満足度★★★★★
「子供のための」と付いていますが大人向けのしっかりした舞台です。テキストも冒頭の1場が省略されている以外は本質的にそのままのようです。まあ少しお遊びがあってとっつきやすいというくらいの意味なのでしょう。私が見た回は夜公演であることもあって子供さんの姿は皆無でした。
役者さんも内容も素晴らしく、どなたにでもお勧めできるものです。
手拍子でリズムを取りながらの黒子の合いの手が良い感じです。黒子の登場は「ヘンリー五世」のように原作にあるのかと思っていたらこれはオリジナルですね。黒子がマントをとって衣装を露出し登場人物となるのもそのたびに景色がちょっと変わって新鮮ですしスピード感も出ます。また「冬物語」での説明役は後半の最初に現れる「時(Time)」ですが。この舞台では前半から登場して雰囲気つくりをします。
衣装はしっかりとしたものですが大道具は机と椅子が10個ずつくらいの簡素なものです。
役者さんは8人しかいないので皆さん2役か3役をこなします。シチリア王リオンティーズとコソ泥オートリカスを演じる板倉佳司さんは顔が濃いので王からコソ泥はちょっと苦しいかなと感じました。あらすじを知らずに観ていると王がお忍びでやってきたのかと思ってしまいますのでご注意を。
今回はパーディタ他を演じる大井川皐月さんのキリリとした可愛さにやられてしまいました。