足させること」「苦手なものが無くなれば満足」「掃除機の音が苦手」。バラバラにあって聞き逃してしまうが、これらをつなげると「掃除機の音を無くせ」ということになる。つまり「そうじきのおと」にある文字を消す。結果は「さんかくふたつにせよ」ということで解答欄の四角に(シールを使って)斜めの線を引けば良い。
対策:引っかかる発言ではあった。使い道の分からないシールをとりあえず貼ろう。暗号が解けなくても、タンザニア云々が分からなくても、シールにはご丁寧に「出口の鍵」と書かれているのだから、何も考えず素直に解答欄に貼れば良い。
対策の結論:
理由も含めての全問正解を目指すべきだが邪道の全問正解なら結構いける気がしてきた(←後付けだからねえ)。
余談:
南半球でも特にタンザニアということだが、指摘されてみるとタンザニアに関する事柄がそこかしこに散りばめられていた。資料中に国旗、BGMは国歌、コインの写真など。開演前のスクリーンには公用語であるスワヒリ語で物語の概要と犯人が女子高生であることまで書いてあったという。もちろんそんなことが分かるはずもなく大いに笑わせてもらった。笑ったせいでイチャモンを付ける気持ちが失せてしまったのは主宰の狙い通りか。
『首無し乙女は万事快調と笑う』&『漂流ラクダよ、また会おう』
ポップンマッシュルームチキン野郎
シアターサンモール(東京都)
2018/08/10 (金) ~ 2018/08/15 (水)公演終了
満足度★★★★★
「漂流ラクダ…」を観劇
基本的に独立した色々な形式の短編集です。それぞれのお話を無心に楽しむのが吉でしょう。
女性の割合は85%というところでしょうか。開演前のBGMも「ラ・ラ・ランド」でターゲットもそういう人達なんだなあと納得しました。
『首無し乙女は万事快調と笑う』&『漂流ラクダよ、また会おう』
ポップンマッシュルームチキン野郎
シアターサンモール(東京都)
2018/08/10 (金) ~ 2018/08/15 (水)公演終了
満足度★★★★
「首無し乙女…」を観劇
PMC野郎ってジャニーズ所属なのかと思うくらい女性ファンが多くて驚きました。一体誰が人気があるのかと考えてみると甘いマスクのあの人とか母性本能をくすぐるあの人とかでしょうか。大穴で主宰もあるかも(ないない)。小岩崎小恵さんも女性に好かれそうな感じですね。
ストーリーの本筋は、博士はなぜ彼女を生かし続けることに熱心なのか、そしてこの状況はどうなって行くのかでシリアスなものですが、PMC野郎なので大き目のオカズがどんどん飛んできて時々方向が分からなくなります。本筋をそのまま丹念に作りこんだ舞台も観てみたいものです。
ところで題名の「首無し乙女」って変ではないですか。「首無し死体」というと胴体だけの死体ですよね。すると「首だけ乙女」か「胴無し乙女」が実態なのですが。まあそれは良いとして、下の箱を開けると小岩崎さんが慌てて体を捻って死角に入れるという奇術風な笑いがあると思ってました。箱に何本も剣を刺すのもありでしょう。
ポスター(A2版420x594)が驚異の100円でした。適正利潤と継続性を考えると500円くらいが適切だと思います。もしかすると発注ミスで大量に余ったのかな。もしビジネスの戦略ならば素晴らしい!続けて行けばそのファンの部屋の壁はPMC野郎で埋まり、すっかり固定ファンになっていることでしょう。
売春捜査官-熱海殺人事件-
稲村梓プロデュース
サンモールスタジオ(東京都)
2018/08/07 (火) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
Gチームを観劇
一年ぶりの稲村梓版「売春捜査官」です。
2回目だからか、私が成長したのか、稲村さんが進化したのか、昨年より細部まで良く分かりました。一方、2回目だからか、役者の怪人度が下がったからか、衝撃は弱くなりました。それでもこの激しさは他では体験できないものです。誰でも一度は観ておくべき舞台でしょう。
そして相変わらず、たくさんのメッセージをどう受け取ったら良いのかが分かりませんでした。CoRichの「説明」に納得できれば楽なのですがどうもピンときません。体で感じれば良いのか、頭の中でこねくり回すべきなのか。どうなんでしょう。
セリフが聞き取りにくいところがあったのと既述の通り役者さんの怪人度が昨年より下がったので満足度は4つ星です。初回だったので今後どんどん進化することでしょう。
高額時給制アシュトレト
演劇企画 heart more need
コフレリオ 新宿シアター(東京都)
2018/08/01 (水) ~ 2018/08/06 (月)公演終了
満足度★★★
約100席の会場が補助席まで出る盛況でした。
初回から演技の完成度は高く、それだけを取り出せば満足度は星4つです。
しかし、ストーリーについては疑問点が沢山浮かんで来て最後まで解消されませんでした。こちらの満足度は星2つです。まあそんなにガチガチにストーリーを追うものではなく雰囲気というか世界観を楽しんでねということなのかもしれません。
*ご注意:この劇場はいったん席に着くとトイレなどに行くのが他の小劇場よりずっと困難です。席に着く前に済ませましょう。幸いトイレは充実しています。
最近、低満足度が続いているので私自身に問題があるのかという疑問が出てきます。そこで不完全な配役表を作って舞台を思い返してもみました。一時の感情で書きなぐっているのではないことの担保にはなるでしょう。配役表くらい配りましょう→主催者。
・配役表(誤りはご容赦、あるいはご指摘ください)
コンビニ店長::稲葉能敬
コンビニ店員:葦原幸子(さちこ):椎名亜音
幸子(さちこ)の夫::井上翼久
大学教員::緒方和也
女子学生A:高宮幸子(ゆきこ):中村裕香里
女子学生B::工藤夢心
男子学生::山下哲平
キャバ嬢::青柳伽奈
高額時給を支払う会社
専務::長戸勝彦
マネージャー::塩崎こうせい
金髪社員::沖田幸平
フリーター::熊野隆宏
謎の男::清水宗史
「66-2 ~ロクロク2~」
円盤ライダー
山野美容専門学校マイタワー27階 〒151-8539 東京都渋谷区代々木1-53-1(東京都)
2018/07/27 (金) ~ 2018/08/06 (月)公演終了
満足度★★
みんなが笑っている、しかし私がどこが可笑しいのかさっぱり分からず愛想笑いをするだけ。その状態が延々90分続きました。実は皆さんサクラで、私が面白くもないのに大きな声で笑うと、突然静かになって、どこが面白いんだと問い詰められるというドッキリカメラ的展開も心配してしまうくらいでした。3,800円でそんなことをやってくれたら大感激ですが。
そしてCoRichに来てみると10人が全員満点!これも迎合して満点を付けると、皆さん変更して、これが満点とは馬鹿じゃないのと叱られることになってしまうのかと心配したりします。
私は突然大きな声を出したり、床を転げ回ったりといった身体的ギャグには面白味を感じないので、こういうことになるのでしょう。ただし、後半にお二人が披露する超絶長台詞激運動一人パフォーマンスには感動しました。
ストーリーは各人のギャグを乗せるためのもので、大した内容はありません。終盤に、これをどう収束させるのかと期待し、心配していると特にオチはなく、そのまま終わってしまいました。
メタルマクベス disc1
TBS/ヴィレッヂ/劇団☆新感線
IHIステージアラウンド東京(東京都)
2018/07/23 (月) ~ 2018/08/31 (金)公演終了
満足度★★★
濱田めぐみさんのシャウトが決まりまくり最高!、さらに…と書こうとしてそれ以上特にほめるところがないことに気がついた。2時間もあれば十分な「マクベス」を20分の休憩時間を含んで4時間にまで水増しするのだから飽きて途中で何度も意識が飛びそうになってしまった。
「バーナムの森が動く」部分を「くじらが何とか、天が割れる?、大量破壊兵器がー」に変えているが、セリフがはっきり聞こえないこともあって意味不明であった。200年後という設定も必要性があったのだろうか。「劇団☆新感線」が単純に「マクベス」のヘビメタ仕立てのものをやるわけにはいかないので大変なのは分かるのだが工夫が皆裏目に出ていた気がする。
「髑髏城の7人」に比べればこの回転劇場を使った効果も希薄であった。ただし、スクリーンに映される映像はかなり進化していた。
まあヘビメタの演奏は小気味よく、ばらまかれた小ネタも笑えるのでファンは楽しめるだろう。それほどファンではない方は disc2以降に期待しよう。
消えていくなら朝
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2018/07/12 (木) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★
東京で脚本家をしている羽田定男(鈴木浩介)が彼女の才谷レイ(吉野実紗)を伴って久しぶりに新幹線で5時間ほどの実家に帰省する。そこには18年ぶりに一堂に会した家族が待っていた。父の庄次郎(高橋長英)、母の君江(梅沢昌代)、兄の庄吾(山中崇)、妹の可奈(高野志穂)である。
内容を簡単にまとめると「久しぶりの再会を喜ぶがいつしか過去の恨みつらみが噴出する家族を笑いで包みながら描写し、現代の人間関係の難しさを浮き彫りにする」ということになる。
これは蓬莱竜太さんの家族の実話ということである。もちろん脚色はあるだろうが、とくに新興宗教に熱心な家庭の様子が垣間見られて味わい深いものがあった。
こういう劇は誰かに感情移入してしまいがちで「そうだそうだ」「それは違うだろう」などと心の中で叫んでしまう。もっとボケてくると実際に大きく声に出してしまいそうだ。そんな困った老人を見掛けたらそれは私なので 2-3回なら生暖かくスルーしてやってくださいな。
グッモーニン・ミスター・オズ
らちゃかん
浅草九劇(東京都)
2018/07/18 (水) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★
どなたもノーマークの舞台ですが中々の掘り出し物でした。
いきなり近所に住む女性が朝ご飯を持って主人公の家にやってきます。夕飯もまた持ってきます。なんだろうこの女性はという疑問も解消されないまま、唐突にレンタルの家族が登場します。この奇妙な状況でしばらくは小さな笑いをどんどん取ります。
そして隠されていた事情が徐々に明らかになって行き、シリアスなドラマへと変貌します。
さてどこへ着地するのかと思っていると…。
左に2つ右に1つのサブステージでは補足説明が行われ、事情を小出しに明らかにしていきます。これは芝居が単調になることを防いてくれます。
宮嶋みほいさんの「美しかわいさ」が光り輝いていました。
ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル
パルコ・プロデュース
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2018/07/06 (金) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★
イラク戦争、コカイン中毒者なんて私にはまったく無縁の世界で、何一つ共感できませんでした。
まあしかし、中毒者のためのチャットルームというと CoRich も(対話は希薄ですが)ある種の中毒者の精神安定の場であるので、それほど離れた世界でもないのかもしれませんね(微笑)。
これから観る方は旗森さんの「観てきた!」と公式サイト上の文章を全部読んでから行くことをお勧めします。
招きたい客
座★ピカロ et teamDugØut 共同プロデュース公演
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2018/07/14 (土) ~ 2018/07/17 (火)公演終了
満足度★★★
観終わって最初の感想は「クソ暑い中、三鷹まで来て、これかよ。星一つ(怒)」だったのですが、家に帰って振り返ってみるとしっかりプロットをおいてちゃんと回収していることが分かって星二つに上がりました。しかし、そういうところがしっかりしていてもつまらないことに変わりはありません。たとえば、あのうるさい男のプロポーズシーンが不自然に長かったのもハッピーさを強調して最後につなげるためだったと分かりますが、その時は不快さに席を立ちたくなりました。そして、その不快さがどんでん返しで快感に変わることはありませんでした。
一番の問題点は動機が弱いことですが、作者は分かっていて「それでは逆恨みじゃないか」と刑事に言わせています。分かっていてそのままにしているのは罪が重いぞ、と書いておきましょう。似たようなことで、この俳優さん素人かよと思っていると、「私の演技が下手でバレてしまうかと心配でした」なんて言わせるし。ふざけないでくださいね。
白石茉莉奈さんはサービスカットがゼロでしたが、今回の俳優さんの中で一番の演技力を見せてくれました。そして、寒川綾奈さんの美しさにはすっかり参ってしまいました。この二つで星+1です。
追記 佐藤ゆうきさんってどこかで見たと思ったら、アイドル・グループ Sherbet のメンバーだった方でした。別のメンバーの応援に初のワンマン・コンサートに行ったことも今は昔。
【東京公演】劇団壱劇屋「独鬼〜hitorioni〜」
壱劇屋
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2018/07/12 (木) ~ 2018/07/17 (火)公演終了
満足度★★★★
最初は見方が分かりませんでしたが、これは絵本か紙芝居なのだと捉えるとしっくり来ました。ページの間は脳内補間するのですが提示される情報が少ないので想像(創造)力の乏しい私はもう少し描写してほしいと思いました。
85分中50分くらい殺陣ですが刀は日本刀でなくもっと幅広で大振りのものなので、チャンバラとはかなり動きが違っています。見慣れていない私には明らかな変化以外の(おそらく工夫が凝らされていたであろう)細部の違いが分からなかったのは残念でした。また殺陣に付随して登場人物達が別の場所へ移動するときの素早く精密な動きは見事なものです。
小悪党が跋扈する世界は北斗の拳だなあと思っていたらアフタートークで竹村さんもそう言っていました。リンとバットもいるし。まあバットは方向が違いますが。
最後にクイズです。この舞台では何度かおにぎりを食べるシーンがありますが、普通よりずいぶん薄いおにぎりです。どうしてそうしているのでしょうか?
子供のためのシェイクスピア「冬物語」
華のん企画
あうるすぽっと(東京都)
2018/07/10 (火) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★★
「子供のための」と付いていますが大人向けのしっかりした舞台です。テキストも冒頭の1場が省略されている以外は本質的にそのままのようです。まあ少しお遊びがあってとっつきやすいというくらいの意味なのでしょう。私が見た回は夜公演であることもあって子供さんの姿は皆無でした。
役者さんも内容も素晴らしく、どなたにでもお勧めできるものです。
手拍子でリズムを取りながらの黒子の合いの手が良い感じです。黒子の登場は「ヘンリー五世」のように原作にあるのかと思っていたらこれはオリジナルですね。黒子がマントをとって衣装を露出し登場人物となるのもそのたびに景色がちょっと変わって新鮮ですしスピード感も出ます。また「冬物語」での説明役は後半の最初に現れる「時(Time)」ですが。この舞台では前半から登場して雰囲気つくりをします。
衣装はしっかりとしたものですが大道具は机と椅子が10個ずつくらいの簡素なものです。
役者さんは8人しかいないので皆さん2役か3役をこなします。シチリア王リオンティーズとコソ泥オートリカスを演じる板倉佳司さんは顔が濃いので王からコソ泥はちょっと苦しいかなと感じました。あらすじを知らずに観ていると王がお忍びでやってきたのかと思ってしまいますのでご注意を。
今回はパーディタ他を演じる大井川皐月さんのキリリとした可愛さにやられてしまいました。
ホテル・ミラクル6
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/07/05 (木) ~ 2018/07/10 (火)公演終了
満足度★★★
byassist さんが配役表紛失ということで得意技が出せずに残念そうなので代わりに書いておきます。
一言書こうと思うと舞台を反芻しなければならないので良いトレーニングになりますね。しかし自分の記憶力の減退にはあきれるばかり。男性俳優さんの記憶がないのは年齢のせいではないみたいですが(笑)。
トリプレット イン スパイラル
SAYATEI
スパイラルホール(東京都)
2018/07/07 (土) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★
「レニングラード・ホテル」に引き続き、首藤康之さんが出演するパフォーマンスです。セリフがなくダンス中心であること以外は全体の構成も踊りの種類もまるで違っています。
共演に近藤良平さんというと「かがみのかなたはたなかのなかに」を思い出しますが、3人目は松たか子さんではなくバレエの中村恩恵さんです。そのため踊りが本格的になっていて「かがみの…」のような分かりやすさはありません。他に3人の若手ダンサーの方々が出演します。
題名の「トリプレット」は3つが組になっていることですが、ベテラン3人、若手3人がグループになっていることと3拍子の踊りがあるくらいしか私には分かりませんでした。「イン スパイラル」は単に会場が「スパイラルホール」だということでしょう。踊りに何か螺旋をイメージするものは見出せませんでした。ちなみにホールのある「スパイラル」ビルは階段が螺旋状になっています。
こういうパフォーマンスは私のセンサーが育っていなくて面白さを十分に受け止めることができないのが残念です。まあそのうちハッと気づく時が来るでしょう。なので今の満足度は星3つに留まります。
この公演では途中に拍手をするタイミングはありません。
LENINGRAD HOTEL レニングラード・ホテル
SAYATEI
スパイラルホール(東京都)
2018/07/05 (木) ~ 2018/07/06 (金)公演終了
満足度★★★★
首藤康之さん+パフォーマンスユニットCAVA(サバ)の5人+他お二人によるダンス+マイムです。
洗練されたダンスとマイムが郷愁を誘う音楽に乗って美しくそしてコミカルに展開されます。
当日パンフレットによると表題の付いた15のパートに分かれています。そのいくつかを引用すると
1.セルゲイの帰還
2.美しい記憶
3.穏やかな日々
…
14.奪われたレニングラード・ホテル
15.セルゲイ復讐の行方
となっています。例えば「4.V.I.P.は突然に」はアラブの大富豪がホテルにやってきて気前よくチップを渡し、それを巡って支配人のセルゲイ(首藤)とボーイ達がドタバタを繰り広げるという内容です。とはいえ始まってしまうと表題しか書いていないパンフレットも暗くて読めないし、そんな余裕もないしで私には半分も理解できませんでしたが音楽を聴き動きを追っているだけで十分楽しめました。
昨年の再演ですがまだ観客がこの形式に慣れてなくて誰も拍手のタイミングが分かっていません。とりあえず6日の公演に行く人は最初のダンスの後の音楽ストップ、そしてポーズで思い切って拍手を入れてください。あとは難しいところもありますが何とか成り行きで…
言葉がないので目を伏せて休むことができませんが70分と短いので集中力を保ちましょう。
硝子の獣
雀組ホエールズ
「劇」小劇場(東京都)
2018/06/27 (水) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★★
役者さんの演技は素晴らしく、観ているときは引き込まれていたのですが、後から考えてみると無理な点が沢山あってちょっと冷めてしまいました。それに友崎は傷害致死で少年刑務所に5年入っていたので成人の場合とそれほど違いはなく、何を問題にしているかが分からなくなりました。