役者の力量と魅力。
舞台美術の美麗ささえも視覚を持つ者への皮肉に思える様な、小さく小さくしかし確実に心を削り取っていく棘が感じられる作品でした。
生で聴く南さんの声は可愛くて堪らなかった。改めて「あ、これが女優か」と思った。声に限った事じゃなく、客にとって何かしら心を掴まれるものを持ってるというか。彼女のモノローグが始まってすぐ「あ、このモノローグだけが3時間続いても観られるな」と。内包されたものと背景が感じられました。小林さんは当初は好きになれないかもと思ったら、いつの間にか安心して楽しんでた。可愛いモンスターだった。リロ&スティッチみたいな。青いやつはスティッチ? よくよく見たら可愛くないはずなんだけど可愛く見えちゃう。相島さんは黙ってても観ていられる貫禄。それでいてミーハー心をくすぐるギリギリ一歩手前の適切な距離を持った存在感。口を開けば勿論その言葉の説得力たるや。
静の中の動の前半と、動の中の静の後半。母体内で眠りについた出生前の状態と、新たな世界で刺激に憔悴して迎えた死。物語が始まった時点でモリーは40代だけど、人生の終始全てが劇中にあった。何を大事に観ればいいかは始まってすぐ分かるはず。