
悪いのは私じゃない
MONO
吉祥寺シアター(東京都)
2022/03/11 (金) ~ 2022/03/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
人間描写があざといくらいに面白い!
そして皆さん見事に我が強い(笑)
自身をそこに投影というより、よそ様の会社の人間模様をガン見している感じ。
とは言え身に覚えアリの発言にドキッとする観客はきっと一定数いるはずで、ハイ自分もその一人でした。
同じ組織内にいても個人個人で見ている景色はこんなに違うんだって、あたりまえだけれど、こうして俯瞰で見せてもらえると、苦々しくも可笑しくって、ハイ勉強になります。
ジャパニーズビジネスマン&ウーマンがぶつかり合い転がっていくストーリーに舌鼓を打ちつつ
やっぱり何よりのご馳走は思わずだだ漏れてくる彼等の人間味。
いろんな立場、いろんな性格の人間味が絶妙に絡み合い、時には艶っぽく、時にはほろ苦く、2時間最後まで美味しく楽しめる大人味の作品でした。
山奥の小さな会社、大きな窓から見える山々(ジオラマ)の風景が魅力的。
美術さんも良い仕事しています。

サヨナフーピストル連続射殺魔ノリオの青春
オフィスコットーネ
シアター711(東京都)
2022/03/11 (金) ~ 2022/03/21 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
死刑囚 永山則夫の犯した連続ピストル射殺事件。
50年以上前に起こったこの連続殺人事件を全く知らなかったので「よし、観劇前に予習をしておこう」と、その全貌を描いたノンフィクション・ノベルを読んで準備は万端、いざ劇場へ。
読んでいたから分かったのは、事件のあらまし(事実)が細かいニュアンスも含めてちゃんと表現されていた事。
その上で観る事ができて良かった!と思えるのは、永山則夫自身の主観世界、演劇だからこそ可能とも言える独特な表現世界。
そこ(舞台)に息づく者と時間・空間を共有しなければ湧き起らない感情というのは確かにあって、こればかりは映像や文章では無理。
観劇中、肉体を持って確かに存在していた「永山則夫」
4人の被害者を思えば同情はしたくないと「永山則夫」を睨みつつ、その内面へと。
事件を辿り、母親や姉、少年時代の「永山則夫」に気持ちを揺さぶられ、最期の「永山則夫」を見る。
確かに「永山則夫」は存在していたのだけれど、観終わった後、全ては哀しい白昼夢だったかのような余韻に包まれるのでした。
(当日パンフには永山則夫の年表や家族構成、その他情報が豊富に掲載されていますので、余裕をもって席に着かれた方は一読をお勧めします)

キミガミテタ明日
TEAM 6g
萬劇場(東京都)
2022/03/02 (水) ~ 2022/03/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
一石を投じられた様に心の内から波紋広がってくる作品。
ニュアンスこそ違いますが若くして同じ事があったので尚更。
何故彼は・・・とことん紐解いていくその結果が吉とでるか凶とでるかは置いておいて・・・友人達の真っ直ぐさがかなり羨ましい。
(一番羨ましかったのは作品内容ともオーバーラップする座組全体の連帯感だったかも)
理屈を吹き飛ばす肉親ならではの言葉、そして更に更にと想いの交差するシーンが折り重なってもう見応え充分!と思っていたらなんと2時間越えの大作。
高揚感や失望感、観進んでいくほどに引き込み力が更に更にと強まっていくので、これはむしろ有難かった(良作であれば長時間歓迎派)
何より哀しいストーリーでありながら心の栄養剤にもなり得るTEAM6gさんの持ち味がしっかり効いているのが良かった!

チクリ、冬が胸をさす。
ゴツプロ!演劇部
「劇」小劇場(東京都)
2022/02/23 (水) ~ 2022/02/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
「演劇部」が付くと、どことなく青臭いイメージ。
まぁそれもアリかな~っていう感じで向かったのですが、どっこい、ゴツプロ!精神を真っ直ぐに受け継いだ見応えある舞台でありました。
冬のペンション、交互に繰り広げられる二つの物語。
総勢11人の若い役者さん、ひとりひとりの描写がとても丁寧。
じっくり腰を据え、観進めていくほどに取り込まれていく感じが心地良いです。
それぞれ二つの物語にどっぷり浸った後、この二つがバチ~ッ!と結びつく激展開。
その頃には、もうすっかり彼等に感情移入していたものだから・・・
あぁ~(ため息)切ない灯りの演出も良かった。

凪のように穏やかに
雀組ホエールズ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2022/02/17 (木) ~ 2022/02/21 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
雀組ホエールズさんは(観客からの)愛され度がほんのり高い。
その柔らかな空気感を共有できるのも生舞台ならでは。
東日本大震災・被災者を真正面から描いた作品なので、てっきり重く暗い雰囲気になるかと思いきや、結構笑わせにかかってくる本作。
何しろ主役(被災者役)である阪本浩之さんのキャラがめちゃ元気。
(このギャップが悲しみの色合いを濃くしていくとも言えるのだけれど)
凪のように穏やかな家族との暮らしを望んでいた男。
ひとりの被災者(阪本さん)が今日まで歩んできた10年。
阪本さんと共演者(家族や友人など)の色んな掛け合いからなる味わいが作品の大枠を形作っていると言っても良いくらい。
中でも珍味なのが斉藤こず恵さん(キヨコ婆さん役)との掛け合い、その笑わかせ“力”たるや。
お互い子役時代からの付き合いだそうで、そうでなきゃ絶対作り出せない掛け合いがもうスペシャルにエグくって素晴らしかった。
被災者だけでなく他者からの視点にも胸が痛くなる、改めて途方もない悲劇がテーマであった中、物語としてはとても前向きになれる涙で見送ってもらえました。

The leg line
仮想定規
中野スタジオあくとれ(東京都)
2022/02/10 (木) ~ 2022/02/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
妖しげな雰囲気を掻き立てるプロローグ、舞台の奈落、舞踏シーンから一転、楽屋内を舞台にしたコメディーが展開。
この楽屋を出入りする登場人物達が、うらびれ感をスパイスに笑いのツボを心得ていて無邪気に可笑しい。
舞踏の妖しげな残り香か、外は雨風吹き荒れる嵐、次々と巻き起こる混沌と連動していてどこか不条理な面白味も。
Show must go on
混乱の予感プンプンなショーのはじまり。
繰り広げられるのは、それまで単純に楽しんでいたコメディーに繋がった演目のオンパレード。
言ってみれば曲のひとつひとつがいわく付き、1曲1曲がアンサーという名の楽しい付加価値を生み出しているのだから本当に良く考えられた構成。
いつの間にかショーを観ている観客も物語の一員になっているかの様な感覚が更に楽しい。
日本発のオリジナルミュージカルを世界へ
過去には日本特有の美術を導入した作品も公演されていた様で、そういうのも観てみたいし、様々な個性が集まったファミリー感からサーカス団みたいなものも良さげだし、怪人二十面相的な作品も観てみたい、これからの期待はどんどん膨らみます。

ロング・タイム・ノー・シー
ナイーブスカンパニー
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2022/02/02 (水) ~ 2022/02/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
照明・音響の躍動感、細やかな心情表現、1日限りのキャスティング、贅沢にもこの日だけの情感に満ち満ちた朗読劇。
プロローグから出会いの章。
おぼつかない手探りから、フッと手が触れ合い、やがてお互いの指に力が宿っていく、そんな感じのフワッとした幸福感に包まれていく心情描写、導入から巧い。
下手に喜田裕也さん、上手に今井彩菜未さん
座席の位置によって男女、言葉の発信・受信のアングルが異なるので、上手・中央・下手、微妙に影響あるかも。
今回、自分の席は完全に今井彩菜未さんサイド。
彼女が問いかける、繊細にて微妙な言葉の中から既に薄幸の影が薄っすら見える・・・揺られながら、そんな気がしながら観ていました。
やがて来る波も知らずに。
後半になるほど更に食い入ってしまう切ない男女のコトバとココロ、1時間50分。

おつかれ山さん
ことのはbox
シアター風姿花伝(東京都)
2022/01/26 (水) ~ 2022/02/01 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
Team箱を観劇
観劇予定前は全くの白紙状態で観に行った方が良い。と思いながら、どんな様子?とコリッチ「観てきた」をつい見てしまう。(なるべくフワッと)
それでなるほど前半は面白可笑しく、後半はこんな感じかなぁと構図が見えてきた気になっていたのだけれど、思い描いていたのと全然違った!
確かに描かれるは高校教師の慌ただしくも赤裸々な日常。
確かに、確かにではあるのだけれど、めちゃ異色作でもって意欲作やん!
実際に観てみないと、どんな感情が噴き出してくるか分からない観劇の妙味。
も~何とも言えない感慨に包まれつつ、まさに「百聞は一見にしかず」を体感。
観終わって改めて見る「必ずどこかにあなたがいる。」っていうコピーはかなり毒の効いた決め台詞なのでは・・・

ガラテアの審判
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2022/01/20 (木) ~ 2022/01/26 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
殺人を犯したアンドロイドは人間と同等に裁かれるべきか。
仮にヒロユキが論破したところで、それは無いだろうと思って観ていたのだけれども、とことん重ねられていく審議や証言、ドラマチックな流れに引き込まれるがまま気持ちが大きく揺さぶられていく見事な公演。
審判に向けて事件の本質を突き詰めていく作品力。
ひとつまたひとつと真実が明らかになっていくほどに、浮き上がるそれぞれのカタチ、それぞれのカタチで感情が高ぶっていく役者さん達の熱演が素晴らしい。
体感では劇場のほとんどが舞台スペース、シアター・ミラクルならではの臨場感。
近くを役者さんが通る時には台詞はなく、激しい感情表現の時は必ず飛沫が観客に向かない事等ことごとく配慮されており、安全とエンターテインメントの両立が考え尽されていたと思います。
それらの配慮に守られ、今、これだけの迫力ある舞台を堪能できたのだという事に強く感謝。

素
ゾノノキカク
OFF OFFシアター(東京都)
2022/01/20 (木) ~ 2022/01/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
PANCETTA一宮周平さんの演出・創作過程は、過去にその様子を一般公開していて、一部を拝見したそれはもうかなり独特だったと記憶。
ひとつのお題が持つ可能性をとことん広げて、解体・分析・絞り込んで独自の道筋ができていく感じ。
今回のタイトルでありお題でもある「素」も繭に姿を変え、お蚕さんが産生する繭から連想される胎児、“素”材である絹糸の精製、富岡製糸場で働く女工さんの生き様からその女性の“素”性にも遡って・・・ひとりの女性を描いた繋がりを保ったまま縦横無尽にシーンの姿が変わっていくというなかなかの強者芝居。
とても一筋縄ではいかないシーンの一連を中薗菜々子さんという若い女優さんが、まさに観客の視線一点集中、一人芝居で堂々と演じ切っていくのですから観ているこちらも真剣勝負。
とても50分だったと思えないくらいの燃え尽き感でした。
今回は繭の糸にインスパイアされた流れであったものの、ひょっとすると「運命の赤い糸」であったり「蜘蛛の糸」だったりとPANCETTA的な発想の道筋は無限であり、そこには一宮さんが持つ発想の瞬発力が大いに関わっているのでしょうが、中薗さんにとって何が一番だったのかは想像の余韻が残るところ。
憑依がかった芝居のできる女優さんなので、本作も立派な作品として成立していましたが、未知数の大きな女優さんでもあるので、一宮さんの未知数と掛け合わさって、もしかするともっととんでもなく大化けする世界もあるのではないかと
そんな大きな期待を将来の余白に取っておいても良いのではないかとも思えるのでした。

奇譚録。バーベキューダンス
劇団「楽」
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2022/01/19 (水) ~ 2022/01/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
バトルアクションシーンが途中あるのだけれど、刃物(もちろん小道具)が躰スレスレに空を切るなど、めっちゃキレッキレで激しいのには驚いた。
確かに奇譚録といった作風、いわゆるダークファンタジーになるのだろうか、ダーク多め、結構ハードな味付で、好みが分かれるところではないかと思うけれど、無難な流れには行かない武骨な感じに好感。
タイトル「バーベキューダンス」の意味は観た感じの方向性から想像すると怖いものになるが、いや、そういえば作中では“華”のあるシーンも。
なのでそこにも引っかけているのでは。と思ってみたりすると不思議とイメージが変わってくる。
何より旗揚げ公演。今の時期、これだけの大人数で本当に大変だったと思えるところ、渾身の集大成、その場に立ち会えた事に感謝!
(こんなご時勢なので補足 舞台と客席、客席と客席間には充分過ぎるくらいのスペースがとってありました)

昭和歌謡コメディVol.15〜お正月だヨ!ヤーレンソーラン!大騒乱!!
昭和歌謡コメディ事務局
ブディストホール(東京都)
2022/01/07 (金) ~ 2022/01/10 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
前半はコメディー
恒例のお寿司屋さんを舞台にコロナ禍での奮闘記、
現在の物語ではあるけれど昔、子供の頃のテレビバラエティーってホントこういうノリだった。
パロディーのネタ元も懐かしき~
コメディーで良い感じに温まったところで後半は歌謡ショー。
も~完全にここの空間だけ丸ごと昭和時代にタイムスリップしたみたい。
手作り感満載のおもてなしで、(大きな声援こそ禁止だけれど)サイリウムライト片手に楽しく手拍子。
飛び交う紙テープも舞台と客席を繋げる、ここの公演ならではの風物詩。
ゲストの伊藤多喜男さんが座長・江藤博利さんと負けず劣らず、歯に衣着せぬ毒舌っぷりなのが面白い。

ミュージカルうなぎ
宇宙論☆講座
雑遊(東京都)
2021/12/28 (火) ~ 2021/12/30 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
演劇スタイルMAPなるものがあるとすれば本土ではなく南の離島に位置している感じの宇宙論☆講座さん。
自分的には宇宙論的お口あんぐりの免疫力はかなり出来ているつもりだったのに、新たなる驚きでいっぱい!
発想が自由過ぎる。
ガラパゴス諸島の如く独自の進化を遂げているとしか言いようがない。
この逞しさといったら、なんかもう謎だらけだけど見習いたい。
ひとつ隣のビルに引っ越した劇場「雑遊」はただでさえ同じ並びの飲食店と似た風情なのに「うなぎ」の“のぼり”が立っているものだから一見すると本当に鰻屋みたい。
これは鰻屋ではなくミュージカル公演です。と並べて明記しているので、何だこれは!?と二度見していく通行人も多くて何とも可笑しい。
楽しい街の景観にも一役買っておられました。
ARTS-for-the-future!補助対象公演
文化庁も粋な事をしてくれます。
観客からも「ありがとう」です。

マンホールのUFOにのって
マチルダアパルトマン
OFF OFFシアター(東京都)
2021/12/22 (水) ~ 2021/12/30 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
有り得ない“妙”が日常然として紛れ込んでSF的にも受け取れるが、自分には演劇的不条理として解釈した方がしっくりきたマチルダアパルトマンワールド。
彼氏目線の前半。
彼氏目線のはるかちゃんが色んな意味で物凄い(笑)
はるかちゃんだけでなく彼の周り女性全員がそれぞれに突き抜けているので、そうしたシーンの数々も大いに華を添えていたし仔猫ちゃんもいた。
暴走族娘とのエピソードがキラリと光って残る。
後半、彼と別離して15年後のはるかさん。
寂し気な笑顔が味わい深い。
そして「動」な凄さ、から「静」な凄さに変貌していたとでも言えば良いのか。
いわゆる普通のラブストーリーでは感じ得ない、この哀しみの正体は一体・・・
彼がごく普通に健全な男性である事が明確になるほどに、はるかさんの哀しみが色濃く見えてしまうこの感じは一体・・・

「紅一点」
演劇ユニット「みそじん」
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
3部構成、全てのパートに代表の大石ともこさんが別役で出演されていましたが、コレ事前に知っていなければ全く別々の女優さんだと信じ込んでしまうくらいに、演じ分けが見事。
芸人 柳原可奈子さんが様々な女性になり切った面白味に通じているかも。などと思いつつ、その完成度、女優としてのポテンシャルがめちゃ高い。
「紅天女」を演じたわけではないけれど、まさに「ともこ・・・恐ろしい子」といった感じ。
マンション3室で繰り広げられる3種の人間模様。
もう自分もおじさん、おばさんかなぁを意識しだす年代には、琴線をくすぐられまくるであろうニュアンスの嵐。
ヘンテコな状況にしろ、修羅場にしろ、いつの間にか場面をめちゃ面白い空気に変えてしまうコンビネーションの良さ。
これが今回限りの座組である事が非常に勿体無くて、それ故そんな巡り合わせがこの上なく贅沢に思える舞台でした。
笑いだけでなく熱い女優魂も伝わってきて・・・何というか、感動した。
「ガラスの仮面」を引き合いに出したのは満更でもない、と思えてくるのでした。

疚しい理由2021
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/22 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
チーム“Q”を観劇。
2人の女性(先輩と後輩)と男性1人(保険の営業マン)計3人が織りなす心理サスペンス。
つい最近も3人芝居を観たばかり、それとは内容、雰囲気こそ全然異なるのですが、3人というのは関係性が分かりやすいうえに面白さの幅もできる絶妙な人数なのかも。
営業スマイル、でも目が笑っていないのでは中西。
先輩面をちらつかせつつ、中西に何気に加担する陽子。
営業の美味しい餌食となるのか、人の良さそうな若奥さん、綾乃。
(この第一印象はチームによって変わってくるのかも)
時間が進むにつれ、3人それぞれ頭書きの内容が次々と変わっていく面白味。
「化けの皮が剥がれる」という言葉がありますが、まさに薄皮1枚1枚、自ら剥がしたり、相手から剥がされたりしていく展開がとてもスリリングな50分でした。

浮雲兄弟
TOKYOハンバーグ
サンモールスタジオ(東京都)
2021/12/10 (金) ~ 2021/12/13 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
失業したばかりの弟、出所したばかりの兄、ボケ始めた父。
男3人家族
40代の今になって、父親の年金にぶら下がるしかないのか?兄弟それぞれの思惑は・・・
開始早々から3人の微妙なニュアンスが伝わってくる巧みな構成。
事態宣言時から現在までの2年たらず、今時の世相を織り込みながら描かれる奮闘の日々。
必要以上に重くなく、軽くもなく、実際はいろんなテクニックが施されているのでしょうが、観ているこちらとしては、彼等のごくごく自然な生活描写をテンポよく観察している感じで、めちゃ好きな演技、好きな演出。
前科者、家族としてはとんだ厄介者だけれど、真っ直ぐな性格がどうにも憎めない兄。
持ち前の小器用さで本来そこそこな生活を掴めていたであろう弟の姿が切なすぎます。
そして散々ほやきながらも迎えが来ると大人しくデイケアサービスに向かう父。
呆けて焦点は合っていなくても見逃している筈の無い息子たちを視る目が、こちら(観客)の目と絶妙に絡み合って切なさは更に深まっていくのでした。
楽しくも厳しい人生賛歌。

異常以上ゴミ未満、又は名もなき君へ
good morning N°5
小劇場B1(東京都)
2021/11/25 (木) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
good morning N°5の祭り(公演)がやって来た!
その様相は縁日で賑わう艶やかさであり、
阿波踊りが如く血沸き肉躍る宴であり、
子宝繁栄の奇祭にも似たド迫力の舞台。
全面透明シートで飛沫の完全防止、安全性クリアをいいことにパワー炸裂
ベテラン俳優も若手俳優も入れ替わり立ち替わり、変な衣装もいっぱい、もう出せるもの全部!惜しげもなく大放出。
そして祝祭にふさわしく「全世界が平和でありますように」の、めちゃ最高な大団円。
歓喜のレスポンスは歓声ではなく事前に配られたクラッカーで好きな時に、
パン!パン!パン!と間合い良く客席のあちこちで鳴り響きます。
これって本当に現実だったのか・・・
久しくアドレナリンを出していない方にお薦め。

ぶっかぶか
ここ風
シアター711(東京都)
2021/12/08 (水) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
人を笑わせるって中々難しい事だと思うけれど、ここ風さんはそんなハードルをふわっと乗り越え、無防備に人を笑わせてしまう術を持っている。
多分、それが演劇通で気難しいご年配であっても、観劇初体験の若者であっても。
会場に入ってまず目に入ってくるのは薄明かりの中、細部までこだわり尽した舞台美術、小さな古民家風ペンション。
良質な物語がこの場所で、まさにこれから始まる!
確信にも似た安心感からのスタート。
ちょっと事情を抱えた家族が経営するペンションに訪れる、これまた訳ありの宿泊客。
どちらかと言うと良くありそうな真っ新なキャンパス生地(設定)に登場人物達がそれぞれの色彩を放って瞬く間に息を吹き込んでいく、その力量が何とも心地良く、ちょっぴりビターな大人味なのも良い。
自然と巻き込まれ可笑し味に包まれていくのが良い。

時代絵巻AsH 特別公演 其ノ四『草乱~そうらん~』
時代絵巻 AsH
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2021/12/08 (水) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
歴史の教科書に載ってはいても謎多き「天草四郎」
どの様な解釈、背景でもって描かれるのか
『草乱~そうらん~』の世界、興味深く拝見させて頂きました。
時代絵巻AsHさんの舞台世界、時代絵巻は誠実さに満ちて、何なら笑わせ方も誠実。
切々とシーンを重ねていくごとに清濁入り交ざった人間模様を浮彫りにしていきます。
2時間30分(休憩込)途中うっかり気を抜いてしまっても物語に置いて行かれる心配こそなさそうですが、すべての物事に登場人物達の人となりが映し出されているので、観ているこちらも全集中態勢。
少年たちの島原の乱。最終的に負け戦と分かっていても、若き者たちの姿に、ヤバい!涙が・・・
こういう時、マスクっていいかも・・・と思っていたら鼻水まで
事前にマスクを頂いてホント助かりました。
これからの伸びしろも期待しますが、ここまで泣かされてしまったらもう降参★5つでお願いします。