満足度★★★★
スランプだったシェイクスピアが恋をして「ロミオとジュリエット」を書いたお話と聞くと、どこかの小劇団の怪しい演目だと思いますが、1998年のアメリカ映画「恋におちたシェイクスピア」はアカデミー賞を7部門で受賞する傑作となりました。権威に負けてアマゾンでビデオを観ると(199円)美しい映像とシェイクスピア愛溢れるストーリー展開に一気に最後まで観てしまいました。
舞台は2014年になってロンドンで上演され、日本では本公演が初演です。劇団四季ですがミュージカルではない普通の演劇です。歌は大きな場面の変化のときにBGM的にアンサンブルの方のコーラスが流れるだけです。
舞台装置は当時の3階建ての劇場が基本でそれがアレンジされるだけです。センスの良いものですが劇団四季にしては安普請でちょっとがっかりしました。しかしその舞台が回って劇中劇の「ロミオとジュリエット」を裏と表から見せてくれたのはなかなか新鮮でした。ちなみに舞台を回すのは人力です。ロングランになればお金をかけるのでしょう。
映画ではシェイクスピア役のジョセフ・ファインズの独特の雰囲気が作品に深みを与え、ヴァイオラ役のグウィネス・パルトローの圧倒的な美しさが華やかさを作っていましたが、この舞台では上川一哉さんも山本紗衣さんも明るくややコミカルな若者なので雰囲気はまるで違います。映画のイメージを捨てて別物として観るのが吉でしょう。ストーリー的には映画と基本的に同じです。
シェイクスピア好きの方はとりあえずレンタルビデオだけでも観ることをお勧めします。作品中のセリフのように「役者が自分のために演じてくれる」臨場感が恋しくなったら劇場に足を運びましょう。8月26日に一旦終了し、京都に行きますが、10月12日にまた東京に戻ってきます。