Dの観てきた!クチコミ一覧

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IN HER TWENTIES

IN HER TWENTIES

TOKYO PLAYERS COLLECTION

王子小劇場(東京都)

2011/05/31 (火) ~ 2011/06/05 (日)公演終了

年相応。
『若いほうがいい』とか『三十代からだ』とか言っても、いや女の子はいつだって可愛いだろ、と。
自分でも意外と初の本公演観劇。今回上手く機能していたのは、「いい意味で全力で演技してない」って部分かと。さらっとしてた。役者が演技力を発揮するというよりも「女の子が何かしてる」。それがこの演目の支柱である一人の女性の歴史を語るモノローグに重なっていた気がします。暑苦しいものや重苦しいものを押し付けて来ず、ちょうどいい距離感。
座ったのは下手端の席だったので、自分から観ると年代を追うごとにこちらに近付いて来る感覚がありました。上手に座ったら遠ざかって行く感覚だったのかな? それも試してみたかった。

ネタバレBOX

冒頭のフルーツバスケットの『初めて…』が実体験に基づいているのかどうか…。うん、これは聞けないし聞きたくないな。
紅き深爪【沢山のご来場誠にありがとうございました】

紅き深爪【沢山のご来場誠にありがとうございました】

風琴工房

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/05/24 (火) ~ 2011/05/29 (日)公演終了

家族とは?
血の繋がり・戸籍・同居。別々に存在する人間を括る概念。別々に存在するからこそ相容れない部分があって、その歪みは心を徐々に殺していく。
児童虐待のみを焦点が当たっているのかと思ったら家族の話だった。冒頭は情報量が多くて消化不良になるんじゃないかと危惧したんですが、得てして結局その通りに。でもその消化不良は劇中の出来事への煮え切らなさにもリンクされて、理由と意味のある不快感だった気もするのです。

ネタバレBOX

演技的に感情の流れよりも突如スイッチが入った様に思えた部分が何箇所か。その分、役者がタスクをこなしているという印象が。勿論そういう現象は現実にも有り得ますけどね。前触れなく突如スイッチが入った人間の行動って。理解の範疇を超えて時に身の危険を感じる様な。基本が流れの中にあって、いくつかがそのスイッチの状態になっていればもっと身に染みて感じられたのでは。
モリー・スウィーニー

モリー・スウィーニー

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2011/06/10 (金) ~ 2011/06/19 (日)公演終了

役者の力量と魅力。
舞台美術の美麗ささえも視覚を持つ者への皮肉に思える様な、小さく小さくしかし確実に心を削り取っていく棘が感じられる作品でした。
生で聴く南さんの声は可愛くて堪らなかった。改めて「あ、これが女優か」と思った。声に限った事じゃなく、客にとって何かしら心を掴まれるものを持ってるというか。彼女のモノローグが始まってすぐ「あ、このモノローグだけが3時間続いても観られるな」と。内包されたものと背景が感じられました。小林さんは当初は好きになれないかもと思ったら、いつの間にか安心して楽しんでた。可愛いモンスターだった。リロ&スティッチみたいな。青いやつはスティッチ? よくよく見たら可愛くないはずなんだけど可愛く見えちゃう。相島さんは黙ってても観ていられる貫禄。それでいてミーハー心をくすぐるギリギリ一歩手前の適切な距離を持った存在感。口を開けば勿論その言葉の説得力たるや。
静の中の動の前半と、動の中の静の後半。母体内で眠りについた出生前の状態と、新たな世界で刺激に憔悴して迎えた死。物語が始まった時点でモリーは40代だけど、人生の終始全てが劇中にあった。何を大事に観ればいいかは始まってすぐ分かるはず。

ネタバレBOX

トラムに行くのが初めての人が羨ましい。自分は幕の奥に目が見えてからの世界があると迂闊に先読みしてしまった。先なんか見ないで目の前を見たらいい。それこそ「この作りなら抜き稽古がしやすくてスケジュール調整の問題をクリアするには利点だったろう」とか考えた浅はかさが自分で残念。そういう事に気がいってしまうからこそ、この時期にあれだけ長い暗転を使った事を讃えたい。安全性を優先してスタッフ側からストップがかかってもおかしくない。
【バナナ学園★王子大大大大大作戦】

【バナナ学園★王子大大大大大作戦】

バナナ学園純情乙女組

王子小劇場(東京都)

2011/05/17 (火) ~ 2011/05/22 (日)公演終了

バナナの感想をCoRichに投稿するのさえ違和感がある。
最早彼らは「バナナ学園純情乙女組」という概念だ。演劇かどうかとかを超越している。劇団は年に2回くらいのペースでその間に客に忘れられない様に色々と策を練ったりする訳ですが、バナナだとむしろそのくらいは間を空けてくれないと体内に吸収された何かが除去し切れない気がする。
過去に何度か観に行っている上でネタばれさせない様に感想を書こうとするとちょっと限界が出てきますね。ひとまず毎回「凄い」。くれぐれも断っておくと、この「凄い」には尊敬の念はほとんどこもっていないです。立派とかじゃないのです。凄惨と言う言葉にこの字が入っているのを納得出来る様な「凄い」です。内包してるものが濃過ぎるし彼らも理解とか考察とかまるで求めてない。面白かったかどうかそれだけ。味わいはいつも同じなのでいつか飽きたら観に行かなくなるだろうなと自分で思いつつ、まだ飽きる様子がないのです。困ったもんです。

ネタバレBOX

観る度に演出が酷く良くなっていく。この「酷い」は褒め言葉です。あの時間の中で「いい」と感じた瞬間がいくつもあった。その要素を一つずつ分けたらそれだけでそれぞれ別の演目が作れるくらいのアイデアとエネルギー。大食漢の胃下垂みたいな演目。
おはようバタフライ

おはようバタフライ

劇団活劇工房

明治大学和泉校舎第二学生会館地下アトリエ(東京都)

2011/05/17 (火) ~ 2011/05/20 (金)公演終了

本当に久々。で、面白かった。
話が聞こえてくる事もないし脆弱化してるんじゃないかと期待せずに観に行ったら、これが普通にちゃんと面白かった訳です。やんなっちゃう。ちょっとー、これまでのDMの文面とかもっと強気に宣伝してくれて良かったですよー。しばらくの間このレベルのものを見逃していたかと思うと残念でならない。
脚本・演出・役者がそれぞれにマックス値で仕事をこなしていたのがよく見えた。役者は能力に個人差があったけれど、それでもこの演目における役どころとしてのマックス値はしっかり出してくれていたと思います。上手い人も面白い人も可愛い人もいて、ちょっとこの座組バランスは恵まれすぎてるんじゃないかってくらい。登場初期は身内受けで笑われていた役があったけど、時が過ぎるにつれて治まった。飽きられたんじゃなくて、しっかり演じてるからちゃんと観ようと意識してもらえたのでしょう。熱演。
惜しいのはただ一点。パンフの配役表が分かりにくくて、どれが誰か分かんなかった。劇中でそう頻繁に全員の役名を呼称していた訳じゃないし。「この人が出るならまた観たい!」っていう人が何人もいたのに、どれが誰か分かんなかった。自分が誰のファンになったのか自分で分からないジレンマ。身内客しか想定してなくてキャストの本名を五十音順に並べたんだろうけど、新歓公演って事はやっぱ新入生は先輩の名前は知らないだろうし。そこだけ惜しかった。

ネタバレBOX

ナデシコっていうかルリみたいなキャラだった黒田さん。新人アナウンサーみたいな顔立ちで、個人的に好みでした。アンコ役・山田さんも可愛かったし、役名がどれか分かんなくなっちゃったけど警察の人も好きだった。大きな人は中村さんでいいのかな? 存在が既に面白かったけど、何気に器用な箇所もあった。笑い以外の役も観たい。主人公ユメノ役・菅原さんの誠実な「遣り切る」演技も良かった。しっかり主人公をこなしていたと思います。
DUST CHUTE UTOPIA

DUST CHUTE UTOPIA

PLAT-formance

タイニイアリス(東京都)

2011/05/19 (木) ~ 2011/05/23 (月)公演終了

ズルイ。許すけど。
劇団がコントをやるっていうとなんか普段よりちょっと下に位置する企画物なイメージが強い気がする。逆にコントグループが演劇やるって言うと上に位置する気がする。彼らの場合は元々演劇が出来る人々なのでそのイメージはズルイ。だって普段より上の事やるけど出来るって凄いみたいじゃないか。ズルイけどちゃんと面白いから、許す。
ゲストを呼んでさてどうなるかと思っていたら、ゲストの経歴自体をいじるというネタまであって。知らない人が見て「え?今の何の意味があるの?」と引っ掛かる様な入れ方はせず、分かる人だけ分かる埋め込ませ方。分かって喜んだ人はいても、分からなくて悔しい思いをした人がいない優しいネタだった。
全編笑いだけにせず、込められたメッセージも。個人的には観る事によって自身で改善を図れる諸問題については意識の芽生えが大事だと思うけど、手に負えないものだと不安を煽られたままになってしまう点を危惧。どうだろう。近くにいたOL風な女性とか終始ガッバガッバ笑ってたし、気にしすぎかもしれない。ひとまず、笑えます。

ネタバレBOX

コードが股間にヒットするのはろりえ「女優」の綱引きで志水さんが持ち上がるのが元ネタで、黒木さんはMrs.fictions「東京へ連れてって」のキャラを継いでいて、池亀さんは同じぬいぐるみハンターの神部さんが役名になって、ハマカワさんは国分寺界隈で隠れ巨乳で、自分は未見だけど堀さんはどうやらJACROWに出た時の何かと何かがどうにかなってたらしいです。加藤さんは? 今回一番オイしかったであろう彼は何かそういうのあったのでしょうか。気になる。
「ばっちり千里足」のウケない加減が最高に好きだった。多分やったのさえ覚えてない人がいると思う。でもオレはあれが最高に好き。
湯河原ドリフターズ 松の間

湯河原ドリフターズ 松の間

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/05/18 (水) ~ 2011/05/22 (日)公演終了

とりあえず松の間にのみお邪魔。
個人的には久々に観た王道ドタバタ劇というか。正直な事を言えば「その状況おかしくね?」「その気持ちよく分かんないなー」というのがちょいちょいあった。あったけど、観れた。「初日だから、まぁ…」という気持ちを持ったつもりはないけれど、発展途上の何かを感じさせられたからだと思う。この演目の伸び白も出演者の伸び白もあって、観て置いて損はないなと思いました。
そして現実世界が今こんな状況で、虚構世界で起きる深刻な状況を笑いを交えて見られるというのは娯楽として最高。いい意味で、他人事。ただでさえちょっと自分の事から目を逸らしたくなる日常。逸らした目の先が彼らなのは良かったかな。

ネタバレBOX

ラストの腹部への発砲は盛り上げ以外の意味を感じなかった。現実社会にいたら受け入れられなそうなハナビの突飛なキャラクターを「こういう物語だからな」とようやく受け入れたところでああなったので。「じゃあ7ヶ月って言ったのはただの嘘だったのか?」という疑問も残る。個人的な不満はそこだけ。舞台経験値に差のありそうな出演者達とスタッフが頑張って一つの作品を構成していたのが好感を持てたので、その気持ちのままの余韻で観終えたかった。あの部分は脚本か演出の仕事の至らなさもしくはでしゃばりだったかも。座組にとってのベストはあれではないと思う。
福田さんはパンフの写真のほうが可愛くて、役作りであの髪型にしたなら勿体無かった気がします。これは不満じゃなくて要望。
わが星

わが星

ままごと

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2011/04/15 (金) ~ 2011/05/01 (日)公演終了

初演を観られず念願の。
戯曲には軽く目を通して「あ、これは観なきゃ」と思いました。そもそも戯曲は演目の設計図みたいなものだけど、これに関してはその印象が他より強くて。新しい飛行機の図面を見せられて「どんな飛び方するんだろう?どのくらい飛ぶんだろう?」みたいな感覚でした。
自分の都合で到着が遅れて立ち見になったのだけど、この演目は地球に立ちながら観るのもまた乙だったな。視野としても必ずしもある一点だけに着目せずあちこち見たくなるものだったし。主観的にも客観的にもなれる内容だったので、たまにふっと気が反れて場内を見回している時間も楽しかった。ブースのスタッフの姿を見るのさえ楽しかった。「あー、地球って星のこの場所に人が集まって演劇を観ている瞬間を過ごしているなー」と。
ちーちゃんとつきちゃんの遣り取りは可愛すぎる。それなりの年齢になって胸の内をほんわかさせられるのは、付き合い始めた人と初めて手を繋ぐ時くらいドキドキする。うっかり寿命縮む。

ネタバレBOX

度々青木さんを観ていて、その度に前回の印象を越えてくる。初めに意識的に名前と顔が一致して観たのはひょっとこ乱舞「愛にキテ」で、その時は好きじゃなかった。その次に観た時は「そんなに嫌いじゃないかも」になって、今回はかなり好きだった。オレビルボードの何処まで駆け登って来るんだろう。
パラリンピックレコード

パラリンピックレコード

北京蝶々

シアタートラム(東京都)

2011/04/07 (木) ~ 2011/04/10 (日)公演終了

面白かった、でいいと思うんだよな。
色々思う事はあったけどこれは語る為の作品ではない気がする。他の観た人とは面白かった部分だけ話せば良くて、規制とか差別についての深い部分は自分一人が省みるべきだったのではないかな。
自発的に輝いていた役者と輝かされていた役者と輝かされ方を自分でよく分かっていない役者がいた様な。最後の人々は単純にもっと馬鹿になればよかったのになー、と。帯金さんとゆうじろうは煌々と輝いていたと思います。

ネタバレBOX

訛り喋りのままクライマックスシーンもぶっ壊していく滅茶苦茶は清々しい。ふざけてネタとしてやっている様でありつつも、政治的な上層部と田舎者との現実的な格差が現れていた。のではないかな。こうやって真面目に考察するもんじゃなかったと思うのですよ。ブラックユーモア。あの作品を観て各々が何に対してどういうブラックユーモアなのか理解出来るだけの知識を持っていたほうがいいとは思う。政治への好き嫌いは別としても。好き嫌いじゃないか。興味の有無。政治に興味がないならアナタ消費税支払いを拒否した事ありますか?とか横道に反れますが。
要素が多かった気はする。マイノリティだと括りが大きすぎるし、規制と障害者を直結させるものが見付からなかった。間に差別を入れれば繋がるけど、その潤滑油がなくても繋がってたほうが話が分かりやすかったはず。
中屋敷演出で動き回る流山寺さんを期待したのであの登場に関しては残念。
スーサイドエルフ/インフレ世界

スーサイドエルフ/インフレ世界

The end of company ジエン社

d-倉庫(東京都)

2011/03/31 (木) ~ 2011/04/03 (日)公演終了

こわい。
旗揚げ公演以来で久々に観た本公演。全然分からなくて全く面白くなかった。通り越して怖くなった。自分が理解出来ない手法で好評を得ている訳で、別に敵とか味方とかないんだけど自分にとってジエン社とは一体どんな存在なのか。好きとか嫌いとかじゃなく、分かんない存在。興味がなくて理解を諦めた訳でもない。落ち着いてよくよく思い返してみるんだけどそれでも全く紐解けない。人物が何と口にしているのか何の事を言っているのかも見失った。きっと老後に原宿や渋谷で若者と話をしたらこんな風に感じるんだろう。とりあえずまだ老後じゃないし理解を諦めるつもりはないです。しばらくは観に行かないけど。流石に毎回観に行って毎回分かんなかったら疲れちゃう。忘れた頃に、また。
すげーいい役者がいると思ったらぬいぐるみハンターの猪股さんでした。彼を髪型で覚えていたらしい。

ネタバレBOX

ジエン社が打ち出す「やる気のなさ」は悪くないと思ってるけど、観る側がやる気出さないといけないのは矛盾してんなーと思う。そして個人的には「静かな演劇2.0」ではないと思っています。だってジエン社の同時多発はうるさくて全部聞こえなくなるもん。
ラストで伊神さんが走り出した瞬間に何かが始まった気がして、なんでラストで始まっちゃうのか分かんないのは逆に面白かった。あの瞬間を迎えるまでのそれまで、という話でもなかったはず。それまで気持ちや出来事が何も動かなかったのに何故今更!?と。現実も人の行動なんかそんなもんなんだけども。
バルカン動物園

バルカン動物園

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/03/18 (金) ~ 2011/03/28 (月)公演終了

「人間が集まっている場所だって動物園だよな」と再確認。
自分も昔は男の子だったので科学とか大好きな時期がありました。この物語のほんの導入までだったらその頃に考えていたかもしれないけど、そこから先は様々な見聞などもあってこそ。
扱っている内容自体はちょっと難しい。でも理解し易い様に作られています。科学へ苦手感を持って冒頭で自ら受け入れを拒否したら勿体無い。ちゃんと観ていればちゃんと入ってきます。新たなものを発見したり分からないものを解明していくのが科学。脳が発達した動物である人間だからこそ追い求めていくもの。しかしそれでも解決しない問題や現実がある。それを生み出したのもまた人間。面倒な生き物。それも含めて愛らしい存在、かな。

劣る人

劣る人

elePHANTMoon

サンモールスタジオ(東京都)

2011/03/16 (水) ~ 2011/03/23 (水)公演終了

当初は
「うわー、つまんねー。結局誰が劣る人だったかよく分かんねー。普段はインパクト強いのに今回はお新香みたいな後味だなー」と思っていました。今となってはその薄味も悪くなかったかなと。

ネタバレBOX

扱っている内容からすれば、明らかに劣る立場の人間が一人いてその周囲で起きる人間模様を描くほうが分かりやすい。変にみんながみんな何か劣ってたからお互いに埋没しちゃって何を焦点に見ればいいのか分からなかった。そのせいで主人公不在の群像劇に。「誰しも何かしらコンプレックスを抱えている」というメッセージとして捕らえるとすんなり受け入れられるけど、観ている人間にそれを思わせるには内容の現実感が足りない。
役者を見ていて演出を受けている部分と受けていない部分があるんだろうなという印象が。その穴を埋めるのも役者の仕事だけど、それにしても。そのちぐはぐ感はいつもの濃いelePHANTMoonなら気持ち悪さに繋がってプラス。でも薄味の時には目立ってしまう。勿体無い。
ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

elePHANTMoon

サンモールスタジオ(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

れしぴえんとへん。
個人的には過去に観た作品と比べて大分観やすく、脚本協力というクレジットが何処までの仕事を指しているのか非常に気になりました。
ネタバレBOXは揚げ足取りみたいな内容になっちゃったので、好きだった人はスルーしたほうが作品を観た時の気持ちを保てるかも。

ネタバレBOX

兄の臓器が移植された相手を兄に見立てて抱かれる気持ちの異常さは面白い。が、そうなると移植された相手の内の一人だけと関係を持った事に違和感が。移植された相手の複数人とそれこそ性別を問わず誰とでも寝てくれたほうが異常さを感じられたかと。
そしてそんなに大事にしている臓器を何故あんな簡素な袋に入れてテーブルに直置きしてしまうのか。ラストはインパクトだけ。事故ったからといって望む部位の臓器移植になる可能性は低い訳で。異常な行動や感情のマックス部分を繋ぎ合せて物語が作られている中で、ミニマムな部分での矛盾が雑さに見えた。「うわぁ、そんな所までこだわるんだ…」と思わせたほうが良かった。よく使われる言葉ではリアルさって事ですが、この団体においては「執拗なまでの変態的こだわり」として。
偽善者日記

偽善者日記

荒川チョモランマ

劇場MOMO(東京都)

2011/03/18 (金) ~ 2011/03/20 (日)公演終了

よくぞ。
まずは中止からの振替公演に漕ぎ着けた事を讃えたい。
がっつり2時間でちょっとしたオマケもあったりしたのに体感では90分くらい。たまたま自分が「観たい!」に書いた荒チョモへの団体としての印象「次どうなるか分かんない」がそのまま作品になっていました。やりたい事は全部詰め込んで、作風さえパーツにしている。一本調子じゃないから飽きない。ってか、一つの作風じゃ同居不可能な役柄が多々登場してくる。それも楽しい。
全てはたった一つ大切な事を伝える物語の為。幾つかの形はあるけど、たった一つ。これは家族を想う話。なので家族と観るのがオススメだし、恋人と観ても良いと思う。とりあえずは今のこの時期に大切な誰かと観るのがオススメ。
万が一の地震対策も開演前に案内されますのでご安心を。始まって30分もしたらすっかり忘れて見入る事の出来る環境になっています。

ネタバレBOX

一幕・二幕の間は本当にずっと「何処に辿り着く?」という気持ちで観ていました。一幕は薄味で二幕は大味な印象があったけど最後の回収からすればそれさえも伏線。
終わりのあっさりさは潔かった。「まだあるんじゃないか?」と、カーテンコールの途中くらいまで「これもメタ構造の一部では…」とか思ってたんですけど。手法が込みすぎて伝えたい本元が薄れたらいけないし、あっさりで良かったんでしょう。個人的にはレナとハナの物語のその後も気になったから、最後に一瞬だけでいいから仲良く楽しそうにしてる姿で出て来て欲しかったというのはあるけど。
好きだった役者を挙げようと思ったら、逆に好きじゃない役者が一人もいなかった。甘めに見てるつもりはないので、それだけ役者と配役が良かったという事。
第二回本公演だった訳ですが、まだ「This is 荒チョモ」が見えない。可能性があって楽しみなんだけど、それでいて「ここがこう面白い」と未見の人に勧める言葉が明確にはなってない気がするのです。今回も観てから誰か誘えば良かったなーと思ったんだけど、さていざどんな言葉で誘えば良かったか考えるとすぐには思い浮かばない。「面白いから」って言葉だけだったら誘う時に誰だって使えるから、面白い理由まで伝えられる様になると今後に繋がると思う。
NUMBERS【全公演中止決定。いつか必ず再演を。】

NUMBERS【全公演中止決定。いつか必ず再演を。】

Sun-mallstudio produce

サンモールスタジオ(東京都)

2011/03/08 (火) ~ 2011/03/13 (日)公演終了

劇場発な企画っていうのが素敵。
30分×4本はかなーりボリューミー。2番目の演目が始まった時に「え?まだ折り返してもいないの??」って思ったくらい。上演順には異論があるものの、あくまで個人的な好み。「この並びでも観てみたい!」っていう欲を掻き立てられました。ネタバレBOX内にマイ順を書いておきますけど、ネタバレ感想も書いてるからご注意を。
狭いのが嫌な人は通路側席に座るべきかも。初日はかなり込み合っていたので身動きが取り辛かったです。

ネタバレBOX

個人的には「同居人」⇒『世田谷シルク』⇒『DART'S』⇒「The Stone Age ブライアント」の順で観たかったかなー。
テーマは各団体ごとで作品との結び付き重要度が違ってたので、「そう来たか!」みたいな楽しみ方は出来なかったのが正直なところ。だったらむしろ全団体で同じ確率を扱わせた方が作風の違いとか見比べが出来たんじゃないでしょうかね。
パンフレットに役者の名前は載ってるけど配役名がなくて残念。気になった人を今後チェックするにも、どの人がどの役か分からない。

●DART’S
いくら作中の人物であっても盛り上げの為に痛い思いさせたり殺すのって好きじゃないんですけど、DART’Sは伏線の張り方とか上手いから手段として許容出来る。が、今回のラストはどんでん返しとして弱くないか? 結局はあの後に出られた気がしなかったから、100万分の一が上手く効いていなかった。常套パターンだけど実は誰か生きてて…とかのがすんなり行った気がする。その上で更にもう一つ上の何かを仕掛けてくれる期待をしていたのだけど…。
國重さんの役名はなんだったっけ? 抉られた目玉を数えて誰かこの中にまだ見えている人間=犯人がいるって察する部分、あの行動を見逃してたらアウトじゃないか。台詞で明言しないまでも何か補足があると思ってました。見逃すっていうブラインドだとしてもそこまで読み取れない。
これ、60分バージョンを観たい。

●世田谷シルク
轟く部屋=パチンコ屋かな? イケメンの無駄遣い(笑)。絶対パチ屋にイケメンあんなに並んだりしないもん。冒頭でもうニヤニヤ。それ以降はイケメン達がこっち見るからいつも誰かとしら目が合って恥ずかしいのなんの。大丈夫か、女性客で想像妊娠しちゃう人とか出ないか? 出ないか。
正直、物語の終着は良く分かんなかったけど面白かった。シルクはそれが凄い。理屈じゃなくて感性だけで面白い。今回初見だった人達には普段やってる古典や小説とのミクスチャースタイルを是非観てもらいたいですね。
音響・照明のオペレーションや舞台上の移動や動きの修正をしていくとして、多分楽日までに一番作品が成長するのはシルクだと思う。

●The Stone Age ブライアント
第一声を発する数秒前から「演技がデカい!」と思って心の中で爆笑。なんだろ、小芝居に対して言うなら大芝居。コテコテの笑いだし、物語設定としては背景の見えない部分が相当あったけど勢いで許せちゃった。普段はあのテンションで二時間くらいのをやってるんでしょ? すげー観たい。
ヅラ、これからはわざとずらすのかな? その確認の為だけにリピートしたくなる 

●同居人
未見で名前はよく見聞きして楽しみにしていただけに「あれー?」。30分が埋まっていない印象でした。やりたい場面が幾つか思い浮かんで、その間を繋いだつもりがしっかり繋げていないって感じ。男女どちらにも思いを寄せる事が出来なくて、ケンカの熱が上がっていく最中も「ねちっこい人達」に見えてしまったから先行きに対して「こうなって欲しい。こうなっては欲しくない」という期待が沸かず。ラストも物足りず。女も別の方法で自殺するだけじゃないかな。ラスト以降に対しても「こうなって欲しい。こうなっては欲しくない」が沸かなかったので、余韻とか全然なかった。
今回の形式で挑むのが苦手だったのかもしれないし、本公演がどうかはまた別に気になる。大人数だとどうなるのかも観たいな。
労働です

労働です

範宙遊泳

STスポット(神奈川県)

2011/03/02 (水) ~ 2011/03/09 (水)公演終了

労働ですニーランド
開演前から笑いそうになった。事前に『演劇じゃないかも』みたいな噂を見聞きしていたものの、これはアトラクション性・イベント性が突出してるだけで立派に演劇でしたよ。演劇の可能性をみくびっちゃいけないですぜ。子どもや外人さんでも楽しめるんじゃないだろうか。
そんな訳で、物語ではなく現象を追いかけていく感覚。物語スキー(物語好き)さんには物足りなかったかもしれないけれど、個人の人間性ではなく労働者のコミュニティを見る話だったからこれで良かったと思います。そう言いつつ、あえて物語だけ抽出して見るとかなりシンプルでしたね。パッケージ方法で冒険してる分、中身まで冒険したら全部が意味分かんなってたかもしれないしナイスなバランス。
「少年少女」を観た時に「まだ色々と揃ってないな」と思えたのが、今回はかなり揃ってた。タイミングが来たんだなと思った。観てない間に身の回りで『面白くなかった』って声も聞きましたが、今は面白いんだからいいでしょ。さて、次は何をやらかすのやら。

ネタバレBOX

丸石さんがちゃんとインタビュー出来るかどうかの部分なんてあんなのどうあったって応援したくなるじゃないか。個人的には最初にぬいぐるみハンターでクソガキの役をやってるのを観て名前と顔が一致して、次もまたぬいぐるみハンターで猫の役で「あれ?可愛い子だったんだ」と気付いての今回。高感度ダダ上がり。
劇団員に役者が少ないと客演次第で色が変わるから作風も変化させられる。その中でも自劇団の役者には鼻に付かない程度で美味しい思いをさせてあげて欲しいですね。贔屓じゃなくて、その人が輝く余地を広めに取っておいて欲しいって意味で。熊川さんはもう何度か観ているのもあって、個人的には観てるだけでもちょっとテンション上がります。その分、埜本さんももっと印象深く残って欲しかったかな。男性陣の中では一番薄い役柄だった気がする。勿体無い。
ピーナッツ畑にかかる月

ピーナッツ畑にかかる月

早稲田大学演劇倶楽部

早稲田大学学生会館(東京都)

2011/03/04 (金) ~ 2011/03/07 (月)公演終了

まただ。またこいつらはやらかした。
いつもいつも破綻してる様なものすごい爆発力のものをやってくれる。爆発の勢いで真っ直ぐ飛んでくから、寄り道してるくせして一貫した何かがある様にも感じさせられる。観てて一息つきたくなるくらいなのに、やる側が全然一息つかないからどうにか着いていって結局最後まで観ちゃう。若さとかじゃ片付けられない。それだけで肉体も精神もあんなに酷使出来るものか。
未見の方に物語をどう説明したらいいいのかまるで見当が付かない。とりあえず思い出すと興奮する。興奮しすぎて「い」を一つ多く打ってしまった。
吉江さんが降板したのさえ完全にネタじゃないか。いや、本当らしいけど。本当に降板したっていうのがネタになってるし、代わりに出たマイケルはなんだ。「さん」なんか付けてやらないぞ。なんだアイツは!最高じゃないか!

ネタバレBOX

それ、ドヤ顔か…!?
とりどりの咲く歌

とりどりの咲く歌

スミカ

APOCシアター(東京都)

2011/03/03 (木) ~ 2011/03/06 (日)公演終了

人がいる場所。人が出会う場所。
劇場に入った時点からその場所がスミカだった。迎えられた様な、立ち寄った様な、帰って来た様な。
真っ向から捉えたら社会問題。作風はファンタジー。そのバランスがよかった。一日の仕事を終えてから観に行くものとしてもちょうどだった様に思います。料理で言えばポトフみたいだったなー。自分が観た日の昼食だったからというのがあるけど、家庭的な温かいその地に根付いた食べ物を食べるほっこりとした感覚だった。生活が見えた、とでも言うか。確かに生きていたからこそ、死んでいく事や消えていく事や忘れていく事が決して「初めから何もなかった」のとは違うのを再確認しました。
次はいつ何をやるのかよりも先に、何処でやるのかが気になる。そんなスミカ。

ネタバレBOX

最後の献花の時のおばあちゃんの表情が好きだった。
菊池さんは本当にいい役者だと思う。いつまでも舞台上の人と観客の関係でありたいから、今後もし機会があろうとも知り合って挨拶をしたりなんて事がない様にありたい。大川さんは芯が通る様になったなという印象。競泳水着「スケッチオブ~」くらいの頃と比べると今は立ち振る舞いの防御が上手くなったって感じ。硬く構える防御じゃなくて、時に全身の力を抜いて流れに身を任せる様な防御。男性も含め他出演者もみんな愛せる人となりを感じさせてくれて、素直な気持ちで観ていられましたね。
薬指の標本

薬指の標本

ハコイリ企画

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2011/02/25 (金) ~ 2011/02/27 (日)公演終了

ムスメ
男性の役もありながら、出演者が全員女性。ハコイリってそういう意味だったのか。
女性のみで構成されて醸されていた妖艶さは個人的に好きだったものの、それが作品の良さを際立たせる為に本当に効果的だったのかはちょっと疑問。残酷さや狂気は男性より女性のほうがそもそも似合う気がする。男性は自分の為に、女性は誰かの為でありながら通り越して自分の為に。
原作を読みたくなった。面白かったからではなくて、「あそこは本当はどんな場面だったんだろう」とか「字の文が省略されていてニュアンスが損なわれてるんじゃないか」とかの引っ掛かりが多かったからです。

ネタバレBOX

男性役を女性が演じているという事に対しての決定的な提示がないので、「あえて同性愛にしたんだろうか」とも想像させられつつ中盤以降くらいで「あ、そのへんは説明する気ないんだな」と。それでもいいんです。いいんですけど、その為にはそれが気にならないだけの説得力だったり針を振り切った圧倒的な何かが欲しかったと思います。
雰囲気は狙ったものに近付いていたのかもしれないけど、演技の細部に対しての演出は甘かった。役者はちゃんと台詞が入っていて余裕で発話していたけど、一通りゆったりもったり話す状態。その余裕を残すのであれば何か挑戦的な部分も欲しかった。老人役が二人いて、片方は老けた台詞回しをしてるのにもう片方は大してそうでもないというのも違和感。
「見せるシーン」としては色鉛筆を拾うあれが一番やりたかったのかもしれないけど、意図が見えなくて長かった。早い内から「まさか全部拾うまで続くのか…。何を観てればいいか分からないな」と不安になりました。
そしてあの音響オペ具合はあんまり過ぎでしょう。初日とはいえ。オペミス自体もあったけど、フェードアウト出来ずに尻切れみたいになっててその度に集中が途切れました。勿体無さ過ぎる。
ホテルロンドン

ホテルロンドン

国分寺大人倶楽部

王子小劇場(東京都)

2011/02/23 (水) ~ 2011/02/27 (日)公演終了

面白かったー。
説明するのが面倒なくらい面白かった。とりあえず演劇はセックスに似てるよね。舞台上での役者同士の遣り取りも、舞台上と客席との関係も。何がどう良いのか説明するより、やったほうが早いのも。うん、観に行けばいいと思います。

ネタバレBOX

確か国分寺は「愛と青春と死」を掲げてた覚えがあるけど、登場人物がみんな甘酸っぱい奴らです。不器用な良い奴ら。社会には反したりもするけど、いい奴ら。今回も悪人がいないなって印象。アズマもああいう生き方しか出来ない可愛相な奴に見えた。
全体を観るには後ろめの席だなと思って座ったから自分は大丈夫だったものの、席によっては首を左右に振ってて忙しそうだった。その姿がテニスの試合を見てるみたいで、「この後にクルム伊達直人やるんだな」と思ったら妙に満足感が沸きました。
よし、他の方のネタバレBOX内のコメントにネタバレBOX内からコメントするぜ。えりおさん、コメント登録の時間からして自分も同じく初日を観ましたが客席に役者とかはそんなにいなかったですよ。自分は他の客の反応が見たくてよく顔触れチェックしますけど、「あ、小劇場のあの人だ」っていうのは4人だけでした。EさんIさんOさんWさんくらい。Oさんは役者じゃないし。YUBOさん、破局以前にセジマはハルカを絞殺してましたよ。個人的にはあの留守録の声がジンノだったんじゃないかと思います。

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