満足度★★★★★
前にもう一方の同時公演『だけど涙が出ちゃう』を観劇したおかげの相乗効果がめちゃ大きかった!
既に架空の法律「死刑員制度」に対しての免疫(?)が出来ているというか、勝手もよ~く分かっているだけに、本作での登場人物の心情がとても汲み取りやすい。
『だけど涙が出ちゃう』では被害者の子供、当時まだ女子高生だった彼女が、こんな風な大人の女性となって本作に関わっているのだと思うと、何とも複雑に感慨深い。
執行案内役の保安員は地元青森出身の職員に変わっていて、その違いからくる影響も大きく、緊張感と日常的な緩みのバランスがこれまた絶妙。
「こんな残酷な制度が現実に成立するなんて…」という思いは一旦据え置いて、本制度のルールに基づき進行する出来事からポロポロこぼれ落ちてくる登場人物達の心の内をひとつひとつ拾い上げながら、改めて人が人を裁く行為、つまりは真の正解など見つからない迷宮の中を彷徨い歩く、そんな世界観を存分に楽しむ事ができました。