夜だけがともだち
倉山の試み
小劇場 楽園(東京都)
2020/03/25 (水) ~ 2020/03/31 (火)公演終了
満足度★★★★★
夏の夜、一人暮らしの若い男の部屋に女が転がり込んできたのなら、即日艶っぽい空気が生まれそうなものの、う~んこれじゃ~ね(笑)
その後の展開で艶っぽい空気になるのかどうかは・・・
ストーリーというよりも、これはもう“日々”ではないかと
「女」の登場を起点に「彼」が過ごし「彼」の人間関係も微妙に動き出した“日々”
その日々はどこか面倒で哀しくて、そしてめちゃ可笑しくて、時には「マジでっ!」の驚きもあり、それらのひとつひとつを一緒に共有できた気が。
太陽が降り注ぐような若さばかりがアオハルとは限らなく、月光のような優しい輝きも充分に眩しい。
“孤独”というエネルギーが惹きつけるのか、日を重ねるごとに引き寄せられ、感情が前のめりになってしまう人間模様が素晴らしい。
生活香る超リアル部屋のセットもさることながら、料理シーンがいくつかあり、実際に調理しているので、ほんのり良い匂いが客席まで。
一緒に食べられる訳ではないけれど、紛れもなく彼等と同じ空間にいる実感がくすぐったくて、何というか、とても嬉しいと思えました。
コオロギからの手紙
映像劇団テンアンツ
「劇」小劇場(東京都)
2020/03/25 (水) ~ 2020/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
フライヤーの雰囲気そのままに、古き良き任侠映画を生舞台で体感してきたかの様。
さながら任侠映画から役者さんがそのまま抜け出してきたかの如く、かと思えば漫画から抜け出したようなタバコ屋の婆さんや艶やかなパンパンガールにオモシロ刑事!
とても書ききれないけど中には金子昇さんも加わってやたら贅沢な面白さ。
実質的には人情喜劇の要素が散らばって、もうひたすら笑ってしまうのだけれど、やっぱり描かれるはヤクザの世界。
安定の可笑しさにしっかりと紛れ込んだ不安定な幸せの行方。
「あ~っこのままじゃ泣かされる」と一応堪えようとしたものの、言葉を積み重ねられると「もう無理っ」
しっかり泣かされてしまったのでした。
笑かすのも泣かすのも全力。
自分の座った下手側の席、黒幕で見えない舞台奥の換気扇音が聞こえますが一定音なのでほぼ気にならず。
その代わり常に新鮮な空気の流れが。
その他にも、安心且つ快適に観劇できるようにも全力を尽くす劇団さんの気概がしっかり伝わってくる舞台でした。
世界で一番頼りにならないスーパースター
劇団ボンボヤージュ!
APOCシアター(東京都)
2020/03/20 (金) ~ 2020/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
全編に亘ってミュージカルナンバーに溢れているのだけれど劇団サイドの主張は、あくまでミュージカルではないと。
どこかで聴いた事がありそうなメロディー(笑)にはストーリーに沿ったオリジナルの歌詞が(上方モニターでは、ちゃんと流れに合わせて字幕を映し出す徹底ぶり)
帝国劇場ばりの…とは言わないけれど、妙に小賢しい迫力と完成度が余計に笑いを誘うシステム。
ここに怪しい企業や宗教、政治家なんかが絡んできて何とも香ばしく素敵なハーモニー(笑)
悪に切り込む某踊る系刑事の面々がめちゃ可笑しい!
それでもっての本流はラブストーリー(?)
高級料理ではないけれどジャンクフードの超最上級品といった感じ。
十二夜【一部公演中止(3/6-3/9、3/11-19、3/31)】
ワタナベエンターテインメント
本多劇場(東京都)
2020/03/06 (金) ~ 2020/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
日ごとに公演中止日の延長を泣く泣く決断されてきた という様子でしたが、やっと(本当にやっと!)お披露目できる日を迎えられ、役者さん達の演じる事の喜びがビシバシ伝わってくる舞台でした。
有名なシェイクスピアの作品でありながら個人的には今まで観た事の無かった演目。
初めての「十二夜」との出会いが、この公演で本当に良かった。
綺麗どころ、道化者、熱血漢・・・とにかく芸達者な登場人物のバラエティー豊かさたるや・・・もうめちゃ贅沢。
女性役を男性の役者さんが演じられているのも、この勢いなら全然OK、何でもアリ(というか実際近距離で見ても違和感なしにマジキレイなのにはビックリ)
原作に笑いのテイストを散りばめて、
盛り沢山な内容なので、個人的にはシェイクスピに馴染みのない方はある程度あらすじを知ったうえ観にいくのがお薦めかと思いました。
灰になる
演劇企画集団Jr.5(ジュニアファイブ)
小劇場B1(東京都)
2020/03/18 (水) ~ 2020/03/26 (木)公演終了
満足度★★★★★
シリアスと可笑し味が入り混じった冒頭で掴みはOK。
シリアスの成分は「貧困」と「アイデンティティ」
生活保護を受け続け、己の人生を嘆く男の物語。
姜暢雄さん出演の公演はいくつか観ているはずでも、ここまでガッツリな演技を拝見したのは初めてかも。
しっかりした役者さんに囲まれてダメ男を熱演。
ルックスは良いし立派な体格をしているのに、トホホな在り様が何とも難儀やなぁと。
他の生活保護受給者を見渡せば、いずれもそれぞれに難儀やなぁ ではあるのだけれど。
客観的に見ているつもりが、いつの間にか光の見えない出口探しを一緒にしている感覚にもなってきて、いろいろと考えさせられました。
ご時世とはいえジュニアファイブさんの公演としては有り得ないほどゆったりした客席の間隔。
おかげでゆったり贅沢に観られたのは皮肉な事で、内容の出来を鑑みると非常に勿体ない。
ゆうめいの座標軸
ゆうめい
こまばアゴラ劇場(東京都)
2020/03/04 (水) ~ 2020/03/16 (月)公演終了
満足度★★★★★
『弟兄』を観劇。
学生時代に受けたいじめの一連はほぼ実話なのでしょうが、ちょっとすっとぼけた感じの作者(主人公)の主観性と他者への客観性のバランス配分のおかげで、とても観やすい自分史エンターテインメントに。
いじめの筆頭は何だか学生時代より現在の方が忌々しく映ったのだけれど、対峙する作者が(なかなか癒えない傷を負いながらも)大人になって精神的な武器もいろいろ身につけているので、そこが何とも小気味良い。
「親友」ではなく「弟兄」か・・・
転んでもタダでは起きない感じが好きかも。
「帽子と預言者」 「鳥が鳴き止む時-占領下のラマッラ-」
名取事務所
「劇」小劇場(東京都)
2020/02/20 (木) ~ 2020/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
「帽子と預言者」
個人的には奇怪なSF作品的な楽しみ方ができたなと。
本来なら「う~ん」と唸り、途中で挫折してしまいそうな戯曲だったと思うのだけれど、様々な視覚的効果と音響、そして観る者を惹きつける演技三昧で彩られると、こんなにも楽しめる舞台になるのだなぁと別の意味で唸ってしまいます。
独特にアクの強い素材。
それを奇妙だけれど妙に美味しい、インパクトある料理に仕上げた様な舞台だったと思えました。
「鳥が鳴き止む時-占領下のラマッラ-」
私事として「帽子と預言者」で燃え尽きてしまったのが少々残念なところでしたが、全く違ったテイストの作品。
両作品を通して、なるほど演劇通の固定客がしっかりついてきてくれる劇団さんなのだと大いに納得できました。
ハンパなく見応えあり。
ほつれる、闇
演劇企画集団LondonPANDA
小劇場 楽園(東京都)
2020/02/14 (金) ~ 2020/02/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
猛スピードで交差点に突っ込んだ男。
それは事故だったのか、それとも故意だったのか。
あらすじ紹介での最後の一文「判決の瞬間、被疑者が小さく嗤った。」
これってもう観せる前から堂々とネタバレしているのでは…と思ったのですが、全く予想外のアプローチが襲ってきて戦慄が走りました。
むしろ堂々としていたのは演技。
モノクローム(特に白)にこだわった美術、あえて僅かしか耳に届かない効果音、どれもが観客の意識という意識を全て役者さんの演技に集中させる為の演出だったのではないかと思え、ましてやすごい至近距離、声、表情、所作 全てがダイレクトに届き響いてきます。
被疑者が殺人犯なのか否かを突き詰めたい。という引き込まれから、やがて皮を一枚ずつ剥がしていくような人間の内面描写に魅了。
独特な構造をした劇場「楽園」の使い方が、この場所でしかできない遊び心、画期的だったところも面白いと思いました。
どさくさ
劇団あはひ
本多劇場(東京都)
2020/02/12 (水) ~ 2020/02/16 (日)公演終了
満足度★★★★
なるほど、落語が下地となった作風。と感じると共に、スマホや現代ファッション&若者特有の透明感ある作品。
青春ミステリーならぬ青春怪談といった趣があり、だんだん生と死の境目が曖昧になってきて不思議に物哀しい。
日本の古典様式の香り、全体的にゆったりな台詞回しはとても咀嚼しやすいものの、睡眠不足の状態で観に行かれる方は要注意。
その日のアフタートークで「半分夢見心地で観ても面白いのでは」的なお話しがあり、うん確かに!と思ったものの加減が難しそう(笑)
1時間15分。ちょっと食い足りない気がしたけれど、時折の静寂を破る三味線の生演奏がマッチした独特の世界。
どこか浮世離れした空間に身を置き、集中して楽しめました。
だめだこりゃの王国
劇団KEYBOARD
小劇場 楽園(東京都)
2020/02/05 (水) ~ 2020/02/12 (水)公演終了
満足度★★★★★
パステル調のお部屋に流れてくるのはオルゴール調のメロディー。
そこに住む(棲む)女性のリア充っぷりたるや
…などと一瞬思わせといて、引きこもり部屋での夢の中でありました。
身も蓋もない現実との落差から滲み出る面白味を噛みしめながら、どんどん観進めていましたが、実は“夢の中の世界”と“現実の世界”との間には強い因果関係が…
う~ん実際にありそうなお話し。
夢(妄想)と現実、両サイドからのアプローチで、主人公女性の内面が立体的に浮かび上がってくる構造がとても面白かったです。
主人公を取り巻く全ての人物の立ち位置、登場する順番・タイミングまでもが実に巧妙に創られていると思いました。
トタン屋根でスキップ
ここ風
シアター711(東京都)
2020/02/05 (水) ~ 2020/02/11 (火)公演終了
満足度★★★★★
イイ感じに年季の入った喫茶店。
「あそこの窓際席あたりでゆったりお茶したいなぁ~」っていう感じで開演前、ひとしきり見入ってしまう。
幕が開くとそんな居心地良さげな舞台に相ふさわしい人達のやり取りが…
開演前に思い描いた“ゆったり”って感じではありませんでしたが(笑)可笑しい場面、哀しい場面、いつだって根底には“温かい人の心”が。
ジンワリ癒され、自然と琴線に触れてきます。
関西弁と常連さんと古い傷。
寒い季節にピッタリ、心の芯まで温かくなってくる作品でした。
さりげなく背景や人物に溶け込むよう考え抜かれたであろうスタイリング、衣装も要チェックです。
第13回公演 明日花ーあしたばなー
日穏-bion-
「劇」小劇場(東京都)
2020/01/29 (水) ~ 2020/02/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
打ち上げ花火は綺麗だけれども何とも儚い。
哀しみしかもたらさない戦争を背後に、懸命に生きる人々の人生が、その花火の儚さ、更には激しさとリンクしていくように思えた人情ドラマ。
個人的に日中、何かと頭の忙しかった観劇日。
非常に集中しにくい精神状態ではあったのだけれど、自然な芝居の流れは非常に優しくて乗り心地が良く、遂には目頭が熱くなってくるのでした。
かつて同劇場にて大泣きで拝見した東京セレソンデラックスさんの初見公演を何故だか懐かしく思い出していました。
狭間の轍 【東京公演】
ゴツプロ!
本多劇場(東京都)
2020/01/24 (金) ~ 2020/02/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
舞台の上手高場にて三味線と尺八の生演奏。
これがめちゃカッコいい演奏であったり、時にはドンチャラ宴会のお供になったり、男衆の眠る夜のとばりになったりで大活躍、全ての音響を担って舞台は独特の空間に。
“笑い”には円熟味、ますます男臭さに磨きがかかったゴツプロさん。
この作品で、またひとつ極まった様に思えました。
喧嘩っ早く荒々しい漁師の男達。
食えない輩にして、その一人一人が逸材。
最初のうちこそ笑ったりしていたものの、描かれるは命懸けの過酷な世界。
時代の残酷さも絡み合ったあまりの厳しさ、ギリギリに張り詰めた空気、鬼気迫る演技…圧巻!としか言いようがありません。
身が引き締まる思いで劇場を後にしました。
家族と呼ばないで ~I can't say it enough~
GENKI Produce
ブディストホール(東京都)
2020/01/29 (水) ~ 2020/02/02 (日)公演終了
満足度★★★★
時は披露宴パーティー直前。
式場の綺麗な控室で、仲良さげにやり取りしている若い二人。
実に和やか、イイ感じだったのが開始僅か3分ほどで、えっ!ななっ意外な展開。
あぁ、そういうこと!・・・そう来たかっ(笑)
早々のスイッチONに、もうここから笑いっぱなし。
刻一刻、突き進むストーリーと各自の状況にて醸し出される演技の妙味。
いつの間にか責められる身となっているお父さんの立ち位置が、もう絶妙。
どんどんこんがらがっていく珍事態には罪のない笑いが沢山。
予想外だった“ちょっとお下品”は爆笑を誘う鉄板技でしょう(笑)
最後にはモロに弱いところを突かれて、思わずもらい泣き。
良い時間&幸せのおすそ分け、頂きました。
『どんとゆけ』
渡辺源四郎商店
こまばアゴラ劇場(東京都)
2020/01/25 (土) ~ 2020/01/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
前にもう一方の同時公演『だけど涙が出ちゃう』を観劇したおかげの相乗効果がめちゃ大きかった!
既に架空の法律「死刑員制度」に対しての免疫(?)が出来ているというか、勝手もよ~く分かっているだけに、本作での登場人物の心情がとても汲み取りやすい。
『だけど涙が出ちゃう』では被害者の子供、当時まだ女子高生だった彼女が、こんな風な大人の女性となって本作に関わっているのだと思うと、何とも複雑に感慨深い。
執行案内役の保安員は地元青森出身の職員に変わっていて、その違いからくる影響も大きく、緊張感と日常的な緩みのバランスがこれまた絶妙。
「こんな残酷な制度が現実に成立するなんて…」という思いは一旦据え置いて、本制度のルールに基づき進行する出来事からポロポロこぼれ落ちてくる登場人物達の心の内をひとつひとつ拾い上げながら、改めて人が人を裁く行為、つまりは真の正解など見つからない迷宮の中を彷徨い歩く、そんな世界観を存分に楽しむ事ができました。
Brand Blend #2
新中野ワニズホール ( Waniz Hall )
新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)
2020/01/24 (金) ~ 2020/01/26 (日)公演終了
満足度★★★★
二人芝居×3作品。
同じ6名が出演する公演であっても、ひとつの90分作品の場合に比べて、30分×3、かなり集中して役者さん一人一人の演技を楽しめるところが良い。
それだけに演じられる役者さんもプレッシャーだろうし、
限られた時間枠、速攻で作中に引き込まなければならないプレッシャーもあると思うのだけれど・・・気持ちいいほど軽快に面白かった。
30分がこんなに早いものかと
「ダイナマイト佐竹くん」
大手ヘイベックス株式会社に単独売り込みに来たロックンローラー、ダイナマイト佐竹くん。
対応する事になったのは腹に一物ありの女性社員。
自分大好き有り余る売り込みの攻防戦に、こちらもついついその実力とやらを聴いてみたいと・・・
「あの釣り堀の日にはもう」
釣り堀にて肩を並べる父と息子。
なのだけれど…本当の状況が徐々に鮮明になっていくグラデーションに引き込まれます。
30分のやり取りにギュッと濃縮された人生ドラマ。
「僕は作詞家になりたい」
まさかの、またもや単独売り込みモノ!
今度は作詞家志望。そして、やっぱり自分大好き(笑)
キャラ(役者さん)が変われば面白味も変わる・・・新鮮に笑えます。
どの作品も随所に笑いを散りばめながら、「生き様」の断片が見えるようになっているからの上質感。
『だけど涙が出ちゃう』
渡辺源四郎商店
こまばアゴラ劇場(東京都)
2020/01/23 (木) ~ 2020/01/26 (日)公演終了
満足度★★★★
人が人を裁くという行為が如何に難しいかガッツリ考えさせられる公演でした。
裁きを被害者家族に委ねるとなると尚更に悩ましい。
被害者家族が死刑執行人として一任される架空の制度「死刑員制度」が物語の軸となった人間ドラマ。
被害者家族が本当に加害者に死の制裁を下すのか、それとも辞退して無期懲役とするのか、正にどちらかを確定する日が舞台であり、前者の判断であれば即死刑決行。
もしもこういう制度があったら・・・それをリアルな芝居に乗せる事で漂ってくる制度に対しての妙な違和感だったり、上手く色付けされた地方性だったり、各登場人物の性格の妙だったり、要は腕が良いのでしょうが、とんでもなく重い空気になって然りの状況なのだけれど、思わず笑いが起こったりするのですよ、これが。
そして加害者が犯した罪をどう捉えるか。
本作の加害者がそもそも極刑を下されるべき悪人とまでは、自分にはどうしても思えず。
この立場にして決して感情的にならない彼の剥き出しの心の内を覗いてみたくなります。
とにかく考えさせられる事でテンコ盛りの中、遂に運命のラストシーンが・・・う~む そうか、そうなるか う~む。
はみだしっ子~White Labyrinths~
Studio Life(スタジオライフ)
シアターサンモール(東京都)
2020/01/08 (水) ~ 2020/01/19 (日)公演終了
満足度★★★★
原作は「全く知らない」での観劇でしたが、原作に対して本当に本当に真摯な劇団さんである事は重々承知。
なので「はみだしっ子」の世界観、しっかり伝わったと思います。
更にStudio Life独自のビジュアルもミックスされるので、浮世離れした確固たる世界がそこに生まれていた というか。
再々演ではなく続々編(パート3)という事で、その支障もほぼ感じる事なく観進められましたが、やがて立ち位置が今一つハッキリしない大人の登場人物が2名ほど。
気になる存在でしたが、混乱する程では無く、ここは憶測で我慢。
少女漫画というジャンルは、ほとんど読んだ事がありませんが、四人の少年を主人公にして驚くほど壮絶な展開。
おそらく本作が全体のストーリーの中でも、少年たちの運命が大きく混乱する激動のパートだったのでは。と思わせ 強盗殺人犯を発端にした皮肉な連鎖、それでっ、その先どうなるっ!の道半ばにてto be continued・・・あぁ~そんな無体なっ
つまりはパート4につづく、か・・・パート4って!
やっぱり「原作に忠実なStudio Life」 本当に真摯な劇団さんです。
「朝日のような夕日をつれて」
株式会社STAGE COMPANY
本所松坂亭(東京都)
2020/01/14 (火) ~ 2020/01/19 (日)公演終了
満足度★★★★
M verを拝見。
本当だ!つかこうへいスピリッツがビシバシ、案外鴻上作品と相性が良いのですね。
かなり自由度の高い作品と思われ、最近の時事ネタやアイテムがふんだんに。
なるほど演出の手によって器用に容貌を変えながら、いつの時代になっても現在(いま)の作品として生き続けていく事のできる作品なのだなぁと。
そうそうっこれこそ鴻上ワールドの…と納得したところで終演。
予定調和ガン無視の展開、ストーリー説明は自分なんかにはとても無理!という手強い公演でしたが、とにかく役者さんのパワーたるや。
思わずバッカでぇ~な笑い、ゴトーをこんな風にしちゃっていいの?(笑)約2時間の荒波を泳ぎ切った役者さん達に拍手です。
たまたま、お話しできたお客さんは何と今日の公演を観るために大阪から。
交通費、宿泊費、時間だってバカにならないだろうに。
しっかり楽しめたようで良かった。
簡単な移動で観劇できてしまう環境に感謝しなくてはとつくづく思いました。
雉はじめて鳴く
劇団俳優座
俳優座劇場(東京都)
2020/01/10 (金) ~ 2020/01/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
生徒、教師、親、それぞれ縦や横のコミュニティーが織りなす人間模様。
清濁合わせ持つその鮮やかさたるや。
まるでスポンジになったかの様に舞台から溢れ出る感情が、紡がれる言葉が沁み込んできました。
男子生徒の女教師に恋焦がれる頑なさにピッタリ張り付いた涙したくなる痛み。
ごくごく普通の37歳でもある女教師の、一人の女として、常識ある教育者として、人生の先輩である大人として一体何が正解なのか、悩ましい心情。
もう切なくて切なくて胸が締め付けられます。
登場から速攻でこちらのペースをも掴み取ってしまうカウンセラー女性の人間力、
代表者として真価を問われる校長の立ち振る舞い、
ある意味台風の目でもある母親の目が離せない言動、
調子に乗って全て挙げてしまうとネタバレになってしまいますが、もう出演されていた人たち全員が(時には厄介ながら)とても愛おしい。
ことごとく教頭先生には笑わせて頂きましたが、これは油断すると同じ穴の狸になりかねないので気を付けなくちゃ(笑)
確実な総合力で心揺さぶられる極上の人間ドラマでした。