さめるお湯
あひるなんちゃら
OFF OFFシアター(東京都)
2011/02/09 (水) ~ 2011/02/14 (月)公演終了
結局冷めなかった。
同じく劇中の温度も。あひるの空気感は普段からゆるーくぬるーいものの、今回はそれよりちょっとだけ熱かったかも。せいぜい1℃くらいだけど。前回が再演での今回新作だから気合入ってたのかな?とか思うけど、聞いたら『いや別に』って返されそうだ。そういう人達だ。
ツッコミ役になる事の多い異義田さんがボケ側に。っていうかいつもに増してボケが多かった気がする。ボケっぱなし。あとやさしい発明家だったのかどうかよく分からなかったけど、そのへんはどうでも良かった。
未見の方にどんな団体なのか伝わる様に補足すると、当日パンフレットに『携帯電話?PHS等の音の出る機器の電源は切っていただかなくてもかまいませんが、本番中に音が鳴った場合、役者が効果音と間違って、上演時間・内容等が変わってしまう場合がございます』とか書いてあります。そういうなんちゃら具合。
いつもいい仕事してるテーマ曲。今回のは個人的にかなり好きだった。
俺のお尻から優しい音楽
五反田団
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2011/02/04 (金) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
日本国民みんな観れば良かったのに。
何度吹き出した事か。爆笑はしないのだけど、構って欲しい子どもがいちいち突っついてくる様なウざさ。ふざけやがって。本気でふざけてくれやがって。お前ら最高だ。
凄いなと思ったのが、脚本の作り自体はしっかりと王道の戯曲だった事。運命やら生死やら、ご都合主義を振り切る勢いの展開。小ネタをいくつか省いて英国人に演じさせたらシェイクスピアっぽくなるんじゃないか。なのに改めてあらすじを読んでみると「壊れそうなほど美しい少年大山」の時点で思い出し笑いをしてしまう。くそ。
個人的に大好きな木引優子さんと吉田亮さんを久々に見られて、しかもこんな演目で見てしまった。この気持ちどうしてくれる。ありがとう。
投げられやすい石
ハイバイ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/01/19 (水) ~ 2011/01/30 (日)公演終了
ちょっとした恐怖。
久々に観られて良かった。やっぱり面白かった。
で、ちょっと迷っています。ハイバイが何で面白いのか観てない人になんて言えば伝わるのか上手い言葉が見付かりません。変なモンスターと出会ってしまった様な感覚。ただ強いだけなら「強いんだよ」と言えば済むものの、何がどう強いのかパラメーターが良く分かんない。理解を超えてちょっと怖くさえあります。
他者とのどうしようもない意識・感覚のズレ。謂れのない当て付けや気に掛けているはずなのに共通意識でなかった時の絶望。胸の内に苦いものを得ました。劇場を出て現実に戻った時の開放感たるや。
【公演終了】B203【ご来場有難う御座いました】
早稲田大学演劇倶楽部
早稲田大学学生会館(東京都)
2011/01/14 (金) ~ 2011/01/17 (月)公演終了
死ぬなよ!殺すなよ!
出演者にも客席にも死人が出てもおかしくなかった。マジで。やってる内容はエッジが効き過ぎてます。でも、勧めたい。ただのバカだと思う人もいるかもしれない。いや、だとしてもこれだけ本気のバカを観た事があるか?
脚本クレジットが数人いるからオムニバスかと思ってたら…。しかもパンフレットではチラシから更に記載名が増えてた。みんなで話し合って作ったのか、リレー方式で書いたのか。後者かな? 後者な気がする。でもそういうは別にどうでもいい。もうなんか、構成とか流れとかじゃなかった。全箇所本気!の二時間強。濃すぎた。最近の暴れ団体っていうとバナナ学園にお株が根付きつつあるけれど、いやいやエンクラだって相当暴れてるぞと。やってやがるんですよB203で。
『Prism』
*rism
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/01/25 (火) ~ 2011/01/30 (日)公演終了
なるほど。自分はこういうのがかなり好きらしい。
まずはそれに気付かせてくれてありがとうです。
記念にやってみた、のレベルではない完成度。写真家として養われた「何処をどう見せれば可愛く見せられるのか」の目利きが演出家としても発動。可愛さの中の狂気も鈍く光っていたし、狂気の中の一途な可愛さも。
一つくらい面白くない脚本があるかもと思っていたのにみんな面白い。誰にも明かさずひっそり順位を付けようと思ったけど結局は同1位になった。それぞれの演目の繋ぎも上手く出来ていて、作品ごとは絶対的に各作家(しかもみんな銃刀法違反になりそうな武器を持ち込んでくるタイプ)の色が出ているのに観ていて流れが途中で途切れたりしなかった。
アンケートに次回公演ではどんな事をやって欲しいかという項目があって、個人的には方向性を変えずこのままやって欲しいですね。何回かやったらその中の何作かで再演ベスト版を劇場公演するとか。
いつか床が見える伝説
早稲田大学演劇倶楽部
早稲田大学学生会館(東京都)
2010/10/15 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
ゆかでん。
度々エンクラで役者として目にしていた萩野さん。不思議な存在感な彼女がどんな作品を生み出すかと思いきや、とんでもないもん持ってきた。
最近のエンクラ作品は良い意味で共通した雑さと強さと熱を持っています。どうやって作ってるんだろう? エチュードから作る技法が確立されているのか、それとも集まってる人々がそもそも雑さと強さと熱を持っているのか。早稲田大学の施設の地下でこんなもんやってるなんてパブリックイメージは皆無だろ。みんな飛び込んで来いよ、って言いたくなる。
物語を端折ると、ゴミ山が山になる話。大幅に端折っています。
くちびるぱんつ
ぬいぐるみハンター
王子小劇場(東京都)
2011/01/27 (木) ~ 2011/01/31 (月)公演終了
すげーイージー。
難しい事は考えなくていいし集中力も使わずぼーっと観るのに最適。スポーツで例えるなら卓球だったかな。温泉に行った時にうっかりやっちゃう卓球。そういうテンション。娯楽。飲食店で例えると言うと、新メニューが出たばかりのファミレス。
雨と猫といくつかの嘘.
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2011/01/30 (日) ~ 2011/02/08 (火)公演終了
再演も輪廻。
感覚と記憶に訴えられながらの70分。の割には体感時間が長かった。間延びしてる訳ではなく、人生を巡る長い時間を見せてくれたので壮大さに中てられたのかも。ぎっしり。
人の生死は家族という枠組みの中で見れば始まりでも終わりでもなく長い長い繋がりの一部。血の繋がり。でも家族の始まりは血の繋がらない二人が一緒になる事。子孫繁栄の為であり、それだけではない集合体。
「演劇=嘘」という意味ではかなり大胆な嘘も手法も使いつつ。物語的に、物凄い真面目に本気でままごとをやったらこうなる気も。そう思うと大胆な様で実は原点。料理で言えばおにぎりか素うどん。有り触れたメニューと侮るなかれ、旨いやつは旨い。
準決勝
あひるなんちゃら
駅前劇場(東京都)
2011/09/02 (金) ~ 2011/09/06 (火)公演終了
何回目だろう。
あひるなんちゃらを観るのは何回目だろう。もしくは何匹目と数えるのか? いや、数え方とかホントどうでもいいや。あひるにはいつも感想らしい感想を持たない。いい意味で、初めから感想を持つ気がないままに席に着く。観劇というよりは近所の寄席にでも行く感覚なんだろうか。ウチの近所で寄席なんかやってないし、そもそも行った事ないけど。
いい大人がみんなふざけてて、すごくいい。日本がみんなこうなったらすごく平和だ。争いそうになったらじゃんけんで解決すればいい。きっと国力は滅茶苦茶下がるけど、平和だ。
国道五十八号戦線異状ナシ(再演)/国道五十八号戦線異状アリ(友寄総市浪短編集)
国道五十八号戦線
サンモールスタジオ(東京都)
2010/12/08 (水) ~ 2010/12/13 (月)公演終了
以上、異常アリ。
これが58に対して最後の感想か。自分にとっても節目な気持ち。
自分が初めて彼らを見たのは明大活劇工房の新人公演だった訳で、その頃にハマカワさんが一人芝居をやっていたらさて観る気になっていたかどうか。しばらくの時間が過ぎて今。まぁ大丈夫だろ面白いだろと心から安心して観るに至りました。
不親切の二人が出ていなかったのは本当に残念。劇団員公演とか観てみたくはあったよね、やっぱ。
作家の帰還までどうにか繋ぎで活動していく姿なんか観たくなかったし、スパッと終わっちまえばいい。そしていつかまた始まる時があれば始めればいい。カッコいいバンドは絶頂で解散してカッコいいまま伝説になる。で、性懲りもなく再結成したりする。58にはそれがお似合い。しばらくは、さよなら。
いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校
ロロ
新宿眼科画廊(東京都)
2010/10/17 (日) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
素敵やん。
作風は好みじゃないんです。でも、素敵だなとは思えたのです。
上演時間自体が短かったからか、過去に見たロロの中で最もやりたい事がまとまっていて観やすかった。別に時間がどうこうじゃないのかな。「ボーイ・ミーツ・ガール」のショートバージョンは全然響いて来なかったし。確立されてきたんだろうか。
ロロの武器はピュアさにある。あと5年したら彼らはどうなっているんだろう。そして10年後は? 今やれる事は今の内にハイペースでやってるみたいだから、きっと何か違う武器に変わっていくのかもしれない。
ラストエンド遊園地
新劇団松葉ステッキ
アミュゼ柏(千葉県)
2010/12/09 (木) ~ 2010/12/12 (日)公演終了
過去最高作。
そしてこれが頭打ち。
脚本的には今迄で一番まとまっているものの、あくまでまとまっているだけ。多すぎる登場人物に作品と直結しない見せ場を与えてパズルの様に組み合わせているから、物語に一貫した流れはない。結局のところ、メインであるはずの遊園地の閉演が何故そうなったらいけないのか全く共感出来ない。閉演しない様に頑張れ!と誰を応援する気にもならなかった。それでも、脚本は今まででは一番マシ。
問題は役者と演出。旗揚げ以降、ここで上手くなった役者が見当たらない。松葉ステッキ入団以降に初めて演技を始めた役者は少しは延びている。それは0が1か2になった話であって今後まだ成長はありえるが、それ以前から演技をしていた言わば10くらいだったであろう人々がいまだに10のままとかせいぜい11の状態なのは大問題。役者として後輩の手本になる様な人物がいない。だからいつまでも看板役者も育たない。作品を作る為の演出家の不在も痛いが、何より役者を育てられる演出家の不在が絶望的。
次回は再演らしい。作品的な質の向上は期待出来ないし、観に行かない事に決めた。
EMPTYMAN
たすいち
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2011/01/08 (土) ~ 2011/01/10 (月)公演終了
ようやく観た。
予想してた作風とドンピシャで、逆にちょっとびっくり。
主人公をもっと煮詰めたほうが良かったと思う。物語を牽引しない主人公だと目が行きにくいし、でも共感しやすいキャラには出来たはず。自信がないと後ろ向きだよねって部分でもうちょっと上手く観る側の気持ちを近付けさせる事が可能だったのでは。
アフタートークで演出家から『不細工すぎる』というダメ出しを受けていたのが明らかになったあに子さん。役柄的にそれはグッジョブでしょう。
ここしばらくなんかいつも見てる池田さんが今回もやっぱり良くて、彼を次にいつ観られるかも楽しみ。
メゾン・ド・ウィリアム
劇団バッコスの祭
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2011/01/09 (日) ~ 2011/01/17 (月)公演終了
変えて来た印象。
賞を取っての再々演など先が決まっていたからか、これまでとちょっと違った事をして来た感じ。まず現代劇が久々だったか。
普段に比べると脚本的にはちょっと無茶もしてる気がしました。一貫させたものを内包してしっかり一歩ずつ進んでいくのがいつもだとしたら、今回はピース同士を繋ぎ合わせているというか。それだけに語られている内容だけ見ると前後の繋がりが弱い部分もありながら、挿入された殺陣が見所になっていてきっちり埋まっていた。これ、強みだと思います。あと、丹羽さんの演技。感情丸出しの彼の演技は迫ってくるものがあり過ぎてどんな気持ちで観ていようと説得させられてしまう。
新劇団員も魅力的。丹羽さん・辻さんが中心になる事が多かったけれど、今後は配置を換えて別の試みも観てみたい。その二人があえて脇で違う事をやる姿も観てみたいですし。
舞台版『千年女優』(大阪凱旋公演は5/11)
TAKE IT EASY!
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2011/02/17 (木) ~ 2011/02/21 (月)公演終了
充分。
映画未見で、当時にアニメ誌をぺら見して「多分こんな感じ」くらいの事前知識で観た今回。いやー、楽しめました。アニメ・演劇の双方のファンから高評価なのも嬉しい。要素は結構似てると思うし。
長い時を経てひたすらな思いを貫き通した千代子の姿と、舞台上を舞い踊り駆け抜けた5人の女優の姿とが見事にシンクロ。精神的にも肉体的にもきっと女性のほうが強いのだなと感じました。そしてそうある姿を目にすると、強さや逞しさに感銘。
配役ルールを根付かせる為とは思いましたが、序盤は「これもっと面白いよな?なんでこんなに安全運転してるんだろ。勿体無い」と思ったり。少し客を置き去りにするくらいでも良かった気が。観ていれば引き込まれるだけの吸引力はあったのだし。個人的には中盤以降から楽しめました。
りんごりらっぱんつ
劇団競泳水着
サンモールスタジオ(東京都)
2010/11/12 (金) ~ 2010/11/23 (火)公演終了
過去いち。
個人的にはこれまで観た競泳作品で一番好きだった。トレンディドラマの頃から物語の紡ぎ方は上手いと思いつつ、自分としては演劇に恋愛要素をあまり求めてなかったから。その点で焦点が今回は家族や上京に当てられていたのが自分の身に置き換えやすくて。いや別に恋愛だと自分の身に置き換えられない訳じゃないって訳でもないんだけど。個人同士の関係性よりももっと大きなもの。枠自体が大きくて、気持ち自体も。今になって「女ともだち」とか「NOT BAD HOLIDAY」が観たくなった。
川上さんと今村くんの異物感。周りが強固な分、あえての足元の危うさのハラハラ感が良かった。完璧すぎる人間とは接するの距離を感じて、欠点があったほうが親近感が沸くじゃないですか。この演目を人間に例えたらその欠点部分があの二人。愛せる様になる為に大切な欠点。役者力よりは配役の妙。
俺の屍を越えていけ【無事に終了しました】
七里ガ浜オールスターズ
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2010/11/01 (月) ~ 2010/11/07 (日)公演終了
あの本だぞ、さて。
台本がしっかりしているのは分かっていた事。で、今回はどうもそれをなぞっていただけな感じがしました。それなりには面白かったけど、どうもそれは台本を音読した以上のものになっていなくて。各役者もっと色々な事が出来るのに、それぞれの一部分だけ使っていた様な。惜しい、あまりにも。
Bプランズ
.comet <ドットコメット>
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2010/11/03 (水) ~ 2010/11/08 (月)公演終了
変なの。
主人公がすっとぼけた感じというのが異色。普通物語っていうのは主人公が何かを成し遂げるまでの試練や成長を追いかけるものじゃないですか。少なくとも自分はそういうもんだと思ってたんですけど。で、この主人公にそういう信念がない。それもそのはず。彼らはBチームなのだから。AチームになりたがっているBチームならまた別の信念があるんだけど、それもなかった。都会と地方くらいの温度差。
金色の鳥
立教大学演劇研究会
立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)
2010/10/29 (金) ~ 2010/11/01 (月)公演終了
ウィリアムズホールの階段は登る時に緊張する。
久々に立ち入った立教大学。作・演出の担当が代わっても歴史物をやるとまず外れがないのが立教劇研。今回もそれに漏れず。平等院が鳳凰堂と呼ばれる様になった経緯についての話。
その世界で何が起きているかについては大風呂敷を広げつつ、劇中の肝は世界よりも人々に置いたのが大正解。色んな事を考えさせながらも主人公の「あいつはなんであろうとあいつだ!オレの友達だ!」みたいなストレートな訴えがちゃんと伝わってきた。
立教劇研がすげーなと思うのは、以前からずっと無料って事。対価を貰う気持ちは持たずひたすら「観てもらう」って部分にモチベーションを置いてる訳で。むしろ払いたくなります。
ゼガヒデモ
Guesspell Project
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2013/03/27 (水) ~ 2013/03/31 (日)公演終了