IN HER TWENTIES
TOKYO PLAYERS COLLECTION
王子小劇場(東京都)
2011/05/31 (火) ~ 2011/06/05 (日)公演終了
年相応。
『若いほうがいい』とか『三十代からだ』とか言っても、いや女の子はいつだって可愛いだろ、と。
自分でも意外と初の本公演観劇。今回上手く機能していたのは、「いい意味で全力で演技してない」って部分かと。さらっとしてた。役者が演技力を発揮するというよりも「女の子が何かしてる」。それがこの演目の支柱である一人の女性の歴史を語るモノローグに重なっていた気がします。暑苦しいものや重苦しいものを押し付けて来ず、ちょうどいい距離感。
座ったのは下手端の席だったので、自分から観ると年代を追うごとにこちらに近付いて来る感覚がありました。上手に座ったら遠ざかって行く感覚だったのかな? それも試してみたかった。
紅き深爪【沢山のご来場誠にありがとうございました】
風琴工房
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/05/24 (火) ~ 2011/05/29 (日)公演終了
家族とは?
血の繋がり・戸籍・同居。別々に存在する人間を括る概念。別々に存在するからこそ相容れない部分があって、その歪みは心を徐々に殺していく。
児童虐待のみを焦点が当たっているのかと思ったら家族の話だった。冒頭は情報量が多くて消化不良になるんじゃないかと危惧したんですが、得てして結局その通りに。でもその消化不良は劇中の出来事への煮え切らなさにもリンクされて、理由と意味のある不快感だった気もするのです。
モリー・スウィーニー
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2011/06/10 (金) ~ 2011/06/19 (日)公演終了
役者の力量と魅力。
舞台美術の美麗ささえも視覚を持つ者への皮肉に思える様な、小さく小さくしかし確実に心を削り取っていく棘が感じられる作品でした。
生で聴く南さんの声は可愛くて堪らなかった。改めて「あ、これが女優か」と思った。声に限った事じゃなく、客にとって何かしら心を掴まれるものを持ってるというか。彼女のモノローグが始まってすぐ「あ、このモノローグだけが3時間続いても観られるな」と。内包されたものと背景が感じられました。小林さんは当初は好きになれないかもと思ったら、いつの間にか安心して楽しんでた。可愛いモンスターだった。リロ&スティッチみたいな。青いやつはスティッチ? よくよく見たら可愛くないはずなんだけど可愛く見えちゃう。相島さんは黙ってても観ていられる貫禄。それでいてミーハー心をくすぐるギリギリ一歩手前の適切な距離を持った存在感。口を開けば勿論その言葉の説得力たるや。
静の中の動の前半と、動の中の静の後半。母体内で眠りについた出生前の状態と、新たな世界で刺激に憔悴して迎えた死。物語が始まった時点でモリーは40代だけど、人生の終始全てが劇中にあった。何を大事に観ればいいかは始まってすぐ分かるはず。
【バナナ学園★王子大大大大大作戦】
バナナ学園純情乙女組
王子小劇場(東京都)
2011/05/17 (火) ~ 2011/05/22 (日)公演終了
バナナの感想をCoRichに投稿するのさえ違和感がある。
最早彼らは「バナナ学園純情乙女組」という概念だ。演劇かどうかとかを超越している。劇団は年に2回くらいのペースでその間に客に忘れられない様に色々と策を練ったりする訳ですが、バナナだとむしろそのくらいは間を空けてくれないと体内に吸収された何かが除去し切れない気がする。
過去に何度か観に行っている上でネタばれさせない様に感想を書こうとするとちょっと限界が出てきますね。ひとまず毎回「凄い」。くれぐれも断っておくと、この「凄い」には尊敬の念はほとんどこもっていないです。立派とかじゃないのです。凄惨と言う言葉にこの字が入っているのを納得出来る様な「凄い」です。内包してるものが濃過ぎるし彼らも理解とか考察とかまるで求めてない。面白かったかどうかそれだけ。味わいはいつも同じなのでいつか飽きたら観に行かなくなるだろうなと自分で思いつつ、まだ飽きる様子がないのです。困ったもんです。
おはようバタフライ
劇団活劇工房
明治大学和泉校舎第二学生会館地下アトリエ(東京都)
2011/05/17 (火) ~ 2011/05/20 (金)公演終了
本当に久々。で、面白かった。
話が聞こえてくる事もないし脆弱化してるんじゃないかと期待せずに観に行ったら、これが普通にちゃんと面白かった訳です。やんなっちゃう。ちょっとー、これまでのDMの文面とかもっと強気に宣伝してくれて良かったですよー。しばらくの間このレベルのものを見逃していたかと思うと残念でならない。
脚本・演出・役者がそれぞれにマックス値で仕事をこなしていたのがよく見えた。役者は能力に個人差があったけれど、それでもこの演目における役どころとしてのマックス値はしっかり出してくれていたと思います。上手い人も面白い人も可愛い人もいて、ちょっとこの座組バランスは恵まれすぎてるんじゃないかってくらい。登場初期は身内受けで笑われていた役があったけど、時が過ぎるにつれて治まった。飽きられたんじゃなくて、しっかり演じてるからちゃんと観ようと意識してもらえたのでしょう。熱演。
惜しいのはただ一点。パンフの配役表が分かりにくくて、どれが誰か分かんなかった。劇中でそう頻繁に全員の役名を呼称していた訳じゃないし。「この人が出るならまた観たい!」っていう人が何人もいたのに、どれが誰か分かんなかった。自分が誰のファンになったのか自分で分からないジレンマ。身内客しか想定してなくてキャストの本名を五十音順に並べたんだろうけど、新歓公演って事はやっぱ新入生は先輩の名前は知らないだろうし。そこだけ惜しかった。
DUST CHUTE UTOPIA
PLAT-formance
タイニイアリス(東京都)
2011/05/19 (木) ~ 2011/05/23 (月)公演終了
ズルイ。許すけど。
劇団がコントをやるっていうとなんか普段よりちょっと下に位置する企画物なイメージが強い気がする。逆にコントグループが演劇やるって言うと上に位置する気がする。彼らの場合は元々演劇が出来る人々なのでそのイメージはズルイ。だって普段より上の事やるけど出来るって凄いみたいじゃないか。ズルイけどちゃんと面白いから、許す。
ゲストを呼んでさてどうなるかと思っていたら、ゲストの経歴自体をいじるというネタまであって。知らない人が見て「え?今の何の意味があるの?」と引っ掛かる様な入れ方はせず、分かる人だけ分かる埋め込ませ方。分かって喜んだ人はいても、分からなくて悔しい思いをした人がいない優しいネタだった。
全編笑いだけにせず、込められたメッセージも。個人的には観る事によって自身で改善を図れる諸問題については意識の芽生えが大事だと思うけど、手に負えないものだと不安を煽られたままになってしまう点を危惧。どうだろう。近くにいたOL風な女性とか終始ガッバガッバ笑ってたし、気にしすぎかもしれない。ひとまず、笑えます。
湯河原ドリフターズ 松の間
アリー・エンターテイメント
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2011/05/18 (水) ~ 2011/05/22 (日)公演終了
とりあえず松の間にのみお邪魔。
個人的には久々に観た王道ドタバタ劇というか。正直な事を言えば「その状況おかしくね?」「その気持ちよく分かんないなー」というのがちょいちょいあった。あったけど、観れた。「初日だから、まぁ…」という気持ちを持ったつもりはないけれど、発展途上の何かを感じさせられたからだと思う。この演目の伸び白も出演者の伸び白もあって、観て置いて損はないなと思いました。
そして現実世界が今こんな状況で、虚構世界で起きる深刻な状況を笑いを交えて見られるというのは娯楽として最高。いい意味で、他人事。ただでさえちょっと自分の事から目を逸らしたくなる日常。逸らした目の先が彼らなのは良かったかな。
わが星
ままごと
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2011/04/15 (金) ~ 2011/05/01 (日)公演終了
初演を観られず念願の。
戯曲には軽く目を通して「あ、これは観なきゃ」と思いました。そもそも戯曲は演目の設計図みたいなものだけど、これに関してはその印象が他より強くて。新しい飛行機の図面を見せられて「どんな飛び方するんだろう?どのくらい飛ぶんだろう?」みたいな感覚でした。
自分の都合で到着が遅れて立ち見になったのだけど、この演目は地球に立ちながら観るのもまた乙だったな。視野としても必ずしもある一点だけに着目せずあちこち見たくなるものだったし。主観的にも客観的にもなれる内容だったので、たまにふっと気が反れて場内を見回している時間も楽しかった。ブースのスタッフの姿を見るのさえ楽しかった。「あー、地球って星のこの場所に人が集まって演劇を観ている瞬間を過ごしているなー」と。
ちーちゃんとつきちゃんの遣り取りは可愛すぎる。それなりの年齢になって胸の内をほんわかさせられるのは、付き合い始めた人と初めて手を繋ぐ時くらいドキドキする。うっかり寿命縮む。
パラリンピックレコード
北京蝶々
シアタートラム(東京都)
2011/04/07 (木) ~ 2011/04/10 (日)公演終了
面白かった、でいいと思うんだよな。
色々思う事はあったけどこれは語る為の作品ではない気がする。他の観た人とは面白かった部分だけ話せば良くて、規制とか差別についての深い部分は自分一人が省みるべきだったのではないかな。
自発的に輝いていた役者と輝かされていた役者と輝かされ方を自分でよく分かっていない役者がいた様な。最後の人々は単純にもっと馬鹿になればよかったのになー、と。帯金さんとゆうじろうは煌々と輝いていたと思います。
スーサイドエルフ/インフレ世界
The end of company ジエン社
d-倉庫(東京都)
2011/03/31 (木) ~ 2011/04/03 (日)公演終了
こわい。
旗揚げ公演以来で久々に観た本公演。全然分からなくて全く面白くなかった。通り越して怖くなった。自分が理解出来ない手法で好評を得ている訳で、別に敵とか味方とかないんだけど自分にとってジエン社とは一体どんな存在なのか。好きとか嫌いとかじゃなく、分かんない存在。興味がなくて理解を諦めた訳でもない。落ち着いてよくよく思い返してみるんだけどそれでも全く紐解けない。人物が何と口にしているのか何の事を言っているのかも見失った。きっと老後に原宿や渋谷で若者と話をしたらこんな風に感じるんだろう。とりあえずまだ老後じゃないし理解を諦めるつもりはないです。しばらくは観に行かないけど。流石に毎回観に行って毎回分かんなかったら疲れちゃう。忘れた頃に、また。
すげーいい役者がいると思ったらぬいぐるみハンターの猪股さんでした。彼を髪型で覚えていたらしい。
バルカン動物園
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/03/18 (金) ~ 2011/03/28 (月)公演終了
「人間が集まっている場所だって動物園だよな」と再確認。
自分も昔は男の子だったので科学とか大好きな時期がありました。この物語のほんの導入までだったらその頃に考えていたかもしれないけど、そこから先は様々な見聞などもあってこそ。
扱っている内容自体はちょっと難しい。でも理解し易い様に作られています。科学へ苦手感を持って冒頭で自ら受け入れを拒否したら勿体無い。ちゃんと観ていればちゃんと入ってきます。新たなものを発見したり分からないものを解明していくのが科学。脳が発達した動物である人間だからこそ追い求めていくもの。しかしそれでも解決しない問題や現実がある。それを生み出したのもまた人間。面倒な生き物。それも含めて愛らしい存在、かな。
劣る人
elePHANTMoon
サンモールスタジオ(東京都)
2011/03/16 (水) ~ 2011/03/23 (水)公演終了
当初は
「うわー、つまんねー。結局誰が劣る人だったかよく分かんねー。普段はインパクト強いのに今回はお新香みたいな後味だなー」と思っていました。今となってはその薄味も悪くなかったかなと。
ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】
elePHANTMoon
サンモールスタジオ(東京都)
2010/04/07 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
れしぴえんとへん。
個人的には過去に観た作品と比べて大分観やすく、脚本協力というクレジットが何処までの仕事を指しているのか非常に気になりました。
ネタバレBOXは揚げ足取りみたいな内容になっちゃったので、好きだった人はスルーしたほうが作品を観た時の気持ちを保てるかも。
偽善者日記
荒川チョモランマ
劇場MOMO(東京都)
2011/03/18 (金) ~ 2011/03/20 (日)公演終了
よくぞ。
まずは中止からの振替公演に漕ぎ着けた事を讃えたい。
がっつり2時間でちょっとしたオマケもあったりしたのに体感では90分くらい。たまたま自分が「観たい!」に書いた荒チョモへの団体としての印象「次どうなるか分かんない」がそのまま作品になっていました。やりたい事は全部詰め込んで、作風さえパーツにしている。一本調子じゃないから飽きない。ってか、一つの作風じゃ同居不可能な役柄が多々登場してくる。それも楽しい。
全てはたった一つ大切な事を伝える物語の為。幾つかの形はあるけど、たった一つ。これは家族を想う話。なので家族と観るのがオススメだし、恋人と観ても良いと思う。とりあえずは今のこの時期に大切な誰かと観るのがオススメ。
万が一の地震対策も開演前に案内されますのでご安心を。始まって30分もしたらすっかり忘れて見入る事の出来る環境になっています。
NUMBERS【全公演中止決定。いつか必ず再演を。】
Sun-mallstudio produce
サンモールスタジオ(東京都)
2011/03/08 (火) ~ 2011/03/13 (日)公演終了
劇場発な企画っていうのが素敵。
30分×4本はかなーりボリューミー。2番目の演目が始まった時に「え?まだ折り返してもいないの??」って思ったくらい。上演順には異論があるものの、あくまで個人的な好み。「この並びでも観てみたい!」っていう欲を掻き立てられました。ネタバレBOX内にマイ順を書いておきますけど、ネタバレ感想も書いてるからご注意を。
狭いのが嫌な人は通路側席に座るべきかも。初日はかなり込み合っていたので身動きが取り辛かったです。
労働です
範宙遊泳
STスポット(神奈川県)
2011/03/02 (水) ~ 2011/03/09 (水)公演終了
労働ですニーランド
開演前から笑いそうになった。事前に『演劇じゃないかも』みたいな噂を見聞きしていたものの、これはアトラクション性・イベント性が突出してるだけで立派に演劇でしたよ。演劇の可能性をみくびっちゃいけないですぜ。子どもや外人さんでも楽しめるんじゃないだろうか。
そんな訳で、物語ではなく現象を追いかけていく感覚。物語スキー(物語好き)さんには物足りなかったかもしれないけれど、個人の人間性ではなく労働者のコミュニティを見る話だったからこれで良かったと思います。そう言いつつ、あえて物語だけ抽出して見るとかなりシンプルでしたね。パッケージ方法で冒険してる分、中身まで冒険したら全部が意味分かんなってたかもしれないしナイスなバランス。
「少年少女」を観た時に「まだ色々と揃ってないな」と思えたのが、今回はかなり揃ってた。タイミングが来たんだなと思った。観てない間に身の回りで『面白くなかった』って声も聞きましたが、今は面白いんだからいいでしょ。さて、次は何をやらかすのやら。
ピーナッツ畑にかかる月
早稲田大学演劇倶楽部
早稲田大学学生会館(東京都)
2011/03/04 (金) ~ 2011/03/07 (月)公演終了
まただ。またこいつらはやらかした。
いつもいつも破綻してる様なものすごい爆発力のものをやってくれる。爆発の勢いで真っ直ぐ飛んでくから、寄り道してるくせして一貫した何かがある様にも感じさせられる。観てて一息つきたくなるくらいなのに、やる側が全然一息つかないからどうにか着いていって結局最後まで観ちゃう。若さとかじゃ片付けられない。それだけで肉体も精神もあんなに酷使出来るものか。
未見の方に物語をどう説明したらいいいのかまるで見当が付かない。とりあえず思い出すと興奮する。興奮しすぎて「い」を一つ多く打ってしまった。
吉江さんが降板したのさえ完全にネタじゃないか。いや、本当らしいけど。本当に降板したっていうのがネタになってるし、代わりに出たマイケルはなんだ。「さん」なんか付けてやらないぞ。なんだアイツは!最高じゃないか!
とりどりの咲く歌
スミカ
APOCシアター(東京都)
2011/03/03 (木) ~ 2011/03/06 (日)公演終了
人がいる場所。人が出会う場所。
劇場に入った時点からその場所がスミカだった。迎えられた様な、立ち寄った様な、帰って来た様な。
真っ向から捉えたら社会問題。作風はファンタジー。そのバランスがよかった。一日の仕事を終えてから観に行くものとしてもちょうどだった様に思います。料理で言えばポトフみたいだったなー。自分が観た日の昼食だったからというのがあるけど、家庭的な温かいその地に根付いた食べ物を食べるほっこりとした感覚だった。生活が見えた、とでも言うか。確かに生きていたからこそ、死んでいく事や消えていく事や忘れていく事が決して「初めから何もなかった」のとは違うのを再確認しました。
次はいつ何をやるのかよりも先に、何処でやるのかが気になる。そんなスミカ。
薬指の標本
ハコイリ企画
シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)
2011/02/25 (金) ~ 2011/02/27 (日)公演終了
ムスメ
男性の役もありながら、出演者が全員女性。ハコイリってそういう意味だったのか。
女性のみで構成されて醸されていた妖艶さは個人的に好きだったものの、それが作品の良さを際立たせる為に本当に効果的だったのかはちょっと疑問。残酷さや狂気は男性より女性のほうがそもそも似合う気がする。男性は自分の為に、女性は誰かの為でありながら通り越して自分の為に。
原作を読みたくなった。面白かったからではなくて、「あそこは本当はどんな場面だったんだろう」とか「字の文が省略されていてニュアンスが損なわれてるんじゃないか」とかの引っ掛かりが多かったからです。
ホテルロンドン
国分寺大人倶楽部
王子小劇場(東京都)
2011/02/23 (水) ~ 2011/02/27 (日)公演終了
面白かったー。
説明するのが面倒なくらい面白かった。とりあえず演劇はセックスに似てるよね。舞台上での役者同士の遣り取りも、舞台上と客席との関係も。何がどう良いのか説明するより、やったほうが早いのも。うん、観に行けばいいと思います。